以下、図1乃至図3で本発明の第1の実施例を説明する。図1は、本願発明に係る真空処理装置に係る第1の実施例について構成の概略を縦断面とブロックとを用いて示す図である。図2は、第1の実施例における処理対象となるウエハ上の構成及び光の干渉の概略を示す模式図である。図3は、第1の実施例で光の干渉を用いて得られるデータの例を示すグラフである。
まず、図1を用いて、本発明の真空処理装置の第一の実施例に係り、膜厚測定装置を備えた半導体ウエハ等試料のエッチング処理を行う真空処理装置の全体の構成の概略を説明する。図1は、本発明を、有磁場UHF帯電磁波放射放電方式のプラズマエッチング装置へ適用した実施例を示すもので、当該プラズマエッチング装置の縦断面の模式図である。
図1において、エッチング処理を行う真空処理装置1は、10-6Torr程度の真空度を達成可能な真空容器である処理室100を備え、その上部にプラズマ発生手段としての電磁波を放射するアンテナ110を、さらにその下部にはウエハなどの試料4を載置する下部電極130を、それぞれ備えている。
処理室100を内側に含む真空容器2は、側壁102やその上に側壁102等が取り付けられるベースブロックである真空室103を備えて構成され、この真空室103に接続された真空排気系104と圧力制御手段105により真空室103とともに内部の真空排気と圧力調整がなされて、内部の圧力がたとえば0.5Pa 以上4Pa以下程度の所定の値に制御できる。処理室100,側壁102および真空室103は、アース電位となっている。処理室100の側壁102は、図示しない温度制御手段により、たとえば50℃程度に温調されている。
アンテナ110と下部電極130は、平行して対向する形で設置されている。処理室
100の周囲には、たとえば電磁コイルとヨークからなる磁場形成手段101が設置されており、所定の分布と強度をもつ磁場が形成される。そして、アンテナ110から処理室100内に放射される電磁波と磁場形成手段101により形成される処理室100内に供給される磁場との相互作用により、処理室内部に導入された処理ガスをプラズマ化して、プラズマ3を発生させ、下部電極130上に載置された試料4を処理する。
電磁波を放射するアンテナ110は、円板状導電体111と、誘電体112及び誘電体リング113からなり、真空容器2の一部としてのハウジング114に保持される。この円板状導電体111は図示しない温度制御手段により、たとえば30℃に温調されている。また、円板状導電体111のプラズマに接する側の面には、プレート115が設置されており、試料のエッチング,成膜等の処理を行う処理ガスは、ガス供給手段116から所定の流量と混合比をもって供給され、円板状導電体111の内部で均一化されて、プレート115に設けられた多数の孔を通して処理室100に供給される。
また、アンテナ110には、アンテナ電源121及びアンテナバイアス電源123並びにマッチング回路・フィルタ系122,124,125からなるアンテナ電源系120が導入端子126を介して接続される。アンテナ電源121は、望ましくは300MHzから900MHzのUHF帯周波数の電力を供給して、アンテナ110からUHF帯の電磁波を放射する。
アンテナバイアス電源123は、円板状導電体111を介してプレート115に、たとえば100kHz程度あるいは数MHzから10MHz程度の周波数のバイアスを印加して、プレート115の表面での反応を制御することもできる。特に、CF系のガスを用いた酸化膜エッチングにおいては、プレート115の材質を高純度のシリコンやカーボンなどとすることで、プレート115の表面でのFラジカルやCFxラジカルの反応を制御して、ラジカルの組成比を調整することが可能である。この目的のために、プレート115の材料として高純度のシリコンを用いることも可能である。
本実施例では、被処理材としては試料4上に積層された酸化膜上のポリシリコン部材であるので、プレート115の材料として石英等の絶縁部材を使用している。また、円板状導電体111およびハウジングにはアルミ,誘電体112および誘電体リング113には石英を用いている。本実施例では、アンテナ電源121は450MHz、アンテナバイアス電源122は13.56MHz の周波数として、ギャップは70mmに設定している。
処理室100の下部には、アンテナ110に対向して下部電極130が設けられている。下部電極130は、静電吸着装置131により、その上面すなわち試料載置面にウエハなどの試料4を載置保持する。試料Wの外周部には、たとえば高純度のシリコンで形成された試料台リング132が絶縁体133上に設置されている。下部電極130には、望ましくは400kHzから13.56MHz の範囲のバイアス電力を供給するバイアス電源134が、マッチング回路・フィルタ系135を介して接続されて、試料Wに印加するバイアスを制御する。本実施例では、バイアス電源134は周波数を800kHzとしている。
次に、試料4の表面の状態を計測するために設置された計測ポート140について説明する。本実施例では、計測ポート140は試料4に対向したアンテナ110に取り付けられており、後述するように、プレート115に形成された多数の貫通孔を通して、試料4の表面上に配置された薄膜などの状態を略垂直上方から計測できる。また、別の計測ポート140を試料Wの外周部を計測する位置や試料4の外周と中心の中間位置に設置することにより、試料Wの表面の面内分布に関する情報を得ることができる。もちろん、計測ポートの取り付けはここで説明したように外周部と中間部の2カ所等に限られるものではなく、1カ所のみあるいは3カ所以上としてもよく、あるいはたとえば円周上に配列するなど別の配置にしてもよいことはいうまでもない。
上記計測ポート140の各々には、たとえば光ファイバやレンズなどの光学伝送手段
151が設けられており、光学伝送手段151が設けられており、プラズマ3からの直接光や、あるいはプラズマ3の試料4表面での反射光あるいは干渉光等の試料4の表面状態を反映する光学情報が、例えば、カメラや干渉薄膜計あるいは画像処理装置などからなる計測器152に伝送されて計測される。
計測器152は、膜厚さや処理の終点を判定するための判定装置10を含む計測器制御・演算手段153により制御されるとともに、さらに上位のシステム制御手段154と接続される。システム制御手段154は、制御インタフェース155を介して、装置や装置を含むシステムの状態をモニタしたり調節したりする制御用のコントローラである。上記計測器制御・演算手段153は、複数の半導体メモリ用チップやマイクロプロセサ等から構成される電子回路や、ワンチップマイコン等の1つのチップ中に構成された電子回路が考えられる。
本実施例による真空処理装置1は以上のように構成されており、このプラズマエッチング装置を用いて、たとえばシリコン酸化膜のエッチングを行う場合の詳細な手順は次の通りである。
まず、処理の対象物である試料4は、図示していない試料搬入機構から処理室100に搬入された後、下部電極130の上に載置・吸着され、必要に応じて下部電極の高さが調整されて所定のギャップに設定される。ついで、処理室100内は真空排気系104により真空排気され、一方、試料4のエッチング処理に必要なガスがガス供給手段116から、所定の流量と混合比をもって、アンテナ110のプレート115から処理室100に供給される。同時に処理室100の内部が所定の処理圧力になるように調整される。
他方、磁場形成手段101により、アンテナ電源121の周波数の450MHzに対する電子サイクロトロン共鳴磁場強度に相当する概略160ガウスのほぼ水平な磁場がプレート115の下方付近に形成される。そして、アンテナ電源121によりアンテナ110からUHF帯の電磁波が放射され、磁場との相互作用により処理室100内にプラズマ3が生成される。このプラズマ3により、処理ガスを解離させてイオン・ラジカルを発生させ、さらにアンテナバイアス電源123,バイアス電源134から供給される高周波電力を制御して、試料4にエッチング等の処理を行う。
各電源の投入電力は、被処理対象となる試料4に対する処理の使用に応じて調節され、たとえば、アンテナ電源121は1000W、アンテナバイアス電源123は300W、バイアス電源141は800W程度である。そして、エッチング処理の終了にともない、電力および処理ガスの供給を停止してエッチングを終了する。
この処理中のプラズマ発光やウエハ表面状態を反映する光学情報が、計測ポート140等を通して、光学伝送手段151等により伝送されて計測器152で計測がなされ、計測器制御・演算手段153で計測結果に基づいて演算処理がなされ、判定装置10に判定された膜厚さや処理の終点等の処理の状態が上位のシステム制御手段154に伝達されて、制御インタフェース155を介して本実施例のプラズマ処理装置が制御される。
すなわち、エッチング量(例えば、エッチング深さ及び膜厚)の分光器11を含む計測器152が有する測定用光源(例えばハロゲン光源)からの多波長の放射光が、光学伝送手段151により処理室100あるいは真空室103内に導かれ、被処理材である試料4に略垂直に入射角で当てられる。被処理材である試料4はここではポリシリコンによる薄膜の層を含む略円形状の半導体製の平板である。この試料4上に到達した放射光は、ポリシリコン層の上面で反射屈折した放射光と、ポリシリコン層と下地層との間に形成された境界面で反射屈折された放射光とにより、干渉光が形成され試料4の上方向に放射される。
これらの干渉光は計測ポート140,光ファイバ8を含む光伝送手段151を介して計測器152の分光器11に導かれ、分光器11からの出力信号に基づいて被処理材のエッチング量及びマスク材の膜厚やプロセス(ここではエッチング)の終点の判定の処理が判定装置10内の計測器制御・演算手段153で行われる。
計測器152は、分光器11を有し、また計測器制御・演算手段153に含まれる判定装置10は、計測器から出力されたデータの信号を受けてこれらに所定の処理を行う第1デジタルフィルタ回路12,22,微分器13,23,第2デジタルフィルタ回路14,24、さらに、膜厚さやエッチングの終点といったエッチングの状態を判定に用いられる微分波形パターンのデータベースを記憶する記憶手段である微分波形データベース(微分零クロス時刻蓄積器)15,25,微分波形比較器(微分零クロス時刻比較器)16及びこれら比較器の結果に基づきエッチングの終点や膜厚さを演算して判定する演算器を含む処理状態判定器26を備えて、膜厚の検出や終点といった処理の状態の判定のための処理が行われる。さらには、本実施例の真空処理装置1は、上記データ信号や処理後のデータ,判定結果を使用者に表示するための表示手段を備えている。
本実施例の半導体製造装置では、半導体ウエハ等の被処理材をプラズマエッチングする際に、予め、被処理材の光学的な物性値を用いて光干渉波形を演算して得られた結果を用いる等して、所定の膜厚に対する干渉光の微分値が零クロスする(あるいは干渉光の実波形が極値をとる)波長群を予め選択して任意の膜厚と、これに対する零クロスが正から負に変わる(あるいは極大値をとる)波長群λ1と零クロスが負から正に変わる(あるいは極小値をとる)波長群λ2とについてのデータを、記憶或いは記録させておくものである。これらのデータは真空処理装置1本体に備えられ、或いは通信可能に構成された、記憶または記録用の装置に記憶/記録される。
そして、実際の試料4の処理においては、これら波長群λ1とλ2の干渉光についてその強度をそれぞれ測定し、測定された干渉光強度の各波長群の微分値が零クロス(極値となる)する時刻を検出し、この零クロスする時刻を所定の値と比較して、被処理材である試料4上の被処理部材の膜厚を判定する、或いは処理により目標とする膜厚や処理の終点に達したか否かを判定するものである。
なお、本実施例では光検出器である分光器11が1個だけの場合を示してあるが、被処理材の面内を広く測定して制御したい場合には、複数の光検出器を設ければよい。
また、上記実施例のように真空容器2内に光を供給する光源を用いないで、真空容器2内に発生するプラズマ3からの光を利用して試料4表面からの干渉光を分光器11で受けて得られた出力から試料4の処理の状態を検出してもよい。この場合は、試料4表面からのプラズマ光の反射光が分光器11に供給されることになる。
また、プラズマ光の変化を計測するため、真空容器2の側壁に計測ポート160或いは光学伝送ユニット161が内側の光を受光可能に配置され、これにより検出された信号を参照光とする。この参照光は、試料4表面から直接入射する光路を通る光ではなく、かつプラズマ3からの光の変化が検出可能であることが必要であり、本実施例では、プラズマ3の光を側壁に設けた受光器で得ている。なお、計測ポート160で受光された真空容器2内の処理室100からの光は、光学伝送ユニット161及びこれと接続された光ファイバ等を介して分光器11を備えた計測器152に伝達される。
発明者らによれば、開発において、半導体ウエハ等の試料上に形成された膜を被処理部材としてこれのエッチング処理を行う場合、特定の膜厚においてその膜厚さの被処理部材から得られる干渉波形データが一方が極大値、他方が極小値となる特定の複数の波長の群が選択でき、これらの極大または極小となる周波数の各々は膜厚によって異なり、膜厚が小さくなるに伴って小さくなるということが判った。
発明者らは、このことから、特定の膜厚について、一方が極大値となる時刻の前後で他方が極小値をとる時刻との間隔を基準として予め設定しておくことで、特定の波長の干渉光において略同時刻で極大値となる(一次微分の値が負方向に零クロスする)及び極小値となる(一次微分の値が正方向に零クロスする)を検出することで、上記特定の膜厚に達したかを判定することができる、という知見を得た。
すなわち、任意の膜厚さにおいて或いは任意の処理中の時刻において、ほぼ周期的に変化する各波長の干渉光のうちで特定の位相となる波長複数からなる組合せが選択され、これらの波長がその特定の位相となることを検出することで、処理が前記任意の膜厚さに達した、つまり残りの膜厚さを検出することができるというものである。それぞれの特定の位相となったことを検出した波長を少なくとも2つ以上を用いることで、対応する膜厚さを判定する精度が向上する。
また、特定の位相として、極大値,極小値となるものを選択した場合、処理中の干渉光からの信号に含まれる誤差の要因の影響を低減することができ、検出の精度が向上する。また、信号を微分するデータの処理を行うことで、干渉光の強度が変化するその変化の位相を検出する精度が向上する。
光検出器である分光器11が取り込んだ上記の波長群λ1に含まれる各波長の発光強度は、分光器11によりサンプリング信号としてそれぞれ発光強度に応じた電流検出信号となり電圧信号へ変換されて出力される。このような波長群λ1の複数の特定波長の信号は、時系列データyijとしてRAM等の記憶装置に収納される。
次に、この時系列データyijは、第1デジタルフィルタ回路12により平滑化処理され、平滑化時系列データYijとしてRAM等の記憶装置に収納される。この平滑化時系列データYijを基にして、微分器13により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値)の時系列データdijが算出され、RAM等の記憶装置に収納される。微係数値の時系列データdijは、第2デジタルフィルタ回路14により平滑化処理され、平滑化微係数時系列データDijとしてRAM等の記憶装置に収納される。そして、本実施例ではこの平滑化微係数時系列データDijから干渉光強度の各波長の微分値のパターンを得る。
一方、光検出器21が取り込んだ上記の波長群λ2に含まれる各波長の発光強度は、それぞれ発光強度に応じた電流検出信号となり電圧信号へ変換されて出力される。このような波長群λ2の複数の特定波長の信号は、時系列データy′ijとしてRAM等の記憶装置に収納される。
次に、この時系列データy′ijは、第1デジタルフィルタ回路22により平滑化処理され、平滑化時系列データY′ijとしてRAM等の記憶装置に収納される。この平滑化時系列データY′ijを基にして、微分器23により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値)の時系列データd′ijが算出され、RAM等の記憶装置に収納される。微係数値の時系列データdijは、第2デジタルフィルタ回路24により平滑化処理され、平滑化微係数時系列データD′ijとしてRAM等の記憶装置に収納される。そして、この平滑化微係数時系列データD′ijから干渉光強度の各波長の微分値の実パターンを得る。
また、半導体メモリやハードディスクといった記憶装置内に記録された微分波形データベース15,25には、膜厚が変化したことによる上記各波長の干渉光強度データ、あるいはこれらの微分データの波形のそれぞれの値とその時刻が収納される。特に、被処理部材の処理中の時刻の変化に対する各波長の干渉光の強度(以下、干渉波形)の平滑化したデータの1次微分値が山,谷となる極大値,極小値(すなわち、1次微分データ波形の零クロス)となる波長とそれらの時刻Tn,T′nとが記憶される。つまり、微分波形データベース15,25は微分の零クロス時刻が記録され蓄積される装置である。
これら各時刻Tn,T′nは、その時刻の間の時間の大きさが微分波形比較器16において、予め設定されるか又は記憶/記録されている所定の値と比較される。ここで、微分波形比較器16は、微分の零クロス時刻を比較する手段でも有する。これら所定の値よりもTn,T′n間の時間の大きさが小さい場合には、その時刻Tn或いはT′nの前後で被処理部材40の膜厚さがこれら時刻に対応する所定の値に達したと判定され、被処理部材の膜厚が判定される。
試料4の膜厚を判定した結果は、表示器17により表示される。
表示器17は、液晶やCRTを用いたディスプレイや、所定の膜厚や終点に到達したことを光,音等で報知する報知ユニット、あるいはこれらの組合せ等が考えられる。本実施例は、計測データをグラフとして表示するディスプレイと、光または音で報知するユニットとを備えた表示器17を備えている。
また、上記のように、微分波形データベース15,25には、被処理対象である試料4からの干渉光の微分波形データの変化が記憶されるとともに、干渉波形のデータが極値
(極大値,極小値。即ち、微分データ波形の零クロス)をとる時刻が、すなわち、膜厚が変化したことによる干渉光強度の山や谷の時刻についてのデータが記憶されている。このようにして微分波形データベース15,25に記憶された情報は、例えば、エッチング処理を行った際の所定の範囲の波長について、処理中の所定の時刻での干渉光のデータの値は、上記表示器17に送信されてこの表示器17上に表示される。
また、本実施例では、複数の波長の干渉光について、その微分値が零を通過する(1次微分値の正から負への零クロスは干渉波形の極大、負から正への零クロスは干渉波形の極小となる)時刻についてのデータも、表示器17上に表示可能に構成されている。
さらに、本実施例の装置では、表示器17に表示される計測データを用い、この表示されたデータを視認した使用者が望む特定の情報を表示したり、特定の情報を検出または演算するために必要な情報を使用者に指定させたりする機能を備えている。これらの量を所定の位置に使用者が認識し易く表示する機能等を備えている。
例えば、表示器17上に表示された時間−波長の座標上の特定の点や任意の点、或いはそのデータを指定するためのポインタ等の指定機能や、指定した点におけるデータの値やこれらの値から特定の量、例えば、特定の時刻間の時間や波長,エッチングの速度や膜厚等エッチングの状態を示す量を演算あるいは検出する機能を備えていても良い。
上記の量を演算するためのユニットは、装置に備えられた演算器でもよく、装置とは距離が離れた場所に配置され計測または検出したデータを通信ユニットを介して授受可能な別の演算器を用いても良い。
なお、図1においては、エッチング量の測定装置の機能的な構成を示したものであり、表示器17と分光器11を除いた判定器10の実際の構成は、CPUや、エッチング深さ及び膜厚測定処理プログラムや干渉光の微分波形パターンデータベース等の各種データを保持したROMや測定データ保持用のRAMおよび外部記憶装置等からなる記憶装置,データの入出力装置、及び通信制御装置により構成することができる。これは、以下説明する他の実施例についても同様である。
図2に、本実施例の処理装置における処理の一例として、ゲートエッチング処理に用いられる半導体ウエハ等の被処理材である試料4の縦断面形状の例を示す。
この図において、処理対象の膜である被処理部材(ポリシリコン)40は、試料(ウエハ)4の上に下地材である酸化膜42上に形成されており、さらにこの被処理部材40上にマスク材41が積層されている。この試料4に対して、例えば、ゲート膜のエッチングを行う場合、被処理部材40の下地材はSiO2 の絶縁膜であり、ソース,ドレーン間に対応して多結晶の下地材の上にポリシリコンのゲート層が形成される。
また、各素子のゲート電極部48の独立動作を保証するための素子分離部49が酸化膜により形成されている。また、本実施の例では、“マスク材41の下部の酸化膜42による素子分離部(Shallow Trench Isolation,STI)49が形成された側方に”ゲート電極部48が構成されており、ゲート電極部48での酸化膜42の厚さよりも素子分離部
49での酸化膜42の膜厚さが大きくされ、素子分離部49が左右のゲート電極部を48区画している。
このような構成の試料4の表面に対して、分光器11或いはプラズマ3から放出された複数の波長域に亙る光は、被処理部材40と下地材である酸化膜42の積層構造を含む試料4にほぼ垂直な入射角で当てられる。酸化膜(下地材)42が薄いゲート電極部48へ導かれた放射光は、被処理部材40の上面で反射した放射光と、被処理部材40と下地材である酸化膜42との間に形成された境界面で反射した放射光とを含み、これらの箇所で反射されて試料4の上方放射された反射光によって干渉光95Aが形成される。
また同様に、酸化膜42が厚い素子分離部49へ導かれた放射光は、被処理部材40の上面で反射した放射光と、被処理部材40と酸化膜42との間に形成された境界面で反射した放射光とを含み、これらの箇所で反射されて試料4の上方へ放射された反射光により干渉光95Bが形成される。これらの干渉光は下地酸化膜の厚さが薄くなると干渉強度が弱くなるため、干渉光95A,95Bの強度は95B>95Aの関係がある。
反射した干渉光は分光器11に導かれ、エッチング中の被処理部材40の層の厚さによって強さが変化する信号を生成する。分光器11を通して検出される干渉光は、酸化膜
42の膜が厚い部分からの干渉光95Bの方が干渉光95Aよりも支配的で、本実施例において、干渉光を用いて検出される膜厚、エッチング溝深さ等のエッチング状態は、素子を分離する溝である素子分離部49上のもの(例えば膜厚46等)の方が精度が高くなる。
図3は、本実施例の半導体製造装置で検出される干渉光から得られる信号波形のデータであり、複数の波長について、その時間変化を示したグラフである。この図に示すように、幾つかの波長の組合せで、一方が極値(極大値)となる時刻の前後の時刻で、データが極小値となる波長を選択できることが分かる。さらに、発明者らは、2つの波長のそれぞれで極大−極小となる時刻の間の時間差が、処理が進むにつれて(残りの膜厚が減少するに伴って)小さくなり、この時間差と膜厚との間に相関関係があるという知見を得た。
また、ほぼ同時刻で一方で極大値(1次微分値が負方向に0クロス)、他方で極小値
(1次微分値が正方向に0クロス)する特定の波長(群)の対を検出することで残り膜厚(エッチング(溝)深さ)や処理の終点を判定することができる、あるいは、特定の対の2つの波長のそれぞれで極大−極小となる時刻の間の時間差を判定することで残り膜厚
(エッチング(溝)深さ)や処理の終点を判定することができる、という知見を得て、本発明を想起したものである。
図4は、図1に示す処理装置の動作の流れを示し、特に、被処理部材のエッチングの状態を検出してエッチング処理を調節する動作の流れを示す図である。
本実施例において、半導体製造装置は、ステップ400で、被処理部材40であるポリシリコン膜に対するエッチング処理の条件を取得する。このステップでは、予め記憶装置,記録装置等に記憶,記録された処理条件のデータベース上の情報を受信しても良く、また、使用者が上記表示器17に備えられたキーボード,マウス等の入力装置によって入力したものを受信しても良く、或いは、予め半導体ウエハ等の試料4を収容したカセットや試料4自身に記録された膜の構成を示すデータを取得して、図示してはいない演算ユニット等で検出しても良い。
次に、ステップ401において、上記微分データ記憶装置に記憶されたデータを用いて、あるいは別の記憶/記録装置上に記憶/記録された各波長と各強度の微分データとを比較して、エッチング状態を判定するための波長群λ1,2を検出する。さらには、上記1次微分が零クロスとなる時刻同士の時間差について基準となる時間差ΔTを設定する。
ステップ402,403,404では、実際の試料4を処理して得られた干渉光の波形データを検出するとともに、ステップ401で設定した判定用の波長群λ1,2の干渉波形を微分して、それぞれの波長群において微分データが零クロスとなる時刻T1,T2を演算する。
ステップ418は、上記の通り、微分波形比較器16を用いてステップ404で演算したT1,T2との時間差(T1−T2又はT2−T1)とステップ401で設定された基準となる時間差ΔTとを比較する。T1−ΔT≦T2≦T1+ΔTを満たさない、すなわち、T1,T2との時間差より時間差ΔTの方が小さいと判断されると、所望の膜厚に達していないと判定されてステップ403に戻り、被処理部材40の処理を継続する。
一方、T1−ΔT≦T2≦T1+ΔTを満たす、すなわち、T1,T2との時間差よりΔTの方が大きいか又は等しいと判断されると、所望の膜厚に達したかそれ以下の膜厚となったと判定され、ステップ414に進みエッチング終了及びサンプリング終了の設定を行う。本実施例は、ここでエッチングを停止し、分光器11を介した波長群λ1,2の干渉光のサンプリングも停止する。
このように、上記実施例では、任意の膜厚さにおいて或いは任意の処理中の時刻において、ほぼ周期的に変化する各波長の干渉光のうちで特定の位相となる波長複数からなる組合せが選択され、これらの波長がその特定の位相となることを検出することで、処理が前記任意の膜厚さに達した、つまり残りの膜厚さを検出し、或いは所定の膜厚さとなったことを判定している。それぞれの特定の位相となったことを検出した波長を少なくとも2つ以上を用いることで、対応する膜厚さを検出,判定する精度が向上する。また、特定の位相として、極大値,極小値となるものを選択しており、処理中の干渉光からの信号に含まれる誤差の要因の影響を低減することができ、検出の精度が向上する。また、信号を微分するデータの処理を行うことで、干渉光の強度が変化するその変化の位相を検出する精度が向上する。
さて、発明者らによれば、酸化膜42の影響を考慮した被処理部材(ポリシリコン膜)40の干渉について検討した結果、ポリシリコン40がエッチングされ膜厚が変化した時に現れる干渉波形は下地膜である酸化膜42の厚さに影響を受けることがわかった。
図5(a),(d)及び図6(a),(b)は、図1の真空処理装置1でエッチング処理を行う際に、測定した波長400nm及び測定波長380nmの干渉光のデータについての微分値が負より正に零クロスするポリシリコン膜厚の下地酸化膜依存性とその膜厚で微分値が正より負に零クロスする波長の下地酸化膜依存性を示す図である。
図5(a)は、被処理部材40であるポリシリコン膜の厚さが前後60nmである場合において、検出された値を1次微分して得られたデータが負から正に変化して零クロスする(実データが極小値に達する)波長400nmの干渉光に対応して判定されるポリシリコン膜厚の値の変化を、下地酸化膜の厚さの変化に対して示したグラフである。この図に示されるように、判定されるポリシリコン膜厚の値は、下地の酸化膜42の厚さ約130nm毎におよそ周期的に変化する。これは、被処理部材40であるポリシリコン膜の干渉が繋がって下地の酸化膜42の干渉が続くためである。すなわち、判定される上記膜厚は、sin(4πnd/λ) の周期性を持っていると考えて良い。ここで、nは酸化膜42の屈折率、dは酸化膜の厚さ、λは干渉光の波長である。
図5(b)に、波長400nmの干渉光の微分データが負から正に変化して零クロスする時刻の前後で、その微分データが正から負に変化する零クロスを行う(極大値に達した)干渉光の波長群を示す。図に示されるように、その波長群は約430から500nmにわたり存在する。したがって、波長400nmの干渉光と約430から500nmの波長群の干渉光とを測定することにより、酸化膜42の大まかな厚みを判定することができる。
例えば、検出した波長400nmの干渉光を微分して得られたデータが極値となった時刻と波長440nmの干渉光の微分データが極値となった時刻とが一致した(或いはこれらの時刻の間隔が所定の値以内であった)場合には、下地の酸化膜42の厚さを約数nm〜130nm、約170nm〜260nm、または約330nnm〜380nmと対応つけることができる。
また、波長400nmと、波長440nm並びに480nmの零クロスが一致した(或いはこれらの零クロスが生じる時刻間の時間差が所定の値以内であった)場合に、下地の酸化膜42の膜厚さは約140nm〜170nm、約300nm〜330nmであると対応つけることができる。さらに、予め定められた試料4の仕様が有れば、これを考慮すると、さらに下地の酸化膜42の膜厚が限定される。例えば、本実施例では酸化膜42の厚さを約300〜330nmであるとする。
このようにして求められ限定された酸化膜42の厚さを用いることで、波長群λ1の検出対象の波長の干渉光の微分データが負から正に零クロスする時刻に(或いは所定の値以内の時間に)その微分データが正から負に零クロスする波長群λ2の波長域は、酸化膜
42の膜厚さが限定されない場合と比べてより小さい範囲となる。
図6(a)は、検出された値を1次微分して得られたデータが負から正に変化して零クロスする(実データが極小値に達する)波長380nmの干渉光に対応して判定されるポリシリコン膜厚の値の変化を、下地の酸化膜42の膜厚さの変化に対して示したグラフである。また、図6(b)は、検出対象の波長380nmの干渉光の微分データが負から正に変化して零クロスする時刻の前後で、その微分データが正から負に変化する零クロスを行う(極大値に達した)干渉光の波長群λ2の波長をしたグラフである。
これら図に示すように、酸化膜42の膜厚さを約300nm〜330nmであると限定して判定することで、酸化膜42の膜厚さを限定しない場合に得られる被処理部材40の判定された膜厚(48nm〜56nm)及び波長域(約410nmから450nm)と比べて、約52nm〜55nm及び約410nm〜420nmとなり、判定する膜厚の精度の向上、さらには波長域の狭帯域化がなされている。
さて、上記した酸化膜42の影響を考慮してポリシリコン膜である被処理部材40の干渉光を解析した結果によると、被処理部材40がエッチングされその膜厚が変化した時に現れる干渉光は、酸化膜42の厚さによってその波長域をグループ分けでき、処理中に変化する被処理部材40のポリシリコン膜の厚さに応じてこのグループを適宜、選択/設定することにより被処理部材40のポリシリコン膜の厚さを測定できることがわかった。次に、この知見に基づいた実施例を述べる。
図14は、図1に示す実施例を用いて、下地として特定の厚さの酸化膜を有する被処理部材(ここではポリシリコン膜)を処理した際に被処理部材の表面から得られた干渉光の各波長での強度を示した図である。左側のグラフは縦軸に波長を、横軸に被処理部材の膜厚(或いは処理時刻)をとって、干渉光の強度変化を示したものであり、右側のグラフは、左側のグラフ上に点線で示す特定の時刻の300nm未満の波長から700nm以上の波長にわたる波長域の強度の変化を示すグラフである。
この図のように、干渉光は、特定の波長の前後で急激な変化を示し、その強度の微分データは大きく上下していることが分かった。
図15(a),15(b)は、図14と同様に、縦軸に波長、横軸に膜厚(処理時刻)をとって、干渉光の強度変化を示したものであり、図15(a)では、被処理部材40であるポリシリコン下方に形成された膜である酸化膜42の厚さが290nmの場合、図
15(b)は、下地の酸化膜42が330nmの場合である。
これらの図から分かるように、発明者らは、下地の酸化膜42からの反射により試料4表面からの干渉光が影響を受け、上記特定波長の前後での急激な変化を生じる。さらに、下地の酸化膜42の厚さによって、干渉光の微分データの強度が大きく上下に変化する波長の値が変化し、この波長と下地酸化膜42の厚さとに相関関係があることが判った。そこで、本実施例において試料の処理状態を判定するために選択する波長群は、上記急激な変化が生じている特定波長を考慮して選択される必要が有り、特定波長の値に影響を与える下地の酸化膜42の厚さの値に応じ波長群はグループ分けされる必要が有る。例えは、後述するようにこの急激な変化が生じている波長の範囲を避けて、上記波長群が選択される。本発明の実施例はこの知見に基づいて想起されたものである。
図7は、グループ分けした下地の酸化膜1nm〜10nmにおける干渉光のデータが正から負へ、または負から正へ零クロスする干渉光の波長の被処理部材(ポリシリコン)の膜厚への依存性を示す。図中、実線は干渉光のデータの1次微分値が負から正へ零クロスするものであり、破線は正から負へ零クロスするものである。また、□印は上記微分したデータの値が負から正へ零クロスする(実データ値が極小値となる)際にその膜厚が判定されて検出されたポリシリコン膜の厚さの値の各最大,最小,平均膜厚を示す。
この図に示されるように、1次微分値が零クロスする波長はポリシリコン膜厚に対してほぼ直線的に変化する。このことから、この近似直線を用いることで目当てとして検出しようとする膜厚で1次微分値が零クロスする波長が決定される。例えば、検出しようとする膜厚が50nmである場合には、波長約425nmの干渉光(のデータの1次微分値)が負から正へ零クロスし、また波長約575nmの干渉光が正から負へ零クロスする。こうして、検出を必要とする膜の厚さの範囲に対応して、検出に用いられる干渉光の波長と膜厚さとの関係を示す直線群とこれら直線上の波長群が得られる。
また、図に示す矩形領域枠は、検出の目標とする膜厚複数に対して膜厚判定を行うための零クロス波長を決める近似直線を選択する領域を示している。例えば、目標膜厚領域
(120〜88nm)は負から正への零クロス波長は近似直線y=0.4026x−
76.488 で、正から負への零クロス波長はy=0.3141x−62.428により得ることができる(領域(i))。ここで、yは目標膜厚、xは干渉光の波長である。また、目標膜厚領域(88〜65nm)は負から正への零クロス波長はy=0.2269x−47.479で、正から負への零クロス波長はy=0.3141x−62.428 により得ることができる(領域(ii))。目標膜厚領域(65〜38nm)は負から正への零クロス波長はy=0.2269x−47.479で、正から負への零クロス波長はy=0.1418x−33.871 により得ることができる(領域 (iii))。目標膜厚領域(38〜20nm)は正から負への零クロス波長はy=0.1418x−33.871により得ることができる(領域(iv))。目標膜厚領域(20〜10nm)は負から正への零クロス波長はy=
0.0495x−15.548により得られる(領域(v))ことを示している。
このように、それぞれの領域において、正から負への零クロス波長の直線と負から正への零クロス波長の直線とが対として選択できるようにされており、ポリシリコン膜厚さに対応して上記対に対応した波長の対が選択され膜厚さ、終点を検出または判定することが可能となる。すなわち、下地酸化膜の厚みによるグループ分けを行うと共に、目標の膜厚に対する零クロス波長の近似直線を目標膜厚領域により選択/設定することにより精度良い膜厚判定を行うアルゴリズムが構築できる。
図8は、下地酸化膜厚みが270nm〜340nmであるグループにおいて、上記零クロス波長の近似直線と目標膜厚領域を示すグラフである。図15に示すように、特定波長(この場合約470nm)の前後で干渉光の強度(の1次微分データ)が大きく変化するので、これを避けて波長群を選択する必要が有り、図8ではこの急激な変化の範囲以外で近似した直線を選択している。
すなわち、酸化膜42の影響を受ける被処理部材40の干渉光では、このグループにおいては、下地酸化膜による干渉の周期性(約130nm)のために、干渉波長約450nm〜500nmにおいて干渉波形の歪みが生じる。膜厚判定用波長を設定する際、この歪みによる判定ミスをさけるため近似直線は約450nm〜500nm波長域を避ける必要があることがわかった。
そこで、図示するように、各目標の膜厚の領域((i)〜(viii))に対応して近似直線を選択する。これら選択した直線に対応して、それぞれの領域における目標となる膜の厚さに応じた検出されるべき干渉光の波長が得られ、こうして得られた波長群の干渉光の一次微分データが零クロスすることを検出することで、被処理部材40の膜厚さが目標の膜厚さに達したことが判定される。
図9は、上記したポリシリコンの干渉波形解析結果を用いた処理装置の動作の流れを示し、特に、被処理部材のエッチングの状態を検出してエッチング処理を調節する動作の流れを示す図である。
本実施例において、半導体製造装置は、ステップ900で、被処理部材40であるポリシリコン膜に対するエッチング処理の条件(エッチング放電条件,エッチング残膜厚さや下地酸化膜厚さ)を取得する。次に、ステップ901では、予め記憶装置,記録装置等に記憶,記録された目標膜厚に対する1次微分値が負から正へ零クロスする波長の近似直線と、1次微分値が正から負へ零クロスする波長の近似直線とより、2つの波長群λ1,2の判定に用いる波長を選択し、その波長と零クロス方向、さらには、上記逆の極値となる時刻同士の時間差について、基準となる時間差dTを設定する。
ステップ902,903,904では、実際の試料4を処理して得られた干渉光の波形データを検出するとともに、ステップ901で設定した判定用の波長群λ1,2の干渉波形を微分して、それぞれの波長群において微分データが極値となる時刻t1,t2を演算する。
ステップ905は、上記の通り、微分波形比較器16を用いてステップ904で演算したT1,T2との時間差(T1−T2又はT2−T1)とステップ901で設定された基準となる時間差dTとを比較する。|T1−T2|≦dTを満たさない、すなわち、T1,T2との時間差より時間差dTの方が小さいと判断されると、所望の膜厚に達していないと判定されてステップ903に戻り、被処理部材40の処理を継続する。一方、|T1−T2|≦dTを満たす、すなわち、T1,T2との時間差よりdTの方が大きいか又は等しいと判断されると、所望の膜厚に達したかそれ以下の膜厚となったと判定され、ステップ909に進みエッチング終了及びサンプリング終了の設定を行う。
本実施例は、ここでエッチングの処理を停止し、分光器11を介した波長群λ1,2の干渉光のサンプリングも停止する。
図10に、本発明の実施例によって判定したポリシリコン膜厚の下地酸化膜依存性を示す。図より、下地酸化膜1nm〜10nmの領域おけるポリシリコンの膜厚判定(膜厚
90nmから10nmの範囲)が約±2nm精度で行えることがわかる。
次に、本発明の別の実施例について、図11を用いて説明する。
この実施例は目標となる膜厚さ以外に、その膜厚より厚い膜厚さに処理が到達したことすなわち、試料4の被処理部材40の厚さが目標の膜厚より大きな値を経過したことを検知することにより処理の終点や膜厚さの検出,判定の信頼性を向上するものである。ここでは、この目標膜厚より厚い膜厚を通過膜厚と呼ぶ。この通過膜厚を検知し、目標膜厚の判定を開始することにより、目標膜厚が薄い場合における誤判定を抑制できる。
本実施例において、ステップ1100で半導体処理装置は、被処理部材40であるポリシリコン膜に対するエッチング処理の条件(エッチング放電条件,エッチング残膜厚さや下地酸化膜厚さ)を取得する。次に、ステップ1101では、予め記憶装置,記録装置等に記憶,記録された目標膜厚に対する1次微分値が負から正へ零クロスする波長の近似直線と1次微分値が正から負へ零クロスする波長の近似直線とにより2つの波長群の判定に用いる波長を選択し、その波長と零クロス方向、上記逆の極値となる時刻同士の時間差について基準となる時間差dTを設定する。さらには、目標膜厚に応じて設定される通過膜厚に関しても、予め記憶装置,記録装置等に記憶,記録された通過膜厚に対する1次微分値が負から正へ零クロスする波長の近似直線と1次微分値が正から負へ零クロスする波長の近似直線とより2つの波長群の判定に用いる波長を選択し、その波長と零クロス方向を設定する。
例えば、下地酸化膜1nm〜10nmのグループにおける目標膜厚10nmの場合、この目標膜厚での通過膜厚は100nm,50nm,40nmが対応しており、通過膜厚
100nmの判定波長は430nmの正から負への零クロスと510nmの負から正への零クロス検知、通過膜厚50nmの判定波長は425nmの正から負への零クロスと580nmの負から正への零クロス検知、そして、通過膜厚40nmの判定波長は380nmの正から負への零クロスと500nmの負から正への零クロス検知、そして、目標膜厚の判定波長は500nmの正から負への零クロス検知が設定される。この通過膜厚の検知後の目標膜厚判定により、判定波長は500nmの正から負への零クロスを誤検知することなく判定できる。
ステップ1102,1103,1104では、実際の試料4を処理して得られた干渉光の波形データを検出するとともに、ステップ1101で設定した通過膜厚用の2つの波長群の干渉波形を微分して、それぞれの波長群において微分データが極値となる時刻t1,t2を演算する。
ステップ1105は、上記の通り、微分波形比較器16を用いてステップ1104で演算したt1,t2との時間差(t1−t2又はt2−t1)とステップ1101で設定された基準となる時間差dTとを比較する。
|t1−t2|≦dTを満たさない、すなわち、t1,t2との時間差より時間差dTの方が小さいと判断されると、所望の通過膜厚に達していないと判定されてステップ1103に戻り、被処理部材40の処理を継続する。一方、|t1−t2|≦dTを満たす、すなわち、t1,t2との時間差よりdTの方が大きいか又は等しいと判断されると、所望の通過膜膜厚に達したかそれ以下の膜厚となったと判定され、ステップ1106に進み目標膜厚の判定を行う。
ステップ1106,1107では、試料4の処理中に得られた干渉光の波形データを検出するとともに、ステップ1101で設定した目標膜厚判定用の2つの波長群の干渉波形を微分して、それぞれの波長群において微分データが極値となる時刻T1,T2を演算する。
ステップ1108は、上記の通り、微分波形比較器16を用いてステップ1107で演算したT1,T2との時間差(T1−T2又はT2−T1)とステップ1101で設定された基準となる時間差dTとを比較する。
|T1−T2|≦dTを満たさない、すなわち、T1,T2との時間差より時間差dTの方が小さいと判断されると、所望の膜厚に達していないと判定されてステップ1106に戻り、被処理部材40の処理を継続する。一方、|T1−T2|≦dTを満たす、すなわち、T1,T2との時間差よりdTの方が大きいか又は等しいと判断されると、所望の膜厚に達したかそれ以下の膜厚となったと判定され、ステップ1109に進みエッチング終了及びサンプリング終了の設定を行う。
本実施例は、ここでエッチングを停止し、分光器11を介した干渉光のサンプリングも停止する。
なお、目標となる膜厚さを判定する際、複数の通過膜厚を設定し、それらの通過膜厚と通過時刻より目標膜厚を予測してエッチングを終了しても良い。例えば、通過膜厚として、100nmから30nmまでを10nm毎に設定し、それぞれの通過時刻を測定する。そして、それらの通過膜厚と通過時刻を用いて、例えば回帰直線を求め、この回帰直線より目標膜厚に達する時刻を算出し、その時刻で判定する。
また、干渉波形測定においては、干渉光を得るための光源の突然の光量変動やプラズマ光の突然の光量変動が起こりえる。このような場合、上記した膜厚さの判定のために選択した2つの波長群以外の干渉波長を同時に測定し、その干渉波形の1次微分値が正(又は負)の値であるかどうかを検知する。この検知により、上記した光変動のようなすべての波長域における同様な変動がある場合における干渉波形判定の誤動作を防ぐことができる。
この干渉波形判定の誤動作を防ぐための干渉波形の波長はその干渉波形の変曲点、すなわち、2次微分の零クロス位置より得ることができる。
図12,図13に、本実施例の装置において、干渉波形判定の誤動作を防ぐための干渉波形波長の近似直線を下地酸化膜1nm〜10nmのグループと下地酸化膜270nm〜340nmのグループとに分けた例を示す。このように干渉波形波長の近似直線を、検出すべき対象に応じて分けられた波長のグループ各々において設定することで、誤動作を抑制し、精度の高い検出が行える。
次に、上記実施例の変形例について、図16を用いて説明する。
上記図14,図15に示したように、下地の酸化膜の厚さによっては被処理部材及び下地材で反射されて生じる干渉光は、特定の波長の前後でその値(及び微分値)が急激な変化を示し、その強度の微分データは大きく上下していることが分かる。発明者らは、下地の酸化膜42の厚さによって、干渉光の微分データの強度が大きく上下に変化する波長の値が変化し、この波長と下地酸化膜42の厚さとに相関関係があることから、下方の酸化膜の厚さを、その上方にある被処理対象の膜のエッチング処理の際に得た干渉光のデータを用いて検出できるとの知見を得た。次に説明する本発明の変形例はこの知見に基づいて想起されたものである。
図16は、図14,図15に係る干渉光を得た図1に示す実施例の真空処理装置の動作の流れを示す流れ図である。この図に示されるのは、図4に示す本発明の実施例の変形例である。
本変形例は、ポリシリコン膜のゲートエッチングをする際に、波長が約300nmから700nm領域の波長の干渉光強度を検出しその微分データを得て、ポリシリコンの被処理部材40の膜厚が減少する際に、零クロスする(極値となる)波長が、順次短波長側にシフトする性質とは異なり、下地の酸化膜厚によって、長い波長の側の波長より先に短い側の波長がする性質を利用して、その反転する波長から下地酸化膜厚を算出するものである。
これにより、これまで任意のサンプルとなるウエハを選んで計測して判定していた、下方の膜(下地酸化膜)の厚さを、その上方の膜を処理する際の干渉光のデータを用いることで検出できるので、サンプルの計測を行うために低下していたスループットや製造コストの上昇を抑制できる。
さらに、このように、算出された下地酸化膜の厚さを用いて被処理部材である、ポリシリコンの所定膜厚判定の精度を向上することが可能である。
図15では、被処理部材(ポリシリコン)膜に対するエッチング条件(エッチング放電条件,エッチング残膜厚条件)を入力し(ステップ1500)、エッチング残膜厚条件よりデータ記憶装置に記憶されたデータから“判定用2波長群λ1,λ2とそれぞれの零クロス方向と判定時間の幅ΔTとの設定する”(ステップ1501)。
次に、試料4のエッチング開始及びサンプリング開始し(ステップ1502)、“分光器からの多波長出力信号yi,jから微係数時系列データDi,jを算出し(ステップ
1503)、“ ”微係数時系列データDi,jとDm,jの零クロス時刻TiとTmとが反転する波長λiを算出する(1504)。”ここで、iは長波長側を、mは短波長側の測定波長である。
下地酸化膜の影響がない波長領域では、時刻TiとTmとはTi<Tmの関係が成り立つが、下地酸化膜の影響がある波長領域では、時刻TiとTmとはTi>Tmとなる。この波長λiを予めデータベースとして持っている下地酸化膜厚と歪み波長値により下地酸化膜を算出する(ステップ1505)。算出した下地酸化膜厚を用いて、微分零クロステーブルから判定用2波長群λ1,λ2との再設定を行う(ステップ1506)。さらに、再設定された判定用2波長群λ1,λ2の干渉波形の微分処理を行う(ステップ1507)。
次いで、ステップ1501で設定された基準となる時間差ΔTと、零クロス時刻T1とT2との時間差との比較、すなわち、T1−ΔT≦T2≦T1+ΔTを満たすか否かの判定(ステップ1508)により、エッチング終了及びサンプリング終了の設定を行う(ステップ1509)。時間差ΔTと零クロス時刻T1とT2との時間差との比較(T1−
ΔT≦T2≦T1+ΔTを満たすか否かの判定:ステップ1508)がNOの場合は、ステップ1503から動作を繰り返す。ただし、下地酸化膜が算出できた時には、ステップ1503から処理1505は必ずしも行わなくてもよい。
一方、ステップ1508でYESと判定されると、ステップ1509に進みエッチング終了及びサンプリング終了の設定を行う。
このようにして、従来技術において行われていたサンプルウエハを用いた測定により、処理のスループットやコストの上昇が生じていたのに対し、本発明では、上層の膜を製品として処理した際に得られたデータから下層の膜厚を検出することができ、装置を用いた全体としての処理のスループットが向上し、コストの上昇を低減できる。
1…真空処理装置、2…真空容器、3…プラズマ、4…試料、10…判定装置、11…分光器、12,22…第1デジタルフィルタ回路、13,23…微分器、14,24…第2デジタルフィルタ回路、15,25…微分波形データベース(微分零クロス時刻蓄積器)、16…微分波形比較器(微分零クロス時刻比較器)、26…処理状態判定器(終点判定器)、40…被処理部材(ポリシリコン)、41…マスク材、42…酸化膜、46…膜厚、48…ゲート電極部、49…素子分離部、100…処理室、101…磁場形成手段、
102…側壁、103…真空室、104…真空排気系、105…圧力制御手段、110…アンテナ、111…円板状導電体、112…誘電体、113…誘電体リング、114…ハウジング、115…プレート、116…ガス供給手段、120…アンテナ電源系、121…アンテナ電源、122,124,125,135…マッチング回路・フィルタ系、123…アンテナバイアス電源、126…導入端子、130…下部電極、131…静電吸着装置、132…試料台リング、133…絶縁体、134…バイアス電源、140,160…計測ポート、151…光学伝送手段、152…計測器、153…計測器制御・演算手段、
154…システム制御手段、155…制御インタフェース、161…光学伝送ユニット。