JP2007068543A - 単純反復配列の増幅 - Google Patents

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Abstract

【課題】ゲノムDNAを制限酵素で消化して得られる単純反復配列を含んだ制限断片を選択的に増幅することに基づく、DNAフィンガープリンティング用キットを提供すること。
【解決手段】単純反復配列にオーバーラップまたは直接隣接するその認識ヌクレオチド配列において、またはその近傍において開裂させる制限酵素(ターゲッティング制限酵素という)により生じる末端に適合した一つの末端を有する、二本鎖オリゴヌクレオチドアダプターと、(i)その5’末端における、(a)前記ターゲッティング制限酵素で前記標的DNAを消化し且つ(b)前記二本鎖オリゴヌクレオチドアダプターを前記工程(a)により生じた制限断片の末端にライゲートすることにより生じた制限断片末端の共通配列に適合する配列および(ii)その3’末端における、前記単純反復配列の配列に適合する少なくとも5つのヌクレオチドを含んでなる配列を有する一つのプライマーとを具備するキット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、植物および動物の育種、ヒト、植物および動物における遺伝的同一性テスト、疾病の同定およびスクリーニング、法医学分析、並びに遺伝子の標識付与および単離を含む分野(しかしこれには限定されない)にわたるDNAフィンガープリンティングまたはDNA特徴識別(DNA fingerprinting)の応用およびDNAマーカーの使用に関する。更に詳細には、本発明は、単純反復配列からなる制限断片の選択的増幅に基づくDNA特徴識別(DNA fingerprinting)の汎用法に関する。本発明はまた、異なった応用分野において、本発明の方法に使用される合成DNA分子およびそれに基づく生成物に関する。
DNAフィンガープリンティングにPCRを基本とする方法を使用するによって、微生物型識別、植物および動物の育種、およびヒト遺伝学的テストのような広範で多様な分野において、DNA識別(DNA typing)および遺伝的分析の応用される範囲が急速に拡大してきている。これらの方法によって、DNAの多形性と称される遺伝物質における小さな変化が検出される。現在のDNA識別技術の主たる限界は、研究中の遺伝物質にDNAの多形性が欠けていることに由来する。一般に、DNAの多形性は、ランダム変異、ヌクレオチドの変化または挿入、および欠損の結果であり、これらは各生物学的種の遺伝物質中に蓄積されてきた。ある種においてはランダム変異の頻度が高いようだが、他の種ではこのような変異が起こるのは稀である。その結果、ランダム変異を検出するDNAフィンガープリンティング法は、前者では非常に有益だが後者では有益でない。このように、DNA識別の使用は、後者の種類の生物学的種に厳しく制限されている。この制限を克服するために、高度に可変性のDNAセグメントまたはDNA配列をターゲットとしたDNA識別法が開発されてきた。高度に可変性を示すタイプのDNA配列の一つは、いわゆる単純反復配列(simple sequence repeats)と呼ばれる。これらは、1、2、3または4のヌクレオチドの縦列反復配列(tandemly repeated sequence)からなるDNA配列である。4ヌクレオチドを超える反復ユニットも時々見られる。このような配列は、遺伝物質における縦列反復ユニット数に違いがあり、反復数のこのような違いは、DNA複製間で起こるエラーが高率であることによって生ずるものと思われる。単純反復配列の各反復数は異なった対立遺伝子形(allelic form)を構成するので、単純反復配列に基づくDNAマーカーは、現在利用可能な最も有益なタイプのマーカーである。単純反復配列DNAマーカーを使用する際の制限は2つある。即ち、(a)これらのマーカーの開発は、非常に労力を要し時間のかかるもので、夫々の生物学的種について繰り返す必要がある。また、(b)これらのマーカーの検出は、DNAマーカーが別々のPCR反応で個別的同定される単一の遺伝子座分析システムに制限される。
これらの制約を考慮すると、単純反復配列に基づくマーカーシステムの応用範囲を広げるために、単純反復配列マーカーの検出および単離をより効率的に行うことができるDNA識別法が強く要望されている。
本発明の目的は、効率的で且つ一般的に応用可能なDNAフィンガープリンティング法であって、単純反復配列マーカーを単離する際の労力を要する段階を不要とする方法を提供することであり、このDNAフィンガープリンティング方法は、単一多遺伝子座分析法において多くの単純反復配列マーカーを検出する簡単な方法を提供する。
生物種のゲノム中で単純反復配列を確認する際の主要な問題は、このような配列が一般には極く稀にしか起こならいことにあり、従って、このような配列はランダムDNAフィンガープリンティングにおいても極く稀にしか表れないことにある。本発明において、我々は、DNAにおける単純反復配列(DNAフィンガープリンティング中に表示することができる)を選択的に増幅するための方法を考案した。この方法は、これよりも初期の出願(制限断片を選択的に増幅するDNAフィンガープリンティング法の開発;EP0534858)を基にしている。要するに、ヨーロッパ特許出願EP0534858に記載されている選択的制限断片増幅法は、ゲノムDNAを制限酵素で消化し、合成オリゴヌクレオチド・アダプターを該末端に連結し、「選択的PCRプライマー」を使用して該制限断片の一組を増幅し、該増幅断片を適切なゲルシステム上で分別することから構成される。その選択性の原理は、選択的PCRプライマーのデザインにある。一般に、これらのプライマーは、制限断片の末端にある共通配列と適合する配列と、該共通配列の3’末端に付加された可変数のランダムヌクレオチド(選択的ヌクレオチドと呼ばれる)とから構成される。これらの選択的ヌクレオチドによって、適合した配列のある制限断片のみが増幅されることが確実となる。PCRプライマーがそのターゲットのDNA断片を有効に増幅するためには、3’ヌクレオチドが完全に適合しなければならないので、この選択原理によって、忠実度が非常に高くなる。このことによって、確実に、使用された選択ヌクレオチドに完全に適合した断片のみが増幅される。更に、この選択は、両末端に同時に適用することが実現されることを理解しなければならない。何故なら、PCR反応で指数関数的増幅を達成するためには、両方のDNA鎖がコピーされる必要があるからである。広範な研究によって、この選択的制限断片増幅法は如何なる生物種起源のDNAに対しても効果的に適用することができ、高度な再現性のある詳細なDNAフィンガープリンティングを生じることが示されている。
該選択的制限断片増幅の好ましい手法では、二つの異なる制限酵素を組み合わせて使用する。一つは、稀少配列をターゲットするために働く酵素(稀少切断制限酵素)であり、第二の酵素は、制限断片のサイズを有効に増幅されるサイズ範囲まで減少させるために働く酵素(高頻度切断酵素)である。稀少配列をターゲテイングすることによって、DNA断片の出発混合物の複雑性は基本的に減少し、従ってより信頼性のある正確な増幅を達成することができる。
選択的制限断片増幅のための該DNAフィンガープリンティング法では、二つのタイプのDNAマーカー:即ち、(a)ポイント変異に基づく優性マーカー、(b)挿入または欠損に基づく共優性マーカーが検出される。高率の配列多形を有する種々のDNAsにおいては、選択的制限断片増幅方法により多くの優性マーカーが生成される。これらの優性マーカーは、単一対立形質性である。より近親のDNAsではマーカーバンドはより低い頻度で表れ、その結果、十分なマーカーを得るためには、より多くの特徴識別(フィンガープリント)を行わなくてはならない。更に、共優性のマーカーが検出される頻度は、優先マーカーの検出頻度よりもはるかに低い。単純反復配列は、特殊タイプの共優性マーカーとなる。これらの反復要素は、通常は高度の長さ多形を示す。更に、これら遺伝子の多重対立形質が屡々存在し、これらに対して高度の多形情報容量(PIC)を与える。
本発明の方法は、共優性のマーカーが好ましく生成される、有効かつ通常に使用できるDNAフィンガープリンティング法を提供する。
発明の概要
本発明において、我々は新規なターゲテング原理を開発した。この方法では、選択的に増幅された制限断片が単純反復配列を多く含むように、ターゲテイング制限酵素およびターゲテイング選択性PCRプライマーの組み合せを使用した。単純反復配列とは、1、2、3、4またはそれ以上のヌクレオチドの少なくとも二つの縦列に繰り返される単純反復配列ユニットからなるDNA配列をいう。本発明の原理(図1に示され、概略が図9に示されている)は、その認識配列が選択された単純反復配列とオーバーラップするか、または正確に隣接するように選択されたターゲテイング制限酵素を使用することにある。この方法においては、正確に制限断片の一端にターゲットされた単純反復配列を有する制限断片からなる制限断片の混合物が得られる。適切な二本鎖合成オリゴヌクレオチド(「アダプター」と称する)を、ターゲテイング制限酵素によって生成した端部に連結すると、その末端に共通の配列を有する、一組の制限断片(ターゲットされた単純反復配列が共通配列に隣接している)を含んだ制限断片が得られる。要するに、このプロセスによって、単純反復配列に隣接した二つの可変配列の一つが共通配列と置換される。これによって、ターゲットされた単純反復配列を保持する制限断片を選択的に増幅するように、共通配列および反復配列の一部を含む包括的なPCRプライマーの設計が可能になる。該共通配列はアダプター配列を含み、更に、使用された制限酵素に選択的によっては、任意に認識配列またはその一部および/または切断部位またはその一部を含んでいる。当該プロセスの次のステップは、ターゲテイング酵素によって生じた制限断片のサイズを効率的なPCR増幅に適合するサイズ範囲まで低下するという一般液な目的のために作用する高頻度切断制限酵素で該DNAを切断して、該高頻度切断制限酵素によって生じた末端に適切なアダプターを連結することである。当業者は、このステップがターゲテイング制限酵素が関わる開裂・連結工程と同時に行ない得ることを理解するであろう。該ターゲテイング制限酵素は、ターゲットされる単純反復配列のタイプに基づいて選択される。該第二の酵素の選択は、研究中の標的DNAのタイプ、標的DNAにある第二の酵素の認識部位の推定頻度、およびターゲッテイング酵素と組み合わせて得られる制限断片の推定サイズに依存する。下記工程では、ターゲットされる単純反復配列を保持する制限断片は、下記の一般的なデザインの二つの異なったPCRプライマーを使用して増幅される。即ち、プライマー1は、その5’末端に、第一の制限酵素および適宜なアダプター連結によって生じる制限断片の末端にある共通配列と適合する配列を有し、またその3’末端には、単純反復配列の配列に適合する少なくとも5つのヌクレオチドを有する。プライマー2は、その5´末端に、第二の制限酵素および適切なアダプター連結によって生じた制限断片の末端にある共通配列に適合する配列を有し、またその3’末端には、0、1、2、3、4 またはそれ以上の範囲のランダムに選択されたヌクレオチドを有する。定義された配列に適合した配列は、対応する鎖と同様のヌクレオチド配列を有する配列と称され、或いは定義された配列またはその一部の対立鎖の相補配列と称される。
本発明によって得られるPCR生成物は、標準ゲルマトリックスを用いたゲル電気泳動法等の標準分別法を使用して同定することができる。もし、所定のターゲット酵素によって、単一ゲル上に表示できる制限断片よりも多くの、ターゲットされた反復を含む制限断片が生成されるならば、高頻度切断末端に対する選択的プライマー中に適切な数の選択的ヌクレオチドを使用して、不連続な数の増幅された断片を得ることができる。
本発明による方法は、二つの異なる酵素を使用することに限定されない。1以上のターゲテイング制限酵素を、一以上の高頻度切断制限酵素と組み合わせて使用しることができる。
本発明は、動物、植物またはヒト起源のゲノムDNAを、例えば制限酵素で消化して得られる単純反復配列を含んだ制限断片を選択的に増幅することに基づくDNAフィンガープリンティングの汎用法に関する。この方法は、(a)出発DNAを、単純反復配列にオーバーラップするかまたは隣接する認識配列において、またはその近傍において切断する少なくとも一つの酵素(第一の制限酵素と称す)と、好ましくは4塩基配列において切断する少なくとも一つの酵素(第二の制限酵素と称す)とを含む2以上の異なる消化制限酵素で消化する工程と、(b)異なる二本鎖オリゴヌクレオチドアダプターを、該制限酵素によって生成した断片の両端の各々に連結(ここで該アダプターは、対応する制限酵素によって産生された5’末端と適合する一末端を但持するようにデザインされている)する工程と、(c)下記一般的デザインを有する二つ以上の異なるPCRプライマーを使用して制限断片を選択的に増幅する工程であって:一つのプライマーは、その5‘末端に、第一の制限酵素のアダプターおよびその認識部位の配列に適合する配列、またはその一部を有すると共に、その3’末端には単純反復配列の配列に適合する少なくとも5つのヌクレオチドを有し(プライマー1と称する)、また一つのプライマーは、5‘末端に、第二の制限酵素アダプターの配列およびその認識配列に適合する配列、またはその一部を有すると共に、その3’末端には、0、1、2、3、4またはそれ以上のランダムに選択されたヌクレオチドを有する(プライマー2と称される)ものである工程とを具備する。
好ましくは、ターゲテイング制限酵素の認識配列は、単純反復配列のすぐ隣に位置している。
本発明の好ましい態様において、単純反復配列からなる制限断片の選択的増幅は、選択的プライマーを使用した選択的増幅反応を、選択性をあげながら、すなわち該プライマーの3’末端における選択ヌクレオチドの数を増しながら、連続カスケード反応で実施される。各工程は、単純反復配列を含む制限断片を富化するステップを形成する。
本発明の好ましい態様では、特殊な単純反復配列をターゲットするために使用される制限酵素は、その認識配列が反復配列に最大限にオーバーラップするように選択されるのが好ましい。該認識配列は、少なくとも単純反復配列単位またはその一部を少なくとも一つ含むこと、および該単純反復配列単位とオーバーラップしない少なくとも一つのヌクレオチドからなることが好ましい。最大限オーバーラップすることの論理的根拠は、このようにすれば、研究中のゲノムに存在する反復配列を最大可能な数に増幅できることにある。例えば、制限酵素HinfIは、下記4塩基:(ATTC)n, (AATC)n, (ACTC)n, (AGTC)nをターゲットするために使用できる。各々の場合、HinfI認識配列GANTC5ヌクレオチドのうち4つが、ただ一つの非オーバーラップヌクレオチドを除いて、該反復をオーバーラップする。このターゲテイング酵素によって、すべての起こりうる反復の25%(1/4)を増幅できる。別の例には、3塩基リピート(AAC)nをターゲットする制限酵素MaeIIIが包含される。この場合、MaeIII認識部位GTNACの5つのヌクレオチドのうち3つのみが、2つの隣接する非オーバーラップヌクレオチドを残して、該反復配列とオーバーラップする。この酵素は、存在する16の(AAC)n反復、つまり、ジヌクレオチドGTに隣接した反復のわずか一つのみをターゲットする。3つの非オーバーラップヌクレオチドの場合、ターゲットされた反復の数は64のうちわずか一つである。図2には、2、3および4塩基の異なる反復をターゲットするために使用され得る好ましい制限酵素が掲載されている。
ターゲット制限酵素は、タイプ1またはタイプ2の制限酵素のグループから選択され得る。タイプ1の制限酵素は、核酸の鎖を認識配列内で切断するパリンドローム制限酵素である。図10に概略を示すが、そこでは、XbaIが、タイプ1の制限酵素の例としてあげられている。
本発明のより好ましい態様では、ターゲテイング制限酵素は、タイプ2の制限酵素グループに属す。タイプ2の制限酵素は、認識配列の外にある核酸の鎖を切断する非パリンドローム制限酵素である。タイプ2の制限酵素を使用すると、単純反復配列が付加的に選択される。該付加的選択は、その一端に、一つ以上の単純反復配列単位またはその一部の配列に適合した配列を有する一本鎖伸長物を但持したオリグヌクレオチド・アダプターを使用することにより得られる。該オリゴヌクレオチド・アダプターの一本鎖伸長物に対して相補的な一本鎖伸長物を持つ制限断片のみが、該アダプターに連結される。図式的な図11に示されている。図11では、 タイプ2の制限酵素の例としてBsmAIが挙げられている。下記工程では、これらの制限断片は、下記の一般的デザインを有する二つの異なったPCRプライマーを使用して選択的に増幅される。即ち、プライマー1は、5‘末端に、第一の制限酵素のアダプターの配列に適合した配列を有し、その後に第一の制限酵素の認識部位またはその一部の配列に適合した配列が続き、そして伸長物に適合する配列が続き、3’末端には、単純反復配列の配列に適合する少なくとも5つのヌクレオチドを但持する。また、プライマー2は、5‘末端に、第二の制限酵素のアダプターの配列およびその認識配列に適合する配列を有し、その3’末端には、0、1、2、3、4 またはそれ以上のランダムに選択されたヌクレオチドを有する。
プライマー1の5’末端にある選択ヌクレオチドの配列は、単純反復配列の配列またはその配列の一部と同じ位相である配列を有し、かつ第一の制限酵素の認識部位中に存在する配列を有する少なくとも一つの単純反復配列単位またはその一部を含んでいる。
複数組の単純反復配列のフィンガープリンティングが、固定されたターゲテイングプライマー(プライマー1)と組み合わせた高頻度切断プライマー(プライマー2)のパネルを使用した本発明の方法によって得ることができる。
本発明の好ましい態様では、消化および連結工程が一工程で実施される。両末端にアダプターが連結された制限断片を得るために、アダプターは一端が該制限断片の両末端の何れにも連結できるように、また連結後、該制限酵素の認識部位が基に戻らないようにデザインされている。
出発DNAは、植物、動物、ヒト等の真核生物起源のゲノムDNAまたはその断片でもよい。
本発明の方法では、一つの遺伝子座の多数の対立形質の検出が可能である。更に本発明の方法では、一分析で、多数の遺伝子座の検出が可能である。
本発明は更に、該発明の方法を応用したキットに関する。該キットは、上記の制限酵素、二本鎖合成オリゴヌクレオチド配列および本発明による選択プライマーを具備する。本発明の手法によって得られた増幅された断片は、ゲル上で分別されて、DNAフィンガープリンティングが得られる。
下記実施例および図は本発明を例示するものであるが、本願はこれらの実施例には限定されない。
実施例1:(TC)nモチ―フの制限酵素BasmIによるターゲテング
<序論>
BsmAIは、配列GTCTCn nnnn を認識する。(TC)n繰り返し(モチーフまたは反復モチーフと称される)のために、この特殊型認識配列GTCTCt ctct がターゲットされた。この実施例では、実施例2および3のように、認識配列の外側で切断する制限酵素が使用される。これによってオーバーハングが形成され、特異的なアダプター配列を使用することによる連結中の選択が可能となる。ここでは、連結反応中に(TC)nモチーフを選択することを可能とするアダプターが使用される。該方法は、更に図11に説明される。
A)DNAの単離および修飾
テンプレート調製物の最初の段階では、DNAを稀少切断制限酵素および高頻度カッターとしてのMseI(T/TAA)によってDNAの制限を行う。反復モチーフをターゲットするためには一般に、両酵素が良く働きまたその後の連結反応にも適する緩衝液を使用する。該DNAは、37℃で最低1時間で制限される。高品質のAFLPフィンガープリンティングを行うためには、DNA断片の殆どは、<500bpとすべきである。 MseI(TTAA)は、殆どの植物および動物種で小さなDNA断片を与える。このように、DNAを、その後のポリメラーゼ・チェイン反応(PCR)で十分増幅できるサイズまで切り整えられる。
実施例1では、CEPH(ヒト多形性研究所、パリ、フランス)から入手されたヒト族1423起源のDNA上で、該方法がテストされた。最初に、ヒトDNAが、二つの酵素:BsmAI(単純反復配列モチーフの境界をターゲットする)およびMseIの組み合せで、切断された。DNAを制限するための反応条件は
0.5 μグラムDNA
5単位BsmAI(稀少カッター、ニューイングランド、バイオラボ)
10mM Tris.HAc pH7.5
10 mM MgAc
50 mM Kac
5 mM DTT
50 ng/μlBSA
全量で40μリットル
制限反応は、BsmAIにとって至適な温度55℃の温度で開始された。1時間後、5単位のMseI(ニューイングランド、バイオラボ)を添加し、インキュベーションを37℃で更に一時間続けた。
DNAの制限を行った後、二つのアダプターが制限断片に連結される。MseIアダプターは下記構造を有している。
5 - GACGATGAGTCCTGAG - 3
3 - TACTCAGGACTCAT - 5
MseIアダプターのデザインおよび使用については、既にヨーロッパ特許出願EP0534858で記載されている。本実施例および次の一連の実施例に使用されるすべての稀少切断アダプターは、EP0534858に記載されるように同一重量モル濃度のオリゴヌクレオチドを使用して調製される。
BsmAIアダプターは、下記デザインを持つ。
5 - ビオチン - CTCGTAGACTGCGTACC - 3
3 - TCTGACGCATGGGAGA - 5
このBsmAIアダプターは、配列5―AGAGから始まるボトム鎖を含む。このデザインによって、アダプターは、BsmAI断片:5―CTCTのオーバーハングとして存在する4ヌクレオチド(NNNN)の配列の256の起こりうる順列のうちの1つにのみ連結され得る。この配列は、該タイプ(CT)の二つの反復モチーフを含む。
アダプターは、連結後、制限部位が元に戻らないようにデザインされている。連結反応の間、制限酵素は依然活性を持つ。このように、断片コンカテマーが制限されているので、断片対断片の連結は抑制される。アダプターはりん酸化されていないのでアダプター対アダプター連結は不可能である。
アダプターの連結は、ヨーロッパ特許出願EP0534858に記載されている様に行われた。次に、ビオチン化された断片を非ビオチン化された断片から記載(ヨーロッパ特許出願EP0534858)のように分離してテンプレート分子を精製した。
B)反復モチーフ境界を含むテンプレート分子の増幅
該DNAを修飾した後、テンプレートDNAの調製、二段階の増幅を行ない、単純反復配列モチーフをターゲットした。選択的制限断片増幅反応(AFLP反応とも称される)において、3’伸長部によるAFLPプライマーの選択性は、3選択ヌクレオチド長までは一般的に良好である。より長い伸長部を使用するときは、選択的増幅は連続工程で行うことが好ましい。各工程では、伸長部での3ヌクレオチド以下がテンプレートDNA混合物からのサブセットに対して選択的でなくてはならない。このように、各工程で良好な選択性が保証される。単純反復配列モチーフのターゲテイングには、少なくとも5選択的ヌクレオチドを持つ伸長部を使用することが不可欠である。工程1では、最大数3つの選択的ヌクレオチドが使用される(プレ増幅)。最終増幅では、該伸長部が反復モチーフをターゲットとするのに必要な全5またはそれ以上の選択的ヌクレオチドを含む。この手法を変更して、シークエンス・ゲル上で良好に解像することができる断片数で、フィンガープリンティングを得るために必要な全伸長ヌクレオチド数によっては、任意の工程で、伸長部に使用される選択的ヌクレオチドは少なくてもよい。
プレ増幅工程の後、プレ増幅されたテンプレート混合物がテンプレートとして使用され、単純反復配列モチーフを特定する6ヌクレオチドによる特異的伸長を、AFLPプライマーの一つに使用して、AFLP反応が行われた。これらの実施例においてその他のAFLPプライマーとして、標準MseIプライマーが使用された。この実施例では、(CT)nモチーフの稀少切断酵素であるBsmAIによるターゲテングについての方法が記載されている。他の配列モチーフは夫々、制限酵素、アダプター配列およびプライマー独自の組み合せによってターゲットされる。
該二つの連続PCR反応は、下記のように行なわれた。
下記成分を含む50μlの反応混合物を会合させた。
5μlビオチン化されたテンプレート再懸濁物
30ng 無標識BsmAIプライマー1a
30ng 無標識MseIプライマー2a
0.8 mM dNTPs
1.5 mM MgCl2
50 mM KCl
10 mM Tris-Cl pH=8.3
0.4 U Tag ポリメラーゼ(パーキンエルマー)
PCRの条件は、次の通りである。
パーキンエルマー9600熱サイクラーのサイクル概要:
30秒94℃変性
30秒65℃アニーリング サイクル1
60秒72℃伸長
低アニーリング (12サイクル)
各サイクルの温度は、0.7℃ サイクル2―13
30秒94℃変性
30秒56℃アニーリング サイクル14―36
60秒72℃伸長
二段階AFLP反応における第二の工程は、AFLP反応は最初の工程と同様のサイクル条件で行う。第一の増幅工程の反応混合物から小部分を取り、第二の増幅工程の出発物質として使用する。この目的のために、第一の増幅生成物は、T0.1E中で20倍に希釈され、各AFLP反応用に5μlが取り出される。第二の増幅ステップのための該反応混合物は下記成分を含む。
5μlの20倍希釈のプレ増幅混合物
5ng 33 P放射性標識BsmAIプライマー1b
30 ng 無標識MseIプライマー2b
0.8mM dNTPs
1.5 mMMgCl
50mM KCl
10 mM Tris-Cl, pH=8.3
0.4 U Taqポリメラーゼ(パーキンエルマー)
プライマーの標識付けは、記載(ヨーロッパ特許出願EP534857)のように実施された。
本実施例に使用されたプライマーは次の通りである:
工程1 BsmAIプライマー1a: 5-GACTGCGTACCCTCTCTC
このプライマーは、全部で3つの選択的ヌクレオチド(+3とも表記される)を含む。下記プライマーにおいては、伸長部の長さについてのこの短縮表記を使用する。
工程2
プライマーの組み合せ1(PC1)
BsmAIプライマー1b:
5 - 33P - GACTGCGTACCCTCTCTCTCT (+6)
MseI プライマー2b: 5 - GATGAGTCCTGAGTAATCT (+3)
プライマーの組み合せ2(PC2)
BsmAIプライマー1b:
5 - 33P - GACTGCGTACCCTCTCTCTCT (+6)
MseI プライマー2b: 5 - GATGAGTCCTGAGTAATCA (+3)
C) 増幅生成物の分析
第二の増幅反応からの放射性標識を施した生成物は、ヨーロッパ特許出願EP0534858に記載の様に分析された。該反応の生成物は、図3に表示される。
実施例2(CTT)nモチーフの制限酵素EarIによるターゲテイング
制限酵素EarIは、CTCTTCn nnn の配列を認識する。(CTT)モチーフをターゲテングするためには、特殊フォームの認識配列、CTCTTCT tct がターゲットされる。この実施例では、実施例1におけるように、その認識部位の外側を切断する制限酵素が使用される。これによって、オーバーハングが産生され、このオーバーハングは、連結の際に、特異的アダプター配列を使用するという選択を可能にする。この方法は、更に図11に説明される。(CTT)nモチーフをターゲテイングする場合、稀少切断酵素、アダプター配列およびプライマー配列に対応する要素は、実施例2では、ここに記載した配列と置き換えられなくてはならない。
A)DNAの単離およ修飾
本実施例のために、我々は、4つの種のわからない胡椒の育種系からDNAを単離した。DNAは、スチュアートおよびビア(1993)、バイオテクニク 14、748―750に記載のCTAB手法を使用して単離された。DNAsは、酵素EarIによる切断を37℃で行い、DNAがEarIおよびMseIによって共消化された以外は、実施例1に記載されたように制限、修飾された。テンプレートが実施例1に記載のように調製増幅された。これには、EarI制限酵素によって産生された3’- AGAオーバーハングに対する特殊なアダプターが必要とされた。
(TTC)nモチーフをターゲテングするEarIアダプターは、下記のデザインを有する。
5 - ビオチン - CTCGTAGACTGCCTACC
TCTGACGCATGGAGA - 5
なお、このEarIアダプターは、特に配列5’-TCTにターゲットされるボトム鎖を含む。
B) テンプレートDNAの増幅
続く増幅反応には、下記のプライマーが使用される。
工程1
EarI プライマー1a: 5 - GACTGCGTACCTCTTC (+2)
MseI プライマー2a: 5- GATGAGTCCTGAGTAAA (+1)
工程2
EarI プライマー1a: 5 - 33PGACTGCGTACCTCTTCTTC (+5)
MseI プライマー2a: 5- GATGAGTCCTGAGTAAATT (+3)
生成物の増幅が実施例1に記載のように行われた。
C)増幅生成物の分析
増幅生成物の分析は、フジックス(Fujix)BAS2000ホスホアイメージャー(phosphorimager)を使用してゲル像を得る以外は上記記載の通りであった。結果を図4に示す。
実施例3(CCTT)nモチーフの制限酵素EarIによるターゲテイング
制限酵素EarIは、CTCTTC nnn の配列を認識する。ターゲテング(CCTT)nモチーフをターゲテイングするため、この認識配列の特殊フォーム、CTCTTTCc ttcがターゲットされる。これは、その認識部位の外側を切断する制限酵素の第3の例である。これによって、オーバーハングが産生され、連結の際に特異的アダプター配列の選択が可能となる。この方法は、更に図11に説明される。稀少切断酵素、アダプター配列およびプライマー配列に対応する図11の要素は、実施例3では、ここに記載した配列と置き換えられなくてはならない。
A)DNAの単離および修飾
本実施例では、我々は、ヒトDNAsおよび品種のわからないチキン起源のDNAを分析した。ヒトDNAsは、CEPHから得られ、元々は下記個人に由来する:142403、142303、141303および88403(図5、パネル1、レーン1から4)。チキン血液由来のDNAsは、10μlの凍結血液を使用し、マニアチスら(1982)による記載の手法に従って単離された。チキンのDNAsによって得られたパターンはレーン1から4、パネルIIに表示される。
(TTCC)nモチーフをターゲテイングする場合、EarI制限断片にある配列5’―TTCをターゲットするように、ボトム鎖が特異的にデザインされている。
(TTCC)nモチーフをターゲットするためのEarIアダプターは下記のデザインを有する。
5 - ビオチン - CTCGTAGACTGCGTACC
TCTGACGCATGGAAG - 5
該DNAsの修飾は、実施例2に記載のように行われた。
B)テンプレートDNAの増幅
生成物の増幅は、下記のプライマーを使用して行われた。
工程1
EarI プライマー1a: 5 - GACTGCGTACCTTCCT (+2)
MseI プライマー2a: 5- GATGAGTCCTGAGTAAA (+1)
工程2
EarI プライマー1a: 5 - 33PGACTGCGTACCTTCCTTCC (+5)
MseI プライマー2a: 5- GATGAGTCCTGAGTAAATT (+3)
生成物の増幅が実施例1に記載のように行われた。
C)増幅された生成物の分析
増幅生成物の分析は、フジックス(Fujix)BAS2000ホスホアイメージャーを使用してゲル像を得る以外は上記記載の通りであった。その結果を図5に示した。
実施例4(TAAA)nモチーフの制限酵素DraIによるターゲテイング
制限酵素DraIは、TTT AAA の配列を認識する。本実施例では、平滑末端断片を生成する稀少切断制限酵素が使用される。この方法は、図1に一般的に説明される。(TAAA)nモチーフをターゲテイングする場合、図1に記載の稀少切断酵素、アダプター配列およびプライマー配列は、実施例4に記載された配列と置き換えられなくてはならない。
CEPH(ヒト多形性研究所、パリ、フランス)から入手されたヒト族884(個人1―16)起源のDNAについて該方法がテストされた。
A) DNAの修飾
DNAの修飾が、実施例2に記載のように行われた。
DraIアダプターは、下記のデザインを持つ
5'- ビオチン - CTCGTAGACTGCGTACA
CATCTGACGCATGT - 5'
なお、DraIは、平滑末端を産生し、よって平滑末端のアダプターを必要とする。連結に続いて、ビオチン化されたテンプレートの分子が実施例1に記載のように精製される。
B) テンプレートDNAの増幅
増幅は、下記のプライマーを使用して行われた。
工程1
DraIプライマー1a: 5 -GTAGACTGCGTACAAAATAA (+3)
MseIプライマー2a: 5- GATGAGTCCTGAGTAATA (+2)
工程2
DraIプライマー1b:5 -33P- GTAGACTGCGTACAAAATAAATA (+6)
MseI プライマー2b:5 - GATGAGTCCTGAGTAATATC (+4)
生成物の増幅が実施例1に記載のように行われた。
C)増幅生成物の分析
第二の増幅反応起源の放射標識された生成物はヨーロッパ特許出願EP0534858に記載されたように分析された。反応生成物は図6に表示されている。
実施例5(TG)nモチーフの制限酵素NLAIIIによるターゲテイング
制限酵素NlAIIIは、CATG の配列を認識する。本実施例では、付着末端の断片を産生する制限酵素が使用される。この方法は、図10に詳しく説明されている。(TG)nモチーフをターゲテイングする場合、図10に記載の、稀少切断酵素、アダプター配列およびプライマー配列に対応する要素は、実施例5に記載された配列と置き換えられなくてはならない。
該方法は、品種のわからない系のキュウリ起源のDNAについてテストされた。DNAは、実施例1に記載のように単離された。
A)DNAの修飾
DNAの修飾が、実施例2に記載のように行われた。
NlaIIIアダプターは、下記のデザインを持つ
5 - ビオチン - CTCGTAGACTGCGTACCCATG
TCTGACGCATGG - 5
テンプレート分子は、実施例1に記載のように精製された。
B)テンプレートDNAの増幅
増幅は下記のプライマーを使用して行われた.
工程1
Nla III プライマー 1a: 5 - CTGCGTACCCATGTGT (+3)
MseIプライマー2a: 5- GATGAGTCCTGAGTAAA (+1)
工程2
Nla IIIプライマー1b: 5 -33P- GCGTACCCATGTGTGTG +6)
MseI プライマー2b:5 - GATGAGTCCTGAGTAAATT (+3)
生成物の増幅が実施例1に記載のように行われた。
C) 増幅生成物の分析
増幅生成物の分析は、フジックス(Fujix)BAS2000ホスホアイメージャーを使用してゲル像を得る以外は上記記載の通りである。結果を図7に示す。
実施例6(TAGA)nモチーフの制限酵素のXbaIによるターゲテイング
制限酵素XbaIは、TCTAG A の配列を認識する。本実施例では、付着末端の断片を産生する制限酵素が使用される。この方法は、図10に詳しく説明されている。
該方法は、品種のわからないキュウリの系起源のDNAについてテストされた。DNAは、実施例2に記載のように単離された。
A)DNAの修飾
DNAの修飾が、実施例2に記載のように行われた。
XbaIアダプターは、下記のデザインを持つ
5 - ビオチン - CTCGTAGACTGCTAGATA
TCTGACGCATGTGATC - 5
テンプレート分子は、実施例1に記載のように精製された。
B)テンプレートDNAの増幅
増幅は下記のプライマーを使用して行われた.
工程1
XbaI プライマー 1a: 5 - CTGCGTACACATGATA (+2)
MseIプライマー2a: 5- GATGAGTCCTGAGTAA (+0)
工程2
XbaIプライマー1b: 5 -33P- GCGTACACTAGATAGAT (+6)
MseI プライマー2b:5 - GATGAGTCCTGAGTAACT (+2)
生成物の増幅が実施例1に記載のように行われた。
C)増幅生成物の分析
増幅生成物の分析は、フジックス(Fujix)BAS2000ホスホアイメージャーを使用してゲル像を得る以外は実施例1記載の通りである。結果を図8に示す。図8は、左に示した60から90ヌクレオチドの範囲の生成物を含む像の断面を示す。像には、12の品種のわからないトマト改良品種系起源のフィンガープリンティング・パターンを持つ12レーンがある。同様のパターンは別のトマト品種改良系でも得られる。
図1は、単純反復配列を含む制限断片の選択的増幅の一般的概念の大要を図示している。文字は下記を示す。
X: 0、1、2または3ヌクレオチドの任意配列
Y: 任意ヌクレオチド
XY: 1、2、3または4ヌクレオチドの単純反復配列
[XY]n n回反復ユニットからなる単純反復配列
X’Y’: XYと相補的配列
T: 非オーバーラップヌクレオチド
TX: ターゲット制限部位配列
T’X’: TXの相補的配列
FF: 高頻度切断制限部位配列
F’F’: FFと相補的な配列
AAAAA: 切断されたTX部位と連結される合成アダプタ配列
BBBBB: 切断されたFF部位と連結される合成アダプタ配列
AAAAAT[XY]n 制限断片の選択的増幅のために使用された
特異的PCRプライマーの一般的デザイン
図2−1は、単純反復配列をターゲテイングするための好ましい制限酵素の例を示している。該単純反復配列もしくは該反復の一部またはその相補的配列は、その認識部位に下線を施してある。制限酵素開裂部位は矢印で示してある。 図2−2は、単純反復配列をターゲテイングするための好ましい制限酵素の例を示している。該単純反復配列もしくは該反復の一部またはその相補的配列は、その認識部位に下線を施してある。制限酵素開裂部位は矢印で示してある。 図2−3は、単純反復配列をターゲテイングするための好ましい制限酵素の例を示している。該単純反復配列もしくは該反復の一部またはその相補的配列は、その認識部位に下線を施してある。制限酵素開裂部位は矢印で示してある。 図2−4は、単純反復配列をターゲテイングするための好ましい制限酵素の例を示している。該単純反復配列もしくは該反復の一部またはその相補的配列は、その認識部位に下線を施してある。制限酵素開裂部位は矢印で示してある。 図3は、(TC)n繰り返しの制限酵素BsmAIを用いたターゲテイングを図示している。標準4.5%のポリアクリルアミド・ゲル上で分析された電気泳動図を図に示す。図には、二つのパネル(PC1およびPC2)が含まれ、これには、BsmAI+6プライマーを、3’伸長部―TCT(パネル1)または3’伸長部―TCA(パネルII)を含むMseIプライマー+3との組み合わせによって増幅した生成物が含まれる。これらのパネルで分析したDNAsは、CEPH族1423、1〜15メンバー起源である。生成物の大きさは、図の左余白に示したように、60ヌクレオチドから500ヌクレオチドにわたる。矢印は、マーカーを含む共優性単純反復配列の明らかな例を示している。 図4は、(CTT)n繰り返しの、制限酵素EarIによるターゲテングを図示している。図には、図の左余白に示される250ヌクレオチド〜320ヌクレオチドの範囲の生成物を含む像の断面図が示される。4つのレーン(1から4)は、4つの独立した育種系の胡椒由来のDNAを使用して産生された特徴識別パターンを示す。他の栽培変種についても同様のパターンが得られよう。 図5は、(CCTT)n繰り返しの制限酵素EarIによるターゲテングを図示している。図には、左余白に示される180ヌクレオチドから270ヌクレオチドの範囲での生成物を含む像の断面図が示される。該像には2つのパネル(IおよびII、像の上に示す)が含まれ、夫々は4つのレーンを含む。パネルIでは、ヒトCEPH族(142403、142303、141303、88403、夫々、1、2、3、4レーンに示す)由来の4固体起源のDNAsが分析された。パネルIIには、チキン育種系(レーン1から4)由来の4つの異なるチキン由来のパターンが含まれる。同様のパターンは、他のチキン育種系でも得られよう。 図6は、制限酵素DraIによる(TAAA)n繰り返しのターゲテイングを図示している。図には、標準4.5%ポリアクリルアミド・ゲル上で分析された電気泳動図が示される。図には、像の左余白に示される350から500ヌクレオチドの範囲での生成物による特徴識別が含まれる。この像において分析されたDNAsは、CEPH族884、1〜16メンバー起源であった。矢印は、マーカーを含む共優性単純反復配列の例を指す。 図7は、制限酵素NlaIIIによる(TG)n繰り返しのターゲテイングを図示している。図には、左余白に示される60ヌクレオチドから110ヌクレオチドの範囲での生成物を含む像の断面が示される。該像には、種別のはっきり分からない8キュウリ育種系由来のフィンガープリンティングパターンを有する8レーンが含まれる。同様のパターンは、他のキュウリ育種系でも得られよう。 図8は、制限酵素XbaIによる(TAGA)n繰り返しのターゲテイングを説明している。図には、左余白に示される60ヌクレオチドから90ヌクレオチドの範囲での生成物を含む像の断面が示される。該像には、種別のはっきりしない12トマト育種系由来のフィンガープリンティングパターンを有する12レーンが含まれる。同様のパターンは、他のトマト育種系でも得られよう。 図9には、単純反復配列を含む制限断片の選択的増幅の概略的アウトラインが提供されている。陰を付したボックスはアダプターおよびターゲッテイング制限酵素の認識部位の部分を表し、黒塗りボックスはアダプターおよび高頻度切断制限酵素の認識部位を表し、中空ボックスは単純反復配列ユニットを示し、線は単純反復配列をフランキングする核酸配列を示す。長い矢は、適合および非適合の選択的プライマー1および、短い矢は適合および非適合の選択的プライマー2を示す。両プライマーがその断片の末端と適合する制限断片のみが、指数級数的に増幅する。 図10は、ターゲテイング酵素としてXbaI等のタイプ1の制限酵素を使用し、MseI等の高頻度切断酵素を使用した、単純反復配列を含む制限断片の選択的増幅の概要を図示している。該ターゲットされた単純反復配列は、(TAGA)nであり、この反復のターゲテイングは、小さなミシン目線囲みで描かれている。選択的増幅は2段階で行われる。 図11は、ターゲテイング酵素としてBsmAI等のタイプ2の制限酵素を使用し、MseI等の高頻度切断酵素を使用した、単純反復配列を含む制限断片の選択的増幅の概要を図示している。該ターゲットされた単純反復配列は、(TC)nであり、この反復のターゲテイングは、小さなミシン目線囲みで描かれている。選択的増幅は2段階で行われる。

Claims (5)

  1. 標的DNAからの単純反復配列を含んでなる少なくとも一つの制限断片を増幅するためのキットであって:少なくとも、
    ・前記単純反復配列にオーバーラップまたは直接隣接するその認識ヌクレオチド配列において、またはその近傍において開裂させる制限酵素(ターゲッティング制限酵素という)により生じる末端に適合した一つの末端を有する、二本鎖オリゴヌクレオチドアダプターと、
    ・下記の配列(i)および(ii)を含んでなる配列を有する一つのプライマーと
    (i)その5’末端における、(a)前記ターゲッティング制限酵素で前記標的DNAを消化し、且つ(b)前記二本鎖オリゴヌクレオチドアダプターを前記工程(a)により生じた制限断片の末端にライゲートすることにより生じた、制限断片末端の共通配列に適合する配列;および
    (ii)その3’末端における、前記単純反復配列の配列に適合する少なくとも5つのヌクレオチド
    を具備するキット。
  2. 標的DNAからの単純反復配列を含んでなる少なくとも一つの制限断片を増幅するためのキットであって:少なくとも、
    ・二以上の制限酵素であって、少なくとも一つの制限酵素は、前記単純反復配列にオーバーラップまたは直接隣接するその認識ヌクレオチド配列において、またはその近傍において開裂させる制限酵素(ターゲッティング制限酵素という)であり、また少なくとも一つは高頻度切断制限酵素である二以上の制限酵素と;
    ・対応する前記制限酵素により生じる末端に適合する一つの末端を有する、少なくとも二つの異なる二本鎖オリゴヌクレオチドアダプターと;
    ・下記の配列(i)および(ii)を含んでなる配列を有する少なくとも一つのプライマーと;
    (i)その5’末端における、(a)前記ターゲッティング制限酵素で前記標的DNAを消化し、且つ(b)前記二本鎖オリゴヌクレオチドアダプターを前記工程(a)により生じた制限断片の末端にライゲートすることにより生じた、前記ターゲッティング制限酵素で生じた制限断片末端の共通配列に適合する配列;および
    (ii)その3’末端における、前記単純反復配列の配列に適合する少なくとも5つのヌクレオチド
    ・前記高頻度切断制限酵素に対応する前記アダプターの配列に適合する5’末端の配列、前記高頻度切断制限酵素の認識配列またはその一部、およびその3’末端のランダムに選択された0〜4のヌクレオチドを有する、少なくとも一つのプライマーと
    を具備するキット。
  3. 遺伝学的分析のための、請求項1または2に記載の診断キット。
  4. 法医学分析のための、請求項1または2に記載の診断キット。
  5. 動物または植物における遺伝子的特質の遺伝を検出するための、請求項1または2に記載の診断キット。
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