JP2007063506A - 熱可塑性樹脂組成物、及び成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 機械的物性、特に耐衝撃性、成形加工性、及びリサイクル性に優れた熱可塑性樹脂組成物、及びその成形品を提供する。
【解決手段】 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリエチレンテレフタレートと、ポリエチレンと、エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント及びビニル系重合体セグメントを有する多相構造型のグラフト共重合体とから構成される熱可塑性樹脂組成物であって、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの質量比率(分率)が50〜99/50〜1の範囲であり、かつグラフト共重合体の含有量がポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの総量100質量部に対して1〜50質量部である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、機械的物性、特に耐衝撃性、成形加工性、及びリサイクル性に優れた熱可塑性樹脂組成物、及び成形品に関する。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂は、機械特性、耐薬品性、耐熱性等に優れるため、繊維、包装用フィルム、食品用ボトル、医療用容器等の幅広い分野で使用されている。特に清涼飲料、醤油、酒類用等に使用されているペットボトルは安価で機械特性が優れているため、近年大幅にその使用が増加している。
しかし、このポリエステル樹脂は、一般に容易に加水分解して分子量と粘度が低下するため、成形加工が困難となったり、得られた成形品の機械的物性が悪いといった欠点がある。
また、ポリオレフィンをポリエステル樹脂にブレンドすることにより、成形加工性や耐衝撃性を改善する方法は知られているが、ポリエステル樹脂とポリオレフィンとは相溶性が低いために単純にブレンドするだけでは機械的物性や耐衝撃性の改善は不十分なものとなるという欠点もある。
これらの欠点を克服する方法として、エチレン・メタクリル酸グリシジル共重合体、及びエチレンと炭素数3以上のα−オレフィン共重合体を添加する方法(特許文献1参照)や、エチレン・メタクリル酸グリシジル共重合体、及び共役ジエンの水添重合体もしくは共役ジエンと芳香族ビニル炭化水素との水添重合体の少なくともいずれかを添加する方法(特許文献2参照)や、エチレン及び不飽和グリシジル基含有単量体からなるエチレン系共重合体とビニル系重合体とから構成される多相構造熱可塑性樹脂、及びエチレン系ゴムやスチレン系エラストマーなどのゴム系成分を添加する方法(特許文献3参照)が提案されている。
特開昭58−17148号公報(第4〜5頁) 特開昭62−34951号公報(第4頁) 特開平2−166140号公報(第8〜9頁)
しかしながら、前記従来の方法ではいずれも高い耐衝撃性は得られるが、特許文献1に記載の方法では耐熱性が低下し、成形品の表面光沢も悪化するといった問題があり、特許文献2に記載の方法では耐熱性の面で十分でないといった問題があり、特許文献3に記載の方法ではゴム成分の添加によって流動性が低下してしまうため、加工方法によっては成形加工できない,といった問題があった。
また、1997年に容器包装リサイクル法が実施され、ペットボトルに代表される樹脂のリサイクル化が推進されており、リサイクル樹脂の活用は社会的に大変重要であるが、これまで開示されてきたポリエチレンテレフタレートを主体とする樹脂組成物では熱履歴による機械的物性の低下が著しい、即ちリサイクル化に適してはいないという問題があった。
そこで、本発明は上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、機械的物性、特に耐衝撃性、成形加工性、及びリサイクル性に優れた熱可塑性樹脂組成物、及びその成形品を提供することである。
本発明の第1の発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリエチレンテレフタレートと、ポリエチレンと、エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント及びビニル系重合体セグメントを有する多相構造型のグラフト共重合体とから構成され、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの質量比率(分率)が50〜99/50〜1の範囲であり、かつグラフト共重合体の含有量がポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの総量100質量部に対して1〜50質量部である熱可塑性樹脂組成物である。
本発明の第2の発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリエチレンテレフタレートの一部又は全部が再生材料であることを特徴とする第1の発明の熱可塑性樹脂組成物である。
本発明の第3の発明の成形品は、第1〜2の発明のいずれかの熱可塑性樹脂組成物を加熱成形することにより得られる成形品である。
本発明の第1の発明の熱可塑性樹脂組成物は、機械的物性、特に耐衝撃性、成形加工性、及びリサイクル性に優れた成形体とすることができる。
本発明の第2の発明の熱可塑性樹脂組成物は、前述の第1の発明の効果の中でリサイクル性が特に優れている。即ち、熱履歴による機械的物性の低下が非常に少ないので、原料としてのポリエチレンテレフタレートの一部又は全部にリサイクル品を用いて加熱成形しても優れた成形品とすることができる。
本発明の第3の発明の成形体は、機械的物性、特に耐衝撃性、成形加工性、及びリサイクル性に優れた成形体である。
本発明の第1の発明である熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分について順次詳細に説明する。
本発明にて用いられるポリエチレンテレフタレートとしては、従来公知のポリエチレンテレフタレートの全てが使用可能である。即ち、成形加工等の熱履歴を受けていない通常のポリエチレンテレフタレート(以下V−PETと略記する)も、リサイクル樹脂として回収された再生材料であるポリエチレンテレフタレート(以下R−PETと略記する)も使用可能である。これらのV−PETとR−PETとを組み合わせて使用する場合には環境性と経済性の点からR−PETを多用することが好ましく、例えば10%以上、好ましくは30%以上の割合で用いることが好ましい。なお、本発明の第2の発明は、このR−PETを用いる場合である。
R−PETの形状は特に制限は無く、例えばフレーク状、ペレット状の形状として使用できる。市販品のR−PETとしては、ウイズウエイストジャパン社、東京ペットボトルリサイクル社、或いは西日本ペットボトルリサイクル社等で再生処理されたR−PETがある。
このポリエチレンテレフタレートの分子量は、特に制限されないが、重量平均分子量で1,000〜100万、好ましくは5,000〜50万である。この分子量が1,000未満の場合、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性及び機械的強度が低下するため好ましくない。一方、分子量が100万を越える場合、熱可塑性樹脂の成形加工性が低下するため好ましくない。
また、ポリエチレンテレフタレートの極限粘度は、オルトクロロフェノールを溶媒として温度35℃にて測定したとき0.1〜2.5dl/g、好ましくは0.3〜2.0dl/gである。この極限粘度が0.1dl/g未満の場合、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下するため好ましくない。一方、極限粘度が2.5dl/gを越える場合、ポリエステル系樹脂の耐熱性及び機械的強度が低下するため好ましくない。
本発明にて用いられるポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が使用可能である。更に詳しくは、ポリエチレン、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体が使用に好ましい。
このポリエチレンのメルトフローレート(MFR)又はメルトインデクス(MI)は、好ましくは1〜200g/10min、より好ましくは3〜100g/10min、である。ここで、MFRはJIS 7210に規定された方法に準拠して、樹脂温度230℃、測定荷重21N(2.16kg・f)の条件で測定したものである。このMFRが1g/10min未満、又は200g/10minを超えると成形加工性が著しく悪くなるため好ましくない。
本発明にて用いられるグラフト共重合体は、エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント(a)及びビニル系重合体セグメント(b)を有する多相構造型のグラフト共重合体であり、エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント(a)を幹とする部分と、ビニル系重合体セグメント(b)を枝とする部分から構成され、一方のセグメントが他方のセグメント中に粒子径0.001〜10μmの微細な粒子として分散相を形成している多相構造型のグラフト共重合体である。
セグメント(a)となるエポキシ基含有オレフィン系重合体としては、エチレン・アクリル酸メチル・メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メタクリル酸グリシジル共重合体、エポキシ基含有スチレン系エラストマー等が挙げられる。
このようなエポキシ基含有オレフィン系重合体は、既に市販されており、例えば住友化学(株)製『ボンドファースト』、日本ポリオレフィン(株)製『レクスパール』、ダイセル化学工業(株)製『エポフレンド』等が挙げられる。
ビニル系重合体セグメント(b)を形成するビニル単量体としては、好ましくはアルキル鎖長の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、酸基を有するビニル単量体、ヒドロキシル基を有するビニル単量体、エポキシ基を有するビニル単量体、シアノ基を有するビニル単量体、スチレンより選択される少なくとも1種の単量体である。なお、本明細書ではアクリルとメタクリルを(メタ)アクリルと総称する。
更に詳しくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートとの高い親和性から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、スチレンが好ましい。これらのビニル単量体は1種以上使用される。
ビニル系重合体セグメント(b)を形成するビニル系重合体の重量平均分子量〔テトラヒドロフラン中、スチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定値〕は、通常1000〜2000000、好ましくは5000〜1200000範囲である。質量平均分子量が1000未満であるとグラフト共重合体の耐熱性が低下する傾向があり、質量平均分子量が2000000を超えるとグラフト共重合体の溶融粘度が高くなり、成形性が低下する傾向にある。
また、グラフト共重合体のメルトフローレート(MFR)又はメルトインデクス(MI)は好ましくは0.01〜500g/10min、さらに好ましくは0.1〜300g/10min、最も好ましくは1〜200g/10minである。ここで、MFRはJIS 7210に規定された方法に準拠して、樹脂温度230℃、測定荷重21N(2.16kg・f)の条件で測定したものである。このMFRが0.01g/10min未満、又は500g/10minを超えると、グラフト共重合体とポリエチレンテレフタレートとの親和性が低下したり、得られる成形品の外観が悪化する傾向にあるので好ましくない。
前述のように、このグラフト共重合体は多相構造型のもので、エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)の一方のセグメントが他方のセグメント中に粒子径0.001〜10μmの微細な粒子として分散相を形成しているものである。そのため、エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント(a)又はビニル系重合体セグメント(b)の粒子径が0.001μm未満の場合及び10μmを超える場合のいずれも、グラフト共重合体をポリエチレンテレフタレートに混合したときの分散性が悪く、得られる成形体の外観が悪化したり、機械的物性が悪くなる傾向にある。
このグラフト共重合体におけるエポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント(a)の割合は、質量比率(分率)で通常5〜99質量%、好ましくは10〜95質量%からなるものである。従って、ビニル系重合体セグメント(b)の割合は、質量比率(分率)で通常1〜95質量%、好ましくは5〜90質量%である。
エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント(a)が5質量%未満又はビニル系重合体セグメント(b)が95質量%を超える場合、前記ポリエチレンテレフタレートへのグラフト共重合体の分散性が低下し、得られる成形品の外観が低下する傾向にある。逆に、エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント(a)が99質量%を超える場合又はビニル系重合体セグメント(b)が1質量%未満の場合、前記ポリエチレンテレフタレートに対する改良効果が不十分となる傾向にある。
このようにエポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)の割合を調整して、グラフト共重合体の極性を変更することにより、ポリエチレンテレフタレートとグラフト共重合体との相互作用を調整することができる。
また、グラフト共重合体を製造する際のグラフト化法は、一般に知られている連鎖移動法、電離性放射線照射法等いずれの方法でも良いが、下記に示す方法が最も好ましい。なぜならば、製造方法が簡便で、グラフト効率が高く、熱によるビニル系重合体セグメント(b)の二次的凝集が起こらず、グラフト共重合体をポリエチレンテレフタレートと混合しやすくなり、両者の相互作用に優れているためである。
具体的には、まずエポキシ基含有オレフィン系重合体のペレット100質量部を水中に懸濁させる。そこへビニル系単量体1〜400質量部、ラジカル重合性有機過酸化物をビニル系単量体100質量部に対して0.01〜20質量部、及び10時間半減期を得るための分解温度40〜90℃を有するラジカル重合開始剤をビニル系単量体とラジカル重合性有機過酸化物との合計100質量部に対して0.01〜8質量部添加した溶液を加える。ここで、ラジカル重合性有機過酸化物とは、過酸化物結合とラジカル重合性の官能基を一分子中に有する化合物をいう。このラジカル重合性有機過酸化物として、例えば下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物の1種又は2種以上の混合物が使用される。ラジカル重合性有機過酸化物の使用量は、ビニル系単量体100質量部に対して0.01〜15質量部であることが好ましい。
次に、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こらない条件で加熱し、ビニル系単量体、ラジカル重合性有機過酸化物及びラジカル重合開始剤を前記エポキシ基含有オレフィン系重合体のペレット中に含浸させる。その含浸率が添加量の20質量%以上、好ましくは30質量%以上に達した時点で、この水性懸濁液の温度を上昇させ、ビニル系単量体とラジカル重合性有機過酸化物とを前記エポキシ基含有オレフィン系重合体ペレット中で共重合させることによりグラフト化前駆体を得る。このグラフト化前駆体を100〜300℃で溶融、混合することにより、エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)とからなるグラフト共重合体が得られる。
前記一般式(1)で表されるラジカル重合性有機過酸化物とは、次の化合物である。
Figure 2007063506
(式中、R1は水素原子又はメチル基又はエチル基、R2は水素原子又はメチル基、
3及びR4はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R5は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。
mは1又は2である。)
また、前記一般式(2)で表されるラジカル重合性有機過酸化物とは、次の化合物である。
Figure 2007063506
(式中、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R7は水素原子又はメチル基、 R8及びR9はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R10は炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。
nは0、1又は2である。)
前記一般式(1)又は一般式(2)で表されるラジカル重合性有機過酸化物として、具体的に好ましいのは、例えばt−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート;t−ブチルペルオキシアリルカーボネート;t−ブチルペルオキシメタクリルカーボネートである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレン、及びグラフト共重合体とを120〜300℃、より好ましくは140〜280℃で溶融、混合することによって製造される。この温度が120℃未満の場合、溶融が不完全になったり、溶融粘度が高いため、混合が不十分になり、相分離や層状剥離が現れて好ましくない。一方、300℃を超える場合、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、及びグラフト共重合体が分解するため好ましくない。溶融、混合としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリー、ニーダー、ロール等による混練法など公知の方法が採用される。また、R−PETを使用する場合は、予め乾燥させ、水分量が0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下にしておくことが望ましい。
また、グラフト共重合体は、必ずしもグラフト共重合体として混合しなくても良く、グラフト化前駆体の状態でポリエチレンテレフタレートとポリエチレンと混合しても良い。これはグラフト化前駆体が溶融、混合することにより、グラフト共重合体に変換されるからである。なお、グラフト化前駆体で溶融、混合した場合、一部がポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレンと共重合してグラフト共重合体となる可能性があるが、差し支えない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの質量比率(分率)は、50〜99/50〜1の範囲である。ポリエチレンの割合が1重量部未満である場合、得られる成形体の成形加工性が低下し、50質量%を超える場合、得られる成形体のリサイクル性が低下する。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるグラフト共重合体の含有量は、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの総量100質量部に対して1〜50質量部、好ましくは2〜40である。グラフト共重合体の割合が1質量部未満である場合、成形体の耐衝撃性が低下し、50質量部を超える場合、成形加工性が低下する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に、本発明の目的を損なわない範囲で他の樹脂を配合してもよい。このような樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の汎用プラスチック類、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のα−オレフィン単量体とビニル単量体との共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド等のエンジニアリングプラスチック類、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・ブテン共重合体ゴム、エチレン・ブタジエン共重合体ゴム、エチレン・ジエン・プロピレン共重合体ゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム、アクリルゴム、シリコンゴム等のエラストマー類、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー類などが挙げられる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物に、本発明の目的を損なわない範囲で無機充填剤を配合することができる。このような無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカーなどが挙げられる。また、この無機充填剤は、無処理のまま用いても良いが、親和性や界面結合力を向上させる等の目的で、脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等)又はその金属塩、パラフィン、ワックス、ポリエチレンワックス又はその変性物、有機ボラン、有機チタネート、シランカップリング剤、アルミカップリング剤等で表面処理を施したものを用いることもできる。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物に、本発明の目的を損なわない範囲で公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、分散剤、発泡剤、紫外線防止剤、着色剤、可塑剤、鉱物油系軟化剤等を配合することができる。
本発明の第3の発明である成形体は、前述の熱可塑性樹脂組成物を加熱成形して得られる。成形体の形状は特に制限されず、ブロック状、シート状、フィルム状、糸状、ファブリック状等のいずれでも良い。また、本発明の成形体をシートとして使用する場合、紙又は樹脂等とのシートと積層し、多層構造の積層体として使用しても良い。
また、本発明の成形体の製造方法としては、その成形方法は特に制限されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、異形押出成形、射出ブロー成形、真空圧空成形、紡糸などのいずれにも好適に使用することが出来る。
本発明の成形体の用途は、通常の熱可塑性樹脂の成形機で加工が可能なため、広範囲の工業品に利用可能である。例えば自動車部品、家電部品、製品包装用フィルム、防水シート、各種容器、ボトル等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明する。
実施例及び比較例における物性測定に用いた試験方法は以下の通りであり、各例中の部、%は特に断らない限り質量部及び質量%を示す。
(1)アイゾット衝撃値(単位:kgf・cm/cm2
造粒した樹脂を用い、射出成形機(田端機械工業(株)製)によって試験片(アイゾット衝撃試験片64mm×12.7mm×3.2mm(ノッチ付き))を作成し、JIS 7110に準拠して行った。
(2)メルトフローレート(MFR、単位:g/10min)
メルトインデクサー((株)東洋精機製作所製)を用いて、JIS K 7210に準拠してMFRを測定(測定温度240℃、荷重2160g)した。
(3)リサイクル性;破断点伸び(単位:%)
熱処理を1、及び2回行ったペレットについて、プレス成形機を用いて、温度280℃、70kgf/cm2×2分の条件で100mm×10mm×1mmのフィルムを作成した。作成したフィルムについて、KES G−1(KATOTECH Inc.社製)を用いて、初期チャック間距離10mm、引っ張り速度0.5mm/sの条件で、破断点伸びを測定し、熱処理による機械的物性の変化から材料のリサイクル性を観察した。
「V−PET」・・・バージンのポリエチレンテレフタレート(ユニチカ(株)社製、商品名『NEH−2031』、極限粘度0.7dl/g)
「R−PET」・・・リサイクル品として回収されたポリエチレンテレフタレート(ペットボトルリサイクル社製、極限粘度0.6dl/g)
「LDPE」・・・低密度ポリエチレン(三井住友ポリオレフィン(株)社製、商品名『スミカセンG401』)
「MDPE」・・・中密度ポリエチレン(三井化学(株)社製、商品名『ネオゼックス45200』)
「EGMA」・・・エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(住友化学工業(株)製、商品名『ボンドファーストE』)
「m-SEBS」・・・エポキシ基含有スチレン系エラストマー(ダイセル化学工業(株)製、商品名『エポフレンドAT501』)
「MMA」・・・メタクリル酸メチル
「St」・・・スチレン
「AN」・・・アクリロニトリル
〔材料実施例1(グラフト共重合体の製造)〕
容積5リットルのステンレス製オートクレーブに、純水2500gを入れ、さらに懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中にエポキシ基含有オレフィン系重合体(a)としてEGMAを700g入れ、撹拌、分散した。別にラジカル重合開始剤としてのジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド1.5g、ラジカル重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート9gをビニル系単量体(b)としてのMMA300gに溶解させた。この溶液を前記オートクレーブ中に投入して撹拌した。
次いで、オートクレーブを60〜65℃に昇温し、3時間撹拌することにより、ラジカル重合開始剤、ラジカル重合性有機過酸化物及びビニル系単量体をEGMA中に含浸させた。続いて、含浸されたビニル系単量体、ラジカル重合性有機過酸化物及びラジカル重合開始剤の合計量が添加量の30重量%以上になっていることを確認した。その後、温度を70〜75℃に上げ、その温度で6時間維持して重合を完結させ、水洗及び乾燥してグラフト化前駆体を得た。
このグラフト化前駆体からテトラヒドロフランでPMMAを抽出し、GPCで重量平均分子量(THF中、スチレン換算による)を測定したところ、400,000であった。
次に、このグラフト化前駆体をラボプラストミル一軸押出機((株)東洋精機製作所製)で180℃にて押し出し、グラフト化反応させることによりグラフト共重合体を得た。
このグラフト共重合体を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製)により観察したところ、粒子径0.2〜0.4μmの真球状樹脂が均一に分散した多相構造型の熱可塑性樹脂であった。なお、このときPMMA共重合体のグラフト効率は65%であった。
〔材料実施例2,3及び材料比較例〕
表1に示した成分及び配合割合に変更して、前記材料実施例1と同様の操作でグラフト共重合体を得た。
Figure 2007063506
〔実施例1〜5、比較例1〜4(熱可塑性樹脂組成物の製造)〕
表2に示す成分及び配合割合でドライブレンドした後、シリンダー温度250℃に設定されたスクリュー径30mmの同軸方向二軸押出機で溶融、混合して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットについて、再度同条件で押出を行い、2回熱処理した熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
Figure 2007063506
〔まとめ〕
表2に示したように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、実施例1〜5の結果に見られるとおり良好な耐衝撃性、成形加工性、機械的物性を有している。また、熱処理を2回行っても、機械的物性である伸びはほとんど低下しないため、リサイクル性でも優れており、成形材料としても優れている。
一方、比較例1は、ポリエチレンテレフタレート樹脂単体であるため、耐衝撃性と機械的物性で劣る。また、熱処理を2回行っても、機械的物性である伸びは低く、リサイクル性でも劣るため、成形材料として劣る。
比較例2は、ポリエチレンテレフタレートにポリエチレンを添加しただけであるため、耐衝撃性と機械的物性で劣る。また、熱処理を2回行っても、機械的物性である伸びは低く、リサイクル性でも劣るため、成形材料として劣る。
比較例3は、ポリエチレンテレフタレートにグラフト共重合体単体を添加しただけであるため、耐衝撃性と機械的物性は優れているが、MFRが低いため成形加工性で劣る。また、熱処理を2回行っても、機械的物性である伸びはやや低く、リサイクル性でもやや劣るため、成形材料としてやや劣る。
比較例4は、グラフト共重合体にエポキシ基を含有していないため、耐衝撃性と機械的物性で劣る。また、熱処理を1〜2回行っても、機械的物性である伸びは低く、リサイクル性でも劣るため、成形材料として劣る。

Claims (3)

  1. ポリエチレンテレフタレートと、ポリエチレンと、エポキシ基含有オレフィン系重合体セグメント及びビニル系重合体セグメントを有する多相構造型のグラフト共重合体とから構成される熱可塑性樹脂組成物であって、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンの質量比率(分率)が50〜99/50〜1の範囲であり、かつグラフト共重合体の含有量がポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの総量100質量部に対して1〜50質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. ポリエチレンテレフタレートの一部又は全部が再生材料であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を加熱成形することにより得られることを特徴とする成形品
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