JP2007061717A - 消泡方法及び消泡装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 容器詰飲料等の高速製造ラインに対応でき、容器内の泡を密封前に高速で且つ少ないパワーで消泡できる消泡方法及び装置を提供する。
【解決手段】 複数の小型光学部材アレイを有する集光光束形成手段15により、泡の平均的な大きさより十分に細い複数の集光光束を形成して、内容物充填後の容器内の泡に照射することにより、集光により集められたエネルギーが泡を局所的に加熱して、破裂させて消泡する。集光により光パワーを効率的に作用させることができ、高速な消泡と少ないパワーで消泡を可能とし、容器詰飲料の脱酸素性能を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、消泡方法及び消泡装置、特に容器詰飲料等の製造ライン等において、飲料充填により容器内に発生した泡を消去する消泡方法及び消泡装置に関する。
缶飲料、プラスチックボトル詰飲料、壜詰飲料などの容器入り飲料の製造は、一般に充填機において正立した容器に上方から飲料を流し込んで充填し、次に密封装置で蓋部材を被せて密封する工程をとるが、飲料の酸化等を防ぎ品質を保持し、機能(味)を向上させるために、密封前に容器内のヘッドスペースから酸素を除去することが重要であり、通常ガス置換工程を設けている。ガス置換方法は、種々提案されているが、一般に窒素ガスが吹出しているトンネル内を通過させることにより、及び又はアンダーカバーガッシングにより、ヘッドスペース内に窒素ガスを吹き込んでヘッドスペース内のガス(空気)を窒素ガスに置換している。
しかしながら、容器への飲料の充填は、充填にしたがって必然的に泡が発生する。泡の発生挙動、発生した泡の消滅挙動は、個々の飲料の性質や充填条件によって異なるが、一般的に生産速度が速くなる程、泡が多く発生し、且つ泡が消滅するまでに十分な時間がとれず、泡が残った状態で密封が行なわれることになる。泡の中には大気中と同じ濃度の酸素が含まれており、泡内の空気はガス置換でも除去することはできないので、ヘッドスペース酸素量低減を妨げ、脱酸素技術が向上した現在では、残存酸素量の主因となっている。特に酸化しやすい茶飲料やコーヒー飲料、果汁飲料等は充填時に泡が発生しやすいので、近年における毎分1000〜2000缶を製造する高速ラインにおいて、これらの飲料の泡を如何にして短時間に消去するかが、重要な技術的課題となっている。
従来、泡を抑制するために飲料処方に消泡剤を混ぜる手法が多く用いられているが、これは飲料のフレーバーに影響を与えてしまうので、消泡剤によらずに充填から密封までの間に短時間で消泡する技術の確立が求められている。この要求に対する解決策として、光等のエネルギーを照射して消泡する技術が考えられ、多くの方法や装置が提案されている。例えば、泡にレーザー光又はマイクロ波を照射する方法(特許文献1参照)、充填装置の充填ノズルと一体にレーザー照射装置を設置し、充填ノズルと容器口の間から光ビームを泡に照射し、充填時に消泡を行なうようにしたもの(特許文献2参照)が提案されている。また、泡に超音波を放射することにより、消泡する方法も提案されている(特許文献3)。
特開昭63−104620号公報
特開昭63−252509号公報
特開平11−90330号公報
従来提案されている光を照射して消泡する技術は、光エネルギーを泡に照射して、泡の成分(多くは水)を加熱し、蒸発させて消泡する原理から成り立っている。しかしながら、高速化した容器詰飲料製造工程の中では、充填工程後の消泡工程に割り当てられる時間が短く、通常の光源から発する光の強度では、十分な消泡効果が得られない。逆に消泡効果を得るのに十分なエネルギーを投入することが考えられるが、多大なパワーを持つ光源が必要となり、ランニングコスト、メンテナンスコストが増大するという問題点があり、解決すべき課題がある。そのため、光を照射して消泡する技術は、高速化した充填スピードに適応しておらず、未だ実用化されてないのが実情である。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、光のエネルギー効率を高めて、少ないエネルギーコストで容器詰飲料製造ラインの高速化にも適用可能で、容器内の泡を効率よく短時間に消泡することができる消泡方法及び消泡装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、光のエネルギー効率を高めて、少ないエネルギーコストで容器詰飲料製造ラインの高速化にも適用可能で、容器内の泡を効率よく短時間に消泡することができる消泡方法及び消泡装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題点を解決するために、高速充填に対応できる消泡方法について鋭意研究した結果、光を集光させることが、特に消泡に対して効果的であることを見出した。
即ち、従来消泡を行なうのに泡全体に均一に光を照射しているが、消泡を行なうには、泡の一部分を加熱して気化させればよいので、泡の一部分に集光させることによって、全体に均一に照射するのに比べてはるかに効率良く泡を破ることができる。内容液充填時に発生する泡は、バラツキはあるものの、概ね数mmの直径を持つ。それに対して、消泡に用いられる光(赤外光〜可視光〜近紫外光)は、適切な光学系を用いて、波長の10倍程度までは容易に集光することができる。例えば、消泡に最も良く使われる赤外光では50μm以下にまで絞り込むことができる。しかし単に集光させるだけでは、ヘッドスペースの広い面積を消泡することは出来ない。これを解決する手段として、(1)複数の集光光束を容器の開口部に照射する方法、(2)1つ又は複数の集光光束を形成し、集光光束を開口部全体にわたって高速にスキャニングする方法が、有効であることを見出し本発明に到達したものである。
即ち、従来消泡を行なうのに泡全体に均一に光を照射しているが、消泡を行なうには、泡の一部分を加熱して気化させればよいので、泡の一部分に集光させることによって、全体に均一に照射するのに比べてはるかに効率良く泡を破ることができる。内容液充填時に発生する泡は、バラツキはあるものの、概ね数mmの直径を持つ。それに対して、消泡に用いられる光(赤外光〜可視光〜近紫外光)は、適切な光学系を用いて、波長の10倍程度までは容易に集光することができる。例えば、消泡に最も良く使われる赤外光では50μm以下にまで絞り込むことができる。しかし単に集光させるだけでは、ヘッドスペースの広い面積を消泡することは出来ない。これを解決する手段として、(1)複数の集光光束を容器の開口部に照射する方法、(2)1つ又は複数の集光光束を形成し、集光光束を開口部全体にわたって高速にスキャニングする方法が、有効であることを見出し本発明に到達したものである。
即ち、上記問題点を解決する本発明の消泡方法は、容器内に発生した泡を消去する方法であって、容器開口部に向けて一つ又は複数の集光光束を照射して消泡することを特徴とする。前記集光光束が形成された空間に、前記容器内の泡を通過させることにより、前記集光光束を泡に照射させることが、容器詰飲料の製造ラインに容易に適用でき望ましい。また、前記集光光束が容器内の泡を走査することにより全体の泡に集光光束を照射するようにすることによって、集光光束は一つ又は少数の集光光束で消泡が可能である。前記集光光束は、複数の光学部材アレイにより複数の集光光束として形成することができる。また、前記複数の集光光束の全体を集光させる光学系と、個々の光束を集光する光学系の組合せにより、複数の集光光束を狭口容器の開口部を通過させて、容器内に広がって内部の泡に複数の集光光束を照射して狭口容器内の消泡を効率よく行うことが可能となる。さらに、前記複数の集光光束の整列方向を前記容器の進行方向に対して傾けて配置することによって、集光光束が容器開口部を満遍なく通ることができ、消泡効果を高めることができる。
また、上記消泡方法を実施するための本発明の消泡装置は、光源、該光源から発生した光を複数の集光光束に変換する集光光束形成手段を有し、該集光光束形成手段により容器の開口部に向けて複数の集光光束を照射するようにしてなることを特徴とするものである。
前記集光光束形成手段は、種々の手段が採用でき、複数の凸レンズからなる透過光学部材により形成されてなるマイクロレンズアレイによって構成することができる。または、複数の凸レンズからなる透過光学部材と、該透過光学部材により形成された複数の集光光束を直角方向に変換する反射鏡との組合せから構成することによって、容器開口部上方に直接光源等を配置しなくてもよいので望ましい。また、他の手段として、複数の凹面鏡を配列してなる凹面鏡アレイからなり、該凹面鏡アレイを容器の搬送経路の上方に傾斜して配置するようにした構成を採用することができる。さらに、他の手段として、複数の集光光束を形成する光学部材アレイと、少なくとも一次元方向に前記集光光束全体を集光する光学系との組合せからなり、前記複数の集光光束が狭口容器の狭口を通って容器内に広がって内部の泡に複数の集光光束を照射するようにして構成することによって、狭口容器内の消泡も効率良く行うことができる。前記集光光束形成手段は、集光光束の配列方向を容器の進行方向に対して水平面内で傾けて配置することによって、前記したように消泡効果を高めることができる。
前記集光光束形成手段は、種々の手段が採用でき、複数の凸レンズからなる透過光学部材により形成されてなるマイクロレンズアレイによって構成することができる。または、複数の凸レンズからなる透過光学部材と、該透過光学部材により形成された複数の集光光束を直角方向に変換する反射鏡との組合せから構成することによって、容器開口部上方に直接光源等を配置しなくてもよいので望ましい。また、他の手段として、複数の凹面鏡を配列してなる凹面鏡アレイからなり、該凹面鏡アレイを容器の搬送経路の上方に傾斜して配置するようにした構成を採用することができる。さらに、他の手段として、複数の集光光束を形成する光学部材アレイと、少なくとも一次元方向に前記集光光束全体を集光する光学系との組合せからなり、前記複数の集光光束が狭口容器の狭口を通って容器内に広がって内部の泡に複数の集光光束を照射するようにして構成することによって、狭口容器内の消泡も効率良く行うことができる。前記集光光束形成手段は、集光光束の配列方向を容器の進行方向に対して水平面内で傾けて配置することによって、前記したように消泡効果を高めることができる。
上記課題を解決する他の消泡装置は、光源、該光源から発生した光を1つ又は複数の集光光束に変換する集光光束形成手段、該集光光束を偏向させて集光光束が開口部全体にわたって走査する走査手段とからなり、容器内の泡に集光光束を照射して消泡するようにしてなることを特徴とするものである。
本願の請求項1〜13に記載の消泡方法及び消泡装置によれば、飲料充填で容器内に発生する泡の平均的な大きさより十分に細い集光光束を発生させて、局所的にエネルギーを集めて泡を加熱し、破裂せしめるため、光パワーを効率的に作用させることができ、高速な消泡を少ないパワーで行うことが可能となる。その結果、容器詰飲料の製造における脱酸素性能を向上させることができる。
請求項2の構成によれば、より簡単な装置で効率的に消泡でき、より高速な消泡が可能となる。請求項3及び請求項13の構成によれば、集光光束形成手段は単一の集光光束、又は少数の集光光束を形成するものでも消泡が可能である。請求項4、8の構成によれば、複数の細い集光光束を効率良くかつ所望の分布に形成することができる。請求項5、11の構成によれば、狭口容器内の泡も効率良く、かつ高速な消泡ができる。請求項6、12の構成によれば、集光光束が容器開口部を満遍なく通ることができ、消泡効果を高めることができる。請求項9、10の構成によれば、容器開口部の上方に直接光源等を配置しなくても容器内の消泡が効率よくでき、容器内への異物の混入等を防ぎ、衛生上好ましい。
請求項2の構成によれば、より簡単な装置で効率的に消泡でき、より高速な消泡が可能となる。請求項3及び請求項13の構成によれば、集光光束形成手段は単一の集光光束、又は少数の集光光束を形成するものでも消泡が可能である。請求項4、8の構成によれば、複数の細い集光光束を効率良くかつ所望の分布に形成することができる。請求項5、11の構成によれば、狭口容器内の泡も効率良く、かつ高速な消泡ができる。請求項6、12の構成によれば、集光光束が容器開口部を満遍なく通ることができ、消泡効果を高めることができる。請求項9、10の構成によれば、容器開口部の上方に直接光源等を配置しなくても容器内の消泡が効率よくでき、容器内への異物の混入等を防ぎ、衛生上好ましい。
以下、本発明の消泡方法及びその装置の実施形態を図面を基に詳細に説明する。
図1〜3は、本発明の消泡装置の基本的な実施形態を示し、図1が正面図、図2が側面図、図3が要部正面拡大図である。本実施形態では、缶詰製造ラインにおいてフィラーで内容物が充填された缶1を、次工程(ガス置換工程)に搬送するコンベヤ2の上方に沿って横断して配置した場合を示している。本実施形態の消泡装置10は、適宜の支柱11に高さ位置調整可能に支持された天板12から懸架された下方が開口し三方が閉塞されているケーシング13の開口部に、複数の集光を形成する集光光束形成手段15が配置されて構成されている。ケーシング13の内部には、適宜の光源14が配置されている。本実施形態では、集光光束形成手段は、図2に示すように、所定ピッチで搬送される缶1の搬送方向に3個の缶に跨るように配置されているが、必ずしもそれに限るものではない。なお、図中3はコンベヤ支持ガイドである。
図1〜3は、本発明の消泡装置の基本的な実施形態を示し、図1が正面図、図2が側面図、図3が要部正面拡大図である。本実施形態では、缶詰製造ラインにおいてフィラーで内容物が充填された缶1を、次工程(ガス置換工程)に搬送するコンベヤ2の上方に沿って横断して配置した場合を示している。本実施形態の消泡装置10は、適宜の支柱11に高さ位置調整可能に支持された天板12から懸架された下方が開口し三方が閉塞されているケーシング13の開口部に、複数の集光を形成する集光光束形成手段15が配置されて構成されている。ケーシング13の内部には、適宜の光源14が配置されている。本実施形態では、集光光束形成手段は、図2に示すように、所定ピッチで搬送される缶1の搬送方向に3個の缶に跨るように配置されているが、必ずしもそれに限るものではない。なお、図中3はコンベヤ支持ガイドである。
複数の集光光束を形成する手段として、マイクロレンズアレイを利用することができる。マイクロレンズアレイは、図3に拡大して示すように微小凸レンズ17を多数配列させた透過光学素子である。該マイクロレンズアレイは、一枚の基板上に多数の微小な凸レンズをエッチング等の方法で作成するか、あるいは先端に微小凸レンズを設けた光学チューブを多数束ねるといった方法で製作できる。微小凸レンズは、レンズ表面を略球状に成形することによって作成できる他に、フレネルレンズ形状を形成することによっても作成できる。また、レンズの中心部から周辺部に向かって材料の屈折率を変化させることによっても作成できる。集光光束の直径は、光の波長やコヒーレンシー、光学系の収差などによって決まるが、一般的には波長の10倍程度が目安となる。使用する微小レンズの直径は、0.5mm〜10mmが好適な範囲である。0.5mmよりも小さ過ぎると、集光効率が落ちて消泡効果が低くなり、一方大き過ぎると集光光束の間隔が疎となり、消泡に寄与する光束の数が減って消泡効果が低くなる。微小レンズの直径の上限は、微小レンズ群により発生した集光光束群が、各泡に1個の集光光束が当るように、集光光束の間隔と泡の間隔が一致しているのがもっとも効率的で望ましいが、泡の発生状況は必ずしも一様でなくそのようなことは不可能である。本発明者の実験の結果、10mm以内であれば、ほぼ液面全体の泡に集光光束を照射することができ消泡できたので、上限は10mmとする。また、微小レンズの配置は、どのような配置でも一定の効果はあがるので、ランダムな配置が可能である。しかし、集光光束は密である方が消泡効果が高くなることから、下方を通過する容器の開口面全体を均一に覆うように、細密充填配置又は碁盤目状配置に整列しているほうが望ましい。
一方、光の波長は、泡成分の吸収スペクトル、光源の利便性等によって決められるべきだが、大気中を伝播させることから、20μm〜0.2μmの範囲が好適である。光源としては、パワーが大きく安価なハロゲンランプが好適であるが、CO2レーザー(波長10.6μm)、YAGレーザー(波長1.06μm)等の各種レーザー、及び高調波、LED光源、水銀ランプ、キセノンランプ等を使用することができる。レンズの材質は、ガラスや、石英ガラスなど波長に応じて適宜選択できる。
また、集光光束の形成手段は、上記実施形態ではマイクロレンズアレイを使用したが、マイクロレンズアレイに代って、複数の小型凹面鏡を配列したマイクロ凹面鏡アレイを用いることができる。小型凹面鏡の直径は、マイクロレンズアレイの場合と同様、0.5mm〜10mmが好適な範囲である。
本実施形態の消泡装置は、以上のように形成され、泡5が位置する液面高さに応じて(即ち、容器高さに応じて)泡に集光光束の焦点が一致するように、集光光束形成手段15の高さ位置を適宜調整して設定する。内容物が充填された缶は、コンベヤ2によって所定ピッチで所定の搬送速度で該消泡装置の下方を通過することによって、その通過範囲に照射されている複数の集光光束の下方を通過することになり、その間に液面上に発生している泡に効率的に所定時間複数の集光光束が照射されることになる。本実施形態では、複数の微小レンズで複数の集光光束を配列しているので、集光光束が、ラインの速度に関係なく、各泡ごとに確実に照射される。泡に集光光束が照射されることによって、そのエネルギーによって泡の一部分が加熱されて蒸発して破壊されて消泡する。集光光束は、波長の10倍程度まで容易に集光させて、エネルギーを集中させることができるので、小さいパワーの光源で大きなエネルギーの照射光を得ることができ、例えば毎分1000缶〜2000缶を製造する高速ラインでも、例えば2kWの赤外線ランプの光源で十分な消泡効果を得ることができる。
以上は、本発明に係る消泡装置の基本的な実施形態であり、上記実施形態では、照射光を直接泡に照射しているが、実際の飲料の充填工程では、容器内への異物の混入防止などのために、缶が通過する上方にはなるべくレンズやランプ等の構造物を配置しない方が望ましい。そのため、図4に示す実施形態の消泡装置20では、図のように、コンベヤの上方に沿って45°の角度で傾斜した平面鏡からなる鏡21を配置し、集束光束群を該平面鏡で一旦反射させて缶内に照射するようにしている。本実施形態の集光光束形成手段等は前記実施形態と同様であるので、同様な部分には同一符号を付し、相違点のみについて説明する。以下の各実施形態においても同様である。
本実施形態では、コンベヤの側方に配置された片側の支柱11に、上下調節自在に取り付けられたフレーム22に、コンベヤの上方をコンベヤの進行方向に対して直角方向から集光光束群を照射するように、ケーシング13を缶の通過位置の直上方から離れて配置すると共に、コンベヤの上方に沿って45°の角度で傾斜した鏡21を配置して取付けている。鏡の材質としては、反射率が高く、面精度が確保できるものであれば良いが、充填工程に配置することを考えれば、割れるなどの破損するおそれのないステンレスやアルミ材が好適である。なお、反射効率をよくするために、これらの材料の表面に高輝度反射膜を形成するのが望ましい。
図5は、本発明の他の実施形態に係る消泡装置の正面図を示している。本実施形態は、図4に示す実施形態の変形例であり、上記実施形態では、複数の微小凸レンズからなる透過光学部材から構成されたマイクロレンズアレイと平面鏡の組合せの光学系によって構成されていたが、本実施形態では、複数の小型凹面鏡からなる反射光学部材により複数の集光光束を形成するようにすることによって、集光光束形成手段のみで、光源を容器の通過上方に配置しなくても、集光光束群を缶内に照射可能にしたものである。
即ち、本実施形態に係る消泡装置30は、集光光束形成手段31を複数の小型凹面鏡32群からなる反射光学部材によって形成し、該集光光束形成手段31を光源14に対して角度45°に傾斜して配置してある。その場合、各小型凹面鏡32から下方を通過する泡までの距離がそれぞれ相違するので、各小型凹面鏡は光学的に同一でなく、同一液面高さに焦点を結ぶように、その配置位置に対応してそれぞれ光学設計する必要がある。
図6は、本発明の更に他の実施形態に係る消泡装置の正面図を示している。前記各実施形態では、比較的開口部の広い一般的な缶に適用する場合を示したが、本実施形態の消泡装置は、ボトル缶やPETボトル等のプラスチックボトル、あるいは通常のガラス瓶等、特に開口部が狭くなっている容器に適用する場合に好適である。
本実施形態の消泡装置40では、集光光束形成手段41を複数の集光光束の全体を集光する光学系42(図の実施形態では蒲鉾型レンズ)と、個々の集光光束を集光するマイクロレンズアレイ43の組合せから構成されている。このように構成することによって、図に示すように、各集光光束群を容器の上方で一定範囲に集光させて通過させることにより、狭い開口部を通過して容器内面全体に分布して、容器内面全体に位置する泡に集光光束を照射することができる。マイクロレンズアレイは複数の微小凸レンズからなる透過光学部材から構成されたマイクロレンズアレイであってもよく、複数の微小凹レンズからなる透過光学部材から構成されたマイクロレンズアレイであってもよい。このような光学系は、上記実施形態に限らず、種々の形式のものが採用できる。例えば、凹面鏡と組合せることも可能である。また、全体を集光する光学系は、二次元方向に集光するものに限らず、円筒レンズ等を用いて一次元方向のみに集光する光学系でもよい。また、複数のプリズム、あるいは回折格子等を用いて、一定範囲に集光する複数の平行光束を形成する光学系として構成してもよい。集光光束は、二次元方向に集光し、点状になっているものが効率は高い。しかし、一次元方向に集光して、あるいはX方向とY方向の集光位置がずれて、線状になっているものでも十分な効果を発揮することができる。
本実施形態の消泡装置40では、集光光束形成手段41を複数の集光光束の全体を集光する光学系42(図の実施形態では蒲鉾型レンズ)と、個々の集光光束を集光するマイクロレンズアレイ43の組合せから構成されている。このように構成することによって、図に示すように、各集光光束群を容器の上方で一定範囲に集光させて通過させることにより、狭い開口部を通過して容器内面全体に分布して、容器内面全体に位置する泡に集光光束を照射することができる。マイクロレンズアレイは複数の微小凸レンズからなる透過光学部材から構成されたマイクロレンズアレイであってもよく、複数の微小凹レンズからなる透過光学部材から構成されたマイクロレンズアレイであってもよい。このような光学系は、上記実施形態に限らず、種々の形式のものが採用できる。例えば、凹面鏡と組合せることも可能である。また、全体を集光する光学系は、二次元方向に集光するものに限らず、円筒レンズ等を用いて一次元方向のみに集光する光学系でもよい。また、複数のプリズム、あるいは回折格子等を用いて、一定範囲に集光する複数の平行光束を形成する光学系として構成してもよい。集光光束は、二次元方向に集光し、点状になっているものが効率は高い。しかし、一次元方向に集光して、あるいはX方向とY方向の集光位置がずれて、線状になっているものでも十分な効果を発揮することができる。
図7は、前記各実施形態に共通して適用可能な、集光光束形成手段の容器の通過位置との関連でその整列方向を変更した場合の実施形態を示している。
整列した集光光束が形成された空間を容器の開口部が通過する場合、集光光束の整列方向が容器の進行方向と一致していると、開口部に集光光束が当らない隙間ができてしまう。これに対して、集光光束の整列方向を容器の進行方向に対して傾けると、集光光束が開口部を満遍なく照射することができ、消泡効果を高めることができる。そのために、本実施形態では、図示のように集光光束形成手段50を容器の進行方向に対して、傾けて配置している。傾角θは、集光光束の整列間隔、進行方向に対する光束数、及び進行方向に対する光束数によって決められるが、好適な範囲は0.5°〜20°である。傾角θが小さすぎると隙間が残ってしまう。また傾角θが大き過ぎても、整列間隔の間を十分に埋めることができず、隙間が残ってしまうので、上記範囲が好ましい。より好ましい範囲としては、1°〜10°である。
整列した集光光束が形成された空間を容器の開口部が通過する場合、集光光束の整列方向が容器の進行方向と一致していると、開口部に集光光束が当らない隙間ができてしまう。これに対して、集光光束の整列方向を容器の進行方向に対して傾けると、集光光束が開口部を満遍なく照射することができ、消泡効果を高めることができる。そのために、本実施形態では、図示のように集光光束形成手段50を容器の進行方向に対して、傾けて配置している。傾角θは、集光光束の整列間隔、進行方向に対する光束数、及び進行方向に対する光束数によって決められるが、好適な範囲は0.5°〜20°である。傾角θが小さすぎると隙間が残ってしまう。また傾角θが大き過ぎても、整列間隔の間を十分に埋めることができず、隙間が残ってしまうので、上記範囲が好ましい。より好ましい範囲としては、1°〜10°である。
以上の各実施形態では、コンベヤにより容器が直進して搬送される場合に適用した場合について示したが、本発明はそれに限らず、例えば容器がターレット等によって円軌道又は円弧軌道を移動する場合なども適用することができる。その場合は、前記集光光束形成手段は、容器の搬送経路に沿うように円弧状に配置すればよい。また、上記実施形態では、集光光束形成手段が一定位置に固定され、多数の集光光束が常に一定範囲に照射される場合について示したが、容器に対して実質的に固定するように照射してもよい。また、上記実施形態では多数の集光光束が容器の開口全面位置に分布して照射されるように形成したが、本発明はそれに限らず、一つ又は複数の集光光束が容器開口部をスキャニングして消泡することも可能である。その場合は、集光光束形成手段は単一の集光光束、又は少数の集光光束を形成するものでよい。スキャニングする手段としては、ガルバノミラーを用いることができ、集光光束形成手段で形成された集光光束をガルバノミラーで垂直な一平面内で偏向し容器開口部を走査する。走査速度は、容器の開口部(又は泡の立つ液面)の面積、泡の平均直径、ライン速度などによって決められるべきであるが、好適な範囲は1m/s〜1000m/sである。遅すぎると開口部を満遍なく走査することができない。逆に速過ぎると集光光束から泡に十分な熱量を伝えることができず、泡を加熱して破裂させることができない。
本発明の消泡方法及び消泡装置は、缶詰、プラスチックボトル詰、ガラス壜詰等の容器詰飲料の製造工程における内容物充填後に容器内に存在する泡を容器密封前に高速で消泡して、容器内の溶存酸素量を低減させるのに好適に適用できるばかりでなく、その他の固定容器あるいは移動する容器内に存在する泡の消去にも好適に適用できる。
1 缶 2 コンベヤ
3 コンベヤ支持ガイド
10、20、30、40、50 消泡装置
11 支柱 12 天板
13 ケーシング 14 光源
15 集光光束形成手段(マイクロレンズアレイ)
17 微小凸レンズ 21 鏡
31 集光光束形成手段(マイクロ凹面鏡アレイ)
32 小型凹面鏡 41 集光光束形成手段
42 全体を集光する光学系 43 マイクロレンズアレイ
3 コンベヤ支持ガイド
10、20、30、40、50 消泡装置
11 支柱 12 天板
13 ケーシング 14 光源
15 集光光束形成手段(マイクロレンズアレイ)
17 微小凸レンズ 21 鏡
31 集光光束形成手段(マイクロ凹面鏡アレイ)
32 小型凹面鏡 41 集光光束形成手段
42 全体を集光する光学系 43 マイクロレンズアレイ
Claims (13)
- 容器内に存在する泡を消去する方法であって、容器開口部に向けて一つ又は複数の集光光束を照射して消泡することを特徴とする消泡方法。
- 前記集光光束が形成された空間に、前記容器内の泡を通過させることにより、前記集光光束を泡に照射させる請求項1に記載の消泡方法。
- 前記集光光束が容器内の泡を走査することにより泡に集光光束を照射する請求項1に記載の消泡方法。
- 前記集光光束は、複数の光学部材アレイにより複数の集光光束として形成されている請求項1又は2に記載の消泡方法。
- 前記複数の集光光束の全体を集光させる光学系と、個々の光束を集光する光学系の組合せにより、複数の集光光束を狭口容器の開口部を通過させて、容器内に広がって内部の泡群に複数の集光光束を照射して狭口容器内の消泡を行う請求項1に記載の消泡方法。
- 前記複数の集光光束の整列方向を前記容器の進行方向に対して傾けてなる請求項2に記載の消泡方法。
- 容器内に存在する泡を消去する装置であって、光源、該光源から発生した光を複数の集光光束に変換する集光光束形成手段を有し、該集光光束形成手段により容器の開口部に向けて複数の集光光束を照射するようにしてなることを特徴とする消泡装置。
- 前記集光光束形成手段が、複数の凸レンズからなる透過光学部材により形成されてなる請求項7に記載の消泡装置。
- 前記集光光束形成手段が、複数の凸レンズからなる透過光学部材と、該透過光学部材により形成された複数の集光光束を直角方向に変換する反射鏡からなる請求項7に記載の消泡装置。
- 前記集光光束形成手段が、複数の凹面鏡を配列してなる凹面鏡アレイからなり、該凹面鏡アレイが容器の搬送経路の上方に傾斜して配置されている請求項7に記載の消泡装置。
- 前記集光光束形成手段は、複数の集光光束を形成する光学部材アレイと、少なくとも一次元方向に前記集光光束全体を集光する光学系との組合せからなり、前記複数の集光光束が狭口容器の狭口を通って容器内に広がって内部の泡群に複数の集光光束を照射するようにしてなる請求項7に記載の消泡装置。
- 前記集光光束形成手段は、集光光束の配列方向を容器の進行方向に対して水平面内で傾けて配置してなる請求項7〜11何れかに記載の消泡装置。
- 容器内に発生した泡を消去する装置であって、光源、該光源から発生した光を1つ又は複数の集光光束に変換する集光光束形成手段、該集光光束を偏向させて集光光束が開口部全体にわたって走査する走査手段とからなり、容器内の泡に集光光束を照射して消泡するようにしてなることを特徴とする消泡装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005250131A JP2007061717A (ja) | 2005-08-30 | 2005-08-30 | 消泡方法及び消泡装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
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ID=37924544
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JP2005250131A Withdrawn JP2007061717A (ja) | 2005-08-30 | 2005-08-30 | 消泡方法及び消泡装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012120915A1 (ja) * | 2011-03-08 | 2012-09-13 | 東洋製罐株式会社 | 消泡方法及び消泡装置 |
JP2015039682A (ja) * | 2013-08-23 | 2015-03-02 | 東洋製罐株式会社 | 消泡装置 |
WO2024022336A1 (zh) * | 2022-07-27 | 2024-02-01 | 山东方大工程有限责任公司 | 一种建筑装修用节能环保除尘装置及使用方法 |
-
2005
- 2005-08-30 JP JP2005250131A patent/JP2007061717A/ja not_active Withdrawn
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