JP2007075848A - レーザ加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】保護部材が損傷に達するまでのレーザビームの連続照射を防止し、保護部材の保守頻度を低減すること。
【解決手段】被加工部材3の下方に保護部材を備え、切断の前に、被加工部材3の同一位置にレーザビーム2を連続的に照射することによってピアシング孔を穿設するレーザ加工装置において、ピアシング孔形成の際、保護部材へのレーザの連続照射時間を測定する時間計測部16と、ピアシング孔形成の際、レーザ出力、被加工部材と保護部材との距離、保護部材の熱容量および被加工部材3のレーザビーム吸収率に基づき保護部材が保護部材の融点に達するまでの保護部材へのレーザの連続照射時間を求め、時間計測部16が測定した連続照射時間が、前記求めた連続照射時間に達する前にレーザビーム出力を停止させるよう制御する連続照射制御部15とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、レーザビームにより被加工部材にピアシング加工を行う際に、装置を保護する保護部材の損傷を防止することが可能なレーザ加工装置に関するものである。
レーザビームによる鋼板の切断ではピアシング作業を実施してから目的の切断作業を開始することが一般的である。一般に、ピアシング作業は、図7に示すように、切断ノズル1からレーザビーム2を鋼板等の被加工部材3に照射し、レーザビーム2と同軸にアシストガス4を供給して被加工部材3を過熱溶融し、レーザビーム2の照射により被加工部材3に形成されるピアシング孔5から溶融金属6をアシストガス4の運動エネルギーにより排除することによりなされ、レーザビーム2が被加工部材3を貫通するまでなされる。このピアシング作業でのレーザビームの照射時間は、あらかじめメモリに登録されたプログラムによって制御される。
ピアシング作業や切断作業中に被加工部材3を貫通させて通過したレーザビーム2はそのまま加工装置内部に照射されるため、加工装置自身が損傷する危険がある。特に、切断開始時のピアシング作業は、被加工部材3および加工装置に対して同一箇所に連続してレーザビーム2が照射され続けるため、被加工部材3を通過したレーザビーム2により加工装置が損傷する危険性が非常に高い。そのため、通常は、加工装置内部に保守交換可能な保護部材を設けてレーザビームから加工装置本体を保護している。
特許文献1には、被加工部材を互いに隣接する多数個の区分に区画し、被加工部材の材質、被加工部材の厚さ、被加工部材の表面状態、切断用ビームの形状、切断軌跡、周囲温度、および被加工部材の冷却条件を用いて、所定時間毎に上記各区分における温度を算出し、かつ切断点の位置する区分の温度に基づいて切断ビームの出力値を制御することにより、被加工部材に対して過大な入熱を与えることのない適正な切断用ビームの目標値出力値を決定することが記載されている。
特開平05−309484号公報
レーザ加工装置における駆動軸の運転、レーザビームの照射開始、照射停止等の制御は、あらかじめメモリされたプログラムにしたがって自動運転する場合と、制御装置の押しボタン等によって直接手動操作する場合がある。従来のレーザ加工装置の制御では、レーザビームの連続照射による保護制御を行っていなかったので、プログラミングの誤りや制御装置の押しボタン操作の誤り等により被加工部材およびレーザ加工装置に対して同一箇所、すなわちレーザビームと被加工部材との相対位置が変化せずにレーザビームが連続的に照射され続けた場合、被加工部材を貫通して通過したレーザビームが保護部材を照射し続け、過度の入熱により損傷に至る場合がある。損傷に至った場合は、保護部材を交換するなどの保守の手間と費用が発生する。特に、加工速度の高速化や被加工部材の厚板化の要求に対応するために、レーザビームの高出力化や、長焦点の集光レンズを採用した場合、保護部材の損傷頻度も高くなって交換頻度が増加するため保守費用が増大する問題があった。さらに、保護部材の保守を怠ると保護部材の損傷部よりレーザビームが通過し、加工装置本体が損傷するという問題があった。
特許文献1には、切断作業時に、切断点の位置する区分の温度に基づいて被加工部材に対して過大な入熱を与えることのない切断ビームの目標出力値を決定するための手法が開示されているに過ぎず、同一箇所にレーザビームを連続照射するピアシング作業時における保護部材の損傷対策については、何の開示もない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、保護部材が損傷に達するまでのレーザビームの連続照射を防止し、保護部材の保守頻度を低減することができるレーザ加工装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、被加工部材の下方に保護部材を備え、切断の前に、被加工部材の同一位置にレーザを連続的に照射することによってピアシング孔を穿設するレーザ加工装置において、ピアシング孔形成の際、前記保護部材へのレーザの連続照射時間を測定する時間計測部と、ピアシング孔形成の際、レーザ出力、被加工部材と保護部材との距離、保護部材の熱容量および被加工部材のレーザビーム吸収率に基づき保護部材の温度が該保護部材の融点に達するまでの保護部材へのレーザの連続照射時間を求め、前記時間計測部が測定した連続照射時間が、前記求めた連続照射時間に達する前にレーザ出力を停止させるよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、保護部材の温度が融点になる前にレーザ照射を停止することとしたので、保護部材が損傷に達するまでのレーザビームの連続照射を防止し、保護部材の保守頻度を低減することができるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかるレーザ加工装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は制御系を含むレーザ加工装置全体の構成を示すブロック図であり、図2は保護部材周辺の概念的構成を示す斜視図であり、図3は保護部材周辺の概念的構成を示す断面図である。
図1〜図3に示すように、このレーザ加工装置18は、レーザビーム2を用いて被加工部材3に切断加工を行うべく構成されたものであり、レーザビーム2を発生させるためのビーム発生器7と、被加工部材3をレーザビーム2に対して相対移動させるためのXYテーブル8とを具備している。XYテーブル8は、X軸駆動モータ9およびY軸駆動モータ10によってXY方向に移動駆動される。ビーム発生器7から出射されたレーザビーム2は、ミラー22、加工レンズ17などの光学系を介して被加工部材3に照射される。
図2,図3に示すように、XYテーブル8上には、レーザ加工装置の本体筐体21が設けられ、本体筐体21の上側には、保護部材19が装着されている。本体筐体21は、被加工部材3の切断片やスパッタ等の金属粉を収容する収容部としても機能する。保護部材19はワーク台20上に載置される被加工部材3に対し傾斜した傾斜部を備え、保護部材19の上側にはワーク台20が設けられている。保護部材19は、被加工部材3を貫通したレーザビーム2が、被加工部材3の下側に配置された本体筐体21、さらにはXYテーブル8に照射されて、これらが損傷するのを防止するために装着されており、また被加工部材3の切断片やスパッタ等の金属粉を下に落下させるために傾斜されている。
また、レーザ加工装置18は、図1に示すように、数値制御プログラムメモリ11、数値制御部12、サーボ制御部13を有している。数値制御プログラムメモリ11に記憶されたプログラムに基づく数値制御部12からの指令にしたがってビーム発生器7におけるレーザビーム2の照射開始および照射停止等の制御が実行される。
サーボ制御部13は、数値制御プログラムメモリ11に記憶されたプログラムに基づく数値制御部12からの指令にしたがってX軸駆動モータ9およびY軸駆動モータ10を駆動制御し、これによりレーザビーム2が予め設定した被加工部材上の切断軌跡に沿って移動するよう、被加工部材3が載置されたXYテーブルをXY方向に移動制御するものである。なお、この場合は、被加工部材側を移動させたが、レーザビーム側をXY方向に移動制御するようにしてもよい。
レーザ加工装置18は、定数設定用メモリ14と、時間計測部16と、連続照射制御部15とをさらに具備しており、これらの構成要件によって、プログラミングの誤りや制御装置の押しボタン操作の誤り等により、ピアシング作業などの際において被加工部材3および加工装置の同一箇所に連続してレーザビーム2が照射され続けた場合に、レーザビーム2が連続して照射される時間を監視することで、保護部材19上のレーザビーム2が照射されている部位が融点温度に達する前にビーム発生器7を制御してレーザビーム2の出力を停止し、保護部材19への過度な入熱を阻止して損傷を防止するようにしている。
以下、この発明の要部の基本的な考え方について述べる。レーザビーム2が照射される部位での保護部材19の温度を正確に計算するには、被加工部材3を貫通させて通過したレーザビーム2からの入熱量と、保護部材19におけるレーザビーム2照射位置の周囲への熱伝導、および放熱量等を求める必要がある。しかし、ピアシング作業のように保護部材19の同一箇所に連続してレーザビーム2が照射される場合には、保護部材19への入熱量のみが温度変化に対して支配的であるので、この場合、照射位置周囲への熱伝導および放熱量は無視する。
保護部材19のレーザビーム照射位置におけるレーザビーム2からの入熱量Qは、レーザビーム2の出力値Wに比例するとともに、保護部材19への連続照射時間S2に比例する。保護部材19へのレーザ照射は、被加工部材3を貫通したレーザビーム2によりなされるものであるから、被加工部材3への連続照射時間Sと、被加工部材3のピアシング孔貫通に要する時間S1とから、保護部材19への連続照射時間S2は、S2=S−S1となる。ピアシング作業により被加工部材3にピアシング孔が貫通したことを検知することは非常に困難であるから、被加工部材3のピアシング孔貫通に要する時間S1は、被加工部材3の材質および板厚に応じて、レーザビーム2の出力、アシストガスの種類、アシストガスの圧力等のピアシング条件毎に実験、経験により得るが、被加工部材3の成分や表面状態のばらつきにより一定ではないため、ばらつきの範囲での最短時間S1(min)が定数設定用メモリ14に登録される。つまり、保護部材19への最長連続照射時間S2(max)は、下式(1)のようになり、S2(max)による入熱を監視すれば良い。
S2(max)=S−S1(min) …(1)
図4に示すように、被加工部材3には、加工レンズ17等により小さいスポットに集光されたレーザビーム2が照射されるため、被加工部材3を貫通したレーザビーム2は、その径を拡げながら進んでいく。すなわち、被加工部材3を貫通したレーザビーム2は、進んだ距離にほぼ比例してエネルギー密度が低下することになり、保護部材19上でのレーザビーム2のエネルギー密度は加工レンズ17等の焦点距離に左右される。
前述したように、レーザ加工装置18に装着される保護部材19は、被加工部材3の切断片やスパッタ等の金属粉が堆積することを防止するために傾斜させた状態で配置される場合が多い。また、レーザ加工装置の構造に合わせて保護部材19が設置されるため、設置場所によりその配置高さは異なる。そのため、レーザビーム2の照射位置(X,Y)毎に被加工部材3と保護部材19との距離Lが異なることとなり、保護部材19へのレーザビーム2による入熱量は、被加工部材3と保護部材19との距離Lの2乗に反比例する。
すなわち、各X−Y座標位置における保護部材19への入熱量Qは、Kを実験、経験、計算により得られる係数とし、Wをレーザ出力とし、S2を保護部材19への連続照射時間とし、Lを被加工部材3と保護部材19との距離とすると、下記の式(2)によって求められる。
Q(x,y)=K*W*S2/L(x,y)2 …(2)
なお、添字(x,y)はレーザビーム2が照射されるX−Y座標位置を示している。
保護部材19のレーザビーム照射位置(x,y)における温度変化量ΔT(x,y)は、入熱量Q(x,y)に比例し、保護部材19の材質、板厚、面積から一義的に決まる熱容量Hcや、被加工部材3の材質や表面粗さ等により決定される被加工部材3表面におけるレーザビーム2の吸収率(吸収のし易さ)を表す係数Hsにより、下式(3)のように算出される。
ΔT(x,y)=Q(x,y)/(Hc*Hs) …(3)
保護部材19のレーザビーム照射位置(x,y)におけるある時刻の温度T(x,y)は、レーザビーム照射前の温度T1(x,y)に温度変化量ΔT(x,y)を加算したものとなり、下式(4)で表される。
T(x,y)=T1(x,y)+ΔT(x,y) …(4)
しかし、レーザビーム2の照射前の温度T1(x,y)は、大気温度とほぼ等しいと考えることができ、レーザビーム2の照射における温度変化ΔT(x,y)にくらべて非常に小さい値であるから、
T(x,y)=ΔT(x,y) …(5)
と近似することができる。
ここで、保護部材19の融点をUとすると、先の(2)〜(5)式から、保護部材19の温度が保護部材19の融点に達するまでの保護部材19へのレーザの連続照射時間S2(U)は、下式(6)のように表すことができる。
S2(U)={U*Hc*Hs*L(x,y)2}/(K*W)…(6)
したがって、先の(1)式に基づき保護部材19への連続照射時間S2(max)を実際に測定し、測定した連続照射時間S2(max)を上記(6)式から求めた保護部材19の融点に達するまでのレーザの連続照射時間S2(U)と比較し、測定した連続照射時間S2(max)が連続照射時間S2(U)に達する前に、レーザ出力を停止させるようにすれば、保護部材19への過大な入熱による保護部材19の損傷を未然に防止することができる。
定数設定用メモリ14には、被加工部材3のピアシング孔最短貫通時間S1(min)、実験、経験、計算により得られる係数K、保護部材19の材質、板厚、面積から一義的に決まる保護部材19の熱容量Hc、被加工部材3のレーザビーム吸収率Hs、各ピアシング座標位置(x,y)における被加工部材3と保護部材19との距離L(x,y)および保護部材19の融点U等の設定および記憶が行われている。
時間計測部16には、数値制御部12から、ピアシング孔穿設の際のレーザビーム2の照射開始指令が入力される。時間計測部16は、ピアシング孔穿設の際には、定数設定用メモリ14に設定記憶されている被加工部材3のピアシング孔最短貫通時間S1(min)を定数設定用メモリ14を取得する。時間計測部16は、数値制御部12からレーザビーム2の照射開始指令が入力されると、この時点からピアシング孔最短貫通時間S1(min)が経過するまでの時間を計時し、この計時が終了した時点を被加工部材3にピアシング孔が貫通した時点とし、この時点から保護部材19への連続照射時間t(=S2)の計時測定を開始する。測定時間tは、連続照射制御部15に逐次入力される。
連続照射制御部15には、数値制御部12から、ピアシング孔穿設の際のレーザビーム2の照射開始指令と、レーザ出力指令値(または平均出力または測定値)Wと、今回のピアシング座標位置(x,y)が入力される。連続照射制御部15は、レーザビーム2の照射開始指令が入力されると、定数設定用メモリ14からピアシング孔最短貫通時間S1(min)、係数K、保護部材19の熱容量Hc、被加工部材3のレーザビーム吸収率Hs、今回のピアシング座標位置(x,y)に対応する被加工部材3と保護部材19との距離L(x,y)および保護部材19の融点Uを取得し、これら取得した値と、数値制御部12からのレーザ出力Wとを用い、先の(6)式に従って、保護部材19の融点に達するまでの保護部材19へのレーザの連続照射時間S2(U)を導出する。そして、連続照射制御部15は、導出した連続照射時間S2(U)と、時間計測部16から入力されている測定時間tとを比較し、この比較結果に基づき測定時間tが連続照射時間S2(U)に達する前に、数値制御部12にレーザビーム停止指令を出力する。数値制御部12では、連続照射制御部15からレーザビーム停止指令が入力されると、ビーム発生器7にレーザビーム停止指令を出力することで、レーザ出力を停止させる。
なお、測定時間tが融点Uに対応する連続照射時間S2(U)に達する前にレーザ出力停止指令を発生させるための手法としては、例えばつぎのような2手法がある。1つ目の手法では、(6)式に基づき算出した連続照射時間S2(U)から所定の若干時間を減算し、この減算結果に測定時間tが到達した場合、この到達時点でレーザ出力停止指令を発生させる。2つ目の手法では、先の(6)式に従って保護部材19の融点Uよりも若干低い所定の温度U´に達するまでの保護部材19へのレーザの連続照射時間S2(U)´を導出し、この連続照射時間S2(U)´に測定時間tが到達した場合、この到達時点でレーザ出力停止指令を発生させる。
このような制御を各ピアシング座標位置で行うことで、ピアシング作業等のように保護部材19の同一箇所にレーザビーム2が連続して照射された場合における保護部材19の損傷を確実に防止することができる。
図5は、保護部材19に板圧9mmの軟鋼材を用いた場合において、所定のピアシング座標位置において板厚12mmの軟鋼材の被加工部材3にピアシング作業を行う場合の、レーザビーム2の平均出力Wと、保護部材19が損傷に至るまでの連続照射時間S2(U)との関係を示すものである。図5によれば、例えば、レーザ出力2000(W)であれば、30秒間を越えて連続出力した場合には保護部材19が損傷するため、連続照射が30秒に達する前にレーザビーム2の出力が停止されることになる。
このように、実施の形態1では、被加工部材3およびレーザ加工装置(保護部材19)に対して連続してレーザビーム2が照射されるピアシング作業時、保護部材へのレーザの連続照射時間を測定し、この測定時間が保護部材の温度が融点Uに達するまでのレーザの連続照射時間に達する前にレーザ出力を停止させるようにしているので、プログラミングの誤りや制御装置の押しボタン操作の誤り等が発生した場合でも、過大な入熱による保護部材19の損傷を防止することができ、保護部材19の保守頻度を低減することができる。
なお、より簡単に制御するために、L(x、y)を最小値に固定し、被加工部材3との距離が最も近い保護部材19、すなわち最も損傷し易い保護部材19が損傷に至るまでのレーザビーム2の連続照射時間を、全ての座標に適用しても良い。また、本発明を、保護部材19が傾斜されていないものに適用するようにしてもよい。
実施の形態2.
つぎに、図6を用いてこの発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1は、被加工部材3にピアシング孔を貫通して通過したレーザビーム2による損傷を防止するものであるが、プログラミングミスや誤操作によっては被加工部材3が載置されていない位置でのレーザビーム2照射による保護部材19の損傷も予想される。
この場合、レーザビーム2の照射開始とともにレーザビーム2が保護部材19に達するため、温度変化も急激となり損傷の可能性は高い。また、照射位置にはアシストガス4が吹き付けられるため、その反応熱も無視できない。さらには、高圧のアシストガス4が吹き付けられた場合には、溶融物を飛散させ、損傷を加速させる。
そこで、この実施の形態2では、ピアシングの際に、レーザ照射位置に被加工部材3が存在するか否かを判定するワーク検出器30を具備させ、ワーク検出器30により被加工部材3が無いと判定した場合には、式(6)から被加工部材3のレーザビーム吸収率Hsを除いて保護部材19が損傷に至るまでの連続照射時間S2(U)を求めるとともに、定数設定用メモリ14に設定記憶されている最短ピアス貫通時間(S1(min))をS1(min)=0として、保護部材19への連続照射時間tの測定を実行する。すなわち、この場合、時間計測部16では、数値制御部12からレーザビーム2の照射開始指令が入力されると、この時点を被加工部材3にピアシング孔が貫通した時点とし、この時点から保護部材19への連続照射時間tの計時動作を開始する。また、連続照射時間S2(U)の計算の際は、レーザビーム吸収率Hsが除され、係数K、保護部材19の熱容量Hc、今回のピアシング座標位置(x,y)に対応する被加工部材3と保護部材19との距離L(x,y)および保護部材19の融点Uを用いて、連続照射時間S2(U)が計算される。そして、実施の形態1と同様にして、測定時間tが保護部材19が損傷に至るまでの連続照射時間S2(U)に達する前にレーザ出力を停止させる。
図6に示すように、一般的にレーザ加工装置には、被加工部材3と切断ノズル1のギャップを検出するために例えば静電容量式センサ等の倣いセンサ30が加工ヘッドに具備されており、数値制御部12の制御に基づくサーボ制御部13からの指令によりZ軸駆動モータ31によって加工ヘッドをZ軸方向に駆動制御しており、このような構成の場合、ワーク検出器として倣いセンサ30を採用することができる。
このように実施の形態2によれば、ワーク検出器30を設け、ワーク検出器30により被加工部材3が無いと判定した場合には、式(6)から被加工部材3のレーザビーム吸収率Hsを除いて保護部材19が損傷に至るまでの連続照射時間S2(U)を求めるとともに、レーザ照射開始直後から保護部材19への連続照射時間tの測定動作を行うようにしたので、被加工部材3が無い場合、測定時間tが保護部材19が損傷に至るまでの連続照射時間S2(U)に達する前に正確にレーザ出力を停止させることができ、被加工部材3が無い場合においても、過大な入熱による保護部材19の損傷を防止することができる。
以上のように、本発明にかかるレーザ加工装置は、切断作業前のピアシング作業に有用である。
実施の形態1にかかるレーザ加工装置を示す全体図である。 レーザ加工装置の保護部材周辺部分の斜視図である。 レーザ加工装置の保護部材周辺部分の横断面図である。 被加工部材に照射されるレーザビームを示す図である。 レーザビーム出力と連続照射可能時間との関係を示す図である。 実施の形態2のレーザ加工装置を示す全体図である。 レーザ加工装置におけるピアシング作業の説明図である。
符号の説明
1 切断ノズル
2 レーザビーム
3 被加工部材
4 アシストガス
5 ピアシング孔
6 溶融金属
7 ビーム発生器
8 XYテーブル
9 X軸駆動モータ
10 Y軸駆動モータ
11 数値制御プログラムメモリ
12 数値制御部
13 サーボ制御部
14 定数設定用メモリ
15 連続照射制御部
16 時間計測部
17 加工レンズ
18 レーザ加工装置
19 保護部材
20 ワーク台
21 本体筐体
22 ミラー
30 ワーク検出器(倣いセンサ)
31 Z軸駆動モータ

Claims (3)

  1. 被加工部材の下方に保護部材を備え、切断の前に、被加工部材の同一位置にレーザを連続的に照射することによってピアシング孔を穿設するレーザ加工装置において、
    ピアシング孔形成の際、前記保護部材へのレーザの連続照射時間を測定する時間計測部と、
    ピアシング孔形成の際、レーザ出力、被加工部材と保護部材との距離、保護部材の熱容量および被加工部材のレーザビーム吸収率に基づき保護部材の温度が該保護部材の融点に達するまでの保護部材へのレーザの連続照射時間を求め、前記時間計測部が測定した連続照射時間が、前記求めた連続照射時間に達する前にレーザ出力を停止させるよう制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 前記保護部材は、被加工部材に対し傾斜されており、
    前記制御手段は、ピアシング孔を形成する位置毎に、前記被加工部材と保護部材との距離を求めることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 被加工部材の有無を検出する被加工部材検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記被加工部材検出手段によって被加工部材が検出されない場合、レーザ出力、被加工部材と保護部材との距離および保護部材の熱容量に基づき保護部材が該保護部材の融点より低い温度に達するまでの保護部材へのレーザの連続照射時間を求めることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ加工装置。
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