JP2007074442A - スイッチング増幅器およびオーディオ機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 入力信号の電圧値が変化しても信号帯域内に希望信号以外の周波数成分が現れにくいスイッチング増幅器を実現する。
【解決手段】 積分器3a・3bを備えるループフィルタ3、カットオフ周波数可変のローパスフィルタ4、非同期型のコンパレータ5、およびドライバ6を備えるループを形成し、制御信号発生器7を設ける。制御信号発生器7は、ドライバ6の出力信号Y1の周波数を外部参照信号Srefの周波数に一致させるように制御信号Sctrlを生成して、ローパスフィルタ4の外部制御端子に入力し、ローパスフィルタ4のカットオフ周波数を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アナログ信号を増幅するスイッチング増幅器および、スイッチング増幅器を用いたオーディオ機器に関するものであり、特にスイッチング素子を制御する変調回路の性能改善に関するものである。
スイッチング増幅器は、CLASS−Dアンプとして知られており、PWM変調回路や同期および非同期デルタシグマ変調回路と共に用いることにより、アナログ入力信号の高効率増幅を可能にする。非特許文献1および特許文献1にxDSL用高効率スイッチング増幅器が記載されている。図9にそのブロック図を示す。図9のスイッチング増幅器101は、入力信号X101とフィードバック信号X102との差を計算する減算器102と、減算器102の出力を入力とするループフィルタ103と、ループフィルタ103の出力信号を1ビットへ変換するコンパレータ104と、コンパレータ104の出力信号を増幅し低インピーダンス負荷に電力供給するためのデジタルドライバ105と、上記デジタルドライバ105の出力信号Y101をフィルタリングするために、スイッチング増幅器101の出力端子OUTから減算器102へのフィードバックパス上に配置されたローパスフィルタ106とから構成される。
さらに、ループフィルタ103は、ループフィルタ103への入力信号が入力される積分器103aと、積分器103aの出力信号が入力される積分器103bと、加算器103cとを備えている。ループフィルタ103の内部では、積分器103aの出力信号と積分器103bの出力信号との差が加算器103cで計算され、これがループフィルタ103の出力信号となる。
以下に、図9のスイッチング増幅器101の動作原理を説明する。回路構成は従来のクロック同期したデルタシグマ変調器とほぼ同じ構成であるが、図12のスイッチング増幅器101では、コンパレータ104を非同期で動作させており、コンパレータ104のデジタル出力は外部クロックに同期せずに出力される(上記コンパレータ104は基本的に外部クロックを必要としない)。前記フィードバックパスにローパスフィルタ106を挿入することにより、ループが不安定となり、ローパスフィルタ106のカットオフ周波数と次数とで決まるある周波数で、スイッチング増幅器101が発振する(以下、リミットサイクル周波数と呼ぶ)。コンパレータ104は、正弦波の入力信号に対して周期方形波の出力信号を出力することから、スイッチング増幅器101の入力と出力との関係は非線形になる。入力信号X101がない場合には、デジタルドライバ105の出力信号Y101は、ハイレベルとローレベルとのそれぞれがデューティ比50%ずつの周期方形波となる。
このリミットサイクル周波数での発振は、スイッチング増幅器101に対してディザーとして動作し、リミットサイクル周波数より十分小さい帯域において、入出力特性Y101/X101が線形となり、ダイナミックレンジの高い増幅回路を実現することができる。
ループフィルタ103、コンパレータ104、デジタルドライバ105、およびローパスフィルタ106で構成されるループに記述関数法(Describing function method:DFM)を用いることにより、コンパレータ104とデジタルドライバ105とを併せたブロックは、周期方形波となる出力信号Y101の基本波成分についてゲインがN(A)である増幅回路と考えることができる。
Figure 2007074442
ここで、コンパレータ104の入力振幅(正弦波)をAとし、上記デジタルドライバ105の出力信号Vの片側振幅を1(波高値が正方向に+1、負方向に−1)と仮定する。このとき、リミットサイクル周波数ωlimは次式を解くことにより、求まる。ここで、上記ローパスフィルタ106は、カットオフ周波数がωfilである1次のローパスフィルタがn個直列に接続された構成であると仮定する。ループフィルタ103、コンパレータ104、デジタルドライバ105、およびローパスフィルタ106で構成されるループの開ループ伝達関数をJ(s)とし、LOOP(jω)=J(jω)+1とおくと、リミットサイクル周波数ωlimは次式、
Figure 2007074442
を解くことにより求まる。上記LOOP(jω)の虚数部=0から、次式、
Figure 2007074442
が得られる(ただし、arctanX≡tan−1X)。つまり、リミットサイクル周波数ωlimは、ローパスフィルタ106のカットオフ周波数ωlpfと、次数nと、積分器103bの帯域ωint2との関数として与えられる。ここで、ωint2≪ωlpf<ωlimとなるように積分器103bを設計することにより、リミットサイクル周波数ωlimは近似的に次式で与えられる。
Figure 2007074442
つまり、リミットサイクル周波数ωlimはローパスフィルタ106のカットオフ周波数ωlpfと次数nとのみで決まるようにできる。
欧州特許出願公開第1,229,641号明細書(2002年8月7日公開) 米国特許第6,518,849号明細書(2003年2月11日公開) 特開平7−15304号公報(1995(平成7年)1月17日公開) IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, VOL. 38, NO.1, JANUARY 2003, "Highly Efficient xDSL Line Drivers in 0.35um CMOS using a Self-Oscillating Power Amplifier"
図9に示すスイッチング増幅器101の問題点は、入力信号X101の電圧値に応じて、リミットサイクル周波数ωlimが変調される点である。リミットサイクル周波数ωlimは、入力信号X101の電圧値が高くなると、低い周波数になるように変調される。上記変調により、リミットサイクル周波数ωlimが信号帯域近くまで変調される場合、スイッチング増幅器101の出力信号Y101は、リミットサイクル周波数ωlim付近にパワーを持つので、信号帯域内に希望信号以外の周波数成分が現れることになる。したがって、低いリミットサイクル周波数ωlimで動作するスイッチング増幅器101に高振幅の入力信号X101を与える場合、スイッチング増幅器101のノイズ特性が劣化することがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、入力信号の電圧値が変化しても信号帯域内に希望信号以外の周波数成分が現れにくいスイッチング増幅器およびオーッディオ機器を実現することにある。
本発明のスイッチング増幅器は、上記課題を解決するために、複数の積分器を備えたフィルタと、上記フィルタから出力された後の信号から1ビット信号を生成して出力する非同期型コンパレータと、上記1ビット信号をスイッチング増幅して出力するドライバとを備えたスイッチング増幅器であって、上記フィルタの入力は上記スイッチング増幅器の入力であり、上記ドライバの出力は上記スイッチング増幅器の出力であり、上記ドライバの出力から上記フィルタの入力へのフィードバックパスを備え、上記フィルタと上記非同期型コンパレータと上記ドライバとを含む経路と、上記フィードバックパスとで構成されるループに、さらにカットオフ周波数が可変のローパスフィルタが挿入されており、上記ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御する周波数制御手段を備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御する周波数制御手段を備えているので、リミットサイクル周波数を自動制御することができ、リミットサイクル周波数の変調を抑えることができる。従って、従来のように、入力信号の電圧値が高い場合に、リミットサイクル周波数が低い周波数に変調されることを避けることができる。ローパスフィルタのカットオフ周波数を、リミットサイクル周波数が信号帯域外となるように設定することで、低リミットサイクル周波数で動作させても、高いS/N比が得られる。
以上により、入力信号の電圧値が変化しても信号帯域内に希望信号以外の周波数成分が現れにくいスイッチング増幅器を実現することができるという効果を奏する。
本発明のスイッチング増幅器は、上記課題を解決するために、上記周波数制御手段は、上記1ビット信号の周波数と外部参照信号の周波数との差に基づいて、上記ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御することを特徴としている。
上記の発明によれば、外部参照信号の周波数を所望の周波数とすることにより、ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御することができるという効果を奏する。
本発明のスイッチング増幅器は、上記課題を解決するために、上記周波数制御手段は、上記外部参照信号の周波数と上記1ビット信号の周波数との差がゼロとなるように上記ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御することを特徴としている。
上記の発明によれば、1ビット信号の周波数を外部参照信号の周波数と等しくすることができるという効果を奏する。
本発明のスイッチング増幅器は、上記課題を解決するために、上記周波数制御手段は、上記1ビット信号の周波数と上記外部参照信号の周波数とを、信号のゼロクロス点を計数することで検出することを特徴としている。
上記の発明によれば、パルス状の信号など、基本周期を知りたい信号に対して周波数を容易に検出することができるという効果を奏する。
本発明のスイッチング増幅器は、上記課題を解決するために、上記フィルタの出力は上記ローパスフィルタの入力に接続され、上記ローパスフィルタの出力は上記非同期型コンパレータの入力に接続され、上記非同期型コンパレータの出力は上記ドライバの入力に接続され、上記フィードバックパスは、上記ドライバの出力が直接上記スイッチング増幅器の入力にフィードバックされる経路であり、上記スイッチング増幅器の入力において上記スイッチング増幅器の入力信号と上記ドライバの出力信号との差が計算されて、上記フィルタに入力されることを特徴としている。
上記の発明によれば、コンパレータの入力端子と積分器を用いたフィルタの出力端子との間にローパスフィルタが配置されるので、当該ローパスフィルタはスイッチング増幅器の入力信号に対してアンチエイリアスフィルタとして動作する。従って、スイッチング増幅器の入力信号の帯域外ノイズを除去することができる。例えばノイズシェープされた低ビットの信号がデジタル−アナログ変換器を通して直接スイッチング増幅器に入力される場合、シェーピングされた帯域外の量子化ノイズも同時に入力されるが、上記ローパスフィルタによって上記帯域外の量子化ノイズも減衰させることができるため、より高い性能を得ることができる。
以上により、S/N特性のよいスイッチング増幅器を実現することができるという効果を奏する。
また、上記の発明によれば、ローパスフィルタから生じるノイズおよび歪の影響を緩和することができる。言い換えると、ローパスフィルタを抵抗とキャパシタとを用いて構成する場合に抵抗の値を大きくすることができるため、回路面積の削減を行うことができる。
また、上記の発明によれば、抵抗とキャパシタとを用いるローパスフィルタの抵抗値およびキャパシタンスのばらつきの影響を受けてリミットサイクル周波数が大きく変化してしまうことを回避する、または、リミットサイクル周波数を入力信号振幅等に応じて変化させ、ダイナミックレンジとスイッチング周波数とのトレードオフの最適化を行うために、ローパスフィルタの抵抗を例えば抵抗とMOSFETのドレイン−ソース間抵抗との直列接続により構成される可変抵抗に置換える場合、ドレイン−ソース間抵抗の抵抗値が入力信号に応じて変化して歪を発生しても、スイッチング増幅器は上記歪を低減することが可能である。従って、従来に比べリミットサイクル周波数を自動調整しやすくなる。
また、上記の発明によれば、リミットサイクル周波数制御を行う場合でも、信号帯域内の信号伝達関数の変化がほとんど無い。そのため、リミットサイクル周波数の制御を行う場合に、信号のエラーが少ないという効果を奏する。
本発明のスイッチング増幅器は、上記課題を解決するために、上記フィルタの出力は上記非同期型コンパレータの入力に接続され、上記非同期型コンパレータの出力は上記ドライバの入力に接続され、上記フィードバックパスは上記ローパスフィルタを含んでおり、上記ドライバの出力は上記ローパスフィルタの入力に接続され、上記ローパスフィルタの出力は上記スイッチング増幅器の入力に接続され、上記スイッチング増幅器の入力において上記スイッチング増幅器の入力信号と上記ローパスフィルタの出力信号との差が計算されて、上記フィルタに入力されることを特徴としている。
上記の発明によれば、フィードバックパスをIC外部に出すことで、ローパスフィルタの外付けが可能になるという効果を奏する。
本発明のスイッチング増幅器は、上記課題を解決するために、上記周波数制御手段は、上記スイッチング増幅器のリミットサイクル周波数が信号帯域外になるように上記ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御することを特徴としている。
上記の発明によれば、リミットサイクル周波数付近のパワーがノイズにならないという効果を奏する。
本発明のスイッチング増幅器は、上記課題を解決するために、上記周波数制御手段は、上記スイッチング増幅器のリミットサイクル周波数が信号帯域外の一定帯域内で変動するように上記ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御することを特徴としている。
上記の発明によれば、リミットサイクル周波数が信号帯域外の一定帯域内で常に変動しているので、スイッチング増幅器の出力信号が特定周波数に大きなパワーを持つことを防ぐことができ、電磁妨害を起こしにくいという効果を奏する。
本発明のスイッチング増幅器は、上記課題を解決するために、上記ローパスフィルタは可変抵抗を含み、上記可変抵抗の抵抗値が変化することによりカットオフ周波数が可変となることを特徴としている。
上記の発明によれば、ローパスフィルタのカットオフ周波数を抵抗値の変化という簡単な方法で制御することができるという効果を奏する。
本発明のオーディオ機器は、上記課題を解決するために、上記スイッチング増幅器を備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、ノイズ特性の優れたオーディオ機器を実現することができるという効果を奏する。
本発明のスイッチング増幅器は、以上のように、複数の積分器を備えたフィルタと、上記フィルタから出力された後の信号から1ビット信号を生成して出力する非同期型コンパレータと、上記1ビット信号をスイッチング増幅して出力するドライバとを備えたスイッチング増幅器であって、上記フィルタの入力は上記スイッチング増幅器の入力に接続され、上記ドライバの出力は上記スイッチング増幅器の出力に接続され、上記ドライバの出力から上記スイッチング増幅器へのフィードバックパスを備え、上記フィルタと上記非同期型コンパレータと上記ドライバとを含む経路と、上記フィードバックパスとで構成されるループに、さらにカットオフ周波数が可変のローパスフィルタが挿入されており、上記ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御する周波数制御手段を備えている。
従って、入力信号の電圧値が変化しても信号帯域内に希望信号以外の周波数成分が現れにくいスイッチング増幅器を実現することができるという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施の形態について、図1ないし図6に基づいて説明すれば以下の通りである。
図1に、本実施の形態に係るオーディオ機器に使用するスイッチング増幅器1の構成を示す。
スイッチング増幅器1は、減算器2、ループフィルタ3、ローパスフィルタ4、コンパレータ5、ドライバ6、および、制御信号発生器7を備えている。
減算器2は、スイッチング増幅器1の入力信号X1とスイッチング増幅器1の出力信号Y1との差を計算する。ループフィルタ3は複数の積分器を備えたフィルタであり、ここでは2つの積分器3a・3bと加算器3cとを備えている。積分器3aには減算器2の出力信号が入力され、積分器3bには積分器3aの出力信号が入力される。ただし、ループフィルタ3の入力は減算器2を含んで実現される(後述する図4参照)ものであり、ループフィルタ3の入力はスイッチング増幅器1の入力となる。加算器3cは、積分器3aの出力信号と積分器3bの出力信号との差を計算し、これをループフィルタ3の出力信号として出力する。
ローパスフィルタ4は、ループフィルタ3の出力信号をフィルタリングするカットオフ周波数が可変のローパスフィルタであり、カットオフ周波数を制御するための制御信号が入力される外部制御端子を有している。コンパレータ5は、ローパスフィルタ4の出力信号を1ビット信号に変換する非同期型コンパレータである。ドライバ6は、コンパレータ5の出力信号をスイッチング増幅して負荷へ伝達するためのデジタルドライバである。ドライバ6の出力信号は、スイッチング増幅器1の出力信号Y1となる。また、スイッチング増幅器1の出力端子OUTから上記減算器2すなわちループフィルタ3の入力へはフィードバックパスが設けられており、出力信号Y1が入力信号X1との差計算に供される。従って、ループフィルタ3とコンパレータ5とドライバ6とを含む経路と、上記フィードバックパスとでループが構成されており、このループにさらにローパスフィルタ4が挿入されていることになる。
制御信号発生器(周波数制御手段)7は、スイッチング増幅器1の出力信号Y1の周波数を、外部参照信号Srefの周波数と比較し、その差がゼロになるようにローパスフィルタ4のカットオフ周波数を制御する制御信号Sctrlを生成して、ローパスフィルタ4の外部制御端子に入力する。
なお、本実施の形態では、ループフィルタ3の次数を2、ローパスフィルタ4の次数を3とする。
次に、図2に、上記ローパスフィルタ4の回路構成例を示す。
ローパスフィルタ4は、演算増幅器41、2つのNチャネル型のMOSFET:M1・M2、および、キャパシタC1(容量値をC1とする)を備えている。
ここでは、MOSFET:M1・M2を、それらのゲート電圧Vctrlを変化させることでドレイン−ソース間抵抗を変更できる可変抵抗として用いる。演算増幅器41の非反転入力端子は接地されており、演算増幅器41の反転入力端子にMOSFET:M1が入力抵抗として接続されており、演算増幅器41の出力端子から反転入力端子へのフィードバックパスとして、MOSFET:M2とキャパシタC1との並列回路が形成されている。
MOSFET:M1のドレイン−ソース間の抵抗値をReq1、MOSFET:M2のドレイン−ソース間の抵抗値をReq2とし、Req1=Req2=Reqとする。このとき、ローパスフィルタ4の伝達関数LPF(s)は次式、
Figure 2007074442
で与えられる。MOSFET:M1・M2のドレイン−ソース間抵抗値Reqを変化させることで、ローパスフィルタ4のカットオフ周波数(1/C1・Req)を変更することができる。
次に、図3(a)に、制御信号発生器7の構成を示す。
制御信号発生器7は、周波数検出回路FD1・FD2、積分器71、および、ローパスフィルタ72を備えている。
周波数検出回路FD1・FD2は、入力される信号のゼロクロス点を計数することで、周波数を検出する。周波数検出回路FD1・FD2は、それぞれ、入力される信号をτ秒遅らせて出力するディレイユニット(delay)73と、2入力のXORゲート74とを備えている。
周波数検出回路FD1の入力である入力1には、スイッチング増幅器1の出力信号Y1が信号A1として入力される。信号A1はそのままXORゲート74に入力される他、ディレイユニット73によって図3(b)のように信号A1よりτ秒遅れた信号B1となってXORゲート74に入力される。信号A1・B1はVddまたは−Vddの2値の信号とする。
周波数検出回路FD2の入力である入力2には、外部参照信号Srefが信号A2として入力される。信号A2はそのままXORゲート74に入力される他、ディレイユニット73によって信号A2よりτ秒遅れた信号B2となってXORゲート74に入力される。外部参照信号Srefは図示していないが、ここでは一定の周波数を有するパルス信号であり、Vddまたは−Vddの2値の信号とする。
周波数検出回路FD1のXORゲート74は、信号A1と信号B1とのXORを計算して信号S1を出力する。周波数検出回路FD2のXORゲート74は、信号A2と信号B2とのXORを計算して信号S2を出力する。上記XORゲート74の出力信号S1・S2は、信号A(A1とA2との総称)、信号B(B1とB2との総称)が[A,B]=[Vdd,Vdd]or[−Vdd,−Vdd]のとき0、[A,B]=[Vdd,−Vdd]or[−Vdd,Vdd]のときVddとする。
図3(b)に基づいて、周波数検出回路FD1・FD2の動作を説明する。信号B1は、信号A1に対してτ秒遅れるため、信号B1のゼロクロス点は、信号A1のゼロクロス点に対してτ秒遅れる。そのため、信号A1と信号B1とのXORを計算すると、信号A1のゼロクロス点で立ち上がり、信号B1のゼロクロス点で立ち下がる、パルス幅τの矩形波信号(S1)が得られる。信号S2についても同様である。この矩形波信号である信号S1・S2をそれぞれ一定時間積分する(ゼロクロス点を計数する)ことで、入力信号A1・A2のそれぞれの周波数を検出することができる。
次に、図3(a)の制御信号発生器7全体の動作を説明する。制御信号発生器7では、2つの周波数検出回路FD1・FD2の出力差を積分することで、周波数差を計算している。積分器71は、非反転入力端子を接地した演算増幅器71aと、その入力抵抗としての、周波数検出回路FD1の出力に接続された抵抗R1、および、周波数検出回路FD2の出力に反転増幅器71bを介して接続された抵抗R2と、帰還キャパシタとしてのキャパシタCintとを備えている。抵抗R1・R2の抵抗値はR1=R2=Rintとする。周波数検出回路FD2の出力信号S2は反転増幅器71bによって反転増幅されて信号/S2となる。
周波数検出回路FD1の出力信号S1と周波数検出回路FD2の出力信号S2の反転増幅信号/S2が、[S1,/S2]=[Vdd,−Vdd]または[S1,/S2]=[0,0]の場合、積分器への入力はゼロ、[S1,/S2]=[Vdd,0]の場合、積分器71への入力電流はVdd/Rint、[S1,/S2]=[0,−Vdd]の場合、積分器71への入力電流は−Vdd/Rintとなる。この積分器71の出力信号をローパスフィルタ72でフィルタリングした信号が、制御信号(出力)Sctrlとなる。
ローパスフィルタ72は、非反転入力端子を接地した演算増幅器72aと、その入力抵抗としての抵抗Rlpf1と、帰還抵抗としての抵抗Rlpf2と、帰還キャパシタとしてのキャパシタClpfとを備えている。
ここで、図1のスイッチング増幅器1を、ループフィルタ3が2次で、ローパスフィルタ4が3次である場合の構成として描き直したのが図4である。
ループフィルタ3において、積分器3aは、非反転入力端子を接地した演算増幅器30aと、演算増幅器30aの反転入力端子に接続されるとともに入力信号X1が入力される一方の入力抵抗R11、および、演算増幅器30aの反転入力端子に接続されるとともに出力信号Y1が入力される他方の入力抵抗R11と、帰還キャパシタとしてのキャパシタC11とを備えている。また、同じ抵抗値を持つ2つの入力抵抗R11・R12は減算器2を構成している。積分器3bは、非反転入力端子を接地した演算増幅器30bと、入力抵抗R22と、帰還キャパシタとしてのキャパシタC22とを備えている。
加算器3cは、一端が積分器3aの出力に接続された抵抗Ra1と、積分器3bの出力に接続された反転増幅器30cと、一端が反転増幅器30cの出力に接続された抵抗Ra2と、抵抗Ra1の他端と抵抗Ra2の他端とが接続されて入力となる反転増幅器31cとを備えている。
ローパスフィルタ4は、それぞれが図2のローパスフィルタの構成に等しいローパスフィルタ4a・4b・4cを備えている。これに合わせて、制御信号発生器7から出力される制御信号Sctrlはローパスフィルタ4a・4b・4cの全てに入力される。
図4のスイッチング増幅器1のリミットサイクル周波数は、図9のスイッチング増幅器101と同様に式(3)で与えられる。ただし、ローパスフィルタ4(4a・4b・4c)のカットオフ周波数が可変であるため、ローパスフィルタ4(4a・4b・4c)のカットオフ周波数を制御することで、リミットサイクル周波数を制御することができる。本実施の形態では、ローパスフィルタ4をコンパレータ5の前に設置したが、ローパスフィルタ4をフィードバックパスに設置する構成でも良い。
本実施の形態では、外部参照信号Srefとして、周期一定の矩形波信号を与える。スイッチング増幅器1は、リミットサイクル周波数が外部参照信号Srefの周波数と同じになるように自動制御する。具体的には、リミットサイクル周波数をωlim,参照信号の基本周波数をωrefとすると、ωlim>ωrefの場合にはローパスフィルタ4のカットオフ周波数を下げるように、ωlim<ωrefの場合にはローパスフィルタ4のカットオフ周波数を上げるように制御する。
本実施の形態に係るスイッチング増幅器1によれば、以下のことが言える。
従来のスイッチング増幅器は、入力信号の電圧値が高い場合に、リミットサイクル周波数が低い周波数に変調されるという問題があった。上記変調により、リミットサイクル周波数が信号帯域近くまで変調される場合、スイッチング増幅器の出力信号は、リミットサイクル周波数付近にパワーを持つので、信号帯域内に希望信号以外の周波数成分が現れることになる。したがって、低いリミットサイクル周波数で動作するスイッチング増幅器に高振幅の入力信号を与える場合、スイッチング増幅器のノイズ特性が劣化することがある。一方、図1および図4のスイッチング増幅器1では、リミットサイクル周波数を自動制御することで、リミットサイクル周波数の変調を抑えることができる。外部参照信号Srefの周波数を信号帯域外に設定することで、低リミットサイクル周波数で動作させても、高いS/N比が得られる。
次に、図5および図6に、スイッチング増幅器の出力信号のパワースペクトルについてのシミュレーション結果を示す。
図5は、図4のスイッチング増幅器1に入力信号X1として(a)低振幅(−60dBFS)の正弦波を入力した場合、(b)高振幅(−0.5dBFS)の正弦波を入力した場合の出力信号Y1のパワースペクトルである。図6は、従来(図9)のスイッチング増幅器101に入力信号X101として(a)低振幅(−60dBFS)の正弦波を入力した場合、(b)高振幅(−0.5dBFS)の正弦波を入力した場合の出力信号Y101のパワースペクトルである。図5および図6において、横軸は周波数、縦軸はパワースペクトルを示す。
1段目の積分器3a・103aのユニティゲイン周波数fint1を0.89MHz、2段目の積分器3b・103bのユニティゲイン周波数fint2を0.18MHz、外部参照信号Srefの基本周波数を0.25MHzとした。また、従来のスイッチング増幅器101のローパスフィルタ106のカットオフ周波数fcutを0.8MHzとした。入力信号の周波数はすべて1kHzとした。
出力信号Y1・Y101のパワースペクトルは、サンプリング間隔0.18msecでゼロ次ホールドした出力信号をフーリエ変換することで求めた。ゼロ次ホールドする際、エイリアシングの影響を防ぐため、アンチエイリアスフィルタとして、カットオフ周波数2.8MHzのチェビシェフフィルタを使用した。
低振幅の正弦波を入力した場合[図5(a),図6(a)]、出力信号Y1・Y101は、リミットサイクル周波数付近で大きなパワーを持つ。高振幅の正弦波を入力した場合、図4のスイッチング増幅器の出力信号Y1は、リミットサイクル周波数付近で大きなパワーを持つ[図5(b)]。これに対し、従来のスイッチング増幅器101の出力信号Y101は、リミットサイクル周波数の変調に伴い、広い周波数帯でパワーを持っている[図6(b)]。信号帯域内のスイッチング増幅器の発振によるパワー(リミットサイクル周波数付近のパワー)は、ノイズとなるため、従来のスイッチング増幅器101のノイズ性能は劣化している。図5(b)の結果では、信号帯域(0kHz〜20kHz)でのSNDR=79.4dB、図6(b)の結果では、信号帯域(0kHz〜20kHz)でのSNDR=56.6dBであった。図5(b)および図6(b)の比較から、リミットサイクル周波数を制御することで、高振幅入力時のノイズ性能を改善できることが分かる。
このように、本実施の形態のスイッチング増幅器1によれば、ローパスフィルタ4のカットオフ周波数を制御する制御信号発生器7を備えているので、リミットサイクル周波数を自動制御することができ、リミットサイクル周波数の変調を抑えることができる。従って、従来のように、入力信号の電圧値が高い場合に、リミットサイクル周波数が低い周波数に変調されることを避けることができる。ローパスフィルタ4のカットオフ周波数を信号帯域外に設定することで、低リミットサイクル周波数で動作させても、高いS/N比が得られる。
以上により、入力信号の電圧値が変化しても信号帯域内に希望信号以外の周波数成分が現れにくいスイッチング増幅器を実現することができる。
また、スイッチング増幅器1によれば、制御信号発生器7は、出力信号Y1の周波数すなわち1ビット信号の周波数と、外部参照信号Srefの周波数との差に基づいて、ローパスフィルタ4のカットオフ周波数を制御する。従って、外部参照信号Srefの周波数を所望の周波数とすることにより、ローパスフィルタ4のカットオフ周波数を制御することができる。
また、スイッチング増幅器1によれば、制御信号発生器7は、外部参照信号Srefの周波数と、出力信号Y1の周波数すなわち1ビット信号の周波数との差がゼロとなるようにローパスフィルタ4のカットオフ周波数を制御する。従って、1ビット信号の周波数を外部参照信号Srefの周波数と等しくすることができる。
また、スイッチング増幅器1によれば、制御信号発生器7は、出力信号Y1の周波数すなわち1ビット信号の周波数と、外部参照信号Srefの周波数とを、信号のゼロクロス点を計数することで検出する。従って、パルス状の信号など、基本周期を知りたい信号に対して周波数を容易に検出することができる。
また、図1や図4のスイッチング増幅器1によれば、ループフィルタ3の出力はローパスフィルタ4の入力に接続され、ローパスフィルタ4の出力はコンパレータ5の入力に接続され、コンパレータ5の出力はドライバ6の入力に接続される。さらに、フィードバックパスは、ドライバ6の出力が直接スイッチング増幅器1の入力にフィードバックされる経路であり、スイッチング増幅器1の入力において入力信号X1と出力信号Y1との差が計算されて、ループフィルタ3に入力される。
このような構成では、コンパレータ5の入力端子と、積分器を用いたフィルタであるループフィルタ3の出力端子との間に、ローパスフィルタ4が配置されるので、当該ローパスフィルタ4はスイッチング増幅器1の入力信号X1に対してアンチエイリアスフィルタとして動作する。従って、入力信号X1の帯域外ノイズを除去することができる。例えばノイズシェープされた低ビットの信号がデジタル−アナログ変換器を通して直接スイッチング増幅器1に入力される場合、シェーピングされた帯域外の量子化ノイズも同時に入力されるが、ローパスフィルタ4によって上記帯域外の量子化ノイズも減衰させることができるため、より高い性能を得ることができる。以上により、S/N特性のよいスイッチング増幅器を実現することができる。
また、当該構成によれば、ローパスフィルタ4から生じるノイズおよび歪の影響を緩和することができる。言い換えると、ローパスフィルタ4を抵抗とキャパシタとを用いて構成する場合に抵抗の値を大きくすることができるため、回路面積の削減を行うことができる。
また、当該構成によれば、抵抗とキャパシタとを用いるローパスフィルタ4の抵抗値およびキャパシタンスのばらつきの影響を受けてリミットサイクル周波数が大きく変化してしまうことを回避する、または、リミットサイクル周波数を入力信号振幅等に応じて変化させ、ダイナミックレンジとスイッチング周波数とのトレードオフの最適化を行うために、ローパスフィルタ4の抵抗を例えば抵抗とMOSFETのドレイン−ソース間抵抗との直列接続により構成される可変抵抗に置換える場合、ドレイン−ソース間抵抗の抵抗値が入力信号X1に応じて変化して歪を発生しても、スイッチング増幅器1は上記歪を低減することが可能である。従って、従来に比べリミットサイクル周波数を自動調整しやすくなる。
また、当該構成によれば、リミットサイクル周波数制御を行う場合でも、信号帯域内の信号伝達関数の変化がほとんど無い。そのため、リミットサイクル周波数の制御を行う場合に、ローパスフィルタがフィードバックパス上にある場合よりも信号のエラーが少ない。以下、これについて具体的に説明する。
図1および図4の構成において、スイッチング増幅器1の出力outputは、
Figure 2007074442
で与えられる。このスイッチング増幅器1の信号伝達関数STF1は次式、
Figure 2007074442
で与えられる。ここで、inputはスイッチング増幅器1への入力、errorはコンパレータ5の量子化ノイズである。また、H(jω)はループフィルタ3の伝達関数,L(jω)はローパスフィルタ4の伝達関数である。
一方、ローパスフィルタがフィードバックパス上にある構成において、スイッチング増幅器の出力outputは、次式、
Figure 2007074442
で与えられる。このスイッチング増幅器の信号伝達関数STF2は、
Figure 2007074442
で与えられる。
ループフィルタを2次(積分器2個),ローパスフィルタを1次のフィルタとした場合の例を示す。ループフィルタ,ローパスフィルタの伝達関数を、次式、
Figure 2007074442
Figure 2007074442
で与える。ここで、ωint1,ωint2は積分器の帯域、ωlpfはローパスフィルタのカットオフ周波数である。これをSTF1,STF2に代入すると、次式、
Figure 2007074442
Figure 2007074442
を得る。通常、帯域内の信号をエラー無く後段に伝達するため、信号帯域内(0kHz〜20kHz)で、STF=1となるようにωint1,ωint2,ωlpfを決める。信号帯域内の伝達関数を考える。信号帯域内でのωは、ωint1,ωint2,ωlpfに比べて十分小さいので、jωの低次の項(0次,1次)のみを考える。この場合、次式、
Figure 2007074442
Figure 2007074442
を得る。上記のSTF1,STF2を比較する。ローパスフィルタのカットオフ周波数ωlpfを変化させることで、リミットサイクル周波数の制御を行う。信号伝達関数STF1はωlpfの項を含まないため、リミットサイクル周波数の制御を行っても信号伝達関数の変化がない。それに対して信号伝達関数STF2では、ωlpfの変化に応じて信号伝達関数も変化する。ただし、ωlpfの変化量Δωlpfがωint2に比べて十分小さい場合(Δωlpf≪ωint2)は、信号伝達関数の変化は無視できる。
スイッチング増幅器では、帯域内の信号をエラー無く後段に伝達するため、信号帯域内では、STF=1であることが望ましい。上記のSTF1では、リミットサイクル周波数の制御を行ってもSTF=1を保っている。一方、STF2では、ωlpfを大きく変化させる場合、STF=1からずれてしまい、エラーを生じる場合がある。
一方、上記スイッチング増幅器1の比較対象となったスイッチング増幅器のように、ループフィルタの出力がコンパレータの入力に接続され、コンパレータの出力がドライバの入力に接続され、フィードバックパスがローパスフィルタを含んでおり、ドライバの出力がローパスフィルタの入力に接続され、ローパスフィルタの出力がスイッチング増幅器の入力に接続され、スイッチング増幅器の入力においてスイッチング増幅器の入力信号とローパスフィルタの出力信号との差が計算されてループフィルタに入力される構成のものでは、フィードバックパスをIC外部に出すことで、ローパスフィルタの外付けが可能になる。
また、スイッチング増幅器1によれば、制御信号発生器7は、スイッチング増幅器1の発振周波数(リミットサイクル周波数)が信号帯域外になるようにローパスフィルタ4のカットオフ周波数を制御するので、リミットサイクル周波数付近のパワーがノイズにならない。
また、スイッチング増幅器1によれば、ローパスフィルタ4はMOSFET:M1・M2のドレイン−ソース間抵抗という可変抵抗を含み、可変抵抗の抵抗値が変化することによりカットオフ周波数が可変となる。従って、ローパスフィルタ4のカットオフ周波数を抵抗値の変化という簡単な方法で制御することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図7および図8を用いて説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態と同じ機能を有する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図9の従来のスイッチング増幅器101では、図6(a)に示すように、低振幅信号を入力する場合に、出力信号はリミットサイクル周波数付近に大きなパワーを持つ。このように、特定周波数にパワーが集中し、大きなパワーを持つ場合、周囲の機器に悪影響を与える「電磁妨害」を引き起こす場合がある。
本実施の形態では、図4のスイッチング増幅器1に与える外部参照信号Srefとして、基本周波数が一定帯域内で常に変動する信号を用いることで、実施の形態1で得た効果に加えて、さらに上記電磁妨害の問題を解決する。基本周波数が一定帯域内で常に変動する外部参照信号Srefを用いて、実施の形態1と同様の制御、すなわち、リミットサイクル周波数を外部参照信号Srefの基本周波数と同じとする制御を行う場合、リミットサイクル周波数が一定帯域内で常に変動することになる。リミットサイクル周波数が一定帯域内で常に変動しているので、出力信号Y1のパワーは上記帯域内に拡散する。そのため、出力信号Y1が、特定周波数に大きなパワーを持つことを防ぐことができる。
図7に、このようなスイッチング増幅器11全体の回路構成を示す。スイッチング増幅器11は、図4のスイッチング増幅器1において、外部参照信号Srefを、三角波を制御電圧とする電圧制御発振器81から発生させるようにしたものである。電圧制御発振器81に三角波を入力することで、電圧制御発振器81は、制御電圧が周期的に変動するため、基本周波数が一定帯域内で常に変動する外部参照信号Srefを発生する。ここでは、基本周波数が0.25MHz〜0.35MHzの周波数帯域内で常に変動するような外部参照信号Srefを発生する。図8にスイッチング増幅器11の出力信号Y1のパワースペクトルについてのシミュレーション結果を示す。入力信号X1として、振幅−60dBFS,周波数1kHzの正弦波を与えた。変調器のパラメータは実施の形態1と同じとした。図8において、横軸は周波数、縦軸はパワースペクトルを示す。出力信号Y1のパワースペクトルは、サンプリング間隔0.18msecでゼロ次ホールドした出力信号をフーリエ変換することで求めた。ゼロ次ホールドする際、エイリアシングの影響を防ぐため、アンチエイリアスフィルタとして、カットオフ周波数2.8MHzのチェビシェフフィルタを使用した。
図7のスイッチング増幅器11に基本周波数が一定帯域内で常に変動する外部参照信号Srefを与えた場合のシミュレーション結果(図8)と、図9の従来のスイッチング増幅器101のシミュレーション結果[図6(a)]とを比較する。図8では、リミットサイクル周波数の制御により、0.25MHz〜0.35MHzの周波数帯にパワーが拡散している。また、出力信号Y1のパワーの最大値は−12.0dBである。それに対して、図6(a)では、リミットサイクル周波数付近にパワーが集中している。出力信号Y101のパワーの最大値は2.0dBである。図8と図6(a)との比較から、基本周波数が一定帯域内で常に変動する参照信号を用いることで、スイッチング増幅器の出力信号が特定周波数に大きなパワーを持つことを防げることが分かる。出力信号が特定周波数に大きなパワーをもつことを防げるため、基本周波数が一定帯域内で常に変動する外部参照信号Srefを用いた図7のスイッチング増幅器11は、電磁妨害を起こしにくい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、D級アンプに好適に使用することができる。
本発明の第1の実施形態を示すものであり、スイッチング増幅器の構成を示すブロック図である。 図1のスイッチング増幅器が備えるローパスフィルタの構成を示す回路図である。 (a)は図1のスイッチング増幅器が備える制御信号発生器の構成を示す回路ブロック図、(b)は(a)の制御信号発生器の動作を示すタイミングチャートである。 図1のスイッチング増幅器において、ループフィルタを2次、ローパスフィルタを3次とした場合の構成を示す回路ブロック図である。 (a)および(b)は、図4のスイッチング増幅器の出力信号のパワースペクトルのシミュレーション結果を示すグラフである。 (a)および(b)は従来のスイッチング増幅器の出力信号のパワースペクトルのシミュレーション結果を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態を示すものであり、スイッチング増幅器の構成を示すブロック図である。 図7のスイッチング増幅器の出力信号のパワースペクトルのシミュレーション結果を示すグラフである。 従来技術を示すものであり、スイッチング増幅器の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1、11 スイッチング増幅器
3 ループフィルタ(フィルタ)
3a、3b 積分器
4 ローパスフィルタ
5 コンパレータ(非同期型コンパレータ)
6 ドライバ
7 制御信号発生器(周波数制御手段)
Sref 外部参照信号

Claims (10)

  1. 複数の積分器を備えたフィルタと、
    上記フィルタから出力された後の信号から1ビット信号を生成して出力する非同期型コンパレータと、
    上記1ビット信号をスイッチング増幅して出力するドライバとを備えたスイッチング増幅器であって、
    上記フィルタの入力は上記スイッチング増幅器の入力であり、上記ドライバの出力は上記スイッチング増幅器の出力であり、上記ドライバの出力から上記フィルタの入力へのフィードバックパスを備え、
    上記フィルタと上記非同期型コンパレータと上記ドライバとを含む経路と、上記フィードバックパスとで構成されるループに、さらにカットオフ周波数が可変のローパスフィルタが挿入されており、
    上記ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御する周波数制御手段を備えていることを特徴とするスイッチング増幅器。
  2. 上記周波数制御手段は、上記1ビット信号の周波数と外部参照信号の周波数との差に基づいて、上記ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング増幅器。
  3. 上記周波数制御手段は、上記外部参照信号の周波数と上記1ビット信号の周波数との差がゼロとなるように上記ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御することを特徴とする請求項2に記載のスイッチング増幅器。
  4. 上記周波数制御手段は、上記1ビット信号の周波数と上記外部参照信号の周波数とを、信号のゼロクロス点を計数することで検出することを特徴とする請求項2または3に記載のスイッチング増幅器。
  5. 上記フィルタの出力は上記ローパスフィルタの入力に接続され、
    上記ローパスフィルタの出力は上記非同期型コンパレータの入力に接続され、
    上記非同期型コンパレータの出力は上記ドライバの入力に接続され、
    上記フィードバックパスは、上記ドライバの出力が直接上記スイッチング増幅器の入力にフィードバックされる経路であり、
    上記スイッチング増幅器の入力において上記スイッチング増幅器の入力信号と上記ドライバの出力信号との差が計算されて、上記フィルタに入力されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスイッチング増幅器。
  6. 上記フィルタの出力は上記非同期型コンパレータの入力に接続され、
    上記非同期型コンパレータの出力は上記ドライバの入力に接続され、
    上記フィードバックパスは上記ローパスフィルタを含んでおり、上記ドライバの出力は上記ローパスフィルタの入力に接続され、上記ローパスフィルタの出力は上記スイッチング増幅器の入力に接続され、
    上記スイッチング増幅器の入力において上記スイッチング増幅器の入力信号と上記ローパスフィルタの出力信号との差が計算されて、上記フィルタに入力されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスイッチング増幅器。
  7. 上記周波数制御手段は、上記スイッチング増幅器のリミットサイクル周波数が信号帯域外になるように上記ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のスイッチング増幅器。
  8. 上記周波数制御手段は、上記スイッチング増幅器のリミットサイクル周波数が信号帯域外の一定帯域内で変動するように上記ローパスフィルタのカットオフ周波数を制御することを特徴とする請求項7に記載のスイッチング増幅器。
  9. 上記ローパスフィルタは可変抵抗を含み、上記可変抵抗の抵抗値が変化することによりカットオフ周波数が可変となることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のスイッチング増幅器。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のスイッチング増幅器を備えていることを特徴とするオーディオ機器。
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