JP2007074665A - 収音再生装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 2本のマイクロホン11,12と帯域分割手段13と帯域別チャネル間パラメータ値差検出手段14と音源信号判定手段15と重み乗算手段16と音源信号合成手段17と音源数と同数のスピーカ(拡声手段)181〜18Qを備える。マイクロホン11,12で収音した信号をチャネル間のレベル差や位相差に基づいて重み付けし、各出力信号には個々の音源の信号成分が主に含まれるよう、音源数と同数の出力信号を作成し、各別のスピーカで再生する。
【選択図】 図2
Description
ジョン M・アーグル著、沢口真生訳、「ハンドブック・オブ・レコーディング・エンジニアリング・セカンドエディション」、株式会社ステレオサウンド、2004年6月30日、p.45−46
この発明の目的はこの問題に鑑み、聴取者の位置によらず、全ての聴取者に音の方向を正しく知覚させることを可能とする収音再生装置を提供することにある。
図1はこの発明による収音再生装置の一実施例として、音源の個数が3個の場合の構成を示したものであり、この例では収音再生装置は2本のマイクロホン11,12と帯域分割手段13と帯域別チャネル間パラメータ値差検出手段14と音源信号判定手段15と重み乗算手段16と音源信号合成手段17と拡声手段とによって構成されている。拡声手段はスピーカとされ、この例では三つのスピーカ18L,18C,18Rを備えている。なお、図中、L,C及びRはそれぞれ音源を示す。
ここで、これら音源L,C,Rの発する音(音波)をそれぞれSL(n),SC(n),SR(n)とし、それらが左側のマイクロホン11で収音された収音信号をxL(n)とし、右側のマイクロホン12で収音された収音信号をxR(n)とする。
周波数帯域信号XL(ωi),XR(ωi)は帯域別チャネル間パラメータ値差検出手段14に入力され、帯域別チャネル間パラメータ値差検出手段14においては下記式(1),(2)で定義されるチャネル間レベル差(チャネル間到達レベル差)ΔLev(ωi)及びチャネル間位相差(チャネル間到達位相差)Δang(ωi)を算出する。
Δang(ωi)=angXL(ωi)−angXR(ωi) …(2)
音源信号判定手段15では帯域別チャネル間パラメータ値差検出手段14で算出されたチャネル間レベル差ΔLev(ωi)やチャネル間位相差Δang(ωi)を用いて各帯域がどの音源から発せられた信号であるかを判定する。
各音源L,C,Rのチャネル間レベル差を個別に測定し、それぞれその平均と分散を求める。ここで、個別に測定した場合の音源Lのチャネル間レベル差ΔLevL(ωi)の平均をMLとし、分散をρLとする。同様に、音源Cのチャネル間レベル差ΔLevC(ωi)の平均をMC、分散をρCとし、音源Rのチャネル間レベル差ΔLevR(ωi)の平均をMR、分散をρRとする。
ML>MC>MR …(3)
従って、全帯域のチャネル間レベル差ΔLev(ωi)に対し、下記式(4)を満たす帯域を選定することにより、音源Lの信号を主に含む帯域を判定する。
ML−ρL≦ΔLev(ωi)≦ML+ρL …(4)
同様に、下記式(5),(6)により音源Cの信号を主に含む帯域及び音源Rの信号を主に含む帯域を判定する。
MR−ρR≦ΔLev(ωi)≦MR+ρR …(6)
このように、音源信号判定手段15では各帯域がいずれの音源の信号を主に含むかを判定し、その判定結果として各帯域毎にどの音源の信号を主に含むかの下記式(7−1)〜(7−3)に示したような判定情報を重み乗算手段16に送る。式(7−1)は帯域iが音源Lの信号を主に含むと判定した場合の判定情報を示し、式(7−2),(7−3)は帯域iが音源C、音源Rの信号をそれぞれ主に含むと判定した場合の判定情報を示す。
Res(ωi)=C …(7−2)
Res(ωi)=R …(7−3)
次に、チャネル間位相差Δang(ωi)で判定する場合について説明する。
判定のためのパラメータの値の差としてチャネル間位相差Δang(ωi)を用いる場合もチャネル間レベル差ΔLev(ωi)を用いた場合と同様の考え方ができる。即ち、各音源L,C,Rのチャネル間位相差を個別に測定し、それぞれその平均と分散を求める。個別に測定した場合の音源Lのチャネル間位相差ΔangL(ωi)の平均をangMLとし、分散をangρLとする。同様に、音源Cのチャネル間位相差ΔangC(ωi)の平均をangMC、分散をangρCとし、音源Rのチャネル間位相差ΔangR(ωi)の平均をangMR、分散をangρRとする。
angML>angMC>angMR …(8)
従って、例えば音源Lの信号を主に含む帯域を判定する場合、下記式(9)を満たす帯域を選定すればよく、同様に音源C,Rの信号をそれぞれ主に含む帯域を判定する場合、それぞれ下記式(10),(11)を満たす帯域を選定すればよい。
angML−angρL≦Δang(ωi)≦angML+angρL …(9)
angMC−angρC≦Δang(ωi)≦angMC+angρC …(10)
angMR−angρR≦Δang(ωi)≦angMR+angρR …(11)
各帯域においてチャネル間レベル差ΔLev(ωi)とチャネル間位相差Δang(ωi)のうち、どちらを使うかについては、例えば入力系の特性により異なる。例えばマイクロホン11,12に2本の指向性マイクロホンを使う場合には全帯域でチャネル間レベル差ΔLev(ωi)が安定して算出され、これに対し、指向性の影響でチャネル間位相差Δang(ωi)は乱れやすいため、全帯域をチャネル間レベル差ΔLev(ωi)で判定するのが好ましい。
重み乗算手段16には音源信号判定手段15から判定情報が入力され、また帯域分割手段13から周波数帯域信号XL(ωi),XR(ωi)が入力され、重み乗算手段16においては音源信号判定手段15で判定された結果に基づき、下記の方法で重み値を乗算する。
Res(ωi)=Lの場合、
YL(ωi)=XL(ωi)
YC(ωi)=(α/2)・(XL(ωi)+XR(ωi))
YR(ωi)=α・XR(ωi)
Res(ωi)=Cの場合、
YL(ωi)=α・XL(ωi)
YC(ωi)=(XL(ωi)+XR(ωi))/2
YR(ωi)=α・XR(ωi)
Res(ωi)=Rの場合、
YL(ωi)=α・XL(ωi)
YC(ωi)=(α/2)・(XL(ωi)+XR(ωi))
YR(ωi)=XR(ωi)
ここで、αは0に近い小さな値とし、例えば0.1や0.2程度とする。なお、αを0にしても各出力用音源信号YL(ωi),YC(ωi),YR(ωi)は一つの音源からの成分を主に含むことには変わりはないが、0にすれば、どこの出力用音源信号YL(ωi),YC(ωi),YR(ωi)からも出力されない周波数成分が生じるために、歪が生じやすくなる。よって、αの値は0.1や0.2程度とする。
XL(ωi)とXR(ωi)のいずれを使うかについては各音源L,C,Rからの信号がXL(ωi)とXR(ωi)のうち、どちらの方に高いSN比で受音されているかに依存する。例えば、音源Lは左側のマイクロホン11の方に近いのでXL(ωi)の方に高いSN比で受音される。そのため、XL(ωi)に重み付けした信号を出力用音源信号YL(ωi)として用いる。音源Rについては逆に右側のマイクロホン12の方に近いので、XR(ωi)の方に高いSN比で受音される。そのため、XR(ωi)に重み付けした信号を出力用音源信号YR(ωi)として用いる。真ん中の音源Cについてはマイクロホン11と12に同じ大きさで受音されるため、両方の信号XL(ωi),XR(ωi)を用いる。その際、大きさを音源Lや音源Rと揃えるため、XL(ωi)とXR(ωi)の和に乗算する重み値の値を半分とする。
スピーカ18L,18C,18Rの配置については音源Lの信号を強調して出力する出力信号yL(n)を再生するためのスピーカ18Lは聴取者の左側に、音源Rの信号を強調して出力する出力信号yR(n)を再生するためのスピーカ18Rは聴取者の右側に、音源Cの信号を強調して出力する出力信号yC(n)を再生するためのスピーカ18Cはスピーカ18Lと18Rの間に、つまり中央に設置する必要がある。
図2では2本のマイクロホン11,12の位置から見て音源を左から順に音源1,音源2,…,音源Qとする。各音源1,2,…,Qの発する音S1(n),S2(n),…,SQ(n)はマイクロホン11,12で収音され、収音信号xL(n),xR(n)は帯域分割手段13に入力されて周波数帯域信号XL(ωi)及びXR(ωi),i=1,…,Nに変換される。
以下、一例としてチャネル間レベル差ΔLev(ωi)で判定する場合について説明する。
M1>M2>…>MQ …(12)
従って、例えば音源1の信号を主に含む帯域を判定するためには下記式(13)を満たす帯域を選定すればよい。
そして、式(13)を満たす帯域は音源1の信号を主に含むと判定し、下記式(14−1)に示したような判定情報を音源信号判定手段15は重み乗算手段16に送る。
Res(ωi)=1 …(14−1)
同様にして、音源2や音源Qの信号を主に含むと判定した帯域は下記式(14−2),(14−3)に示したような判定情報を重み乗算手段16に送る。
Res(ωi)=2 …(14−2)
Res(ωi)=Q …(14−3)
重み乗算手段16においては出力のための出力用音源信号を音源の個数分(Q個)用意する。これらをY1(ωi),Y2(ωi),…,YQ(ωi),i=1,…,Nとする。これら出力用音源信号Y1(ωi),Y2(ωi),…,YQ(ωi)は音源信号判定手段15からの判定情報に基づいて重みを乗算される。
今、音源信号判定手段15からの判定情報が、
Res(ωi)=k
とされ、つまり帯域iにおいて信号を主に含むと判定された音源のインデックスがkの場合、各出力用音源信号Y1(ωi),Y2(ωi),…,YQ(ωi)は下記のように重みを乗算される。なお、k<mcとする。
Y1≦m<k,k<m<mc(ωi)=α・XL(ωi)
Ymc(ωi)=(α/2)・(XL(ωi)+XR(ωi))
Ymc<m≦Q(ωi)=α・XR(ωi)
これら出力用音源信号は音源信号合成手段17に入力され、逆フーリエ変換することにより時間波形に戻され、出力信号y1(n),y2(n),…,yQ(n)とされる。
拡声手段は例えばスピーカとされて音源数と同数用意され、これらスピーカ181,182,…,18Qにそれぞれ出力信号y1(n),y2(n),…,yQ(n)が入力されて再生される。なお、スピーカ181,182,…,18Qは聴取者に対して左側から順に配列されて設置される。
k>mcの場合、
Yk(ωi)=XR(ωi)
Y1≦m<mc(ωi)=α・XL(ωi)
Ymc(ωi)=(α/2)・(XL(ωi)+XR(ωi))
Ymc<m<k,k<m≦Q(ωi)=α・XR(ωi)
k=mcの場合、
Yk(ωi)=(XL(ωi)+XR(ωi))/2
Y1≦m<mc(ωi)=α・XL(ωi)
Ymc<m≦Q(ωi)=α・XR(ωi)
以上説明したように、音源の個数がQ個の場合でも、聴取者の位置によらず、全ての聴取者に音の方向がわかるように音を聞かせることができる。
ML−a・ρL≦ΔLev(ωi)≦ML+a・ρL
ここで、a<1とする。
12 マイクロホン
13 帯域分割手段
14 帯域別チャネル間パラメータ値差検出手段
15 音源信号判定手段
16 重み乗算手段
17 音源信号合成手段
Claims (5)
- 複数の音源からの音を収音して再生する装置であって、
互いに離して配置され、上記音を収音する2本のマイクロホンと、
それら2本のマイクロホンの各収音信号が入力され、それら各収音信号をそれぞれ複数の周波数帯域信号に分割・変換する帯域分割手段と、
その帯域分割手段から上記各複数の周波数帯域信号が入力され、それら両周波数帯域信号の同一帯域毎に、上記2本のマイクロホンの位置に起因して生ずる上記音のパラメータの値の差を帯域別チャネル間パラメータ値差として検出する帯域別チャネル間パラメータ値差検出手段と、
その帯域別チャネル間パラメータ値差検出手段から入力された上記帯域別チャネル間パラメータ値差に基づき、上記周波数帯域信号の各帯域がいずれの上記音源から入力された音を主に含むかを判定して、その判定情報を出力する音源信号判定手段と、
上記判定情報及び上記各複数の周波数帯域信号が入力され、上記判定情報に基づき、それら周波数帯域信号に重み値を乗算して、上記各音源と対応付けされ、かつそれぞれその対応付けされた音源からの音が強調された上記音源数と同数の出力用音源信号を作成する重み乗算手段と、
上記各出力用音源信号が入力され、それら出力用音源信号をそれぞれ時間波形に戻して出力信号とする音源信号合成手段と、
上記出力信号がそれぞれ入力され、その入力された出力信号を再生する上記音源数と同数の拡声手段とを備え、
それら拡声手段はそれぞれ入力される上記出力信号に音が強調されている音源の位置と対応付けられて配列されていることを特徴とする収音再生装置。 - 請求項1記載の収音再生装置において、
上記判定情報により判定された音源と対応付けされた上記出力用音源信号の作成における上記重み値を1とする時、その判定された音源以外の音源と対応付けされた上記出力用音源信号の作成における上記重み値が0.1乃至0.2とされることを特徴とする収音再生装置。 - 請求項1記載の収音再生装置において、
上記帯域分割手段における帯域分割は各帯域の周波数帯域信号が主として一つの音源からの信号成分よりなる程度に分割されることを特徴とする収音再生装置。 - 請求項1記載の収音再生装置において、
上記パラメータにレベル及び位相のいずれかあるいは双方を用いることを特徴とする収音再生装置。 - 請求項1記載の収音再生装置において、
上記音源信号判定手段は上記各音源に対して個別に測定した帯域別チャネル間パラメータ値差の平均と分散を使用して上記判定を行うことを特徴とする収音再生装置。
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