以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
<実施形態1>
図1Aは本発明の実施形態1の座標入力装置の外観構成を示す図である。
図1Aにおいて、L1及びL2はそれぞれ投光部および受光部を有する光学ユニットであり、これらの2組の光学ユニットによって、センサユニット1Lが構成されている。同様に、R1及びR2はそれぞれ投光部および受光部を有する光学ユニットであり、これらの2組の光学ユニットによって、センサユニット1Rが構成されている。
また、センサユニット1L内の光学ユニットL1及びL2は、ほぼ同一の方向、同一の視野で、投光/受光を行い、所定の視差をもって到来光を観測するように配置されている。同様に、センサユニット1R内の光学ユニットR1及びR2は、ほぼ同一の方向、同一の視野で、投光/受光を行い、所定の視差をもって到来光を観測するように配置されている。
更に、センサユニット1L及び1Rは、図示の如く座標入力面であるところの座標入力有効領域3のX軸に平行に、かつY軸に対称な位置に、所定距離離れて配置されている。センサユニット1L及び1Rは、制御・演算ユニット2に接続され、制御信号を制御・演算ユニット2から受信すると共に、検出した信号を制御・演算ユニット2に送信する。
4a〜4cは入射光を到来方向に反射する再帰反射面を有する再帰反射部であり、座標入力有効領域3の外側3辺に図示が如く配置されている。また、これらの再帰反射部4a〜4cは、それぞれのセンサユニット1L及び1Rから略90°範囲に投光された光を、センサユニット1L及び1Rに向けて再帰反射する。
尚、再帰反射部4a〜4cは、ミクロ的に見て三次元的な構造を有し、現在では、主にビーズタイプの再帰反射テープ、或いはコーナキューブを機械加工等により規則正しく配列することで再帰現象を起こす再帰反射テープが知られている。
再帰反射部4a〜4cで再帰反射された光は、センサユニット1L(光学ユニットL1及びL2)及び1R(光学ユニットR1及びR2)によって1次元的に検出され、その光量分布が制御・演算ユニット2に送信される。
座標入力有効領域3は、PDPやリアプロジェクタ、LCDパネルなどの表示装置の表示画面で構成することで、インタラクティブな入力装置として、利用可能となっている。
このような構成において、座標入力有効領域3に指や指示具等の指示手段による入力指示がなされると、センサユニット1L及び1R内のそれぞれの、光学ユニットL1及びL2と光学ユニットR1及びR2の投光部から投光された光が遮られる(遮光部分)。この場合、センサユニット1L及び1R内のそれぞれの、光学ユニットL1及びL2と光学ユニットR1及びR2の受光部では、その遮光部分の光(再帰反射による反射光)を検出できない。そこで、この検出状況に基づいて、光学ユニットL1及びL2それぞれが、どの方向からの光が検出できなかったかを判別することが可能となる。
そこで、制御・演算ユニット2は、センサユニット1L(光学ユニットL1及びL2)及び1R(光学ユニットR1及びR2)が検出する光量変化から、指示具によって入力指示された部分の複数の遮光範囲を検出する。次に、その遮光範囲の情報から、センサユニット1L(光学ユニットL1及びL2)及び1R(光学ユニットR1及びR2)それぞれに対する遮光範囲の端部の方向(角度)をそれぞれ算出する。また、指示具が信号発信部を有する場合には、その指示具からのペン信号をペン信号受信部5が受信する。
そして、検出された遮光範囲の数に基づいて、座標算出に用いる遮光範囲から得られるデータを決定する。次に、それぞれ算出された方向(角度)、及びセンサユニット1L(光学ユニットL1及びL2)及び1R(光学ユニットR1及びR2)間の距離情報等から、座標入力有効領域3上の指示具の遮光位置を幾何学的に算出する。そして、表示装置に接続されているホストコンピュータ等の外部端末に、インタフェース7(例えば、USB、IEEE1394等)を経由してその座標値を出力する。
このようにして、指示具によって、画面上に線を描画したり、表示装置に表示されるアイコンを操作する等の外部端末の操作が可能になる。
尚、以下の説明では、座標入力有効領域3に垂直な方向を高さ方向(Z方向)とし、座標入力有効領域3に近い方向を「下」、遠い方向を「上」と表現する。また、図1Aにおいて、センサユニット1L(光学ユニットL1及びL2)及び1R(光学ユニットR1及びR2)は、遮光を実効的に検知する範囲、即ち、第1の遮光検知窓の実態的存在として表現される。
即ち、センサユニット1L(光学ユニットL1及びL2)及び1R(光学ユニットR1及びR2)の半円筒形状の厚さ(Z方向)が、高さ方向に定義される実効的遮光検知窓の大きさである。
特に、高さ方向における第1の遮光検知窓の定義は、センサユニットの投光窓ないし受光窓ではない。実際に、センサユニットのごく近傍において上側から指示具を挿入して遮光を行った場合に、実際に遮光を検知し始める高さを第1の遮光検知窓の上端、遮光の比率が実質的に100%になる高さを第1の遮光検知窓の下端としている。そして、このような、上端、下端で定義される窓を第1の遮光検知窓と定義する。
また、遮光検出領域とは、センサユニットから投光された光が再帰反射して、センサユニットで受光されるまでの光路の領域の中で、その部分を指示具で上側から一部でも遮った時に、その受光される光強度が低下し、そのことが検出できる領域として定義する。従って、遮光検出領域は、ある座標位置においては、高さの範囲として定義され、所定の範囲をもつ座標入力有効領域に対しては、3次元的領域として定義される。また、センサユニットから見たある方向に対しては、3次元的領域の断面をなす2次元的領域として定義される。
このように、構成することにより、指示具によって遮光された場合に、センサユニット1L及び1Rでは、常に互いに略同一レベルの遮光比率で影を検出することができる。また、図1Bにおける縦じまの部分は、三次元的遮光検出領域の三次元的形状を分かりやすくするために付け加えた断面図であり、本発明において特別な意味をなす断面ではない。
尚、図1A及び図1Bでは、1つのセンサユニット内に、2つの光学ユニットを内蔵する複眼(二眼)構成の例を挙げているが、図2A及び図2Bに示すように、1つのセンサユニット内に1つの光学ユニットを内蔵する単眼構成とすることも可能である。
そこで、以下では、説明を簡単にするために、図3〜図23では、図2A及び図2Bの単眼構成の場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。例えば、図1A及び図1Bの複眼(二眼)構成、あるいは、1つのセンサユニット内に3個以上の光学ユニットを内蔵する複眼構成であっても、本発明を適用することができる。
但し、複眼構成の場合は、センサユニットを構成する各光学ユニットに対して、以下の説明が適用される。つまり、単眼構成の場合、センサユニットとそれが内蔵する1つの光学ユニットは同一視して説明することができる。一方、複眼構成の場合、センサユニットを構成する複数の光学ユニットそれぞれに対して、図3〜図23の説明が適用されることに注意されたい。
<課題の説明>
ここで、本発明における課題を、図を用いて詳しく説明する。
図3は本発明における課題を説明するための図である。
従来より、センサユニット1L及び1R、および再帰反射部4(4a〜4c)は、できるだけ座標入力面に近づけるよう設計されてきた。また、上記特許文献2等で見られるように、センサユニットにおいて、反射ミラー等の光学部材を用いることにより、投光位置と受光位置をできるだけ、同じ位置、高さにすること、できるだけ座標入力面に近づけることが言及されている。また、投光/受光ともできる限り平行にする(コリメートする)ことを想定した座標入力装置について言及されている。
ここで、仮に、投光/受光が厚み方向に完全に平行にされていて、再帰反射部が投光の指向範囲(視野範囲)、受光の指向範囲(視野範囲)を厚み方向において包含するような形と大きさに設定されているとする。この場合、三次元的遮光検出領域は、再帰反射部の形状にはよらず、投光あるいは受光の光路のみで決まるということができる。
ここで、厚み方向とは、座標入力面(座標入力有効領域3)に垂直な方向(Z方向)を意味する。
しかしながら、実際には、例えば、エコーバックを表示する表示画面との関わり、装置全体の構造等による実装制限、またコスト、精度等の制限により多くの場合、投光/受光とも厚み方向に十分なコリメートができると状態にあるとは言えない。
このため、多くの場合、現実的には、再帰反射部の幅(厚み方向の幅)より、光学ユニットの投光の指向範囲/受光の指向範囲を厚み方向において広く構成する。即ち、投光/受光の厚み方向の指向範囲が再帰反射部を包含するように構成することにより、三次元的遮光検出領域は、再帰反射部の形状によって決まるように構成されている。
特に、本発明においては、投光/受光の厚み方向の指向範囲が再帰反射部を包含するのみでなく、座標入力面の多くの部分を、詳しくはセンサユニットの近傍を除いたほとんどの部分を包含するように構成されている。
ここで、投光の指向範囲/受光の指向範囲は再帰反射部を包含し、かつ座標入力面は包含しない、ないし座標入力面が光を反射しないという構成もある。
これに対し、本発明は、投光の指向範囲/受光の厚み方向の指向範囲は、再帰反射部を包含するのみでなく、座標入力面のセンサユニットの近傍を除く大半を包含するものである。
いずれの場合も、現実の構成として成立するものであるが、厚み方向の指向範囲を制限しない場合の方が、センサユニット自体の精度、取り付け精度、全体の構造体の剛性、製造コスト、設計の自由度等、多くの面で扱いが容易である。
一方、このような場合、夫々のセンサユニット1L及び1Rから見た三次元的遮光検出領域は複雑な形状となり、センサユニット1L及び1Rの三次元的遮光検出領域は、共通領域とは必ずしもなっていないのが現状である。
このため、夫々のセンサユニット1L及び1Rから見た三次元的遮光検出領域は妥協的な形となり、センサユニット1L及び1Rの三次元的遮光検出領域は、共通領域とは必ずしもなっていないのが現状である。
本発明は、このような構成において発生する課題を解決する手法を提案するものである。
以下、図3を例に、課題を説明する。
図3では、センサユニット1L及び1Rは、座標入力面である座標入力有効領域3に対し、再帰反射部4a〜4cと比べて、より高い位置に設置されている。
実際、表示装置に、この種の遮光方式の座標入力装置を組み込むあるいはオーバーレイする場合、このような構成配置にならざるを得ないことが多い。
センサユニット1L及び1Rは、一定の大きさがあるので、表示画面の黒枠(表示面と同一平面で実際には表示されない外側の部分)に設置することができない。そのため、表示装置の外枠(表示面より一段飛び出した部分、いわゆる額縁)に乗り上げるような配置となる。
一方、座標入力装置としては、違和感のない書き味にするためには、遮光検出領域をできるだけ座標入力面に近づけたいという要望がある。また、実装の容易性という長所もあるため、図3に示すように、細長い形状の再帰反射部は、表示画面の黒枠に収める、即ち、表示面に接近した配置となる。
ここで、センサユニット1L及び1R夫々の三次元的遮光検出領域を考えてみる。
まず、図4に示すように、センサユニット1L(1R)の投光部から投光された光は、一部は直接再帰反射部4に到達する。次に、そこで再帰反射された光は、一部は直接に受光部に到達し、一部は座標入力有効領域3の座標入力面で反射した後、受光部に到達する。
一方、投光部から投光された他の一部は、座標入力有効領域3の座標入力面で反射した後、再帰反射部4に到達する。次に、そこで再帰反射された光は、一部は直接受光部に到達し、一部は座標入力有効領域3の座標入力面で反射した後、受光部に到達する。
即ち、本構成の場合、図4に示すように、指示具によって遮光するための光は、4つの光路(光路1、光路2、光路3、光路4)に分けて考えることができる。
ここで、再帰反射とは、本来、投光された光を、そのまま投光された方向に反射するものであるが、実際には、反射方向は、投光された方向に対して若干の広がりを持つ。例えば、かなり性能の良いものでも、半値幅で1〜2度程度の広がりを持つ。
従って、センサユニットの大きさと、座標入力有効領域3の大きさにもよるが、多くの場合、光路1〜4が成立し、かつ光路2、3における観測角(投光と反射光の相対角度)が上記の半値幅に対して無視できない場合がある。この場合、それに応じて光強度に減衰係数がかかると考えて扱えば、やはり、光路1〜4は成立する。
そこで、実際の遮光検出領域であるが、センサユニット1Lに関しては、センサユニット1Lから投光される光は、対向する再帰反射部4との間で、光路1〜4を通って受光部に戻ってくる。このため、図5Aに示すように、センサユニットの検知窓と対向する再帰反射部の間は、下に凸形状を成す2つの面ではさんだような形状となり、また、その凸の部分において、三次元的遮光検出領域は座標入力面にほぼ接するような形状となる。
同様に、センサユニット1Rに関しても、図5Bに示すような三次元的遮光検出領域を形成することとなる。
図5A及び図5Bから明らかなように、センサユニット1Lに関わる三次元的遮光検出領域と、センサユニット1Rに関わる三次元的遮光検出領域とでは、立体的に異なる。即ち、両者間では、略同一の三次元遮光検出領域を構成しているわけではない。
ここで、図3のC1点ないしC2点に指示具を挿入することを考える。
C1点では、図5Aに示すように、センサユニット1Lに関する三次元的遮光検出領域は、センサユニット1Lに近いため、比較的高い位置(座標入力面から離れた位置)にある。
一方、図5Bに示すように、センサユニット1Rに関する三次元的遮光検出領域は、C1点では、近傍の再帰反射部4bの高さに近い高さ、即ち、比較的低い位置(座標入力面に接近した位置)にある。
ここで、図6A及び図6Bに示すような、「ペン先高さ 対 遮光率」特性または「指示具高さ 対 遮光率」を考える。図6A及び図6Bにおいて、横軸は、ペン先高さH(即ち、指示具の実効的先端と座標入力面との距離)である。一方、縦軸は、センサユニットにおける遮光率であり、例えば、指示具を座標入力面に近づけて行く場合は、図6A及び図6Bにおいて、右から左に移動することとなる。
指示具が挿入されていない時点は、遮光率は0%(規格化光強度100%)である。また、指示具が座標入力面に対しある高さ位置まで近づくと、遮光率は上昇し始める(規格化光強度は低下し始める)。その後、遮光率は、ある位置でおよそ100%近くに達し、その後、一定となる。
まず、C1点の位置において、指示具の挿入操作を行った場合、図6A中の破線がセンサユニット1Lに関する遮光率の変位を示す軌跡であり、実線がセンサユニット1Rに関するものである。
C1点の近傍において、センサユニット1Lに関する三次元的遮光検出領域は高い位置にあるので、図6Aで示す破線の軌跡が大きく変化する部分は右に寄っている。
一方、センサユニット1Rに関する三次元的遮光検出領域は、再帰反射部4bの高さにほぼ一致する関係にあるので、図6A中で示す実線の軌跡はほぼそれに従った位置にある。
即ち、何れもこの大きく変化する部分が、センサユニット1L及び1Rの各センサユニットの三次元遮光検出領域を通過する部分であるということができる。
また、これらの図3、図5A及び図5Bに示す構成の場合、C1点の近傍において、センサユニット1Lに関する三次元的遮光検出領域は、センサユニット1Rに関する三次元的遮光検出領域よりも高さ方向に対して薄い。そのため、図6Aにおいて、遮光率の軌跡(カーブ)の変化する部分が、センサユニット1Lの方がセンサユニット1Rに比べて狭くて急峻である。
以上のように、従来構成においては、左右のセンサユニット1L及び1Rで検知する「ペン先高さ 対 遮光率」特性が異なる。
そして、このよう特性において遮光検知を行う場合、次のような問題が発生する。
例えば、影が有りと判定するとするのは、次の場合とする。指示具が座標入力面に対して上から挿入されて行き、その高さHが、図6AのHth_R≦H≦Hth_Lで示される範囲に至った時で、かつセンサユニット1L及び1R夫々が検出する影の強度、即ち、遮光率が所定閾値thsh0を超えた時である。
このような構成の場合、センサユニット1Lでは、H=Hth_Lのとき、影を最初に検知する。一方、センサユニット1Rでは、H=Hth_Rのとき、影を最初に検知する。
従って、Hth_R≦H≦Hth_Lで示される範囲にあっては、指示具の影は、センサユニット1Lでは観測されるが、センサユニット1Rでは観測されない状態となる。
同様に、C2点の場合を、図6Bに示す。C2点の近傍においては、センサユニット1Lに関する三次元的遮光検出領域は、座標入力面の反射の影響で該座標入力面に接近している。一方、センサユニット1Rに関する三次元的遮光検出領域は、再帰反射部4bの高さにほぼ一致する関係にある。
従って、図6Bに示すように、C2点の位置において、指示具の挿入操作を行った場合、図6B中の破線がセンサユニット1Lに関する遮光率の変位を示す軌跡であり、実線がセンサユニット1Rに関するものである。
C2点の近傍において、センサユニット1Lに関する三次元的遮光検出領域は、座標入力面の反射の影響で座標入力面に接近している、即ち、低い位置にあるので、図6Bで示す破線の軌跡が大きく変化する部分は左に寄っている。
一方、センサユニット1Rに関する三次元的遮光検出領域は、再帰反射部4bの高さにほぼ一致する関係にあるので、図6B中で示す実線の軌跡は、ほぼそれに従った位置にある。
即ち、何れもこの大きく変化する部分が、センサユニット1L及び1Rの各センサユニットの三次元遮光検出領域を通過する部分であるということができる。
そして、このよう特性において遮光検知を行う場合、次のような問題が発生する。
このような構成の場合、センサユニット1Lでは、H=Hth_Lのとき、影を最初に検知する。一方、センサユニット1Rでは、H=Hth_Rのとき、影を最初に検知する。従って、Hth_L≦H≦Hth_Rで示される範囲にあっては、指示具の影は、センサユニット1Lでは観測されるが、センサユニット1Rでは観測されない状態となる。
ここまで述べてきたことは、複数の指示具で同時に入力(複数入力操作)を行ったときに、大きな問題となる。
以下、この複数入力時の問題について説明する。まず、この問題を説明するに当たり、単一入力時の座標検出について説明する。
図7は、図3における単一入力操作を上から見た図である。
図7において、C1点の位置に入力を行った場合、通常、図8及び図9のθL、θRの位置に影ができる。ここで、図8は、指示具の高さH≦H2_Rのとき(即ち、指示具が十分座標入力面近傍まできたとき)の、センサユニット1L及び1Rそれぞれが検出する影の形を表している。また、図9は、Hth_R≦H≦Hth_Lのとき(即ち、指示具が座標入力有効領域に入る際、ないし出る際)のときの、センサユニット1L及び1Rそれぞれが検出する影の形を表している。
このとき、上述のように、センサユニット1Lからは、指示具の影が検知されていて、センサユニット1Rからは指示具の影は検知されていない。
ここで、単一入力の場合は、2つのセンサユニット両方が影を検出した場合のみ、入力あり(一方のみ検知した場合は入力なし)として扱えば問題ない。
ところが、複数入力の場合は問題が大きい、以下、これについて説明する。
図10は複数入力操作を上から見た図である。
図10では、P12及びP21点に複数入力を行った場合を示している。
この場合、図11のように、センサユニット1Lにおいて、θL1、θL2の位置に影が検出される。また、センサユニット1Rにおいて、θR1、θR2の位置に影が検出される。この2組の角度データをもとに、4つの座標候補点P11、P12、P21及びP22が算出される。そして、これらの座標候補点の中から、何らかの手段によって虚実判定することにより、例えば、P11、P22は虚像であり、P12、P21が実像であることが判別され、座標入力点を決定することになる。
次に、座標入力点が誤検出される場合の複数入力例について説明する。この誤検出パターン(1)としては、次のようになる。つまり、図12に示すように、P12点(図7のC1点に対応)及びP21点で複数入力を行った場合で、かつ各点における指示具の高さHが図6に示すHth_R≦H≦Hth_Lの場合を考える。
このとき、図13に示すように、センサユニット1Rでは、θR2が検知されない。
この場合、実際には、C1点(P12)、P21の位置に2つの入力を行っているにも関わらず、センサユニット1Rからは、θR1のみ検知されてθR2が検知されない(即ち、P12の入力の影が観測されない)。そのため、P12は、センサユニット1Rから重複して観測される点、即ち、図12のP11が座標入力点であると誤認識をしてしまう。即ち、本来の座標入力点P12を座標入力点P11と誤検出してしまう。
次に、誤検出パターン(2)としては、次のようになる。つまり、図14に示すように、P12点(図7のC1点に対応)及びP21点(C1点に対して、およそ左右対称な位置C1’点)に複数入力を行った場合である。この場合、C1点の位置での指示具の高さHは図6Bに示すHth_R ≦ H ≦ Hth_Lで、C1’点の位置での指示具の高さHは、図6Bのセンサユニット1Lと1Rとの関係を入れ替えた関係である。更に、Hth_L(C1´)≦H(C1´)≦Hth_R(C1´)である。
このとき、図15に示すように、センサユニット1LからはθL2が観測されず、同様に、センサユニット1RからはθR2が観測されない。この場合、実際には、C1(P12)、C1’(P21)に入力しているにもかかわらず、夫々、実際に検出している角度θL1、θR1の交点、即ち、図14のP11が座標入力点であると誤認識してしまう。即ち、この場合、単一入力であると誤検出してしまう。
このように、指示具の高さHが所定範囲(例えば、C1点の位置である場合、Hth_R≦H≦Hth_L)であるとき、本来、センサユニット1L及び1Rの両者で検出されるべき影が、ぞれぞれの三次元的遮光検出領域が異なる。そのために、複数入力時で検出した座標候補点から正しい組み合せで座標入力点を検出できない。
また、この所定範囲(例えば、C1点の位置である場合、Hth_R≦H≦Hth_L)は、座標入力有効領域に対し、指示具が入る際ないし出る際において必ず存在する。そのため、座標の誤検出や、座標候補点の誤算出が発生してしまう。
以上の問題は、C2点でも同じことが起こる。C2点の場合は、センサユニット1Lから見える影の強度と、センサユニット1Rから見える影の強度の関係は逆である。
従って、C1点における場合の図12のパターンに対応するものは、図16Aに示すパターンである。この場合、センサユニット1LからθL1方向の影が見えない瞬間において、C2(P12)の座標をP22と見誤って検出してしまう。
また、C1点における場合の図14のパターンに対応するものは、図16Bに示すパターンである。この場合、センサユニット1LからθL1が見えなくて、かつセンサユニット1RからθR1が見えない瞬間において、C2(P12)とC2’(P21)に入力しているにもかかわらず、P22の位置に見誤って検出してしまう。
<三次元的遮光検出領域の共通化>
そこで、本発明は、これらの問題を解決する構成を提案するものであり、特に、本発明においては、左右のセンサユニット1L及び1Rの三次元的遮光検出領域を同一(共通)にすることにより、これらの問題を解決するものである。
<共通の三次元的遮光検出領域の定義>
まず、本発明において提案する構成は、例えば、図5Aと図5Bに示す、センサユニット1L及び1R夫々の三次元的遮光検出領域をいかに同一空間にするかということである。
このため、本発明では、次のような構成(特徴条件)を採用する。
2つのセンサユニットで構成される遮光型座標入力装置において、センサユニットのうち互いに一方のみが対向する再帰反射部の形状を、他方に関する三次元的遮光検出領域の前記一方のみが対向する再帰反射部に沿った面における断面に略等しくする。
具体的には、センサユニット1Lに関わる三次元的遮光検出領域の左辺近傍における断面と、センサユニット1Rに対向し、かつセンサユニット1Lには対向しない再帰反射部4bの形状を略同一にする。
同様に、センサユニット1Rに関わる三次元的遮光検出領域の右辺近傍における断面と、センサユニット1Lに対向し、かつセンサユニット1Rには対向しない再帰反射部4aの形状を略同一にする。
実際に、このようにするためには、図2Aに示すように、例えば、再帰反射部4aの形状は、一方の端部の辺の延長が、対向しないセンサユニット1Rの第1の遮光検知窓と略一致する。また、他方の端部の辺がセンサユニット1L、センサユニット1Rが共通に対向する再帰反射部4cの端部の辺に略一致する。更に、再帰反射部4aの下辺は弓なりの形状で、中ほどの部分で座標入力面に近接(略一致ないし接近)するような形状であり、上辺は直線か、もしくは中ほどで下に下がる弓なりの形状である。
また、再帰反射部4bの形状も同様に、一方の端部の辺の延長が、対向しないセンサユニット1Lの第1の遮光検知窓と略一致する。また、他方の端部の辺がセンサユニット1L、センサユニット1Rが共通に対向する再帰反射部4cの端部の辺に略一致する。更に、再帰反射部4bの下辺は弓なりの形状で、中ほどの部分で入力面に略一致ないし接近するような形状であり、上辺は直線か、もしくは中ほどで下に下がる弓なりの形状である。
このような形状にすることにより、共通の三次元的遮光検出領域は、周囲の断面は、それぞれの面の再帰反射部であって、かつ上面下面とも座標入力領域の中ほどで下に窪むような形状である。かつ、前記下面は座標入力領域の中ほどで、座標入力面に略接するないし接近するような形状で、成立することとなる。
具体的には、図2Aの再帰反射部4a及び4bを、図示の形状にすることにより、図2Bに示す三次元的遮光検出領域、即ち、センサユニット1L及び1Rにおいて共通となる三次元的遮光検出領域を形成することができる。
ここで、図2Bにおける縦じまの部分は、三次元的遮光検出領域の三次元的形状を分かりやすくするために付け加えた断面図であり、本発明において特別な意味をなす断面ではない。
尚、図2Aに示すように、再帰反射部4cは長方形である。また、再帰反射部4a及び4bは同一形状で、両者の端部の辺とセンサユニットの検出位置を弓なりの形状でつなげたものであり、およそ中央部分付近において座標入力面にほぼ接する形状である。
また、センサユニット1Lの上端は、再帰反射部4bの上辺の延長上にあり、下端は下辺の延長上にある。また、センサユニット1Rの上端は、再帰反射部4aの上辺の延長上にあり、下端は下辺の延長上にある。
<三次元的遮光検出領域の断面形状>
次に、再帰反射部4a及び4bの形状、即ち、三次元的遮光検出領域の断面形状を決定する方法について説明する。
既に述べたように、センサユニットの投光部から投光されて受光部に戻ってくる光は、図4に示すように、4つの光路、即ち、光路1〜光路4が想定される。
それぞれの光路について、その伝わる順をまとめると、以下のようになる。
光路1:投光 → 再帰反射 → 受光
光路2:投光 → 再帰反射 → 座標入力面反射 → 受光
光路3:投光 → 座標入力面反射 → 再帰反射 → 受光
光路4:投光 → 座標入力面反射 → 再帰反射 → 座標入力面反射 → 受光
次に、図17A〜図17Cと、図18A〜図18Cを用いて、これらの光路と遮光検出領域との関係を説明する。
図17A〜図17Cについては、光路1及び光路2を図中の上部に、光路3及び光路4を図中の下部に示している。また、図18A〜図18Cについては、光路1及び光路3を図中の上部に、光路2及び光路4を図中の下部に示している。
ここに関連する全ての図について、投光側(投光部から再帰反射部まで)の有効な光通過領域を格子模様パターンで表現し、受光側(再帰反射部から受光部まで)の有効な光通過領域をグレーパターンで表現する。
センサユニットにおける投光部と受光部の位置関係に関して、図17Aは、投光部が受光部より高い位置にあり、両者の重なり部分がない場合を示している。図17Bは、投光部が受光部より高い位置にあり、両者の重なり部分がある場合を示している。図17Cは、投光部が受光部を高さ方向の位置で包含している場合を示している。
また、図18Aは、受光部が投光部より高い位置にあり、両者の重なり部分がない場合を示している。図18Bは、受光部が投光部より高い位置にあり、両者の重なり部分がある場合を示している。図18Cは、受光部が投光部を高さ方向の位置で包含している場合を示している。
これらの図を比較すると、図17A〜図17Cと、図18A〜図18Cでは、図示される格子模様パターンと、グレーパターンの位置が入れ替わること以外は、同じ形の図となる。
次に、これらそれぞれの場合に、遮光が検知されるための指示具と光通過領域の位置関係を判定し、それらの判定結果を一般化し統合することにより、左右辺の遮光検出領域、即ち、三次元的遮光検出領域の左右辺近傍における断面形状を決定する。
説明のために、以下のように用語を定義する。
遮光率0%境界線:所定の光路において、指示具を上から挿入していった時に、最初に遮光を検知し始める境界線。
遮光率100%境界線:所定の光路において指示具を上から挿入していった時に、遮光率が100%に至る境界線。
以下、それぞれの場合について説明する。
図17Aの上図には、光路1及び光路2を、下図は光路3及び光路4を示している。
図17Aの上図において、遮光率0%境界線は、2点鎖線で示す線分(Ref1,Led1)である。また、遮光率100%境界線は、点線で示す線分(Ref2,Led2)である。
図17Aの上図において、線分(Ref2,Led2)より下の部分に、グレーパターン、即ち、光路1及び光路2の再帰反射→受光の部分が存在する。但し、線分(Ref2,Led2)において、投光側の光路が完全に遮断されているので、当該部分は遮光率100%境界線を決定するには直接関係ないといえる。
図17Aの下図においては、遮光率0%境界線は、線分(Ref1,Sens1)と線分(Ref2’,Led1)とで決まる点線の部分である。また、遮光率100%境界線は、線分(Ref2,Sens1’)と線分(Ref1’,Led2)と、座標入力面3で決まる1点鎖線の部分である。
この1点鎖線より下の部分に、例えば、再帰反射側には投光側の光路、センサユニット側には受光側の光路が存在する。ここで、前者においては、1点鎖線において受光側が、後者においては、1点鎖線における投光側が完全に遮光される。これにより、それより下側の部分は、遮光率100%境界線を決定するのには直接関係ない。
実際には、これらの上下の図を両方考慮することにより、光路1〜4における遮光率100%境界線、遮光率0%境界線を決定する。
即ち、光路1〜4全体としての遮光率0%境界線は、光路1及び光路2(上図)の遮光率0%境界線と、光路3及び光路4(下図)の遮光率0%境界線の高い位置にある方で決定される。同様に、光路1〜4全体としての遮光率100%境界線は、光路1及び光路2(上図)の遮光率100%境界線と、光路3及び光路4(下図)の遮光率100%境界線の低い位置にある方で決定される。
即ち、それぞれの光路において、投光側もしくは受光側の一方が少なくとも遮光され始める位置が、その場所における遮光率0%境界線である。また、投光側もしくは受光側の一方が完全に遮光される位置が、その場所における遮光率100%境界線である。
即ち、その場所で光路1〜4の中で、最も高い位置にある遮光率0%境界線が、その場所における光路1〜4全体としての遮光率0%境界線である。また、光路1〜4の中で最も低い位置にある遮光率100%境界線が、その場所における光路1〜4全体としての遮光率100%境界線である。
図17Aでは、光路1〜4全体の遮光率0%境界線を2点鎖線、光路1〜4全体の遮光率100%境界線を1点鎖線で示している。同様に、図17B〜図18Cについても、光路1〜4全体の遮光率0%境界線を2点鎖線、光路1〜4全体の遮光率100%境界線を1点鎖線で示している。
ここで、各図において、遮光率0%境界線、遮光率100%境界線は、図中のSens1、Sens2、Sens1’、Sens2’、Led1、Led2、Led1’、Led2’、及びRef1、Ref2、Ref1’、Ref2’の組み合せで表現される。
ここで、以下のように用語の定義を行う
Opt1 = higer(Led1,Sens1)
Opt2 = higer(Led2,Sens2)
Opt3 = lower(Led1,Sens1)
Opt3’= Opt3の鏡像
ここで、higer(*1,*2)は、*1と*2のZ方向に高い方の位置を選択するという演算式を示している。
このように定義すると、図19Aに示すように、光路1〜4全体としての遮光率0%境界線は必ず線分(Ref1,Opt1)、遮光率100%境界線は必ず線分(Ref2,Q1,Q2,Opt2)となる。
ここで、図19B中に示すように、遮光率0%境界線、遮光率100%境界線とは別に、線分(Ref1,Q3,Opt1)を第3の遮光率境界線とする。これは、4つの光路1〜4のいずれもが有効な遮光率を発生する境界線である。即ち、遮光率0%境界線と第3の遮光率境界線の間では、光路1〜4の内の何れか一部が指示具の高さに応じて遮光される。また、第3の境界線より下では、光路1〜4の全てが指示具の高さに応じて遮光される。
ここで、第1の遮光検知窓の定義として、その上端をOpt1、下端をOpt2とする。また、第1の遮光検知窓の座標入力有効領域3に対する鏡像となる、第2の遮光検知窓の定義として、その上端をOpt4’、下端をOpt3’とする。
このように定義すると、第1の遮光検知窓は、センサユニットの実像においての遮光検知窓を実態的に意味すると言うことができる。また、第2の遮光検知窓は、センサユニットの鏡像においての遮光検知窓を実態的に意味すると言うことができる。また、Opt3、Opt4、Ref1、Ref1’、Ref2、Ref2’及び交点位置Q1、Q2、Q3は、遮光検出領域を決定するパラメータ群ということができる。
以上のように構成することにより、図19Aの2点鎖線(遮光率0%境界線)と1点鎖線(遮光0%境界線)とで挟まれる領域として、三次元的遮光検出領域の断面形状を決定することができる。
換言すれば、複数のセンサユニット1L及び1Rの内、一方のセンサユニットが対向し、かつ他方のセンサユニットが対向しない再帰反射部の形状は、次の条件で規定される形状である。つまり、1)他方のセンサユニットと、2)他方のセンサユニットの座標入力有効領域に対する鏡像と、3)他方のセンサユニットが対向する再帰反射部と4)他方のセンサユニットが対向する再帰反射部の座標入力領域に対する鏡像とで規定される形状である。そして、この形状に対し、一方のセンサユニットが対向する再帰反射部に沿った断面の形状と略等しくなるように、三次元的遮光検出領域が定義される。
より詳しくは、この断面の形状は、以下のように表現することができる。
まず、その前提として、実像である第1の遮光検知窓の上端をOpt1、下端をOpt2とする。鏡像である第2の遮光検知窓の上端をOpt4’下端をOpt3’とする。第1の遮光検知窓の座標入力有効領域上の位置をOpt0とする。対向する再帰反射部の実像の上端をRef1、下端をRef2とする。再帰反射部の鏡像の上端をRef1’、下端をRef2’とする。再帰反射部の座標入力有効領域上の位置をRef0とする。
また、線分Ref2−Opt3’と、線分Ref0−Opt0の交点をQ1とする。線分Ref1’−Opt2と、線分Ref0−Opt0の交点をQ2とする。線分Ref1−Opt3と、線分Ref2−Opt1’の交点をQ3とする。線分Ref2−Opt0と、線分Ref0_Opt2の交点をQ4とする。
この場合、断面の上辺は、線分Ref1−Opt1より低く、かつ線分Ref1−Q3−Opt1より高い位置にある。また、断面の下辺は、線分Ref2−Q4−Opt2より低く、かつ線分Ref2−Q1−Q2−Opt2より高い位置にある。
<現実的な断面形状>
ここで、例えば、図19A中の点Bにおける「指示具高さ 対 遮光率」特性を考えてみる。そこで、この「指示具高さ 対 遮光率」特性を図20に示す。
上述したように、点Bにおいては、点B1(点Bにおける遮光率0%境界線の高さ)で遮光検知が始まり、点B4(点Bにおける遮光率0%境界線の高さ)で遮光率が100%に達することはたしかである。
しかしながら、点Bにおいては、点B1〜B4の間の部分区間ごとに、光路1〜4のそれぞれの遮光検知に対するかかわり方が異なる。例えば、点B1〜B2の部分では、遮光検知に関わる光路は、光路1〜4のうち二つのみである。また、ケースによって異なるがB2〜B3の部分よりも、B3〜B4の部分の方が遮光検知に関わる光路の数が少ない場合がある。
これらの関係により、点Bにおける実際の「指示具高さ 対 遮光率」は、図20に示すような曲線となる。即ち、B1〜B2の間とB3〜B4の間は比較的勾配が緩やかであり、B2〜B3の間は比較的勾配が急である。
図6A及び図6Bを用いて既に説明したように、本発明において、三次元的遮光検出領域の断面と、その断面に位置する再帰反射形状を略等しくするということは、次のようなことである。つまり、図6A及び図6Bで、実線で示す「指示具高さ 対 遮光率」曲線に対して、破線で示すところの「指示具高さ 対 遮光率」曲線を再帰反射形状を工夫することにより近づけて、その形状も合わせるということである。
従って、この思想を、図20に当てはめると、次のようなことがいえる。つまり、実線で示す直線と破線で示す曲線を最も近いものにするためには、B1とB4、及びB2とB3をそれぞれ直線で結ぶのでなく、B1とB2、及びB3とB4の間の所定部分を直線で結ぶのが適切である。
即ち、図20の点H1_Bが現実的な意味での遮光率0%境界線に属し、点H2_Bが現実的な意味での遮光率100%境界線に属するとすると、次のようなことがいえる。つまり、図19Aにおいて、現実的な遮光率0%曲線は、同図の2点鎖線ではなく、両端の点、Ref1ないし、Opt1から離れるに従って、その2点鎖線よりも少し下側を通ることとなる。また、現実的な遮光率100%曲線は、同図の1点鎖線ではなく、両端の点、Ref2ないし、Opt2から離れるに従って、その1点鎖線よりも少し上側を通ることとなる。
<共通の三次元的遮光検出領域の定義の拡張>
ここまで述べてきたように、本発明の構成は、例えば、センサユニット1L及び1R夫々の三次元的遮光検出領域をいかに同一空間にするかである。そのために、センサユニット1L及び1Rの内、互いに一方のみが対向する再帰反射部の形状を他方に関する三次元的遮光検出領域の前記一方のみが対向する再帰反射部に沿った面における断面に略等しくする。
具体的には、センサユニット1Lに関わる三次元的遮光検出領域の左辺近傍における断面と、センサユニット1Rに対向する再帰反射部4bの形状を略同一にする。同様に、センサユニット1Rに関わる三次元的遮光検出領域の右辺近傍における断面と、センサユニット1Lに対向する再帰反射部4aの形状を略同一にするということである。
従って、必ずしも図2Aのように、再帰反射部4a及び4bの形状は左右対称である必要はない。例えば、図21に示すように、夫々のセンサユニット1L及び1Rの高さが異なっている場合で、両者に共通の再帰反射部分4cの両端の高さが異なる構成でも良い。あるいは、図22に示すように、夫々のセンサユニット1L及び1Rの遮光検知窓の大きさが異なっている場合で、両者に共通の再帰反射部分4cの両端の高さが異なる構成でも良い。
また、上記2つのセンサユニットの場合に限らず、一般的に、図23に示すような、3個以上の複数のセンサユニットで構成される座標入力装置においても、同様のことが言える。
以上のように構成することにより、それぞれのセンサユニットに関する三次元的遮光検出領域は略同一共通の立体(三次元的立体形状)となり、夫々のセンサユニット1L及び1Rで観測される遮光影の深さ(遮光率)は、略同一の値として観測される。換言すれば、観測される光強度の変化率によって、指示具の高さ方向の位置の変化を検出することができる
以上、ここまで説明した条件は、あくまでも、指示具による入力があった場合にセンサユニットで観測される影の深さ(遮光率)が、全てのセンサユニットで略同じ値に観測できるということであり、正しい座標を算出するための条件ではない。
即ち、正しい座標を算出するためには、座標入力面方向において、夫々の再帰反射部、夫々のセンサユニットが適正な関係で平面内に配置されていなければならないことは言うまでもない。
本発明の実施形態1及び、後述する実施形態2は、もちろん、上記の条件をも満足するものである。
<座標検出原理>
実施形態1における座標検出原理について説明する。
図24は本発明の実施形態1の座標検出原理を説明するための図である。
ここで、図24は、図1A(あるいは図2A)の座標入力装置を上方から見た場合の概略図となっている。また、以下で、図1A(あるいは図2A)や図24での説明では、必要に応じて、再帰反射部4a〜4cは、再帰反射部4と総称する。
<センサユニット1の詳細説明>
次に、センサユニット1L及び1R内の構成について、図25を用いて説明する。尚、ここでは、センサユニット1L及び1Rそれぞれが、光学ユニットL1及びL2と光学ユニットR1及びR2を内蔵する二眼構成の場合を例に挙げて説明する。
図25は本発明の実施形態1のセンサユニットの詳細構成を示す図である。
図25において、101A及び101Bは、赤外光を発する赤外LEDであり、各々投光レンズ102A及び102Bによって、再帰反射部4に向けて略90°範囲に光を投光する。ここで、センサユニット1L及び1R中の投光部は、この赤外LED101A及び101Bと、投光レンズ102A及び102Bによって実現される。これにより、センサユニット1L及び1Rには、それぞれ2つの投光部が構成されることになる。
そして、投光部より投光された赤外光は、再帰反射部4により到来方向に再帰反射され、センサユニット1L及び1R中の受光部によって、その光を検出する。
受光部は、光線の視野を制限すると共に電気的なシールドをになうシールド部材105を設けた1次元のラインCCD104を備える。また、集光光学系としての受光用レンズ(例えば、fθレンズ)106A及び106B、入射光の入射方向を概略制限する絞り108A及び108B、及び可視光等の余分な光(外乱光)の入射を防止する赤外フィルター107A及び107Bを備える。
そして、再帰反射部4によって反射された光は、赤外フィルター107A及び107B、絞り108A及び108Bを抜けて受光用レンズ106A及び106Bによって、ラインCCD104の検出素子110面上に集光される。これにより、センサユニット1L及び1Rには、それぞれ2つの受光部が構成されることになる。
部材103及び部材109は、投光部及び受光部を構成する光学部品を配置するとともに、投光部で投光した光が直接受光部に入射することを防ぐ、あるいは外来光をカットするための上フード103、下フード109として機能する。
尚、実施形態1においては、絞り108A及び108Bは下フード109に一体で成型されているが、別部品であってもよいことはいうまでもない。さらには、上フード103側に、絞り108A及び108Bと受光用レンズ106A及び106Bの位置決め部を設けても良い。これにより、投光部の発光中心に対する受光部の位置決めを容易にする構成(つまり、上フード103のみで、すべての主要な光学部品が配置される構成)に実現することも可能である。
図26Aは、図25の状態のセンサユニット1L(1R)を組み上げた状態を、正面方向(座標入力面に対し垂直方向)から見た図である。図26Aに示すように、センサユニット1L(1R)中の2つの投光部は、所定距離d離れた状態で、それぞれの主光線方向が略平行となるように配置されている。そして、これらは、各々の投光レンズ102A及び102Bによって、それぞれ略90°範囲に光を投光するように構成されている。
図26Bは、図26Aの太矢印で示される部分の断面図である。ここでは、赤外LED101A(101B)からの光は、投光レンズ102A(102B)により、座標入力面に略平行に制限された光束として、主に再帰反射部4に対して光が投光されるように構成している。
一方、図26Cは、図26Aにおける赤外LED101A及び101B、投光レンズ102A及び102B、上フード103を取り除いた状態を、正面方向(座標入力面に対し垂直方向)から見た図である。
ここで、実施形態1の場合、投光部と受光部は、座標入力面である座標入力有効領域3の垂直方向に対し重ねた配置構成(図26B参照)となっている。また、正面方向(座標入力面に対し垂直方向)から見て、投光部の発光中心と受光部の基準位置が一致する構造となっている。
ここで、基準位置とは、角度を計測するための基準点位置に相当し、実施形態1にあっては絞り108A(108B)の位置であって、図中の光線が交差する点となる。
従って、前述した通り、2つの投光部は所定距離d離れた状態で、それぞれの主光線方向略平行となるように配置されているので、2つの受光部も同様に所定距離d離れた状態で、かつ各々の光軸(光学的な対称軸)が略平行となるように構成されている。
また、投光部により投光された座標入力面に略平行な光束であって、面内方向に略90°方向に投光されている光は、再帰反射部4により光の到来方向に再帰反射される。その後、赤外フィルター107A(107B)、絞り108A(108B)、集光レンズ106A(106B)を経て、ラインCCD104の検出素子110面上に集光、結像することになる。
従って、ラインCCD104の出力信号は、反射光の入射角に応じた光量分布を出力することになるので、ラインCCD104を構成する各画素の画素番号が角度情報を示すことになる。
尚、図26Bに示す投光部と受光部の距離Lは、投光部から再帰反射部4までの距離に比べて十分に小さな値であり、距離Lを有していても十分な再帰反射光を受光部で検出することが可能な構成となっている。
以上説明したように、センサユニット1L(1R)は、少なくとも2つの投光部と、各々の投光部で投光された光を各々検出する2つの受光部(実施形態1の場合、投光部が2組、受光部が2組)を有する構成である。
また、実施形態1にあっては、受光部の一部であるラインCCD104におけるライン状に配置された検出素子110の左側部分を第1受光部の集光領域、右側部分を第2受光部の集光領域としている。これにより、部品の共通化を図っているが、これに限定されるものでなく、各受光部毎に個別にラインCCDを設けてもよいことは言うまでもない。
<制御・演算ユニットの説明>
制御・演算ユニット2とセンサユニット1L及び1Rの間では、主に、受光部内のラインCCD104用のCCD制御信号、CCD用クロック信号と出力信号、及び投光部内の赤外LED101A及び101Bの駆動信号がやり取りされている。
ここで、制御・演算ユニット2の詳細構成について、図27を用いて説明する。
図27は本発明の実施形態1の制御・演算ユニットの詳細構成を示すブロック図である。
CCD制御信号は、ワンチップマイコン等で構成される演算制御回路(CPU)21から出力され、ラインCCD104のシャッタタイミングやデータの出力制御等が行われる。
尚、この演算制御回路21は、クロック発生回路(CLK)22からのクロック信号に従って動作する。また、CCD用のクロック信号は、クロック発生回路(CLK)22からセンサユニット1L及び1Rに送信されると共に、各センサユニット内部のラインCCD104との同期をとって各種制御を行うために、演算制御回路21にも入力されている。
投光部の赤外LED101A及び101Bを駆動するためのLED駆動信号は、演算制御回路21からLED駆動回路(不図示)を介して、対応するセンサユニット1L及び1Rの投光部内の赤外LED101A及び101Bに供給されている。
センサユニット1L及び1Rそれぞれの受光部内のラインCCD104からの検出信号は、A/Dコンバータ23に入力され、演算制御回路21からの制御によって、デジタル値に変換される。この変換されたデジタル値は、メモリ132に記憶され、指示具の角度計算に用いられる。そして、この計算された角度から座標値が算出され、外部端末にシリアルインタフェース7(例えば、USB、IEEE1394、RS232Cインタフェース等)を介して出力される。
また、指示具としてペンを用いる場合、ペンからのペン信号を受信するペン信号受信部5からは、ペン信号を復調したデジタル信号が出力される。その後、ペン信号検出回路としてのサブCPU24に入力され、ペン信号が解析された後、その解析結果が演算制御回路21に出力される。
<センサユニット1の光学配置に関する詳細説明>
図28は本発明の実施形態1の座標入力装置の光学的な配置を説明するための説明図である。
図28では、特に、左側センサユニット1Lの配置について説明する。尚、右側センサユニット1Rについては、図中Y軸について左側センサユニット1Lと対称な関係にある以外は、その特徴は同一なので、その説明は省略する。
先に述べた通り、センサユニット1Lには、2組の投光部と受光部(光学ユニットL1及びL2)を有し、両者の光軸(光学的な対称軸であって、光線151、及び光線161に相当)は、略平行にかつ所定距離d離れて配置されている。また、センサユニット1Lは、そのセンサ面が、座標入力有効領域3の一辺に対し、θsだけ傾いた方向となるように配置されている。
また、センサユニット1L中の一方の投光部の投光範囲(もしくは受光部の検出角度範囲)を光線152及び光線153、もう一方のそれを光線162及び光線163と定義する。
尚、センサユニット1Rには、2組の投光部と受光部(光学ユニットR1及びR2)を有している。
光線152及び光線153、もしくは光線162及び光線163で定義される2組の光学ユニット(投光部及び受光部)の有効視野範囲は略90°である。無論その範囲を、例えば、100°とすることも可能であるが、その有効視野範囲をより大きく設定、設計することは、例えば、光学ユニットを構成する光学部品(例えば、レンズ)の光学歪が大きくなり、安価に光学系を構成するという点で不利となる。
従って、各々の受光部で、投光された光を遮光する指示具の指示位置情報を得るためには、光線152及び光線163で定義される領域内に、座標入力有効領域を設定するのが好ましい形態である。そこで、座標入力有効領域を図示が如く領域171に設定すれば、センサユニット1L中の2組の受光部で、領域171中の指示具(遮光物体)の遮光位置を検出することが可能となる。
しかしながら、このように設定することで、例えば、各部品を内蔵した座標入力装置の筐体172と座標入力可能な領域171の関係で決まる筐体枠が大きくなり、操作可能な領域に比べ、座標入力装置全体の大きさが大きくなってしまうという課題が生じる。この課題を解決するためには、センサユニット1L(1R)の形状を小さくすることはいうまでも無く、さらには、光線151及び光線161で定義される2組の光学ユニット(投光部及び受光部)の所定距離dをより小さくするのが好ましい。
実施形態1の座標入力装置にあっては、座標入力有効領域3と筐体172で決まる筐体枠を極力小さくするために、センサユニット1L(1R)中の一方の受光部は、座標入力有効領域3の全ての領域を有効視野に収めている。これに対し、もう一方の受光部は、図中領域173で定義される領域が有効視野外となる設定となっている。
さて、距離dは、指示具が座標入力有効領域3の左右端部ないし上端部にあるときに、指示具の方向から見た投影成分、即ち、d*cos(θL−θs)が、指示具の半径と略等しくなるよう構成されている。
このようにすることにより、図28において、背後の指示具が図中の光線151及び光線161の間の領域に完全に入り込んでしまうことがないように構成されている。
<座標算出の手順>
実施形態1は、例えば、図28中の光学ユニットL1、L2、R2、R1夫々から得られる光強度分布を取得する。そして、この光強度分布から夫々の光学ユニットで得られる、影の数、影の位置(角度)を算出する。そして、センサユニット1Lを構成する光学ユニットL1/L2と、センサユニット1Rを構成する光学ユニットR1/R2から得られる4種類の組み合わせ、即ち、(L1,R1)、(L1,R2)、(L2,R1)及び(L2,R2)を順番に選択する。
次に、それぞれの組み合わせにおいて、座標候補点の確定ないし座標候補点の重複状況の確定を行い、その中から、適切な光学ユニットの組み合わせを選定する。これにより、座標候補点の中から、実入力点を判定(所謂、虚実判定)し、最終的に、2つの入力座標を決定する。
以降、(L1,R1)、(L1,R2)、(L2,R1)及び(L2,R2)の4通りの組み合わせを、「LR光学ユニット組み合わせ」ないし「LR組み合わせ」と表現する。
次に、実施形態1における座標算出処理について、図29を用いて説明する。
図29は本発明の実施形態1の座標入力装置が実行する座標算出処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS101で、光学ユニットL1、L2、R1及びR2の各光学ユニットにおける光強度分布データを取得する。次に、ステップS102で、取得した光強度分布データより、各光学ユニットが検出する影(遮光影)の数、影の位置(角度)を算出する。
次に、「LR組み合わせ」及び各光学ユニットが検出する影数に基づいて、各光学ユニットにおける影数の検出状態を判定する。その、その判定結果に基づいて、座標算出に用いる座標候補点を確定する座標候補点確定ルーチン(ステップS103〜ステップS114)を実行する。
特に、実施形態1では、各光学ユニットにおける影数の検出状態として、以下の4種類について考慮する。尚、(Ln,Rm)(n=1、2、m=1、2)に対する影数の組み合わせを、[X−Y](X=1、2、Y=1、2)と表現する。
検出状態[1]:全てのLR組み合わせにおいて、影数が[1−1]である。
検出状態[2]:[2−2]のLR組み合わせが2つ以上存在する。
検出状態[3]:[2−2]のLR組み合わせと[2−1]のLR組み合わせが存在する。
検出状態[4]:[2−1]のLR組み合わせが2つ存在する。
実施形態1では、各光学ユニットにおける影数の検出状態を判定する(ステップS103〜ステップS105、ステップS108及びステップS109)。次に、その判定した検出状態に応じて予め定義された座標算出方法[1]〜[4]で座標算出を行う(ステップS110〜ステップS113)。そして、座標算出結果を出力する(ステップS114)。一方、上記の検出状態のいずれも判定されない場合は、座標検出が不可能であると判定して、処理を終了する(ステップS106あるいはステップS109)。
以下、座標算出方法[1]〜[4]それぞれの詳細について説明する。
座標算出方法[1](ステップS110:検出状態[1]の場合)
検出状態[1]の場合とは、単一入力がなされている場合である。この場合、どのLR組み合わせでも座標算出を実行することが可能であるが、例えば、(L1,R1)の光学ユニット組み合わせにおいて、後述する<座標算出処理(1)>によって座標算出を実行する。
座標算出方法[2](ステップS111:検出状態[2]の場合)
検出状態[2]の場合とは、LR組み合わせ(L1,R1)、(L1,R2)、(L2,R1)及び(L2,R2)の中から2組以上[2−2]が存在する場合である。
この中から2つの組を選択し、其々から得られる4座標候補点を比較する。
ここで、具体例として、(L1,R1)と(L2,R1)が[2−2]である場合を、図30及び図31を用いて説明する。
図30は(L1,R1)の組み合わせから、後述する<座標算出処理(1)>に基づいて、P11,P12,P21,P22を決定する。同様に、図31は(L2,R1)の組み合わせから、後述する<座標算出処理(2)>に基づいて、P’11,P’12,P’21,P’22を決定する。
ここで、それぞれのLR組み合わせから得られた4座標候補点の値を比較する。
この中で、現実に入力された座標に基づく座標候補点は、どちらのLR組み合わせにおいても原理的に同じ座標となる。一方、現実に入力された座標に基づかない座標(いわゆる、虚像としての座標候補点)は、光学ユニット位置のオフセットの影響で夫々の組み合わせにおいて異なった座標となる。
従って、それぞれのLR組みあわせから得られた4座標候補点の値を比較して、その比較結果が略一致した座標候補点が、2入力点の真実の座標値であるとして決定することができる。
尚、図30及び図31の例では、P11,P22が現実の入力に基づく2入力点として決定されている。
座標算出方法[3](ステップS112:検出状態[3]の場合)
検出状態[3]とは、[2−2]のLR組み合わせと[2−1]のLR組み合わせが存在する場合である。
ここで、具体例として、(L1,R2)が[2−2],(L1,R1)が[2−1]の場合を、図32及び図33を用いて説明する。
図32は(L1,R2)の組み合わせから、後述する<座標算出処理(2)>に基づいて、P11,P12,P21,P22を決定する。同様に、図33は(L1,R1)の組み合わせから、後述する<座標算出処理(1)>に基づいて、PP1,PP2を決定する。
ここで、図32におけるP11,P12,P21,P22のなかで、(P11,P22)または(P12,P21)のどちらかの内、図33における(PP1,PP2)に相対的に近い座標候補点を選択し、それらを2入力点の座標値の組として決定する。
尚、図32及び図33の例では、P12,P21が現実の入力に基づく2入力点として決定されている。
座標算出方法[4](ステップS113:検出状態[4]の場合)
検出状態[4]とは、[2−1]のLR組み合わせが2つ存在する場合である。
ここで、具体例として、(L1,R1)と(L1,R2)が[2−1]である場合を、図34及び図35を用いて説明する。
図34においては、光学ユニットR1から検出される重複した1つの影の両端の略中心部分を近似的に1つの角度θRとして扱い、<座標算出処理(2)>に基づいて、PP1、PP2を決定する。あるいは、図35においては、光学ユニットR2から検出される重複した1つの影の両端の略中心部分を近似的に1つの角度θRとして扱い、<座標算出処理(3)>に基づいて、PP’1、PP’2を決定する。
そして、通常は、図35に示すように、影の重複率の高い方の組み合わせを採用した方が、このような近似的な計算の場合には良好な算出結果が得られる。
以上のような、座標算出方法[1]〜[4]のいずれかで算出された1入力点ないし2入力点の座標算出結果は、外部端末にシリアルインタフェース7を介して出力され、画像表示装置等の出力装置にカーソルの動きないし軌跡として表示される。
次に、座標算出処理(1)〜(3)の処理内容の詳細について説明する。
<座標算出処理(1)>
ここでは、光学ユニットL1及びR1の組み合わせによって座標を算出する座標算出処理(1)について、図36を用いて説明する。
図36のセンサユニット1L及び1Rにおいて、座標入力有効領域3に対し、左右外側の光学ユニットが光学ユニット(L1、R1)となる。また、左右内側の光学ユニットが光学ユニット(L2、R2)となる。
そして、各光学ユニットから得られる角度データは、対応するセンサユニットから見てY軸下方向を0°とし、内側に向かって、かつ左右対象な方向に角度が大となるように定義する。また、各光学ユニットが存在する座標位置をP(L1),P(L2),P(R1),P(R2)とする。
そして、例えば、光学ユニットL1及びR1から得られる角度データに基づいて座標を算出する場合、点Oを原点として、図示のように、X及びY方向を決める、以下のような関数Xt、Ytを定義する。
Xt(θL-45,θR-45)
=(tan(θL-45)-tan(θR-45))/[2*(1-tan(θL-45)*tan(θR-45))] (120)
Yt(θL-45 , B-45)
=(-1)*[(1-tan(θL-45))*(1-tan(θR-45))
/(2*(1-tan(θL-45)*tan(θR-45)))-0.5] (121)
このように定義すると、図36の点Oを原点としたときの点P(X,Y)の座標は、
X = DLR*Xt(θL-45,θR-45) (122)
Y = DLR*Yt(θL-45,θR-45) (123)
となる。
<座標算出処理(2)>
ここでは、光学ユニットL2とR1の組み合わせによって座標を算出する座標算出処理(2)について、図37を用いて説明する。
図37において、指示具の指示位置をP’とする。また、直線P(L1)−P(R1)と直線P(L2)−P’の交点をS’とする。
図37において、3点S’,P(R1),O’の位置関係からP’の座標を算出することは、図36で、3点P(L1),P(R1),OからPの座標を算出することと同等である。ここで、ベクトルO’P’をO’→P’、そのX成分を(O’→P’)x、Y成分を(O’→P’)yと表記し、式(120)及び(121)を用いると、
(O'→P')x = (DLR-ΔD)*Xt(θL-45,θR-45) (130)
(O'→P')y = (DLR-ΔD)*Yt(θL-45,θR-45) (131)
となる。
ここで、図37より
ΔD = Sx+Sy*tan(θL) (132)
但し、Sx=d*cos(θs),Sy=d*sin(θs) (133)
さらに、図37から明らかなように
(O→O')x = ΔD/2 (134)
(O→O')y = (-1)*ΔD/2 (135)
となる。これにより、点Oを原点としたP’の座標は、(O→P')=(O→O')+(O→P')のX成分とY成分として算出することができる。
ここで、同様に、光学ユニットL1、光学ユニットR2の組み合わせによって座標を算出する場合には、上述のX成分のみ符号を変えれば、同様に算出することができる。
<座標算出処理(3)>
ここでは、光学ユニットL2及びR2の組み合わせによって座標を算出する座標算出処理(3)について、図38を用いて説明する。
図38において、3点P(L2),P(R2),O’’の位置関係からP’’の座標を算出することは、図36で、3点P(L1),P(R1),OからPの座標を算出することと同等である。ここで、ベクトルO’’P’’をO’’→P’’、そのX成分を(O’’→P’’)x、Y成分を(O’’→P’’)yと表記し、式(120)及び(121)を用いると、
(O''→P'')x = (DLR-2*Sx)*Xt(θL-45,θR-45) (141)
(O''→P'')y = (DLR-2*Sx)*Yt(θL-45,θR-45) (142)
となる。また、図38から明らかなように、
(O→O'')x = 0 (143)
(O→O'')y=(-1)*(Sx+Sy) (144)
となる。
これにより、点Oを原点としたP’’の座標は、(O→P'')=(O→O'')+(O→P'')のX成分とY成分として算出することができる。
以上のように、実施形態1では、LR組み合わせのすべてにおいて座標を算出することができる。
以上説明したように、実施形態1によれば、座標入力有効領域の周囲に配置する再帰反射部を、上述の特徴条件及び式(1)及び(2)を満足するように構成する。これにより、同一の入力に伴って、夫々のセンサユニットにて検出される影が、夫々のセンサユニットにおいて、レベル(遮光比率)の差をもって検知されることを防止する。また、常に互いに略同一のレベル(遮光比率)で検知されることが可能となる。
これにより、単一入力時には、入力座標を検出しそこなうことを防止し、複数の入力時には、入力座標と異なる、誤った座標を検出して入力座標の数を誤ることを防止することができる。特に、指示具が入力に伴って遮光入力領域への入る際と出る際において、発生頻度が高くなる上記問題を回避して、安定した座標入力を実現することができる。
<実施形態2>
実施形態2は、実施形態1の図2Aに示す構成に対し、図39に示すように、センサユニット1Cを新たに追加した構成について説明する。
図39では、P12及びP21点に複数入力を行った場合を示している。
この場合、図40(a)のように、センサユニット1Lにおいて、θL1、θL2の位置に影が検出される。また、図40(b)のように、センサユニット1Rにおいて、θR1、θR2の位置に影が検出される。更に、図40(c)のように、センサユニット1Cにおいて、θC1、θC4の位置に影が検出される。この3組の角度データをもとに、4つの座標候補点P11、P12、P21及びP22が算出される。そして、これらの座標候補点の中から、何らかの手段によって虚実判定することにより、例えば、P11、P22は実像であり、P12、P21が虚像であることが判別され、座標入力点を決定することになる。
また、図39に示すセンサユニット1Cは、センサユニット1Lや1Rとほぼ同等の構成であるが、内蔵する光学ユニット(受光部及び投光部)の構造が異なる。具体的には、センサユニット1L及び1Rの座標入力面内方向の視野範囲がおよそ90度であるのに対し、センサユニット1Cの視野範囲はおよそ180度である。
最も重要なことは、センサユニット1L、1R及び1Cと、座標入力有効領域3の周囲に配置される再帰反射部の構成において、実施形態1におけるセンサユニット1L、1Rと同様の条件を満足することである。つまり、両者の関わる三次元的遮光検出領域が、略同一共通のものであるという条件を満足することである。
さらに、実施形態2では、センサユニット1Cに関する三次元的遮光検出領域が、センサユニット1L及び1Rの共通三次元遮光検出領域を包含することである。この場合は、センサユニット1Cに関する三次元遮光検出領域と、センサユニット1L及び1Rに関する三次元遮光検出領域を一致させる必要はなく、あくまでも前者が後者を包含すれば良い。
このように構成することにより、指示具によって入力が行われた場合に、センサユニット1L、1Rの夫々で観測される遮光影の深さ(遮光率)が略同一の値として観測される。これにより、2つの座標を入力したときに、座標候補点を誤って検出することなく、正しく検出することができる。また、センサユニット1Cの三次元的遮光検出領域が、センサユニット1L及び1Rのそれを包含しているので、座標候補点の影は、センサユニット1Cで必ず観測される。そして、この観測される影に対応する角度により、座標候補点から真の座標を選択することができる。
従って、常に、センサユニット1L、1R及び1Cの関係から正しい座標検出を行うことができる。特に、指示具が座標入力有効領域に対して入力を行う入り際、または終了する出る際においても、遮光影を誤認識することなく安定した座標算出を実行することができる。
実施形態2においては、センサユニット1L及び1Rで座標候補点を検出し、センサユニット1Cで検知される影との位置関係によって、座標候補点の中から、実入力点を判定(所謂、虚実判定)し、最終的に、2つの入力座標を決定する。
例えば、図39では、センサユニット1L及び1Rにより、4つの座標候補点P11,P12,P21,P22が観測される。そして、これらの座標候補点の中で、センサユニット1Cによって、所定方向に観測される座標候補点が、実入力点の座標候補点であり、これらが最終的に2つの入力座標として出力される。特に、図39の場合では、センサユニット1Cにおいて、θC1、θC4の影のみが観測されるので、P11とP22が実入力点の座標となる。
以下、実施形態2における座標算出処理について、図41を用いて説明する。
図41は本発明の実施形態2の座標入力装置が実行する座標算出処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS201で、センサユニット1L、1R及び1Cにおける光強度分布データを取得する。次に、取得した光強度分布データより、各センサユニットが検出する影(遮光影)の数、影の位置(角度)を算出する。
次に、各センサユニットが検出する影数に基づいて、各センサユニットにおける影数の検出状態を判定し、その判定結果に基づいて、座標算出に用いる座標候補点を確定する座標候補点確定ルーチン(ステップS202〜ステップS208)を実行する。
特に、実施形態2では、各センサユニットにおける影数の検出状態として、以下の3種類について考慮する。尚、実施形態2では、センサユニット1Lとセンサユニット1Rに対に影数の組み合わせを、[X−Y](X=1、2、Y=1、2)と表現する。
検出状態[1]:センサユニット1Lとセンサユニット1Rによって決定される影数が[1−1]である。
検出状態[2]:センサユニット1Lとセンサユニット1Rによって決定される影数が[2−2]である。
検出状態[3]:センサユニット1Lとセンサユニット1Rによって決定される影数が[2−1]である。
実施形態2では、センサユニット1Lとセンサユニット1Rにおける影数の検出状態を判定する(ステップS202〜ステップS204)。次に、その判定した検出状態に応じて予め定義された座標算出方法[5a]〜[5c]で座標算出を行う(ステップS205〜ステップS207)。そして、座標算出結果を出力する(ステップS208)。一方、上記の検出状態のいずれも判定されない場合は、座標検出が不可能であると判定して、処理を終了する(ステップS209)。
以下、座標算出方法[5a]〜[5c]それぞれの詳細について説明する。
座標算出方法[5a](ステップS205:検出状態[1]の場合)
検出状態[1]の場合とは、単一入力がなされている場合である。この場合、実施形態1で説明した<座標算出処理(1)>によって座標算出を実行する。
座標算出方法[5b](ステップS206:検出状態[2]の場合)
検出状態[2]の場合とは、センサユニット1L及び1Rで[2−2]となる場合である。
この場合、実施形態1で説明した<座標算出処理(1)>によって、得られる4座標候補点の座標値を算出する。また、夫々の座標候補点をセンサユニット1Cから観測した場合の角度を予め計算する。
この中で、実際にセンサユニット1Cで観測された影の角度と略位置しているものを2つの入力座標として採用する。
座標算出方法[5c](ステップS206:検出状態[3]の場合)
検出状態[3]の場合とは、センサユニット1L及び1Rで[2−1]となる場合である。
この場合は、重複している方の影の両端の略中央の角度上に2つの入力座標が存在すると近似して、夫々他方の二つの影と組み合わせて、実施形態1で説明した<座標算出処理(1)>に基づいて、座標を決定する。尚、センサユニット1Cが検出する光強度分布データは、虚実判定には用いず、決定した座標値の精度を向上させるための検算用に用いる。
以上説明したように、実施形態2によれば、実施形態1で説明した効果に加えて、センサユニット1Cを構成することにより、より効率良くかつ精度良く、座標算出に係る虚実判定を実現することができる。
以上、実施形態例を詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスクがある。また、更に、記録媒体としては、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、その接続先のホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。また、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。