JP2007083419A - 平版印刷方法、画像形成方法及び画像露光装置 - Google Patents

平版印刷方法、画像形成方法及び画像露光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】製版工程の効率が向上した平版印刷方法、それに用いられる画像形成方法及びそれに用いられる画像露光装置を提供することにあり、さらに耐刷性にすぐれかつ製版工程の効率が向上した平版印刷方法、それに用いられる画像形成方法及びそれに用いられる画像露光装置を提供する。
【解決手段】親水性表面を有する基材上に、機上現像可能な感熱画像形成層を含む構成層を有する平版印刷版材料を、像様加熱して画像形成を行い、該像様加熱された平版印刷版材料を用いて印刷を行う平版印刷方法において、該像様加熱の条件が、(1)該印刷の印刷枚数及び(2)該印刷の印刷条件と耐刷枚数と加熱条件との関係のデータ、に基づき設定された条件であることを特徴とする平版印刷方法。
【選択図】図1

Description

本発明は平版印刷版材料を用いた平版印刷方法、それに用いられる画像形成方法及びそれに用いられる画像露光装置に関し、特にコンピュータ・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な平版印刷版材料の平版印刷方法、それに用いられる画像形成方法及びそれに用いられる画像露光装置に関する。
現在、印刷の分野においては、印刷画像データのデジタル化に伴い、CTP方式による印刷が行われるようになってきているが、この印刷においては、安価で取り扱いが容易で従来の所謂PS版と同等の印刷適性を有したCTP方式用印刷版材料が求められている。
一方、特に近年、特別な薬剤による現像処理が不要であるダイレクトイメージング(以下DIと称す)性能を有し、この機能を備えた印刷機に適用可能であり、またPS版と同等の使い勝手を有するものとして、汎用タイプのプロセスレスプレートが求められている。
これに対して特別な湿式現像処理を必要としない、いわゆるドライCTP(印刷機上での現像を含む)方式の開発が進められている。
ドライCTP方式に用いられるものとして、例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に記載のアブレーションタイプのCTP方式、基材上に感熱性画像形成層を設け、レーザー露光による画像様の発熱により画像部を親水性層上に形成させる方式のもの等が挙げられる(特許文献1、特許文献2参照)。
これらのうち、レーザー光を熱に変換し画像部を親水性層上に形成する、感熱画像形成層を有する印刷版材料は、特別な薬剤による現像処理を必要とせず、鮮鋭なドット形状が得られ、高精細な画像形成には適している。
一方、多色刷り印刷の場合、通常カラー印刷ではイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4版分の印刷版を作製しなければならず、印刷開始までの製版工程時間の短縮が望まれている。
印刷は顧客の要望や目的により、印刷枚数がまちまちであり、多くの場合印刷版の耐久性に十分な余力を残して印刷が終了する場合があった。
また、印刷枚数の多いCMYK4色多色刷りの場合、印刷機のコンディションやインキ物性の違いにより、各版ごとの印刷可能枚数に差が生じ、他の3色版がまだ使用可能な状態でも1版が使用不可になるとそこで印刷が終了になる場合があり、耐刷性の向上が望まれていた。
特開2001−96710号公報 特開2003−25750号公報
本発明の目的は、製版工程の効率が向上した平版印刷方法、それに用いられる画像形成方法及びそれに用いられる画像露光装置を提供することにあり、さらに耐刷性にすぐれかつ製版工程の効率が向上した平版印刷方法、それに用いられる画像形成方法及びそれに用いられる画像露光装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)親水性表面を有する基材上に、機上現像可能な感熱画像形成層を含む構成層を有する平版印刷版材料を、像様加熱して画像形成を行い、該像様加熱された平版印刷版材料を用いて印刷を行う平版印刷方法において、該像様加熱の条件が、(1)該印刷の印刷枚数及び(2)該印刷の印刷条件と耐刷枚数と加熱条件との関係のデータ、に基づき設定された条件であることを特徴とする平版印刷方法。
(2)前記印刷が多色刷り印刷であることを特徴とする前記(1)項に記載の平版印刷方法。
(3)前記多色刷り印刷の印刷条件が多色刷り印刷における印刷順序であることを特徴とする前記(2)項に記載の平版印刷方法。
(4)前記多色刷り印刷の印刷条件が多色刷り印刷における印刷インキの組成であることを特徴とする前記(2)または(3)項に記載の平版印刷方法。
(5)前記像様加熱が光露光によるものであり、前記像様加熱の条件が該光露光のエネルギー量であることを特徴とする前記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の平版印刷方法。
(6)前記感熱画像形成層が熱溶融性素材を含有することを特徴とする前記(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の平版印刷方法。
(7)前記(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の平版印刷方法に用いられることを特徴とする画像形成方法。
(8)前記(7)項に記載の画像形成方法に用いられることを特徴とする画像露光装置。
本発明の上記構成により、製版工程の効率が向上した平版印刷方法、それに用いられる画像形成方法及びそれに用いられる画像露光装置が提供でき、さらに耐刷性に優れかつ製版工程の効率が向上した平版印刷方法、それに用いられる画像形成方法及びそれに用いられる画像露光装置が提供できる。
本発明は、親水性表面を有する基材上に、感熱画像形成層を含む構成層を有する平版印刷版材料を、像様加熱して画像形成を行い、該像様加熱された平版印刷版材料を用いて印刷を行う平版印刷方法において、該像様加熱の条件が、(1)該印刷の印刷枚数及び(2)該印刷の印刷条件と耐刷枚数と加熱条件との関係のデータ、に基づき設定された条件であることを特徴とする。
本発明では特に、予め耐刷枚数と印刷条件と加熱条件との関係を求めておき、この関係を利用して印刷枚数に応じ露光条件を設定することにより、耐刷性に優れかつ製版工程の効率が向上した平版印刷方法が得られる。
〔基材〕
本発明に係る親水性表面を有する基材は、基材の表面を親水化処理する方法あるいは基材上に親水性層を設ける方法により得られる。
本発明に係る基材としては、印刷版の基材として使用される公知の材料を使用することができる。
例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。アルミニウム板は、通常その表面に存在する圧延・巻取り時に使用されたオイルを除去するためにアルカリ、酸、溶剤等で脱脂した後に使用される。脱脂処理としては特にアルカリ水溶液による脱脂が好ましい。また、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下引き層の塗布を行なっても良い。
例えば、ケイ酸塩やシランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行なう方法が挙げられる。陽極酸化処理も易接着処理の一種と考えられ、使用することができる。また、陽極酸化処理と上記浸漬または塗布処理を組み合わせて使用することもできる。また、公知の方法で粗面化されたアルミニウム基材、いわゆるアルミ砂目を、親水性表面を有する基材として使用することもできる。
本発明の印刷版材料に用いることができるアルミニウム基材には、純アルミニウムおよびアルミニウム合金よりなる基材が含まれる。アルミニウム合金としては種々のものが使用でき、例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
アルミニウム基材は、粗面化処理に先立ってアルミニウム表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。また、脱脂処理には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理にアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。
脱脂処理にアルカリ水溶液を用いた場合には、燐酸、硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に電解粗面化を行う場合は、中和に使用する酸を電解粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
基材の粗面化としては公知の方法での電解粗面化処理を行うが、その前処理として、適度な処理量の化学的粗面化や機械的粗面化を適宜組み合わせた粗面化処理を行なってもかまわない。
化学的粗面化は脱脂処理と同様に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリの水溶液を用いる。処理後には燐酸、硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に電解粗面化を行う場合は、中和に使用する酸を電解粗面化に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
機械的粗面化処理方法は特に限定されないがブラシ研磨、ホーニング研磨が好ましい。
機械的に粗面化された基材は、基材の表面に食い込んだ研磨剤、アルミニウム屑等を取り除いたり、ピット形状をコントロールしたりする等のために、酸またはアルカリの水溶液に浸漬して表面をエッチングすることが好ましい。酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が含まれ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が含まれる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。
機械的粗面化処理に#400よりも細かい粒度の研磨剤を用い、かつ、機械的粗面化処理の後にアルカリ水溶液によるエッチング処理を行うことで、機械的粗面化処理による入り組んだ粗面化構造を滑らかな凹凸の表面とすることができる。このため、本発明の画像形成層を設けた際にも機上現像性を損なうことなく数μm〜数十μmの比較的長波長のうねりを形成することができ、これに後述する電解粗面化処理を加えることで、印刷性能が良好で、かつ、耐刷性向上にも寄与するアルミニウム基材とすることができる。また、電解粗面化処理時の電気量を低減することもでき、コストダウンにもつながる。
上記をアルカリの水溶液で浸漬処理を行った場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
中和処理の次に電解粗面化処理を行う場合は、中和に使用する酸を電解粗面化処理に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
電解粗面化処理は一般に酸性電解液中で交流電流を用いて粗面化を行うものである。酸性電解液は通常の電解粗面化法に用いられるものが使用できるが、塩酸系または硝酸系電解液を用いるのが好ましく、本発明においては塩酸系電解液を用いるのが特に好ましい。
電解に使用する電源波形は、矩形波、台形波、のこぎり波等さまざまな波形を用いることができるが、特に正弦波が好ましい。
また、特開平10−869号公報に開示されているような分割電解粗面化処理も好ましく用いることができる。
硝酸系電解液を用いての電解粗面化において印加される電圧は、1〜50Vが好ましく、5〜30Vが更に好ましい。電流密度(ピーク値)は、10〜200A/dm2が好ましく、20〜150A/dm2が更に好ましい。
電気量は全処理工程を合計して、100〜2000C/dm2、好ましくは200〜1500C/dm2、より好ましくは200〜1000C/dm2である。
温度は、10〜50℃が好ましく、15〜45℃が更に好ましい。硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。
電解液には、必要に応じて硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、蓚酸等を加えることが出来る。
本発明においては,電解粗面化処理された基材は、表面のスマット等を取り除いたり、ピット形状をコントロールしたりする等のために、アルカリの水溶液に浸漬して表面のエッチングを行う。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が含まれる。
アルカリ水溶液によるエッチング処理を行うことで、本発明の画像形成層を設けた際の刷り出し性や地汚れが非常に良好となる。
アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。中和処理の次に陽極酸化処理を行う場合は、中和に使用する酸を陽極酸化処理に使用する酸に合わせることが特に好ましい。
粗面化処理の次に、陽極酸化処理を行う。
本発明で用いられる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理により基材上には酸化皮膜が形成される。本発明において、陽極酸化処理には、硫酸および/または燐酸等を10〜50%の濃度で含む水溶液を電解液として、電流密度1〜10A/dm2で電解する方法が好ましく用いられるが、他に米国特許第1,412,768号に記載されている硫酸中で、高電流密度で電解する方法や、米国特許第3,511,661号に記載されている燐酸を用いて電解する方法等を用いることができる。
陽極酸化処理された基材は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
また、陽極酸化処理された基材は適宜、上記封孔処理以外の表面処理を行うこともできる。表面処理としては、ケイ酸塩処理、リン酸塩処理、各種有機酸処理、PVPA処理、ベーマイト化処理といった公知の処理が挙げられる。また、特開平8−314157号に記載の炭酸水素塩を含有する水溶液による処理や、炭酸水素塩を含有する水溶液による処理に続けてクエン酸のような有機酸処理を行ってもよい。
本発明に係る基材としてのプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
また、裏面のすべり性を制御する(例えば版胴表面との摩擦係数を低減させる)目的で、裏面コート層を設けた基材も好ましく使用することができる。
〔親水性層〕
親水性表面を有する基材は、上記のような基材の表面を親水化処理する方法、あるいは基材上に親水性層を設ける方法により得られる。
親水性層を設ける場合、親水性層は親水性素材を含み、親水性素材としては、金属酸化物が好ましく用いられる。
金属酸化物としては、金属酸化物の粒子を含むことが好ましい。
例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。
この金属酸化物粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良い。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
本発明には、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。
上記コロイダルシリカとしては、ネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
本発明に用いることができる親水性層は金属酸化物として多孔質金属酸化物粒子を含むことが好ましい。
多孔質金属酸化物粒子としては、多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
多孔質無機粒子の粒径としては、親水性層に含有されている状態で、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。
親水性層にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているもの、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
本発明の好ましい態様として、親水性層には後述の光熱変換剤を含有させることができる。
光熱変換素剤としては下記のような素材を挙げることができる。
一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
〔感熱画像形成層〕
本発明に係る感熱画像形成層(以下単に画像形成層と略記)は、像様加熱により画像形成可能な層であり、機上現像可能な層である。
機上現像可能な層とは、露光後、平版印刷における湿し水及びまたは印刷インキにより非画像部の画像形成層が除去され得ることをいう。
像様に加熱するには、直接熱源で画像様に加熱する方法、あるいはレーザーなどで、画像露光を行い、露光することにより発生する熱により加熱する方法があるが、本発明においては、レーザー光を用いた画像露光による方法が好ましく用いられる。
本発明に係る画像形成層は、像様加熱により加熱された部分が、親水性から疎水性に変化し、印刷時印刷インキ受容性である画像部となる得るものである。
画像形成層は熱により変形、溶融、軟化等の変化を生じる感熱性素材を含有する。また、画像形成層には、前述の光熱変換剤を含有させるのが好ましい態様である。
感熱性素材としては、熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、熱可塑性樹脂としては、熱溶融性粒子、熱軟化性粒子が特に好ましく用いられる。
[熱溶融性粒子]
熱溶融性粒子としては、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された粒子が挙げられる。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックスあるいは、蜜蝋、鯨蝋、モンタンワックス、カルナバワックス等が挙げられる。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。
更には、軟化点を下げたり作業性を向上させたりするためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でも特にカルナバワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックスを含有することが好ましい。
これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱溶融性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていたりしてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱溶融性粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
(光熱変換素材)
本発明に係る感熱画像形成層は、光熱変換素材を含むことが好ましい。
光熱変換素材としては下記のような素材を挙げることができる。
一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
[その他の光熱変換材]
本発明においては、光熱変換色素に加えて、それ以外の光熱変換材を併用することも可能である。
好ましく用いられる光熱変換材としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
これらの光熱変換材のうち、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。
ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。
したがって、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。
〔画像形成層に含有可能なその他の素材〕
本発明に係る感熱画像形成層にはさらに以下のような素材を含有させることが好ましい。
画像形成層には水溶性樹脂、水分散性樹脂を含有させることが好ましい。水溶性樹脂、水分散性樹脂としては、オリゴ糖、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜500万であることが好ましく、5000〜100万であることがより好ましい。
水溶性樹脂、水分散性樹脂は印刷版材料の経時保存後の地汚れや耐熱性、および機上現像性を向上させるために添加させる場合があるが、添加量を増やした場合、印刷版画像部の耐久性を低下させる場合があるため添加量は必要最低限であることが好ましく、通常50質量%以下の範囲が好ましく、30%以下の範囲がより好ましい。
また、画像形成層には、水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、F系、アセチレングリコール系等の界面活性剤を使用することができる。
さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
画像形成層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
本発明に係る構成層は、少なくとも感熱画像形成層を含む層である。感熱画像形成層以外の層としては、感熱画像形成層の上に設けられる、保護層、下に設けられる下引き層が挙げられる。
保護層に用いる素材としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂を好ましく用いることができる。また、特開2002−019318号や特開2002−086948号に記載されている親水性オーバーコート層も好ましく用いることができる。保護層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
本発明においては保護層に着色剤を含んでもよい。
画像形成層は、印刷機上現像可能な層であるが、印刷機上現像可能とするには、上述の感熱性素材、水溶性樹脂、水分散性樹脂などを含有させることにより得られる。
〔像様加熱〕
本発明に係る像様加熱する方法としては、サーマルヘッドなどの媒体による加熱あるいはレーザー光の照射による方法があるが、レーザー光を用いる方法が本発明においては好ましい。レーザー光を用いる方法の中でも、特にサーマルレーザーによる露光によって画像形成を行うことが好ましい。
例えば赤外及び/または近赤外領域で発光する、即ち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。
レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
走査露光に好適な装置としては、この半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
本発明の画像形成方法に用いられる画像露光装置は、前記の(1)印刷の印刷枚数及び(2)該印刷の印刷条件と耐刷枚数と加熱条件との関係のデータ、に基づき設定された条件で露光可能であることが必要であり、露光エネルギーの出力を制御する制御部を有する。
露光する方法としては、(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式が挙げられる。又特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)の露光方式が用いられる。
(画像形成方法)
本発明の平版印刷方法に用いられる画像形成方法は、(1)印刷の印刷枚数と、(2)印刷条件と耐刷枚数と加熱条件との関係のデータ、に基づき加熱の条件を設定することを特徴とする。
本発明では、2色以上の色を有する多色刷り印刷において、耐刷力が向上しかつ製版工程の効率化が改善される。
本発明における印刷条件と耐刷枚数と加熱条件との関係のデータとは、例えば印刷インキの組成などの印刷条件と、耐刷枚数(正常な印刷物が得られる最大の枚数)と、露光エネルギー量などの加熱条件との相関関係を示す表、グラフなどのデータである。
印刷条件としては、上記の使用される印刷インキの組成、印刷順序、印刷用紙、片面刷りか両面刷りか、印刷機のインキと湿し水の供給バランス、ブランケット胴と版胴との接触圧等がある。
これら様々な印刷条件と印刷可能な枚数と加熱条件との関係を数値化してデータを求めるためには、たとえば、ある印刷条件において、画像形成のための露光エネルギーを変化させて、実際に印刷を行い、耐刷枚数を求めることで可能である。
これらのうちでも特に、印刷順序あるいは、印刷インキの組成に関する印刷条件と耐刷枚数との関係のデータに基づく場合が本発明の効果が大きく、好ましい態様である。
本発明においては、加熱の方法としては、像様露光が好ましく、本発明に係る加熱の条件としては、この像様露光のエネルギー量である場合が好ましい態様である。
即ち、多色刷り印刷において、色の異なる版毎に露光エネルギーを調整して、露光することが好ましい態様であり、この場合、目的とする印刷枚数に応じて、各版毎にこの印刷枚数に必要な露光エネルギー量を求めこれに基づき、露光条件を設定することが好ましい態様である。具体的には、レーザーの走査速度、光量、露光時間などを調整することで設定でき、露光条件を設定する際には、複数の版のうち同一露光条件では予定印刷枚数に達しない版について、光量のアップやレーザー走査時間の速度を遅くすることにより、トータルでの印刷可能枚数を向上させることができる。
一方、上質紙を用いた多色刷りなどの場合は、印刷順序が早い版ほど、インキの転写されていない印刷用紙面が、ブランケットに接する面積が多く、その結果紙粉が印刷版に移行する率が高くなり、これが印刷版表面磨耗の原因となり、耐刷性の劣化が激しいことが、本発明者らによって見出されている。
このような場合、2色以上の多色刷り用の印刷機で印刷する印刷版を製版する場合、複数枚組の印刷版を画像形成する工程において、印刷機における版の印刷順がn番目(nは1以上)とn+1番目の版の画像形成に要するエネルギー量E(n)、(En+1)の関係がE(n)>(En+1)を満たす画像形成方法を用いることで多色刷りの印刷物の印刷可能枚数を増やすことができる。
印刷条件と耐刷枚数と加熱条件との関係のデータを求めるには、印刷条件としては用いられる印刷機の標準条件として設定されている条件を基にこのデータを求めることが好ましく、例えば印刷順序と印刷インキの組成を標準条件として(例えば、K−C−M−Yの順序)で印刷した場合の耐刷枚数を、露光エネルギーを変化させて測定することにより求めることができる。
(印刷インキ)
印刷インキ中には一般的に、下記の様な合成樹脂を溶かすための有機溶剤が含まれている。また、希釈用にも溶剤が使われる。
(1)石油系炭化水素類(脂肪族炭化水素類)
石油系は、脂肪族炭化水素類(n−へキサン、n−へプタン)が主で、ミネラルスピリットや高沸点石油溶剤(インキオイル)等がある。脂肪族炭化水素類は、ロジンやロジンエステル、マレン酸樹脂等の多くの樹脂を溶解するため、インキ用溶剤として広く使われている。グラビア、フレキソ、スクリーン等の溶剤乾燥型インキを用いる場合には、他の溶剤と併用して混合溶剤として用いることが多い。
(2)芳香族系炭化水素類
芳香族系炭化水素類は、脂肪族よりも溶解力が大きい。トルエン、キシレンが中心で、特にトルエンは、グラビアインキ用の溶剤として多く使用されている。
(3)アルコール系
メチルアルコール、エチルアルコール、IPA、ブチルアルコール等がある。印刷インキ用には、グラビアインキやフレキソインキにIPAが最も大量に使われている。オフ輪インキには、トリデシルアルコール(C1327OH)が少量添加される。
(4)エステル系
酢酸エチルが、多くの樹脂を溶解するためグラビアインキ、フレキソインキに他の溶剤と併用して使われる。酢酸ブチルは、スクリーンインキに用いられる。
(5)ケトン系
ケトンは溶解力が大きく、メチルエチルケトン(MEK)はグラビアインキに、シクロヘキサノン(アノン)はスクリーン用に使われる。
(6)グリコール及びその誘導体
エチレングリコールモノエチル、(セロソルブ)が、グラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ等に使用されている。
これらの溶剤は、印刷時において印刷版の画像形成層に移行、浸透すると膨潤、溶解を生じ、耐刷性を低下させる場合があり、このため印刷インキの選択によって印刷可能な枚数が変動する。
〔機上現像方法〕
本発明の平版印刷方法では、画像露光による未露光部は、印刷時に印刷機上で完全に除去されて非画像部となり印刷が行われる。
印刷機上での画像形成層の未露光部の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行なうことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行なうことができる。
また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転させ、次いで、印刷を開始する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例中「部」は特に断りのないかぎり「質量部」を表す。
(基材の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、塩酸10g/L、アルミを0.5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が50A/dm2の条件で電解粗面化処理を行なった。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は12回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を40C/dm2とし、合計で480C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。また、各回の粗面化処理の間に5秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が1.2g/m2になるようにエッチングし、水洗し、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いで、20%硫酸水溶液中で、20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2となるように陽極酸化処理を行い、さらに水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、90℃に保たれた0.1質量%のリン酸二水素ナトリウム水溶液に30秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、基材1を得た。基材1のRaは460nmであった(WYKO社製RST Plusを使用し、40倍で測定した)。
(平版印刷版材料の作製)
[印刷版材料1〜10](実施例および比較例)
下記組成の素材を十分に混合攪拌し、濾過して固形分10質量%の画像形成層(a)の塗布液を調製した。ロール状の基材1の表面に、画像形成層(a)の塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥付量が0.9g/m2となるように塗布し、55℃で3分間乾燥し巻き取った。ついで、40℃24時間のエイジング処理を行った。
画像形成層(a)
カルナバワックスエマルジョン:A118(岐阜セラック社製、平均粒子径0.3μm、軟化点65℃、融点80℃、140℃での溶融粘度8cps、固形分40質量%)
17質量部
二糖類トレハロース(林原商事社製商品名トレハ、融点97℃)の水溶液、固形分20質量% 12質量部
ポリアクリル酸ナトリウム:アクアリックDL522(日本触媒社製)の水溶液、固形分10質量% 6質量部
光熱変換色素:ADS830WS(American Dye Source社製)の1質量%水溶液 55質量部
純水 10質量部
(比較例(画像形成−印刷))
赤外線レーザー露光による画像形成
印刷版材料を外面露光ドラムに巻付け、ドラム表面を減圧吸引することで固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、露光エネルギーを300mJ/cm2として、2400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像とを含むものである。
印刷方法
K(黒)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各印刷版に画像露光を行い、次いで小森コーポレーション(株)製リスロン426印刷機にてOKトップコート(王子製紙(株)製)、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製TKハイユニティネオ墨、藍、紅、黄)を用いて9000枚/時の印刷速度で印刷を行った。印刷の順序はK→C→M→Yの刷り順で行った。
印刷評価:
[耐刷性]
各印刷版材料について、刷り出しから13000枚までの印刷において、100%ベタ部に、20倍ルーペで目視観察した際の、微小なインキの付着しない白抜け部が、何枚目の印刷で生じるかを観察した。結果を表1に示した。
K:8000枚
C:11000枚
M:12000枚
Y:12500枚
Figure 2007083419
上記、結果から分かるように4色刷りにおいて、良好な印刷物が得られるのは8000枚までであった。
(実施例1)
次に、比較例における赤外画像露光において、ドラム回転数を変更することで、画像形成のための露光エネルギーを180〜420mJ/cm2まで変化させて、上記評価方法における耐刷性をKCMYの各版について確認した。結果を図1に示した。
図1より、4色の各版が10000枚印刷可能になるように、ドラム回転数を下記値に露光量を調整して印刷版を作製して、同様に印刷を行った。その結果、多色刷りの印刷物として印刷可能な枚数は、10000枚となり、露光に要する時間が、12.5%短縮された。
K:330mJ/cm2
C:270mJ/cm2
M:240mJ/cm2
Y:210mJ/cm2
上記結果から、本発明の画像形成方法によれば、印刷の刷り順の早い版の露光エネルギーを上げることで露光に必要な時間を短縮しつつ、印刷可能な枚数を増やすことができる。
同様にして、4色の各版が11000枚印刷可能になるように、ドラム回転数を下記値に露光量を調整して印刷版を作製して、同様に印刷を行った。その結果、多色刷りの印刷物として印刷可能な枚数は、11000枚となり、露光に要する時間が、約3%短縮された。
K:350 mJ/cm2
C:300 mJ/cm2
M:270 mJ/cm2
Y:240 mJ/cm2
(実施例2)
上記印刷における、印刷インキのうちマゼンタインキに希釈溶剤として、トルエン:メチルエチルケトン:イソプロパノール=1:1:1の混合溶剤を用いて、インキ:混合溶剤=92:8の比でインキを希釈した。その結果露光エネルギーと印刷可能枚数の関係は図2の様に変化した。
上記と同一の露光量
K:330mJ/cm2
C:270mJ/cm2
M:240mJ/cm2
Y:210mJ/cm2
で露光印刷した場合、良好な印刷物が得られるのは9000枚までであった。
次に、その他の条件は同一で、図2及び、印刷枚数10000枚、に基づき、マゼンタ版の露光量を240→270mJ/cm2に変更することで、良好な4色カラー印刷物10000枚が得られた。
露光エネルギー、耐刷枚数、インキ種類の関係を示すグラフ 露光エネルギー、耐刷枚数の関係を示すグラフ

Claims (8)

  1. 親水性表面を有する基材上に、機上現像可能な感熱画像形成層を含む構成層を有する平版印刷版材料を、像様加熱して画像形成を行い、該像様加熱された平版印刷版材料を用いて印刷を行う平版印刷方法において、該像様加熱の条件が、(1)該印刷の印刷枚数及び(2)該印刷の印刷条件と耐刷枚数と加熱条件との関係のデータ、に基づき設定された条件であることを特徴とする平版印刷方法。
  2. 前記印刷が多色刷り印刷であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷方法。
  3. 前記多色刷り印刷の印刷条件が多色刷り印刷における印刷順序であることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷方法。
  4. 前記多色刷り印刷の印刷条件が多色刷り印刷における印刷インキの組成であることを特徴とする請求項2または3に記載の平版印刷方法。
  5. 前記像様加熱が光露光によるものであり、前記像様加熱の条件が該光露光のエネルギー量であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の平版印刷方法。
  6. 前記感熱画像形成層が熱溶融性素材を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の平版印刷方法に用いられることを特徴とする画像形成方法。
  8. 請求項7に記載の画像形成方法に用いられることを特徴とする画像露光装置。
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