JP2007063258A - カルバゾール誘導体、及びそれを用いて得られた発光素子用材料、発光素子、電子機器 - Google Patents

カルバゾール誘導体、及びそれを用いて得られた発光素子用材料、発光素子、電子機器 Download PDF

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晴恵 中島
Sachiko Kawakami
祥子 川上
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久味 小島
Ryoji Nomura
亮二 野村
Nobuharu Osawa
信晴 大澤
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Abstract

【課題】酸化反応の繰り返しに耐性を有する発光素子用材料を製造するための原料として有用なカルバゾール誘導体を提供することを課題とする。
【解決手段】一般式(G−1)で表されるカルバゾール誘導体を提供する。一般式(G−1)において、Ar、Arは、それぞれ、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、Rは、水素、またはメチル、エチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。なお、アリール基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、発光素子用材料を得る為の原料として用いることのできるカルバゾール誘導体に関する。また、そのカルバゾール誘導体を用いて得られた発光素子用材料および、その発光素子用材料を用いて作製された発光素子、電子機器に関する。
近年、発光素子を画素として用いた発光装置の実用化が進んでいる。このような発光装置は、携帯電話機及びカメラの他、携帯型音楽再生装置等の電子機器の表示部に組み込まれ、操作画面若しくは写真等の画像を再生する画面を提供する媒体として機能する。これらの電子機器のようにバッテリからの起電力を利用した装置では、長時間継続して使用できるようにする為、発光装置に係る消費電力の抑制が不可欠である。そしてまた、消費電力の小さい発光装置を得る為に、発光効率の良い発光素子の開発が不可欠となってくる。
発光素子は、一般的に、電極間に発光層が設けられた構成を有する。そして、電極間には発光層の他に正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の様々な機能を有する層が設けられており、これらの層を形成するのに適した材料についての開発が行われている。例えば、特許文献1には正孔輸送層を形成するのに適したカルバゾール誘導体について開示されている。
ところで、発光素子においてはホッピング伝導によって電極間を電流が流れる。その為、発光素子の形成に用いられる材料には酸化反応及び/または還元反応の繰り返しに耐性を有することが求められる。また、特に正孔注入層の形成に用いられる材料(以後、正孔注入材料と記す。)について述べると、正孔注入層には陽極から正孔が容易に注入されると共に注入された正孔を効率良く輸送することが求められている。その為、正孔注入材料としては、陽極の仕事関数との差が小さいイオン化ポテンシャルを有し、また良好な正孔輸送性を有することが求められている。
特開2001−220380号公報
本発明は、酸化反応の繰り返しに耐性を有する発光素子用材料を製造するための原料として有用なカルバゾール誘導体を提供することを課題とする。
本発明は、酸化反応の繰り返しに耐性を有する発光素子用材料を提供することを課題とする。
本発明は、色度の良好な青色の発光を呈する発光素子、発光装置、電子機器を提供することを課題とする。
本発明の一は、下記一般式(G−1)で表されるカルバゾール誘導体である。
Figure 2007063258
一般式(G−1)において、Ar、Arは、それぞれ、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、Rは、水素、またはメチル、エチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。なお、アリール基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
本発明の一は、下記一般式(G−2)で表されるカルバゾール誘導体である。
Figure 2007063258
一般式(G−2)において、Ar、Arは、それぞれ、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。なお、アリール基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
本発明の一は、下記一般式(G−3)で表される発光素子用材料である。
Figure 2007063258
一般式(G−3)において、Ar、Arは、それぞれ、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、Rは、水素、メチル、またはtert−ブチルのいずれかを表す。Rは、水素、またはメチル、エチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。なお、アリール基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
本発明の一は、下記一般式(G−4)で表される発光素子用材料である。
Figure 2007063258
一般式(G−4)において、Arは、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、R、Rは、それぞれ、水素または一般式(G−5)で表される基を表し、いずれか一方が下記一般式(G−5)で表される。一般式(G−5)において、Ar、Arは、それぞれ、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、Rは、水素、またはメチル、エチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。なお、アリール基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
Figure 2007063258
本発明の一は、上記一般式(G−3)または(G−4)で表される発光素子用材料を用いて形成された層を電極間に有する発光素子である。
本発明の一は、電極間に発光層を有し、該発光層は、下記一般式(G−6)で表される発光物質と、該発光物質よりも大きいイオン化ポテンシャル及び該発光物質よりも大きいエネルギーギャップを有するホストとを含むことを特徴とする発光素子である。ホストは正孔よりも電子の輸送性が高い物質であることが好ましい。
Figure 2007063258
一般式(G−6)において、Ar10、Ar11は、それぞれ、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、Rは、水素、メチル、またはtert−ブチルのいずれかを表す。Rは、水素、またはメチル、エチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。なお、アリール基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
本発明の一は、第1の電極と第2の電極との間に、前記第1の電極に接して下記一般式(G−7)で表されるカルバゾール誘導体を含む層を有し、前記第1の電極の電位が前記第2の電極の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに発光することを特徴とする発光素子である。
Figure 2007063258
一般式(G−7)において、Ar12は、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、R、R10は、それぞれ、水素または一般式(G−8)で表される基を表し、いずれか一方が下記一般式(G−8)で表される。一般式(G−8)において、Ar13、Ar14は、それぞれ、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、R11は、水素、またはメチル、エチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。なお、アリール基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
Figure 2007063258
本発明の一は、上記一般式(G−3)または(G−4)のいずれかで表される発光素子用材料を用いて作製された発光素子を含む発光装置である。
本発明の一は、上記一般式(G−3)または(G−4)のいずれかで表される発光素子用材料を用いて作製された発光素子を含む発光装置を表示部若しくは照明部に有することを特徴とする電子機器である。
本発明により、酸化反応の繰り返しに対し優れた耐性を有する発光素子用材料を製造するのに有用なカルバゾール誘導体を得られる。また、本発明により、酸化反応の繰り返しに対し優れた耐性を有する発光素子用材料を得られる。また、本発明により、酸化反応の繰り返しに耐性を有し、長期間、良好な状態で発光させることができる発光装置を得られる。また、本発明により、長期間、良好に、表示動作あるいは照明することがきる電子機器を得られる。
本発明により、色度の良好な青色の発光を呈することができ、発光物質として用いるのに有用な発光素子用材料を製造するのに有用なカルバゾール誘導体が得られる。また、本発明により、色度の良好な青色の発光を呈することができる発光素子用材料が得られる。本発明により、色度の良い青色の発光を呈し、彩色の優れた画像を映す発光装置を得ることができる。また、本発明により、色度の良い青色の発光を呈し、彩色の優れた画像を映す電子機器が得られる。
以下、本発明の一態様について説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本発明のカルバゾール誘導体、及びその製造方法の一態様について説明する。
本発明のカルバゾール誘導体の具体的態様として、下記構造式(1)〜(44)で表されるカルバゾール誘導体が挙げられる。但し、本発明のカルバゾール誘導体は以下の構造式に表されるものに限定されるものではなく、以下の構造式で表される構造と異なる構造であってもよい。
Figure 2007063258
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下記一般式(G−9)で表され、より具体的には構造式(1)〜(44)で表される本発明のカルバゾール誘導体は、合成スキーム(a−1)で表されるように、N−ブロモコハク酸イミド(略称:NBS)またはN−ヨードコハク酸イミド(略称:NIS)等を用いて、カルバゾールを骨格に含む化合物の3位または6位の水素をブロモ若しくはヨードに置換して(なお、ヨードに置換することで、次ステップにおけるカップリング反応の時間を短縮することができる。)化合物Aを合成した後、さらにパラジウム触媒等の金属触媒を用いて化合物Aをアリールアミンとカップリング反応させることで得られる。なお、パラジウム触媒について限定はないが、Pd(dba)が好ましい。
Figure 2007063258
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一般式(G−9)及び合成スキーム(a−1)において、Ar15、Ar16は、それぞれ、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、R12は、水素、またはメチル、エチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。なお、これらのアリール基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
なお、本発明のカルバゾール誘導体の合成法は、合成スキーム(a−1)で表される合成法に限定されるものではなく、その他の合成法によって合成されていてもよい。
以上に説明した本発明のカルバゾール誘導体は、酸化反応の繰り返しに対し優れた耐性を有する発光素子用材料を製造する原料として非常に有用である。
一般式(G−9)で表される二級アミンのカルバゾール誘導体は、ブロモ化やヨード化された種々のハロゲン化有機化合物とカップリングさせ三級アミンとすることで、発光素子に有効な化合物を得ることができる。具体的には、酸化反応の繰り返しに対し優れた耐性を有する化合物が得られる。その一例を以下の実施の形態で挙げる。なお、本発明の一般式(G−9)で表されるカルバゾール誘導体とカップリングさせるハロゲン化有機化合物は、本実施の形態で挙げた誘導体に限るものではない。
(実施の形態2)
本発明のカルバゾール誘導体を用いた発光素子用材料の製造方法の一態様について説明する。
下記合成スキーム(b−1)で表されるように、一般式(G−9)で表されるカルバゾール誘導体とジフェニルアントラセン骨格を有する化合物Bとをパラジウム触媒等の金属触媒を用いたカップリング反応させることによって、下記一般式(G−10)で表され、発光素子用材料として有用なアントラセン誘導体を得ることができる。
Figure 2007063258
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一般式(G−10)及び合成スキーム(b−1)において、Ar15、Ar16は、それぞれ、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、R12は、水素、またはメチル、エチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。R13は水素、メチルまたはtert−ブチルのいずれかを表す。なお、アリール基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
以上のようにして得られたアントラセン誘導体は、酸化反応の繰り返しに耐性を有し、また、青色の発光を呈することができる。その為、特に発光物質(ゲストとも称される。)として機能する発光素子用材料として有用である。また、一般式(G−10)で表されるアントラセン誘導体は、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、9−[4−(3、6−ジフェニル−N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:DPCzPA)、ジフェニルアントラセン等の電子輸送性に優れ、エネルギーギャップが広く、青色の発光を呈する発光物質に対するホストとして有効である有機化合物と組み合わせて用いるのに非常に適している。一般式(G−7)で表されるアントラセン誘導体と、t−BuDNA、CzPA、ジフェニルアントラセン等とを組み合わせて用いることによって、適度に正孔をトラップし、発光層からその他の層への正孔の突き抜けを防止すると共に、色度の良い青色の発光を呈することのできる発光素子を作製することができる。
なお、合成スキーム(b−1)で用いられている化合物Bは、例えば、下記合成スキーム(c−1)で表されるような合成によって得られる。
Figure 2007063258
合成スキーム(c−1)において、R13は水素、メチルまたはtert−ブチルのいずれかを表す。
(実施の形態3)
本発明のカルバゾール誘導体を用いた発光素子用材料の製造方法の一態様について説明する。
下記合成スキーム(d−1)で表されるように、一般式(G−9)で表されるカルバゾール誘導体と、カルバゾールの3位がBrやI等のハロゲン基で置換された構造を有する化合物Cとをパラジウム触媒等の金属触媒を用いたカップリング反応させることによって、下記一般式(G−11)で表され、発光素子用材料として有用なカルバゾール誘導体を得ることができる。
Figure 2007063258
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一般式(G−11)及び合成スキーム(d−1)において、Ar15、Ar16、Ar17は、それぞれ、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、R12、R13は、それぞれ、水素、またはメチル、エチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。なお、アリール基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
一般式(G−11)で表されるカルバゾール誘導体は、酸化反応の繰り返しに耐性を有する。また、一般式(G−11)で表されるカルバゾール誘導体のイオン化ポテンシャルは、陽極の形成に用いられているインジウム錫酸化物(略称:ITO)、インジウム亜鉛酸化物(略称:IZO)、酸化錫等の透明電極材料における仕事関数との差が小さい。また、一般式(G−11)で表されるカルバゾール誘導体は良好な正孔輸送性を有する。従って、一般式(G−11)で表されるカルバゾール誘導体は発光素子用材料の中でも特に正孔注入層を形成するために用いられる正孔注入材料として有用である。なお、一般式(G−11)で表されるカルバゾール誘導体は、正孔注入層の形成だけでなく、その他の層を形成する為の発光素子用材料として用いても構わない。
(実施の形態4)
本発明のカルバゾール誘導体を用いた発光素子用材料の製造方法の一態様について説明する。
下記合成スキーム(e−1)で表されるように、一般式(G−9)で表されるカルバゾール誘導体とカルバゾールの3位および6位がBrやI等のハロゲン基で置換された構造を有する化合物Dとをパラジウム触媒等の金属触媒を用いたカップリング反応させることによって、下記一般式(G−12)で表され、発光素子用材料として有用なカルバゾール誘導体を得ることができる。
Figure 2007063258
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一般式(G−12)及び合成スキーム(e−1)において、Ar15、Ar16、Ar18は、それぞれ、フェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基を表す。また、R12は、水素、またはメチル、エチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、またはフェニル、ビフェニル、ナフチル等の炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。なお、アリール基は置換基を有していてもよいし、若しくは無置換であってもよい。
一般式(G−12)で表されるカルバゾール誘導体は、酸化反応の繰り返しに耐性を有する。また、一般式(G−12)で表されるカルバゾール誘導体のイオン化ポテンシャルは、陽極の形成に用いられているインジウム錫酸化物(略称:ITO)、インジウム亜鉛酸化物(略称:IZO)、酸化錫等の透明電極材料における仕事関数と差が小さい。また、一般式(G−12)で表されるカルバゾール誘導体は良好な正孔輸送性を有する。従って、一般式(G−12)で表されるカルバゾール誘導体は発光素子用材料の中でも特に正孔注入層を形成するために用いられる正孔注入材料、若しくは正孔輸送層を形成する為に用いられる正孔輸送材料として有用である。なお、一般式(G−12)で表されるカルバゾール誘導体は、正孔注入層若しくは正孔輸送層の形成だけでなく、その他の層を形成する為の発光素子用材料として用いても構わない。
(実施の形態5)
本発明のカルバゾール誘導体を用いて合成された発光素子用材料を用いた発光素子の一態様について図1を用いて説明する。
図1には、第1の電極101と第2の電極102との間に発光層113を有する発光素子が表されている。そして、本形態において、発光層113には、一般式(G−10)で表されるアントラセン誘導体が含まれている。また、図1の発光素子では、第1の電極101と発光層113との間に、正孔注入層111と正孔輸送層112とが順に積層されて設けられ、第2の電極102と発光層113との間に、電子輸送層114と電子注入層115とが順に積層されて設けられている。
このような発光素子において、第1の電極101側から注入された正孔と、第2の電極102側から注入された電子とは、発光層113において再結合し、一般式(G−10)で表されるアントラセン誘導体を励起状態にする。そして、励起状態となったアントラセン誘導体は基底状態に戻るときに発光する。このように、一般式(G−10)で表されるアントラセン誘導体は発光物質として機能する。また、第1の電極101と第2の電極102とは、それぞれ、陽極、陰極としての機能を有する。
以下、第1の電極101、第2の電極102、及び第1の電極101と第2の電極102との間に設けられた各層について具体的に説明する。
また、第1の電極101と第2の電極102とについて特に限定はなく、インジウム錫酸化物(ITO)、または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウムの他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等を用いて形成することができる。また、アルミニウムの他、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムとの合金等も第1の電極101を形成するのに用いることができる。なお、第1の電極101及び第2の電極102の形成方法について特に限定はなく、例えばスパッタ法や蒸着法等を用いて形成することができる。なお、発光した光を外部に取り出すために、第1の電極101と第2の電極102のいずれか一または両方は、インジウム錫酸化物等の透明電極材料を用いて、若しくは銀、アルミニウム等を数nm〜数十nmの厚さとなるように成膜して、可視光が透過できるように、形成することが好ましい。
正孔注入層111は、第1の電極101から正孔輸送層112へ正孔の注入を補助する機能を有する層である。正孔注入層111を設けることによって、第1の電極101と正孔輸送層112との間のイオン化ポテンシャルの差が緩和され、正孔が注入され易くなる。正孔注入層111は、正孔輸送層112を形成している物質よりもイオン化ポテンシャルが小さく、第1の電極101を形成している物質よりもイオン化ポテンシャルが大きい物質、または正孔輸送層112と第1の電極101との間に1〜2nmの薄膜として設けたときにエネルギーバンドが曲がるような物質を用いて形成することが好ましい。正孔注入層111を形成するのに用いることのできる物質の具体例として、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)等の高分子等が挙げられる。つまり、正孔注入層111におけるイオン化ポテンシャルが正孔輸送層112におけるイオン化ポテンシャルよりも相対的に小さくなるような物質を正孔輸送性物質の中から選択することによって、正孔注入層111を形成することができる。なお、正孔注入層111を設ける場合、第1の電極101は、インジウム錫酸化物等の仕事関数の高い物質を用いて形成することが好ましい。
正孔輸送層112とは、第1の電極101側から注入された正孔を発光層113へ輸送する機能を有する層である。このように、正孔輸送層112を設けることによって、第1の電極101と発光層113との距離を離すことができ、その結果、第1の電極101等に含まれている金属に起因して発光が消光することを防ぐことができる。正孔輸送層は、正孔輸送性物質を用いて形成することが好ましく、特に1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質を用いて形成することが好ましい。なお、正孔輸送性物質とは、電子よりも正孔の移動度が高く、電子の移動度に対する正孔の移動度の比の値(=正孔移動度/電子移動度)が好ましくは100よりも大きい物質をいう。正孔輸送層112を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)、4,4’−ビス[N−(4−ビフェニリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BBPB)等が挙げられる。なお、正孔輸送性物質の中でも特にホストとして用いられる物質よりもエネルギーギャップの大きい物質を選択して正孔輸送層112を形成することがより好ましい。また、正孔輸送層112は、以上に述べた物質を用いて形成された層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
発光層113は、一般式(G−10)で表されるアントラセン誘導体が、該アントラセン誘導体の有するエネルギーギャップよりも大きいエネルギーギャップを有し、また該アントラセン誘導体の有するイオン化ポテンシャルよりも大きいイオン化ポテンシャルを有する物質(ホストと称される)を主成分とする層中に、分散して含まれた層であることが好ましい。これによって、該アントラセン誘導体からの発光が、該アントラセン誘導体自体の濃度に起因して消光してしまうことを防ぐことができる。なお、エネルギーギャップとはLUMO準位とHOMO準位との間のエネルギーギャップをいう。
より具体的には、ホストとして用いる物質は、5.3eVよりも大きいイオン化ポテンシャル及び2.8eVよりも大きいエネルギーギャップを有し、正孔よりも電子の輸送性が高い物質であることが好ましい。このような物質として、例えば、t−BuDNA、CzPA、及びジフェニルアントラセン等のアントラセン誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアジン誘導体が挙げられる。これらの物質の中から一または二以上の物質を選択して一般式(G−10)で表されるアントラセン誘導体が分散状態となるように混合すればよい。発光層113をこのような構成とすることによって、一般式(G−10)で表されるアントラセン誘導体に効率良く正孔をトラップさせることができ、その結果、発光効率の良い発光素子を得ることができる。また、電子輸送層114はエネルギーギャップの小さい物質で形成されることが多く、発光層113から励起エネルギーが移動し易いが、発光層113を以上のような構成とすることによって、発光層113における正孔と電子の再結合領域(発光領域)が正孔輸送層112側に形成されるようになり、電子輸送層114への励起エネルギーの移動を防ぐことができる。その結果、発光層113と異なる層において発光が生じることに起因した色度の低下を防ぐことができる。なお、発光層113のように複数の化合物が混合された層は、共蒸着法を用いて形成することができる。ここで、共蒸着とは、一つの処理室内に設けられた複数の蒸着源からそれぞれ原料を気化させ、気化した原料を気相状態で混合し、被処理物上に堆積させる蒸着法をいう。
電子輸送層とは、第2の電極102から注入された電子を発光層113へ輸送する機能を有する層である。このように、電子輸送層114を設けることによって、第2の電極102と発光層113との距離を離すことができ、その結果、第2の電極102等に含まれている金属に起因して発光が消光することを防ぐことができる。電子輸送層は、電子輸送性物質を用いて形成することが好ましく、特に1×10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質を用いて形成することが好ましい。なお、電子輸送性物質とは、正孔よりも電子の移動度が高く、正孔の移動度に対する電子の移動度の比の値(=電子移動度/正孔移動度)が好ましくは100よりも大きい物質をいう。電子輸送層114を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))等の金属錯体の他、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)等が挙げられる。なお、電子輸送性物質の中でも特にホストとして用いられる物質よりもエネルギーギャップの大きい物質を選択して電子輸送層114を形成することがより好ましい。また、電子輸送層114は、以上に述べた物質を用いて形成された層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
電子注入層115は、第2の電極102から電子輸送層114へ電子の注入を補助する機能を有する層である。電子注入層115は、BPhen、BCP、p−EtTAZ、TAZ、BzOs等の電子輸送層114を形成するのに用いることのできる物質の中から、電子輸送層114の形成に用いる物質よりも電子親和力が相対的に大きい物質を選択して用いることによって形成することができる。このようにして電子注入層115を形成することによって第2の電極102と電子輸送層114との間の電子親和力の差が緩和され、電子が注入され易くなる。また、電子注入層115には、Li、Cs等のアルカリ金属、リチウム酸化物(LiO)、カリウム酸化物(KO)、ナトリウム酸化物(NaO)等のアルカリ金属の酸化物、カルシウム酸化物(CaO)、マグネシウム酸化物(MgO)等のアルカリ土類金属の酸化物、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)等のアルカリ金属のフッ化物、フッ化カルシウム(CaF)等のアルカリ土類金属のフッ化物、またはMg、Ca等のアルカリ土類金属等の無機物が含まれていてもよい。また、電子注入層115は以上に述べたような有機物を含む構成であってもよいし、または、LiF等のアルカリ金属のフッ化物、またはCaF等のアルカリ土類金属のフッ化物等の無機物を用いた構成であってもよい。このようにLiF等のアルカリ金属のフッ化物、またはCaF等のアルカリ土類金属のフッ化物等の無機物を用いて1〜2nmの薄膜として電子注入層115が設けられることによって電子注入層115のエネルギーバンドが曲がる、或いはトンネル電流が流れることにより、第2の電極102から電子輸送層114へ電子の注入が容易となる。
なお、正孔注入層111に換えて正孔発生層が設けられていてもよいし、または電子注入層115に換えて電子発生層を設けられていてもよい。
ここで、正孔発生層とは、正孔を発生する層である。正孔輸送性物質の中から選ばれた少なくとも一の物質と、正孔輸送性物質に対して電子受容性を示す物質とを混合することによって正孔発生層を形成することができる。ここで、正孔輸送性物質としては、正孔輸送層112を形成するのに用いることのできる物質と同様の物質を用いることができる。また、電子受容性を示す物質としては、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、レニウム酸化物等の金属酸化物を用いることが好ましい。
また、電子発生層とは、電子を発生する層である。電子輸送性物質の中から選ばれた少なくとも一の物質と、電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質とを混合することによって電子発生層を形成することができる。ここで、電子輸送性物質としては電子輸送層114を形成するのに用いることのできる物質と同様の物質を用いることができる。また、電子供与性を示す物質としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の中から選ばれた物質、具体的にはリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)等を用いることができる。
以上のような態様の発光素子は、第1の電極101を形成後、その上に、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115を順に積層させて形成した後、第2の電極102を形成する作製方法によって作製することもできるし、または、第2の電極102を形成後、その上に、電子注入層115、電子輸送層114、発光層113、正孔輸送層112、正孔注入層111、を順に積層させて形成した後、第1の電極101を形成する作製方法によって作製することもできる。なお、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法、またはインクジェット法、または塗布法等、いずれの方法で形成されていても構わない。また、第1の電極101または第2の電極102についても、スパッタリング法または蒸着法等、いずれの方法を用いて形成されていても構わない。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、本発明のアントラセン誘導体のようにアントラセン骨格およびアミン骨格を含む化合物を用いて作製されている為、酸化反応の繰り返しによる発光物質の性質の変化に伴った発光素子の特性変化が少なく、長期間、安定な発光を呈することができる。また、本発明のアントラセン誘導体を用いて作製されている為、色度の良い青色の発光を呈することができる。
(実施の形態6)
本発明のカルバゾール誘導体を用いて合成された発光素子用材料を用いた発光素子の一態様について説明する。本形態で説明する発光素子は電極間に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が順に設けられているという点で実施の形態5に記載した発光素子と同様である為、実施の形態5の説明に用いた図1を参照して本形態の発光素子についても説明する。
図1には、第1の電極101と第2の電極102との間に発光層113を有する発光素子が表されている。図1の発光素子では、第1の電極101と発光層113との間に、正孔注入層111と正孔輸送層112とが順に積層されて設けられ、第2の電極102と発光層113との間に、電子輸送層114と電子注入層115とが順に積層されて設けられている。また、第1の電極101と第2の電極102とは、それぞれ、陽極、陰極としての機能を有する。
このような発光素子において、第1の電極101側から注入された正孔と、第2の電極102側から注入された電子とは、発光層113において再結合し、発光層113に含まれている発光物質を励起状態にする。そして、励起状態となった発光物質は基底状態に戻るときに発光する。ここで、発光物質とは発光素子を駆動させたときに所望の発光色を呈する物質である。
以下、第1の電極101、第2の電極102については、実施の形態5と同様である為、本形態では説明を省略する。
正孔注入層111は、第1の電極101から正孔輸送層112へ正孔の注入を補助する機能を有する層である。本形態において、正孔注入層111は一般式(G−11)または(G−12)で表されるカルバゾール誘導体を用いて形成されている。このように、一般式(G−11)または(G−12)で表されるカルバゾール誘導体を用いて形成された正孔注入層111を設けることによって、第1の電極101と正孔輸送層112との間のイオン化ポテンシャルの差が緩和され、正孔輸送層112へ正孔を容易に注入できる。
正孔輸送層112については実施の形態5と同様である為、本形態では説明を省略する。
発光層113は、実施の形態5で説明した構成と同様の構成であっても構わないし、異なる構成であっても構わないが、本形態では、実施の形態5に記載したのと異なる構成である場合について説明する。発光層113は、発光物質を含んでいる層である。発光層113は、発光物質のみから形成された層であってもよいが、濃度消光を生じる場合は、発光物質の有するエネルギーギャップよりも大きいエネルギーギャップを有する物質を主成分とする層中に、発光物質が分散するように混合された層であることが好ましい。発光層113に発光物質を分散して含ませることで、発光が濃度に起因して消光してしまうことを防ぐことができる。ここで、エネルギーギャップとはLUMO準位とHOMO準位との間のエネルギーギャップをいう。
発光物質について特に限定はなく、発光効率が良好で、所望の発光波長の発光をし得る物質を用いればよい。例えば、赤色系の発光を得たいときには、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−9−ジュロリジル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−9−ジュロリジル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチル−9−ジュロリジル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)やペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチル−9−ジュロリジル)エテニル]ベンゼン等、600nmから680nmの波長帯域に発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を発光物質として用いることができる。また緑色系の発光を得たいときは、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6やクマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)等、500nmから550nmの波長帯域に発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を発光物質として用いることができる。また、青色系の発光を得たいときは、9,10−ビス(2−ナフチル)−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−ガリウム(略称:BGaq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等、420nmから500nmの波長帯域に発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を発光物質として用いることができる。以上のように、蛍光を発光する物質の他、ビス[2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIr(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(略称:Ir(ppy))等の燐光を発光する物質も発光物質として用いることができる。
また、発光物質と共に発光層113に含まれ、発光物質を分散状態にするために用いられる物質について特に限定はなく、発光物質として用いる物質のエネルギーギャップ等を勘案して適宜選択すればよい。例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、または4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)、2,3−ビス{4−[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:NPADiBzQn)等のキノキサリン誘導体の他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)等の金属錯体等を発光物質と共に用いることができる。
なお、発光層113のように複数の化合物が混合された層は、共蒸着法を用いて形成することができる。ここで、共蒸着とは、一つの処理室内に設けられた複数の蒸着源からそれぞれ原料を気化させ、気化した原料を気相状態で混合し、被処理物上に堆積させる蒸着法をいう。
電子輸送層114および電子注入層115は、それぞれ、実施の形態5と同様である為、本形態では記載を省略する。
以上のような態様の発光素子は、第1の電極101を形成後、その上に、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115を順に積層させて形成した後、第2の電極102を形成する作製方法によって作製することもできるし、または、第2の電極102を形成後、その上に、電子注入層115、電子輸送層114、発光層113、正孔輸送層112、正孔注入層111、を順に積層させて形成した後、第1の電極101を形成する作製方法によって作製することもできる。なお、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法、またはインクジェット法、または塗布法等、いずれの方法で形成されていても構わない。また、第1の電極101または第2の電極102についても、スパッタリング法または蒸着法等、いずれの方法を用いて形成されていても構わない。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、一般式(G−11)または(G−12)で表されるカルバゾール誘導体を用いて作製されている為、酸化反応の繰り返しに起因した発光物質の性質の変化に伴った発光素子の特性変化が少なく、長期間、安定な発光を呈することができる。
なお、一般式(G−10)〜(G−12)で表される発光素子用材料の用途は、実施の形態5、6で説明したような発光層または正孔注入層の形成に限定されるものではなく、例えば正孔輸送層若しくは正孔発生層の形成に用いても構わない。
(実施の形態7)
本発明のカルバゾール誘導体を用いて合成された発光素子用材料を用いた発光素子の一態様について説明する。本形態で説明する発光素子は電極間に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が順に設けられているという点で実施の形態5に記載した発光素子と同様である為、実施の形態5の説明に用いた図1を参照して本形態の発光素子についても説明する。
図1には、第1の電極101と第2の電極102との間に発光層113を有する発光素子が表されている。図1の発光素子では、第1の電極101と発光層113との間に、正孔注入層111と正孔輸送層112とが順に積層されて設けられ、第2の電極102と発光層113との間に、電子輸送層114と電子注入層115とが順に積層されて設けられている。また、第1の電極101と第2の電極102とは、それぞれ、陽極、陰極としての機能を有する。
このような発光素子において、第1の電極101側から注入された正孔と、第2の電極102側から注入された電子とは、発光層113において再結合し、発光層113に含まれている発光物質を励起状態にする。そして、励起状態となった発光物質は基底状態に戻るときに発光する。ここで、発光物質とは発光素子を駆動させたときに所望の発光色を呈する物質である。
以下、第1の電極101、第2の電極102については、実施の形態5と同様である為、本形態では説明を省略する。
正孔注入層111については実施の形態5と同様である為、本形態では説明を省略する。
正孔輸送層112とは、第1の電極101側から注入された正孔を発光層113へ輸送する機能を有する層である。本形態において、正孔輸送層112は一般式(G−11)または(G−12)で表されるカルバゾール誘導体を用いて形成されている。このように、一般式(G−11)または(G−12)で表されるカルバゾール誘導体を用いて形成された正孔輸送層112を設けることによって、第1の電極101側から注入された正孔を効率よく発光層113へ輸送できると共に、発光層113からその他の層への励起エネルギーの移動を防ぐことができる。
発光層113は、実施の形態5若しくは実施の形態6に記載した発光層と同様である為、本形態では記載を省略する。
電子輸送層114および電子注入層115は、それぞれ、実施の形態5と同様である為、本形態では記載を省略する。
以上のような態様の発光素子は、第1の電極101を形成後、その上に、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115を順に積層させて形成した後、第2の電極102を形成する作製方法によって作製することもできるし、または、第2の電極102を形成後、その上に、電子注入層115、電子輸送層114、発光層113、正孔輸送層112、正孔注入層111、を順に積層させて形成した後、第1の電極101を形成する作製方法によって作製することもできる。なお、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法、またはインクジェット法、または塗布法等、いずれの方法で形成されていても構わない。また、第1の電極101または第2の電極102についても、スパッタリング法または蒸着法等、いずれの方法を用いて形成されていても構わない。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、一般式(G−11)または(G−12)で表されるカルバゾール誘導体を用いて作製されている為、酸化反応の繰り返しに起因した発光物質の性質の変化に伴った発光素子の特性変化が少なく、長期間、安定な発光を呈することができる。
(実施の形態8)
実施の形態5〜7において説明した本発明の発光素子は、それぞれ、酸化反応の繰り返しに耐性を有し、長期間、良好な状態で発光させることができる為、本発明の発光素子を用いることによって、長期間に渡り、良好な表示画像等を提供することができる発光装置を得ることができる。また、実施の形態4において説明した本発明の発光素子は色度の良い青色の発光を呈することができる為、本発明の発光素子を用いることによって色度の良い青色の発光を呈し、彩色の優れた画像を映す発光装置を得ることができる。
本形態では、表示機能を有する発光装置の回路構成および駆動方法について図2〜5を用いて説明する。
図2は本発明を適用した発光装置を上面からみた模式図である。図2において、基板6500上には、画素部6511と、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とが設けられている。ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、配線群を介して、外部入力端子であるFPC(フレキシブルプリントサーキット)6503と接続している。そして、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、FPC6503からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。またFPC6503にはプリント配線基盤(PWB)6504が取り付けられている。なお、駆動回路部は、上記のように必ずしも画素部6511と同一基板上に設けられている必要はなく、例えば、配線パターンが形成されたFPC上にICチップを実装したもの(TCP)等を利用し、基板外部に設けられていてもよい。
画素部6511には、列方向に延びた複数のソース信号線が行方向に並んで配列している。また、電流供給線が行方向に並んで配列している。また、画素部6511には、行方向に延びた複数のゲート信号線が列方向に並んで配列している。また画素部6511には、発光素子を含む一組の回路が複数配列している。
図3は、一画素を動作するための回路を表した図である。図3に示す回路には、第1のトランジスタ901と第2のトランジスタ902と発光素子903とが含まれている。
第1のトランジスタ901と、第2のトランジスタ902とは、それぞれ、ゲート電極と、ドレイン領域と、ソース領域とを含む三端子の素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有する。ここで、ソース領域とドレイン領域とは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソース領域またはドレイン領域であるかを限定することが困難である。そこで、本形態においては、ソースまたはドレインとして機能する領域を、それぞれ第1電極、第2電極と表記する。
ゲート信号線911と、書込用ゲート信号線駆動回路913とはスイッチ918によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ゲート信号線911と、消去用ゲート信号線駆動回路914とはスイッチ919によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ソース信号線912は、スイッチ920によってソース信号線駆動回路915または電源916のいずれかに電気的に接続するように設けられている。そして、第1のトランジスタ901のゲートはゲート信号線911に電気的に接続している。また、第1のトランジスタ901の第1電極はソース信号線912に電気的に接続し、第2電極は第2のトランジスタ902のゲート電極と電気的に接続している。第2のトランジスタ902の第1電極は電流供給線917と電気的に接続し、第2電極は発光素子903に含まれる一の電極と電気的に接続している。なお、スイッチ918は、書込用ゲート信号線駆動回路913に含まれていてもよい。またスイッチ919についても消去用ゲート信号線駆動回路914の中に含まれていてもよい。また、スイッチ920についてもソース信号線駆動回路915の中に含まれていてもよい。
また画素部におけるトランジスタや発光素子等の配置について特に限定はないが、例えば図4の上面図に表すように配置することができる。図4において、第1のトランジスタ1001の第1電極はソース信号線1004に接続し、第2の電極は第2のトランジスタ1002のゲート電極に接続している。また第2トランジスタの第1電極は電流供給線1005に接続し、第2電極は発光素子の電極1006に接続している。ゲート信号線1003の一部は第1のトランジスタ1001のゲート電極として機能する。
次に、駆動方法について説明する。図5は時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図である。図5において、横軸方向は時間経過を表し、縦軸方向はゲート信号線の走査段数を表している。
本発明の発光装置を用いて画像表示を行うとき、表示期間においては、画面の書き換え動作と表示動作とが繰り返し行われる。この書き換え回数について特に限定はないが、画像をみる人がちらつき(フリッカ)を感じないように少なくとも1秒間に60回程度とすることが好ましい。ここで、一画面(1フレーム)の書き換え動作と表示動作を行う期間を1フレーム期間という。
1フレーム期間は、図5に示すように、書き込み期間501a、502a、503a、504aと保持期間501b、502b、503b、504bとをそれぞれ含む4つのサブフレーム501、502、503、504に時分割されている。発光するための信号を与えられた発光素子は、保持期間において発光状態となっている。各々のサブフレームにおける保持期間の長さの比は、第1のサブフレーム501:第2のサブフレーム502:第3のサブフレーム503:第4のサブフレーム504=2:2:2:2=8:4:2:1となっている。これによって4ビット階調を表現することができる。但し、ビット数及び階調数はここに記すものに限定されず、例えば8つのサブフレームを設け8ビット階調を行えるようにしてもよい。
1フレーム期間における動作について説明する。まず、サブフレーム501において、1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。従って、行によって書き込み期間の開始時間が異なる。書き込み期間501aが終了した行から順に保持期間501bへと移る。当該保持期間において、発光するための信号を与えられている発光素子は発光状態となっている。また、保持期間501bが終了した行から順に次のサブフレーム502へ移り、サブフレーム501の場合と同様に1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。以上のような動作を繰り返し、サブフレーム504の保持期間504b迄終了する。サブフレーム504における動作を終了したら次のフレームへ移る。このように、各サブフレームにおいて発光した時間の積算時間が、1フレームにおける各々の発光素子の発光時間となる。この発光時間を発光素子ごとに変えて一画素内で様々に組み合わせることによって、明度および色度の異なる様々な表示色を形成することができる。
サブフレーム504のように、最終行目までの書込が終了する前に、既に書込を終え、保持期間に移行した行における保持期間を強制的に終了させたいときは、保持期間504bの後に消去期間504cを設け、強制的に非発光の状態となるように制御することが好ましい。そして、強制的に非発光状態にした行については、一定期間、非発光の状態を保つ(この期間を非発光期間504dとする。)。そして、最終行目の書込期間が終了したら直ちに、一行目から順に次の(またはフレーム)の書込期間に移行する。これによって、サブフレーム504の書き込み期間と、その次のサブフレームの書き込み期間とが重畳することを防ぐことができる。
なお、本形態では、サブフレーム501乃至サブフレーム504は保持期間の長いものから順に並んでいるが、必ずしも本実施例のような並びにする必要はなく、例えば保持期間の短いものから順に並べられていてもよいし、または保持期間の長いものと短いものとがランダムに並んでいてもよい。また、サブフレームは、さらに複数のフレームに分割されていてもよい。つまり、同じ映像信号を与えている期間、ゲート信号線の走査を複数回行ってもよい。
ここで、書込期間および消去期間における、図3で示す回路の動作について説明する。
まず書込期間における動作について説明する。書込期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ918を介して書込用ゲート信号線駆動回路913と電気的に接続し、消去用ゲート信号線駆動回路914とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介してソース信号線駆動回路と電気的に接続している。ここで、n行目(nは自然数)のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に映像信号が入力される。なお、各列のソース信号線912から入力される映像信号は互いに独立したものである。ソース信号線912から入力された映像信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902に入力された信号によって、発光素子903は発光または非発光が決まる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。
次に消去期間における動作について説明する。消去期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ919を介して消去用ゲート信号線駆動回路914と電気的に接続し、書込用ゲート信号線駆動回路913とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介して電源916と電気的に接続している。ここで、n行目のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に消去信号が入力される。ソース信号線912から入力された消去信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902に入力された信号によって、電流供給線917から発光素子903への電流の供給が阻止される。そして、発光素子903は強制的に非発光となる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。
なお、消去期間では、n行目(nは自然数)については、以上に説明したような動作によって消去する為の信号を入力する。しかし、前述のように、n行目が消去期間であると共に、他の行(m行目(mは自然数)とする。)については書込期間となる場合がある。このような場合、同じ列のソース信号線を利用してn行目には消去の為の信号を、m行目には書込の為の信号を入力する必要があるため、以下に説明するような動作させることが好ましい。
先に説明した消去期間における動作によって、n行目の発光素子903が非発光となった後、直ちに、ゲート信号線と消去用ゲート信号線駆動回路914とを非接続の状態とすると共に、スイッチ918を切り替えてソース信号線とソース信号線駆動回路915と接続させる。そして、ソース信号線とソース信号線駆動回路915とを接続させる共に、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913とを接続させる。そして、書込用ゲート信号線駆動回路913からm行目の信号線に選択的に信号が入力され、第1のトランジスタがオンすると共に、ソース信号線駆動回路915からは、1列目から最終列目迄のソース信号線に書込の為の信号が入力される。この信号によって、m行目の発光素子は、発光または非発光となる。
以上のようにしてm行目について書込期間を終えたら、直ちに、n+1行目の消去期間に移行する。その為に、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、スイッチ918を切り替えてソース信号線を電源916と接続する。また、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、ゲート信号線については、消去用ゲート信号線駆動回路914と接続状態にする。そして、消去用ゲート信号線駆動回路914からn+1行目のゲート信号線に選択的に信号を入力して第1のトランジスタに信号をオンする共に、電源916から消去信号が入力される。このようにして、n+1行目の消去期間を終えたら、直ちに、m行目の書込期間に移行する。以下、同様に、消去期間と書込期間とを繰り返し、最終行目の消去期間まで動作させればよい。
なお、本形態では、n行目の消去期間とn+1行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設ける態様について説明したが、これに限らず、n−1行目の消去期間とn行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設けてもよい。
また、本形態では、サブフレーム504のように非発光期間504dを設けるときおいて、消去用ゲート信号線駆動回路914と或る一のゲート信号線とを非接続状態にすると共に、書込用ゲート信号線駆動回路913と他のゲート信号線とを接続状態にする動作を繰り返している。このような動作は、特に非発光期間を設けないフレームにおいて行っても構わない。
(実施の形態9)
本発明の発光素子を含む発光装置の一態様について、図6の断面図を用いて説明する。
図6において、点線で囲まれているのは、本発明の発光素子12を駆動するために設けられているトランジスタ11である。発光素子12は、実施の形態5、6で説明したような、第1の電極13と第2の電極14との間に層15を有し、該層15において本発明のカルバゾール誘導体を用いて製造された本発明の発光素子用材料を用いて形成された発光層および/または正孔注入層を含む発光素子である。また、実施の形態7で説明したような、本発明のカルバゾール誘導体を用いて形成された正孔輸送層を有する発光素子12であっても良い。トランジスタ11のドレインと第1の電極13とは、第1層間絶縁膜16(16a、16b、16c)を貫通している配線17によって電気的に接続されている。また、発光素子12は、隔壁層18によって、隣接して設けられている別の発光素子と分離されている。このような構成を有する本発明の発光装置は、本形態において、基板10上に設けられている。
なお、図6に示されたトランジスタ11は、半導体層を中心として基板と逆側にゲート電極が設けられたトップゲート型のものである。但し、トランジスタ11の構造については、特に限定はなく、例えばボトムゲート型のものでもよい。またボトムゲートの場合には、チャネルを形成する半導体層の上に保護膜が形成されたもの(チャネル保護型)でもよいし、或いはチャネルを形成する半導体層の一部が凹状になったもの(チャネルエッチ型)でもよい。
また、トランジスタ11を構成する半導体層は、結晶性、非結晶性のいずれのものでもよい。また、セミアモルファス等でもよい。
なお、セミアモルファス半導体とは、次のようなものである。非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるものである。また少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでいる。ラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしている。X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端するために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。所謂微結晶半導体(マイクロクリスタル半導体)とも言われている。珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪化物気体としては、SiH、その他にもSi、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiFなどを用いることができる。この珪化物気体をH、又は、HとHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHz、基板加熱温度は300℃以下でよく、好ましくは100〜250℃、膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020/cm以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm以下、好ましくは1×1019/cm以下とする。
また、半導体層が結晶性のものの具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、或いはシリコンゲルマニウム等から成るものが挙げられる。これらはレーザー結晶化によって形成されたものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によって形成されたものでもよい。
なお、半導体層が非晶質の物質、例えばアモルファスシリコンで形成される場合には、トランジスタ11およびその他のトランジスタ(発光素子を駆動するための回路を構成するトランジスタ)は全てNチャネル型トランジスタで構成された回路を有する発光装置であることが好ましい。それ以外については、Nチャネル型またはPチャネル型のいずれか一のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよいし、両方のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよい。
さらに、第1層間絶縁膜16は、図6(A)、(B)、(C)に示すように多層でもよいし、または単層でもよい。なお、第1層間絶縁膜16aは酸化珪素や窒化珪素のような無機物から成り、第1層間絶縁膜16bはアクリルやシロキサン(シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、フルオロ基または水素または有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)を有する。)または塗布成膜可能な酸化珪素等物質を用いて形成されている。さらに、第1層間絶縁膜16cはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜から成る。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質を用いて形成された層をさらに組み合わせてもよい。このように、第1層間絶縁膜16は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよい。
隔壁層18は、エッジ部において、曲率半径が連続的に変化する形状であることが好ましい。また隔壁層18は、アクリルやシロキサン、レジスト、酸化珪素等を用いて形成される。なお隔壁層18は、無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよいし、または両方を用いて形成されたものでもよい。
なお、図6(A)、(C)では、第1層間絶縁膜16のみがトランジスタ11と発光素子12の間に設けられた構成であるが、図6(B)のように、第1層間絶縁膜16(16a、16b)の他、第2層間絶縁膜19(19a、19b)が設けられた構成のものであってもよい。図6(B)に示す発光装置においては、第1の電極13は第2層間絶縁膜19を貫通し、配線17と接続している。
第2層間絶縁膜19は、第1層間絶縁膜16と同様に、多層でもよいし、または単層でもよい。19aはアクリルやシロキサン、または塗布成膜可能な酸化珪素等の物質を用いて形成されている。さらに、第2層間絶縁膜19bはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜を用いて形成されている。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質を用いて形成された層をさらに組み合わせてもよい。このように、第2層間絶縁膜19は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機物と有機物のいずれか一で形成されたものでもよい。
発光素子12において、第1の電極および第2の電極がいずれも透光性を有する物質で構成されている場合、図6(A)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側と第2の電極14側の両方から発光を取り出すことができる。また、第2の電極14のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図6(B)の白抜きの矢印で表されるように、第2の電極14側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第1の電極13は反射率の高い材料で構成されているか、または反射率の高い材料を用いて形成された膜(反射膜)が第1の電極13の下方に設けられていることが好ましい。また、第1の電極13のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図6(C)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第2の電極14は反射率の高い材料で構成されているか、または反射膜が第2の電極14の上方に設けられていることが好ましい。
また、発光素子12は、第1の電極13の電位よりも第2の電極14の電位が高くなるように電圧を印加したときに動作するように層15が積層されたものであってもよいし、或いは、第1の電極13の電位よりも第2の電極14の電位が低くなるように電圧を印加したときに動作するように層15が積層されたものであってもよい。前者の場合、トランジスタ11はNチャネル型トランジスタであり、後者の場合、トランジスタ11はPチャネル型トランジスタである。
(実施の形態10)
実施の形態5〜7において説明した本発明の発光素子は、それぞれ、酸化反応の繰り返しに耐性を有し、長期間、良好な状態で発光させることができる為、本発明の発光素子を用いることによって、長期間に渡り、良好な表示画像等を提供することができる発光装置を得ることができる。また、実施の形態4において説明した本発明の発光素子は色度の良い青色の発光を呈することができる為、本発明の発光素子を用いることによって色度の良い青色の発光を呈し、彩色の優れた画像を映す発光装置を得ることができる。
本実施の形態では、本発明を適用したパッシブ型の発光装置について図7(A)、(B)を用いて説明する。図7(A)、(B)は、それぞれ、本発明を適用したパッシブ型の発光装置の斜視図と上面図である。特に、図7(A)は、図7(B)の点線958で囲まれた部分について斜視した図である。図7(A)、(B)のそれぞれにおいて、対応するものは同一の符号を用いて表している。図7(A)において、基板951上には、複数の第1の電極952が並列に設けられている。第1の電極952それぞれの端部は、隔壁層953で覆われている。なお、図7(A)では、第1の基板951上に設けられた第1の電極と隔壁層953とが配置されている様子を分かり易くする為に最も手前に位置している第1の電極952を覆う隔壁層については図示していないが、実際には最も手前に位置している第1の電極952においても隔壁層によってエッジは覆われている。第1の電極952の上方には複数の第2の電極955が、第1の電極952と交差するように並列に設けられている。第1の電極952と第2の電極955との間には層954が設けられている。層954は、本発明のカルバゾール誘導体を用いて製造された本発明の発光素子用材料を用いて形成された発光層および/または正孔注入層を含む層である。また、本発明のカルバゾール誘導体を用いて形成された正孔輸送層を有する層954であっても良い。なお、層954は、発光層のみを含む単層であってもよいし、発光層の他、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等を含む多層であってもよい。第2の電極955の上には第2の基板959が設けられている。
図7(B)に表されるように、第1の電極952は第1の駆動回路956に接続し、第2の電極955は第2の駆動回路957に接続している。第1の電極952と第2の電極955とが交差した部分は、電極間に発光層を挟んでなる本発明の発光素子を構成している。そして、第1の駆動回路956および第2の駆動回路957からの信号によって選択された本発明の発光素子が発光する。発光は、第1の電極952及び/又は第2の電極955を介して外部へ取り出される。そして、複数の発光素子からの発光が組み合わさり映像が映し出される。なお、図7(B)では、第1の電極952及び第2の電極955それぞれの配置を分かり易くする為に隔壁層953及び第2の基板959については図示していないが、図7(A)に表されているように、実際にはこれらも設けられている。
第1の電極952、第2の電極955を形成する材料については特に限定はないが、いずれか一方の電極若しくは両方の電極が、可視光を透過できるように透明導電材料を用いて形成されていることが好ましい。また、第1の基板951及び第2の基板959の材質についても特に限定はなく、それぞれガラス基板等の他、プラスチック等の樹脂を用いての可撓性を有する材料を用いて形成されていてもよい。隔壁層953についても特に限定はなく、無機物若しくは有機物のいずれかを用いて形成されていてもよいし、若しくは無機物と有機物の両方を用いて形成されていてもよい。この他、シロキサンを用いて隔壁層953が形成されていてもよい。
なお、層954は、異なる色の発光を呈する発光素子ごとに独立して設けられていてもよい。例えば、赤、緑、青のそれぞれを発光する発光素子ごとに別に層954を設けることによって多色表示が可能な発光装置を得ることができる。
(実施の形態11)
本発明の発光素子用材料用いて作製された発光素子を有する発光装置は、酸化反応の繰り返しに耐性を有し、長期間、良好な状態で発光動作させることができる。従って、そのような本発明の発光装置を表示部若しくは照明部に用いることで、長期間に渡り良好な表示画像を提供できる電子機器、あるいは長期間に渡り良好に照明させることのできる電子機器を得ることができる。
本発明を適用した発光装置を実装した電子機器の一実施形態を図8に示す。
図8(A)は、本発明を適用して作製したパーソナルコンピュータであり、本体5521、筐体5522、表示部5523、キーボード5524などによって構成されている。実施の形態5〜7で説明したような本発明の発光素子を画素として用いた発光装置(例えば実施の形態8〜10で説明したよう構成を含む発光装置)を表示部として組み込むことで、表示部における欠陥が少なく表示画像の誤認がなく、また色彩の優れた表示画像を提供できるパーソナルコンピュータを完成できる。また、本発明の発光素子を光源として用いた発光装置を、バックライトとして組み込んでもパーソナルコンピュータを完成させることができる。具体的には、図9に示すように、筐体5511と筐体5514とに液晶装置5512と発光装置5513とが嵌め込まれた照明装置を表示部として組み込めばよい。なお、図9において、液晶装置5512には外部入力端子5515が装着されており、発光装置5513には、外部入力端子5516が装着されている。
図8(B)は、本発明を適用して作製した電話機であり、本体5552は表示部5551と、音声出力部5554、音声入力部5555、操作スイッチ5556、5557、アンテナ5553等によって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことで、表示部における欠陥が少なく表示画像の誤認がなく、また色彩の優れた表示画像を提供できる電話機を完成できる。
図8(C)は、本発明を適用して作製したテレビ受像機であり、表示部5531、筐体5532、スピーカー5533などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことで、表示部における欠陥が少なく表示画像の誤認がなく、また色彩の優れた表示画像を提供できるテレビ受像機を完成できる。
図8(D)は、本発明を適用して作製した録画再生機であり、本体5541、表示部5542、音声入力部5543、操作スイッチ部5544、バッテリ部5545、受像部5546などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことで、表示部における欠陥が少なく表示画像の誤認がなく、また色彩の優れた表示画像を提供できる録画再生機を完成できる。
以上のように本発明の発光装置は、各種電子機器の表示部として用いるのに非常に適している。なお、電子機器は、本形態で述べたものに限定されるものではなく、ナビゲーション装置等、その他の電子機器であってもよい。
本発明の一実施例として本発明のカルバゾール誘導体の合成について以下に説明する。
(合成例1)
構造式(1)で表される3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾール(略称:PCA)の合成について説明する。
先ず、N−フェニルカルバゾール24.3g(100mmol)を氷酢酸600mLに溶かし、N−ブロモコハク酸イミド17.8g(100mmol)をゆっくり加え、室温で約20時間撹拌した。この氷酢酸溶液を氷水1Lに撹拌しながら滴下した。析出した白色固体を水で3回洗浄した。この固体をジエチルエーテル150mLに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを濾過し、得られたろ液を濃縮した。得られた残渣にメタノールを約50mLを加え、超音波を照射して均一に溶解させた。この溶液を静置することで白色固体を析出した。これを濾過し、ろ物を乾燥させる事で、白色粉末の3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールを28.4g(収率88%)を得た。
また、3−ブロモ−9−フェニルカルバゾールの合成スキーム(f−1)を次に示す。
Figure 2007063258
次に、窒素下で、3−ブロモ−9−フェニルカルバゾール19g(60mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(略称:Pd(dba))340mg(0.6mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(略称:DPPF)1.6g(3.0mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド(略称:tert−BuONa)13g(180mmol)の混合物に、脱水キシレン110mL、アニリン7.0g(75mmol)を加えた。これを窒素雰囲気下にて90℃、7.5時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液に50℃に温めたトルエンを約500mL加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、この残渣をヘキサン−酢酸エチルを加えて超音波を照射した。得られた懸濁液を濾過し、このろ物を乾燥し、クリーム色の粉末を15g得た(収率75%)。核磁気共鳴法(H−NMR)によって、このクリーム色粉末が3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾール(略称:PCA)であることを確認した。
この化合物のH−NMRを次に示す。また、H−NMRチャートを図10(A)、(B)に示す。なお、図10(B)は、図10(A)における5.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
H−NMR(300MHz、CDCl);δ=6.84(t、J=6.9Hz、1H)、6.97(d、J=7.8Hz、2H)、7.20−7.61(m、13H)、7.90(s、1H)、8.04(d、J=7.8Hz、1H)
また、重溶媒にDMSOを用いた際のH−NMRのデータを以下に、H−NMRチャートを図73に示す。なお、図73(B)は、図73(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
H−NMR(300MHz、DMSO−d);δ=6.73(t、J=7.5Hz、1H)、7.02(d、J=8.1Hz、2H)、7.16−7.70(m、12H)、7.95(s、1H)、8.06(s、1H)、8.17(d、J=7.8Hz、1H)
次に、重溶媒にDMSOを用いた際の13C−NMRのデータを以下に、13C−NMRチャートを図74に示す。なお、図74(B)は、図74(A)における100ppm〜150ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
13C−NMR(75.5MHz、DMSO−d):δ=109.55、110.30、110.49、114.71、118.22、119.70、120.14、120.61、122.58、123.35、126.18、126.48、127.37、129.15、130.14、135.71、136.27、137.11、140.41、145.61
また、3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾールの合成スキーム(f−2)を次に示す。
Figure 2007063258
(合成例2)
構造式(2)で表される3−[N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCN)の合成方法について説明する。
窒素下で、3−ヨード−9−フェニルカルバゾールを3.7g(10mmol)、1−アミノナフタレン1.6g(5 mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)60mg(0.1mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィンを49w%含むヘキサン溶液200μL(0.5mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド3g(30mmol)の混合物に、脱水キシレン12mLを加えた。これを窒素雰囲気下にて90℃、7時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液に温トルエン約200mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて分取した。得られた固体を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶を行い、クリーム色粉末の3−[N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCN)を得た(1.5g、収率79%だった。)。
NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(300MHz、DMSO−d);δ=7.13−7.71(m、15H)、7.85−7.88(m、1H)、8.03(s、1H)、8.15(d、J=7.8Hz、1H)、8.24(s、1H)、8.36−8.39(m、1H)
また、H−NMRのチャートを図11(A)に、図11(A)における6.50〜8.50ppmの範囲を拡大したチャートを図11(B)に示す。
3−[N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾールの合成スキーム(g−1)を次に示す。
Figure 2007063258
(合成例3)
合成例1において合成したPCAを用いた本発明の一実施例として、9,10−ビス{4−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−2−tert−ブチルアントラセン(略称:PCABPA)の合成について説明する。
[ステップ1]
9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセンの合成方法について説明する。
窒素気流下、5.0gの1,4−ジブロモベンゼンの脱水エーテル溶液(200mL)に−78℃において1.58mol/Lのブチルリチウムヘキサン溶液(13.4mL)を滴下した。滴下終了後、同温度にて1時間攪拌した。−78℃にて2−tert−ブチルアントラキノン(2.80g)の脱水エーテル溶液(40mL)を滴下し、その後反応溶液をゆっくり室温まで昇温した。約18時間室温で攪拌した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン−酢酸エチル)によって精製し、化合物を5.5gの重量で得た。
得られた化合物を核磁気共鳴法(H−NMR)によって測定したところ、9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセンであることが確認できた。
この化合物のH−NMRを次に示す。
H−NMR(300MHz、CDCl);δ=1.31(s、9H)、2.81(s、1H)、2.86(s、1H)、6.82−6.86(m、4H)、7.13−7.16(m、4H)、7.36−7.43(m、3H)、7.53−7.70(m、4H)
また、9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセンの合成スキーム(h−1)を次に示す。
Figure 2007063258
大気下、上記のようにして合成した9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチル−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロアントラセン987mg(1.55mmol)、ヨウ化カリウム664mg(4mmol)、ホスフィン酸ナトリウム一水和物を1.48g(14mmol)を、氷酢酸12mLにて懸濁し、2時間還流加熱撹拌した。室温まで冷ましたのち、生じた析出物を濾過し、得られた固体をメタノール約50mLで洗浄した。得られた固体を乾燥させてクリーム色粉末の化合物700mgを得た。収率は82%だった。この化合物を核磁気共鳴法(H−NMR、13C−NMR)によって測定したところ、9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセンであることが確認できた。
この化合物のH−NMRと13C−NMRとを次に示す。
H−NMR(300MHz、CDCl);δ=1.28(s、9H)、7.25−7.37(m、6H)、7.44−7.48(m、1H)7.56−7.65(m、4H)、7.71−7.76(m、4H)
13C−NMR(74MHz、CDCl);δ=30.8、35.0、120.8、121.7、121.7、124.9、125.0、125.2、126.4、126.6、126.6、128.3、129.4、129.7、129.9、131.6、131.6、133.0、133.0、135.5、135.7、138.0、138.1、147.8
また、9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセンの合成スキーム(h−2)を次に示す。
Figure 2007063258
[ステップ2]
9,10−ビス{4−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−2−tert−ブチルアントラセン(略称:PCABPA)の合成方法について説明する。
窒素下で、9,10−ビス(4−ブロモフェニル)−2−tert−ブチルアントラセン540mg(1.0mmol)、3−(N−フェニルアミノ)−9−フェニルカルバゾール670mg(2.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)12mg(0.02mmol)、1,1−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン110mg(0.2mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド600mg(6.2mmol)の混合物に脱水トルエン10mLを加えた。これを窒素雰囲気下で90℃、5時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液にトルエン約100mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて分取した。これを濃縮し、得られた残渣をジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行った。このようにして500mgの黄色粉末を得た(収率48%)。核磁気共鳴法(H−NMR)によって、この黄緑色粉末が9,10−ビス{4−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−2−tert−ブチルアントラセン(略称:PCABPA)であることを確認した。
この化合物のH−NMRを次に示す。また、H−NMRチャートを図12(A)、(B)に示す。なお、図12(B)は、図12(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
H−NMR(300MHz、DMSO−d);δ=3.33(s、9H)、6.98−7.79(m、44H)、8.16−8.27(m、4H)
また、PCABPAの合成スキーム(i−1)を次に示す。
Figure 2007063258
また、PCABPAの吸収スペクトルを図13に示す。測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。図13において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。また、(a)は、単膜状態における吸収スペクトルであり、(b)はトルエン溶液に溶解させた状態における吸収スペクトルである。なお、溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着することでサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルである。また、PCABPAの発光スペクトルを図14に示す。図14において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。また、(a)は、単膜状態における発光スペクトル(励起波長352nm)であり、(b)はトルエン溶液に溶解させた状態における発光スペクトル(励起波長390nm)である。図14から、PCABPAからの発光は、単膜状態において488nmにピークを有し、トルエン溶液中において472nmにピークを有することが分かる。そしてこれらの発光は、青色系の発光色として視認された。
また、得られたPCABPAを蒸着法によって成膜し、薄膜状態における当該化合物のイオン化ポテンシャルを、光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)を用いて測定したところ、5.31eVであった。この結果からHOMO準位は−5.31eVであることが分かった。また、薄膜状態における当該化合物の吸収スペクトル(図13における(a))の長波長側の吸収端の波長をエネルギーギャップ(2.77eV)とし、LUMO準位を求めたところ、LUMO準位は−2.54eVであった。
さらに、得られたPCABPAの分解温度Tを示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製,TG/DTA 320型)により測定したところ、T=485℃であり、良好な耐熱性を示すことが分かった。なお、Tは、常圧下で、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度を言う。
また、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定により、PCABPAの酸化・還元反応特性について調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象であるPCABPAを1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、基準電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。
酸化反応特性については次のようにして調べた。
基準電極に対する作用電極の電位を−0.01から0.6Vまで変化させた後、0.6Vから−0.01Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
還元反応特性については次のようにして調べた。
基準電極に対する作用電極の電位を−0.9から−2.7Vまで変化させた後、−2.7Vから−0.9Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
PCABPAの酸化反応特性について調べた結果を図15(A)に示す。また、PCABPAの還元反応特性について調べた結果を図15(B)に示す。図15(A)、(B)において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(1×10−5A)を表す。
図15(A)から、サイクリックボルタンメトリにおいて酸化を示す電流が最大になる時の電位(以下、酸化ピーク電位ともいう)は0.42V(vs.Ag/Ag電極)であることが分かった。また、図15(B)からサイクリックボルタンメトリにおいて還元を示す電流が最大になる時の電位(以下、還元ピーク電位ともいう)は−2.39V(vs.Ag/Ag電極)であることが分かった。また、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応と還元反応のいずれについてもCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明のアントラセン誘導体は酸化・還元反応に対して極めて安定であることが分かった。
(合成例4)
合成例1において合成したPCAを用いた本発明の一実施例として、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)の合成について説明する。
[ステップ1]
3−ヨード−9−フェニルカルバゾールの合成方法について説明する。3−ヨード−9−フェニルカルバゾールの合成スキームを(j−1)に示す。
Figure 2007063258
9−フェニルカルバゾール24.3g(100mmol)を氷酢酸600mLに溶かし、N−ヨードコハク酸イミド22.5g(100mmol)をゆっくり加え、室温で約20時間撹拌した。生じた析出物を濾過し、ろ物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、メタノールで洗浄した後、乾燥させた。白色粉末の3−ヨード−9−フェニルカルバゾール24.7g(収率67%)を得た。
なお、3−ヨード−9−フェニルカルバゾールは次のような合成方法で合成することもできる。
N−フェニルカルバゾール10g(10.0mmol)、ヨウ化カリウム838mg(5.0mmol)、ヨウ素酸カリウム1.1g(5.0mmol)、氷酢酸30mLを三口フラスコに入れ、120℃で1時間還流した。反応後、反応溶液を十分さましてから水に加えて、トルエンで抽出し、有機層を飽和食塩水で1回洗浄してから硫酸マグネシウムにより乾燥した。溶液を自然濾過し、ろ液を濃縮してから、アセトン、メタノールにより再結晶したところ、目的物の白色固体を8.0gを得た(収率50%)。合成スキームを(j−2)に示す。
Figure 2007063258
[ステップ2]
3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)の合成方法について説明する。PCzPCA1の合成スキームを(j−3)に示す。
Figure 2007063258
窒素下で、3−ヨード−9−フェニルカルバゾールを3.7g(10mmol)、PCAを3.4g(10mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を57mg(0.1mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィンを49w%含むヘキサン溶液200μL(0.5mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシドを3.0g(30mmol)を混合した混合物に、脱水キシレン40mLを加えた。これを窒素雰囲気下にて90℃、6.5時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液に温トルエン約500mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて分取した。これを濃縮し、得られた残渣に酢酸エチル−ヘキサンを加えて再結晶を行った。クリーム色粉末の3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾールを3.2g(収率56%)得た。
NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(300MHz、DMSO−d);δ=6.85(t、J=7.5Hz、3H)、6.92(d、J=7.8Hz、2H)、7.17−7.70(m、22H)、8.05(d、J=2.1Hz、2H)、8.12(d、J=7.8Hz、2H)
また、H−NMRのチャートを図16(A)に、図16(A)における6.50〜8.50ppmの部分を拡大したものを図16(B)に示す。
得られたPCzPCA1の熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。その結果を図17に示す。図17において、左側の縦軸は熱量(μV)を表し、右側の縦軸は重量(%;測定開始時の重量を100%として表した重量)を表す。さらに、下側の横軸は、温度(℃)を表す。なお、測定には示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子工業株式会社製,TG/DTA 320型)を用い、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で熱物性を評価した。その結果、重量と温度の関係(熱重量測定)から、常圧下で、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度Tdは、375℃であった。
また、PCzPCA1のトルエン溶液およびPCzPCA1の薄膜の吸収スペクトルを図18に示す。測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。図18において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。また、(a)は、単膜状態における吸収スペクトルであり、(b)はトルエン溶液に溶解させた状態における吸収スペクトルである。なお、溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着することでサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルである。また、トルエン溶液中におけるPCzPCA1の発光スペクトルおよび単膜状態でのPCzPCA1の発光スペクトルをそれぞれ図19に示す。図19において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。なお、(a)は、単膜状態における発光スペクトル(励起波長325nm)であり、(b)はトルエン溶液に溶解させた状態における発光スペクトル(励起波長380nm)である。図19から、PCzPCA1からの発光は、単膜状態において435nmにピークを有し、トルエン溶液中において443nmにピークを有することが分かる。
また、得られたPCzPCA1を蒸着法によって成膜し、薄膜状態における当該化合物のイオン化ポテンシャルを、光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)を用いて測定したところ、5.17eVであった。この結果からHOMO準位は−5.17eVであることが分かった。また、薄膜状態における当該化合物の吸収スペクトル(図18における(a))の長波長側の吸収端の波長をエネルギーギャップ(3.35eV)とし、LUMO準位を求めたところ、LUMO準位は−1.82eVであった。
また、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定により、PCzPCA1の酸化反応特性について調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象であるPCzPCA1を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、基準電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。
酸化反応特性については次のようにして調べた。
基準電極に対する作用電極の電位を−0.16から0.5Vまで変化させた後、0.5Vから−0.16Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
PCzPCA1の酸化反応特性について調べた結果を図20に示す。図20において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(1×10−6A)を表す。
図20から酸化ピーク電位は0.27V(vs.Ag/Ag電極)であることが分かった。また、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応においてはCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明のカルバゾール誘導体は酸化反応に対して極めて安定であることが分かった。
また、得られた化合物PCzPCA1のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DSC:Differencial Scanning Calorimetry、パーキンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。DSCによる測定結果を図21に示す。測定結果から、得られた化合物のガラス転移温度は112℃であることが分かった。このように、得られた化合物は、112℃という高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、図21において、得られた化合物の結晶化を表すピークは存在せず、得られた化合物は結晶化し難い物質であることが分かった。
(合成例5)
合成例1において合成したPCAを用いた本発明の一実施例として、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)の合成について説明する。
[ステップ1]
3,6−ジヨード−9−フェニルカルバゾールの合成方法について説明する。3,6−ジヨード−9−フェニルカルバゾールの合成スキームを(k−1)に示す。
Figure 2007063258
9−フェニルカルバゾール24.3g(100mmol)を氷酢酸700mlに溶かし、N−ヨードコハク酸イミド44.9g(200mmol)をゆっくり加え、室温で約20時間撹拌した。生じた析出物を濾過し、ろ物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水、メタノールで洗浄した後、乾燥させた。白色粉末の3,6−ジヨード−9−フェニルカルバゾール47.0g(収率95%)を得た。
[ステップ2]
3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)の合成方法について説明する。PCzPCA2の合成スキームを(k−2)に示す。
Figure 2007063258
窒素下で、3,6−ジヨード−9−フェニルカルバゾール2.5g(5mmol)、PCA3.4g(10mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)30mg(0.05mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィンを49w%含むヘキサン溶液200μL(0.5mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド3.0g(30mmol)の混合物に、脱水キシレン30mLを加えた。これを窒素雰囲気下にて90℃、6.5時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液に温トルエン約500mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて分取した。これを濃縮し、得られた残渣に酢酸エチル−ヘキサンを加えて再結晶を行った。クリーム色粉末の3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール2.5g(収率55%)を得た。
NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(300MHz、DMSO−d);δ=6.74−6.80(m、6H)、7.08−7.64(m、33H)、7.94−8.04(m、6H)
また、H−NMRのチャートを図22(A)に、図22(A)における6.50〜8.50ppmの部分を拡大したものを図22(B)に示す。
得られたPCzPCA2の熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。その結果を図23に示す。図23において、左側の縦軸は熱量(μV)を表し、右側の縦軸は重量(%;測定開始時の重量を100%として表した重量)を表す。さらに、下側の横軸は、温度(℃)を表す。なお、測定には示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子工業株式会社製,TG/DTA 320型)を用い、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で熱物性を評価した。その結果、重量と温度の関係(熱重量測定)から、常圧下で、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度Tは、476℃であった。
また、PCzPCA2のトルエン溶液およびPCzPCA2の薄膜の吸収スペクトルを図24に示す。測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。図24において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。また、(a)は、単膜状態における吸収スペクトルであり、(b)はトルエン溶液に溶解させた状態における吸収スペクトルである。なお、溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着することでサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルである。また、PCzPCA2の発光スペクトルを図25に示す。図25において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。また、(a)は、単膜状態における発光スペクトル(励起波長320nm)であり、(b)はトルエン溶液に溶解させた状態における発光スペクトル(励起波長325nm)である。図25から、PCzPCA2からの発光は、単膜状態において449nmにピークを有し、トルエン溶液中において442nmにピークを有することが分かる。
また、得られたPCzPCA2を蒸着法によって成膜し、薄膜状態における当該化合物のイオン化ポテンシャルを、光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)を用いて測定したところ、5.10eVであった。この結果からHOMO準位は−5.10eVであることが分かった。また、薄膜状態における当該化合物の吸収スペクトル(図25における(a))の長波長側の吸収端の波長をエネルギーギャップ(3.35eV)とし、LUMO準位を求めたところ、LUMO準位は−1.75eVであった。
また、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定により、PCzPCA2の酸化特性について調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象であるPCzPCA2を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、基準電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。
酸化反応特性については次のようにして調べた。基準電極に対する作用電極の電位を−0.01から0.33Vまで変化させた後、0.33Vから−0.01Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
PCzPCA2の酸化反応特性について調べた結果を図26に示す。図26において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(1×10−6A)を表す。図26から酸化ピーク電位は0.22V(vs.Ag/Ag電極)であることが分かった。また、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応においてはCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明のカルバゾール誘導体は酸化に対して極めて安定であることが分かった。
また、得られた化合物PCzPCA2のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DSC:Differencial Scanning Calorimetry、パーキンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。DSCによる測定結果を図27に示す。測定結果から、得られた化合物のガラス転移温度は168℃であることが分かった。このように、得られた化合物は、168℃という高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、図27において、得られた化合物の結晶化を表すピークは存在せず、得られた化合物は結晶化し難い物質であることが分かった。
合成例2において合成したPCNを用いた本発明の一実施例として、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)の合成について説明する。
PCzPCN1の合成スキームを(l−1)に示す。
Figure 2007063258
窒素下で、3−ヨード−9−フェニルカルバゾールを1.8g(5mmol)、PCNを2.5g(6.6mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)を30mg(0.05mmol)、トリ−tert−ブチルホスフィンを49w%含むヘキサン溶液を200μL(0.5mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシドを700mg(7mmol)を混合した混合物に、脱水キシレン7mLを加えた。これを窒素雰囲気下にて90℃、4.5時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液に温トルエン約500mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて分取した。得られた固体を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶を行った。黄色粉末のPCzPCN1を2.1g(収率62%)を得た。
NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(300MHz、DMSO−d);δ=7.04−7.65(m、24H)、7.78(d、J=8.4Hz、1H)、7.82(d、J=2.1Hz、2H)、7.88(d、J=7.8Hz、2H)、7.95(d、J=8.4Hz、1H)、8.10(d、J=9.0Hz、1H)
また、H−NMRのチャートを図28(A)に、図28(A)における6.50〜8.50ppmの部分を拡大したものを図28(B)に示す。
得られたPCzPCN1の熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を実施例1および実施例2と同様に行った。その結果を図29に示す。図29において、左側の縦軸は熱量(μV)を表し、右側の縦軸は重量(%;測定開始時の重量を100%として表した重量)を表す。さらに、下側の横軸は、温度(℃)を表す。なお、測定には示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子工業株式会社製,320型)を用い、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で熱物性を評価した。その結果、重量と温度の関係(熱重量測定)から、常圧下で、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度Tは、400℃であった。
また、PCzPCN1のトルエン溶液およびPCzPCN1の薄膜の吸収スペクトルを図30に示す。測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。図30において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。なお、溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着することでサンプルを作製し、それぞれ石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルである。また、PCzPCN1の発光スペクトルを図31に示す。図31において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。また、(a)は、単膜状態における発光スペクトル(励起波長320nm)であり、(b)はトルエン溶液に溶解させた状態における発光スペクトル(励起波長320nm)である。図31から、PCzPCN1からの発光は、単膜状態において485nmにピークを有し、トルエン溶液中において475nmにピークを有することが分かる。
また、得られたPCzPCN1を蒸着法によって成膜し、薄膜状態における当該化合物のイオン化ポテンシャルを、光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)を用いて測定したところ、5.15eVであった。この結果からHOMO準位は−5.15eVであることが分かった。また、薄膜状態における当該化合物の吸収スペクトル(図31における(a))の長波長側の吸収端の波長をエネルギーギャップ(2.82eV)とし、LUMO準位を求めたところ、LUMO準位は−2.33eVであった。
また、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定により、PCzPCN1の酸化特性について調べた。なお測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象であるPCzPCN1を1mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、基準電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。
酸化反応特性については次のようにして調べた。基準電極に対する作用電極の電位を−0.20から0.50Vまで変化させた後、−0.20Vから0.50Vまで変化させる走査を1サイクルとし、100サイクル測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
PCzPCN1の酸化反応特性について調べた結果を図32に示す。図32において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(1×10−6A)を表す。
図32から酸化ピーク電位は0.25V(vs.Ag/Ag電極)であることが分かった。また、100サイクルもの走査を繰り返しているにもかかわらず、酸化反応においてはCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られない。このことから、本発明のカルバゾール誘導体は酸化に対して極めて安定であることが分かった。
また、得られた化合物PCzPCN1のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DSC:Differencial Scanning Calorimetry、パーキンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。DSCによる測定結果を図33に示す。測定結果から、得られた化合物のガラス転移温度は142℃であることが分かった。このように、得られた化合物は、142℃という高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、図33において、得られた化合物の結晶化を表すピークは存在せず、得られた化合物は結晶化し難い物質であることが分かった。
本実施例では、合成例3において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、銅フタロシアニンを用いて第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、NPBを用いて蒸着法によって第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、t−BuDNAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、t−BuDNAとPCABPAとの質量比は1:0.05=t−BuDNA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはt−BuDNAを主成分とした層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、フッ化カルシウムを用いて蒸着法によって第5の層307を形成した。第5の層307の厚さは1nmとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図35、36に示す。図35は電圧−輝度特性について、図36は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図35において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図36において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図37に示す。図37において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図37より、本実施例の発光素子は477nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.28)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例3において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、銅フタロシアニンを用いて第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、4,4’−ビス[N−(4−ビフェニリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BBPB)を用いて蒸着法によって第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、t−BuDNAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、t−BuDNAとPCABPAとの質量比は1:0.05=t−BuDNA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはt−BuDNAを主成分とした層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、フッ化カルシウムを用いて蒸着法によって第5の層307を形成した。第5の層307の厚さは1nmとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図38、39に示す。図38は電圧−輝度特性について、図39は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図38において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図39において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図40に示す。図40において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図40より、本実施例の発光素子は479nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.29)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例3において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、銅フタロシアニンを用いて第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、N,N’−ビス(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(略称:BSPB)を用いて蒸着法によって第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、t−BuDNAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、t−BuDNAとPCABPAとの質量比は1:0.1=t−BuDNA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはt−BuDNAを主成分とした層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、フッ化カルシウムを用いてを蒸着法によって第5の層307形成した。第5の層307の厚さは1nmとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図41、42に示す。図41は電圧−輝度特性について、図42は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図41において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図42において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図43に示す。図43において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図43より、本実施例の発光素子は474nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.25)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例3において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、DNTPDを用いて第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、NPBを用いて蒸着法によって第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、CzPAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、CzPAとPCABPAとの質量比は1:0.05=CzPA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはCzPAを主成分とした層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、フッ化カルシウムを用いて蒸着法によって第5の層307を形成した。第5の層307の厚さは1nmとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図44、45に示す。図44は電圧−輝度特性について、図45は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図44において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図45において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図46に示す。図46において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図46より、本実施例の発光素子は478nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.28)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例3において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、DNTPDを用いて第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、NPBを用いて蒸着法によって第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、CzPAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、CzPAとPCABPAとの質量比は1:0.04=CzPA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはCzPAを主成分とする層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図47、48に示す。図47は電圧−輝度特性について、図48は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図47において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図48において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図49に示す。図49において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図49より、本実施例の発光素子は487nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.17,0.32)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例3において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、DNTPDを用いて第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、NPBを用いて第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、DPCzPAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、DPCzPAとPCABPAとの質量比は1:0.04=DPCzPA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはDPCzPAを主成分とする層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図50、51に示す。図50は電圧−輝度特性について、図51は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図50において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図51において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図52に示す。図52において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図52より、本実施例の発光素子は487nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.17,0.32)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例3において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、DNTPDを用いて第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、NPBを用いて蒸着法によって第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、t−BuDNAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、t−BuDNAとPCABPAとの質量比は1:0.04=t−BuDNA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはt−BuDNAを主成分とした層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図53、54に示す。図53は電圧−輝度特性について、図54は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図53において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図54において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図55に示す。図55において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図55より、本実施例の発光素子は482nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.29)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例3において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、CuPcを用いて第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、NPBを用いて蒸着法によって第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、CzPAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、CzPAとPCABPAとの質量比は1:0.04=CzPA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはCzPAを主成分とする層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図56、57に示す。図56は電圧−輝度特性について、図57は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図56において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図57において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図58に示す。図58において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図58より、本実施例の発光素子は481nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.17,0.31)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例3において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、CuPcを用いて第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、NPBを用いて蒸着法によって第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、DPCzPAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、DPCzPAとPCABPAとの質量比は1:0.04=DPCzPA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはDPCzPAを主成分とする層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図59、60に示す。図59は電圧−輝度特性について、図60は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図59において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図60において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図61に示す。図61において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図61より、本実施例の発光素子は485nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.17,0.31)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例3において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、CuPcを用いて第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、NPBを用いて蒸着法によって第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、t−BuDNAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、t−BuDNAとPCABPAとの質量比は1:0.04=t−BuDNA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはt−BuDNAを主成分とする層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは10nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図62、63に示す。図62は電圧−輝度特性について、図63は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図62において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図63において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図64に示す。図64において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図64より、本実施例の発光素子は476nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.28)であり、本実施例の発光素子は色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例4において合成されたPCzPCA1を正孔輸送材料として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、第1の電極302上にNPBとモリブデン酸化物とを含む第1の層303を共蒸着法によって形成した。第1の層303の厚さは40nmとなるようにし、NPBとモリブデン酸化物との質量比は4:1=NPB:モリブデン酸化物となるようにした。なお、蒸着材料として用いたモリブデン酸化物は、三酸化モリブデンである。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔発生層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、合成例4において合成されたPCzPCA1を用いて蒸着法によって第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは20nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、t−BuDNAを用いて蒸着法によって第3の層305を形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにした。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、本実施例の発光素子において、t−BuDNAは、発光物質として機能すると共に、第3の層305を構成する基質としても機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、フッ化カルシウムを用いて蒸着法によって第5の層307を形成した。第5の層307の厚さは1nmとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたt−BuDNAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図65、66に示す。図65は電圧−輝度特性について、図66は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図65において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図66において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図67に示す。図67において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図67より、本実施例の発光素子は443nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.17,0.16)であり、本実施例の発光素子はt−BuDNAに由来した色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例4において合成されたPCzPCA1を正孔輸送材料として用い、さらに合成例3において合成されたPCABPAを発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、第1の電極302上に、DNTPDを用いて第1の層303を蒸着法によって形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、合成例4において合成されたPCzPCA1を用いて蒸着法によって第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、CzPAとPCABPAとを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、CzPAとPCABPAとの質量比は1:0.03=CzPA:PCABPAとなるようにした。これによって、PCABPAはCzPAを主成分とする層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、PCABPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、フッ化カルシウムを用いて蒸着法によって第5の層307を形成した。第5の層307の厚さは1nmとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたPCABPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図68、69に示す。図68は電圧−輝度特性について、図69は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図68において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図69において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図70に示す。図70において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図70より、本実施例の発光素子は490nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.18,0.36)であり、本実施例の発光素子はPCABPAに由来した色純度の良い青色を呈することが分かった。
実施例6、7で作製した発光素子それぞれについて発光時間の蓄積に伴った輝度の変化、及び発光時間の蓄積に伴った動作電圧の変化について調べた。測定は次のようにして行った。作製した発光素子を窒素雰囲気下のグローブボックス内に移動し、同グローブボックスにてシール材を用いて封止を行った。そして、先ず、初期状態において500cd/mの輝度で発光させる為に必要な電流密度について調べ、次に初期状態において500cd/mの輝度で発光させる為に必要な電流密度の電流を一定時間流して発光させ続け、経過時間ごとの発光輝度及び印加電圧をプロットした。なお、500cd/mの輝度で発光させる為に必要な電流密度は、実施例6の発光素子については5.85mA/cm、実施例7の発光素子については5.5mA/cmであった。なお測定は、室温(約25℃)の雰囲気で行った。
実施例6についての測定結果を図71(A)、(B)に、実施例7についての測定結果を図72(A)、(B)に示す。図71(A)、72(A)は、それぞれ、発光時間の蓄積に伴った輝度の変化を表す図であり、横軸は発光時間(hour)、縦軸は輝度(初期輝度を100としたときの初期輝度に対する相対値)を表す。また、図71(B)、72(B)は、それぞれ、発光時間の蓄積に伴った動作電圧の変化を表す図であり、横軸は発光時間(hour)、縦軸は初期状態において500cd/mの輝度で発光させる為に必要な電流密度の電流を流す為に印加した電圧(V)を表す。
図71(A)、72(A)から、実施例6、7のいずれの発光素子についても発光時間の蓄積に伴った輝度の低下が少なく、本発明の発光素子は素子寿命が良好であることが分かる。また、図71(B)、72(B)から、実施例6、7のいずれの発光素子についても発光時間の蓄積に伴った電圧の増加が少ないこと、つまり本発明の発光素子は発光時間の蓄積に伴った抵抗の増加が少ない良好な素子であることが分かる。
本発明の一実施例として、構造式(40)で表されるN−[(4−ビフェニリル)カルバゾール−3−イル]−N−フェニルアミン(略称:BCA)の合成方法及びBCAを用いた3−{N−[9−(4−ビフェニリル)カルバゾール−3−イル]−N−フェニルアミノ}−9−(4−ビフェニリル)カルバゾール(略称:BCzBCA1)の合成方法について説明する。
[ステップ1]
まず、9−(4−ビフェニリル)カルバゾールの合成方法について説明する。9−(4−ビフェニリル)カルバゾールの合成スキームを(m−1)に示す。
Figure 2007063258
三口フラスコに4−ブロモビフェニルを12g(50mmol)、カルバゾールを8.4g(50mmol)、酢酸パラジウム(略称:Pd(OAc))230mg(1mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(略称:DPPF)を1.8g(3.0mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド(略称:tert−BuONa)を13g(180mmol)を加えフラスコ内の雰囲気を窒素置換した後、脱水キシレンを80mL加え脱気を行った。これを窒素雰囲気下にて120℃、7.5時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液に温めたトルエン約600mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して2回濾過した。得られたろ液を濃縮し、ヘキサンを加えて再結晶を行った。これを濾過し、濾物を乾燥させることで、クリーム色粉末の9−(4−ビフェニリル)カルバゾールを14g(収率87%)を得た。
[ステップ2]
次に、3−ブロモ−9−(4−ビフェニリル)カルバゾールの合成方法について説明する。3−ブロモ−9−(4−ビフェニリル)カルバゾールの合成スキームを(m−2)に示す。
Figure 2007063258
9−(4−ビフェニリル)カルバゾール3.1g(10mmol)をクロロホルム100mLに溶かし、ここにN−ブロモコハク酸イミド(略称:NBS)1.8g(10mmol)をゆっくり加えた。これを約24時間撹拌した後、水で洗浄した。これに硫酸マグネシウムを加え水分を除き、濾過して濾液を得た。これを濃縮して回収し、乾燥させることで、ベージュ色粉末の3−ブロモ−9−(4−ビフェニリル)カルバゾールを3.7g(収率95%)を得た。
[ステップ3]
次に、3−ヨード−9−(4−ビフェニリル)カルバゾールの合成方法について説明する。3−ヨード−9−(4−ビフェニリル)カルバゾールの合成スキームを(m−3)に示す。
Figure 2007063258
9−(4−ビフェニリル)カルバゾール3.2g(10mmol)を氷酢酸200mL、トルエン200mL、酢酸エチル50mLの混合液に溶かし、ここにN−ヨードコハク酸イミド(略称:NIS)2.3g(10mmol)をゆっくり加えた。これを約24時間撹拌した後、水、チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。これに硫酸マグネシウムを加え水分を除き、濾過して濾液を得た。これを濃縮してアセトン、ヘキサンを加え超音波をかけて再結晶を行った。これを濾過し、濾物を回収、乾燥させることで、ベージュ色粉末の3−ヨード−9−(4−ビフェニリル)カルバゾールを4.4g(収率98%)を得た。
[ステップ4]
次に、N−[(4−ビフェニリル)カルバゾール−3−イル]−N−フェニルアミン(略称:BCA)の合成方法について説明する。BCAの合成スキームを(m−4)に示す。
Figure 2007063258
三口フラスコに、3−ブロモ−9−(4−ビフェニリル)カルバゾールを3.7g(9.2mmol)、酢酸パラジウム63mg(0.3mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを330mg(0.6mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシドを1.5g(15mmol)を加え、フラスコ内の雰囲気を窒素置換した後、脱水キシレンを20mLを加え脱気した後、アニリンを9.3g(10mmol)加えた。これを窒素雰囲気下にて130℃、4時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液に温めたトルエン約300mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、ヘキサンを加えて超音波にかけ析出させた。これを濾過し、ろ物を乾燥することで、クリーム色粉末のN−[(4−ビフェニリル)カルバゾール−3−イル]−N−フェニルアミン(略称:BCA)を3.5g(収率93%)を得た。
[ステップ5]
次に、3−{N−[9−(4−ビフェニリル)カルバゾール−3−イル]−N−フェニルアミノ}−9−(4−ビフェニリル)カルバゾール(略称:BCzBCA1)の合成方法について説明する。BCzBCA1の合成スキームを(m−5)に示す。
Figure 2007063258
三口フラスコに、3−ヨード−9−(4−ビフェニリル)カルバゾールを3.5g(7.9mmol)、N−[(4−ビフェニリル)カルバゾール−3−イル]−N−フェニルアミンを3.3g(8.0mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(略称:Pd(dba))を230mg(0.4mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド(略称:tert−BuONa)1.2g(12mmol)を加えフラスコ内の雰囲気を窒素置換した後、ここに脱水キシレン30mLを加え脱気を行った。ここに、トリ−tert−ブチルホスフィン10wt%ヘキサン溶液1.4mL(1.2mmol)を加え、窒素雰囲気下にて110℃、3時間加熱撹拌した。反応終了後、この懸濁液に温めたトルエン約500mLを加え、これをフロリジール、アルミナ、セライトを通して濾過した。得られたろ液を濃縮し、濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:ヘキサン=1:1)にて分離精製した。これをさらに濃縮し、ヘキサンを加えて超音波をかけて析出させた。生じた固体を濾過し、乾燥させ、クリーム色粉末の3−{N−[9−(4−ビフェニリル)カルバゾール−3−イル]−N−フェニルアミノ}−9−(4−ビフェニリル)カルバゾール(略称:BCzBCA1)を1.1g(収率19%)を得た。
この化合物のH−NMRのデータを以下に示す。
H−NMR(300MHz、DMSO−d):δ=6.86(t、J=7.2Hz、1H)、6.94(d、J=7.8Hz、2H)、7.18−7.24(m、4H)、7.30(dd、J=8.9Hz、1.8Hz、2H)、7.41−7.54(m、12H)、7.70(d、J=8.4Hz、4H)、7.77(d、J=7.2Hz、4H)、7.94(d、J=8.4Hz、4H)、8.06(d、J=2.1Hz、2H)、8.12(d、J=7.8Hz、2H)
また、H−NMRのチャートを図75(A)に、図75(A)における6.0〜9.0ppmの部分を拡大したものを図75(B)に示す。
また、13C−NMRのデータを以下に示す。
13C−NMR(75.5MHz、DMSO−d):δ=109.6、110.7、117.4、119.4、119.7、119.8、120.5、120.5、122.4、123.7、125.0、126.2、126.5、126.8、127.5、128.1、128.8、136.0、136.9、139.1、139.1、140.6、140.8、149.3
また、13C−NMRのチャートを図76(A)に、図76(A)における90.0〜170.0ppmの部分を拡大したものを図76(B)に示す。
得られたBCzBCA1の熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA:Thermogravimetry−Differential Thermal Analysis)を行った。測定には示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子工業株式会社製,TG/DTA 320型)を用い、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で熱物性を評価した。その結果、重量と温度の関係(熱重量測定)から、常圧下で、測定開始時における重量に対し95%以下の重量になる温度Tは、425℃であった。
また、BCzBCA1のトルエン溶液の吸収スペクトルを図77に示す。測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。なお、溶液は石英セルに入れてサンプルを作製し、石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図77に示している。図77において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。最大吸収波長はトルエン溶液の場合では395nmであった。また、BCzBCA1のトルエン溶液の発光スペクトルを図78に示す。図78において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長はトルエン溶液の場合では434nm(励起波長323nm)であった。
また、BCzBCA1の薄膜の吸収スペクトルを図79に示す。測定には、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。なお、薄膜は石英基板に蒸着することで作製し、石英の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを図79に示している。図79において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。最大吸収波長は、薄膜の場合では318nmであった。また、BCzBCA1の薄膜の発光スペクトルを図80に示す。図80において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。最大発光波長は、薄膜の場合で445nm(励起波長318nm)であった。
また、BCzBCA1の薄膜状態におけるHOMO準位とLUMO準位の測定を行った。HOMO準位の値は、光電子分光装置(理研計器社製、AC−2)を用いて測定したイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算することにより得た。また、LUMO準位の値は、図79における薄膜の吸収端をエネルギーギャップとし、HOMO準位の値に加算することにより得た。その結果、HOMO準位とLUMO準位はそれぞれ−5.14eVと−2.04eVであった。
また、得られた化合物BCzBCA1のガラス転移温度について、示差走査熱量分析装置(DSC:Differencial Scanning Calorimetry、パーキンエルマー製、型番:Pyris1 DSC)を用いて調べた。DSCによる測定結果を図81に示す。測定結果から、BCzBCA1のガラス転移点(Tg)は137℃であることがわかった。このようにBCzBCA1は、137℃という高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有するものである。また、図81において、得られた化合物の結晶化を表すピークは存在せず、BCzBCA1は結晶化し難い物質であることが分かった。
本実施例では、実施例17において合成されたBCzBCA1を正孔輸送材料として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、第1の電極302上にNPBとモリブデン酸化物とを含む第1の層303を共蒸着法によって形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにし、NPBとモリブデン酸化物との質量比は4:1=NPB:モリブデン酸化物となるようにした。なお、蒸着材料として用いたモリブデン酸化物は、三酸化モリブデンである。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔発生層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、実施例17において合成されたBCzBCA1を用いて蒸着法により第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、Alqとクマリン6を含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、Alqとクマリン6との質量比は1:0.01=Alq:クマリン6となるようにした。これによって、クマリン6はAlqを主成分とした層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、クマリン6は発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは20nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたクマリン6が基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図82、83に示す。図82は電圧−輝度特性について、図83は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図82において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図83において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図84に示す。図84において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図84より、本実施例の発光素子は516nmに発光スペクトルのピークを有し、緑色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.32,0.62)であり、本実施例の発光素子はクマリン6に由来した色純度の良い緑色を呈することが分かった。
本実施例では、実施例17において合成されたBCzBCA1を用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、第1の電極302上に実施例17において合成されたBCzBCA1とモリブデン酸化物とを含む第1の層303を共蒸着法によって形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにし、BCzBCA1とモリブデン酸化物との質量比は4:1=BCzBCA1:モリブデン酸化物となるようにした。なお、蒸着材料として用いたモリブデン酸化物は、三酸化モリブデンである。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔発生層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、NPBを用いて蒸着法により第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、CzPAと9−(4−{N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:YGAPA)を含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは30nmとなるようにし、CzPAとYGAPAとの質量比は1:0.04=CzPA:YGAPAとなるようにした。これによって、YGAPAはCzPAを主成分とした層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、YGAPAは発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは20nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたYGAPAが基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図85、86に示す。図85は電圧−輝度特性について、図86は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図85において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図86において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図87に示す。図87において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図87より、本実施例の発光素子は451nmに発光スペクトルのピークを有し、青色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.16,0.15)であり、本実施例の発光素子はYGAPAに由来した色純度の良い青色を呈することが分かった。
本実施例では、実施例17において合成されたBCzBCA1を用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、層を構成する物質および層の厚さがそれぞれ異なる5層の層が積層した構造を有するという点で、実施例4の発光素子と同じである為、本実施例についても実施例4の説明に用いた図34を参照して説明する。
図34に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、10−4Paとなるように減圧した後、第1の電極302上に実施例17において合成されたBCzBCA1とモリブデン酸化物とを含む第1の層303を共蒸着法によって形成した。第1の層303の厚さは50nmとなるようにし、BCzBCA1とモリブデン酸化物との質量比は4:1=BCzBCA1:モリブデン酸化物となるようにした。なお、蒸着材料として用いたモリブデン酸化物は、三酸化モリブデンである。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔発生層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、NPBを用いて蒸着法により第2の層304を形成した。第2の層304の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、Alqとクマリン6を含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、Alqとクマリン6との質量比は1:0.01=Alq:クマリン6となるようにした。これによって、クマリン6はAlqを主成分とした層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。なお、クマリン6は発光物質として機能する。
次に、第3の層305上に、Alqを用いて蒸着法によって第4の層306を形成した。第4の層306の厚さは10nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第4の層306上に、AlqとLiとを含む第5の層307を共蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは20nmとなるようにした。また、AlqとLiとの質量比は1:0.01=Alq:Liとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層307の上に、アルミニウムを用いて蒸着法によって第2の電極308を形成した。第2の電極308の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極308の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたクマリン6が基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図88、89に示す。図88は電圧−輝度特性について、図89は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。図88において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図89において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図90に示す。図90において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図90より、本実施例の発光素子は516nmに発光スペクトルのピークを有し、緑色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.32,0.62)であり、本実施例の発光素子はクマリン6に由来した色純度の良い緑色を呈することが分かった。
本発明の発光素子について説明する図。 本発明の発光素子について説明する図。 本発明を適用した発光装置について説明する図。 本発明を適用した発光装置に含まれる回路について説明する図。 本発明を適用した発光装置のフレーム動作について説明する図。 本発明を適用した発光装置の断面図。 本発明を適用した発光装置に含まれる回路について説明する図。 本発明を適用した電子機器の図。 本発明を適用した電子機器の図。 合成例1で合成したカルバゾール誘導体(略称:PCA)のH−NMRチャート。 合成例2で合成したカルバゾール誘導体(略称:PCN)のH−NMRチャート。 合成例3で合成したアントラセン誘導体(略称:PCABPA)のH−NMRチャート。 PCABPAの吸収スペクトルを示す図。 PCABPAの発光スペクトルを示す図。 PCABPAについてのサイクリックボルタンメトリ(CV)による測定結果を示す図。 合成例4で合成したカルバゾール誘導体(略称:PCzPCA1)のH−NMRチャート。 PCzPCA1について熱重量測定−示差熱分析した結果を示す図。 PCzPCA1の吸収スペクトルを示す図。 PCzPCA1の発光スペクトルを示す図。 PCzPCA1についてのサイクリックボルタンメトリ(CV)による測定結果を示す図。 PCzPCA1について示差走査熱量分析装置を用いて測定した結果を示す図。 合成例5で合成したカルバゾール誘導体(略称:PCzPCA2)のH−NMRチャート。 PCzPCA2について熱重量測定−示差熱分析した結果を示す図。 PCzPCA2の吸収スペクトルを示す図。 PCzPCA2の発光スペクトルを示す図。 PCzPCA2についてのサイクリックボルタンメトリ(CV)による測定結果を示す図。 PCzPCA2について示差走査熱量分析装置を用いて測定した結果を示す図。 実施例3で合成したカルバゾール誘導体(略称:PCzPCN1)のH−NMRチャート。 PCzPCN1について熱重量測定−示差熱分析した結果を示す図。 PCzPCN1の吸収スペクトルを示す図。 PCzPCN1の発光スペクトルを示す図。 PCzPCN1についてのサイクリックボルタンメトリ(CV)による測定結果を示す図。 PCzPCN1について示差走査熱量分析装置を用いて測定した結果を示す図。 実施例で作製した発光素子について説明する図。 実施例4で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例4で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例4で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例5で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例5で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例5で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例6で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例6で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例6で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例7で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例7で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例7で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例8で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例8で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例8で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例9で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例9で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例9で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例10で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例10で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例10で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例11で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例11で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例11で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例12で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例12で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例12で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例13で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例13で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例13で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例14で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例14で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例14で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例15で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例15で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例15で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例6で作製した発光素子の発光時間の蓄積に伴った輝度の相対値、発光時間の蓄積に伴った電圧について示す図。 実施例7で作製した発光素子の発光時間の蓄積に伴った輝度の相対値、発光時間の蓄積に伴った電圧について示す図。 合成例1で合成したカルバゾール誘導体(略称:PCA)のH−NMRチャート。 合成例1で合成したカルバゾール誘導体(略称:PCA)の13C−NMRチャート。 実施例17で合成したカルバゾール誘導体(略称:BCzBCA1)のH−NMRチャート。 実施例17で合成したカルバゾール誘導体(略称:BCzBCA1)の13C−NMRチャート。 BCzBCA1の吸収スペクトルを示す図。 BCzBCA1の発光スペクトルを示す図。 BCzBCA1の吸収スペクトルを示す図。 BCzBCA1の発光スペクトルを示す図。 BCzBCA1について示差走査熱量分析装置を用いて測定した結果を示す図。 実施例18で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例18で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例18で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例19で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例19で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例19で作製した発光素子の発光スペクトル。 実施例20で作製した発光素子の電圧−輝度特性。 実施例20で作製した発光素子の輝度−電流効率特性。 実施例20で作製した発光素子の発光スペクトル。
符号の説明
101 第1の電極
102 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
301 ガラス基板
302 第1の電極
303 第1の層
304 第2の層
305 第3の層
306 第4の層
307 第5の層
308 第2の電極
6500 基板
6503 FPC
6504 プリント配線基盤(PWB)
6511 画素部
6512 ソース信号線駆動回路
6513 書込用ゲート信号線駆動回路
6514 消去用ゲート信号線駆動回路
901 第1のトランジスタ
902 第2のトランジスタ
903 発光素子
911 ゲート信号線
912 ソース信号線
913 書込用ゲート信号線駆動回路
914 消去用ゲート信号線駆動回路
915 ソース信号線駆動回路
916 電源
917 電流供給線
918 スイッチ
919 スイッチ
920 スイッチ
1001 第1のトランジスタ
1002 第2のトランジスタ
1003 ゲート信号線
1004 ソース信号線
1005 電流供給線
1006 電極
501 サブフレーム
502 サブフレーム
503 サブフレーム
504 サブフレーム
501a 書き込み期間
501b 保持期間
502a 書き込み期間
502b 保持期間
503a 書き込み期間
503b 保持期間
504a 書き込み期間
504b 保持期間
504c 消去期間
504d 非発光期間
10 基板
11 トランジスタ
12 発光素子
13 第1の電極
14 第2の電極
15 層
16 第1層間絶縁膜
16a、16b、16c 第1層間絶縁膜
17 配線
18 隔壁層
19 第2層間絶縁膜
19a、19b 第2層間絶縁膜
5511 筐体
5512 液晶装置
5513 発光装置
5514 筐体
5515 外部入力端子
5516 外部入力端子
5521 本体
5522 筐体
5523 表示部
5524 キーボード
5531 表示部
5532 筐体
5533 スピーカー
5541 本体
5542 表示部
5543 音声入力部
5544 操作スイッチ部
5545 バッテリ部
5546 受像部
5551 表示部
5552 本体
5553 アンテナ
5554 音声出力部
5555 音声入力部
5556 操作スイッチ
5557 走査スイッチ
951 基板
952 第1の電極
953 隔壁層
954 層
955 第2の電極
956 第1の駆動回路
957 第2の駆動回路
958 点線
959 第2の基板

Claims (10)

  1. 一般式(G−1)で表されるカルバゾール誘導体。
    Figure 2007063258
    (式中、Ar、Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基を表す。Rは、水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
  2. 一般式(G−2)で表されるカルバゾール誘導体。
    Figure 2007063258
    (式中、Ar、Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基を表す。)
  3. 構造式(1)または構造式(2)で表されるカルバゾール誘導体。
    Figure 2007063258
    Figure 2007063258
  4. 一般式(G−3)で表される発光素子用材料。
    Figure 2007063258
    (式中、Ar、Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基を表す。Rは、水素、メチル、またはtert−ブチルのいずれかを表す。Rは、水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
  5. 一般式(G−4)で表される発光素子用材料。
    Figure 2007063258
    (式中、Arは、炭素数6〜12のアリール基を表す。R、Rは、それぞれ、水素または一般式(G−5)で表される基を表し、いずれか一方が一般式(G−5)で表される。
    Figure 2007063258
    一般式(G−5)において、Ar、Arは、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基を表す。Rは、水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
  6. 電極間に発光層を有し、前記発光層は発光物質とホストとを含み、
    前記発光物質は、一般式(G−6)で表され、
    前記ホストは、前記発光物質よりも大きいイオン化ポテンシャル及び前記発光物質よりも大きいエネルギーギャップを有することを特徴とする発光素子。
    Figure 2007063258
    (式中、Ar10、Ar11は、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基を表す。Rは、水素、メチル、またはtert−ブチルのいずれかを表す。Rは、水素、または炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
  7. 請求項6において、
    前記ホストは、正孔よりも電子の輸送性が高いことを特徴とする発光素子。
  8. 第1の電極と第2の電極との間に、前記第1の電極に接して一般式(G−7)で表されるカルバゾール誘導体を含む層を有し、
    前記第1の電極の電位が前記第2の電極の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに発光することを特徴とする発光素子。
    Figure 2007063258
    (式中、Ar12は、炭素数6〜12のアリール基を表す。R、R10は、それぞれ、水素または一般式(G−8)で表される基を表し、いずれか一方が一般式(G−8)で表される。
    Figure 2007063258
    一般式(G−8)において、Ar13、Ar14は、それぞれ、炭素数6〜12のアリール基を表す。R11は、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基のいずれかを表す。)
  9. 請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の発光素子を含むことを特徴とする発光装置。
  10. 請求項9に記載の発光装置を表示部または照明部に用いていることを特徴とする電子機器。
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