JP2007063155A - 液晶性重合性低分子化合物、該化合物を用いた複屈折性フィルム及び複屈折性セル、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

液晶性重合性低分子化合物、該化合物を用いた複屈折性フィルム及び複屈折性セル、並びにこれらの製造方法 Download PDF

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喜弘 川月
Akihiro Oda
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Abstract

【課題】 重合化後も液晶性メソゲンの配向状態を変化させることができ、かつ、耐熱性及び耐溶媒性に優れた液晶性重合性低分子化合物を提供することを目的とする。
【解決手段】 分子配向性の液晶性メソゲンに光反応性基を導入し、光反応性を付与した側鎖を、二官能性重合性低分子化合物に導入させれば、重合化させた後も液晶性メソゲンの配向パターンや複屈折率を制御しうる。本発明の液晶性重合性低分子化合物は、重合化により複屈折性フィルムを形成し、さらにこの複屈折性フィルムを透明な基板の間に挟持させることにより複屈折性セルを形成する。本発明の複屈折性フィルム及び複屈折性セルは、紫外光の複屈折を三次元的に制御することが可能であり、しかも、クロロホルムに溶解しない。
【選択図】 なし

Description

本発明は、重合による高分子化によって分子配向を固定化しうる液晶性重合性低分子化合物、該液晶性重合性低分子化合物を重合化させた複屈折性フィルム、該複屈折フィルムを透明基板間に挟持した複屈折性セル、並びに該複屈折性セルの製造方法に関するものである。
従来、液晶表示装置(LCD)には様々な複屈折フィルムの利用が検討されてきた。例えば、TN型LCDにおいては、ディスコティック液晶や棒状のネマティック液晶を傾斜配向させた複屈折フィルムが視野角改良に有効であることが知られている。また、OCB型LCDにおいても、ディスコティック液晶を傾斜配向させた複屈折フィルムを用いることで、視野角が改良されることも知られている。
このような複屈折フィルムを製造する方法として、液晶化合物を利用する方法が実用化されている。現在、これらの液晶化合物を特定の方向に配向させる方法としては、主に配向膜又はこれに類似するものをラビングして、配向方向を制御する方法が一般的に用いられている。
光を用いた液晶化合物の配向制御としては、アゾベンゼンを含む高分子液晶に特定波長の光を照射することで光異性化を誘起して配向を制御する方法や、光架橋性基を有する高分子液晶に、特定の紫外線を照射して架橋することで配向を制御する方法等が知られている。中でも、紫外線により光二量化反応を起こし、架橋構造を与えるシンナモイル基などの光反応性基を、メソゲン(分子構造中の液晶性を発現させる中核的単位)の末端に有する側鎖型高分子液晶を用い、そこに偏光紫外線を照射する方法が、高温でもメソゲンの配向が安定した複屈折フィルムを作製できる有効な方法として考案されている。
しかし、従来用いられてきたメソゲン末端に光反応性基を有する側鎖型高分子液晶では、光学的異方性の発現性があまり大きくなく、複屈折フィルムとして利用するために充分な複屈折率を得るのは容易ではなかった。複屈折率の発現性が小さくても厚みを増すことで、原理的に必要な光学的異方性、すなわち必要な大きさのレターデーションを得ることは可能ではあるが、複屈折率の発現性が小さいということは、液晶成分であるメソゲンの配向性がよくないことを意味しており、厚みを増しした場合に、配向の乱れによって白濁する等の問題が発生しうる。
複屈折フィルムの厚みを増すと共に白濁を防止するためには、重合性の官能基と液晶性メソゲンとを有する重合性液晶化合物を、予め配向膜を用いて分子配向させた後に重合化させることにより、分子配向を固定化することで複屈折性フィルムが製造される。
例えば、重合性官能基を1つ有する単官能性モノマーの側鎖に、液晶性メソゲンと導入した高分子材料が、特許文献1に開示されている。また、側鎖に液晶性メソゲンを導入した側鎖型液晶性ポリマーが、特許文献2に開示されている。
また、側鎖に光架橋性の液晶性メソゲンを有し、メソゲン末端に光反応性基を有する光反応性高分子液晶材料が特許文献3に開示されている。さらに、側鎖にメソゲンと光反応性基を有し、メソゲンと光反応性基の間にスペーサー基が存在しない、複屈折フィルム用の光反応性高分子液晶が特許文献4に開示されている。
特開2000−212310号公報 特開平10−95821号公報 特開2004−341024号公報 特開2002−226858号公報
上記特許文献に開示されている高分子化合物は、単量体が単官能性であるため、図1に示すように、ポリマーが直線的に重合化するため、基板上に厚い膜を形成することができない。このため、液晶性メソゲン3に光反応性があったとしても、複屈折率を大きくすることは困難である。また、重合化させた後の耐熱性、耐溶媒性が低いという問題もある。
一方、図2に示すような二官能性重合性低分子化合物の主鎖に、液晶性メソゲンを導入することも可能であるが、重合化により三次元的な網目構造のポリマーとなり、耐熱性、耐溶媒性は単官能性低分子化合物を重合化させたポリマーよりも増大するが、重合化させた後には、側鎖に導入した液晶性メソゲンは、三次元網目中に閉じこめられるので、その配向状態を変化させることは不可能であった。このため、液晶性メソゲンの配向パターンや配向によって生じる複屈折率の制御は、不可能であった。
本発明は、上記従来技術の欠点を克服し、重合化後も液晶性メソゲンの配向状態を変化させることができ、かつ、耐熱性及び耐溶媒性に優れた液晶性重合性低分子化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶性重合性低分子化合物を重合化させることにより形成される複屈折性フィルム及び該複屈折性フィルムを透明基板間に挟持した複屈折性セル、並びにこれら複屈折性フィルム及び複屈折性セルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、分子配向性の液晶性メソゲンに光反応性基を導入し、光反応性を付与した側鎖を、二官能性重合性低分子化合物に導入させれば、重合させた後も、液晶性メソゲンの配向パターンや複屈折率を制御しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、重合性官能基を少なくとも2以上有する重合性低分子化合物の側鎖に、光反応性メソゲン基を有することを特徴とする液晶性重合性低分子化合物に関する(請求項1)。
また、本発明は、
重合性官能基を少なくとも2以上有する重合性低分子化合物の側鎖に、光反応性メソゲン基を有する液晶性重合性低分子化合物を調製する工程と、
前記液晶性重合性低分子化合物を、表面を配向処理した基板上に塗布し、加熱処理することにより重合化させる工程と、
重合化により薄膜状に形成された複屈折性フィルムを基板から取り外す工程と、
を含む複屈折性フィルムの製造方法に関する(請求項10)。
また、本発明は、
重合性官能基を少なくとも2以上有する重合性低分子化合物の側鎖に、光反応性メソゲン基を有する液晶性重合性低分子化合物を調製する工程と、
前記液晶性重合性低分子化合物を、内面を表面配向処理した2枚の透明な基板の間に挟み込み、加熱処理することにより重合化させる工程と、
を含む複屈折性セルの製造方法に関する(請求項15)。
前記重合性官能基は、一般式1で表される構造を有していることが好ましい:

(ここで、R〜RはH、CH又はCであり;X及びXはCOO、OCO又はOであり;n1及びn2は0から20までの整数であり、Zは光反応基を有する液晶性メソゲン基である。)(請求項2,11,16)。
前記光反応性メソゲン基は、一般式2又は一般式3で表される構造を有していることが好ましい:


(ここで、Xはなし、CH=CH、N=N、C≡C、COO、OCO又はPhであり;RはH、OC2m+1若しくはC2m+1(mは0から20までの整数)又はハロゲン原子であり;n3及びn4は0から20までの整数である。)(請求項3,12,17)。
本発明の液晶性重合性低分子化合物は、最も好ましくは、化学式(I)又は化学式(II)で表される構造を有する(請求項4,5,13,14,18,19)。

また、本発明は、
アルカリ中でマロン酸ジエチルと1,6-ジブロモヘキサンを当量反応させて1-ブロモ-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンとする工程と、
アルカリ中で1-ブロモ-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンと4,4-ビフェノールを当量反応させて1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンとする工程と、
1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンを水素化リチウムアルミニウムにより還元して1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとする工程と、
テトラヒドロキシフラン中で1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとメトキシシンナモイルクロリドを0℃以下で当量反応させて1-(4-(4-(メトキシシンナモイルオキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとする工程と、
テトラヒドロキシフラン中で1-(4-(4-(メトキシシンナモイルオキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンと2倍当量のメタクリル酸クロリドと反応させる工程と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の液晶性重合性低分子化合物の製造方法に関する(請求項6)。
また、本発明は、
アルカリ中でマロン酸ジエチルと1,6-ジブロモヘキサンを当量反応させて1-ブロモ-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンとする工程と、
アルカリ中で1-ブロモ-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンと4,4-ビフェノールを当量反応させて1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンとする工程と、
1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンを水素化リチウムアルミニウムにより還元して1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとする工程と、
テトラヒドロキシフラン中で1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとメトキシシンナモイルクロリドを0℃以下で当量反応させて1-(4-(4-(メトキシシンナモイルオキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとする工程と、
テトラヒドロキシフラン中で1-(4-(4-(メトキシシンナモイルオキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンと2倍当量のアクリル酸クロリドと反応させる工程と、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の液晶性重合性低分子化合物の製造方法に関する(請求項7)。
また、本発明は、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液晶性重合性化合物を、表面配向処理した基板上に塗布し、加熱処理することにより重合化させ、薄膜状に形成したことを特徴とする複屈折性フィルムに関する(請求項8)。
また、本発明は、
内面を表面配向処理した2枚の透明な基板と、
前記基板間に挟持された請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液晶性重合性低分子化合物を重合化させた薄膜状の複屈折性フィルムと、から構成されることを特徴とする複屈折性セルに関する(請求項9)。
本発明の光反応性メソゲン基を有する液晶性重合性低分子化合物は、表面配向処理した2枚の透明な基板間に挟持し、加熱処理により重合化させることにより、容易に複屈折フィルム及び複屈折セルを作成することができる。また、本発明の複屈折フィルム及び複屈折セル、並びにそれらの製造方法は、光反応により分子配向を立体的に変化させることが可能な複屈折フィルム及び複屈折セルを提供しうる。
以下に、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、これらに限定されるものではない。
本発明の液晶性重合性低分子化合物の基本構造を、図3に示す。本発明の液晶性重合性低分子化合物5は、重合性化合物の主鎖4が重合性官能基1を2個以上有している(図3の例では2個)。側鎖8は、スペーサー2、液晶骨格6及び光反応性メソゲンから構成される。
重合性官能基1は、一般式1で表される:

(ここで、R〜RはH、CH又はCであり;X及びXはCOO、OCO又はOであり;n1及びn2は0から20までの整数であり、Zは光反応基を有する液晶性メソゲン基である)。
また、光反応基を有する液晶性メソゲンは、一般式2又は一般式3で表される:


(ここで、Xはなし、CH=CH、N=N、C≡C、COO、OCO又はPhであり;RはH、OC2m+1若しくはC2m+1(mは0から20までの整数)又はハロゲン原子であり;n3及びn4は0から20までの整数である)。
(実施例1)
実施例1として、本発明の液晶性重合性低分子化合物の一例である化学式(I)の化合物を、図4に示す製造方法によって製造した。
まず、マロン酸ジエチル1当量と1,6-ジブロモヘキサン1当量をナトリウムエチラート及びエタノール中で反応させ、1-ブロモ-7,7’-ジ(エトキシカルボニル)ヘプタン(化合物A)を合成した。
次に、化合物A(1当量)に4,4-ビフェノール(1当量)を、炭酸カリウムを添加したアセトン中で反応させ、1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-ジ(エトキシカルボニル)ヘプタン(化合物B)を合成した。
次に、化合物Bをジエチルエーテル中で水素化リチウムアルミニウムを用いて還元し、1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-ジ(ヒドロキシ)ヘプタン(化合物C)を得た。
次に、化合物C(1当量)をテトラヒドロキシフラン(THF)中でメトキシシンナモイルクロリド(1当量)と0℃以下で反応させ、1-(4-(4-(メトキシシンナモイルオキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-ジ(ヒドロキシ)ヘプタン(化合物D)を得た。
最後に、化合物DをTHFに溶解させ、2倍当量のメタクリル酸クロリドと反応させ、光反応性のメソゲンを側鎖に有するジメタクリレート化合物E(化学式(I)の化合物)を得た。この化合物Eは、偏光顕微鏡(POM)観察及び示差走査型熱量計(DSC)測定により、80〜180℃でネマティック液晶性を示すことが確認された。
なお、化合物Cの1分子中にはヒドロキシル基が3個存在するため、室温で4-メトキシシンナモイルクロリドと反応させると、ヒドロキシル基がランダムに4-メトキシシンナモイルクロリドと反応して、目的とする化合物Dを得ることができなかった。そこで、反応温度を0℃以下にすると、化合物Cの3個のヒドロキシル基のうち、最も反応性の高いヒドロキシル基(ビフェニル基に結合しているフェノール性ヒドロキシル基)が優先的に4-メトキシシンナモイルクロリドと反応して、化合物Dを高収率(約60%)で得ることができた。
(実施例2)
次に、実施例2として、本発明の液晶性重合性低分子化合物の一例である化学式(II)の化合物を、図5に示す製造方法によって製造した。実施例2の製造方法は、化合物Dを得るところまでは実施例1の製造方法と同じである。
実施例2では、化合物DをTHFに溶解させ、2倍当量のアクリル酸クロリドと反応させ、光反応性のメソゲンを側鎖に有するジメタクリレート化合物F(化学式(II)の化合物)を得た。この化合物Fは、POM観察及びDSC測定により、ネマティック液晶性を示すことが確認された。
(実施例3)
次に、実施例3として、実施例1で製造した本発明の液晶性重合性低分子化合物である化合物Eを用いて、複屈折性セルを製造した。本実施例の複屈折性セルの製造方法を、図6(a)〜図6(c)を参照しながら説明する。
まず、表面にポリイミドの配向膜(厚み50 nm)を形成した2枚の透明なガラス基板(厚み1.0 mm)を用意し、それぞれのガラス基板の片面を、ベルベット布を用いて一方向にラビング処理(表面配向処理)した。
次に、ラビング処理した面に化合物Eを塗布し(厚み6μm)、2枚のガラス基板の間に挟持させた。このとき、ポリイミドの配向膜に生じた微細な傷に沿って、平行に液晶分子である化合物Eが並ぶ(図6(a)参照)。なお、化合物Eは、厚み0.1μm以上10μm以下とすることが好ましい。
次に、120℃で12時間加熱処理することにより、化合物Eを重合化させ、配向を固定化した(図6(b)参照)。化合物Eには、1分子に重合性官能基10が2個あるため、図6(b)に示すように三次元的な網目状のポリマーとなり、薄膜状の複屈折性フィルムとなった。このとき、重合性官能基10は、他の重合性官能基との間で重合し、ポリマーの主鎖11となる。そして、2枚のガラス基板及びこれらの間に挟持された複屈折性フィルムが、全体として複屈折性セルを形成した。なお、加熱処理は、80℃以上150℃以下で、2時間以上48時間以下とすることが好ましい。
加熱処理後、上記複屈折性セルを室温まで冷却し、偏光顕微鏡で観察したところ、一軸配向していることが確認された。複屈折は、波長633 nmの He-Neレーザー光を用いて測定した。このとき、法線方向から測定した複屈折は、1200 nmであった。
この複屈折性セルに紫外光(365 nm)を20J照射したところ、光反応性のシンナモイル基が反応し、複屈折は850 nmまで低下した(図6(c)参照)。さらに30J照射すると、複屈折量は650 nmまで低下した。これは、化合物Eが光反応性メソゲンとしてメトキシシンナモイル基を有しており、紫外線を照射することにより、隣接するメトキシシンナモイル基との間で、図7に示すような光架橋(光反応)が起こり、メソゲン部の固有複屈折率が低下するためである。なお、図6(c)では、光反応を起こしたメトキシシンナモイル基を符号12で表している。
この複屈折性セルを分解し、ガラス基板に挟持されていた複屈折性フィルムを取り出し、クロロホルムに浸したが、溶解しなかった。このように、本実施例の複屈折性フィルムは、従来の複屈折性フィルムと異なり、耐薬品性が非常に高いことが認められた。
次に、本実施例の複屈折性セルに、法線に対して45°斜め方向から紫外線を30J照射し、複屈折の角度依存性を評価したところ、照射した方向における複屈折は650 nm、法線方向からは800 nm、照射方向及び反対方向からでは900 nmとなり、複屈折を斜め方向に三次元的に制御することが可能であった。
なお、ガラス基板の代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いて複屈折セルを製造した場合にも、上記と同様の実験結果が得られた。また、この複屈折性セルから取り出した複屈折性フィルムも、クロロホルムに溶解しなかった。
また、ラビング処理した面に化合物Eを塗布し(厚み6μm)、その状態で加熱処理して重合化させ、薄膜状に形成させた複屈折性フィルムについても、上記と同様の実験結果が得られた。
(実施例4)
次に、実施例4として、実施例2で製造した本発明の液晶性重合性低分子化合物である化合物Fを用いて、複屈折性セルを製造した。本実施例の複屈折性セルの製造方法は、化合物Eの代わりに化合物Fを用いること及び120℃で5時間加熱処理を行うこと以外、実施例3の製造方法と同じである。
加熱処理後、複屈折性セルを室温まで冷却し、偏光顕微鏡で観察したところ、一軸配向していることが確認された。また、法線方向から測定した複屈折は、1200 nmであった。
本実施例の複屈折性セルに紫外光を20J照射したところ、複屈折は850 nmまで低下した。さらに30J照射すると、複屈折量は600 nmまで低下した。
本実施例の複屈折性セルを分解し、ガラス基板に挟持されていた複屈折性フィルムを取り出し、クロロホルムに浸したが、実施例3の複屈折フィルム同様、溶解しなかった。このように、本実施例の複屈折性フィルムも、従来の複屈折性フィルムと異なり、耐薬品性が非常に高いことが認められた。
(比較例)
次に、比較例として、単官能性の液晶性重合性低分子化合物である化学式(III)の化合物を用い、実施例3と同じ条件で複屈折性フィルム及び複屈折性セルを製造した。この化学式(III)の化合物は、重合性官能基が単官能性である以外、化合物E(化学式(I)の化合物)と同じ構造である。
加熱処理後、複屈折性セルを室温まで冷却し、偏光顕微鏡で観察したところ、一軸配向していることが確認された。また、法線方向から測定した複屈折は、1200 nmであった。
比較例の複屈折性セルを分解し、ガラス基板に挟持されていた複屈折性フィルムを取り出し、クロロホルムに浸したところ、完全に溶解した。
本発明の液晶性重合性低分子化合物、複屈折性フィルム及びこれらの製造方法は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)に用いる位相差フィルムの製造等に有用である。また、本発明の複屈折性セル及びこれらの製造方法は、DVD等の光学部品に用いる偏光回析格子の製造等に有用である。
従来の単官能性の液晶性重合性化合物の構造、及びその重合化を説明する図である。 従来の多官能性の液晶性重合性化合物の構造、及びその重合化を説明する図である。 本発明の液晶性重合性低分子化合物の基本構造を説明する図である。 実施例1の化学式(I)の化合物の製造方法を示すフロー図である。 実施例2の化学式(II)の化合物の製造方法を示すフロー図である。 実施例3の複屈折性セルの製造方法を説明する概念図であり、図6(a)は化合物Eが分子配向していることを示す図、図6(b)は分子配向した化合物Eが重合化したことを示す図であり、図6(c)は紫外光照射により重合化した化合物Eのメトキシシンナモイル基が光反応を起こした状態を示す図である。 本発明の複屈折性フィルムにおける複屈折の変化を説明する概念図である。
符号の説明
1,10:重合性官能基
2:スペーサー
3:液晶骨格
4:重合性化合物の主鎖
5:多官能性重合性化合物
6:ビフェニルコア
7:液晶性メソゲン基
8:液晶性重合性低分子化合物の側鎖
9:ガラス基板
11:ポリマーの主鎖
12:光反応を起こしたメトキシシンナモイル基



Claims (19)

  1. 重合性官能基を少なくとも2以上有する重合性低分子化合物の側鎖に、光反応性メソゲン基を有することを特徴とする液晶性重合性低分子化合物。
  2. 前記重合性官能基が、一般式1で表される請求項1に記載の液晶性重合性低分子化合物。

    (ここで、R〜RはH、CH又はCであり;X及びXはCOO、OCO又はOであり;n1及びn2は0から20までの整数であり;Zは光反応基を有する液晶性メソゲン基である。)
  3. 前記光反応性メソゲン基が、一般式2又は一般式3で表される請求項1又は2に記載の液晶性重合性低分子化合物。


    (ここで、Xはなし、CH=CH、N=N、C≡C、COO、OCO又はPhであり;RはH、OC2m+1若しくはC2m+1(mは0から20までの整数)又はハロゲン原子であり;n3及びn4は0から20までの整数である。)
  4. 化学式(I)で表される請求項2又は3に記載の液晶性重合性低分子化合物。
  5. 化学式(II)で表される請求項2又は3に記載の液晶性重合性低分子化合物。
  6. アルカリ中でマロン酸ジエチルと1,6-ジブロモヘキサンを当量反応させて1-ブロモ-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンとする工程と、
    アルカリ中で1-ブロモ-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンと4,4-ビフェノールを当量反応させて1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンとする工程と、
    1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンを水素化リチウムアルミニウムにより還元して1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとする工程と、
    テトラヒドロキシフラン中で1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとメトキシシンナモイルクロリドを0℃以下で当量反応させて1-(4-(4-(メトキシシンナモイルオキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとする工程と、
    テトラヒドロキシフラン中で1-(4-(4-(メトキシシンナモイルオキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンと2倍当量のメタクリル酸クロリドと反応させる工程と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の液晶性重合性低分子化合物の製造方法。
  7. アルカリ中でマロン酸ジエチルと1,6-ジブロモヘキサンを当量反応させて1-ブロモ-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンとする工程と、
    アルカリ中で1-ブロモ-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンと4,4-ビフェノールを当量反応させて1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンとする工程と、
    1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジエトキシカルボニル)ヘプタンを水素化リチウムアルミニウムにより還元して1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとする工程と、
    テトラヒドロキシフラン中で1-(4-(4-ヒドロキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとメトキシシンナモイルクロリドを0℃以下で当量反応させて1-(4-(4-(メトキシシンナモイルオキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンとする工程と、
    テトラヒドロキシフラン中で1-(4-(4-(メトキシシンナモイルオキシ)ビフェニルオキシ)-7,7’-(ジヒドロキシ)ヘプタンと2倍当量のアクリル酸クロリドと反応させる工程と、
    を含むことを特徴とする請求項5に記載の液晶性重合性低分子化合物の製造方法。
  8. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液晶性重合性化合物を、表面配向処理を施した基板上に塗布し、加熱処理することにより重合化させ、薄膜状に形成したことを特徴とする複屈折性フィルム。
  9. 内面を表面配向処理した2枚の透明な基板と、
    前記基板間に挟持された請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液晶性重合性低分子化合物を重合化させた薄膜状の複屈折性フィルムと、から構成されることを特徴とする複屈折性セル。
  10. 重合性官能基を少なくとも2以上有する重合性低分子化合物の側鎖に、光反応性メソゲン基を有する液晶性重合性低分子化合物を調製する工程と、
    前記液晶性重合性低分子化合物を、表面配向処理した基板上に塗布し、加熱処理することにより重合化させる工程と、
    重合化により薄膜状に形成された複屈折性フィルムを基板から取り外す工程と、
    を含む複屈折性フィルムの製造方法。
  11. 前記液晶性重合性低分子化合物の前記重合性官能基が、一般式1で表される請求項10に記載の複屈折性フィルムの製造方法。

    (ここで、R〜RはH、CH又はCであり;X及びXはCOO、OCO又はOであり;n1及びn2は0から20までの整数であり;Zは光反応基を有する液晶性メソゲン基である。)
  12. 前記液晶性重合性低分子化合物の前記光反応性メソゲン基が、一般式2又は一般式3で表される請求項10又は11に記載の複屈折性フィルムの製造方法。


    (ここで、Xはなし、CH=CH、N=N、C≡C、COO、OCO又はPhであり;RはH、OC2m+1若しくはC2m+1(mは0から20までの整数)又はハロゲン原子であり;n3及びn4は0から20までの整数である。)
  13. 前記液晶性重合性低分子化合物が、化学式(I)で表される請求項11又は12に記載の複屈折性フィルムの製造方法。
  14. 前記液晶性重合性低分子化合物が、化学式(II)で表される請求項11又は12に記載の複屈折性フィルムの製造方法。
  15. 重合性官能基を少なくとも2以上有する重合性低分子化合物の側鎖に、光反応性メソゲン基を有する液晶性重合性低分子化合物を調製する工程と、
    前記液晶性重合性低分子化合物を、内面を表面配向処理した2枚の透明な基板の間に挟み込み、加熱処理することにより重合化させる工程と、
    を含む複屈折性セルの製造方法。
  16. 前記液晶性重合性低分子化合物の前記重合性官能基が、一般式1で表される請求項15に記載の複屈折性セルの製造方法。

    (ここで、R〜RはH、CH又はCであり;X及びXはCOO、OCO又はOであり;n1及びn2は0から20までの整数であり、Zは光反応基を有する液晶性メソゲン基である。)
  17. 前記液晶性重合性低分子化合物の前記光反応性メソゲン基が、一般式2又は一般式3で表される請求項15又は16に記載の複屈折性セルの製造方法。


    (ここで、Xはなし、CH=CH、N=N、C≡C、COO、OCO又はPhであり;RはH、OC2m+1若しくはC2m+1(mは0から20までの整数)又はハロゲン原子であり;n3及びn4は0から20までの整数である。)
  18. 前記液晶性重合性低分子化合物が、化学式(I)で表される請求項16又は17に記載の複屈折性セルの製造方法。
  19. 前記液晶性重合性低分子化合物が、化学式(II)で表される請求項16又は17に記載の複屈折性セルの製造方法。
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