JP2007087736A - 燃料電池発電装置の運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
燃料電池発電装置の燃料供給量を制御することにより、燃料電池の耐久性を向上させることを目的とする。
【解決手段】
燃料電池28と、燃料電池へ燃料を供給する燃料供給手段44と、燃料の濃度を検出する濃度検出手段12または燃料電池の温度を検出する温度検出手段14と、濃度または温度に基いて燃料供給手段44とを制御する制御手段50と、を備える燃料電池発電装置10の運転方法において、制御手段50は、濃度が所定の濃度以下または温度が所定の温度以下となるときに、燃料電池28へ供給する燃料の量を増加させることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、燃料電池発電装置の運転方法に関し、具体的には、燃料電池発電装置の動作点を制御することにより、燃料電池の耐久性を向上させることができる燃料電池発電装置の運転方法に関する。
燃料電池は水素と酸素とから電気エネルギを発生させる装置であり、高い発電効率を得ることができる。燃料電池の主な特徴としては、従来の発電方式のように熱エネルギや運動エネルギの過程を経ない直接発電であるので、小規模でも高い発電効率が期待できる、窒素化合物等の排出が少なく、騒音や振動も小さいので環境性が良いなどが挙げられる。このように、燃料電池は燃料のもつ化学エネルギを有効に利用でき、環境にやさしい特性をもっているので、21世紀を担うエネルギ供給システムとして期待され、宇宙用から自動車用、携帯機器用まで、大規模発電から小規模発電まで、種々の用途に使用できる将来有望な新しい発電システムとして注目され、実用化に向けて技術開発が本格化している。
中でも、固体高分子形燃料電池は、他の種類の燃料電池に比べて、作動温度が低く、高い出力密度を持つ特徴が有り、特に近年、固体高分子形燃料電池の一形態として、ダイレクトメタノール燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)が注目を集めている。DMFCは、燃料であるメタノール水溶液を改質することなく直接アノードへ供給し、メタノール水溶液と酸素との電気化学反応により電力を得るものであり、この電気化学反応によりアノードからは二酸化炭素が、カソードからは生成水が、反応生成物として排出される。メタノール水溶液は水素に比べ、単位体積当たりのエネルギが高く、また、貯蔵に適しており、爆発などの危険性も低いため、自動車や携帯機器(携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA、MP3プレーヤ、デジタルカメラあるいは電子辞書(書籍))などの電源への利用が期待されている。
特開2005−108811号公報
図8は、燃料電池発電装置を定常運転時のメタノール水溶液の濃度(1.0mol/L)にて運転したときと低い濃度(0.2mol/L)にて運転したときとのセル電圧の特性を示すグラフである。燃料電池発電装置は、図8に示すように、低い濃度にて運転すると、セル電圧が急速に低下、即ち燃料電池が急速に劣化してしまうことが明らかになった。これは、低い濃度にて運転した場合、燃料電池の触媒層内の三相界面(反応サイト)に供給されるメタノール量が減少しているのに対して過大な電力が要求されると、反応サイトにおいてその過大な電力要求に対応すべく、周りの炭素や固体電解質膜を分解して電子を取り出す反応が発生するためであると考えられる。
また、図9は、燃料電池発電装置を定常運転時の温度(60℃)にて運転したときと低い温度(40、25℃)にて運転したときの燃料利用率に対するセル電圧の特性を示すグラフである。燃料電池発電装置は、図9に示すように、低い温度にて運転すると、セル電圧が急激に低下する燃料利用率の閾値が左にシフトしてしまう。したがって、定常運転時の燃料利用率(60%)を維持した状態で温度が低下すると、セル電圧が低下してしまうことが明らかになった。これは、温度が低いときにはメタノールに対する反応サイトの活性が低下しており、燃料利用率を維持した状態で温度が低下すると、濃度が低い場合と同様の問題が発生する可能性を示唆している。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、燃料電池発電装置の動作点(燃料供給量)を制御することにより、燃料電池の耐久性を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、燃料電池と、燃料電池へ燃料を供給する燃料供給手段と、燃料の濃度を検出する濃度検出手段と、濃度に基いて燃料供給手段とを制御する制御手段と、を備える燃料電池発電装置の運転方法において、制御手段は、濃度が所定の濃度以下となるときに、燃料電池へ供給する燃料の量を増加させることを特徴とする。
ここで、燃料の量とは、単位時間あたりにアノードに供給される(アノードの触媒と接触する)量、即ち、流量をさし、燃料の量を増加させることにより、燃料利用率を下げることができる。これにより、燃料の濃度が下がっても、燃料電池から安定した電力を取り出すことができ、延いては、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
請求項2記載の発明は、燃料電池と、燃料電池へ燃料を供給する燃料供給手段と、燃料電池の温度を検出する温度検出手段と、温度に基いて燃料供給手段とを制御する制御手段と、を備える燃料電池発電装置の運転方法において、制御手段は、温度が所定の温度以下となるときに、燃料電池へ供給する燃料の量を増加させることを特徴とする。これにより、燃料の温度が下がっても、燃料電池から安定した電力を取り出すことができ、延いては、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
請求項3記載の発明は、燃料電池と、燃料電池へ燃料を供給する燃料供給手段と、燃料の濃度を検出する濃度検出手段と、濃度に基いて燃料供給手段とを制御する制御手段と、を備える燃料電池発電装置の運転方法において、制御手段は、燃料電池発電装置を起動するときに、所定の濃度に応じて、燃料電池へ供給する燃料の量を制御することを特徴とし、請求項4記載の発明は、燃料電池と、燃料電池へ燃料を供給する燃料供給手段と、燃料電池の温度を検出する温度検出手段と、温度に基いて燃料供給手段とを制御する制御手段と、を備える燃料電池発電装置の運転方法において、制御手段は、燃料電池発電装置を起動するときに、所定の温度に応じて、燃料電池へ供給する燃料の量を制御することを特徴とする。
起動信号が入力されてから燃料電池発電装置が定常運転に入るまでの間は特に、燃料の濃度や燃料電池の温度が大きく変動するが、所定の濃度または所定の温度に応じて、燃料電池へ供給する燃料の量を制御するので、燃料電池に大きな負担をかけることなく、安定した電力を取り出すことができ、延いては、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の燃料電池発電装置の運転方法において、制御装置は、所定の濃度および/または所定の温度に応じた燃料電池へ供給する燃料の量に関するテーブルを保持することを特徴とする。
本発明によれば、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
まず、燃料電池システム100の構成について説明する。図1は燃料電池システム100の構成を模式的に表した構成図である。
燃料電池システム100は、第1の電源としての燃料電池発電装置10と、燃料電池システム100の起動時に燃料電池発電装置10の補機類など内部負荷40へ電力を供給したり、負荷200から要求される電力が高くなったときに負荷200へ電力を供給したりする第2の電源としての二次電池60と、燃料電池発電装置10と二次電池60との電力供給のバランスを制御する電力制御装置70と、を有している。また、燃料電池システム100の内部には、電力制御装置70と接続され、負荷200から要求される電力量や燃料電池発電装置10から供給可能な電力量あるいは燃料電池発電装置10の運転状態などを含む情報の授受を行うと共に、燃料電池発電装置10の各種制御を行う制御装置50が設けられている。この燃料電池システム100は2種類の電源の制御を一括して行うため、制御装置50は、燃料電池システム100内部であって燃料電池発電装置10外部に配されているが、燃料電池発電装置10内部に配しても良いものとする。
図2は本発明に係る燃料電池発電装置10の負荷への送電量の関係を模式的に示したグラフである。燃料電池発電装置10は、燃料電池システムの起動時または停止時を除く定常運転を行っているときには、できる限り一定の電力Pfccを出力するように運転することが望ましい。燃料電池システム100の起動時において、起動信号を制御装置50が受けると、制御装置50は燃料電池発電装置10を起動するが、指令を受けてから所定の時間(30秒〜1分間)は暖機運転を行うため、燃料電池発電装置10から電力は出力されない。所定の時間が経過した後は、燃料電池発電装置10からの出力を徐々に増加させる。一方、停止時において、停止信号を制御装置50が受けると、制御装置50は燃料電池発電装置10を停止するが、信号を受けてから燃料電池発電装置10からの出力を0にするまでには、詳細は後述するが、所定の時間(約15分間)を要する。
また、定常運転を行っている間は、上述のように、燃料電池発電装置10からの出力される電力がほぼ一定となるような運転が、発電効率の面からも耐久性の面からも望まれるので、電力制御装置70は、燃料電池発電装置10からの電力がPfcc±所定の範囲となるように制御する。しかしながら、負荷200から要求される電力は時間によって変動するため、燃料電池発電装置10から出力される電力Pfcを超える電力を要求されるときには、超過分を二次電池60から供給し、Pfcを下回り電力が余剰となるときには、余剰分を二次電池60へ供給して二次電池60を充電する。
図3は、本発明に係る燃料電池発電装置10の構成を詳細に表した燃料電池システム100の構成図である。燃料電池発電装置10は、固体電解質膜22の一方の面にカソード24、他方の面にアノード26を設け、カソード24へは酸化剤として空気が供給され、アノード26へは燃料としてメタノール水溶液が供給される燃料電池本体20を備えており、この燃料電池本体20により発電した電力を、電力制御装置70のDC/DCコンバータ72によって昇圧して、負荷200へ送るように構成されている。この燃料電池発電装置10の補機類として、燃料電池本体20のカソード24へ空気を供給するエアポンプ42と、アノード26へメタノール水溶液を供給する液体ポンプ(第1液体ポンプ)44と、アノード26へ供給される所定の濃度(1.0±0.5mol/L)のメタノール水溶液を貯蔵する燃料タンク30と、を備え、燃料電池本体20の発電により燃料タンク30内のメタノールが消費されると、燃料電池発電装置10と着脱可能に設けられ、高濃度(15mol/L以上)あるいは100%(25mol/L)のメタノールを貯蔵する高濃度燃料タンク32から、液体ポンプ(第2液体ポンプ)46を介して、燃料タンク30へメタノールが補充される。
燃料タンク30は、所定の濃度のメタノール水溶液を貯蔵すると共に、燃料電池本体20のカソード24側およびアノード26側から排出される排出物質(酸素濃度の低い排空気、カソード反応による生成水、メタノール濃度の低い排メタノール水溶液、アノード反応による二酸化炭素)の気体成分と液体成分とを分離する機能も有しており、図示しないラジエータによって常温に近い温度となった排出物質中の排空気や二酸化炭素は、この燃料タンク30においてメタノール水溶液と分離され、系外へ排出されるように構成されている。このとき、上記排空気や二酸化炭素と共に、メタノール水溶液のメタノールや水(水蒸気)の成分も気体となって、少量では有るが系外へ排出される。
図2に戻り、停止時において、負荷200から電力要求を停止する信号が発せられると、制御装置50は燃料電池発電装置10による発電を停止する。このとき、制御装置50は、二次電池60の残量を確認し、次回の起動に必要な電力を二次電池60に充電する充電処理と、燃料電池発電装置10を保管するのに適した状態にする保管処理と、を行う。燃料電池本体20内部は、次回の起動のときまで(燃料電池システム100の停止中)、固体電解質膜22を湿潤させた状態で保つことが望ましい。また、アノード26からカソード24へクロスオーバーしたメタノールがカソード24で燃焼反応を起こし、カソード24がCO被毒することを防ぐため、燃料電池本体20内部のカソード24側は酸素濃度の低い(5%以下)空気で満たされることが望ましく、燃料電池システム100停止中に燃料電池本体20が凍結するのを防ぐため、燃料電池本体20内部のアノード26側は固体電解質膜22が劣化を引き起こさない範囲で所定の濃度より高い濃度(2.0±0.5mol/L)のメタノール水溶液で満たされることが望ましい。
保管処理は、上記のような燃料電池発電装置10の保管に適した状態にするものであり、制御装置50はまず、燃料電池本体20の温度が第1の所定の温度(本実施の形態では45℃)以下になるまで、必要最低限の補機類を動作させ、燃料電池本体20を冷却しながら発電する(但し、二次電池60の残量が少なく、次回の起動時に必要な電力量を冷却しながらの発電量では賄うことができないと判断した場合には、必要な時間だけ定常運転を続ける)。この間、内部負荷40(補機類)の動作に必要な電力は燃料電池発電装置10から供給し、内部負荷40へ供給しても余剰となる電力は二次電池60へ供給する(充電処理)。
燃料電池本体20が第1の所定の温度となったところで、燃料電池発電装置10から内部負荷40を切り離し、燃料電池本体20の温度が第2の所定の温度(本実施の形態では40℃)以下になるまで無負荷運転を行う。即ち、内部負荷40(補機類)の動作に必要な電力は二次電池60から供給する。燃料電池本体20が第2の所定の温度となったところで、エアポンプ42を停止してカソード24への酸素の供給を遮断する。燃料電池本体20内部に残留した酸素は反応して徐々に消費され、燃料電池本体20の電圧もこれに伴って低下する。燃料電池本体20の電圧が所定の電圧以下となったところで、あるいは、エアポンプ42を停止して所定の時間経過した後に、第2液体ポンプ46を駆動して、燃料タンク30およびメタノール水溶液循環流路34中のメタノール水溶液が、所定の濃度(1.0mol/L)より高い濃度(2.0mol/L)となるようにし、第1液体ポンプ44を停止する。
そして、メタノール水溶液が系外へ蒸発しないように、外部と連通する流路を、図示しないシャッターなどの遮断手段により外部と遮断することにより、燃料電池本体20は、酸素濃度の低い空気と所定の濃度より高い濃度のメタノール水溶液によって満たされ、燃焼反応や凍結なども起こりにくく、かつ、固体電解質膜22を湿潤させた状態で保つことが可能となる。
以下、本発明の燃料電池発電装置10の運転方法について説明する。図4は燃料電池発電装置10を定常運転時の温度(60℃)にて運転したときの燃料利用率とセル電圧の関係を示すグラフである。図4から明らかなように、メタノール水溶液の濃度が低くなると、セル電圧が急激に低下してしまう燃料利用率の閾値が左にシフトする。そこで、運転中にメタノール水溶液の濃度が低下してもセル電圧が低下しないように、メタノール水溶液の濃度に合わせて燃料利用率を設定する。具体的には、表1に示すような燃料利用率の閾値に安全率を考慮して設定した各濃度における燃料利用率テーブルを制御装置50に保持させる。
Figure 2007087736

図5は、温度は定常運転時の温度(60℃)での運転中に、メタノール水溶液の濃度が低下したときの燃料電池発電装置10の制御フローを示すフローチャートである。図5に示すように、制御装置50は、濃度センサ12からメタノール水溶液の濃度が0.5mol/Lに低下したことを検知(S11)すると、燃料利用率が表1に示す設定値となるように、液体ポンプ44を制御(S12)して、回転数を上昇させる。液体ポンプ44の回転数を上昇させることにより、アノード26に供給されるメタノール水溶液の量が増加し、燃料利用率としては低くなる。次に、制御装置50は、液体ポンプ46を駆動(S13)して、高濃度燃料タンク32から燃料タンク30へメタノールを補充する。燃料タンク30から、メタノール水溶液循環流路34(往路部34a+復路部34b)および燃料電池本体20内のメタノール水溶液流路を通って、燃料タンク30まで1周するのに要する時間(1周の管路長とメタノール水溶液の流速から換算)を考慮して、本実施例では液体ポンプ46を駆動してから20秒後に液体ポンプ44の回転数を元の回転数に戻す(S14)。液体ポンプ44の回転数を元に戻した後のメタノール水溶液の濃度が、1.0mol/Lに達してしなかった場合は、S12から上記のフローを繰り返す。
本実施例では、濃度センサ12や温度センサ14により検知した濃度、温度を基に制御する方法について説明したが、例えば、濃度を検知する手段は濃度センサ12に限らず、特願2004−224288にて開示したように、燃料電池スタックを構成するセルの電圧V1〜Vnから2セル毎のセル電圧Vc1〜Vcnを算出し、セル電圧Vc1〜Vcnから標準偏差を算出する。そして、算出された標準偏差は、燃料の濃度が許容範囲からはずれる(濃度が低下する)と、大幅に増加するため、これを濃度検知手段として用いても良い。また、濃度センサ12に加えて、セル電圧の標準偏差を用いる場合、濃度は薄くないにもかかわらず、標準偏差が増加するときには、液体ポンプ46を駆動せずに(メタノールを補充せずに)、液体ポンプ44の回転数だけを上昇させると良い。さらに、本実施例では、メタノールが高濃度メタノールタンク32から燃料タンク30に補充されてから濃度が均一になるのに、循環経路の1周分を要すると仮定し、液体ポンプ44を停止するタイミングを液体ポンプ46の駆動から20秒後と設定したが、濃度センサ12を含む燃料電池発電装置10内の各種補機類の配置、設定などにより、このタイミングは変動する。
図9は、発明が解決しようとする課題でも説明したが、燃料電池発電装置10を定常運転時の濃度(1.0mol/L)にて運転したときの燃料利用率とセル電圧の関係を示すグラフである。図9から明らかなように、燃料電池本体20の温度が低くなると、セル電圧が急激に低下してしまう燃料利用率の閾値が左にシフトする。そこで、運転中に燃料電池本体20の温度が低下してもセル電圧が低下しないように、燃料電池本体20の温度に合わせて燃料利用率を設定する。具体的には、表2に示すような燃料利用率の閾値に安全率を考慮して設定した各温度における燃料利用率テーブルを制御装置50に保持させる。
Figure 2007087736

図6は、濃度は定常運転時の濃度(1.0mol/L)での運転中に、燃料電池本体20の温度が低下したときの燃料電池発電装置10の制御フローを示すフローチャートである。図6に示すように、制御装置50は、温度センサ14から燃料電池本体20の温度が50℃以下に低下したことを検知(S21)すると、燃料利用率が表2に示す設定値となるように、液体ポンプ44を制御(S22)して、回転数を上昇させる。そして、制御装置50は、温度センサ14から燃料電池本体20の温度が35℃以下に低下したことを検知(S23)すると、燃料利用率が表2に示す設定値となるように、液体ポンプ44を制御(S24)して、回転数をさらに上昇させる。すなわち、制御装置50は、燃料電池本体20の温度に応じて、液体ポンプ44の回転数を変化させ、S21〜24とは逆に、燃料電池本体20の温度が35℃以上(あるいは50℃以上)となったときには、液体ポンプ44を制御して、回転数をそれぞれの温度に合わせて回転数を減少させる。
また、低い温度域においてメタノール水溶液の濃度が低下した場合は、その温度域での液体ポンプ44の回転数を基準として、実施例1(図5)で説明した制御フローに入る。
図7は起動時の燃料電池発電装置10の制御フローを示すフローチャートである。前述のように、本発明の燃料電池発電装置10は、停止中に燃料電池本体20が凍結するのを防ぐため、燃料電池本体20内部のアノード26側を所定の濃度より高い濃度(2.0±0.5mol/L)のメタノール水溶液で満たして停止する。従って起動時には、2.0mol/Lのメタノール水溶液で満たされている。表3は、本燃料電池発電装置10の各濃度各温度における燃料利用率である。定常運転時の濃度(1.0mol/L)および温度(60℃)での運転中の液体ポンプ44のメタノール水溶液の供給量1として、各濃度各温度におけるメタノール水溶液供給量を燃料利用率から逆算すると、表4のようになる。本燃料電池発電装置10の起動時は、この表4に従って液体ポンプ44の回転数を制御する。
Figure 2007087736
Figure 2007087736

表3および4において、燃料電池本体20の温度が35℃以下であってメタノール水溶液の濃度が0.2mol/L以下のときの燃料利用率の設定がないのは、上記のような凍結防止そして燃料電池本体20の劣化防止のため、このような範囲となったときには制御装置50はエラー信号を発し、燃料電池発電装置10の運転を停止するためである。
図7に示すように、制御装置50は、起動信号を受けて暖機運転を行う。起動信号を受けた時点では燃料電池発電装置10内のメタノール水溶液の濃度は約2mol/L、燃料電池本体20の温度は約25℃となっている。表4より、この濃度温度範囲における液体ポンプ44のメタノール水溶液供給量は1なので、供給量1に応じた回転数で運転を始める。暖機運転中、燃料電池発電装置10は電力を出力しないので、メタノール水溶液の濃度は低下しないが、補機類などの熱により燃料電池本体20の温度は徐々に上昇する。暖機運転後は徐々に出力を上げていくため、メタノール水溶液の濃度もこれに伴って低下し始める。外部環境(温度)によって、燃料電池本体20の温度上昇の仕方も変動するが、表4に従って、燃料電池本体20の温度が35℃より高くなる前にメタノール水溶液の濃度が1.5mol/L以下となるときには、制御装置50は液体ポンプ44の回転数を上げてメタノール水溶液の供給量を4倍にする。また、メタノール水溶液の濃度が1.5mol/L以下となる前に燃料電池本体20の温度が35℃あるいは50℃より高くなるときには、液体ポンプ44の回転数はそのままでよい。
本実施の形態では、燃料としてメタノールを用いたが、液体燃料(エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジメチルエーテルなど)を用いる燃料電池であればよく、本発明はDMFCに限定されるものではない。そして本発明は、様々な機器、特に携帯機器への利用を期待される液体燃料を用いる燃料電池システムで利用可能であると考えられる。
燃料電池システムの構成を模式的に表した構成図である。 本発明に係る燃料電池発電装置の負荷への送電量の関係を模式的に示したグラフである。 本発明に係る燃料電池発電装置の構成を詳細に表した燃料電池システムの構成図である。 本発明に係る燃料電池発電装置を定常運転時の温度にて運転したときの燃料利用率とセル電圧の関係を示すグラフである。 本発明に係る燃料電池発電装置の制御フロー(温度一定)を示すフローチャートである。 本発明に係る燃料電池発電装置の制御フロー(濃度一定)を示すフローチャートである。 本発明に係る燃料電池発電装置の起動時の制御フローを示すフローチャートである。 本発明に係る燃料電池発電装置のセル電圧の特性を示すグラフである。 本発明に係る燃料電池発電装置を定常運転時の濃度にて運転したときの燃料利用率とセル電圧の関係を示すグラフである。
符号の説明
10 燃料電池発電装置
12 濃度センサ
14 温度センサ
20 燃料電池本体
22 固体電解質膜
24 カソード
26 アノード
28 膜−電極接合体(MEA)
30 燃料タンク
32 高濃度燃料タンク
34 メタノール水溶液循環流路(34a…往路部、34b…復路部)
40 内部負荷
42 エアポンプ
44 液体ポンプ(第1液体ポンプ)
46 液体ポンプ(第2液体ポンプ)
50 制御装置
60 二次電池
70 電力制御装置
72 DC/DCコンバータ
100 燃料電池システム
200 負荷


Claims (5)

  1. 燃料電池と、前記燃料電池へ燃料を供給する燃料供給手段と、前記燃料の濃度を検出する濃度検出手段と、前記濃度に基いて前記燃料供給手段とを制御する制御手段と、を備える燃料電池発電装置の運転方法において、
    前記制御手段は、前記濃度が所定の濃度以下となるときに、前記燃料電池へ供給する前記燃料の量を増加させることを特徴とする燃料電池発電装置の運転方法。
  2. 燃料電池と、前記燃料電池へ燃料を供給する燃料供給手段と、前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段と、前記温度に基いて前記燃料供給手段とを制御する制御手段と、を備える燃料電池発電装置の運転方法において、
    前記制御手段は、前記温度が所定の温度以下となるときに、前記燃料電池へ供給する前記燃料の量を増加させることを特徴とする燃料電池発電装置の運転方法。
  3. 燃料電池と、前記燃料電池へ燃料を供給する燃料供給手段と、前記燃料の濃度を検出する濃度検出手段と、前記濃度に基いて前記燃料供給手段とを制御する制御手段と、を備える燃料電池発電装置の運転方法において、
    前記制御手段は、前記燃料電池発電装置を起動するときに、所定の濃度に応じて、前記燃料電池へ供給する前記燃料の量を制御することを特徴とする燃料電池発電装置の運転方法。
  4. 燃料電池と、前記燃料電池へ燃料を供給する燃料供給手段と、前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段と、前記温度に基いて前記燃料供給手段とを制御する制御手段と、を備える燃料電池発電装置の運転方法において、
    前記制御手段は、前記燃料電池発電装置を起動するときに、所定の温度に応じて、前記燃料電池へ供給する前記燃料の量を制御することを特徴とする燃料電池発電装置の運転方法。
  5. 請求項3または4記載の燃料電池発電装置の運転方法において、
    前記制御装置は、前記所定の濃度および/または前記所定の温度に応じた前記燃料電池へ供給する前記燃料の量に関するテーブルを保持することを特徴とする燃料電池発電装置の運転方法。

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WO2010021231A1 (ja) * 2008-08-18 2010-02-25 ソニー株式会社 燃料電池システムおよび電子機器

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