JP2007091594A - Bankの機能解析 - Google Patents

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知博 黒崎
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Abstract

【課題】液性免疫応答の増強剤、およびその開発に必要な手段の提供。
【解決手段】BANKの発現を抑制し得る物質を含む、液性免疫応答の増強剤;被験物質がBANKの発現を抑制し得るか否かを評価し、BANKの発現を抑制し得る被験物質を、液性免疫応答を正に調節し得る物質として選択することを含む、液性免疫応答を正に調節し得る物質のスクリーニング方法;増強された液性免疫応答能を有する、BANK欠損非ヒト動物;ならびに増強された液性免疫応答能を有する、BANK欠損細胞など。
【選択図】なし

Description

本発明は、液性免疫応答の増強剤、液性免疫応答を正に調節し得る物質のスクリーニング方法、BANK遺伝子欠損動物および細胞などを提供する。
T依存性抗原に対する液性免疫応答は、種々のシグナル伝達分子により調節される複数の段階のB細胞活性化および分化を伴う。B細胞抗原レセプター(BCR)を介して抗原で刺激されたB細胞は、活性化T細胞と相互作用し、それにより、可溶性サイトカインおよびCD40リガンド(CD40L)等の膜結合型リガンドにより媒介される種々のT細胞由来刺激を受容する。これらのT細胞由来刺激は、BCRシグナル伝達と一緒になって、B細胞の活性化および増殖、ならびに抗体形成細胞(antibody forming cell:AFC)または胚中心(germinal center:GC)B細胞への分化を誘導する。
B細胞上のCD40と活性化T細胞上のCD40Lとの相互作用は、液性免疫応答の調節に重要な役割を果たす。CD40シグナル伝達は、B細胞の生存、増殖、分化およびイムノグロブリン(Ig)のアイソタイプスイッチングを促進する。CD40またはCD40Lのいずれかを欠損するマウスは、T依存性抗原に対する一次および二次免疫応答を呈せず、GCを形成せず、また、メモリーB細胞を産生しない。B細胞におけるCD40の複数の機能は、CD40刺激により引き起こされる複数のシグナル伝達経路により媒介されると考えられている。B細胞におけるCD40刺激は、Erk、Jnk等のマイトゲン(mitogen)活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、NFκBおよびホスファチジルイノシトール(PI)−3−キナーゼを活性化し、Aktの活性化をもたらす。CD40を介する幾つかのシグナル伝達経路の調節が専ら研究されているが、CD40媒介Akt活性化等の幾つかのシグナル伝達経路に関与する調節機構および分子は、多くは未知である。さらに、各シグナル伝達事象が、B細胞の生存、増殖および分化を始めとするCD40媒介生物学的結果へとつながる様式が明らかにされるべきであるものの、その詳細は依然として不明である。
固有の酵素活性を欠くアダプターまたはスキャフォールドタンパク質が、複数のシグナル伝達経路に固有である、または該経路を多様化するエフェクター酵素のリクルートによる種々のシグナル伝達事象およびそれらの生物学的結果を調節している。このようなアダプタータンパク質の一つとして、最近同定されたBANK(B cell scaffold protein with ankyrin repeats)が挙げられる。
BANKと免疫機能との関連性については以下の報告がある。
非特許文献1には、BANKがBCR誘導カルシウム動員を調節し得る新規スキャフォールドタンパク質であること、ならびにBANK媒介カルシウム動員がBCR刺激に特異的であり得ることが記載されている。
Yokoyama et al., The EMBO Journal, Vol.21 Nos 1 & 2 pp.83-92 (2002)
遺伝子の機能解析は、種々の疾患に対する新たな作用機序を有する医薬の開発などにつながる。本発明は、BANKの機能解析により得られた知見に基づき、種々の疾患に対し新たな作用機序を有する医薬を提供すること、ならびに医薬の開発などに有用な手段を提供することなどを目的とする。
本発明者らは、BANKの免疫機能における役割を解明するため、BANK遺伝子ノックアウトマウスを作製、解析した。その結果、従来の知見によればBANK遺伝子欠損動物は対照動物に比し抗原に対する液性免疫応答が低下すると考えられたが、予想外なことに、作製したBANK遺伝子欠損動物は、対照動物に比し、T依存性抗原に対する液性免疫応答が向上することを見出した。本発明者らはまた、予想に反して、BANKがBCR媒介経路よりもむしろCD40媒介Akt1活性化経路を調節し得る因子であることを見出した。以上より、本発明者らは、BANKが、CD40媒介Akt1活性化経路の調節を介して液性免疫応答を負に調節し得る因子であることを見出し、以って本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の通りであり得る:
〔1〕BANKの発現を抑制し得る物質を含む、液性免疫応答の増強剤。
〔2〕以下の工程(a)、(b)を含む、液性免疫応答を正に調節し得る物質のスクリーニング方法:
(a)被験物質がBANKの発現を抑制するか否かを評価する工程;
(b)BANKの発現を抑制する被験物質を、液性免疫応答を正に調節し得る物質として選択する工程。
〔3〕CD40媒介シグナル伝達経路の刺激下で行われる、上記〔2〕の方法。
〔4〕増強された液性免疫応答能を有する、BANK欠損非ヒト動物。
〔5〕増強された液性免疫応答能を有する、BANK欠損細胞。
本発明の剤は、液性免疫応答の増強に有用である。本発明のスクリーニング方法は、液性免疫の増強剤の開発に有用である。本発明の動物および細胞は、液性免疫応答能が増強したモデル動物として、あるいは本発明のスクリーニング方法に有用である。
本発明は、BANKの発現を抑制し得る物質を含む、液性免疫応答の増強剤を提供する。
BANK(B cell scaffold protein with ankyrin repeats)は、ヒトBANK(例、GenBankアクセッション番号:NM_017935参照)またはそのオルソログ、あるいはそれらの変異体(SNP、ハプロタイプを含む)であり得る。BANKのオルソログは特に限定されず、例えば非ヒト哺乳動物(例、ウサギ、ラット、ハムスター、モルモット、マウス等のげっ歯類、サル等の霊長類)等の動物に由来するものであり得る。
BANKの発現を抑制し得る物質としては特に限定されないが、例えば、BANKに対するターゲティングベクター(後述)、アンチセンス核酸、リボザイム、RNAi誘導核酸(例、siRNA)、それらの発現ベクターが挙げられる。これらの物質は自体公知の方法により作製できる。
上記の物質を発現ベクターの形態で用いる場合、そのような発現ベクターは、上記の物質が、投与対象である哺乳動物の細胞内でプロモーター活性を発揮し得るプロモーターに機能的に連結されていなければならない。使用されるプロモーターは、投与対象である哺乳動物で機能し得るものであれば特に制限されず、例えば、SV40由来初期プロモーター、サイトメガロウイルスLTR、ラウス肉腫ウイルスLTR、MoMuLV由来LTR、アデノウイルス由来初期プロモーター等のウイルスプロモーター、ならびにβ−アクチン遺伝子プロモーター、PGK遺伝子プロモーター、トランスフェリン遺伝子プロモーター等の哺乳動物の構成蛋白質遺伝子プロモーターなどが挙げられる。また、B細胞特異的プロモーターを用いてもよい。B細胞特異的プロモーターとしては、例えば、CD19プロモーター、免疫グロブリン軽鎖プロモーターが挙げられる。
発現ベクターは、好ましくは核酸分子をコードするオリゴ(ポリ)ヌクレオチドの下流に転写終結シグナル、すなわちターミネーター領域を含む。さらに、形質転換細胞選択のための選択マーカー遺伝子(テトラサイクリン、アンピシリン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ホスフィノスリシン等の薬剤に対する抵抗性を付与する遺伝子、栄養要求性変異を相補する遺伝子等)をさらに含むこともできる。
発現ベクターとして使用される基本骨格のベクター、プラスミドまたはウイルスベクターであり得るが、ヒト等の哺乳動物への投与に好適なベクターとしては、アデノウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、センダイウイルス、レンチウイルス、エプスタイン・バー・ウイルス等のウイルスベクターが挙げられる。なかでも、B細胞特異的な遺伝子導入という観点から、B細胞特異的に感染し得るエプスタイン・バー・ウイルスが好ましい。
本発明の剤は、任意の担体、例えば医薬上許容され得る担体を含むことができる。医薬上許容され得る担体としては、例えば、ショ糖、デンプン、マンニット、ソルビット、乳糖、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ショ糖、デンプン等の結合剤、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ナトリウム−グリコール−スターチ、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、エアロジル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑剤、クエン酸、メントール、グリシルリシン・アンモニウム塩、グリシン、オレンジ粉等の芳香剤、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等の安定剤、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁剤、界面活性剤等の分散剤、水、生理食塩水、オレンジジュース等の希釈剤、カカオ脂、ポリエチレングリコール、白灯油等のベースワックスなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
経口投与に好適な製剤は、水、生理食塩水のような希釈液に有効量の物質を溶解させた液剤、有効量の物質を固体や顆粒として含んでいるカプセル剤、サッシェ剤または錠剤、適当な分散媒中に有効量の物質を懸濁させた懸濁液剤、有効量の物質を溶解させた溶液を適当な分散媒中に分散させ乳化させた乳剤、あるいは散剤、顆粒剤等である。
非経口的な投与(例、静脈内注射、皮下注射、筋肉注射、局所注入など)に好適な製剤としては、水性および非水性の等張な無菌の注射液剤があり、これには抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。また、水性および非水性の無菌の懸濁液剤が挙げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤等が含まれていてもよい。当該製剤は、アンプルやバイアルのように単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器に封入することができる。また、有効成分および医薬上許容され得る担体を凍結乾燥し、使用直前に適当な無菌のビヒクルに溶解または懸濁すればよい状態で保存することもできる。
本発明の剤の投与量は、有効成分の活性や種類、投与様式(例、経口、非経口)、病気の重篤度、投与対象となる動物種、投与対象の薬物受容性、体重、年齢等によって異なり一概に云えないが、通常、成人1日あたり約0.001mg〜約5.0g/kgである。
本発明の剤は、液性免疫応答を正に調節し得る。従って、本発明の剤は、例えば、医薬として有用である。本発明の剤が医薬として使用される場合、液性免疫応答の増強が所望される疾患の治療に使用することができる。例えば、本発明の剤は、T依存性抗原に対する応答としてGC形成および抗原特異的IgM産生を増強し得る。本発明の剤はまた、B細胞の生存および増殖を増強し得る。本発明において、BANKの発現を抑制し得る物質の適用が有効であり得る免疫疾患としては、例えば、X連鎖高IgM症候群が挙げられる。
本発明はまた、液性免疫応答を正に調節し得る物質のスクリーニング方法、ならびに当該スクリーニング方法により得られる物質、および当該物質を含む液性免疫応答の増強剤を提供する。本発明のスクリーニング方法は、例えば、以下の工程(a)、(b)を含み得る:
(a)被験物質がBANKの発現を抑制するか否かを評価する工程;
(b)BANKの発現を抑制する被験物質を、液性免疫応答を正に調節し得る物質として選択する工程。
本発明のスクリーニング方法の工程(a)では、スクリーニング方法に供される被験物質は、任意の公知化合物および新規化合物であり得、例えば、有機低分子化合物、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて作製された化合物ライブラリー、核酸(例、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド)、糖質(例、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖)、脂質(例、飽和または不飽和の直鎖、分岐鎖および/または環を含む脂肪酸)、アミノ酸、蛋白質(例、オリゴペプチド、ポリペプチド)、固相合成やファージディスプレイ法により作製されたランダムペプチドライブラリー、あるいは微生物、動植物、海洋生物等由来の天然成分等が挙げられる。
工程(a)は、被験物質によるBANKの発現の抑制を評価可能である限り如何なる様式でも行われ得るが、例えば、上述した非ヒト動物、あるいはBANKの発現を測定可能な細胞を用いて行われ得る。好ましくは、工程(a)は、T依存性抗原に起因するCD40媒介シグナル伝達経路の刺激下で行われ得る。T依存性抗原とは、B細胞による抗体産生にT細胞の存在、活性化が必要とされる抗原をいい、例えば、可溶性タンパク質抗原、異種及び同種移植の際の細胞膜上の抗原が挙げられる。
例えば、工程(a)が動物を用いて行われる場合、動物は、BANKの発現に基づいて液性免疫応答を正に調節し得る物質のスクリーニングを可能とするものである限り特に限定されず、例えば、上述した非ヒト哺乳動物などが挙げられる。また、工程(a)で用いられる動物は、液性免疫応答能の低下した動物であってもよい。
工程(a)で動物が用いられる場合、工程(a)は、例えば、以下の工程(a1)、(a2)を含み得る:
(a1)被験物質を試験動物に投与する工程;
(a2)被験物質を投与した試験動物におけるBANKの発現量を測定し、該発現量を被験物質を投与しない対照動物におけるBANKの発現量と比較する工程。
なお、試験動物、対照動物は、好ましくは、T依存性抗原の刺激下で用いられる。T依存性抗原による刺激は、自体公知の方法により行うことができる。
上記工程(a1)では、被験物質の動物への投与は自体公知の方法により行なわれ得る。例えば、投与方法としては、経口投与、非経口投与(例、静脈注射、皮下注射、腹腔内注射、局所注入)が挙げられる。投与量、投与間隔、投与期間等は、用いる被験物質や動物の種類等に応じて適宜設定され得る。
上記工程(a2)では、先ず、被験物質を投与した動物におけるBANKの発現量が測定される。発現量の測定は、例えば、動物からB細胞画分を含む血液試料を採取し、そのB細胞におけるBANK転写産物または翻訳産物量を測定することにより行われ得る。例えば、転写産物の発現量は、RT−PCR、ノザンブロッティング等により、また、翻訳産物の発現量は、免疫学的手法により測定され得る。
次いで、被験物質を投与した動物におけるBANKの発現量が、被験物質を投与しない対照動物におけるBANKの発現量と比較される。発現量の比較は、好ましくは、有意差の有無に基づいて行なわれる。被験物質を投与しない対照動物におけるBANKの発現量は、被験物質を投与した動物におけるBANKの発現量の測定に対し、事前に測定した発現量であっても、同時に測定した発現量であってもよいが、実験の精度、再現性の観点から同時に測定した発現量であることが好ましい。
また、工程(a)は、BANKの発現を測定可能な細胞を用いて行われ得る。BANKの発現を測定可能な細胞とは、BANKの産物(例、転写産物、翻訳産物)の発現レベルを直接的または間接的に評価可能な細胞をいう。BANKの産物の発現レベルを直接的に評価可能な細胞は、B細胞(例、初代培養細胞、細胞株)であり得、一方、BANKの産物の発現レベルを間接的に評価可能な細胞は、BANK遺伝子の転写調節領域についてレポーターアッセイを可能とする細胞であり得る。BANKの発現を測定可能な細胞は、例えばヒトおよび上述した非ヒト哺乳動物由来の細胞であり得る。
BANK遺伝子の転写調節領域についてレポーターアッセイを可能とする細胞は、BANK遺伝子の転写調節領域、当該領域に機能可能に連結されたレポーター遺伝子を含む細胞である。BANK遺伝子の転写調節領域、レポーター遺伝子は、発現ベクター中に挿入され得る。BANK遺伝子の転写調節領域は、BANKの発現を制御し得る領域である限り特に限定されないが、例えば、各BANK遺伝子から上流約2kbまでの転写調節領域、あるいは該領域の塩基配列において1以上の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列からなり、且つこれらのBANKの転写を制御する能力を有する領域などが挙げられる。レポーター遺伝子は、検出可能な蛋白質または検出可能な物質を生成する酵素をコードする遺伝子であればよく、例えばGFP(緑色蛍光蛋白質)遺伝子、GUS(β−グルクロニダーゼ)遺伝子、LUC(ルシフェラーゼ)遺伝子、CAT(クロラムフェニコルアセチルトランスフェラーゼ)遺伝子等が挙げられる。なお、BANK遺伝子の転写調節領域、当該領域に機能可能に連結されたレポーター遺伝子が導入される細胞は、BANK遺伝子の転写調節機能を評価できる限り、即ち、該レポーター遺伝子の発現量が定量的に解析可能である限り特に限定されない。しかしながら、BANKに対する生理的な転写調節因子を発現し、BANKの発現調節の評価により適切であると考えられることから、該導入される細胞としては、B細胞が好ましい。
工程(a)で細胞が用いられる場合、工程(a)は、例えば、以下の工程(a1’)、(a2’)を含み得る:
(a1’)被験物質を、BANKの発現を測定可能な細胞に接触させる工程;
(a2’)被験物質を接触させた細胞におけるBANKの発現量を測定し、該発現量を被験物質を接触させない対照細胞におけるBANKの発現量と比較する工程。
なお、BANKの発現を測定可能な細胞、対照細胞は、好ましくは、T依存性抗原の刺激下で用いられる。T依存性抗原による刺激は、自体公知の方法により行うことができる。
上記工程(a1’)では、被験物質の細胞への接触は自体公知の方法により培地中で行なわれ得る。被験物質とBANKの発現を測定可能な細胞とが接触される培地は、用いられる細胞の種類などに応じて適宜選択されるが、例えば、約5〜20%のウシ胎仔血清を含む最少必須培地(MEM)、ダルベッコ改変最少必須培地(DMEM)、RPMI1640培地、199培地などである。培養条件もまた、用いられる細胞の種類などに応じて適宜決定されるが、例えば、培地のpHは約6〜約8であり、培養温度は通常約30〜約40℃であり、培養時間は約12〜約72時間である。
上記工程(a1’)では、先ず、被験物質を接触させた細胞におけるBANKの発現量が測定される。発現量の測定は、用いた細胞の種類などを考慮し、自体公知の方法により行われ得る。例えば、BANKの発現を測定可能な細胞として、B細胞を用いた場合、発現量は、上述の工程(a2)と同様の方法により測定され得る。一方、BANKの発現を測定可能な細胞として、BANK転写調節領域についてレポーターアッセイを可能とする細胞を用いた場合、発現量は、レポーターのシグナル強度に基づき測定され得る。
次いで、被験物質を接触させた細胞におけるBANKの発現量が、被験物質を接触させない対照細胞におけるBANKの発現量と比較される。発現量の比較は、好ましくは、有意差の有無に基づいて行なわれる。被験物質を接触させない対照細胞におけるBANKの発現量は、被験物質を接触させた細胞におけるBANKの発現量の測定に対し、事前に測定した発現量であっても、同時に測定した発現量であってもよいが、実験の精度、再現性の観点から同時に測定した発現量であることが好ましい。
本発明のスクリーニング方法の工程(b)では、BANKの発現量を減少させる(発現を抑制する)被験物質が、液性免疫応答を正に調節し得る物質として選択され得る。このように選択された被験物質は、例えば、液性免疫応答の増強が所望される疾患の治療に有効であり得る。
本発明はさらに、増強された液性免疫応答能を有するBANK欠損非ヒト動物を提供する。本発明の動物は、例えば下記の工程(a)〜(d)を含む方法により製造できる:
(a)BANK遺伝子の機能的欠損を含む胚性幹細胞を提供する工程;
(b)該胚性幹細胞を胚に導入し、キメラ胚を得る工程;
(c)該キメラ胚を動物に移植し、キメラ動物を得る工程;
(d)該キメラ動物を交配させ、BANK遺伝子欠損動物を得る工程。
上記方法の工程(a)では、BANK遺伝子の機能的欠損を含む胚性幹細胞(ES細胞)は、例えば、後述の方法にて作製されたものを使用できる。
上記方法の工程(b)では、胚が由来する動物種は、本発明の動物種と同様であり得、また、導入される胚性幹細胞が由来する動物種と同一であることが好ましい。胚としては、例えば胚盤胞、8細胞期胚などが挙げられる。胚はホルモン剤(例えばFSH様作用を有するPMSGおよびLH作用を有するhCGを使用)等により過排卵処理を施した雌動物を、雄動物と交配させること等により得ることができる。胚性幹細胞を胚に導入する方法としては、マイクロマニピュレーション法、凝集法などが挙げられる。
上記方法の工程(c)では、キメラ胚が動物の子宮に移入され得る。キメラ胚が移植される動物は好ましくは偽妊娠動物である。偽妊娠動物は、正常性周期の雌動物を、精管結紮等により去勢した雄動物と交配することにより得ることができる。キメラ胚が導入された動物は、妊娠し、キメラ動物を出産する。
次いで、出生した動物がキメラ動物か否かが確認される。出生した動物がキメラ動物であるか否かは自体公知の方法により確認でき、例えば、体色や被毛色で判別できる。また、判別のために、体の一部からDNAを抽出し、サザンブロット解析やPCRアッセイを行ってもよい。
上記方法の工程(d)では、工程(c)で得られたキメラ動物を成熟した後に交配させる。交配は好ましくは、野生型動物とキメラ動物との間で、又はキメラ動物同士で行われ得る。BANK遺伝子欠損が、キメラ動物の生殖系列細胞へ導入され、BANK遺伝子欠損ヘテロ接合体子孫が得られたか否かは、自体公知の方法により種々の形質を指標として確認でき、例えば、子孫動物の体色や被毛色により判別できる。また、判別のために、体の一部からDNAを抽出し、サザンブロット解析やPCRアッセイを行ってもよい。さらに、このようにして得られたBANK遺伝子欠損ヘテロ接合体同士を交配させることにより、BANK遺伝子欠損ホモ接合体を作製できる。
一般的に、トランスジェニック動物の作製の過程では、胚性幹細胞に由来する遺伝子と、交配に用いた動物に由来する遺伝子とが交雑した遺伝子型を有する子孫動物が得られるため、結果としてBANK遺伝子が欠損することのみによる特有の効果を調べることが困難となってしまう場合がある。そこで、BANK遺伝子欠損特有の効果のみをより適切に抽出するために、得られたBANK遺伝子欠損動物(ヘテロ接合体またはホモ接合体)を純系の動物系統と、5世代〜8世代程度にわたり戻し交配することが好ましい。また、自然交配のみにより戻し交配を行うと長い年月がかかる場合があるので、世代交代を早めたい場合には体外受精技術を適宜用いることもできる。
本発明はまた、BANK遺伝子の機能的欠損を含む動物細胞を提供する。本発明の動物細胞は、ヒトを含む任意の動物に由来する細胞であり得るが、ヒトおよび上述した非ヒト哺乳動物に由来する細胞が好ましい。本発明の動物細胞はまた、任意の組織に由来する細胞であり得、例えば、BANK遺伝子が発現している体細胞(例えば、B細胞)、精原細胞、精子、卵子等の生殖系列細胞、並びに胚性幹細胞などが挙げられる。また、本発明の動物細胞は、初代培養細胞、細胞株のいずれであってもよい。
本発明の動物細胞がB細胞である場合、本発明の動物由来のB細胞と同様の種々の形質を示し得る。例えば、本発明のB細胞は、野生型動物由来のB細胞に比し、T依存性抗原に対する液性免疫応答能(例、B細胞の生存および増殖、IgM産生)が増強し得る。
一実施形態では、本発明の動物細胞は、ゲノムDNAの改変を伴う細胞であり得る。
このような本発明の動物細胞は、自体公知の方法により製造できる。例えば、本発明の動物細胞は、下記の工程(a)〜(b)を含む方法により製造できる。
(a)BANK遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティングベクターを動物細胞に導入する工程;
(b)該ターゲティングベクターを導入した細胞から、相同組換えを生じた細胞を選別する工程。
上記方法の工程(a)では、BANK遺伝子の相同組換えを誘導し得るターゲティングベクターが用いられ得る。このようなターゲティングベクターは、BANK遺伝子の相同組換えを誘導し得るBANK遺伝子に相同な第一のポリヌクレオチドおよび第二のポリヌクレオチド、ならびに必要に応じて選択マーカーを含む。第一および第二のポリヌクレオチドは、BANKを含むゲノムDNAに対して、相同組換えを生じるのに十分な程度の配列同一性および長さを有するポリヌクレオチドである。第一および第二のポリヌクレオチドは、BANK遺伝子を含むゲノムDNAにおいて、第一および第二のポリヌクレオチドに対して相同な2つの領域の間に存在するゲノムDNA部分領域が欠失すると、BANK遺伝子の機能的欠損がもたらされるように選択される。選択マーカーとしては、ポジティブ選択マーカー(例、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(BPH)遺伝子、ブラスティシジンSデアミナーゼ遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子)、ネガティブ選択マーカー(例、単純ヘルペスウイルス(HSV)のチミジンキナーゼ(tk)遺伝子、ジフテリア毒素Aフラグメント(DTA)遺伝子)などが挙げられる。ターゲティングベクターは、ポジティブ選択マーカー、ネガティブ選択マーカーのいずれか一方、または両方を含むことができる。ターゲティングベクターはまた、2以上のリコンビナーゼ標的配列(例、バクテリオファージP1由来のCre/loxPシステムで用いられるloxP配列、酵母由来のFLP/FRTシステムで用いられるFRT配列)を含んでいてもよい。
ターゲティングベクターを動物細胞に導入する方法としては、自体公知の方法が用いられ得る。このような方法としては、例えば、リン酸カルシウム法、リポフェクション法/リポソーム法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。ターゲティングベクターが動物細胞中に導入されると、当該動物細胞中でBANK遺伝子を含むゲノムDNAの相同組換えが生じる。
ターゲティングベクターが導入される動物細胞としては、自体公知の方法で作製したもの、あるいは市販のもの、または所定の機関より入手可能なものを使用できる。例えば、ターゲティングベクターが導入される動物細胞として胚性幹細胞を使用する場合、胚性幹細胞は、任意の動物の胚盤胞から分離した内部細胞塊をフィーダー細胞上で培養することにより樹立してもよいが、市販または所定の機関より既存の胚性幹細胞を入手できる。既存のマウス胚性幹細胞としては、例えば、ES−D3細胞、ES−E14TG2a細胞、SCC−PSA1細胞、TT2細胞、AB−1細胞、J1細胞、R1細胞、E14.1細胞、RW−4細胞などが挙げられる。また、胚性幹細胞としては、現時点で、マウス胚性幹細胞以外に、ヒト、ミンク、ハムスター、ブタ、ウシ、マーモセット、アカゲザル等の哺乳動物由来のものなどが樹立されているので、これらを用いることもできる。
上記方法の工程(b)では、BANK遺伝子を含むゲノムDNAで相同組換えが生じた動物細胞を選別するため、ターゲティングベクター導入後の動物細胞がスクリーニングされる。例えば、ポジティブ選別、ネガティブ選別等により選別を行った後に、遺伝子型に基づくスクリーニング(例えば、PCR法、サザンブロットハイブリダイゼーション法)を行う。
動物細胞が胚性幹細胞である場合には、好ましくは、組換え胚性幹細胞の核型分析がさらに行なわれる。核型分析では、選別された組換え胚性幹細胞において染色体異常がないことが確認される。核型分析は、自体公知の方法により行うことができる。なお、胚性幹細胞の核型は、ターゲティングベクターの導入前に予め確認しておくことが好ましい。
本発明の動物細胞はまた、本発明の動物から単離できる。本発明の動物はBANK遺伝子の機能的欠損を含むので、本発明の動物から単離された細胞もまた、BANK遺伝子の機能的欠損を含む。また、本発明の動物から単離された細胞を、遺伝子工学的手法等の方法により改変してもよい。細胞の単離および改変は、自体公知の方法により行うことができる(例えば、Current Protocols in Cell Biology, John Wiley & Sons, Inc.(2001);機能細胞の分離と培養,丸善書店 (1987) 参照)。
別の実施形態では、本発明の動物細胞は、ゲノムDNAの改変を伴わない細胞であり得る。かかる細胞は、例えば、後述するBANK遺伝子の発現または機能を抑制する物質(例えば、アンチセンス核酸、RNAi誘導性核酸)の細胞への導入により作製できる。BANK遺伝子の発現または機能を抑制する物質の細胞への導入は、自体公知の方法により行うことができ、例えば、BANK遺伝子の発現または機能を抑制する物質が核酸分子またはそれを含む発現ベクターである場合、リン酸カルシウム法、リポフェクション法/リポソーム法、エレクトロポレーション法などが用いられる。
本発明の動物および動物細胞は、例えば、T依存性抗原刺激による液性免疫応答が亢進したモデル動物およびモデル動物細胞として有用である。本発明の動物および動物細胞がモデルとして使用され得る液性免疫応答が亢進した疾患は、T依存性抗原刺激による液性免疫機能の亢進を伴う疾患であり得、例えば、抗原(例、可溶性タンパク質抗原)に対するアレルギーが挙げられる。
本発明の動物および動物細胞はまた、BANK遺伝子およびCD40媒介Akt1活性化シグナル伝達経路の解析、並びに液性免疫応答調節薬の開発などに有用である。例えば、本発明の動物における遺伝子発現を網羅的に解析することで、液性免疫応答調節に関与する他の遺伝子(例えば、BANK遺伝子の発現様式と連動する発現様式を示す遺伝子)の同定が可能となる。この場合、例えば、本発明の動物および動物細胞において、遺伝子発現の網羅的解析を可能にする手段(例えば、マイクロアレイ)により遺伝子発現プロフィールが測定され、野生型動物または他の免疫疾患モデル動物等のコントロール動物(同種又は異種動物)の遺伝子発現プロフィールと比較される。また、本発明の動物および動物細胞(必要に応じて被験物質が投与または接触され得る)の発現プロフィールを経時的に追跡し、液性免疫応答と発現プロフィールの変化との連動性を評価することもできる。
本明細書中で挙げられた特許および特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、本明細書での引用により、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例等に何ら制約されるものではない。
BANK欠損マウスの作出
pBleo BACIIベクター中の部分的BANKゲノムは、Genome systemsから購入した。ターゲティングベクターは、BANKエクソン2の部分を含む1.1 kbフラグメントがネオマイシン耐性遺伝子と交換されるように設計した。Sal I線状化BANKターゲティングベクターをES細胞にエレクトロポレーションした。G418およびガンシクロビルにより選択したES細胞を、ゲノミックサザンブロッティングにより、ターゲティングされたBANKローカスについてスクリーニングした。予期されたサイズのバンドを示すESクローンを選択し、胚盤胞に注入し、キメラマウスを作出した。
マウスおよび免疫
CD40欠損マウスは、Dr. Kikutaniらのグループより快く供与して頂いた。全てのマウスは、理化学研究所の免疫・アレルギー科学総合研究センターの動物施設にてSPF条件下で飼育、維持した。10-12週齢のマウスを全ての実験に用いた。マウスに、ミョウバン(alum)または30μgのTNP-フィコールで沈殿させた50μgのTNP-KLHを腹腔内注射した。二次免疫のために、マウスに、アジュバントを含まない10μgのTNP-KLHを腹腔内投与した。
抗体および他の試薬
ポリクローナル抗マウスBANK抗体は、マウスBANKをコードするアミノ酸配列 (アミノ酸500-599) を含む細菌発現GST融合タンパク質でウサギを免疫することにより得た。以下のモノクローナル抗体および試薬は、BD Bioscienceから購入した;ビオチン化した抗CD3、抗CD11c、抗CD11b、抗B220、抗IgM、抗Thy1.2、抗NK1.1、抗TER119および抗Gr1;FITC標識した抗CD23および抗B220;抗CD40;PE-、APC-、FITC-および磁気粒子-標識したストレプトアビジン。以下はCell Signaling Technology, Inc.より購入した;抗ホスホセリン473 Akt抗体;抗ホスホErk1および2抗体;抗ホスホIκBα抗体。ELISAに使用した全ての抗体は、Southern Biotechnology, Inc.から入手した。抗Erk2および抗NFκB抗体は、Santa Cruiz Biotechnologyから入手した。PE標識抗AA4.1はe-Bioscienceから購入した。ピーナッツアグルチニン (PNA) は、Vector Laboratores, Inc.から入手した。LPSおよびBAFFはSigmaおよびPeprotech EC.からそれぞれ入手した。ポリクローナルヤギ抗マウスIgMのF(ab’)2フラグメントは、Jackson ImmunoReserach Lab.より購入した。5- (および6-) カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル (CFSE) およびTO-PRO-3は、Molecular Probesより入手した。
免疫組織化学
脾臓を、-80℃にてOCT化合物 (Sakura) 中で凍結した。8μmの厚さの凍結切片を、クリオスタットを用いて調製した。切片を、室温にて10分間アセトンで固定し、次いで、TRITC標識PNAおよびFITC標識抗B220抗体で、室温にて1時間染色した。染色切片を、共焦点顕微鏡 (Leica SP2AOBS) により解析した。
レンチウイルスベクターの構築
マウスAkt1 cDNAをRT-PCR法により得た。QuickChangeTM (Stratagene) を用いてAkt1 cDNAに変異を導入して、K179、T308およびS473をアラニンに交換することにより、Akt1のドミナントネガティブ体を作製した。Akt1のドミナントネガティブ体をコードするcDNAをpLenti/V5-DEST (Invitrogen) に導入した。
ELISA
Igsのアイソタイプ特異的濃度の測定のため、先ず、96ウェルELISAプレート (Maxisorp; Nunc) を、各アイソタイプに特異的な10μg/mlのヤギ抗マウスIgsでコーティングした。ブロッキングは、1% BSAを補充したPBS中で行った。プレートを希釈血清とともにインキュベートし、次いで、HRP標識抗Igs抗体とともにインキュベートした。次いで、プレートをHRP基質である2,2-アジノ-ビス (3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸) とインキュベートし、415 nmのODを、マイクロプレートリーダー (Model 550; BioRad) により測定した。TNP特異的IgMおよびIgGの測定は、プレートを先ずTNP-BSA (10μg/ml) でコーティングしたことを除いては、アイソタイプ特異的Igsと同じプロトコールで行った。
細胞の精製および培養
脾B細胞の精製のため、脾細胞を、ビオチン化抗CD3、Thy1.2、NK1.1、CD11b、TER119のカクテルで標識し、続いて磁気粒子標識ストレプトアビジンで標識した。未標識細胞を、AutoMACSTM(Myltenyi Biotec) を用いて回収した。得られた細胞のうち95%を超える細胞が、B220+B細胞であった。CFSEでの細胞の標識のため、細胞を、5μM CFSEを含有するRPMI1640培地中において、37℃にて10分間インキュベートし、続いて10% FCSを含有するRPMI1640培地で洗浄した。全ての培養は、10% FCS、非必須アミノ酸 (100μM)、L−グルタミン (2 mM)、2-ME (50μM) および抗体を補充したRPMI1640培地を用いて行った。レンチウイルスの解析およびフローサイトメトリー解析は、上記の通り行った。
ウエスタンブロッティング解析
2×106細胞ライセート/レーンをウエスタンブロッティングに供した。核および細胞質からの抽出液の調製のために、NE-PER nuclear and cytoplasmic extraction reagent (Pierce) を、製造業者により提供されるプロトコルに従って使用した。
実施例1:B系列細胞におけるBANKの発現
以前の報告は、BANKがB系列細胞 (B lineage cell)、特に末梢B細胞に特異的に発現していることを示唆する(The EMBO Journal, Vol.21 Nos 1 & 2 pp.83-92 (2002))。末梢B細胞は、それらの発生ステージまたは末梢リンパ系器官における局在に基づき、幾つかのサブセットに分類できるので、本発明者らは先ず、BANKが末梢B細胞の殆どの亜集団に特異的に発現しているか否かを試験した。本目的のため、マウスBANKに対するポリクローナル抗体を惹起した。抗BANK抗体による脾細胞の細胞質内染色、続いてフローサイトメトリーでの解析により、BANKが、B細胞に特異的に発現し、CD3+T細胞、CD11b+マクロファージおよびCD11c+樹状細胞には発現していないことが明らかとなった(図1A)。末梢未熟 (AA4.1+)、成熟 (AA4.1-) および辺縁帯 (marginal zone) (CD23loCD21+) B細胞は、ほぼ等量のBANKを発現した。抗体の特異性は、BANK欠損マウス由来B細胞が全く染色されないことで確認した。これらは、末梢中の殆どの亜集団B細胞で特異的に発現しているが、B系列細胞以外の細胞では発現していないことを示す。
実施例2:BANK欠損マウスの作出
インビボにおけるBANKの生理学的役割を試験するため、本発明者らは、ES細胞においてエクソン2をネオマイシン耐性遺伝子 (neo) に交換することによりBANK遺伝子をターゲティングし、BANK-/-マウスを作出した(図1B)。BANKタンパク質の欠如は、BANK-/-マウス由来のB細胞抽出物に対するウエスタンブロッティングにより確認した(図1C)。本発明者らは、BANK-/-B細胞の抽出物中にさらなるバンドを見出せなかった。このことは、異常な形態のBANKがこれらのマウスで発現していないことを示す。種々のリンパ系器官のフローサイトメトリー解析では、BANK欠損マウスにおけるB細胞の発生に大きな変化は認められなかった。末梢B細胞は、既報 (Allman D et al. 2001 J. Immunol. 167, 6834) の通り、AA4.1、IgM、B220およびCD23の発現に基づいて、遷移タイプ1、2、3、成熟および辺縁帯B細胞に分類できる。本発明者らは、遷移タイプ1 (AA4.1+B220+CD23-IgMhi)、タイプ2 (AA4.1+B220+CD23+IgMhi)、タイフ゜3 (AA4.1+B220+CD23+IgMlo) および辺縁帯B (AA4.1-B220+IgMhiCD23lo) 細胞の百分率において野生型とBANK欠損脾臓との間に差異を認めなかったが、脾成熟B細胞 (AA4.1-B220+CD23hi)、腹膜B1細胞 (CD5+IgMhi) および骨髄循環B細胞 (B220hiIgM+) の百分率のわずかな増加が認められた(図2A)。BANK欠損脾臓の組織学的解析は、自発的に形成されたGC数の増加を示した。イムノグロブリンの血清濃度もまた、ELISAにより測定した。IgG2a濃度の増加が認められたが、他のIgアイソタイプの増加は認められなかった(図2B)。包括すると、これらの結果は、BANKがB細胞発生の殆どの局面に必須ではないことを示すものの、成熟B細胞および自然発生GC数の増加および血清IgG2a濃度の増加は、B細胞ホメオスタシスまたは応答におけるBANKの負の調節因子としての幾つかの役割を示唆し得る。
実施例3:BANK欠損マウスにおけるT依存性抗原に対するGC形成およびIgM応答の増強
本発明者らは、BANK欠損マウスの表現型、特に自発的に形成されたGC数の増加が、BANK欠損マウスが外来的に投与された抗原に対する免疫応答の増強を示すか否かを検討した。図3Aに示されるように、BANK欠損マウスは、T依存性抗原に応答してGC形成の増強を示した。また、T非依存性抗原タイプIIではなくT依存性抗原の注入後に、抗原特異的IgM産生の増強が認められた(図3B)。一次Ig応答とは対照的に、T依存性抗原に対する二次応答は、BANK欠損マウスでは変化しなかった(図3C)。これらのデータは、BANKの欠損が幾つかの局面においてT依存性抗原に対するB細胞応答(例、GC形成およびIgM応答)の増強につながることを示す。このことは、BANKがT依存性抗原に対する液性免疫応答の調節において阻害的役割を果たすことを示唆する。
実施例4:BANK欠損B細胞におけるCD40媒介生存および増殖の増強
次いで、本発明者らは、BANK欠損マウスにおけるT依存性抗原に対する液性免疫応答の増強の基礎を成すメカニズムを明らかにすることを試みた。このため、本発明者らは先ず、インビトロにおいて種々の刺激に対するBANK欠損B細胞の応答を試験した。BANK欠損B細胞は、CD40刺激に対する生存の増強を示したが、他の刺激(例、抗IgM、LPSおよびBAFF刺激)に対しては示さなかった。本発明者らはまた、野生型およびBANK欠損B細胞由来のCFSE標識B細胞を用いたCD40刺激に対する増殖応答を評価した。図4Bに示される通り、BANK欠損B細胞は、CD40刺激により誘導される増殖の増強を示した。従って、BANK欠損B細胞は、インビトロにおいてCD40媒介活性化の増強を示した。
次に、本発明者らは、上記の通り観察されたCD40媒介活性化の増強がBANK欠損マウスにおける免疫応答の増強の原因か否かを検討した。CD40およびBANKのダブルノックアウトマウスを作出し、これらのマウスにおけるT依存性抗原に対するIg応答を試験した。図4Cに示されるように、CD40およびBANKの双方を欠損するマウスは、CD40のシングルノックアウトマウスで認められたIg応答と同程度のIg応答を呈した。本発明者らはまた、如何なるGC形成もダブルノックアウトマウスでは認められないことを確認した。このことは、CD40媒介シグナルの遮断がBANK欠損マウスにおける液性免疫応答の増強を無効にすることを示す。以上の結果は、BANKが、B細胞のCD40媒介活性化におけるその阻害的機能を介して、免疫応答を負に調節することを示唆する。
実施例5:BANK欠損B細胞におけるCD40媒介Akt活性化の増強
B細胞におけるCD40刺激は、NFκB、MAPKsおよびPI3K-Akt経路を始めとする複数のシグナル伝達経路を活性化することが知られている (Calderhead et al. 2000 Curr. Top. Microbiol. Immunol. 245, 73)。BANK欠損B細胞のCD40媒介活性化の増強を担うシグナル伝達経路の種類を明らかにするために、本発明者らは、生化学的解析を行った。CD40による刺激後のErkまたはIκBαのリン酸化は、BANK欠損B細胞では変化しなかった。このことは、Erkおよびcanonicalを介するNFκBの活性化がBANKの欠損下で正常に生じたことを示唆する(図5B)。CD40で刺激したBANK欠損B細胞におけるNFκB2のp52サブユニットの核への効率的なトランスロケーションおよびp100のアップレギュレーションが認められたので(図5C)、noncanonial経路を介するCD40媒介NFκB活性化もまた、BANK欠損B細胞では正常であると考えられた。一方、抗CD40抗体で刺激されたBANK欠損B細胞において、Akt活性の重要な部位であるSer473のリン酸化の増強が認められたので(図5A)、CD40媒介Akt活性化は、BANK欠損B細胞で有意に増強されたと考えられた。また、抗IgM刺激によるAkt活性化の増強が認められたが、BANK欠損B細胞における抗IgM媒介生物学的応答において如何なる差異も認められなかった。
次いで、本発明者らは、CD40媒介Akt活性化の増強がBANK欠損B細胞におけるCD40媒介生存および増殖の増強の主要な原因であるか否かについて検討した。この目的のため、本発明者らは、レンチウイルスを用いてAkt1のドミナントネガティブ体をBANK欠損B細胞に感染させ、これらのB細胞におけるCD40媒介生存および増殖を試験した。図5D、Eに示されるように、BANK欠損B細胞で認められたCD40媒介増殖および生存の増強は、Akt1のドミナントネガティブ体の発現によりほぼ完全に無効化された。包括すると、これらのデータは、BANKがAkt活性化に対するその阻害効果を介してCD40媒介活性化を負に調節することを示唆する。
考察
蓄積している証拠は、固有の酵素活性を欠くアダプターまたはスキャフォールドタンパク質が多くのタイプの細胞における種々のシグナル伝達経路の調節に重要な役割を果たすことを示唆する。ここで、本発明者らは、B細胞に特異的に発現しているスキャフォールドタンパク質として最近同定されたBANKの生理学的機能を、BANK欠損マウスの作出および解析により初めて実証する。BANK欠損B細胞は、CD40媒介Akt活性化の増強により、B細胞の増殖および生存の増強を示す。これと一致して、BANK欠損マウスは、T非依存性抗原ではなくT依存性抗原に応答した、GC形成および抗原特異的抗体産生等の液性応答の増強を示す。これらの結果は、BANKが、Akt活性化に対するその阻害効果を通じて、CD40媒介活性化を負に調節することにより、液性免疫応答の調節に重要な役割を果たすことを示唆する。
BANKは、BCR刺激の際にチロシンがリン酸化され、BCR媒介カルシウム動員に関与するスキャフォールドタンパク質として初めて同定された。BANKはBCR刺激の際にチロシンがリン酸化されるものの(データ示さず)、野生型とBANK欠損B細胞との間でBCR媒介カルシウム動員に何ら差異が認められなかった(データ示さず)。BANKの機能を解析する以前の研究は、BANKタンパク質を過剰発現する細胞株を用いて行われた。本発明者らの研究は、BANKがBCR媒介カルシウム動員において主要な役割を果たすというアイデアを支持しないが、本発明者らは、BANKがB細胞の特定の亜集団で非常に特異的に発現されており、このような細胞におけるカルシウム動員の調節に役割を果たすという可能性を否定しない。そうでなければ、本発明者らの研究と以前の研究との間で観察された矛盾は、マウス初代B細胞および細胞株の間の差異に基づくのかもしれない。
BANK欠損マウスにおけるIgM応答の増強は、相対的に後期のIgM産生(図3Bにおいて14日目、21日目)が、野生型マウスに比し、BANK欠損マウスで増強したという独特の特徴を有する。CD40分子のノックアウトまたはマウスへのアンタゴニスティック抗CD40L抗体の投与のいずれも、T依存性免疫応答の初期の抗原特異的IgM産生を減少させたことが実証されている(Xu, et al. 1994 Immunity 1, 423-431; Kawabe et al. 1994 Immunity 1, 167-178; Foy et al. 1993 J. Exp. Med. 178, 1567-1575)。実際、CD40シグナル伝達は、T依存的抗原応答性B細胞の初期の増殖に必要であることが示されている(Garside et al. 1998 Science 281, 96-99)。BANK欠損が初期のIgM産生の増強につながらないという知見を考慮すると、BANKは、抗原特異的B細胞の初期増殖以外のプロセスに関与しているのかもしれない。BANK欠損が免疫応答の後期のみでのIgM産生の増強につながる説については、幾つかの可能性がある。BANKは、AFC前駆体の増殖よりもむしろ、抗体形成細胞 (AFC) の生存を調節するのかもしれない。そうでなければ、最近同定され、GC反応を通じて発生することが示唆されているメモリーまたは抗原経験IgM+B細胞が、BANK欠損マウスで増加しているのかもしれないが。これらの可能性については現在検討中である。
CD40刺激は、NFκB、MAPKおよびPI3K-Akt経路等の複数のシグナル伝達経路の調節に関与することが知られている。しかし、各シグナル伝達経路がB細胞におけるCD40媒介生物学的応答の発揮に必要とされる様式については未だ多くのことが不明である。この状況において、BANK欠損B細胞は、AKTの活性化を増強するにもかかわらず、NFκBおよびMAPKの活性化は正常であることを示した。この結果は、CD40媒介生物学的応答におけるAkt活性化の役割を明確にする独特の機会を提供するのかもしれない。上記の通り、BANK欠損B細胞は、インビトロにおいてCD40刺激に対して生存および増殖の亢進を示す。しかし、本発明者らは、インビトロにおける正常なIgアイソタイプクラススイッチが抗CD40AbおよびLPS、IL-4またはCpGにより誘導されることを観察した(データ示さず)。インビボ状況では、BANK欠損マウスは、GC形成および抗原特異的IgM産生の増強を示したが、IgG産生およびB細胞メモリー応答等のCD40シグナル伝達により調節される他のB細胞応答は、影響を受けなかった。これらは、CD40媒介Akt活性化がB細胞、特にGCの生存および増殖に必要とされるが、他のシグナル伝達経路が、T依存性抗原に対する応答の際に、メモリーB細胞の発生またはIgアイソタイプスイッチングに必要とされることを示唆する。
B系列細胞におけるBANKおよび所定のタンパク質の発現を示す図である。野生型(濃線)およびBANK欠損マウス(薄線)由来の脾細胞を各FACSプロフィールに記載した抗体で標識した。細胞を固定化し、透過処理 (permeabilize) し、抗BANK抗体で染色した後、フローサイトメトリーで解析した。 野生型BANKローカス(上)、ターゲティングベクター(中)およびターゲティングされたBANKローカス(下)を示す模式図である。 BANK欠損 (-/-) マウス由来の脾B細胞におけるBANKの欠失を示す図である。BANKおよびErk2タンパク質の発現を、野生型 (+/+) およびBANK欠損 (-/-) マウス由来の脾B細胞の全細胞抽出物において解析した。 BANK欠損マウスにおける成熟B細胞数の増加を示す図である。脾臓、腹腔細胞 (PEC) および骨髄細胞 (BM) をWTおよびBANK KOマウスから回収した。細胞をパネルに記載したモノクローナル抗体で染色し、フローサイトメトリー解析に供した。 BANK欠損マウスにおける自発的GC形成の増加を示す図である。血清を10-12週齢の野生型およびBANK欠損マウスから採取し、標準的ELISAにより各Igアイソタイプの濃度について測定した。 T依存性抗原に応答した、BANK欠損マウスにおけるGC形成の増強を示す図である。WTおよびBANK KOマウスをNP-CGGで免疫した。脾臓を免疫の7日後にマウスから回収した。脾細胞を抗B220抗体、PNAおよびビオチン化NP-BSAで染色し、次いで3色フローサイトメトリーで解析した。 T依存性抗原で刺激されたBANK欠損マウスにおけるIgsの産生を示す図である。マウスをTNP-KLH(上)またはTNP-フィコール(下)で免疫し、マウスから血清を示された時間に採取した。血清抗TNP IgMおよびIgG抗体の力価を標準的ELISAにより決定した。 BANK欠損マウスにおける、T依存性抗原に対する2次応答としてのIgGの産生を示す図である。TNP-KLHで免疫したマウスを、初回免疫の30日後に、アジュバントなしで同じ抗原で再チャレンジした。血清を、2次免疫の7日後にマウスから採取し、抗TNP IgGの力価について測定した。 CD40刺激に対するBANK KOマウス由来脾B細胞の生存率の増加を示す図である。B細胞をWTおよびBANK KOマウスの脾臓から精製し、抗IgM抗体 (10μg/ml)、ヒトBAFF (810μg/ml)、抗CD40抗体 (2μg/ml) またはLPS (5μg/ml) で48時間培養した。細胞をTOPRO-3で染色し、生存しているTOPRO-3-細胞および死滅したTOPRO-3+細胞の百分率を測定するために、FACSキャリバーにより解析した。3連の培養物における生細胞の平均百分率およびSDを示す。 CD40刺激に対するBANK KOマウス由来脾B細胞の増殖率の増加を示す図である。脾臓から精製したB細胞をCFSEで標識し、示された試薬で72時間培養した。細胞をフローサイトメトリー解析に供した。蛍光強度の減少から判定した増殖細胞の百分率を、各FACSプロフィールに示す。 BANK欠損マウスにおけるIgM産生亢進が、CD40からの刺激に依存することを示す図である。野生型 (WT) BANK欠損 (BANK KO) CD40欠損 (CD40 KO) およびCD40-BANK二重欠損 (CD40/BANK dKO) マウスにTNP-KLHを投与した。マウスから血清を図に示された時間で採取し、血清中の抗TNP IgM抗体価を標準的ELISAで測定した。 CD40刺激されたBANK KOマウスにおけるAkt Ser473のリン酸化の増加を示す図である。脾臓由来の精製B細胞を、示された時間にて抗CD40抗体または抗IgM抗体で刺激した。刺激B細胞からの全細胞ライセートを、示された抗体を用いてウエスタンブロッティングに供した。 CD40刺激されたBANK KOマウスにおけるIkBαのリン酸化を示す図である。脾臓由来の精製B細胞を、示された時間にて抗CD40抗体または抗IgM抗体で刺激した。刺激B細胞からの全細胞ライセートを、示された抗体を用いてウエスタンブロッティングに供した。 精製B細胞を、抗CD40を用いてまたは用いずに、示された期間培養した。細胞ライセートの細胞質および核画分を調製し、抗p-100/52 NFκB2を用いたウエスタンブロッティングに供した。 ドミナントネガティブAkt1導入脾B細胞の生存率を示す図である。精製脾B細胞をAktのドミナントネガティブ体(Aktキナーゼデット;Akt k.d.)を担持するレンチウイルスに感染させた。コントロールとして、ドミナントネガティブAkt1を有しないレンチウイルスに感染させたB細胞もまた調製した(モック)。感染細胞をCFSEで標識し、抗CD40抗体を用いてまたは用いずに72時間培養した。解析を図3AおよびBに記載される通りに行った。 ドミナントネガティブAkt1導入脾B細胞の増殖率を示す図である。精製脾B細胞をAktのドミナントネガティブ体(Aktキナーゼデット;Akt k.d.)を担持するレンチウイルスに感染させた。コントロールとして、ドミナントネガティブAkt1を有しないレンチウイルスに感染させたB細胞もまた調製した(モック)。感染細胞をCFSEで標識し、抗CD40抗体を用いてまたは用いずに72時間培養した。解析を図3AおよびBに記載される通りに行った。

Claims (5)

  1. BANKの発現を抑制し得る物質を含む、液性免疫応答の増強剤。
  2. 以下の工程(a)、(b)を含む、液性免疫応答を正に調節し得る物質のスクリーニング方法:
    (a)被験物質がBANKの発現を抑制するか否かを評価する工程;
    (b)BANKの発現を抑制する被験物質を、液性免疫応答を正に調節し得る物質として選択する工程。
  3. CD40媒介シグナル伝達経路の刺激下で行われる、請求項2記載の方法。
  4. 増強された液性免疫応答能を有する、BANK欠損非ヒト動物。
  5. 増強された液性免疫応答能を有する、BANK欠損細胞。


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