JP2007091703A - プロテアーゼ阻害剤及びバイオフィルムの形成阻害剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、クランベリー抽出物を有効成分とする、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)又はトレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)が産生するプロテアーゼの阻害剤である。プロテアーゼとは、例えばジンジパイン又はデンティリジンである。また、本発明はクランベリー抽出物を有効成分とする、ポルフィロモナス・ジンジバリスが関与するバイオフィルムの形成阻害剤である。
Description
1.クランベリー抽出物を有効成分とする、ポルフィロモナス・ジンジバリス又はトレポネーマ・デンティコラが産生するプロテアーゼの阻害剤。
2.クランベリー抽出物を有効成分とする、ポルフィロモナス・ジンジバリスが産生するジンジパイン(Gingipain)又はトレポネーマ・デンティコラが産生するデンティリジン(Dentilisin)の阻害剤。
3.クランベリー抽出物を有効成分とする、ポルフィロモナス・ジンジバリスが関与するバイオフィルムの形成阻害剤。
本発明は、クランベリー抽出物を有効成分とする、ポルフィロモナス・ジンジバリス又はトレポネーマ・デンティコラが産生するプロテアーゼの阻害剤である。プロテアーゼとは、例えばシステインプロテアーゼやセリンプロテアーゼであり、具体的にはシステインプロテアーゼであるポルフィロモナス・ジンジバリスが産生するジンジパインであり、より具体的にはアルギニンジンジパイン、リジンジンジパインを意味し、又はトレポネーマ・デンティコラが産生するセリンプロテアーゼであるデンティリジンである。
(1)クランベリー濃縮果汁をアンバーライトXAD7HP等を用いたカラムクロマトグラフィーに供する。
(2)水でカラムを洗浄する。
(3)吸着画分を70%エタノール水溶液によりカラムから溶出する。
(4)70%エタノール水溶液による溶出画分を、セファデックスLH20を用いたカラムクロマトグラフィーに供し、イオン交換水、50%エタノール水溶液、エタノール、エタノールとメタノールの1:1混合溶液、メタノール、80%アセトン水溶液の順に溶出した画分のうち、エタノール、エタノールとメタノールの1:1混合溶液、メタノール、若しくは80%アセトン水溶液等の各種溶媒で溶出する。
2.バイオフィルム形成阻害剤
また本発明は、クランベリー抽出物を有効成分とする、ポルフィロモナス・ジンジバリスが関与するバイオフィルムの形成阻害剤である。クランベリー抽出物の詳細については、上記1.と同様である。
歯周病原因菌のバイオフィルムの形成を阻害することにより歯周病が抑制されるので、本発明のバイオフィルム形成阻害剤は、歯周病の予防又は治療剤として有用である。
本発明のプロテアーゼ阻害剤又はバイオフィルム形成阻害剤は、飲食品、医薬品、動物用飼料等に添加して使用することができる。飲食品、医薬品、動物用飼料等の種類、形態、及びその他の含有成分等に特に制約はなく、当業者に公知の任意の各種方法で容易に調製することができる。
本発明のクランベリー抽出物として、以下9種の画分を調製した。
新鮮な生のクランベリー果実を、搾汁機にて搾汁した後、減圧下に濃縮し、濃縮果汁を得た。この濃縮果汁の固形分は32.6%、固形分中の総ポリフェノール含量3.1%、総プロアントシアニジン含量1.5%、総アントシアニン含量0.4%であった。
上記(1)の「濃縮果汁」40gを、アンバーライトXAD7HP(50ml)を用いたカラムクロマトグラフィーに供し。非吸着及びイオン交換水100mlで溶出した画分を、減圧下濃縮した後、凍結乾燥し、「水溶出画分」10.0gの粉末を得た。該粉末中の総ポリフェノール含量は0.1%、総プロアントシアニジン含量0.0%、総アントシアニン含量0.0%であった。
上記(2)の「水溶出画分」を溶出した後のカラムから、70%エタノール水溶液100mlで溶出した画分を減圧下濃縮した後、凍結乾燥し、「70%エタノール溶出画分」0.5gの粉末を得た。該粉末中の総ポリフェノール含量は59.0%、総プロアントシアニジン含量33.1%、総アントシアニン含量7.3%であった。
上記の(3)の「70%エタノール溶出画分」2gをセファデックスLH20(300ml)を用いたカラムクロマトグラフィーに供し、イオン交換水、50%エタノール水溶液、エタノール、エタノールとメタノールの1:1混合溶液、メタノール、80%アセトン水溶液の6種類の溶液(各800ml)で、順に溶出した画分を、それぞれLH20分画物1から6とした。それぞれの画分を減圧下濃縮した後、凍結乾燥し、それぞれ0.51g、0.46g、0.12g、0.15g、0.32g、0.22gの粉末を得た。
上記1.で調製したクランベリー抽出物について、ポルフィロモナス・ジンジバリスが産生するアルギニンジンジパイン、リジンジンジパイン及びトレポネーマ・デンティコラが産生するデンティリジンに対する阻害活性を確認した。
ポルフィロモナス・ジンジバリス(ATCC33277株、FDC381株)をイーストエクストラクト、ヘミン及びメナジオンを添加したブレインハートインフュージョン培地で2日間培養した。得られた上清に飽和硫酸アンモニウム(70%)を加え、その沈査を採取した。ブリジ35を含む10mMトリス緩衝液(pH8.0)に再懸濁して透析したものを、ジンジパインを含む粗酵素液とした。
基質溶液として、0.2mMのベンゾイル−アルギニン−p−ニトロアニリド(アルギニンジンジパイン活性測定用として)又はトシル−グリシン−プロリン−リジン−p−ニトロアニリド(リジンジンジパイン活性測定用として)を、1mMのDTTを含む0.1Mトリス塩酸緩衝液に溶解させたものを用いた。
この基質溶液80μlに上記の粗酵素液10μl、及びクランベリー抽出物溶液10μlを加え、37℃、10分間反応させ、405nmの波長の吸光度を測定した。クランベリー抽出物溶液の代わりに緩衝液を用いたものの酵素活性を100%として、酵素活性の阻害を%で示した(図1及び図2)。
図1及び図2に示す通り、クランベリー抽出物のうち、濃縮果汁、及び70%エタノール溶出画分には、ジンジパインに対する強い阻害活性があることが示された。さらにLH20−3、4、5、6画分により強い阻害活性があることが示された。
トレポネーマ・デンティコラ(405株)をTYGVS培地で3日間培養した。培養液をPBSで洗浄後、OD660を1.0に調整した物を、デンティリジンを含む粗酵素液とした。
基質溶液として、スクシニル−L−アラニル−L−プロピル−L−フェニルアラニド−p−ニトロアニリドを、5mMのDTTを含む0.1Mトリス塩酸緩衝液に溶解させたものを用いた。
この基質溶液80μlに上記の粗酵素液10μl、及びクランベリー抽出物溶液10μlを加え、37℃、15分間反応させ、405nmの波長の吸光度を測定した。クランベリー抽出物溶液の代わりに緩衝液を用いたものの酵素活性を100%として、酵素活性の阻害を%で示した(図3)。
図3に示す通り、クランベリー抽出物のうち、特に70%エタノール溶出画分、LH20−5、6画分にデンティリジンに対する強い阻害活性があることが示された。
100μlのクランベリー抽出物溶液(50%DMSO)を添加したトリプティックソイ培地(イーストエクストラクト、グルコース、システイン塩酸塩、ヘミン、メナジオンを含む)に、一晩培養した2種類の菌体〔ポルフィロモナス・ジンジバリス(ATCC33277株)とフソバクテリウム・ヌクレアタム(ATCC25586株)〕の培養液各10μlを加え、嫌気条件下、37℃で、24時間培養した。培地と非付着細胞を除いた後に、0.1%クリスタルバイオレット染色をし、洗浄後、エタノール抽出された色素の吸光度(595nm)を測定した。クランベリー抽出物溶液のかわりに50%DMSOを加えたものをコントロールとして比較した(図4)。
クランベリー抽出物のうち、濃縮果汁、及び70%エタノール溶出画分には、バイオフィルム形成に対する強い阻害活性があることが示された。
Claims (3)
- クランベリー抽出物を有効成分とする、Porphyromonas gingivalis又はTreponema denticolaが産生するプロテアーゼの阻害剤。
- クランベリー抽出物を有効成分とする、Porphyromonas gingivalisが産生するジンジパイン又はTreponema denticolaが産生するデンティリジンの阻害剤。
- クランベリー抽出物を有効成分とする、Porphyromonas gingivalisが関与するバイオフィルムの形成阻害剤。
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Citations (3)
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WO2000016732A2 (en) * | 1998-09-24 | 2000-03-30 | Ramot-University Authority For Applied Research And Industrial Development Ltd. | ANTI-MICROBIAL-ADHESION FRACTION DERIVED FROM $i(VACCINIUM) |
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