JP2007077169A - 皮膚基底膜賦活用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラミニン5の産生を促進させる皮膚基底膜賦活用組成物を提供する。
【解決手段】 フェニルプロパノイド類から選ばれる1種または2種以上の化合物および/またはその塩および/またはその配糖体を含有する皮膚基底膜賦活用組成物である。
【選択図】図1
【解決手段】 フェニルプロパノイド類から選ばれる1種または2種以上の化合物および/またはその塩および/またはその配糖体を含有する皮膚基底膜賦活用組成物である。
【選択図】図1
Description
本発明は、皮膚基底膜に存在する細胞外マトリックスタンパク質の一種であるラミニン5の産生を促進する活性を有するある特定の化合物を有効成分として含有する皮膚基底膜賦活用組成物に関する。
ラミニン5(別名カリニン、エピリグリン、ナイセイン)は皮膚の基底膜に存在するラミニン分子種の一種として同定され、α3鎖、β3鎖、γ2鎖の3本のサブユニットで構成される分子量380〜490kDaの糖タンパク質である(非特許文献1:Carter,W.G.,et al.,Cell.,65,599−610,1991.、非特許文献2:Rousselle,P.,et al.,J.Cell Biol.,114,567−576,1991.、非特許文献3:Verrando,P.,et al.,Biochem.Biophys.Acta,942,45−56,1988.)。ラミニン5は表皮細胞により産生され、表皮細胞の接着を促進し、表皮細胞を基底膜に結合するとともに、VII型コラーゲンと結合し、真皮と基底膜の結合にも関与している(非特許文献2:Rousselle,P.,et al.,J.Cell Biol.,114,567−576,1991.、非特許文献4:Rousselle,P.,et al.,J.Cell Biol.,138,719−728,1997.、非特許文献5:Chen,M.,et al.,J.Invest.Dermatol.,112,177−183,1999)。ラミニン5遺伝子の変異は、表皮・真皮間の剥離と水泡形成を特徴とする重篤な遺伝的疾患である結合型表皮水泡症(Herlitz’s junctional epidermolysis bullosa)を引き起こすことから、ラミニン5は正常な皮膚構造の維持に必要不可欠であることが明らかになった(非特許文献6:Aberdam,D.,etal.,Nat.Genet.,6,299−304,1994.、非特許文献7:Pulkkinen,L.,et al.,Genomics,24,357−360,1994.、非特許文献8:Kivirikko,S.,et al.,Hum.Mol.Genet.,4,959−962,1995.)。また、ラミニン5は表皮細胞の遊走を促進させる活性を持ち、かつ皮膚の創傷治癒部位でラミニン5遺伝子およびその受容体遺伝子の発現が上昇することから、創傷治癒に関与することが示唆されている(非特許文献9:Verrndo,P.,et al.,Lab.Invest.,71,567−574,1994.、非特許文献10:Ryan,M.C.,J.Biol.Chem.,269,22779−22787,1994.)。以上のようなことから、ラミニン5は、表皮と真皮の結合を担い、正常な皮膚構造の維持に重要であるとともに、皮膚が損傷を受けた場合には、表皮細胞の遊走を促進し、創傷治癒に働くと考えられる。
一方、老化した皮膚では基底膜の重複や偏平化が起こっていることから、基底膜の構造変化が皮膚老化を引き起こす可能性が示唆されている(非特許文献11:Lavker,R.,et al.,J.Invest.Dermatol.,73,59−389,1979.、非特許文献12:Lavker,R.,et al.,Dermatol.Clin.,4,379−389,1986.)。また、老化したヒトの真皮の線維芽細胞では、皮膚基底膜の主要な構成成分であるIV型コラーゲンの発現が低下していることから、老化に伴い皮膚基底膜の活性が低下することが示唆されている(非特許文献13:Olsen,D.,et al.,J.Invest.Dermatol.,93,127−131,1989.)。したがって、表皮細胞におけるラミニン5の産生を促進し、老化による皮膚基底膜の構造変化を防止または修復することにより、皮膚の機能低下を改善できることが予想されていた。
上記のようなことから、ラミニン5自体あるいはラミニン5の産生促進活性を持つ大豆由来の調製物やリゾリン脂質を有効成分として含有することにより、皮膚賦活効果などを有する皮膚外用剤や皮膚賦活用組成物が開発されている(特許文献1:特開平10-147515号公報、特許文献2:特開平11-343226号公報、特許文献3:特開平11-52704号公報、特許文献4:特開2000-226308号公報)。
ところで、これまでフェニルプロパノイド類の化合物は、様々な理由から化粧料や皮膚外用剤などに用いられている。例えば、フェニルプロパノイド類の化合物が紫外線吸収活性、チロシナーゼ阻害活性、メラニン産生抑制活性をもつことから、イソフェルラ酸および/またはその誘導体(特許文献5:特公平6−55664号公報(特許第1928802号))、フェルラ酸アミド誘導体(特許文献6:特公平6−80006号公報(特許第1945459号))、イソフェルラ酸および/またはその塩とアスコルビン酸および/またはその誘導体および多価アルコール(特許文献7:特許第2533773号公報)、イソフェルラ酸および/またはその塩と抗酸化剤(特許文献8:特許第2533774号公報)、イソフェルラ酸および/またはその塩と多価アルコール(特許文献9:特許第2533775号公報)、イソフェルラ酸および/またはその塩と有機酸および/またはその塩(特許文献10:特許第2533776号公報)、フェルラ酸および/またはその塩と有機酸および/またはその塩(特許文献11:特許第2564139号公報)、カフェー酸配糖体(特許文献12:特許第2997358号公報)、フェルラ酸−2,3−ジヒドロキシプロピルおよび/またはその塩(特許文献13:特開平6−157272号公報)を有効成分として含有する化粧料および皮膚外用剤が開発されている。フェルラ酸および/またはフェルラ酸エステルがヒト正常線維芽細胞の分化を促進することを見出し、それらを有効成分として含有する細胞分化促進剤、育毛・発毛剤、皮膚老化防止剤が開発されている(特許文献14:特開平5−310526号公報)。カフェー酸、フェルラ酸、コニフェリルアルコールが活性酸素消去作用を有することを見出し、それらの活性酸素消去剤を有効成分として含有する化粧料、医薬組成物および食用組成物が開発されている(特許文献15:特開平7−300412号公報)。フェルラ酸エステルを有効成分とする抗酸化剤が開発されている(特許文献16:特開平9−40613号公報)。フェニルプロパノイド類の化合物に太陽光紫外線および大気汚染物質による光毒性を抑制する効果を見出し、それらの光毒性抑制剤を有効成分として含有する化粧料および飲食品が開発されている(特許文献17:特開2000−319154号公報)。
Carter,W.G.,et al.,Cell.,65,599−610,1991. Rousselle,P.,et al.,J.Cell Biol.,114,567−576,1991. Verrando,P.,et al.,Biochem.Biophys.Acta,942,45−56,1988. Rousselle,P.,et al.,J.Cell Biol.,138,719−728,1997. Chen,M.,et al.,J.Invest.Dermatol.,112,177−183,1999. Aberdam,D.,etal.,Nat.Genet.,6,299−304,1994. Pulkkinen,L.,et al.,Genomics,24,357−360,1994. Kivirikko,S.,et al.,Hum.Mol.Genet.,4,959−962,1995. Verrndo,P.,et al.,Lab.Invest.,71,567−574,1994. Ryan,M.C.,J.Biol.Chem.,269,22779−22787,1994. Lavker,R.,et al.,J.Invest.Dermatol.,73,59−389,1979. Lavker,R.,et al.,Dermatol.Clin.,4,379−389,1986. Olsen,D.,et al.,J.Invest.Dermatol.,93,127−131,1989. 特開平10-147515号公報
特開平11-343226号公報
特開平11-52704号公報
特開2000-226308号公報
特公平6−55664号公報(特許第1928802号)
特公平6−80006号公報(特許第1945459号)
特許第2533773号公報
特許第2533774号公報
特許第2533775号公報
特許第2533776号公報
特許第2564139号公報
特許第2997358号公報
特開平6−157272号公報
特開平5−310526号公報
特開平7−300412号公報
特開平9−40613号公報
特開2000−319154号公報
Carter,W.G.,et al.,Cell.,65,599−610,1991. Rousselle,P.,et al.,J.Cell Biol.,114,567−576,1991. Verrando,P.,et al.,Biochem.Biophys.Acta,942,45−56,1988. Rousselle,P.,et al.,J.Cell Biol.,138,719−728,1997. Chen,M.,et al.,J.Invest.Dermatol.,112,177−183,1999. Aberdam,D.,etal.,Nat.Genet.,6,299−304,1994. Pulkkinen,L.,et al.,Genomics,24,357−360,1994. Kivirikko,S.,et al.,Hum.Mol.Genet.,4,959−962,1995. Verrndo,P.,et al.,Lab.Invest.,71,567−574,1994. Ryan,M.C.,J.Biol.Chem.,269,22779−22787,1994. Lavker,R.,et al.,J.Invest.Dermatol.,73,59−389,1979. Lavker,R.,et al.,Dermatol.Clin.,4,379−389,1986. Olsen,D.,et al.,J.Invest.Dermatol.,93,127−131,1989.
しかしながら、ラミニン5を有効成分として含有する皮膚外用剤は、ラミニン5が非常に高分子の糖タンパク質であることから、安定性、皮膚浸透性などに問題があり、必ずしも十分な皮膚賦活用効果を期待できない。また、大豆由来の調製物やリゾリン脂質は、ラミニン5の産生を促進させる活性が十分でなく、それらを有効成分として含有する皮膚賦活用組成物は、必ずしも十分な皮膚賦活効果を期待できない。
一方、フェニルプロパノイド類の化合物には前述したような活性が知られているが、皮膚基底膜成分に着目しその成分の産生を促進することで、皮膚基底膜ひいては皮膚全体を賦活化しようという試みはなされていない。
本発明者らは、種々の化合物について、表皮細胞におけるラミニン5の産生を促進する活性を検討した。その結果、フェニルプロパノイド類の化合物がラミニン5産生を有意に促進させることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1.フェニルプロパノイド類から選ばれる1種または2種以上の化合物および/またはその塩および/またはその配糖体を含有する皮膚基底膜賦活用組成物、2.フェニルプロパノイド類から選ばれる1種または2種以上の化合物および/またはその塩および/またはその配糖体を含有するラミニン5の産生促進用組成物、
3.皮膚外用である1または2記載の組成物、
4.有効成分がフェルラ酸である1、2または3記載の組成物
に関する。
1.フェニルプロパノイド類から選ばれる1種または2種以上の化合物および/またはその塩および/またはその配糖体を含有する皮膚基底膜賦活用組成物、2.フェニルプロパノイド類から選ばれる1種または2種以上の化合物および/またはその塩および/またはその配糖体を含有するラミニン5の産生促進用組成物、
3.皮膚外用である1または2記載の組成物、
4.有効成分がフェルラ酸である1、2または3記載の組成物
に関する。
フェニルプロパノイドの化合物は、ラミニン5の産生を促進することから、皮膚基底膜の構造維持および機能向上を促す。したがって、老化により機能が低下した皮膚や紫外線により障害を受けた皮膚に対して、皮膚基底膜の構造変化および機能低下を防止することにより、皮膚全体を賦活化することができる。
本発明で使用するフェニルプロパノイド類は、天然に存在する化合物群の一つであり、ベンゼン核(C6,phenyl)に直鎖状3炭素(C3,propane)が結合したものである。これらの化合物は、広範な生物源から直接もしくは間接的に得ることが出来るが、化学合成品であってもよい。
自然界では、維管束植物においてアミノ酸フェニルアラニン(イネ科ではチロシン)の脱アミノ化によりトランスケイヒ酸(イネ科ではp−クマリン酸)が生成される。トランスケイヒ酸は酸化されてp−クマリン酸、さらに酸化されてカフェー酸となる。カフェー酸はメチル化を受けてフェルラ酸となる。被子植物はフェルラ酸をさらに酸化して5−ヒドロキシフェルラ酸に、次にメチル化してシナピック酸とすることができるが、シダ植物や裸子植物はできない。自然界において、これら酸のフェノール性水酸基は部分的にメチル化され、そしてカルボキシル基は逐次還元されて対応するアルデヒド、アルコール、あるいはオレフィンとなる(天然物化学、改訂第4版、三橋博ら編、南江堂)。
カフェー酸は下記式(1)で表され、肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制効果や5−リポキシゲナーゼおよびロイコトリエン生成の阻害活性がある(天然薬物辞典、奥田拓男編、1986、廣川書店)。コーヒー豆、ノコギリソウ、オトギリソウなどに数%含まれるクロロゲン酸、ヨモギおよび同族植物の主成分の3,5−di−O−カフェイルキナ酸、その他いわゆるカフェータンニンの構成成分として存在する。また、遊離してタバコ葉、サツマイモ、ナシ葉などの広い範囲の植物に存在する。3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、無水酢酸、酢酸カリウムの混合物を加熱する(パーキン反応)ことにより得られる。また、クロロゲン酸の酸加水分解によって生成する。
フェルラ酸は下記式(2)で表され、抗酸化作用、紫外線吸収能を持つことが知られている。それ自体およびその誘導体は植物の細胞壁を形成するリグニンの前駆体である。遊離状、エステル型、リグニンの形で、微量ながら広く植物に存在する(化学大辞典、1997、東京化学同人)。4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒドとマロン酸をピペリジン存在下ピリジン中で縮合脱炭酸させることにより得られる。また、コメヌカから効率的に抽出する方法が開発されている(特開平5−331101号)。
ケイヒ酸は下記式(3)で表され、そのエステル類は香料および医薬品として用いられる(天然薬物辞典、奥田拓男編、1986、廣川書店)。通常、ケイヒ酸とはトランス形のものを指し、シス形のものはアロケイヒ酸と呼ばれる。シス形は不安定でトランス形になりやすい。カシア油、ペルーバルサム、トルーバルサムの樹脂などに遊離酸あるいはエステルとして存在する。ケイヒアルデヒドの酸化、あるいはベンズアルデヒド、無水酢酸、酢酸カリウムの混合物を加熱する(パーキン反応)ことにより得られる。
ケイヒアルデヒドは下記式(4)で表され、強い特有の芳香と甘味があることから、菓子などの食品香料に用いられている(天然薬物辞典、奥田拓男編、1986、廣川書店)。また、医薬品、化粧品にも用いる。ケイの樹皮、葉に含まれ、ケイヒ油、カシア油の主成分で香りの本体であり、その他ミルラ油、パチョウリ油にも含まれる。ベンズアルデヒドとアセトアルデヒドをアルカリで縮合させて得られる。
オイゲノールは下記式(5)で表され、バニリンの製造原料、香料、殺菌剤、防腐剤などに用いられる(天然薬物辞典、奥田拓男編、廣川書店)。チョウジ油に多く含まれるほか、広く植物の精油中に存在するフェノール性精油成分である。グローブ油、桂葉油をアルカリ抽出することにより得られる。
コニフェリルアルコールは下記式(6)で表され、針葉樹の形成層とその周辺の柔細胞、コンフリーの根、テンサイ、アスパラガスなどに配糖体のコニフェリンとして存在する(天然薬物辞典、奥田拓男編、1986、廣川書店)。植物体内で脱水素重合によってリグニン様の物質になる。リグニンには、抗腫瘍作用、肝カタラーゼ活性促進作用などの作用が認められている。コニフェリンに加水分解酵素エムルシンを作用させることにより得られる。
クロロゲン酸は下記式(7)で表され、中枢神経興奮作用に加えて、胃液や胆汁分泌を促進する作用がある(天然薬物辞典、奥田拓男編、1986、廣川書店)。また、抗酸化作用(日本女子大・グエン教授ら、1995)や癌細胞転移抑制作用(東京農工大・矢ケ崎教授ら、2000)が報告されている。コーヒー豆からはじめて単離されたが、双子葉植物の果実や葉などに広く分布し、特にナス科、キク科、セリ科などの植物にこれを多く含むものが多い。カフェー酸とキナ酸をエステル化することにより得られる。
いずれの化合物も市販されており、これを用いることができる。
本発明によれば、フェニルプロパノイド類の化合物を含有する組成物は、ラミニン5の産生を促進し、皮膚基底膜の構造維持および機能向上を促すことにより、皮膚基底膜を賦活化することができる。これらは、表皮角化細胞におけるラミニン5の産生を促進する。さらに、皮膚基底膜を賦活化することで、表皮のターンオーバーを正常に保つと同時に、表皮と真皮の結合を強くし、真皮のコラーゲンやエラスチンなどの弾性繊維を正常に保つことができる。したがって、フェニルプロパノイド類の化合物を含有する組成物は、加齢や紫外線暴露などによる皮膚基底膜の構造変化および機能低下に伴なう皮膚の機能低下、例えば、皮膚のしわや硬化などを改善することができる。
本発明における化合物は、それらを各種溶媒を用いて溶解した状態でも使用できる。例えば、水またはエタノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール、エーテル、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒を用いて溶解した状態で使用できる。これらは単独で用いても良く、2種以上混合して用いても良い。
本発明の化合物の皮膚基底膜賦活用組成物への有効含有量は、製剤の形態などにより、適宜選択、決定され、特に限定されないが、総組成物重量当たり0.001〜40重量%が適当である。
本発明の皮膚基底膜賦活用組成物は、皮膚外用剤として使用することができ、また、経口または非経口投与することができる。ローション剤、乳液剤、クリーム剤、抽出製剤、散剤、造粒製剤、カプセル剤、錠剤、軟膏剤、硬軟剤、懸濁剤、シロップ剤、ハップ剤、坐剤、注射剤、エアゾール剤などの製剤として、製剤上の常套手段を用いて製剤化することができ、身体に塗布、貼付、噴霧、注射、飲用、挿入することができる。また、必要に応じて、賦形剤、安定化剤、乳化剤、結合剤、保存剤、pH調整剤、防腐剤、粘度調製剤、湿潤剤、着色剤、等張化剤、香料などの添加剤を適宜含有できる。
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
調製 フェニルプロパノイド化合物含有液の調製;ケイヒ酸、ケイヒアルデヒド、オイゲノール、コニフェリルアルコール、カフェー酸、フェルラ酸、クロロゲン酸(すべてSigma−Aldrich Co.)を99.5%エタノールで10mg/mlに調製した。
試験結果1.表皮角化細胞におけるラミニン5産生能の測定試験;表皮角化細胞および培地(KGM)は、胎児由来正常ヒト表皮角化細胞およびKeratinocyte Growth Medium Bullet Kit(旭テクノグラス)を用いた。細胞はKGMで37℃−5%CO2インキュベーターにて培養した。本実験には継代数が3〜5代の細胞を使用した。
KGMで継代培養した表皮角化細胞をトリプシン/EDTA溶液を用いて培養ディッシュから剥がした後、トリプシン中和溶液を用いてトリプシンを中和した。遠心分離により細胞を集めた後、KGMにて再懸濁し、2×104cells/ウェルとなるように96ウェルプレートに播種し、24時間培養した。ケイヒ酸、ケイヒアルデヒド、オイゲノール、コニフェリルアルコール、カフェー酸、フェルラ酸、クロロゲン酸を100μg/mlで処理し、さらに24時間培養し、細胞培養上清を回収した。800rpm、5分間遠心して浮遊細胞を除去後、15000rpm、30分間遠心して細胞片を除去し、ELISA用サンプルとして用いた。
細胞培養上清液をリン酸緩衝溶液{PBS(−)}で適当に希釈し、96ウェルELISA用プレートに37℃で2時間吸着させた。細胞培養上清液を除去後、ブロッキング溶液{1%の牛血清アルブミン(BSA)を含むPBS(−)}に浸し、37℃で1時間ブロッキングした。洗浄液{0.05%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(和光純薬)を含むPBS(−)}にて洗浄後、一次抗体溶液{洗浄液で5mg/mlに調製したラミニンγ2鎖に対するモノクローナル抗体(クローンD4B5)(Mizushima,H.,etal.,Horm.Res.,50,7−14,1998.)}を添加し、37℃で2時間反応させた。洗浄後、二次抗体{洗浄液で1mg/mlに調製したビオチン化抗マウスイムノグロブリンG(Vector laboratories)}を添加し、室温で1時間反応させた。洗浄後、酵素溶液{洗浄液で1mg/mlに調製したアルカリフォスファターゼアビジンD(Vector laboratories)}を添加し、室温で1時間反応させた。洗浄後、基質液{1mg/mlのp−nitrophenyl phosphate(ICN Biomedicals,Inc.)を含む0.75M Tris−HCl(pH10.3)}を添加し、37℃で30分反応後、405nmでの吸光度を測定した。結果を表1に示す。
試験結果2.光傷害抑制効果の測定試験;
(1)ヒト表皮角化細胞の光傷害抑制効果の測定試験;
ヒト表皮角化細胞をKGMで培養後、トリプシン/EDTA溶液を用いて、接着細胞を培養ディッシュから剥がした後、トリプシン中和溶液を用いてトリプシンを中和した。遠心分離により細胞を集めた後、2×105cells/mlとなるようにKGMにて再懸濁した。この細胞懸濁液に100μg/mlのフェルラ酸および5μg/mlのラミニン5中和抗体(Chemicon,cloneP3H9−2)をそれぞれ単独または組み合せて処理した。本実験では、フェルラ酸の光傷害抑制効果が、ラミニン5の産生促進に依るものかどうかについて調べるために、ラミニン5中和抗体を用いた。この細胞懸濁液を24ウェルプレートに1ml/ウェルで播種し、24時間培養した。UVBを0、75および125mJ/cm2で照射し、さらに24時間培養した。PBS(−)で洗浄し浮遊細胞を除去した後、5%グルタルアルデヒド水溶液にて室温、15分間処理し、細胞を固定した。水道水にて洗浄後、蛍光染色液{5μg/mlのHoechst33342(Sigma−Aldrich Co.)および0.001%のポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(和光純薬)を含む水溶液}を室温、暗所にて1.5時間処理した。水道水にて洗浄後、蛍光プレートリーダーを用いて、蛍光強度を測定することにより細胞生存率を評価した。
(1)ヒト表皮角化細胞の光傷害抑制効果の測定試験;
ヒト表皮角化細胞をKGMで培養後、トリプシン/EDTA溶液を用いて、接着細胞を培養ディッシュから剥がした後、トリプシン中和溶液を用いてトリプシンを中和した。遠心分離により細胞を集めた後、2×105cells/mlとなるようにKGMにて再懸濁した。この細胞懸濁液に100μg/mlのフェルラ酸および5μg/mlのラミニン5中和抗体(Chemicon,cloneP3H9−2)をそれぞれ単独または組み合せて処理した。本実験では、フェルラ酸の光傷害抑制効果が、ラミニン5の産生促進に依るものかどうかについて調べるために、ラミニン5中和抗体を用いた。この細胞懸濁液を24ウェルプレートに1ml/ウェルで播種し、24時間培養した。UVBを0、75および125mJ/cm2で照射し、さらに24時間培養した。PBS(−)で洗浄し浮遊細胞を除去した後、5%グルタルアルデヒド水溶液にて室温、15分間処理し、細胞を固定した。水道水にて洗浄後、蛍光染色液{5μg/mlのHoechst33342(Sigma−Aldrich Co.)および0.001%のポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(和光純薬)を含む水溶液}を室温、暗所にて1.5時間処理した。水道水にて洗浄後、蛍光プレートリーダーを用いて、蛍光強度を測定することにより細胞生存率を評価した。
結果を図1に示す。フェルラ酸およびラミニン5中和抗体を無処理で、UVB非照射の場合を100%として光障害抑制効果を評価した。UVB非照射の場合は、フェルラ酸およびラミニン5中和抗体をそれぞれ単独または組み合せて処理したいずれの場合でも、無処理と同程度の細胞生存率であった。一方、UVBを75および125mJ/cm2で照射した場合は、無処理に比べて、フェルラ酸を処理した場合は有意に細胞生存率が上昇した。フェルラ酸およびラミニン5中和抗体を組み合せて処理した場合の細胞生存率は、無処理と同程度であった。よって、フェルラ酸の光傷害抑制効果はラミニン5の産生促進に起因すると考えられる。
(2)ヒト皮膚三次元モデルの光傷害抑制効果の測定試験;
ヒト皮膚三次元モデルは、TESTSKIN(LSE−high)(東洋紡績)を用い、プロトコールにしたがって培養した。フェルラ酸(100μg/ml)を含む培地をアッセイリング内の組織上に添加し、24時間培養した。UVBを0、120、240および360mJ/cm2で照射し、さらに24時間培養した。組織培養液を回収し、15000rpm、30分間遠心して組織片を除去した。
ヒト皮膚三次元モデルは、TESTSKIN(LSE−high)(東洋紡績)を用い、プロトコールにしたがって培養した。フェルラ酸(100μg/ml)を含む培地をアッセイリング内の組織上に添加し、24時間培養した。UVBを0、120、240および360mJ/cm2で照射し、さらに24時間培養した。組織培養液を回収し、15000rpm、30分間遠心して組織片を除去した。
この組織培養液を用いて、細胞膜に傷害を受けた細胞から遊離される乳酸脱水素酵素(LDH)活性を測定することにより、細胞毒性を測定した。LDH活性の測定は、LDH−細胞毒性テストキット(和光純薬)を用いて行った。PBS(−)を用いて適当に希釈した組織培養液を96ウェルの反応プレートに分注後、発色液を処理し、室温で20分間反応させた。反応停止液を処理後、マイクロプレートリーダーにより560nmの吸光度を測定し、細胞毒性を評価した。
結果を図2に示す。フェルラ酸を無処理で、UVBを非照射の場合の細胞毒性率を100%として評価した。UVBを非照射の場合は、フェルラ酸の処理の有無に関わらず、ほぼ同程度の細胞毒性率であった。一方、UVBを照射した場合は、UVBの照射量が増えるにつれて、細胞毒性率は高くなるが、フェルラ酸を処理した場合は、無処理に比べて細胞毒性が有意に低下した。
処方例1.クリームの製造;
(組成) (含有量)
(A) ステアリルアルコール 6.0%
ステアリン酸 2.0%
水添ラノリン 4.0%
スクワラン 9.0%
オクチルドデカノール 10.0%
POE(25)セチルアルコールエーテル 3.0%
モノステアリン酸グリセリン 2.0%
フェルラ酸 0.1%
防腐剤 適量
香料 適量
(B) 1,3ブチレングリコール 6.0%
PEG 1500 4.0%
精製水 残余
(製法)A、Bをそれぞれ70℃に加熱調節する。AをBに加えて、ホモミキサーにて乳化粒子を均一にして、脱気、濾過、冷却する。
(組成) (含有量)
(A) ステアリルアルコール 6.0%
ステアリン酸 2.0%
水添ラノリン 4.0%
スクワラン 9.0%
オクチルドデカノール 10.0%
POE(25)セチルアルコールエーテル 3.0%
モノステアリン酸グリセリン 2.0%
フェルラ酸 0.1%
防腐剤 適量
香料 適量
(B) 1,3ブチレングリコール 6.0%
PEG 1500 4.0%
精製水 残余
(製法)A、Bをそれぞれ70℃に加熱調節する。AをBに加えて、ホモミキサーにて乳化粒子を均一にして、脱気、濾過、冷却する。
処方例2.錠剤の製造;
(組成) (含有量)
フェルラ酸 20.0%
乳糖 65.0%
コーンスターチ 14.0%
グァーガム 1.0%
(組成) (含有量)
フェルラ酸 20.0%
乳糖 65.0%
コーンスターチ 14.0%
グァーガム 1.0%
Claims (4)
- フェニルプロパノイド類から選ばれる1種または2種以上の化合物および/またはその塩および/またはその配糖体を含有する皮膚基底膜賦活用組成物。
- フェニルプロパノイド類から選ばれる1種または2種以上の化合物および/またはその塩および/またはその配糖体を含有するラミニン5の産生促進用組成物。
- 皮膚外用である請求項1または2記載の組成物。
- 有効成分がフェルラ酸である請求項1、2または3記載の組成物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006316499A JP2007077169A (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | 皮膚基底膜賦活用組成物 |
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- 2006-11-24 JP JP2006316499A patent/JP2007077169A/ja not_active Withdrawn
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