JP2007071083A - エンジン始動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン始動時の静粛発進を維持しながら、吸気マニホールド内の負圧を速やかに発達させることによってレスポンスを向上させる始動制御装置を提供する。
【解決手段】吸入空気の流量を調整するスロットルバルブを有する吸気通路と、吸気通路の燃焼室への連通をエンジン回転に同期して開閉する吸気バルブと、エンジンクランキング時にスロットルバルブより下流の吸気通路内の負圧発達を通常よりも強め、その後最初の燃料噴射を行って点火するときに燃焼室に充填されている空気量を通常よりも減じるように吸気バルブを可変制御する吸気バルブ可変制御手段(S2,S3,S15,S17)とを有する。
【選択図】図7

Description

本発明は、エンジン始動制御装置に関する。
点火時に燃焼室内に充填されている空気量が多いほどエンジンの出力は大きい。ところがエンジン始動時に空気量が多いときには、エンジン完爆でのエンジン出力が過大となって始動時ショックが発生する場合がある。
そこで従来は、エンジン始動時は吸気バルブの閉時期を遅らせて燃焼室内の空気量を減じることでエンジンの始動時ショックを緩和している(特許文献1参照)。
特開2002−213261号公報
しかし、上述の方法では、確かに始動時ショックは緩和できるものの、吸気マニホールド内の負圧の発達が弱い。アイドル時に吸気マニホールド内の負圧を発達させた状態からスロットルバルブを開いて発進すれば、エンジンの燃焼室に多くの空気を流入させることができるので、発進時の加速性能が向上する。ところが、上述した従来方法では、吸気マニホールド内の負圧の発達が弱いので、発進加速性能はよくない。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、エンジン始動時の静粛発進を維持しながら、吸気マニホールド内の負圧を速やかに発達させることによってレスポンスを向上させる始動制御装置を提供することを目的としている。
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
本発明は、吸入空気の流量を調整するスロットルバルブ(24)を有する吸気通路(21)と、前記吸気通路(21)の燃焼室(12)への連通をエンジン回転に同期して開閉する吸気バルブ(14)と、エンジンクランキング時にスロットルバルブ(24)より下流の吸気通路内の負圧発達を通常よりも強め、その後最初の燃料噴射を行って点火するときに燃焼室に充填されている空気量を通常よりも減じるように前記吸気バルブ(14)を可変制御する吸気バルブ可変制御手段(40,50,30;ステップS2,S3,S15,S17)と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、クランキングの実行中にスロットルバルブを閉じた状態でエンジンの燃焼室に吸入する空気量を増量することによって、スロットルバルブより下流の吸気通路内の負圧を速やかに発達させることができる。これにより、エンジン始動時のレスポンスを向上させることができる。さらに、最初の燃料噴射を行なって点火するときに燃焼室に充填された空気量を減じることによって、エンジン完爆時にエンジン出力が過大となって始動ショックが発生することを防止できる。
以下では図面等を参照して本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
図1は、本発明による燃料噴射制御装置の第1実施形態を採用したハイブリッドエンジンシステム1を示す図である。図1において、太い実線は駆動力伝達経路、破線は電力線、細い実線は制御線を示す。
ハイブリッドエンジンシステム1は、動力源として、エンジン10と、第1モータ61と、第2モータ62とを備える。第1モータ61及び第2モータ62は、三相同期電動機又は三相誘導電動機などの交流機である。
エンジン10は、出力軸を通じて動力分割機構60と連結する。また、動力分割機構60は第1モータ61の回転軸及び第2モータ62の回転軸と連結する。動力分割機構60は、周知の遊星歯車を利用してエンジン10の出力軸と第1モータ61及び第2モータ62の回転軸とを相互に連結・切断することができる。動力分割機構60は、エンジン10の駆動力を第1モータ61及び第2モータ62の一方又は両方に伝達する。
第1モータ61の回転軸は、減速装置66を介して駆動輪67の回転軸と連結する。発進時や低速走行時などのエンジン効率の低い状態では、車両は第1モータ61の出力によって走行することができる。また、第2モータ62はエンジン始動時にクランクシャフトを回転させてクランキングする。さらに、第2モータ62はエンジン10の出力軸と連結して発電する。
一方、通常走行時には車両は主にエンジン10の出力によって走行する。さらに、減速時には第1モータ61及び第2モータ62が発電機として作用し、動力分割機構60によってそれぞれの回転軸を駆動輪67の回転軸と連結して発電する。
第1モータ61及び第2モータ62を作動させる電力は、バッテリ65に蓄えられている。また、第1モータ61及び第2モータ62が発電する回生電力は、バッテリ65に蓄えられる。バッテリ65は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池が用いられる。バッテリ65は直流電流を出力し、この直流電流はインバータ63,64によって交流電流に変換される。
エンジン10、第1モータ61及び第2モータ62の制御は、統合コントローラとしての電子制御ユニット(以下「ECU」という)30によって行われる。ECU30は、中央演算装置(CPU)、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、インターフェース回路及びインバータ回路を含んで構成される。ECU30は、各種センサの検出信号を外部入力回路を介して入力し、これら信号に基づいて運転状態を最適化するための各種制御を実施する。
ECU30は、エンジンコントローラ31とハイブリッドコントローラ32とを含んで構成される。エンジンコントローラ31は、エンジン10の点火時期、燃料噴射量及び吸入空気量などを制御する。ハイブリッドコントローラ32は、第1モータ61及び第2モータ62への電力供給量を調節することによって回転速度や出力トルクなどを制御し、クランキングを行なう。また、ハイブリッドコントローラ32は、第1モータ61及び第2モータ62を発電機として機能させてバッテリ65を充電するための制御を行う。
図2は、本発明による始動制御装置を採用したエンジン10の吸排気システム2を示す図である。
エンジン10の燃焼室内での燃焼に必要な空気は、外部から取込まれてスロットルチャンバ23に到達する。スロットルチャンバ23は、内部にスロットルバルブ24を備える。スロットルバルブ24は、吸入空気量を調節して適切な吸気量をエンジン10に供給する。スロットルバルブ24は、アクセルペダル27の踏込み量に応じて開閉する。
吸気コレクタ22は、スロットルチャンバ23に連設される。吸気コレクタ22は、吸気を一旦貯蔵して吸気脈動を抑制する。また、吸気コレクタ22にはバキュームセンサ25が備えられる。バキュームセンサ25は、吸気マニホールド21の負圧を検知する。吸気マニホールド21は、吸気コレクタ22とエンジン10の吸気ポート13との間を連結する。吸気ポート13は、燃料噴射弁20を備える。燃料噴射弁20は、燃料を霧状に噴射して吸気マニホールド21から導かれる吸気と混ぜ合わせて混合気を生成し、燃焼室12に燃料を供給する。
燃焼室12には、吸気バルブ14が備えられる。吸気バルブ14は、吸気ポート13と燃焼室12との間をエンジン回転に同期して開閉して燃焼室12への吸気量を調節する。
また、本実施形態では、吸気バルブ14の作動角及びバルブリフト量を連続的に変更することを可能とする可変バルブリフト制御機構(Variable valve event and lift control system;VEL)40が備えられる。
さらに、クランク角に対する吸気バルブ14の作動角の中心位相、すなわち、吸気中心角を進角・遅角させる可変バルブタイミング制御機構(Variable valve timing control system;VTC)50が備えられる。
エンジン10は、内部に燃焼室12を有する。エンジン10は、シリンダ18と、シリンダ18の内部を摺動するピストン11を備える。燃焼室12は、シリンダ18の内部をピストン11の冠面によって区切られて形成される。燃焼室12では、その内部で点火プラグ17によって混合気が点火されて燃焼する。ピストン11は混合気の燃焼によって発生したエネルギーで駆動され、連結されているクランクシャフトを通じてを外部に出力を伝達する。
エンジン10は、燃焼室12と排気ポート15との間に排気バルブ16を備える。排気ポート15は、排気マニホールド28と連結する。排気バルブ16は、排気ポート15と燃焼室12との間を開閉して排ガスを排出する。排ガスは、排気マニホールド28から触媒29によって浄化された後に外部に排出される。
図3は、本実施形態で用いられる可変バルブリフト制御機構40及び可変バルブタイミング制御機構50の斜視図である。
可変バルブリフト制御機構40は、例えば特開平11−107725号に開示された機構を用いることができる。可変バルブリフト制御機構40は、吸気カムシャフト39と、制御軸44と、数種類のカムとを備える。これらのカムには、揺動カム41と、偏心カム43と、制御カム45とが含まれる。また、可変バルブリフト制御機構40は、これらを連係するリンク部材を備える。リンク部材には、ロッカーアーム46と、第1リンク47と、第2リンク48とが含まれる。
吸気カムシャフト39は、気筒列方向に沿って配置される。吸気カムシャフト39は、プーリ又はスプロケットを介してクランクシャフトから回転動力が伝達される。吸気カムシャフト39は、クランクシャフトの回転に連動して自身の軸回りに回転する。図3に示すように、制御軸44は吸気カムシャフト39と平行に気筒列方向へ延びる。VEL変換デバイス42は、制御軸44の回転角度を変更してバルブのリフト量を変換する電動式のアクチュエータである。
可変バルブタイミング制御機構50は、例えば特開平05−98916号に開示されているように公知である。可変バルブタイミング制御機構50には、外部回転体51と内部回転体とを備える。外部回転体51は、クランクシャフトと連動して回転するカムプーリを有する。内部回転体は、外部回転体51の内部に収容される。また、内部回転体は吸気カムシャフト39と一体となって回転する。内部回転体の外周と外部回転体51の内周には、相互に噛合するように斜めに形成された溝を有する。これらの溝は、外部回転体51が軸方向に移動すると、その噛合の関係から、吸気カムシャフト39が相対回転するように構成される。油圧式のVTC変換デバイス52は、外部回転体51を軸方向に移動させることによって吸気カムシャフト39を回転させる。こうすることによって、可変バルブタイミング制御機構50は吸気バルブの開弁時期及び閉弁時期を調節することができる。
図4は、本実施形態で用いられる可変バルブリフト制御機構40の拡大図である。以下、可変バルブリフト制御機構40の構成について詳細に説明する。
揺動カム41は、吸気カムシャフト39に揺動自在に外嵌・支持されている。揺動カム41は、吸気バルブ14のバルブリフタ19の上方に配置される。
偏心カム43は、吸気カムシャフト39に偏心して固定又は一体形成されている。偏心カム43は、円形である。
制御カム45は、制御軸44に偏心して固定又は一体形成されている。制御カム45は、円形である。図4に示すように、制御カム45の軸心P1と制御軸44の軸心P2との間は距離αの間隔を有する。
ロッカーアーム46は、制御カム45に揺動可能に外嵌して取り付けられる。第1リンク47は、ロッカーアーム46の一端と偏心カム43とを連係する。第1リンク47の一端は、偏心カム43に回転可能に外嵌して取り付けられる。第2リンク48は、ロッカーアーム46の他端と揺動カム41の先端とを連係する。
ここで、吸気バルブ14を開閉する仕組みについて説明すると、吸気カムシャフト39はクランクシャフトに連動して回転すると、第1リンク47の一端を吸気カムシャフト39の軸心に対して回転変位させる。第1リンク47はロッカーアーム46及び第2リンク48と連係し、揺動カム41を所定の揺動角度範囲内で揺動させる。揺動カム41は、バルブリフタ19の冠面を摺動して押圧し、吸気バルブ14を開閉する。
さらに、可変バルブリフト制御機構40が吸気バルブ14の作動角及びバルブリフト量を変更する仕組みについて説明する。図5は、吸気バルブ14のリフト量を小さくする場合を示しており、図5(A)は最小揺動時、図5(B)は最大揺動時を示す。
吸気バルブ14のリフト量を変更するためには、VEL変換デバイス42を駆動して制御軸44を回転させる。制御カム45は、制御軸44の回転に連動して制御軸44の軸心P2を中心に回転する。リフト量を小さくするためには、図5に示すように、制御カム45の軸心P1が制御軸44の軸心P2の右上方に移動するように制御軸44を回転させる。このようにすると、ロッカアーム46は、全体が吸気カムシャフト39の上方向へ移動する。これにともなって揺動カム41は、第2リンク48を介して端部が引き上げられて右方向に回動する。
したがって、図5(A)(B)に示すように、最小揺動時のリフト量と最大揺動時のリフト量との差は比較的少なくなる。
図6は、吸気バルブ14のリフト量を大きくする場合を示しており、図6(A)は最小揺動時、図6(B)は最大揺動時を示す。
吸気バルブ14のリフト量を大きくするためには、図6に示すように、制御カム45の軸心P1が制御軸44の軸心P2の下方に移動するように制御カム45を図5に示す位置から時計方向に回転させる。このようにすると、ロッカアーム46は、全体が吸気カムシャフト39の方向(下方向)に移動する。これにともなってロッカーアーム48は、揺動カム41を第2リンク48を介して下方へ押圧して揺動カム41全体を所定量だけ時計方向に回動させる。
したがって、揺動カム41とバルブリフタ19の冠面との当接位置は図6に示すように右方向に移動する。このため、図6(A)に示す最小揺動時と比較して、図6(B)に示す最大揺動時のリフト量を大きくすることができる。
続いて、本実施形態における始動制御装置の制御を図7のフローチャートに基づいて説明する。本ルーチンは、エンジンコントローラ31によって所定時間毎(例えば10ミリ秒)に周期的に実行される。また、本ルーチンはスロットルバルブ24を閉じた状態で実行される。
本実施形態の始動制御装置は、エンジン始動時のレスポンスを向上させるために、エンジンの燃焼室への吸入空気量を増量することによってスロットルバルブより下流の吸気通路内の負圧を速やかに発達させる。さらに、エンジン完爆時にエンジン出力が過大となって始動ショックが発生することを防止するために、最初の燃料噴射を行なって点火するときに燃焼室に充填された空気量を減じさせる。
ステップS1において、エンジンコントローラ31は、エンジン10が運転中であり、かつ、エンジン停止要求フラグがONであるか否かを判定する。エンジン10が運転中であり、かつ、エンジン停止要求フラグがONであればステップS2へ進み、いずれか一方の条件でも満たさなければステップS4へ進む。
ステップS2において、エンジンコントローラ31は、吸気バルブ14の閉弁時期を進角する。具体的には、ピストン11が下死点近傍に位置するときに吸気バルブ14が閉弁するように進角する。このようにすることで、燃焼室12が吸入可能な空気量を増大させることができ、ピストン11のポンプ能力が向上する。
ステップS3において、エンジンコントローラ31は、吸気バルブ14のリフト量を最大リフト量に設定する。このようにすると、吸気マニホールド21から燃焼室12に空気を取り込みやすくなる。したがって、ピストン11のポンプ能力を向上させることができる。なお、本実施形態では設定するリフト量を最大リフト量としているが、吸気バルブ14が抵抗とならずに空気を燃焼室12に取り込むことができるリフト量であればよい。
ステップS4において、エンジンコントローラ31は、エンジン10が停止中であるか否かを判定し、停止中であればステップS5に進み、運転中であればステップS7に進む。
ステップS5において、エンジンコントローラ31は、VTC変換デバイス52の動作を停止させる。エンジン停止中に可変バルブタイミング制御機構を作動させる必要がないからである。本実施形態で用いられる可変バルブタイミング制御機構50は、エンジン10が停止している間であっても設定された作動角を維持することができる。
ステップS6において、エンジンコントローラ31は、VEL変換デバイス42の通電を切断する。エンジン停止中の消費電力を抑えるためである。また、本実施形態で用いられる可変バルブリフト制御機構40は、VEL変換デバイス42の通電を切断しても吸気バルブ14のリフト量を維持することができる。
ステップS7において、エンジンコントローラ31は、エンジン10の始動要求フラグがONであるか否かを判定し、始動要求フラグがONであればステップS10へ進み、OFFであればステップS8に進む。
ステップS8において、エンジンコントローラ31は、エンジン10からの要求出力などに応じて可変バルブタイミング制御機構50を通常制御する。エンジン10が運転中であって停止要求もない状態は、通常走行中の状態と判断する。
ステップS9において、エンジンコントローラ31は、エンジン10からの要求出力などに応じて可変バルブリフト制御機構40を通常制御する。ここでは、ステップS8と同様に通常走行のための制御を行う。
ステップS10において、エンジンコントローラ31は、燃焼室12に燃料噴射を開始するタイミングを算出する。燃料噴射開始タイミングは、あらかじめ定められた算出方法により、燃料噴射までのクランク回転数などから算出することができる。
ステップS11において、エンジンコントローラ31は、吸気バルブ14の閉弁時期の変更を開始してから完了するまでの所要時間を算出する。吸気バルブ14の閉弁時期は、油圧式のVTC変換デバイス52によって変更される。このような油圧機器は、作動油の粘度によってその所要時間が変化する。また、作動油の粘度は油温の影響が大きい。エンジンコントローラ31は、作動油の油温などの要因を考慮して応答遅れ時間を算出する。なお、VEL変換デバイス42が電動であることから温度などによる影響を受けにくいため、吸気バルブ14のリフト量の変更の所要時間は固定値とすることができる。
ステップS12において、エンジンコントローラ31は、進角された吸気バルブ14の閉弁時期を遅角する条件を算出する。これは、燃料噴射を開始する前に吸気バルブ14の閉弁時期の変更を完了できるような変更開始タイミングを算出することである。また、吸気バルブ14の閉弁時期を変更するタイミングは極力遅らせる。ポンプ能力が高い時間を極力長くすることによって、クランキング中に負圧をできるだけ発達させておくためである。したがって、変更開始タイミングは燃料噴射を開始するタイミングから吸気バルブ14の閉弁時期の変更に必要な時間を差し引いたタイミングとなる。
ステップS13において、エンジンコントローラ31は、最大リフト量に設定されている吸気バルブ14のリフト量を最小リフト量に変更する条件を算出する。ステップS12と同様に、この変更条件の算出は吸気バルブ14のリフト量の変更を開始するタイミングを算出することである。したがって、変更開始タイミングは燃料噴射を開始するタイミングから吸気バルブ14のリフト量変更の所要時間を差し引いたタイミングとなる。
ステップS14において、エンジンコントローラ31は、吸気バルブ14の閉弁時期変更開始条件を満たしているか否かを判定し、開始条件を満たしている場合にはステップS15に進み、満たしていない場合にはステップS16に進む。
ステップS15において、エンジンコントローラ31は、吸気バルブ14の閉弁時期を遅角させる。本実施形態では、エンジンコントローラ31は吸気バルブ14の閉弁時期を最遅角に設定する。こうすることによって燃焼室12に充填される空気量を減じることができる。したがって、燃料に点火した際にエンジントルクが過剰に発生することを防ぐことができる。
ステップS16において、エンジンコントローラ31は、吸気バルブ14のリフト量変更開始条件を満たしているか否かを判定し、条件を満たしている場合にはステップS17に進み、満たしていない場合には処理を抜ける。
ステップS17において、エンジンコントローラ31は、吸気バルブ14のリフト量を最小リフト量に設定する。ステップS15の制御と同様に、燃焼室12に充填される空気量を低減することができる。
ここで、本発明の効果を一層明確にするために従来の始動制御装置について説明する。図9は、エンジンが停止されてから始動するまでの間に従来の始動制御装置が行う制御を示すタイムチャートである。図9(a)はエンジンの回転速度、図9(b)はエンジン停止要求フラグ、図9(c)はエンジン始動要求フラグ、図9(d)は燃料噴射のON/OFF、図9(e)は吸気バルブの閉弁時期、図9(f)は吸気バルブのリフト量、図9(g)は吸気マニホールド内の負圧を示す。
エンジンコントローラ31は、通常運転からエンジン停止条件を満たすと、エンジン停止要求フラグをONに設定する(図9(b)の時刻t11)。さらに、エンジンコントローラ31は吸気バルブ14のバルブリフト量を最小リフト量に設定する(図9(f))。その後エンジン始動要求がなされると(図9(c)の時刻t12)、エンジンコントローラ31はクランキングを開始してエンジンの回転速度を上昇させる(図9(a))。
吸気バルブ14の閉弁時期とバルブリフト量は、初回の燃料噴射時まで維持される(図9(d)の時刻t15)。初回の燃料噴射が完了した後には、可変バルブリフト制御機構40及び可変バルブタイミング制御機構50は通常制御を行なう。
このように従来技術では、アクセルペダル27が踏み込まれてクランキングを開始してエンジン10の回転速度を上昇させても(時刻t12)、吸気マニホールド内の負圧は大きくは上昇しない(図9(g))。これは、吸気バルブ14の閉弁時期が最遅角に設定され、バルブリフト量が最小リフト量に設定されているため、ピストン11のポンプ能力が低いからである。したがって、クランキングを開始しても吸気マニホールド内の負圧が発達しにくい。そのため、アイドルストップ状態からエンジン10を再始動する際に静粛化することができるものの発進時のレスポンスが悪化してしまう。
次に図8を参照して本発明の効果を説明する。図8は、エンジンが停止されてから始動するまでの間に本実施形態の始動制御装置が行う制御を示すタイムチャートである。図8(a)はエンジン10の回転速度、図8(b)はエンジン停止要求フラグ、図8(c)はエンジン始動要求フラグ、図8(d)は燃料噴射のON/OFF、図8(e)は吸気バルブ14の閉弁時期、図8(f)は吸気バルブ14のリフト量、図8(g)は吸気マニホールド内の負圧を示す。また、図7のフローチャートとの対応がわかりやすくなるように、図7のステップ番号をS付けで併記した。
エンジンコントローラ31は、通常運転からエンジン停止条件を満たすと、エンジン停止要求フラグをONに設定する(図8(b)の時刻t1)。エンジン10が実際に停止する前であって、かつ、停止要求フラグがONとなっている場合には(S1:YES)、吸気バルブ14の閉弁時期を進角させて(S2;図8(d)の時刻t1)、バルブリフト量を最大リフト量に設定する(S3;図8(e)の時刻t1)。
その後、エンジンコントローラ31は、エンジン10が停止状態になると(S4:YES)、VTC変換デバイス52の動作を停止し(S5)、VEL変換デバイス42の通電を切断する(S6)。エンジン停止中には吸気バルブ14の閉弁時期やリフト量を変更する必要がなく、前述のように消費電力を抑えるためである。
エンジンコントローラ31は、アクセルペダル27が踏み込まれエンジンの始動要求フラグがONからOFFとなったら(図8(c)の時刻t2)、クランキングを開始する。これによってエンジンの回転速度が上昇する(図8(a))。ただしこの時点では燃料噴射を開始していない(図8(d))。
このとき、エンジンコントローラ31は、燃料噴射を開始するタイミング(図8(b)の時刻t5)を算出する(S10;時刻t2)。この時点でバルブリフト量がカムスプリングの反力などによって減少している場合には、バルブリフト量を最大リフト量に再設定することもできる。さらに、エンジンコントローラ31は吸気バルブ14の閉弁時期を変更するために必要な時間を算出する(S11)。さらに、吸気バルブ14の閉弁時期の変更を開始する条件(図8(e)の時刻t3)及びバルブリフト量の変更を開始する条件(図8(f)の時刻t4)を算出する(S12,S13)。
その後、エンジンコントローラ31は条件に従って(S14,S16)、吸気バルブ14の閉弁時期を遅角させて(S15;図8(d)の時刻t3)、バルブリフト量を最小リフト量に変更する(S17;図8(e)の時刻t4)。エンジン再始動後の最初の燃料噴射が完了すると、可変バルブリフト制御機構40及び可変バルブタイミング制御機構50は通常の制御が行われる(S8,S9)。
本実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、エンジンが停止した後に吸気バルブの閉弁時期を進角させて、吸気バルブのリフト量を最大リフト量に変更することによって、エンジンのポンプ能力を最大限に発揮させることができる。これにより、クランキング中にスロットルバルブより下流の吸気通路の負圧を高速に発達させることができる。したがって、エンジンの燃焼室に多くの空気を流入させることができるので、発進時の加速性能が向上し、エンジン始動後のレスポンスを向上させることができる。
さらに、本実施形態によれば、燃料噴射直前に吸気バルブの閉弁時期を遅角させて、バルブリフト量を最小リフト量に設定することによって燃焼室内に充填される空気量を減じることができる。これにより、エンジン始動直後のエンジン出力を抑えられるため、エンジン完爆時にエンジン出力が過大となって始動ショックが発生することを防止できる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
例えば、可変バルブタイミング制御機構50はバルブの作動角を連続的に変更することができる機構だが、段階的に作動角を変更する機構でも適用可能である。また、可変バルブリフト制御機構40は連続的にバルブリフト量を変更することができるが、段階的にバルブリフト量を設定できる機構であっても本発明を適用することができる。
また、吸気バルブの作動角の変更とリフト量の変更はいずれか一方のみでも本発明の目的を達成することができる。なお、本実施形態のように吸気バルブの作動角の変更とリフト量の変更とを併用することによって、効果をさらに増大させることができる。
本発明による始動制御装置を備えるハイブリッドエンジンシステム1を示す図である。 本発明による始動制御装置を備えるエンジンの吸排気システム2を示す図である。 本発明による始動制御装置によって制御される可変バルブリフト制御機構及び可変バルブタイミング制御機構の斜視図である。 本発明による始動制御装置によって制御される可変バルブリフト制御機構の駆動軸方向視図である。 本発明による始動制御装置によって制御される可変バルブリフト制御機構の吸気バルブのリフト量を小さくしたときの最小揺動状態及び最大揺動状態を示す図である。 本発明による始動制御装置によって制御される可変バルブリフト制御機構の吸気バルブのリフト量を大きくしたときの最小揺動状態及び最大揺動状態を示す図である。 本発明による始動制御装置の制御を示すフローチャートである。 本発明による始動制御装置の制御を示すタイムチャートである。 従来の始動制御装置の制御を示すタイムチャートである。
符号の説明
10 エンジン
11 ピストン
12 燃焼室
13 吸気ポート(吸気通路)
14 吸気バルブ
20 燃料噴射弁
21 吸気マニホールド(吸気通路)
22 吸気コレクタ(吸気通路)
24 スロットルバルブ
30 ECU
31 エンジンコントローラ
40 可変バルブリフト制御機構(吸気バルブ可変制御手段)
50 可変バルブタイミング制御機構(吸気バルブ可変制御手段)
61 第1モータ
62 第2モータ
ステップS2,S3,S15,S17 吸気バルブ可変制御手段

Claims (8)

  1. 吸入空気の流量を調整するスロットルバルブを有する吸気通路と、
    前記吸気通路の燃焼室への連通をエンジン回転に同期して開閉する吸気バルブと、
    エンジンクランキング時にスロットルバルブより下流の吸気通路内の負圧発達を通常よりも強め、その後最初の燃料噴射を行って点火するときに燃焼室に充填されている空気量を通常よりも減じるように前記吸気バルブを可変制御する吸気バルブ可変制御手段と、
    を有するエンジン始動制御装置。
  2. 前記吸気バルブ可変制御手段は、吸気バルブの閉弁時期を、始動後の通常運転における閉弁時期よりも進角してスロットルバルブより下流の吸気通路内の負圧発達を強める、
    ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン始動制御装置。
  3. 前記吸気バルブ可変制御手段は、エンジン停止中に吸気バルブの閉弁時期を、始動後の通常運転における閉弁時期よりも進角しておく、
    ことを特徴とする請求項2に記載のエンジン始動制御装置。
  4. 前記吸気バルブ可変制御手段は、吸気バルブのリフト量を、始動後の通常運転におけるリフト量よりも拡大してスロットルバルブより下流の吸気通路内の負圧発達を強める、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置。
  5. 前記吸気バルブ可変制御手段は、エンジン停止中に吸気バルブのリフト量を、始動後の通常運転におけるリフト量よりも拡大しておく、
    ことを特徴とする請求項4に記載のエンジン始動制御装置。
  6. 前記吸気バルブ可変制御手段は、クランキング開始前に吸気バルブのリフト量を、始動後の通常運転におけるリフト量よりも拡大する、
    ことを特徴とする請求項5に記載のエンジン始動制御装置。
  7. 前記吸気バルブ可変制御手段は、吸気バルブの閉弁時期を、クランキング開始後の閉弁時期よりも遅角することによって充填空気量を減じる、
    ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置。
  8. 前記吸気バルブ可変制御手段は、吸気バルブのリフト量を、クランキング開始後のリフト量よりも縮小することによって充填空気量を減じる、
    ことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置。
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