JP2007098410A - スポット溶接機 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は金属材などの被溶接材を加圧通電する溶接チップと被溶接材との間に導電性の連続テ−プを介在させ溶接あとなどが残らず、溶接チップの先端が汚染されずに溶接できるスポット溶接機を提案する。
【解決手段】先端に溶接チップ11が設けられる溶接ガン10を支持ア−ム30で回転自在に支承して被溶接材Wを加圧通電するスポット溶接機であって、この溶接チップ11と被溶接材Wとの間に介在させる連続テ−プ15と、この連続テ−プ15を巻取る巻取リ−ル152と、この巻取リ−ル152に先端の巻取リ−ル152で噛合させるクリック部材42と、このクリック部材42と支持ア−ム30との間に介在する弾性ばね43とを設ける。
【選択図】図1
【解決手段】先端に溶接チップ11が設けられる溶接ガン10を支持ア−ム30で回転自在に支承して被溶接材Wを加圧通電するスポット溶接機であって、この溶接チップ11と被溶接材Wとの間に介在させる連続テ−プ15と、この連続テ−プ15を巻取る巻取リ−ル152と、この巻取リ−ル152に先端の巻取リ−ル152で噛合させるクリック部材42と、このクリック部材42と支持ア−ム30との間に介在する弾性ばね43とを設ける。
【選択図】図1
Description
本発明はスポット溶接機に係り、詳しくは、金属材などの被溶接材を加圧通電する溶接チップと被溶接材との間に導電性の連続テ−プを介在させ溶接あとなどが残らず、溶接チップの先端が汚染されずに溶接できるスポット溶接機に係る。
従来から、金属板、例えば圧延鋼板、アルミニウムおよびその合金材、およびZnめっき鋼板などの被溶接材を溶接する場合に少なくとも2枚またはそれ以上の被溶接材を重ねて、上下電極で挾み、加圧、通電して溶接し、ナゲットを形成して溶接するスポット溶接が用いられている。
また、このスポット溶接は、数秒で一つのスポット溶接ができ、一度溶接条件を設定すると全く素人の人やロボットでも容易に溶接ができ、安定した溶接ナゲットや継手強度が得られるところから、自動車等の量生産方式における接合手段に用いられるほか、所謂板金加工の接合手段としても用いられる。
また、このように広い用途をもつ一方、スポット溶接は、自動車などで使用される圧延鋼板のスポット溶接では導電性および機械的強度の上から通常使用されるクロム銅電極の寿命は10000打点以上といわれるように長いのに反し、アルミニウム材やアルミニウム合金材、さらにZnめっき鋼板のスポット溶接ではクロム銅電極の寿命が大巾に短かくなり、ドレッシングのしん度が高くなるとともに、それに要する時間も長くなるのが欠点である。
すなわち、電極寿命は、ドレッシング毎に連続して所定の要求性能の溶接部が得られる打点数である。この打点数をこえてスポットを打つと、打ったナゲットの径や引張せん断強さが規定以下の値になる。また、この打点数をこえると、電極先端には電極と被溶接材料との合金層ができ、それが溶接部に転写されて外観が損なわれる所謂ピックアップが発生する。ピックアップにより、電極が被覆溶接材料に溶着してとれなくなることも起こる。
ちなみに、自動車の組み立てラインでは圧延鋼板のスポット溶接であるから、電極寿命が長く、それほどこの問題を配慮する必要がない。しかし、金属加工一般ではアルミニウム材またはアルミニウム合金材のスポット溶接も含まれ、このスポット溶接の電極寿命は非常に短かく、鋼板のうちでもZnめっき鋼板の場合にも電極寿命は相当短かく、必然金属一般のスポット溶接ではこの問題はさけて通れない。
このようなところから、アルミニウム材またはアルミニウム合金材やZnめっき鋼板のように電極寿命の短い材料では、特開昭61−159288号公報に記載されるように、アルミニウム材またはアルミニウム合金材間に電極より高電導性のインサ−ト材を介装する溶接法が提案されている。
この溶接法は、2つの被溶接材間に介在するインサ−ト材は高電導性であるため、溶接熱は速やかに抜熱できることもあって、被溶接材との接触部の温度上昇は抑えられ、被溶接材の板厚方向の溶込みを浅くでき、溶接裏面の割れの発生が防止でき、電極寿命は延長することができる。
しかしながら、インサ−ト材の介装はスポットの溶接毎に実施することは不可能のため、どうしても一定期間毎に行なうこととなり、介装そのものを自動化するのには大掛りな治具装置が必要になって、必ずしも合理的でない。
ところで、自動車産業でも、最近は、圧延鋼板に代ってZnやZn合金等のめっき鋼板が用いられるようになり、軽量化のためにアルミニウム材やアルミニウム合金材などが用いられるようになっている。この材料であると、圧延鋼板と相違して、スポット溶接するときに、電極とめっき鋼板の間の溶接熱で、融点の低いZnやZn合金が先に溶けだして電極と溶着する。また、電極の銅または銅合金から成ることもあって、これらの溶融金属が銅などと合金化し、電極先端に合金又は合金層が付着生成し、溶接時に被溶接材表面に付着し、溶接部の圧こん(つまり、溶接跡)が汚されることが起こる。さらに、この合金又は合金層は被溶接材の溶融表面に移行して電極が消耗する。この電極消耗は中心部で大きく電極先端は変形し凹形になる。これに伴い、溶接部のナゲット径や引張せん断強さが低下する。このことは電極寿命は低下する。
このため、電極は切削したり、研摩したりして、再度先端形状を正規の形にドレッシングするが、頻繁にドレッシングする必要が生じると好ましくない。とくに量産ラインのときはラインを止めてドレッシングすることになり、生産性からも好ましくない。
要するに、電気エネルギ−を利用した電気溶接のうちでスポット溶接は少なくとも2枚またはそれ以上の被溶接材を重ね合わせ、これを上下電極で挾んで加圧、通電してスポットナゲットを形成して接合する溶接であるところから、溶加材を必要とする電気ア−ク溶接に較べると薄板といわれる圧延鋼板に最も適している溶接法といわれているが、圧延鋼板のほかに、アルミニウム材およびその合金材、Znめっき鋼板や化成処理鋼板の溶接にも用いられる溶接方法である。
このような利点をもつスポット溶接であるが、どうしても、根源的に、クロム銅電極が直接被溶接材の加圧通電に関与する機構であるため、電極寿命があり、それが被溶接材により大きな幅があり、電極がこの寿命を超えると、電極先端に電極と被溶接材との融合による合金層ができ、所謂ピックアップなど現象が生じ、例えば、めっき鋼板の間で、融点の低いZnやZn合金が溶けだして電極と溶着して電極が消耗し、電極先端の形状が変わり、先端形状を正規の形に戻すために、ドレッシングすることがどうしても必要となる。
そこで、本発明者らは、先に、被溶接材を上下からはさむ上部および下部の溶接電極のうちで、棒状に構成される上部の溶接電極に対し下部の溶接電極をその表面に平坦で導電性をもつテ−ブル状のものとして構成し、このテ−ブル状電極上に被溶接材をセットしたままで溶接できるスポット溶接機を提案した。(特許第3445636号明細書)この溶接機における上部の棒状溶接電極の一端に取付けた溶接チップはテ−ブル状電極の上で自由に駆動でき、縦向き姿勢や横向き姿勢の何れでも使用できるものである。
このテ−ブル式スポット溶接機は、上部の棒状電極を横向き姿勢で使用する場合には棒状電極そのものをてことして利用することができ、先端の溶接チップがてこ機構という倍力機構を利用して被溶接材に対して下向きの高い加圧力を与えることができるよう構成し、これに併せて、テ−ブル状電極によって溶接熱を速やかに取り去ることができる構造に構成したものである。
すなわち、このスポット溶接機は下部の溶接電極をテ−ブル状に構成し、テ−ブル状溶接電極はその広い全面にわたって冷却通路が形成されて冷却能力が大巾に高められている。平たくいうと、一対の上下の溶接電極のうちで下部の溶接電極の電極構造の改善をはかって、溶接電極の冷却能力を大巾に高めて溶接中のアルミニウム材やめっき鋼板中の低融点金属の溶融やそれに起因するピックアップなどを防止して電極寿命を延長し、ドレッシングなどを最小限にとどめるものである。
すなわち、下部のテ−ブル状電極では平坦でかつ広い表面は何れのところでも通電され、対応する上部の棒状電極によって加圧されたときには、その加圧力を支承するところがいずれのところであって、その部分が点溶極(スポット溶極)となり溶接が達成される。
したがって、テ−ブル状の下部電極の平坦な表面全体はいずれのところでもスポット電極となることができるよう構成されているため、表面全体にわたって冷却水が円滑に流動する構造に構成されている。このため、溶接時に多量の溶接熱が発生しても無限に近い大きな冷却能力をもつテ−ブル式電極から抜熱される。このようにテ−ブル状の電極や棒状電極の表面の温度は低減し、被溶接材がZnめっき鋼板やアルミニウム材であっても、ほとんど溶融することなく、ピックアップも生成することなく電極寿命も向上する。
しかしながら、先に提案したテ−ブル式スポット溶接機は、下部の溶接電極がその表面全体が銅またはその合金から構成され、冷却源としてきわめて大きく構成するのに拘らず、上部の溶接電極は先端に電極チップを具える棒状電極から構成されているため、使用を重ねると、先端には銅との合金が付着し、さらに、冷却能力が上部と下部の溶接電極の間でバランスを欠き、これにより、溶接時の付着物の付着が上部の溶接電極に片寄り、とくに化成処理鋼板、ボンド処理鋼板やパ−カライジング鋼板などの溶接になると、この傾向があらわれ易い。
特開昭61−159288号公報
特許第3445636号明細書
本発明は上記欠点の解決を目的とし、具体的には、被溶接物をはさみ加圧通電する一対の電極のうちで一方の電極を面積の広い板状の電極として構成する一方、上部の棒状電極に導電性テ−プを介在させ、上部の溶接電極による溶接動作に連動させて導電性テ−プを順次に送ることのできるテ−ブル式スポット溶接機を提案する。
すなわち、本発明は先端に溶接チップを設けた溶接ガンと、この溶接ガンを支持ア−ムの下端で回転自在に支持し溶接ガンをてことして溶接チップにより溶接すべき被溶接材を加圧力をかけて通電するてこ機構とを具えるスポット溶接機において、この溶接チップと被溶接材との間に介在する連続テ−プと、この連続テ−プを巻取る巻取リ−ルとを設け、この巻取リ−ルにつめ車を連結する一方、このつめ車のつめを少なくとも1つづつ送るクリック部材を設け、このクリック部材をばね部材を介して支持ア−ムに取付けて成ることを特徴とする。
このように連続テ−プを介在させるため、溶接チップの寿命が大巾に向上し、とくにアルミニウム材や表面被覆鋼板などの溶接でも支障なく溶接でき、連続テ−プは銅又はその合金材が用いられ、これらは高価なスクラップとして投下資金の回収もはかれるため、経済的にも支障がない。
そこで、上記のところの解決手段たる構成ならびにその作用、その効果について、図面に示すところを通じてさらに具体的に示すと、つぎのとおりである。
なお、図1は本発明の一つの実施例に係るスポット溶接機の一部を断面で示す正面図である。
図2は図1の矢視A−A方向からの断面図である。
図3は図1のスポット溶接機の一つの使用態様の説明図である。
図4は図1のスポット溶接機の他の使用態様の説明図である。
図5は本発明の一つの実施例に係るスポット溶接機における連続テ−プの送り機構の一部を断面で示す説明図である。
まず、図1は本発明の一つの実施例に係るスポット溶接機の構造の一部を示す説明図であって、符号100は本発明の一つの実施例に係るスポット溶接機を示す。このスポット溶接機100は、後に示すとおり、上部および下部の溶接電極10、20のうち、少なくとも下部の溶接電極20を少なくとも表面が銅又は銅合金などの導電性材料からなる板状のテ−ブル状電極から構成する。このテ−ブル状電極を銅又は銅合金材から構成する場合、導電性を損うことなく機械的強度を保持するためにはクロム銅合金の板状材が好ましい。また、表面のみを硬化させて溶接跡を除去するために、塑性加工により表面を加工硬化させて表面に加工硬化層を設けることもできる。また、この板状の電極、つまり、テ−ブル状電極として下部電極20の内部に冷却水が流通し冷却する冷却水通路(図示せず)が全面又はほとんど大部分にわたって設けられている。このため、板状の下部電極20の表面の一部が局部的に溶接熱にさらされ、とくに、500℃/以上の高温になっても、テ−ブル式電極は全面にわたる冷却水通路を流通する冷却水により冷却され、冷却能力がきわめて大きく、溶接熱は上部の棒状の溶接電極10に較べて相当分が下部の溶接電極20の方に優先的に流れ、溶接電極の被溶接材との接触面で急激な温度上昇もない。
すなわち、スポット溶接機100において、下部電極20が板状又はテ−ブル状の電極板から成るのに対し、上部電極10が棒状の溶接ガンから成っている。上部電極10は、図1に示す通り、上下方向に昇降し、下部電極20との間で被溶接物Wをはさんで点溶接する。
このように上部電極10は下部電極20との間で被溶接物Wをはさんでスポット溶接するものであって、先端に溶接チップ11を具え、シャンク12とホルダ13とから構成され、棒状の溶接ガンとして構成される。この溶接ガン10を横向姿勢に配置し、枢支点31で支持ア−ム30により昇降自在に支承され、上部電極10の溶接ガンそのものが枢支点31を中心としその周りに回転するてこを成している。したがって、棒状の上部電極10は表面全体が電極として働く下部電極20上において倍力機構のてことして働き、溶接のときには、下部電極20上に被溶接物Wが置かれたままで所望の被溶接点のところまで溶接チップ11を移動させてから、下部電極20との間で被溶接物Wをはさみ、所望の溶接点のところを順次に点弧状にスポット溶接する。
なお、上部電極10を回転自在に支承する支持ア−ム30は、下部電極20上に張出す片持はり(図示せず)を設け、この片持はりを介して吊り下げて支持することもできる。このように支持機構を構成しなくとも、門型支柱その他の支持手段により支持することもできる。
一方、板状又はテ−ブル状に構成される下部電極20は全体にわたって通電性材料により構成しなくとも、その表面のみを例えば銅又はその合金から構成し、内部に平面方向にわたって冷却水を流通させる冷却水通路(図示せず)を設ける。この広いスペ−スにわたって延在する冷却通路を流動する冷却水によって溶接熱がとられ、被溶接材Wと電極との間の接触面の溶融を防ぎ、汚れを防止できる。
一般にいって、スポット溶接で上部および下部の各電極の役割は溶接部に大きな電流を供給し高い加圧力を加えることにある。一方、視点を変えると、各電極10、20は溶接熱を速やかにとり去って、溶接部の表面を冷却することにあり、溶接性からみると、実用的にはこの面が最も重視できる。すなわち、電極10、20のいずれも溶接熱は一種の抜熱手段であって、これは冷却水によって持ち去られることになる。この面からすると、各電極10、20は熱伝導率が大きいことが必要である。構造的になるべく多量の冷却水が流動できる構造にする必要がある。この点、本発明者らが提案しているテ−ブル式スポット溶接機は、下部電極として働く板状電極20は面積の広い板状である。したがって、内部に冷却水が十分に供給できる構造に構成できる。とくに、高い熱伝導率の銅又はその合金から構成されるため、大部分の溶接熱が受け入れることができ、高い熱伝導率により溶接熱は円滑に冷却水に与えられて溶接チップの表面温度は高くなることなく、溶接チップの変形が加速されることなく、被溶接材との合金化によるピックアップも起こらない。
また、下部のテ−ブル式の板状電極20は銅又は銅合金から成るとともに、この銅又は銅合金を例えば加工硬化によって硬化層を形成しても十分に冷却されるため、その硬化が戻ることがない。
銅又はその合金は構造として面心立方格子である。この面心立方格子は鉄、鋼などの体心立方格子のものに較べるとはるかにすべり易い。すなわち、面心立方格子の銅や銅合金に外力を加えると、格子の一部に生じる転移がすべり面に沿って伝わり、結晶格子の金属原子が移動することから、加工し易いといわれる。このすべる領域をこえるとすべりは格子内に集積し、これにより転移がじゃまされ硬くなる。この硬化の程度がきわめて高いのが銅の特徴でもある。
この特徴は下部の電極20のテ−ブル化又は板状化によって冷却能力のアップをはかると、有効に利用できる。すなわち、溶接熱は迅速に冷却水によって抜熱されるため、電極10、20の各接触面の温度が高くならない。このため、加工硬化は焼戻されて軟化することがない。
また、下部の溶接電極20のテ−ブル式電極に対し、上部の溶接電極10を棒状の溶接ガンとし構成するが、先端のチップ11とシャンク12とホルダ13とから成って、これらは互いに連結して棒状の溶接ガンとして構成することもできるし、継ぎ目なく一体に構成し、一体の溶接ガンとしても構成できる。このように棒状に構成し、この溶接ガン10は支持ア−ム30により枢支点31で回転自在に支承すると、てこ機構が構成できる。
このように構成すると、先端の溶接チップ11によっててこ機構を利用して下部の板状のテ−ブル状電極20との間で被溶接物Wをはさんで加圧力を高めて加圧できスポット溶接できる。
また、上部の溶接電極10として使用される溶接ガンはいずれの態様でも棒状に構成されてさえいれば、てことして用いることができる。先端の溶接チップ11における冷却性能を高めるにのは継ぎ目なく一体に構成するのが好ましい。すなわち、このように構成すると、冷却水の水圧を高めても、継ぎ目部分がないことからその部分から水がもれることがなく、冷却性能を大巾に高めることができる。図1に示す例は溶接チップ11、シャンク12およびホルダ13が一体として全く継ぎ目なく結合され、一体に構成されている。製作する場合には、これらを一体として鋳造できる。
すなわち、棒状の溶接ガン10において先端の溶接チップ11は溶接すべき機材や部材Wに直接接触し、加圧通電して溶接する部分である。このため、溶接チップ11は従来から消耗品として分離できるように構成されている。しかし、このように分離できるように構成すると、その部分に継ぎ目が残り、接触抵抗が大きくなって焼き付くことが多く、スポット溶接における大きな欠点にもなっている。このところから、本発明ではこのチップ11はシャンク12に継ぎ目なく一体に連続させて構成するのが好ましい。
更に詳しく説明すると、上部の溶接電極10として被溶接材Wに直接接触し溶接に関与するのは先端の溶接チップ11である。溶接チップ11は最も高温にならされ、表面はピックアップなどにより汚れ、損耗する。とくに、溶接チップ11の先端は冷却水の温度からみても600〜900℃に達しているものと思われる。このように高温度の溶接チップが継ぎ目の抵抗により更に加熱されると、継ぎ目が焼き付くことが多く、僅か数百打点を打っただけでも焼き付きにより取外しができないことが起こる。
また、継ぎ目は加熱と冷却がくり返され、熱膨脹と収縮がくり返されて隙間が生じることもあり、そこから冷却水がもれることもある。さらに、被溶接材が圧延鋼板に代ってアルミニウム材、めっき鋼板、その他の化成処理鋼板であるときには溶接チップ11の交換頻度がふえてこの交換に多大の手間がかかる。いずれにしても、溶接チップ11の一体化をはかり、このような問題から解放されるのが好ましい。この点で本発明では後にのべるとおり、溶接チップ11の外周に導電性チップを介在させ、溶接チップ11を継ぎ目なく一体に構成するようにすることができるように構成するのが好ましい。
上部の溶接電極10は必ずしも一体に構成しなくとも、棒状のてことして利用できるものであれば、先端の溶接チップ、シャンク、ホルダを分離して構成することもできるが、溶接チップ11、シャンク12およびホルダ13は継ぎ目なく一体に構成するのが好ましいのは次のところにもよる。
すなわち、このように各部分が継ぎ目なく連続し一体に構成される溶接ガン10であると、その中心軸に沿って継ぎ目なく連続した冷却水通路14を設け、この冷却水通路14はホルダ13からシャンク12を介して溶接チップ11まで継ぎ目なく一体のものとして連通させることができる。
また、冷却水通路14の往路141と復路142も連続したものと構成でき、流入口143から流入された冷却水は先端の溶接チップ11の表面に近づけて噴射され、溶接チップ11を冷却し、復路142を通って流出口144から排出される。
このような冷却水通路14は、溶接ガン10そのものが一体に構成され、この中心軸に沿って冷却水通路14は流入口143から先端のチップ11まで達することになって、冷却水を高い圧力で直接チップ11の外周に近接させて噴射でき、効果的に冷却できる。このため、チップ11が高い溶接熱にさらされても溶接熱はチップ11に達した冷却水によって相当量の溶接熱が抜熱できる。
また、冷却水の流動は、溶接ガン10の各部分の間に継ぎ目がないために、もれが全くなく、円滑化し溶接熱の放散が促進される。
次に、以上のとおり構成される溶接ガン10において少なくともチップ11およびシャンク12の外周に導電性の連続テ−プ15を沿わせるようにする。導電性の連続テ−プ15を沿わせる場合、いずれの態様でも実施できるが、溶接ガン10をはさんで巻戻しリ−ル151と巻取リ−ル152とを設け、この巻戻しリ−ル151につめ車41とクリック部材42とから成る間欠送り機構40を連動させ、後記のとおり、溶接ガン10により単位溶接毎(つまり1打点)に導電性の連続テ−プ15が順次送られるように構成する。
また、チップ11およびシャンク12の外周において軸方向に案内通路16を延在させる。この案内通路16は巻戻しリ−ル151で巻戻した導電性の連続テ−プ15を溶接ガン10に沿って案内させるもので、このように導電性の連続テ−プ15を介在させて溶接すると、チップ11が直接被溶接材Wに接触して溶接することがないため、被溶接材Wと融着することなく、円滑に溶接できる。とくに、溶接すべき溶接点は導電性の連続テ−プ15を順次に送って溶接されるため、常に新しい接触面によってスポット溶接できるため、接触面には全くピックアップがなく汚れることなくクリ−ンとなり、当然、溶接チップ11の変形もなくドレッシング処理をする必要もない。
更に説明すると、スポット溶接はチップ11によって加圧、通電されて溶接が行なわれる。仮りに、チップ11が直接接触させ、これがくり返されると、チップ11の表面は局部的に溶融し汚染され、被溶接材の表面には溶接跡などが残り、汚されて溶接部の品質が劣化する。それを除去するために、チップ11内は内部から冷却することになり、なるべくチップ11の外表面の近くまで冷却できる構造が望ましい。この点、溶接ガン10をチップ11からホルダ13まで一体に構成すると、内部の冷却水通路14は継ぎ目なくチップ11の外表面の近くまで(なかでも5〜7mm程度のところに)達し、そこで冷却水を噴射させることができる。このため、チップ11は効果的に冷却できる。さらに、継ぎ目なく一体化のため、冷却水はもれる必配がなく水量や流量を自由に調整でき、この面からも冷却効果を上昇させることができる。
しかし、この溶接チップ11の外周面に近くまで冷却できることは1つの溶接毎に発生する多量の溶接熱(先にのべたとおり、この熱によって溶接チップ11の接触面は約500℃〜900℃近くまで達する)が迅速に冷却水により運び去られ、溶接には好ましい条件が設定できることになる。しかし、これに反し、好ましい条件が得られるとしてもチップ11を薄く構成するのに自から限界がある。すなわち、高い加圧力を加えていくと、経時的な変形や、外面の汚染によって溶接寿命が短かくなり、ドレッシングをくり返すことになる。
このところから電極チップ11の外周を導電性の連続テ−プ15でおおうとともに、上部電極10を成す溶接ガンをてことして用いて1つの溶接を行なう度に、つまり単位溶接毎に導電性の連続テ−プ15を断続的又は間欠的に送って1つの溶接点には常に導電性の連続テ−プ15の新しい面を接触させて溶接できるようにする。
このように構成すると、電極チップ11のドレッシングや交換などの作業から開放されるほか、導電性の連続テ−プ15に接触されて溶接するところには溶接跡がほとんど残ることがなく、さらに、溶接時に発する溶接熱の相当部分が導電性の連続テ−プ15によって運ばれて抜熱されるため、冷却能力はさらに向上し、溶接チップ11は、常に冷却された状態、なかでもせいぜい200〜300℃程度に維持できる。
このように棒状の溶接ガンから成る上部電極において、その溶接チップ11に導電性の連続テ−プ15を介在させる場合に、図示のとおり、溶接チップ11とシャンク12の外周には軸方向に沿って案内通路16を延在させ、導電性の連続テ−プ15と溶接ガン10との一体化をはかるのが好ましい。すなわち、図5に示すとおり、案内通路16に沿っての導電性の連続テ−プ15の案内は、チップ11の外表面との間で導電性の連続テ−プ15に接触抵抗が少なくなるように沿わせることである。案内通路16は、チップ11、シャンク12およびホルダ13が一体のものとして構成される溶接ガン10であると、それと一体のものとして少なくともシャンクの外周にその軸方向に沿って方形断面の平坦溝161を形成し、平坦溝161を案内として導電性の連続テ−プ15を送らせるように構成する。また、この平坦溝161を封鎖するために、一対の封鎖リング162を設け、さらに、チップ11の先端は、一対のフラット面111を形成し、そのフラット面111に接触させて導電性の連続テ−プ15を巻付ける。
また、導電性の連続テ−プ15は溶接毎に順次に送られることが必要である。このために、導電性の連続テ−プ15を巻付けた巻戻しリ−ル151と巻取リ−ル152をシャンク12をはさんで設ける。巻取リ−ル152は断続的又は間欠的に回転するように構成し、間欠送り機構40に接続し、間欠送り機構40を介して支持ア−ム30に連結する。間欠送り機構40はその目的が達成できれば必ずしも機械的に構成しなくとも電気的にも構成できるが、図示の例は機械的に構成したものの一つである。
すなわち、間欠送り機構40は、図2に示すとおり、巻取リ−ル152に連結されて一点鎖点で示すのこ歯状のつめを有するつめ車41とこれにつめ車41に噛み合うクリック(click)部材42とから成って、つめ車41のつめはのこ歯状に形成され、このつめが少なくとも1つづつ送られると、この単位ピッチづつつめ車41が回され、断続的に巻取リ−ル152に巻取り、導電性の連続テ−プ15が送られるように構成される。クリック部材42は、図1に示すとおり、棒状ア−ムに構成し、その先端部分にのこ歯などのクリック421が設けられ、クリック421がつめ車411の送りつめに噛み合うように構成されている。一方、クリック部材42の後端は一種の早戻り機構として弾性ばね43を介して支持ア−ム30の側面に取付けられ、溶接ガン10に溶接するハンドル50を押し下げると図4に示すようにつめ車411が反時針方向に回転して連続テ−プ15を巻取り、ハンドル50を押し上げるとつめ車41のつめは噛合することなくすべって送られた連続テ−プ15の新しい面で溶接できる。
このため、上部電極10の溶接ガンを枢支点31を中心として上向き(反時針方向)持ち上げて回転させ、溶接ガン10先端の溶接チップ11は下降して被溶接材Wの表面に接触し溶接に入る。このときには、つめ車41のつめはのこ歯状であり、溶接チップ11の下降のときは(反時針方向の回転のとき)クリック421とつめ車41のつめとは噛み合うことがない。1つのスポット溶接終了後溶接ガン10を時針方向に回転させると、それに伴ってクリック部材42は弾性ばね43により元の状態に早戻りし、このときにつめ411(のこ歯)にクリック421に噛み合って単位ピッチづつ送り、導電性の連続テ−プ15を順次に単位ピッチづつ巻き取って次の溶接は全く新しい条件で溶接できる。
なお、巻戻しリ−ル151と巻取リ−ル152とは一体化し、溶接ガン10に着脱自在に取付けるのが好ましい。すなわち、図2に示すとおり、巻取リ−ル152と巻戻しリ−ル151は連結板153を介して一体化し、この連結板153を締付けねじ154を介し溶接ガン10に取付け、必要な場合には溶接ガン10に締付けねじ154で取付け、圧延鋼板のような被溶接材のときには取外して溶接できるように構成する。
要するに、つめ車41はクリック部材42によって例えば反時針方向に送られ、単位ピッチづつ導電性の連続テ−プ15を巻取り、しかも、溶接ガン10のてこ運動に関連させてこの導電性の連続テ−プ15の送りを達成できる。
以上のとおり、本発明に係るスポット溶接機はスポット溶接機において上部の電極を棒状の溶接ガンに導電性テ−プを介在させて成るものであって、常に溶接は新しい接触面をもつ電極で溶接でき、品質的にすぐれる溶接部、スポットが得られるほか、このような溶接機は必ずしもテ−ブル式以外のものであっても、溶接チップを上げ下げする機構を有する装置であればいずれのものにも適用できる。さらに、上記のところではテ−ブル状電極によって下部電極を構成する例を中心に示したが、下部電極を棒状電極として構成するスポット溶接機にも適用できる。
10 溶接ガン
11 溶接チップ
15 連続テ−プ
20 テ−ブル状電極
30 支持ア−ム
42 クリック部材
43 弾性ばね
100 スポット溶接機
151 巻戻しリ−ル
152 巻取リ−ル
11 溶接チップ
15 連続テ−プ
20 テ−ブル状電極
30 支持ア−ム
42 クリック部材
43 弾性ばね
100 スポット溶接機
151 巻戻しリ−ル
152 巻取リ−ル
Claims (6)
- 先端に溶接チップを設けた溶接ガンと、この溶接ガンを支持ア−ムの下端で回転自在に支持し前記溶接ガンをてことして前記溶接チップにより溶接すべき被溶接材を加圧力をかけて通電するてこ機構とを具えるスポット溶接機において、
この前記溶接チップと前記被溶接材との間に介在する連続テ−プと、この連続テ−プを巻取る巻取リ−ルとを設け、この巻取リ−ルにつめ車を連結する一方、このつめ車のつめを少なくとも1つづつ送るクリック部材を設け、このクリック部材をばね部材を介して前記支持ア−ムに取付けて成ることを特徴とするスポット溶接機。 - 前記溶接チップに対応する下部電極を板状のテ−ブル状電極にすることを特徴とする請求項1記載のスポット溶接機。
- 前記溶接チップに対応する下部電極を棒状のテ−ブル状電極にすることを特徴とする請求項1記載のスポット溶接機。
- 前記溶接ガンに前記巻取リ−ルを設けるとともに、前記溶接ガンをはさんで前記巻取リ−ルに対応して前記連続テ−プを巻戻す巻戻しリ−ルを設けることを特徴とする請求項1、2又は3記載のスポット溶接機。
- 前記つめ車に設けたつめをのこ歯状に構成する一方、このつめに噛み合うクリックを前記クリック部材の先端に設けて成ることを特徴とする請求項1、2又は3記載のスポット溶接機。
- 前記巻取リ−ルと前記巻戻しリ−ルとを連結板を介して一体に構成し、この連結板を前記溶接ガンに着脱自在に取付けて成ることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のスポット溶接機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005288055A JP2007098410A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | スポット溶接機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005288055A JP2007098410A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | スポット溶接機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007098410A true JP2007098410A (ja) | 2007-04-19 |
Family
ID=38025863
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005288055A Pending JP2007098410A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | スポット溶接機 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2007098410A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6284599B1 (ja) * | 2016-09-14 | 2018-02-28 | 本田技研工業株式会社 | 電極チップ取付装置 |
-
2005
- 2005-09-30 JP JP2005288055A patent/JP2007098410A/ja active Pending
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