JP2007062702A - タイヤサイズ認識処理方法及びタイヤサイズ認識処理装置 - Google Patents

タイヤサイズ認識処理方法及びタイヤサイズ認識処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の車両においては想定外であった異径タイヤの装着に対しても、走行のための各種の制御に支障を来すことなく、適切な制御が実現できるようにする。
【解決手段】車両への異径タイヤの装着の際、予め定められた前記車両に装着される異径タイヤの位置とタイヤ径の複数の組み合わせの中の該当する組み合わせにおけるタイヤ装着設定スイッチ部52の図示されないスイッチがオン状態とされると、電子制御ユニット51において、タイヤ装着設定スイッチ部52のスイッチの設定が判定され(ステップS102,S114,S120)、その判定結果に基づいて異径タイヤの装着状態が確定され(ステップS104,S116,S122)、その異径タイヤの装着状態に応じて、各種制御における演算パラメータの切り換えがなされ(S106,S118,S124)、その結果、ABS制御などの種々の動作制御が適切になされることとなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動二輪車や四輪車等の車両のタイヤサイズの認識に係り、特に、様々な異径タイヤの装着に対して安定した走行制御の実現等を図ったものに関する。
従来、自動二輪車や四輪車等の車両においては、車両の安全走行のため、例えばABS(Antilock Brake System)制御などに代表される様々な走行制御が装備されている。
例えばABS制御は、車輪のスリップが生じている状況においてブレーキ操作がなされることによってタイヤがロック状態とならないようにブレーキの作用を緩和させるべく制御を行うものである。
かかるABS制御においては、車輪近傍に設けられた車輪速度センサによって検出された車輪の回転速度を基に、車輪のスリップ状況の判断が行われる。通常、このスリップ状況の判断は、全ての車輪は予め指定された形状、寸法を有するいわゆる標準タイヤが装着されていることを前提として行われるものである。
ところが、一般にテンパータイヤと称される標準タイヤより小径の応急用タイヤが装着されたり、また、標準タイヤやテンパータイヤ以外の異径のタイヤが装着されたり、標準タイヤであっても空気圧の変動によりタイヤ径が変動すると、他の正常な車輪との間に回転速度に差が生じ、見かけ上、スリップが生じている状態となる。その結果、実際には必要ではないにも関わらず上述したABS制御によりブレーキの効きを緩和すべく制御が実行されてしまう。
このような事態を回避すべく、例えば、標準タイヤやテンパータイヤ以外の異径タイヤが装着されたり、また、標準タイヤが装着されている場合であっても、空気圧の変動によりタイヤ径が変動したことで、車輪の回転速度に差が生じていると判断される場合には、検出された回転速度に補正を施し、本来あるべき回転速度としてABS制御や他の制御に供されるようにするRTA機能などと称される補正処理機能を備えるのが一般的である。
また、テンパータイヤの使用に対しては、他の標準タイヤとの間に生ずる車輪の回転速度差が予測できることから、所定範囲の回転速度が検出された際にはテンパータイヤが装着されたとして、検出された回転速度に上述のタイヤ空気圧の変動によるタイヤ径の変動の場合と同様に補正を施して、その補正後の回転速度をABS制御や他の制御に供するテンパータイヤ認識処理機能を備えるのが一般的である。
なお、このような異径タイヤの装着に伴う車両の走行制御における不都合を回避する他の方策としては、例えば、自動二輪車における2つの車輪の回転速度の差が所定の範囲となるように、異径タイヤ側の回転速度を計算上の回転速度に置き換えて、各種の制御に供するようにしたものも提案されている(特許文献1参照)。
特開2000−127940号公報(第3頁、図2)
しかしながら、上述した従来のRTA機能やテンパータイヤ認識処理機能では、様々な異径タイヤの装着に対して必ずしも充分ではない。車両ユーザーによっては、敢えて推奨されている範囲を超えた異径タイヤを装着することがあり、そのような場合には、RTA機能やテンパータイヤ認識処理機能は殆ど実効性を失ってしまう。
すなわち、RTA機能は、標準タイヤに対して大凡±5乃至6%程度、最大でも10%に満たない範囲における標準タイヤとの径差を有する異径タイヤの装着や、空気圧の変動に伴う径の変動に対しては比較的迅速に処理を行うことができる。しかし、それ以上の径差が生じた場合には、補正処理は機能するものの、その補正結果がABS制御などに供されるまでに長時間を要し、結果的には、ABS制御などにおいて必要とされる際に、補正された的確な回転数が得られないという事態を招くため、制御の実効性を損なうものとなるという問題があった。
また、テンパータイヤ認識処理機能では、予めテンパータイヤの規格が定まっており、それを前提としたものであるため、全くの想定外の異径タイヤの装着に対しては何ら有効な処理が行われない状態となってしまう。
さらに、特許文献1に開示されたものにあっては、RTA機能やテンパータイヤ認識処理機能では対処できない異径タイヤに一応対処はできるものの、見かけ上、標準タイヤと異径タイヤとの回転数の差が所定範囲となるように、異径タイヤの回転数が計算で求められた回転数に置き換えられるため、ABS制御などにおいて、実際の回転数の差を考慮した制御がなされるものではないので、標準タイヤと異径タイヤとの回転数があまりに大きな場合には、制御結果に違和感を招くような事態に陥ることも考えられる。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、従来の異径タイヤに対する補正処理などでは対処できないか、又は、十分な処理が得られないような異径タイヤの装着に対しても、走行のための各種の制御に支障を来すことなく、適切、的確な制御が実現できるようにするタイヤ認識処理方法及び装置を提供するものである。
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るタイヤ認識処理方法は、
車両への異径タイヤの装着を認識処理するタイヤ認識処理方法であって、
前記車両への異径タイヤの装着に伴い、当該装着状態を所定の信号形式で設定可能とする一方、
前記設定結果に基づいて前記装着状態を判定し、判定された異径タイヤの装着状態に応じて各種車両制御の制御条件の切り換えを行うよう構成されたものである。
また、上記発明の目的を達成するため、本発明に係るタイヤ認識処理方法は、
車両への異径タイヤの装着を認識処理するタイヤ認識処理方法であって、
前記車両への異径タイヤの装着の際、予め定められた前記車両に装着される異径タイヤの位置とタイヤ径の複数の組み合わせにおける該当する組み合わせに応じた信号の設定を可能とし、当該信号に基づいて、装着された異径タイヤの組み合わせを判定し、当該判定結果に応じて、各種の車両制御における制御条件の切り換えを行うよう構成されたものである。
さらに、上記発明の目的を達成するため、本発明に係るタイヤ認識処理方法は、
車両への異径タイヤの装着を認識処理するタイヤ認識処理方法であって、
前記車両への異径タイヤの装着状態を、走行データに基づいて判定し、当該判定結果に基づいて、各種車両制御の制御条件の切り換えを行うよう構成されてなるものである。
本発明によれば、装着された異径タイヤに応じて、車両動作を制御する各種の制御における制御条件を切り換えるようにしたので、検出された車輪速度を所定の方法に基づいて補正し、その補正値を車両の各種の動作制御に供するだけの従来の補正機能では不十分な補正しかできないか、又は、補正ができないような異径タイヤの装着に対しても、従来と異なり、車両の各種の動作制御が影響を受けることなく、適切な動作制御が継続実行できるようにすることができ、より信頼性の高い車両の動作制御の実現に寄与することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図3を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態におけるタイヤ認識装置が実現される車両制御装置の一構成例について、図1を参照しつつ説明する。
本発明の実施の形態における車両制御装置は、特に、自動二輪車に適するもので、電子制御ユニット(図1においては「ECU」と表記)51と、車輪速度を検出する2つの車輪速度センサ1,2と、後述するように装着タイヤの組み合わせを設定するタイヤ装着設定スイッチ部52とを有してなるものである。
電子制御ユニット51は、公知・周知の構成を有してなるマイクロコンピュータ(図示せず)を中心に、RAMやROM等の記憶素子(図示せず)を備えると共に、車輪速度センサ1,2の出力信号やタイヤ装着設定スイッチ部52の設定状態をマイクロコンピュータへ入力するためのインターフェイス回路(図示せず)などが設けられて構成されたものとなっている。
そして、かかる電子制御ユニット51は、図示されない記憶素子に記憶された車両の走行を制御するための種々の制御プログラムを実行し、車両の駆動、走行に必要な種々の動作制御を行うようになっている。このような車両の動作制御としては、例えば、エジン制御やABS制御(Antilock Brake System)、また、車輪速度センサの異常の有無を判定するための車輪速度のモニタ処理などがある。さらに、本発明の実施の形態においては、後述するタイヤ認識処理が実行されるようになっている。
なお、図1に示された構成例においては、ブレーキ(図示せず)操作のための油圧装置(図1においては「H/U」と表記)53が示されている。この油圧装置53は、電子制御ユニット51において実行されるABS制御によってその動作が制御されるようになっており、そのため、電子制御ユニット51から油圧装置53に対して制御信号が印加されるようになっている。
車輪速度センサ1,2は、2つの車輪54,55に対応してそれぞれ設けられ、車輪54,55の回転速度を検出するもので、その出力は、車両用電子制御ユニット51へ入力されるようになっている。このような車輪速度センサ1,2は、公知・周知の構成を有してなるもので、特定の形式等のものに限定される必要はないので、それ自体についてのここでの詳細な説明は省略することとする。
タイヤ装着設定手段としてのタイヤ装着設定スイッチ部52は、車両のユーザーが、車両に応じて予め定められた標準タイヤや、いわゆるテンパータイヤと称される応急タイヤ以外の異径のタイヤ(以後、「異径タイヤ」と称す)を装着した場合に、その装着に応じてスイッチ(図示せず)により、その装着状態を設定できるようになっているものである。
具体的には、例えば、タイヤ装着設定スイッチ部52は、複数のオン・オフスイッチ(図示せず)を有して構成されたものとすることができる。
かかる構成において、説明の便宜上、車輪54を前輪、車輪55を後輪とすると、タイヤ装着設定スイッチ部52は、この前輪と後輪のタイヤの径の組み合わせに応じて、それぞれ一つのオン・オフスイッチが割り当てられており、そのいずれかをオンとすることで、電子制御ユニット51において、前輪と後輪のタイヤ径の関係が認識できるものとなっている。
ここで、前輪と後輪のタイヤの径の組み合わせとは、例えば、前輪が標準タイヤで後輪が半径r1の異径タイヤ、また、前輪が標準タイヤで後輪が半径r2の異径タイヤ、さらに、前輪が半径r1の異径タイヤで後輪が標準タイヤ、またさらに、前輪が半径r2の異径タイヤで後輪が標準タイヤというように、前輪と後輪における標準タイヤと異径タイヤの装着位置と、異径タイヤの径との組み合わせを予め規定したものである。
そして、例えば、前輪を標準タイヤとする一方、後輪を標準タイヤより10%大きな径のタイヤとした組み合わせに対しては、第1のオン・オフスイッチ(図示せず)が割り当てられ、前輪を標準タイヤとする一方、後輪を標準タイヤより10%小さな径のタイヤとした組み合わせに対しては、第2のオン・オフスイッチ(図示せず)が割り当てられ、後輪を標準タイヤとする一方、前輪を標準タイヤより10%大きな径のタイヤとした組み合わせに対しては、第3のオン・オフスイッチ(図示せず)が割り当てられ、さらに、後輪を標準タイヤとする一方、前輪を標準タイヤより10%小さな径のタイヤとした組み合わせに対しては、第4のオン・オフスイッチ(図示せず)が割り当てられるという如くである。
そして、ユーザーは、異径タイヤを装着した場合、その装着状態、すなわち、他のタイヤとの組み合わせが上述したいずれに該当するかによって、対応する組み合わせに相当するオン・オフスイッチをオン状態に設定することとなる。
上述のタイヤ装着設定スイッチ部52の構成はあくまでも一例であり、勿論、このような構成に限定される必要はなく、他の構成としてもよいものである。
例えば、前輪と後輪のタイヤ径の組み合わせに対して、予めそれぞれ任意のコードを割り当てておき、タイヤ装着設定スイッチ部52は、そのコード設定ができるような構成としてもよい。
また、前輪と後輪のタイヤ径の組み合わせ数も、特定の数に限定される必要はなく任意に選択されるべきものである。
すなわち、タイヤ装着設定スイッチ部52は、前輪と後輪のタイヤ径の組み合わせに応じた識別信号を電子制御ユニット51に対して出力できる構成とすればよく、その具体的な回路構成は任意に選定されるべきものである。
図2には、上述した電子制御ユニット51によって実行されるタイヤ認識処理の手順を示すフローチャートが示されており、以下、同図を参照しつつ、タイヤ認識処理手順について説明する。
電子制御ユニット51による処理が開始されると、最初に、車輪情報の収集が行われる(図2のステップS100参照)。すなわち、車輪速度センサ1,2の出力信号が電子制御ユニット51に読み込まれ、車輪の回転速度が算定される。本発明の実施の形態においては、車輪速度センサ1,2は、車輪の回転速度に応じた間隔を有するパルス列を出力するようなものを想定しており、実際の回転速度は、そのパルスの間隔から算出されるものとなる。
次いで、タイヤ装着設定スイッチ部52における設定状態が第1設定状態にあるか否かが判断される(図2のステップS102参照)。なお、ステップS102において、「WH−SW」は、タイヤ装着設定スイッチ部52の意味であり、以下、他のステップにおける表記についても同様であるとする。
第1設定状態が如何なるものとなるかは、先に述べたようなタイヤ装着設定スイッチ部52の構成に応じて異なるが、例えば、タイヤ装着設定スイッチ部52が複数のオン・オフスイッチを有し、前輪と後輪のタイヤ径の組み合わせに応じていずれかのオン・オフスイッチをオン状態に設定する構成である場合には、予め定めたオン・オフスイッチがオン状態である場合が第1設定状態となる。また、タイヤ装着設定スイッチ部52が、先に述べたようにコード設定できるよう構成されたものである場合には、第1設定状態は、予め定めた所定のコードとなる。なお、後述する第2及び第3設定状態についても、上述の第1設定状態同様、具体的に如何なる設定状態とするかは、特定の内容に限定されるものではなく、種々選定し得るものである。
なお、この図2に示された処理手順の例においては、説明を簡潔にし、理解を容易にするため、タイヤ装着設定スイッチ部52は3つのオン・オフスイッチを有して、前輪と後輪のタイヤ径の組み合わせに応じていずれかのスイッチをオン状態に設定する構成であるとする。そして、第1設定状態は、図示されない3つのオン・オフスイッチの内、第1のスイッチ(図示せず)がオン状態に設定されている状態、第2設定状態は、図示されない3つのオン・オフスイッチの内、第2のスイッチ(図示せず)がオン状態に設定されている状態、第3設定状態は、図示されない3つのオン・オフスイッチの内、第3のスイッチ(図示せず)がオン状態に設定されている状態であるとする。
そして、ステップS102において、タイヤ装着設定スイッチ部52は、第1設定状態であると判定された場合(YESの場合)には、前輪と後輪のタイヤ径は、第1の組み合わせであると認識されることとなる(図2のステップS104参照)。
なお、第1の組み合わせが具体的に如何なる前輪と後輪のタイヤ径の組み合わせとするかは、このタイヤ認識処理が実行される車両の種類(車体の大きさ、エンジン出力等)に応じて種々選定されるべきものであり、特定の組み合わせに限定される必要はないものである。なお、これは、後述する第2及び第3の組み合わせについても同様であるとする。
次いで、ステップS104において、前輪と後輪のタイヤ径の組み合わせが第1の組み合わせであるとされたことに伴い、電子制御ユニット51で実行される各種の制御処理における種々の演算パラメータが、その第1の組み合わせに適合した値に切り換えられ、また、制御モデルがある場合には、その制御モデルにおける種々の演算パラメータ又は制御モデル自体が第1の組み合わせに適合した値に切り換えられることとなる(図2のステップS106参照)。
そして、上述のようにして切り換えられた各種の演算パラメータに基づいて、RTA処理が行われることとなる(図2のステップS108参照)。
ここで、RTA処理は、従来から行われているもので、例えば、標準タイヤやテンパータイヤ以外の異径タイヤが装着されたり、また、標準タイヤが装着されている場合であっても、空気圧の変動によりタイヤ径が変動したことで、車輪の回転速度に差が生じていると判断される場合には、検出された回転速度に補正を施し、その補正された回転速度をABS制御や他の制御に供するものである。
従来、このRTA処理で的確に対応できる標準タイヤと異径タイヤとのタイヤ径の差は、±10%にも満たない範囲であり、標準的には、5〜6%前後であった。そして、タイヤ径の差がそのような標準的な範囲を大きく超える場合には、処理が全く行われない訳ではないが、処理時間が極めて長くなり、実質的には用をなさないものとなっていた。これは、タイヤ径の差が標準的な範囲を大きく超える場合にあっても、補正処理において用いられる種々の演算パラメータは、標準タイヤと異径タイヤとのタイヤ径の差が標準的な範囲にあるとの前提の基で設定されたものであることに起因するものであった。
しかしながら、本発明の実施の形態においては、装着された異径タイヤに応じて演算パラメータの切り換えが行われ(図2のステップS106参照)、その上でRTA処理が行われるために、適切な処理時間で適切な補正処理が行われることとなる。
上述のようにしてRTA処理が行われた後、そのRTA処理によって補正された車輪速度は、それを必要とするABS制御や、各種モニタなどへ供給され、それぞれの処理が行われることとなる(図2のステップS110参照)。なお、ここで、モニタとは、車両の走行状態などが正常であるか否かや、車輪速度センサの異常の有無等を判断するための処理であり、通常、車両には、このような各種のモニタ機能が搭載されている。具体的に如何なるモニタを搭載するかは車両の条件等によって適宜選択されるべきものであり、特定のものに限定される必要はないので、ここでの具体的な説明は省略することとする。
次いで、車輪速度に差が生じているか否かが判定される(図2のステップS112参照)。これは、所定の手順に従ってタイヤ交換がなされ、正常にABS制御や各種モニタ処理がなされた後に、例えば、ユーザーによるタイヤ装着設定スイッチ部52における操作なしに再びタイヤ交換がなされたり、また、極端なタイヤ空気圧の減少などにより車輪速度に差が生ずる可能性があるため、それを検出し、必要な場合には、上述した一連の処理を再度行うようにするためのものである。
そして、ステップS112において、車輪速度に差有りと判定された場合(YESの場合)には、先のステップS100へ戻り、それ以後の処理が再度繰り返されることとなる。
一方、ステップS112において、車輪速度に差無しと判定された場合(NOの場合)には、先のステップS108へ戻り、以後の一連の処理が繰り返されることとなる。
また、先のステップS102において、タイヤ装着設定スイッチ部52は、第1設定状態ではないと判定された場合(NOの場合)には、ステップS114の処理へ進み、タイヤ装着設定スイッチ部52は、第2設定状態か否かが判定されることとなる(図2のステップS114参照)。
そして、ステップS114において、タイヤ装着設定スイッチ部52は、第2設定状態であると判定された場合(YESの場合)には、前輪と後輪のタイヤ径は、第2の組み合わせであると認識されることとなる(図2のステップS116参照)。
次いで、ステップS116において、前輪と後輪のタイヤ径の組み合わせが第2の組み合わせであるとされたことに伴い、電子制御ユニット51で実行される各種の制御処理における種々の演算パラメータが、その第2の組み合わせに適合した値に切り換えられ、また、制御モデルがある場合には、その制御モデルにおける種々の演算パラメータ又は制御モデル自体が第2の組み合わせに適合した値に切り換えられることとなる(図2のステップS118参照)。
そして、ステップS118の処理終了後は、ステップS108の処理へ進み、以後、先に説明した一連の処理が行われることとなる。
一方、ステップS114において、タイヤ装着設定スイッチ部52は、第2設定状態ではないと判定された場合(NOの場合)には、ステップS120の処理へ進み、タイヤ装着設定スイッチ部52は、第3設定状態か否かが判定されることとなる(図2のステップS120参照)。
そして、ステップS120において、タイヤ装着設定スイッチ部52は、第3設定状態であると判定された場合(YESの場合)には、前輪と後輪のタイヤ径は、第3の組み合わせであると認識されることとなる(図2のステップS122参照)。
次いで、ステップS122において、前輪と後輪のタイヤ径の組み合わせが第3の組み合わせであるとされたことに伴い、電子制御ユニット51で実行される各種の制御処理における種々の演算パラメータが、その第3の組み合わせに適合した値に切り換えられ、また、制御モデルがある場合には、その制御モデルにおける種々の演算パラメータ又は制御モデル自体が第3の組み合わせに適合した値に切り換えられることとなる(図2のステップS124参照)。
そして、ステップS124の処理終了後は、ステップS108の処理へ進み、以後、先に説明した一連の処理が行われることとなる。
一方、ステップS114において、タイヤ装着設定スイッチ部52は、第3設定状態ではないと判定された場合(NOの場合)には、タイヤは標準タイヤが装備された状態であると擬制されて先のステップS108の処理へ進み、ステップS108以降の一連の処理が行われることとなる。
なお、図2に示された処理手順において、ステップS112を省略し、ステップS110の処理を終える度毎に、ステップS100へ戻るようにしてもよい。
上述の実施例においては、電子制御ユニット51によるステップS102〜S106、S114〜S118、S120〜S124の実行により制御手段が実現されたものとなっている。
次に、電子制御ユニット51によって実行されるタイヤ認識処理の第2の実施例について、図3に示されたフローチャートを参照しつつ説明する。なお、図2に示された処理内容と同一のものについては、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明することとする。
この第2の実施例におけるタイヤ認識処理は、概括すれば、前輪と後輪の異なるタイヤ径の組み合わせの発生の有無の判断を、タイヤ装着設定スイッチ部52を用いることなく、走行データに基づいて行うようにしたものである。
以下、具体的に説明すれば、処理が開始されると、先の第1の実施例同様、車輪情報の収集が行われる(図3のステップS100参照)。
次いで、ステップS100の処理により得られた走行データとしての前輪及び後輪の車輪速度の差が、所定の第1の車輪速度状態であるか否かが判定される(図3のステップS102A参照)。ここで、第1の車輪速度状態は、予め定められた前輪と後輪の組み合わせにおいて生じ得る車輪速度の差である。例えば、前輪が標準タイヤで後輪が半径r1の異径タイヤである場合に、標準タイヤが所定の車輪速度となった際に生じ得る標準タイヤと異径タイヤの車輪速度の差というように予め設定されるものである。
すなわち、前輪と後輪のタイヤが、共に標準タイヤである場合には、共に正常に回転している状態であれば、ほぼ同一の車輪速度となる。これに対して、一方が標準タイヤで、他方が異径タイヤの組み合わせにおいては、異径タイヤの大きさに応じて双方の車輪速度に差が生ずる。したがって、逆に前輪と後輪の車輪速度の差によって、如何なる異径タイヤが装着されたかを判定することができる。
この実施例においては、第1乃至第3の車輪速度状態として設定された前輪と後輪の異径タイヤの組み合わせが判定できるものとなっている。
具体的に、第1乃至第3の車輪速度状態として、如何なるタイヤの組み合わせにおける如何なる車輪速度の差を設定するかは、具体的な車両の大きさ等の種々の条件に応じて設定されるべきものであり、特定の値に限定される必要はないものである。
しかして、ステップS102Aにおいて、前輪及び後輪の車輪速度が第1の車輪速度状態であると判定された場合(YESの場合)には、前輪と後輪のタイヤ径は、第1の組み合わせであると認識されることとなる(図3のステップS104参照)。
そして、先に図2を参照しつつ説明した第1の実施例と同様に、ステップS106乃至S112の処理が実行されることとなる。なお、これらの処理内容について、ここでの再度の詳細な説明は省略することとする。
一方、ステップS102Aにおいて、前輪及び後輪の車輪速度が第1の車輪速度状態ではないと判定された場合(NOの場合)には、ステップS114Aの処理へ進み、前輪及び後輪の車輪速度が第2の車輪速度状態か否かが判定されることとなる(図3のステップS114A参照)。
そして、ステップS114Aにおいて、前輪及び後輪の車輪速度が第2の車輪速度状態であると判定された場合(YESの場合)には、ステップS116以降の処理が実行されることとなる。
また、ステップS114Aにおいて、前輪及び後輪の車輪速度が第2の車輪速度状態ではないと判定された場合(NOの場合)には、ステップS120Aの処理へ進み、前輪及び後輪の車輪速度が第3の車輪速度状態か否かが判定されることとなる(図3のステップS120A参照)。
この第2の実施例においては、電子制御ユニット51によるステップS102A〜S106、S114A〜S118、S120A〜S124の実行により制御手段が実現されたものとなっている。
なお、この第2の実施例においては、3つの車輪速度状態を判定するものとしたが、判定の対象となる車輪速度状態の数は、勿論これに限定される必要はなく、任意に設定してよいものである。
また、この第2の実施例においては、走行データとして、前輪と後輪の車輪速度の差を用いたが、これに限定される必要はなく、例えば、前輪と後輪の加速減速度の差を走行データとしてもよい。
さらに、図3に示された処理手順において、ステップS112を省略し、ステップS110の処理を終える度毎に、ステップS100へ戻るようにしてもよい。
またさらに、上述の各実施例においては、自動二輪車を前提を説明をしたが、本発明は、自動二輪車に限定される必要は無いこと勿論であり、自動四輪車においても同様に適用することができるものである。
本発明の実施の形態におけるタイヤ認識装置が実現される車両制御装置の一構成例を示す構成図である。 図1に示された車両制御装置において実行されるタイヤ認識処理の手順を示すフローチャートである。 図1に示された車両制御装置において実行されるタイヤ認識処理の第2の実施例の手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…車輪速度センサ
2…車輪速度センサ
51…電子制御ユニット
52…タイヤ装着設定スイッチ部
54…車輪(前輪)
55…車輪(後輪)

Claims (24)

  1. 車両への異径タイヤの装着を認識処理するタイヤ認識処理方法であって、
    前記車両への異径タイヤの装着に伴い、当該装着状態を所定の信号形式で設定可能とする一方、
    前記設定結果に基づいて前記装着状態を判定し、判定された異径タイヤの装着状態に応じて各種車両制御の制御条件の切り換えを行うことを特徴とするタイヤ認識処理方法。
  2. 車両への異径タイヤの装着を認識処理するタイヤ認識処理方法であって、
    前記車両への異径タイヤの装着の際、予め定められた前記車両に装着される異径タイヤの位置とタイヤ径の複数の組み合わせにおける該当する組み合わせに応じた信号の設定を可能とし、当該信号に基づいて、装着された異径タイヤの組み合わせを判定し、当該判定結果に応じて、各種の車両制御における制御条件の切り換えを行うことを特徴とするタイヤ認識処理方法。
  3. 信号の設定は、組み合わせに応じて設けられたスイッチのオン・オフによることを特徴とする請求項2記載のタイヤ認識処理方法。
  4. 信号の設定は、組み合わせに応じて所定のコードの設定によることを特徴とする請求項2記載のタイヤ認識処理方法。
  5. 制御条件は、演算パラメータであることを特徴とする請求項2乃至請求項4いずれか記載のタイヤ認識処理方法。
  6. 車両への異径タイヤの装着を認識処理するタイヤ認識処理方法であって、
    前記車両への異径タイヤの装着状態を、走行データに基づいて判定し、当該判定結果に基づいて、各種車両制御の制御条件の切り換えを行うことを特徴とするタイヤ認識処理方法。
  7. 走行データは、車輪速度の差であって、予め定められた異径タイヤの位置とタイヤ径の組み合わせに応じた異径タイヤと標準タイヤとの車輪速度の差のいずれに該当するかを判定し、判定された異径タイヤの位置とタイヤ径との組み合わせに応じて、各種の車両制御における制御条件の切り換えを行うことを特徴とする請求項6記載のタイヤ認識処理方法。
  8. 制御条件の切り換えは、演算パラメータの切り換えであることを特徴とする請求項7記載のタイヤ認識処理方法。
  9. 車両への異径タイヤの装着を認識処理するタイヤ認識処理装置であって、
    前記車両への異径タイヤの装着の際、予め定められた前記車両に装着される異径タイヤの位置とタイヤ径の複数の組み合わせにおける該当する組み合わせに応じた信号の設定を可能とするタイヤ装着設定手段と、
    前記タイヤ装着設定手段における設定状態を判定し、当該判定結果に基づいて各種の車両制御における制御条件の切り換えを行う制御手段と、
    を具備してなることを特徴とするタイヤ認識処理装置。
  10. タイヤ装着設定手段は、異径タイヤの位置とタイヤ径の複数の組み合わせに応じて設けられた複数のオン・オフスイッチを用いて構成されてなることを特徴とする請求項9記載のタイヤ認識処理装置。
  11. タイヤ装着設定手段は、異径タイヤの位置とタイヤ径の複数の組み合わせに応じて所定のコード設定が可能に構成されてなることを特徴とする請求項9記載のタイヤ認識処理装置。
  12. 制御条件は、演算パラメータであることを特徴とする請求項9乃至請求項11いずれか記載のタイヤ認識処理装置。
  13. 車両への異径タイヤの装着を認識処理するタイヤ認識処理装置であって、
    前記車両への異径タイヤの装着が、予め定められた異径タイヤの位置とタイヤ径の組み合わせのいずれに該当するかを前記車両の走行データに基づいて判定し、当該判定結果に応じて各種の車両制御における制御条件の切り換えを行うよう構成されてなることを特徴とするタイヤ認識処理装置。
  14. 車両の走行データは、車輪速度の差であって、当該走行データに基づく判定は、車輪速度の差が、予め定められた異径タイヤの位置とタイヤ径の組み合わせに応じた異径タイヤと標準タイヤとの車輪速度の差のいずれに該当するかを判定することを特徴とする請求項13記載のタイヤ認識処理装置。
  15. 制御条件は、演算パラメータであることを特徴とする請求項13又は請求項14いずれか記載のタイヤ認識処理装置。
  16. 車両に搭載されて当該車両の動作を制御する電子制御ユニットであって、
    当該電子制御ユニットは、
    前記車両への異径タイヤの装着に伴い、前記車両に装着される異径タイヤの位置とタイヤ径の予め定められた複数の組み合わせにおける該当する組み合わせに応じた信号が外部から入力された場合、当該入力信号に基づいて前記いずれの組み合わせに該当する異径タイヤが装着されたかを判定し、当該判定結果に基づいて各種の車両制御における制御条件の切り換えを行うよう構成されてなることを特徴とする電子制御ユニット。
  17. 制御条件は、演算パラメータであることを特徴とする請求項16記載のタイヤ認識処理装置。
  18. 車両に搭載されて当該車両の動作を制御する電子制御ユニットであって、
    当該電子制御ユニットは、
    前記車両への異径タイヤの装着が、予め定められた異径タイヤの位置とタイヤ径の組み合わせのいずれに該当するかを前記車両の走行データに基づいて判定し、当該判定結果に応じて各種の車両制御における制御条件の切り換えを行うよう構成されてなることを特徴とする電子制御ユニット。
  19. 車両の走行データは、車輪速度の差であって、当該走行データに基づく判定は、車輪速度の差が、予め定められた異径タイヤの位置とタイヤ径の組み合わせに応じた異径タイヤと標準タイヤとの車輪速度の差のいずれに該当するかを判定することを特徴とする請求項18記載の電子制御ユニット。
  20. 制御条件は、演算パラメータであることを特徴とする請求項19記載の電子制御ユニット。
  21. 車両に搭載されて当該車両の動作を制御する電子制御ユニットにおいて実行される車両への異径タイヤの装着を認識処理するタイヤ認識処理プログラムであって、
    前記車両への異径タイヤの装着に伴い、前記車両に装着される異径タイヤの位置とタイヤ径の予め定められた複数の組み合わせにおける該当する組み合わせに応じた外部からの信号を入力せしめる第1のステップと、
    前記第1のステップにおいて、入力された信号に基づいて前記いずれの組み合わせに該当する異径タイヤが装着されたかを判定する第2のステップと、
    前記第2のステップにおける判定結果に基づいて各種の車両制御における制御条件の切り換えを行う第3のステップとを有してなることを特徴とするタイヤ認識処理プログラム。
  22. 制御条件は、演算パラメータであることを特徴とする請求項21記載のタイヤ認識処理プログラム。
  23. 車両に搭載されて当該車両の動作を制御する電子制御ユニットにおいて実行される車両への異径タイヤの装着を認識処理するタイヤ認識処理プログラムであって、
    前記車両への異径タイヤの装着が、予め定められた異径タイヤの位置とタイヤ径の組み合わせのいずれに該当するかを前記車両の走行データに基づいて判定する第1のステップと、
    前記第1のステップにおける判定結果に応じて各種の車両制御における制御条件の切り換えを行う第2のステップとを有してなることを特徴とするタイヤ認識処理プログラム。
  24. 走行データは、車輪速度の差であって、当該車輪速度の差が、予め定められた異径タイヤの位置とタイヤ径の組み合わせに応じた異径タイヤと標準タイヤとの車輪速度の差のいずれに該当するかを判定することを特徴とする請求項23記載のタイヤ認識処理プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012157213A (ja) * 2011-01-28 2012-08-16 Nissan Motor Co Ltd 車両の制御装置
JP2019127141A (ja) * 2018-01-24 2019-08-01 株式会社シマノ 制動制御装置および制動システム

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