JP2007086118A - 光学反射部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 基材上に形成した保護層が剥離することなく、且つ空気中の水分や硫黄分、塩分などが反射層へ浸入することのない耐久性に優れた光学反射部材を提供する。
【解決手段】 保護層の材料として有機系材料を用いるとともに、基体の表面に形成したAgを主成分とする反射層と保護層との間に、少なくとも1層からなる透光性誘電体層を形成する。ここで、水分や塩分などの反射層への浸入を一層防止する観点から、前記保護層の材料としてはアクリル系樹脂が好ましい。また成形性や軽量化の観点から基体の材料としてプラスチックを用いてもよい
【選択図】 図1
【解決手段】 保護層の材料として有機系材料を用いるとともに、基体の表面に形成したAgを主成分とする反射層と保護層との間に、少なくとも1層からなる透光性誘電体層を形成する。ここで、水分や塩分などの反射層への浸入を一層防止する観点から、前記保護層の材料としてはアクリル系樹脂が好ましい。また成形性や軽量化の観点から基体の材料としてプラスチックを用いてもよい
【選択図】 図1
Description
本発明はAgを主成分とする反射層を備えた光学反射部材に関し、より詳細にはプロジェクタなどの光学機器に用いられる光学反射部材に関するものである。
プロジェクターなどの光学機器では、光学反射部材を光路上に設けることが多い。これらの光学機器に用いられる光学反射部材では、明るい画像を得るために高反射率の反射面が要求されている。このような高反射率を有する反射面の材料としてはAgが知られている。Agで形成された反射面は、可視光域全体で98%という高い反射率を持つため、光学機器の反射鏡の材料としては最適である。
しかしAgは、空気中の水分や硫黄分、塩分などにより劣化し、光学反射部材の反射率が経時的に大幅に低下する問題がある。そこでAg層の外側に保護層を設ける技術が提案されている。例えば特許文献1では、ガラス基板上にアルミニウム薄膜を形成し、その上に透明な塗料を塗布した保護膜を形成したプロジェクション方式テレビ用の反射鏡が提案されている。また特許文献2では、基板上に反射膜を形成し、反射膜の上面および側面を透明樹脂からなるトップコート層で覆った背面ミラーが提案されている。
実開平06-69901号公報(特許請求の範囲)
特開2004-361717号公報(特許請求の範囲)
しかしながら反射層上に保護層を直接形成すると、反射層と保護層の密着性が必ずしもよくないため、反射層と保護層との間で剥離が生じるおそれがある。また、保護層だけでは空気中の水分や硫黄分、塩分など浸入を完全に防ぐことは困難である。
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基材上に形成した保護層の密着度が高く、且つ空気中の水分や硫黄分、塩分などの反射層へ浸入を確実に防止する光学反射部材を提供することにある。
また本発明の目的は、耐久性に優れ、長期間にわたって鮮明な画像を投影できる投影装置を提供することにある。
本発明によれば、基体の表面に、基体側から順に、Agを主成分とする反射層、少なくとも1層からなる透光性誘電体層、有機系材料からなる保護層が形成されていることを特徴とする光学反射部材が提供される。
ここで、水分や塩分などの反射層への浸入を一層防止する観点から、前記保護層の材料としてはアクリル系樹脂が好ましい。
また成形性や軽量化の観点から基体の材料としてプラスチックを用いてもよい。
また反射層の基体への密着性を向上させるとともに、基体側から反射層への水分などの浸入を防止する観点から、基体と反射層との間に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化アルミニウムと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる群から選択される密着層をさらに設けるのが望ましい。
反射率を向上させるとともに、水分や塩分の反射層への浸入を一層防止する観点から、前記透光性誘電体層としては、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した構成部分を有し、最外層を高屈折率層としたものが好ましい。高屈折率層の材料としては、酸化チタン、酸化タンタル、酸化チタンと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化タンタルの混合物の少なくとも1つがこのましく、低屈折率層の材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合物の少なくとも1つが好ましい。なお、本明細書において高屈折率材料とは屈折率が1.9以上のものを意味し、低屈折率材料とは屈折率が1.7未満のものを意味するものとする。
また本発明によれば、前記の光学反射部材を用いたことを特徴とする投影装置が提供される。
本発明の光学反射部材では、保護層の材料として有機系材料を用いるとともに、基体の表面に形成したAgを主成分とする反射層と保護層との間に、少なくとも1層からなる透光性誘電体層を形成したので、保護層の密着度が高く、且つ空気中の水分や硫黄分、塩分などの反射層へ浸入が確実に防止される。
前記保護層の材料としてアクリル系樹脂を用いると、水分や塩分などの反射層への浸入が一層防止される。また前記基体の材料としてプラスチックを用いると、成形性に優れ軽量化が図れる。
また基体と反射層との間に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化アルミニウムと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる群から選択される密着層をさらに設けると、反射層の基体への密着性が一層向上し、基体側から反射層への水分などの浸入も防止できるようになる。
前記透光性誘電体層として、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した構成部分を有し、最外層を高屈折率層とされた層構成とすると、光学反射部材の反射率が向上し、また水分や塩分の反射層への浸入が一層防止される。また高屈折率層の材料として、酸化チタン、酸化タンタル、酸化チタンと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化タンタルの混合物の少なくとも1つを用い、低屈折率層の材料として、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合物の少なくとも1つを用いると、耐久性が格段に向上する。
また本発明に係る投影装置では、前記の光学反射部材を用いるので、耐久性に優れ、長期間にわたって鮮明な画像を投影できるようになる。
本発明に係る光学反射部材では、基体の表面に形成したAgを主成分とする反射層と、有機系材料からなる保護層との間に、少なくとも1層からなる透光性誘電体層を形成したことが大きな特徴の一つである。保護層と反射層との間に透光性誘電体層を設けることにより、保護層の密着性を向上させることができるようになる。また保護層に加えて透光性誘電体層をさらに形成することにより、空気中の水分や硫黄分、塩分などの反射層へ浸入が確実に防止されるようになる。
保護層と反射層との間に形成する透光性誘電体層の層構成および材質については特に限定はないが、反射率を向上させるとともに、水分や硫黄などの反射層への浸入を防止する観点から、低屈折率層と高屈折率層が交互に積層した構成部分を有し、最外層を高屈折率層としたものが好ましい。
高屈折率層の材料としては、酸化チタン、酸化タンタル、酸化チタンと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化タンタルの混合物の少なくとも1つが好ましい。低屈折率層の材料としては、水分や硫黄などに対する防壁性の高いものが好ましく、さらに光学反射性能を確保する観点から、積層する高屈折率層との屈折率差の大きいものが好ましい。前記の防壁性では、酸化ケイ素<(酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合物)<酸化アルミニウム<(酸化アルミニウムと酸化ランタンの混合物)である。しかし、酸化アルミニウムと酸化ランタンの混合物は屈折率が1.73と高いことから、この混合物を低屈折率層の材料として使用すると、反射率を可視光域全体で高くすることが難しくなるおそれがある。したがって、低屈折率層の材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合物の少なくとも1つが好ましい。
高屈折率層と低屈折率層の好適な組み合わせは、高屈折率層として酸化チタンと酸化タンタルの混合物層を用い、低屈折率層として酸化アルミニウム層又は酸化アルミニウムと酸化ケイ素の混合物層を用いる組み合わせである。これらの組み合わせが防壁性および耐久性に最も優れるからである。また低屈折率層と高屈折率層の繰り返し回数に特に限定はなく、1回であってもよいし2回以上であっても構わない。繰り返し回数を多くすれば高い反射率が得られる一方、生産性が低下しクラックが入りやすくなる。反射率と生産性をバランスから繰り返し回数は1回〜4回の範囲、すなわち透光性誘電体層の総数は2〜8層の範囲が好ましい。また、透光性誘電体層の最下層、すなわち反射層と接する誘電体層としては酸化アルミニウム層が好ましい。反射層と接する誘電体層を酸化アルミニウム層とすることによって、透光性誘電体層全体の硬さを向上させることができるからである。
透光性誘電体層の形成方法については特に限定はなく、例えば真空蒸着法やIAD(Ion Assisted Deposition)法やIP(Ion Plating)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法などの従来公知の方法を用いることができる。この中でも、IAD法によって透光性誘電体層を形成することが推奨される。IAD法によれば層が緻密となり耐久性が向上するからである。
保護層の材料としては有機系材料であり、より好ましくはアクリル系樹脂である。市販されているものとしては例えば「セイカビームDP−10」(大日精化工業社製)が挙げられる。保護層の厚さとしては特に限定はないが、所期の効果を得るためには0.5〜5μmの範囲が好ましい。また曲面反射面の形状は光学系の結像特性に大きく影響することから、保護層の層厚は均一であることが好ましい。このような観点から保護層の層厚は0.5〜2μmの範囲がより好ましい。保護層の形成方法としては、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、フローコーター法など従来公知の方法を用いることができるが、層厚制御性および生産性の点からディップコート法が望ましい。またディップコート法によれば光学反射部材全面が保護層で被覆されるため、反射層への外部からの浸入が完全に阻止される。
本発明で使用する基板の形状に特に限定はなく、リアプロジェクションテレビに使用する反射ミラーなどの曲面反射面を有するものであっても構わない。基板の材料としては特に限定はなく、プラスチック製であってもよいしガラス製であっても構わない。成形性及び軽量化の点ではプラスチック製が好ましい。中でも、吸湿性が低く、耐熱性および射出成形性に優れるシクロオレフィン樹脂が好適である。シクロオレフィン樹脂としては、市販されているものとして例えば日本ゼオン社製の「ゼオネックス(登録商標)」、「ゼオノア(登録商標)」や三井化学社製の「アペル(登録商標)」などが挙げられる。
反射層の基体への密着性を向上させるとともに、基体側から反射層への水分などの浸入を防止する観点から、基体と反射層の間に密着層をさらに設けてもよい。密着層の材料としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化アルミニウムと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化タンタルの混合物が挙げられる。密着層の形成方法としては、前記と同様に、真空蒸着法やIAD(Ion Assisted Deposition)法やIP(Ion Plating)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法などの従来公知の方法が挙げられる。この中でも、IAD法によって密着層を形成することが推奨される。IAD法によれば層が緻密となり耐久性が向上するからである。
基体の材料としてシクロオレフィン樹脂を用いた場合には、反射層にクラックが入りやすいという問題があるが、密着層として、酸化アルミニウムと酸化ランタンの混合物層を用いると、この問題が抑えられる。この場合、酸化アルミニウムと酸化ランタンの混合物層の層厚を10〜120nmの範囲とするのが望ましい。この混合物層の層厚が10nm未満であると基材側からAg層への水分等の浸入を十分に防止できない一方、層厚が120nmを超えるとAg層にクラックが発生するからである。前記混合物層のより好ましい層厚は30〜60nmの範囲である。
またこの混合物層における酸化ランタンの含有割合は60〜80wt%の範囲が好ましい。酸化ランタンの含有割合が60wt%未満であると、塩水噴霧試験をはじめとする信頼性試験に対する耐久性が不十分となるおそれがある一方、酸化ランタンの含有割合が80wt%を超えると、膜にクラックが発生するおそれがあるからである。
Agを主成分とする反射層の層厚は100nm以上が好適である。層厚が100nm未満であると可視光域で十分な反射率が得られないおそれがあるからである。生産性などを考慮すると反射層の層厚は120〜170nmの範囲が好ましい。また反射層であるAg層の形成方法については特に限定はなく、例えば真空蒸着法やスパッタリング法などの従来公知の方法を用いることができるが、成膜時にAgをイオン化させる形成方法が好適である。Agをイオン化させることでAg層の表面が滑らかになると同時に緻密になって耐久性が向上するからである。
本発明に係る光学反射部材は、例えばプロジェクタに用いる曲面反射ミラーとして使用できる。図19に、本発明の光学反射部材を曲面反射ミラーとして用いた背面投写型画像投影装置(リアプロジェクター)におけるリアプロジェクション光学系の概略構成図を示す。
図19のリアプロジェクタ光学系は、表示パネルの画像表示面を縮小側のパネル表示面(I1)として、そのパネル表示面(I1)の2次元画像をスクリーン面(不図示)上に拡大投影する投影光学系を備えている。表示パネルとしては、例えば、反射型液晶パネル,透過型液晶パネル,DMD(Digital Micromirror Device)等の表示素子が用いられる。またパネル表示面(I1)は、ランプ(不図示)から発せられたのち照明光学系(不図示)を通過した照明光によって照明される。その照明によりパネル表示面(I1)から出射した投影光は、投影光学系等によってスクリーン面(不図示)に導かれる。投影画像をカラー化する場合には、3枚の表示パネルを用いてクロスダイクロイックプリズム等で色合成する3板式の構成、時分割に画像を表示する単板式の構成、あるいは表示パネル上にマイクロレンズアレイを用いた単板式の構成を採用すればよい。
図19に示す投影光学系は、パネル表示面(I1)側から順に、第1〜第3ミラー(M1〜M3)を備えている。なお、図中の絞り位置(ST)は仮想絞り面に相当する。第1〜第3ミラー(M1〜M3)はすべて曲面反射ミラーであり、それらの反射面はすべて自由曲面から成っている。パネル表示面(I1)から出射した投影光は、投影光学系を構成している3枚の曲面反射ミラーで反射された後、不図示の平面反射ミラーによって光路が2回折り返されて、不図示のスクリーン面に到達する。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に述べる。なお、下記実施例は本発明を何ら制限するものではなく、前後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1〜8、比較例1〜10)
基体材料として、シクロオレフィン樹脂である「ゼオノア(登録商標)」(日本ゼオン社製)又は光学ガラスである「BK7」を用い、各層材料として表1に示すものを用いて、図1〜図18に示す層構成の反射ミラーを作製した。シクロオレフィン樹脂製の基体形状は、外形サイズ100mm×88mm、反射面サイズ78mm×73mm、深さ1mmの凹面であった。ガラス製の基体形状は、40mm角の凸面鏡で、反射面内に回転対称軸の存在しない軸外し非球面であり、面の高低差は約10mmであった。
基体材料として、シクロオレフィン樹脂である「ゼオノア(登録商標)」(日本ゼオン社製)又は光学ガラスである「BK7」を用い、各層材料として表1に示すものを用いて、図1〜図18に示す層構成の反射ミラーを作製した。シクロオレフィン樹脂製の基体形状は、外形サイズ100mm×88mm、反射面サイズ78mm×73mm、深さ1mmの凹面であった。ガラス製の基体形状は、40mm角の凸面鏡で、反射面内に回転対称軸の存在しない軸外し非球面であり、面の高低差は約10mmであった。
Ag層と保護層以外の層は、電子ビーム蒸着法にて酸素ガスを導入しながら成膜を行った。Ag層は、酸素ガスの導入なしの状態で抵抗加熱蒸着にて成膜した。いずれも基板加熱は行わなかった。そして保護層は、ディップコート液(「セイカビームDP−10」大日精化社製)に浸漬した後、所定の層厚となるように所定の引き上げ速度で引き上げた。なお、ディップコート液は比重0.9g/cc(液温16℃)を維持するように管理した。具体的な引き上げ速度及び層厚は表2に示す通りである。そして、オーブンにて60℃で1分間乾燥させ、5mW/cm2の紫外光(高圧水銀灯)を120sec照射して硬化形成した。作製したこれらの反射ミラーについて下記評価試験を行った。結果を表3に示す。なお、基体とAg層(反射層)の間の層が密着層で、Ag層と保護層の間の層が透光性誘電体層である。
(テープ剥離試験)
保護層に粘着テープ(ニチバン社製「LP−24」幅24mm)を指でこすりつけて完全に貼り付けた後、すぐに直角方向に急激に引き剥がす。その際、保護層の剥がれなかった場合を良好とした。
保護層に粘着テープ(ニチバン社製「LP−24」幅24mm)を指でこすりつけて完全に貼り付けた後、すぐに直角方向に急激に引き剥がす。その際、保護層の剥がれなかった場合を良好とした。
(高温高湿試験)
作製した反射ミラーを、温度60℃、湿度90%RHの環境下に168h(7日間)放置した後、その外観を目視にて評価すると共に、反射率を測定した。
作製した反射ミラーを、温度60℃、湿度90%RHの環境下に168h(7日間)放置した後、その外観を目視にて評価すると共に、反射率を測定した。
(塩水噴霧試験)
「MIL-M-13508C」に準拠して試験を行った。具体的には、作製した反射ミラーに対して、5%NaCl水溶液を温度35℃の環境下で24h噴霧した後、前記と同様に、その外観を目視にて評価すると共に、反射率を測定した。
「MIL-M-13508C」に準拠して試験を行った。具体的には、作製した反射ミラーに対して、5%NaCl水溶液を温度35℃の環境下で24h噴霧した後、前記と同様に、その外観を目視にて評価すると共に、反射率を測定した。
なお、外観評価における異常内容の詳細は次のとおりである。「層はがれ」:試験後に層が基材から浮いている(わずかに離れている)ような状態になり、触れると層がなくなる、「白濁」:Agが凝集し、層表面がざらついた(散乱した)状態で白く見える、「クモリ」:白濁の軽微なものであって、反射はするが層表面が少し白っぽく見える。「ピンホール多数」:反射ミラーを通して蛍光灯などの光を見たときに、針穴ほどの穴から光が点状に多数漏れて見える。
表3から明らかなように、本発明の光学反射部材である実施例1〜8の反射ミラーは、テープ剥離試験において層の剥離は見られず、また高温高湿試験および塩水噴霧試験後において外観に異常はなく、また反射率の低下も無かった。また、ここでは実験結果を示していないが、樹脂製の基体として150mm×110mmの凸面鏡(鞍状の自由曲面、面の高低差約18mm)を使用した場合でも、層厚2μm以下の保護層を形成することでき、テープ剥離試験、高温高湿試験、塩水噴霧試験に対しても良好な結果が得られた。
これに対して、Ag層上に透光性誘電体層を設け保護層は設けなかった比較例1〜8の反射ミラーでは、テープ剥離試験において層の剥離は見られなかったものの、高温高湿試験後にピンホールが発生したり、「白濁」や「クモリ」が見られた。また、反射率が低下するものもあった。また塩水噴霧試験後には「層はがれ」や「白濁」、「クモリ」が発生し、反射率も低下した。Ag層上に透光性誘電体層を設けずに保護層を直接設けた比較例9及び比較例10の反射ミラーではテープ剥離試験において層の剥離が見られた。このため、これらの反射ミラーについては、高温高湿試験および塩水噴霧試験は行わなかった。
I1 パネル表示面
M1〜M3 第1〜第3ミラー(曲面反射ミラー)
M1〜M3 第1〜第3ミラー(曲面反射ミラー)
Claims (7)
- 基体の表面に、基体側から順に、Agを主成分とする反射層、少なくとも1層からなる透光性誘電体層、有機系材料からなる保護層が形成されていることを特徴とする光学反射部材。
- 前記保護層の材料がアクリル系樹脂である請求項1記載の光学反射部材。
- 前記基体の材料がプラスチックである請求項1又は2記載の光学反射部材。
- 前記基体と前記反射層との間に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化アルミニウムと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化タンタルの混合物からなる群から選択される密着層をさらに設けた請求項1〜3のいずれかに記載の光学反射部材。
- 前記透光性誘電体層が、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した構成部分を有し、最外層を高屈折率層としたものである請求項1〜4のいずれかに記載の光学反射部材。
- 前記高屈折率層の材料として、酸化チタン、酸化タンタル、酸化チタンと酸化ランタンの混合物、酸化チタンと酸化タンタルの混合物の少なくとも1つを用い、
前記低屈折率層の材料として、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの混合物の少なくとも1つを用いる請求項5記載の光学反射部材。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の光学反射部材を用いたことを特徴とする投影装置。
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Cited By (1)
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WO2019142876A1 (ja) * | 2018-01-19 | 2019-07-25 | 大阪瓦斯株式会社 | 放射冷却装置 |
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2005
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