JP2007080973A - 直線型x線レーザー発生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子ビームを発生し加速する装置(1)と、発生した電子ビーム(4)の輸送軌道上に配置された複数のターゲット(2)と、複数のターゲット(2)に電子ビーム(4)を衝突させて発生したX線(5)を単色化するX線ミラー(3)とを備え、各ターゲット(2)で発生するX線(6)を互いに干渉させてX線レーザーを発生させる。
【選択図】 図1
Description
前記X線レーザー発生装置において、前記ターゲットが、多層膜、回折格子及び結晶からなる群の中から選択されるいずれかであることを特徴とするX線レーザー発生装置である。
前記X線レーザー発生装置において、前記電子ビームの輸送軌道の外に配置され、発生する前記X線を互いに干渉させるX線ミラーを備えることを特徴とするX線レーザー発生装置である。
前記X線レーザー発生装置において、前記ターゲットを回転及び平行移動する機構を具備し、該機構によって前記X線の波長を選択し干渉させることを特徴とするX線レーザー発生装置である。
前記X線レーザー発生装置において、前記電子ビームの輸送軌道の外に配置した前記X線ミラーの位置が変更可能であることを特徴とするX線レーザー発生装置である。
前記X線レーザー発生装置において、前記電子ビームのパスを遅延させる磁石を備え、前記X線と前記電子ビームとを同期させることを特徴とするX線レーザー発生装置である。
前記X線レーザー発生装置において、前記電子ビームの軌道を変更する磁石を備え、発生した前記X線と前記電子ビームとを前記磁石によって分離することを特徴とするX線レーザー発生装置である。
前記X線レーザー発生装置において、前記電子ビームの輸送軌道上に配置された4重極磁石を備え、該4重極磁石によって前記電子ビームを前記ターゲットの位置に収束させ、前記X線と前記電子ビームの干渉効果を高めることを特徴とするX線レーザー発生装置である。
電子ビームの軌道は、本実施例では直線であるが、図3に示したように、電子ビームの軌道を蛇行させるように構成することも可能である。電子ビームを輸送する距離は、1mから10mとすることができるが、取り出したいX線強度を考慮して決定すればよい。
電子ビームを輸送するとき、電子ビームの発散を押さえるために、四重極磁石12を設置するのが良い。場所的には、ターゲット2との衝突により電子ビームが発散するのを押さえるためにターゲット2の位置に対応させて設置するのが良い。しかし、四重極磁石12は無くてもよく、その設置場所を、ターゲット2の位置に対応しない場所とすることもできる。
ターゲット2は、電子軌道4に沿って等間隔に置いているが、間隔を決定するための理論は次節でのべる。ターゲットに結晶を用いるとき、結晶面は電子の進行方向に対して、所定の傾きを持たせるが、その角度は、結晶面の格子数と取り出す単色X線の波長により決定する。
電子エネルギーが低く100MeV以下であるような場合には、電子のスピードが光速ではないので時には、電子ビームとX線の間に位相差が発生する。従って、ターゲット2を設置する位置は、この位相差がX線の波長λの整数倍になるような位置とする。β(光速に対する電子速度の比)が0.999999(エネルギーに換算して361MeV)であるような電子ビームの場合には、光が10mm伝搬する間に、電子ビームは、10nm遅れる。従って、10mm間隔もしくはその整数倍の間隔でターゲットを設置し、波長10nmのX線を取り出せば、コヒーレント長の長いX線を取り出すことができる。もちろん高調波である波長1nmや0.1nmのX線も発生する。ターゲットを1mm間隔に精度良く設置すれば、波長1nmとその高調波を発生することができ。
以上の様に直進する電子ビーム軌道上の特定の位置に結晶あるいは回折格子あるいは多層膜を設置するのが本発明の第1の構成である。このとき反射ミラー3は必須条件ではない。電子エネルギーは比較的高い方が短波長の発生に好適である。
反射ミラー3が有る場合には、ターゲット2として非結晶物質を使うこともできる。即ち反射ミラー3で単色化を行ない、反射されたX線がターゲット2の位置で、電子ビームと位相が合うように反射ミラー3の位置を設定すれば、干渉によりさらにX線強度は増幅される。しかも電子ビームからX線の強制誘導放出を起こさせることが出来る。もちろんターゲット2に結晶または多層膜を用いる方が効率が良いので、その様な場合について以下で述べる。
伝搬したX線5が、X線ミラー3で反射され、結晶2'に同じ入射角Xで進入するように、反射ミラー3を設置しているので、回折光はやはり±Xの方向に伝搬する。従って、反射ミラー3で反射され、回折を受けたX線も電子の進行方向に伝搬する成分を持つ。X線ミラー3は、特定の単色X線を反射する材質でなければならない。従って、全反射ミラーを使うのが好ましい。しかしながら、入射角が大きな場合には高エネルギーX線に対して反射率が落ちるために、特定の結晶を用いるか、多層膜を用いるのが良い。
しかし、実際には、干渉性の高いX線が作る位相のそろった電磁波により、X線の強制誘導放出が起こる。制動放射が起こるプロセスは、電子ビームがターゲットの核子の近傍を通るときに、曲げられて、光子を放出する事によるが、その様な電子と核子がつくる場に電磁波が存在することにより、強制誘導放出が起こる。これは通常のレーザーで、原子を励起することにより反転分布を発生させたところへ電磁波が進入すると強制誘導放射が起こるのに似ている。入射電子ビームは、あたかも原子核を周回する軌道電子のように振る舞う。原子核の近傍を通過する高エネルギー電子は、いつでもX線を放出できる励起状態に有ると考えてよく、反転分布を形成しているので、ここへ電磁波が進入すると、その波長の電磁波を強制誘導放出することになる。制動放射で白色X線が放出されると言う現象は、当該電子が原子核のつくるポテンシャル中で、連続的な順位にあると解釈して良い。その連続順位の一つが、特定波長の入射X線と共鳴を起こすわけである。しかも電磁波と電子ビームは同じ位相速度で伝搬しているために強制誘導放射を起こす確率は極めて高い。このような増幅プロセスは、自由電子レーザーにも類似している。自由電子レーザーの場合は、磁石で曲げられることにより白色光を発生するが、磁石によりキャプチャーされた電子がつくる順位がやはり連続順位だと解釈できるのである。自由電子レーザーを量子力学的に解釈すると、このような連続順位に単色電磁波が進入して誘導放射を行うと考えて良い。但し、本発明のX線レーザーでは、電子ビームと光(X線)が常に正確に同じ位相でターゲットに到達するため、電子ビームのマイクロバンチングについて考慮する必要は無い。
結果として、本発明のX線レーザー発生装置で発生させたX線レーザーが飽和に達した場合のX線強度は、電子数の2乗に比例する、例えば電子数が10の10乗個のとき、X線光子数は、10の20乗個になる。これは極めて大きな値であり、現在計画されているX線レーザー発生装置及び既存X線レーザー発生装置よりも大きい値である。
第0011段落で述べている、電子ビームを蛇行させる装置は、強度と極性の異なる平行に配置された複数の磁石14で構成されていて、電子軌道を符号13で示した様に蛇行させて、電子ビームが次のターゲットに到着するのを遅延させることにより、X線ミラー3を経由して到着したX線が同時にターゲットに到着するよう磁力を調整する機構を備えた装置であり、自由電子レーザー等で用いられている公知の技術を用いて製作され得る。複数の磁石14は、電磁石で構成することができるが、永久磁石を用いて、磁極間隙を調整して、磁力分布を変更する事によっても同様に実現できる。この場合には、電子エネルギーが低くても、電子ビームとX線を正確に同期させることが出来る点で優れている。
以上、詳しく説明したように、本発明のX線レーザー発生装置は、1keV以上のX線レーザーの発生が容易であり、しかも結晶あるいは回折格子あるいは多層膜の位置と角度を変えることにより、容易に波長を選択できるX線レーザー発生装置を提供できる。もちろん1keV以下の光を発生することもできる。
2…ターゲット
2’…ターゲット
3…X線ミラー
4…電子軌道
5…X線
6…X線
7…ポート
8…ポート
10…磁石
11…ダンパー
12…四重極電磁石
13…蛇行した電子軌道
14…電子軌道を蛇行させるための磁石
Claims (8)
- 電子ビームを発生し加速する装置と、発生した電子ビームの輸送軌道上に配置された複数のターゲットと、複数の前記ターゲットに前記電子ビームを衝突させて発生したX線を単色化する機構とを有し、各前記ターゲットで発生し単色化したX線を互いに干渉させてX線レーザーを発生するX線レーザー発生装置。
- 請求項1のX線レーザー発生装置において、前記ターゲットが、多層膜、回折格子及び結晶からなる群の中から選択されるいずれかであることを特徴とするX線レーザー発生装置。
- 請求項1または2のX線レーザー発生装置において、前記電子ビーム輸送軌道の外に配置され、発生する前記X線を互いに干渉させるX線ミラーを備えることを特徴とするX線レーザー発生装置。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載のX線レーザー発生装置において、前記ターゲットを回転及び平行移動する機構を具備し、該機構によって前記X線の波長を選択し干渉させることを特徴とするX線レーザー発生装置。
- 請求項3または4のX線レーザー発生装置において、前記電子ビーム輸送軌道の外に配置した前記X線ミラーの位置が変更可能であることを特徴とするX線レーザー発生装置。
- 請求項5のX線レーザー発生装置において、前記電子ビームのパスを遅延させる磁石を備え、前記X線と前記電子ビームとを同期させることを特徴とするX線レーザー発生装置。
- 請求項1〜6の何れかの項に記載のX線レーザー発生装置において、前記電子ビームの軌道を変更する磁石を備え、発生した前記X線と前記電子ビームとを前記磁石によって分離することを特徴とするX線レーザー発生装置。
- 請求項1〜7の何れかの項に記載のX線レーザー発生装置において、前記電子ビーム輸送軌道上に配置された4重極磁石を備え、該4重極磁石によって前記電子ビームを前記ターゲットの位置に収束させ、前記X線と前記電子ビームの干渉効果を高めることを特徴とするX線レーザー発生装置。
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