JP2007061686A - 反応用マイクロチップ - Google Patents

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Atsushi Kayou
篤志 加養
Takehiko Kitamori
武彦 北森
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Abstract

【課題】 主生成物の選択性を確保しながら反応を行なう。
【解決手段】 基板2に流路3が形成された反応用マイクロチップ1の流路3を、流路3に流体を導入するための少なくとも2つの導入流路部41,51と、導入流路部41,42が合流する導入流路合流部8と、導入流路合流部8の下流に形成されそれぞれ少なくとも2本に分岐する分岐流路部61,62を階層的に接続した階層分岐流路部6と、階層分岐流路部6の下流に形成され階層分岐流路部6から流体を流入させるための流体流入口71を幅方向に均一に形成されたプール部7と、プール部7の下流に形成されプール部7内の流体を送出するための送出口74とで形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反応用マイクロチップに関する。
従来、有機化学反応などにおいては、試験管やビーカー等の大容量の容器に所定の試料流体を収容し、この容器内で特定の条件下に試料流体を混合し、有機化学反応を行なわせていた。しかし、近年では、試薬流体の少量化などを目的として、マイクロリアクタ等の微小な反応流路を用いて化学反応を行なわせる技術が提案されている(特許文献1参照)。
微小な反応流路を用いて化学反応を行なう場合、マイクロチップに微小な流路を形成し、その流路内で試料流体を混合して化学反応を行なわせることがある(特許文献2参照)。この場合に用いられるマイクロチップは、通常、厚さ数mm程度の薄い基板に流路が形成されたものであるため、除熱に優れ、温度制御が容易であるという利点がある。また、使用する試料流体や反応媒の量も、大容量の容器を用いて反応を行なう場合に比べれば少量ですむ場合が多い。
ところが、上記のようにマイクロチップに形成する流路を微小なものにすると、流路を流れる試料流体の量が小さくなるため、生産性が小さくなる場合がある。そこで、生産性を向上させるために、近頃では、流路内に幅広に形成された部分(プール部)を設けて流路内を流れる試料流体の体積を大きくし、これにより、生産性を向上させる技術が提案されている(特許文献3参照)。
特開2002−273206号公報 特開2002−1102号公報 特開2002−292271号公報
しかし、上記のように幅が広いプール部を流路に形成した場合、試料流体の一部が流路の流れ方向に交差する向きに流れ、これにより試料流体がプール部を流れ始めてから流れ終わるまでの時間が一定でなくなって試料流体のプール部内での滞留時間に分布が生じることがある。試料流体の反応は主にプール部内で生じるため、上記のようにプール部内での滞留時間に分布が生じると、副生成物が生じる虞があり、反応の主生成物の選択性が低下して十分な反応効率が得られなくなるという課題があった。
本発明は上記課題に鑑みて創案されたもので、主生成物の選択性を確保しながら反応を行なうことができるようにした反応用マイクロチップを提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、幅広に形成されたプール部を有する流路を形成された反応用マイクロチップにおいて、プール部の上流で少なくとも2本に分岐する分岐流路部を階層的に接続して形成すると共に、各分岐流路部から流体を流入させるための流体流入口をプール部に幅方向に均一に形成することにより、プール部に流入するまでに流体を十分に混合することができ、さらに、プール部内での滞留時間を均一化することができるため、主生成物の選択性を確保しながら反応を行なうことが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、基板と、該基板に形成された流路とを備えた反応用マイクロチップであって、該流路が、該流路に流体を導入するための少なくとも2つの導入流路部と、該導入流路部が合流する導入流路合流部と、該導入流路合流部の下流に形成され、それぞれ少なくとも2本に分岐する分岐流路部を階層的に接続した階層分岐流路部と、該階層分岐流路部の下流に形成され、該階層分岐流路部から流体を流入させるための流体流入口を幅方向に均一に形成されたプール部と、該プール部の下流に形成され、該プール部内の流体を送出するための送出口とを備えることを特徴とする、反応用マイクロチップに存する(請求項1)。これにより、主生成物の選択性を確保しながら反応を行なうことができる。
このとき、該分岐流路部の少なくとも一つは、偶数本に分岐するように構成することが好ましい(請求項2)。これにより、分岐流路部において流体をより均一に分岐させ、各流体流入口からプール部に流入する流体の量をより均一化させることが可能となる。
また、該分岐流路部は、面対称に形成されていることが好ましい(請求項3)。これにより、各流体流入口からプール部に流入する流体の状態をより均一にすることができるため、流体内で生じる反応の程度をより均一化することができ、したがって、より確実に生成物の選択性を確保することができる。
さらに、該階層分岐流路部の幅は500μm以下、深さは300μm以下であることが好ましい(請求項4)。
また、該プール部には、流れ方向に沿って形成されたガイド条が形成されていることが好ましい(請求項5)。これにより、プール部内において流体が流れる方向をより確実に均一にすることができる。
さらに、該プール部の下流端部には、該プール部の形状が該送出口に向けて傾斜して形成された気泡案内部が形成されていることが好ましい(請求項6)。これにより、傾斜した流路の形状に沿って気泡やプール部内で析出した固体などを送出口に案内し、これらがプール部内に滞留することを防止できる。
また、該送出口は少なくとも2つ設けるようにすることが好ましい(請求項7)。これにより、送出口の開口面積を大きくして送出口における流体の圧力を低下させ、圧力損失を低下させて反応用マイクロチップの破損や送出口よりも上流において流体が漏れることなどを防止することができる。
本発明の反応用マイクロチップによれば、主生成物の選択性を確保しながら反応を行なうことができる
以下、本発明の一実施形態を示して本発明について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
[I.構成]
図1〜図5は本発明の一実施形態について示すもので、図1は反応用マイクロチップの模式的な上面図であり、図2は反応用マイクロチップの模式的な斜視図であり、図3は分岐流路部近傍の模式的な拡大図であり、図4はプール部内を流通する試料流体の流通する向きを説明するために示す、反応用マイクロチップの模式的な上面図であり、図5は本実施形態のプール部をその流れ方向に垂直な面で切った模式的な断面図である。
図1、図2に示すように、本実施形態の反応用マイクロチップ(以下適宜、「反応用チップ」という)1は、基板2に流路3が形成されたものである。また、流路3は、少なくとも2つの導入流路部4,5と、階層分岐流路部6と、プール部7とを備えている。
[1.基板]
基板2は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の素材で形成することができる。例えば、ガラス等の無機材料や、合成樹脂等の有機材料で形成することができる。
また、基板2の形状も本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常は、平板形状に形成される。
さらに、基板2の寸法についても制限は無く、目的に応じて任意に設定することができる。ただし、基板2内の流路3を流れる流体の温度を精密に制御する観点、及び、流路3内で生じうる反応熱、混合熱、溶解熱等の発熱を除熱する観点からは、基板2は上記温度制御及び除熱を適切に行なえる程度に薄い寸法で形成されることが好ましい。具体例を挙げると、基板2を平板形状に形成する場合には、その寸法は、縦70mm×横30mm×厚み1.4mmの寸法に形成することができる。
本実施形態においては、基板2として、上記寸法で平板形状に形成された透明なガラス製の基板を用いているものとする。
また、基板2に流路3を形成する手法に制限は無く、公知の任意の方法により形成することができる。例えば一体に形成した基板2内に流路3を形成することも可能であるが、本実施形態では、流路3を凹部として形成した下板21に、流路3に蓋をするための上板22を接着することにより基板2内に流路3を形成しているものとする。即ち、基板2は下板21と上板22とにより形成され、下板21と上板22との接着面に沿って流路3が2次元的に形成されているのである。なお、流路3を形成する際の具体的な流路形成方法も任意であるが、例えば、フォトレジスト、ウェットエッチング、ドライエッチング、射出成形、レーザー加工、ビーム加工などを任意に用いて形成することができる。
[2.流路]
流路3は、基板2の内部に形成されたもので、上記の通り、少なくとも2つの導入流路部4,5と、階層分岐流路部6と、プール部7とを備えている。
[2−1.導入流路部]
導入流路部4,5は、それぞれ対応する試料流体を流路3内に導入するための流路部である。その具体的な構成に制限は無いが、通常は、導入流路部4,5はそれぞれ上流端部に導入口41,51を有していて、この導入口41,51を介して外部から対応する試料流体を導入されるようになっている。
また、本実施形態の反応用チップ1は少なくとも2種の試料流体を混合して反応させることを目的とするものであるので、導入流路部4,5も、用いる試料流体の種類の数に応じて少なくとも2つ形成するようにする。
さらに、導入流路4,5の下流には導入流路4,5が接続された導入流路合流部8が形成され、この導入流路合流部8で各導入流路4,5を介して導入された試料流体が合流するようになっている。
また、本実施形態では、導入流路部4,5は同じ長さに形成された2本の流路部によって構成されていて、さらに、導入流路部4,5は、基板1の幅方向に平行な同一直線上に位置するようになっている。したがって、導入流路4,5は導入口41,51間を結ぶ線分状の流路形状を有する流路部として形成され、導入口41,51から等距離にある導入流路合流部8において各試料流体を合流させることができるようになっているものとする。ここで、本実施形態の反応用チップ1では、上記のように、導入流路合流部8において2本の導入流路4,5が同一直線上に位置するため、導入流路部4,5それぞれを流通して導入流路合流部8まで進行した試料流体は、互いに反対方向から対向して合流するようになっている。したがって、導入流路合流部8では複雑な衝突流が生じ、各導入流路部4,5から流路3内に導入された試料流体同士が速やかに混合するようになっている。
また、導入流路合流部8の下流には階層分岐流路部6が接続されていて、導入流路合流部8で合流した試料流体は、階層分岐流路部6を流通するようになっている。
さらに、本実施形態では、導入口41,51は、それぞれ導入流路部4,5の上流端と基板2の外部とを連通する孔として上板22に形成されているものとする。
また、導入流路部4,5の寸法に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
ただし、導入流路部4,5の幅は、通常40μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましくは200μm以上、また、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下とすることが望ましい。上記範囲の下限を下回ると流体圧力が高くなりすぎる虞があり、上限を上回ると拡散混合が速やかに行なわれなくなる虞がある。
さらに、導入流路部4,5の深さは、通常20μm以上、好ましくは40μm以上、より好ましくは60μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下とすることが望ましい。上記範囲の下限を下回ると流体圧力が高くなりすぎる虞があり、上限を上回ると拡散混合が速やかに行なわれなくなる虞がある。
[2−2.階層分岐流路部]
階層分岐流路部6は、導入流路合流部8の下流に形成され、分岐流路部61,62を階層的に接続した流路部である。以下、図3(a)に分岐流路部61近傍の模式的な拡大図を示し、また、図3(b)に分岐流路部62の模式的な拡大図を示し、説明する。なお、図3(a),(b)において、図1及び図2と同様の符号を付して説明した部位は、図1及び図2と同様のものを表わす。
分岐流路部61,62は、それぞれ少なくとも2本に分岐するように形成された流路部であれば他に制限はなく、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の流路形状に形成することができる。ここでは、上流側の流路部63,64が、その下流に設けられた分岐流路部65,66において、分岐後の分岐流路部67A,67B,68A,68Bに分岐するように形成されたものとして説明を行なう。
各分岐流路部61,62は、上流側の流路部63,64が分岐部位65,66において偶数本に分岐するように形成することが望ましい。これは、分岐後の流路部67A,67B,68A,68Bそれぞれに対してより均等に試料流体を流通させるようにするためである。即ち、仮に奇数本の分岐を設けた場合には、分岐後の流路部67A,67B,68A,68Bそれぞれの分岐部位65,66からの距離や分岐の角度等を均等にすることが困難になり、したがって、分岐後の流路部67A,67B,68A,68Bの中で試料流体が流れやすいものと流れ難いものとができ、分岐後の各流路部67A,67B,68A,68Bを流れる試料流体の流量を均等にすることが困難になるためである。
さらに、分岐流路部61,62は、それぞれ、2本に分岐させるようにすることがより望ましい。分岐後の流路部67A,67B,68A,68Bに流れる試料流体の流量をより確実に均等にするためである。
また、分岐流路部61,62は、その流路形状を面対称に形成することが好ましい。この際、当該対称面上に分岐流路部61,62の分岐部位65,66が位置するようにすることが好ましい。さらに、当該対称面は、当該分岐流路部61よりも下流に形成された流体流入口71(後述)が一列に並んで形成された場合には、その流体流入口71が並んだ列に平行な直線に対して垂直になっていることが好ましい。これにより、分岐後の流路部67A,67B,68A,68Bに流れる試料流体の量をさらに均等にすることができる。
さらに、分岐流路部61,62においては、分岐直前の流路部63,64の流れ方向と分岐直後の流路部67A,67B,68A,68Bの流れ方向との角度差が大きいことが望ましい。これにより、分岐部位65,66の上流部と下流部とで試料流体が流れる方向が急激に変化することになるため、乱流が生じやすく、したがって、導入流路部4,5から導入された試料流体同士を更に確実に混合して均一化させることができる。
具体的には、分岐直前の流路部63,64の流れ方向と分岐直後の流路部67A,67B,68A,68Bの流れ方向との角度差Rが、通常0°以上、好ましくは10°以上、より好ましくは20°以上、また、通常90°以下、好ましくは80°以下、より好ましくは70°以下とすることが望ましい。この範囲の下限を下回ると均等量の分岐ができなくなる虞があり、上限を上回ると逆混合を生じやすくなる虞があるためである。
なお、分岐直前の流路部63,64の流れ方向、及び、分岐直後の流路部67A,67B,68A,68Bの流れ方向は、それらの流路部63,64,67A,67B,68A,68Bの流路形状が直線形状である部分については、その直線形状が延在する向きと同じになる。一方、それらの流路部63,64,67A,67B,68A,68Bの流路形状が曲線状である部分については、当該曲線形状の接線の方向となる。さらに、ここでいう流路部63,64,67A,67B,68A,68Bの接線方向とは、流路部63,64,67A,67B,68A,68Bの幅方向中央部を結ぶ線が形成する曲線の接線方向をいうが、流路部63,64,67A,67B,68A,68Bの幅が十分に狭い場合、例えば、流路幅が500μm以下の場合には、当該流路部63,64,67A,67B,68A,68B自体を曲線とみなしても良い。
また、各分岐流路部61,62の形状は同一でも異なっていても良いが、同じ階層の分岐流路部61,62、即ち、上流側から数えて同じ回数だけ分岐した分岐流路部61,62は、同様の形状に形成することが望ましい。階層化された分岐流路部61,62で構成された階層分岐流路部6のなかで、どの経路を試料流体が流通した場合でも試料流体が同じ長さを流れるようにし、プール部7に流入する際にどの経路を流通してきた試料流体も同様の状態となるようにするためである。
さらに、分岐流路部61,62をはじめ、階層分岐流路部6内の流路部の寸法に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
ただし、階層分岐流路部6内の流路部の流路幅及び深さの望ましい具体的範囲は、上記導入流路部4,5と同様である。
さて、本実施形態の反応用チップ1では、階層分岐流路部6には、最も上流に分岐流路部61が形成され、さらに、分岐流路部61の下流に、分岐流路部61の分岐後の流路部68A,68Bそれぞれに接続されて、分岐流路部62が6階層に亘り形成されるものとする。
分岐流路部61は、図3(a)に示すように、導入流路合流部8に接続された1本の流路部63が分岐部位65において分岐し、分岐後の流路部67A,67Bは略U字型に折り返すように形成されている。なお、分岐流路部61において、分岐直前の流路部63の流れ方向と分岐直後の流路部67A,67Bの流れ方向との角度差は20°に設定されている。これにより、分岐流路部61を流通する際に試料流体をより確実に混合して均一化させることができる。
また、分岐流路部61の分岐後の流路部67A,67Bはそれぞれ分岐流路部62の分岐前の流路部64に接続されている。
一方、分岐流路部62は、図3(b)に示すように、流路部64が分岐部位66において分岐し、分岐後の流路部68A,68Bは円弧形状の流路形状となるように形成されている。ただし、図3(b)は分岐流路部61の直ぐ下流の分岐流路部62(即ち、一層目の分岐流路部62)を示すもので、それより下流の分岐流路部62においては、その分岐部位66より上流の流路部64は前の層の分岐流路部62の下流側の流路部68A,68Bが接続されているために2本に分かれているものとする。
なお、分岐流路部62において、分岐直前の流路部64の流れ方向と分岐直後の流路部68A,68Bの流れ方向との角度差は90°に設定されている。これによっても、分岐流路部62を流通する際に試料流体をより確実に混合して均一化させることができる。
また、上流側から5層目までの分岐流路部62はその下流にそれぞれ2つの分岐流路部62を形成されている。即ち、上流側から5層目までの分岐流路部62の分岐後の流路部68A,68Bにはそれぞれ次の層を構成する分岐流路部62の分岐前の流路部64が接続されているのである。このように階層的に分岐流路部62を形成することで、さらに確実に試料流体を混合し、均一化することが可能となる。
さらに、同じ分岐流路部62の下流に接続された分岐流路部62は、分岐後の流路部68A,68Bのうち、内側の流路部68A,68B同士が次の分岐流路部62の分岐部位66直前で合流するようになっているものとする。
また、6層目の分岐流路部62の分岐後の流路部68A,68Bの下流端部はプール部7の上流端部に開口し、この開口が流体流入口71を形成するようになっている。さらに、6層目の分岐流路部62のうち、基板2の幅方向中央部に位置する2つの分岐流路部62は、流体流入口71に接続された分岐後の流路部68A,68Bのうち、基板2の幅方向内側の流路部68A、68B同士が流体流入口71の直前で合流するようになっている。即ち、各流体流入口71は、幅方向両端のものを除き、隣り合う分岐流路部62にそれぞれ共有されるようになっている。したがって、反応用チップ1においては、流体流入口71は合計13個形成されている。なお、これらの流体流入口71はすべて、基板2の幅方向に平行な直線形状に位置するよう、一列に並んで形成されているものとする。
また、本実施形態においては、分岐流路部61,62は、それぞれ、合流部位65,66を通り、流体流入口71が位置する直線に垂直な面に対して面対称に形成されていて、さらに、分岐流路部61,62を階層的に接続して構成される階層分岐流路部6全体も、導入流路合流部8を通り、流体流入口71が位置する直線に対して垂直な面に対して面対称に形成されているものとする。したがって、どの経路を通っても、階層分岐流路部6を流通する試料流体は同じ距離を流通してからプール部7に流入するようになっている。
[2−3.プール部]
プール部7は、階層分岐流路部6の下流に形成された、試料流体の反応を行なうための流路部である。また、プール部7は、滞留時間を大きくするため、その流れ方向に垂直な面でプール部7を切った断面積(以下適宜、「プール部断面積」という)を、導入流路部4,5や階層分岐流路部6よりも広く形成される。通常、プール部7は、その流路幅を導入流路部4,5や階層分岐流路部6よりも大きく形成することにより、プール部断面積が大きくなるように形成される。
また、プール部7には、階層分岐流路部6からプール部7に試料流体を導入するための流体流入口71が形成されていて、この流体流入口71を介して、階層分岐流路部6からプール部7に試料流体が流入するようになっている。
ただし、流体流入口71は、プール部7の幅方向に均一に形成される。これは、プール部7に流入する試料流体の流入速度に分布が生じないようにするためのものである。即ち、幅方向に対して均一に流体流入口71を設けるようにすることで、各流体流入口71から同様の流入速度で試料流体をプール部7内に流入させるようにすれば、プール部7の幅方向において均一な流入速度で試料流体をプール部7に流入させることが可能となるのである。
さらに、流体流入口71は、試料流体がプール部7内を流通するのに要する時間が目的とする反応の選択性を著しく損なわない範囲で一定となる程度に、一列に並んで形成されていることが望ましい。また、流体流入口71が並んで形成されている場合には、その並んだ列は、プール部7の流れ方向に対して、通常は交差する向きに、好ましくは直交する向きになるようにすることが望ましい。これにより、どの流体流入口71からプール部7に流入した試料流体も同程度の線速でプール部7内を流通し、同程度の滞留時間をかけてプール部7を流通するようになるため、試料流体の滞留時間の分布が小さく、若しくは無くなり、目的とする反応の選択性を確保することが可能となる。
また、プール部7の形状は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
ただし、その流路幅は、試料流体がプール部7内を流通するのに要する時間が目的とする反応の選択性を著しく損なわない程度に、流れ方向に一定であることが好ましい。流路幅が変化すると、その流路幅が変化した部位を流通する試料流体は他の試料流体よりも長い距離を流通する可能性がある。このことは、プール部7内を流通する試料流体のプール部7内の滞留時間に分布が生じる要因の一つとなりえるため、したがって、上記のようにプール部7の流路幅は一定とすることが好ましいのである。
また、プール部7の下流端部には、プール部7の端部の形状が送出口74に向けて傾斜して形成された気泡案内部72が形成することが好ましい。具体的には、プール部75の下流端面75を、プール部7の流れ方向に交差する向きに傾斜して形成することが好ましい。
試料流体として液体を反応用チップ1に供給する場合、通常、試料流体の供給開始時に、反応用チップ1の使用時には試料流体送出のためのコネクタやチューブ等の中に存在していた気体(通常は空気)が流路3内に浸入し、プール部7内にも入り込むことになる。この際、上記の気体を下流に流し出すことができなければ、上記気体はプール部7内に気泡として残留する。また、反応によってプール部7内で析出した析出固体なども、プール部7内で残留することがある。プール部7内に気泡や析出固体が残留すると、その気泡や析出固体の体積分だけ反応場の体積が小さくなり、反応の生産性を低下させる要因になり得る。また、気泡や析出固体は目的とする反応の生成物や試料流体の滞留時間などに影響を与えたり、さらに、その気泡や析出固体自体が不純物となることもありえるため、プール部7から除去することが望ましい。
気泡案内部72は、このような気泡や析出の除去のために形成するものである。即ち、気泡はプール部7の下流端部に残留しやすいため、このプール部7の下流端部に気泡案内部72を設けることにより、気泡を下流に案内し、流路3の外部に排出することができる。
また、気泡案内部72は、例えば流路幅が次第に小さくなるように形成することにより、プール部断面積がプール部7の下流に行くにしたがって次第に狭くなるように形成することが好ましい。これにより、気泡案内部72で試料流体の下流へ向けた流れを強くするようにして、気泡をプール部7の外へより確実に流し出すことが可能となる。
また、通常は、流路3内の温度を制御することにより、プール部7内の気泡案内部72よりも上流の部位の温度条件を反応温度に設定するようにして、その部位において目的とする反応を行なうようにする。これにより、気泡案内部72では目的とする反応は進行しない又は進行しがたくなり、気泡案内部72が形成されたことによる選択性の低下の虞を抑制することが可能である。
さらに、プール部7の寸法も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
ただし、プール部7の幅は、通常3600μm以上、また、通常30mm以下とすることが望ましい。
また、プール部7の長さ(流れ方向の距離)は、目的とする反応に応じて設定すべきである。導入流路合流部8で合流した試料流体は、通常、階層分岐流路部6を流通する間に物理的に混合して分散し、その後、プール部7内を流通する間に化学的に反応をする。
さらに、プール部7の深さも任意である。通常300μm以下とすることが望ましい。
さらに、プール部7にはガイド条73を設けることが望ましい。ガイド条73は、プール部7内の試料流体の流れ方向に沿うように延在して、その底面及び天井面の一方又は両方が、連続的又は断続的に凸に形成されているものである。
このガイド条73を形成することにより、プール部7内において、試料流体はより確実にプール部7の流路方向(本実施形態では、基板2の長手方向に平行な方向)に流れるようになっている。即ち、図4に示すように、流体流入口71から流入した試料流体の大部分はプール部7の流れ方向(図4のブロック矢印A1)に沿って流通するが、その一部は、何らかの理由によってプール部7の流れ方向に交差する方向(図4のブロック矢印A2)に沿って流通する可能性がある。プール部7の流れ方向に交差する方向に沿って流通した試料流体は、流れ方向に沿った流れとは線速が異なる虞がある他、プール部7の流れ方向に沿って流通した試料流体よりも長い時間をかけてプール部7を流通することになるため、滞留時間の分布の発生の原因となり得る。これに対し、ガイド条73を設けることで試料流体はガイド条73に沿ってプール部7内を流通するようになる。これにより、試料流体がプール部7の流れ方向に交差する方向に沿って流通することを抑制することが可能となる。したがって、各流体流入口71からプール部7内に流入してきた試料流体は、一定の距離、具体的には、プール部7の長手方向の距離を流通するようになり、滞留時間に分布が生じることを抑制することができる。
なお、図4において、図1〜図3と同様の符号の部位は、図1〜図3と同様のものを表わす。また、図1及び図4においては、ガイド条73を破線で示す。
ガイド条73の具体的な形状は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、その断面形状も同様に任意である。通常は、プール部7内の内容積を大きくする観点からは、断面を略三角形状に形成することが望ましい。
また、ガイド条73の寸法も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、ガイド条73の高さは、プール部7の深さに対し、通常50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、また、通常90%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下であることが望ましい。この範囲の下限を下回ると流れ方向に対して交差する方向への流れが生じる虞があり、上限を上回るとガイド条と天井面とが接触する虞がある。
なお、これに関連し、ガイド条73はプール部7の底面と天井面との両方に接してブール部7を幅方向に区切ることが無いように形成することが望ましい。プール部7内において幅方向に圧力分布が生じることを防止するためである。
さらに、ガイド条73の本数も任意であるが、通常は、各流体流入口71の間の数と同数だけ形成することが望ましい。流体流入口71と、その流体流入口71の隣の流体流入口71との間それぞれにガイド73を形成するようにすれば、各流体流入口71からプール部7に流入した試料流体をプール部7の流れ方向により確実に流すことが可能となるためである。
さらに、プール部7の下流端部には送出口74が形成されていて、この送出口74を介して、プール部7内で反応した試料流体は反応用チップ1の外部に送出されるようになっている。
ただし、送出口74は、少なくとも2つ設けるようにすることが好ましい。これにより、送出口74全体の開口面積を大きくし、送出口74における試料流体の圧力を低下させることができる。このため、流路3内の圧力損失を低下させることが可能となり、反応用チップ1の破損や、送出口74よりも上流においてチューブやコネクタ(図示省略)から試料流体が漏れることなどを防止することができる。
さて、本実施形態のプール部7においては、上流端面76は流れ方向に対して垂直な面として形成されている。また、このプール部7の上流端面76に階層分岐流路部6の下流端が開口することにより、プール部7の流れ方向に直交する向きに一列に並んで、プール部7の幅方向に均一に、流体流入口71が形成されている。さらに、プール部7は、その流れ方向は基板2の長手方向に平行に形成され、その幅方向は基板2の幅方向に平行になっている。
一方、プール部7の下流端面75は、下流側に進むにしたがって次第に傾斜し、プール部7の流路幅が連続的に小さくなるように形成された曲面となっている。そして、この下流端面75が形成された部位が、プール部7の気泡案内部72を構成している。
さらに、本実施形態のプール部7の内側面77は、プール部7の幅が上記範囲内において一定になるように、基板2の長手方向に平行な面として形成されている。
したがって、プール部7は、上流端面76から下流端面75の最も上流の部位75Xまでにかけて、その流路幅が一定に形成されていて、部位75Xよりも下流において、下流端面75の傾斜によって、その流路幅が次第に狭くなるように形成されているのである。
図5に、本実施形態のプール部7をその流れ方向に垂直な面で切った模式的な断面図を示す。なお、図5において、図1〜図4と同様の符号を用いて示す部位は、図1〜図4と同様のものを表わす。
この図5に示すように、本実施形態のプール部7の天井面78は、プール部7の流れ方向及び幅方向に平行な平面部として形成されている。
一方、プール部7の底面79は、天井面78と平行に形成された平面部にガイド条73が形成された形状となっている。また、ガイド条73は、プール部7の流れ方向に沿って連続して凸に断面略三角形に形成されている。これにより、プール部7の深さは上記範囲内で一定になっていて、ガイド条73が形成されている部位においてはそのガイド条73がプール部7を幅方向に遮る壁部として機能するようになっているものとする。
さらに、本実施形態においては、各ガイド条73は、プール部7の上流端面76近傍からプール部7の下流端面75の最も上流の部位75Xにかけて、プール部7の上流端面76及び下流端面75に接しない一定の長さに形成されているものとする。
さらに、本実施形態のプール部7は、下流端に送出口74を4個有しているものとする。また、上記の気泡案内部72では、各送出口74に向かって流路幅が狭くなるように形成されているものとする。
なお、送出口74は、それぞれプール部7の下流端と基板2の外部とを連通する孔として上板22に形成されているものとする。
[II.使用方法]
本実施形態の反応用チップ1を用いて反応を行なう場合には、導入口41,51それぞれから導入流路部4,5を介して原料となる試料流体を流路3内に導入し、流路3内で目的とする反応を行なわせ、反応後の生成物を含む試料流体を送出口74から送出させるようにする。この際、反応用チップ1を用いる場合に使用する装置の構成は任意であるが、例えば、図6に示すような反応装置100を用いて反応を行なうことができる。
図6は、この反応を行なわせる際に用いる反応装置100の一例について、その要部構成を模式的に示す図である。ただし、本実施形態の反応チップ1を用いて反応を行なうための反応装置としては、図6に示す反応装置100に限定されず、マイクロチップを用いた公知の各構成の反応装置を用いることができる。
反応装置100は、チップホルダ101と、原料としての試料流体の供給源である試料流体供給器102,103と、反応後の試料流体を溜めておくサンプル瓶104と、温度コントローラ105とを備えている。
チップホルダ101は、上記反応用チップ1を装着するためのものであり、下部ホルダ106と上部ホルダ107とから構成されている。そして、図7に示すように、反応用チップ1を下部ホルダ106と上部ホルダ107との間に介装することで、チップホルダ101に反応用チップ1を保持できるようになっている。なお、図7は、チップホルダ101について模式的に示す分解斜視図である。なお、図7において温度コントローラ105に接続された配線の図示は省略している。
さらに、下部ホルダ106及び上部ホルダ107にはそれぞれ温度コントローラ105の制御にしたがって温度の調整が可能な温度制御素子(図示省略)が形成されていて、この温度制御素子の温度を制御することで、反応用チップ1の流路3内の温度を調整することができるようになっている。
また、上部ホルダ107には、試料流体供給器102,103からの試料流体をそれぞれ反応用チップ1の導入口41,51に案内するための案内流路(図示省略)が形成されている。さらに、上部ホルダ107には、反応用チップ1の送出口71からの試料流体をサンプル瓶104に案内するための案内流路(図示省略)も形成されている。これらの案内流路はチューブやコネクタ等を介してそれぞれ試料流体供給器102,103やサンプル瓶104に接続され、これにより、試料流体供給器102,103からの導入流路部4,5への試料流体の供給、並びに、流路3からサンプル瓶104への反応後の試料流体の送出を行なうことができるようになっている。
さらに、試料流体供給器102,103は、それぞれ導入流路部4,5に対応する試料流体を供給するためのものである。本実施形態では、試料流体供給器102,103として、シリンジポンプとマイクロシリンジとを組み合わせたものを用いるが、これ以外の公知の機器を任意に用いるようにしても良い。例えば、試料流体として気体を用いる場合、ガスボンベ及びフローコントローラを組み合わせて試料流体供給器102を構成することもできる。
また、サンプル瓶104は、反応用チップ1の流路3内で反応した生成流体を溜めておくための容器である。
さらに、温度コントローラ105は、反応用チップ内の流路3の温度を調整して、流路3内(特に、プール部7内)で生じる試料流体間の反応の反応温度を制御したり、上記反応等により生じる発熱を除熱したりするためのものである。具体的には、チップホルダ101内の上記の温度制御素子(図示省略)の温度を制御して、流路3内の温度を調整できるようになっている。
このような反応装置100を用いて試料流体同士を混合して反応を行なわせる際には、まず、チップホルダ101に反応用チップ1を装着する。そして、温度コントローラ105で流路3内の温度を反応に適した温度に制御しながら、試料流体供給器102,103から導入口41,51を介して導入流路部4,5に試料流体を供給する。
この際、各導入流路部4,5に導入する試料流体の供給速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
例えば試料流体として液体のものを供給する場合、その具体的な供給速度は反応や試料流体の種類、反応条件などに応じて適切に設定すれば良いが、通常0.1μL/分以上、好ましくは1.0μL/分以上、また、通常1000μL/分以下、好ましくは800μL/分以下とすることが望ましい。上記範囲の下限を下回ると流量精度が充分に得られなくなる虞があり、上限を上回ると流体圧力が高くなりすぎる虞がある。
さて、試料流体供給器102,103から供給された試料流体は、それぞれ導入口41,51から導入流路部4,5に流入し、その後、導入流路合流部8で合流する。導入流路合流部8で合流すると、試料流体は均一に混合され、その組成は均一化される。その後、試料流体は階層分岐流路部6を流通する。
階層分岐流路部6では、各分岐流路部61,62で分岐が行なわれる度に試料流体はさらに均一に混合されて組成が均一化すると共に、等しい量に分岐を繰り返す。そして、各流体流入口71を介してプール部7に流入する。
プール部7内に流入した試料流体は、プール部7内が温度制御素子により反応温度になるよう温度調整されているため、プール部7において反応を進行させる。そして、プール部7内で反応した試料流体は、送出口74からサンプル瓶104に送出され、サンプル瓶104内に溜められる。こうして、サンプル瓶104に目的とする反応生成物を得ることができる。
[III.効果]
本実施形態の反応用チップ1は上記のように構成され、上記のようにして使用することができるので、反応の選択率を向上させることができる。
即ち、本実施形態の反応用チップ1においては、流体流入口71がプール部7の幅方向に均一に形成されると共に、その上流にある階層分岐流路部6において等しい量に分岐を繰り返しているため、階層分岐流路部6を流通した試料流体は、各流体流入口71に供給される際には、その流量及び組成を均一化されている。
したがって、プール部7を流れる試料流体の組成及び線速は、プール部7の幅方向で均一とすることができる。さらに、本実施形態では、プール部7の大部分において流路幅が一定となる形状に形成されているため、プール部7内における試料流体の滞留時間は均一化し、滞留時間の幅方向の分布は発生し難くなる。
また、前述の通り、各流体流入口71からプール部7に流入する試料流体の組成も均一化されているので、したがって、プール部7内における試料流体の反応は目的とする時間だけ行なわれることになる。これにより、生成物の選択率を向上させることができるようになる。
また、本実施形態においては、プール部7には流れ方向に沿って設けられたガイド条73が形成されているため、試料流体はさらに確実にプール部7内を流れ方向に流れることになる。したがって、ガイド条73によってもプール部7内における滞留時間の分布の発生を抑制することが可能となり、反応の選択率をさらに高めることが可能となる。
ところで、通常、試料流体が流入する前の流路3内には空気が存在しているが、この空気は、流路3に試料流体71が供給されると下流に押し流され、送出口74から流路3の外部に排出される。しかし、その空気の一部はプール部7内、特にプール部7の下流端部に気泡として残留する。この際、従来では流路2内に残留した気泡を除去することは難しかったが、本実施形態の反応用チップ1では、気泡案内部72を設けたことにより、気泡を下流側に案内すると共に、試料流体の下流へ向けた流れを強くして気泡を下流に流し去りやすくすることができるのである。また、同様にして、反応により生成する析出固体も、気泡と同様に送出口74から流路3の外に排出することが可能となる。
なお、上記のガイド条73も、気泡の案内を行なう機能を発揮することができるため、ガイド条73によっても気泡の除去を促進することができる。
また、本実施形態では送出口74が複数設けられているため、送出口74が1つのみ形成された場合に比べると、送出口74全体の開口面積が大きくなり、送出口74における試料流体の圧力を低下させることができる。したがって、流路3内の圧力損失を低下させ、反応用チップ1の破損や、送出口74よりも上流においてチューブやコネクタ(図示省略)から試料流体が漏れることなどを防止することができる。
また、本実施形態の反応用チップは薄いマイクロチップとして形成されているので、温度コントローラ105による精密な温度の制御が容易となる。さらに、反応用チップ1の厚さが薄いことにより、反応熱、混合熱、溶解熱などの発熱により温度上昇が生じる反応においても除熱が容易であり、精密に温度制御を行なうことが可能となる。
また、有毒なガスが発生するような反応を行なう際には、従来のように大容量の容器を用いてバッチ操作で反応を行なっていた場合には連続的に試料流体等の試薬を反応容器に供給することができなかった。しかし、上記のような有毒ガスの発生を伴う反応の際においては、本実施形態の反応用チップ1によれば、微細な流路を用いて反応を行なうので有毒なガスが急激に発生することを抑制することができ、また、連続的な流れの中で反応を行なうので連続的に試薬の供給を行なうことも可能となる。
さらに、反応を行なわせる際に従来のように攪拌等をする必要が無く、したがって、反応装置の小型化を図ることができ、また、反応用チップ1内の流路3に試料流体を流通させるだけで目的とする反応を行なわせることが可能であるため、操作を簡単に行なうことができるようになる。
なお、装置の小型化に伴い生産速度は通常は従来の大容量容器を用いた方法よりも低下することが多いが、本実施形態の反応用チップ1を用いれば高効率で連続して反応を行なうことが可能であるために、目的生成物の生産性を高く維持することが可能である。
[IV.反応]
ところで、上記の本実施形態の反応用チップ1による反応に用いる試料流体に制限は無く、公知の任意の流体を用いることができる。また、目的とする反応は、試料流体同士を接触させて生じうる反応であれば、任意の方向を行なうことができる。
中でも、選択率を確保することができるという本発明の利点の一つを活用する観点からは、上記反応用チップ1は、例えば反応の進行程度により目的生成物以外の逐次副生成物が生じるような、反応の選択性が要求される反応に用いて好適である。
好適な反応の例を挙げると、本実施形態の反応用チップ1は、下記反応式で表される制癌剤ラニムスチンの合成反応の少なくとも一反応工程に用いることが好ましい。
Figure 2007061686
即ち、上記の制癌剤ラニムスチンの合成反応では、α−メチルグルコシド{以下適宜、「化合物(0)」という}をp−トルエンスルホニルクロリド(以下適宜、「TsCl」という)と反応させることによりトシル化してα−メチルグルコシドのトシル体{以下適宜、「化合物(1)」という。また、「Ts」はトシル基を表わす}を合成し、この化合物(1)をアンモニアと反応させることでアミノ化してα−メチルグルコシドの1位アミノ体{以下適宜、「化合物(2)」という}を生成させる。一方、o−ニトロフェノール{以下適宜、「化合物(3)」という}に2−エチルクロロイソシアネートを反応させてo−ニトロフェノールのカルバメート体{以下適宜、「化合物(4)」という}を合成し、この化合物(4)に亜硝酸ナトリウムを反応させることでニトロソ化してo−ニトロフェノールのニトロソカルバメート体{以下適宜、「化合物(5)」という}を生成させる。最後に、化合物(2)と化合物(5)とを反応させ、目的化合物(6)、即ち、制癌剤ラニムスチンを合成する。
上記の合成反応における反応工程のうちの少なくとも一つの反応工程を、上記反応用チップ1を用いて行なうようにすることが好ましい。以下、反応用チップ1を用いて好適な反応について、反応工程毎に説明する。
[1.化合物(0)からの化合物(1)の合成]
化合物(0)から化合物(1)を合成する反応工程を上記反応用チップ1を用いて行なう場合においては、通常、試料流体として、化合物(0)の溶液とTsClの溶液とを用いる。
化合物(0)を溶解させる溶媒に制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができるが、例えば、ピリジン、トリエチルアミンなどを用いることができる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における化合物(0)の濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常100g/L以上、好ましくは200g/L以上、より好ましくは300g/L以上、また、通常1000g/L以下、好ましくは700g/L以下、より好ましくは500g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞があり、上限を上回ると化合物(0)の溶解が不十分となる虞がある。
一方、TsClを溶解させる溶媒にも制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができる。具体例としては、化合物(0)の溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中におけるTsClの濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常100g/L以上、好ましくは200g/L以上、より好ましくは300g/L以上、また、通常2000g/L以下、好ましくは1500g/L以下、より好ましくは1000g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞があり、上限を上回るとTsClの溶解が不十分となる虞がある。
また、反応に供する化合物(0)とTsClとの比率も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば、単位時間当たりの供給量の比「TsClのモル量/化合物(0)のモル量」で、通常1.0以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、また、通常3.0以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下が望ましい。上記範囲の下限を下回ると化合物(0)の反応率が低下する虞があり、上限を上回るとα−メチルグルコシドのジトシル体が増加する虞がある。
さらに、本反応を上記反応性チップ1で行なう場合、試料流体の供給速度は上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常0.1μL/分以上、好ましくは1.0μL/分以上、より好ましくは10μL/分以上、また、通常1000μL/分以下、好ましくは800μL/分以下、より好ましくは500μL/分以下が望ましい。上記範囲の下限を下回ると流量精度が充分に得られなくなる虞があり、上限を上回ると流体圧力が高くなりすぎる虞がある。
さらに、この反応を行なう場合の条件も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば温度条件については、通常−20℃以上、好ましくは−10℃以上、より好ましくは−5℃以上、また、通常20℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下が望ましい。上記範囲の下限を下回ると溶液が凍結する虞があり、上限を上回るとTsClが分解する虞がある。
化合物(0)からの化合物(1)の合成においては、通常、大きな混合溶解熱が生じる。このため、従来は、混合溶解熱の除熱が律速要因となり、反応を連続的に行なうことは困難であった。しかし、本実施形態の反応用チップ1を用いて上記反応を行なうようにすれば、流路3が細いために発生する熱量が小さく、また、反応用チップ1の厚みが小さいために除熱が容易であるため、反応を連続的に行なうことが可能となる。
また、本実施形態の反応用チップ1を用いてこの反応を行なう場合、化合物(1)の収率は、通常30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、また、通常60%以下である。
さらに、化合物(0)からの化合物(1)の合成においては、副生成物として、α−メチルグルコシドのジトシル体も生成する。しかし、本実施形態の反応用チップ1を用いてこの合成反応を行なうようにすれば、目的生成物である化合物(1)の選択性を高い割合に確保することができる。具体的には、通常30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、また、通常60%以下である。
[2.化合物(3)からの化合物(4)の合成]
化合物(3)から化合物(4)を合成する反応工程を上記反応用チップ1を用いて行なう場合においては、通常、試料流体として、化合物(3)の溶液と2−エチルクロロイソシアネートの溶液とを用いる。
化合物(3)を溶解させる溶媒に制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができるが、例えば、トルエン、キシレンなどを用いることができる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における化合物(3)の濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常50g/L以上、好ましくは100g/L以上、より好ましくは200g/L以上、また、通常600g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは300g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞があり、上限を上回ると化合物(3)の溶解が不十分となる虞がある。
一方、2−エチルクロロイソシアネートを溶解させる溶媒にも制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができる。具体例としては、化合物(3)の溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における2−エチルクロロイソシアネートの濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常50g/L以上、好ましくは100g/L以上、より好ましくは200g/L以上である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞がある。
また、反応に供する化合物(3)と2−エチルクロロイソシアネートとの比率も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば、単位時間当たりの供給量の比「2−エチルクロロイソシアネートのモル量/化合物(3)のモル量」で、通常1.0以上、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.1以上、また、通常3.0以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下が望ましい。
さらに、この反応を行なう場合の条件も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば温度条件については、通常−20℃以上、好ましくは−10℃以上、より好ましくは−5℃以上、また、通常20℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下が望ましい。上記範囲の下限を下回ると溶液が凍結する虞があり、上限を上回ると2−エチルクロロイソシアネートが分解する虞がある。
化合物(3)からの化合物(4)の合成においては、通常、急激な反応熱が生じる。このため、従来は、反応熱の除熱が律速要因となり、反応を連続的に行なうことは困難であった。しかし、本実施形態の反応用チップ1を用いて上記反応を行なうようにすれば、流路3が非常に細いために発生する熱量が小さく、また、反応用チップ1の厚みが小さいために除熱が容易であるため、反応を連続的に行なうことが可能となる。
また、本実施形態の反応用チップ1を用いてこの反応を行なう場合、化合物(4)の収率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、また、通常100%以下である。
[3.化合物(4)からの化合物(5)の合成]
化合物(4)から化合物(5)を合成する反応工程を上記反応用チップ1を用いて行なう場合においては、通常、試料流体として、化合物(4)の溶液と亜硝酸ナトリウムの溶液とを用いる。
化合物(4)を溶解させる溶媒に制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができるが、例えば、濃硝酸、希硝酸などを用いることができる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における化合物(4)の濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常20g/L以上、好ましくは40g/L以上、より好ましくは80g/L以上、また、通常200g/L以下、好ましくは150g/L以下、より好ましくは100g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の不純物(例えば、濃硝酸中の不純物)の影響を受ける虞があり、上限を上回ると化合物(4)の溶解が不十分となる虞がある。
一方、亜硝酸ナトリウムを溶解させる溶媒にも制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができる。具体例としては、化合物(4)の溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における亜硝酸ナトリウムの濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常300g/L以上、好ましくは400g/L以上、より好ましくは500g/L以上、また、通常2000g/L以下、好ましくは1000g/L以下、より好ましくは700g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の不純物(例えば、濃硝酸中の不純物)の影響を受ける虞があり、上限を上回ると亜硝酸ナトリウムの溶解が不十分となる虞がある。
さらに、この反応を行なう場合の条件も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば温度条件については、通常20℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下が望ましい。上記範囲の下限を下回ると反応速度が低下する虞があり、上限を上回ると生成物が分解する虞がある。
化合物(4)からの化合物(5)の合成においては、通常、有毒なガスが発生することが多い。このため、従来のように大容量の容器を用いて反応を行なっていた場合には連続的に試料流体等の試薬を反応容器に供給することができなかった。しかし、本実施形態の反応用チップ1によれば、微細な流路を用いて反応を行なうので有毒なガスが急激に発生することを抑制することができ、また、連続的な流れの中で反応を行なうので連続的に試薬の供給を行なうことも可能となる。
また、本実施形態の反応用チップ1を用いてこの反応を行なう場合、化合物(5)の収率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、また、通常100%以下である。
[4.化合物(2)及び化合物(5)からの化合物(6)の合成]
化合物(2)及び化合物(5)から化合物(6)を合成する反応工程を上記反応用チップ1を用いて行なう場合においては、通常、試料流体として、化合物(2)の溶液と化合物(5)の溶液とを用いる。
化合物(2)を溶解させる溶媒に制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができるが、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどを用いることができる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における化合物(2)の濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常100g/L以上、好ましくは200g/L以上、より好ましくは300g/L以上、また、通常800g/L以下、好ましくは600g/L以下、より好ましくは400g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受ける虞があり、上限を上回ると化合物(2)の溶解が不十分となる虞がある。
一方、化合物(5)を溶解させる溶媒にも制限は無く、上記反応を進行させることができる限り任意の溶媒を用いることができる。具体例としては、メタノール、エタノール等を用いることができる。なお、溶媒は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、溶液中における化合物(5)の濃度も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、通常50g/L以上、好ましくは100g/L以上、より好ましくは200g/L以上、また、通常600g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは300g/L以下である。上記範囲の下限を下回ると溶媒中の水分の影響を受けるとなる虞があり、上限を上回ると化合物(5)の溶解が不十分となる虞がある。
また、反応に供する化合物(2)と化合物(5)との比率も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば、単位時間当たりの供給量の比「化合物(5)のモル量/化合物(2)のモル量」で、通常1.0以上、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.1以上、また、通常3.0以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下が望ましい。上記範囲の下限を下回ると生成物である化合物(6)の収率が低下する虞があり、上限を上回ると未反応の化合物(5)が増加する虞がある。
さらに、この反応を行なう場合の条件も上記反応を進行させることができる限り任意であるが、例えば温度条件については、通常−20℃以上、好ましくは−10℃以上、より好ましくは−5℃以上、また、通常20℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下が望ましい。上記範囲の下限を下回ると溶液が凍結する虞があり、上限を上回ると化合物(6)が分解する虞がある。
また、本実施形態の反応用チップ1を用いてこの反応を行なう場合、化合物(6)の収率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、また、通常100%以下である。
上記の反応工程の中でも、特に、化合物(0)から化合物(1)を生成させる反応は、本実施形態の反応用チップ1を用いて行なうようにすることが望ましい。従来のバッチ反応では、この反応工程では比較的大量の副生成物が生じていたが、本実施形態の反応用チップ1を用いれば、流路内で高い選択率を確保しつつ反応を進行させることができるという本発明の利点の一つを特に有効に活用することができるためである。
[その他]
以上、本発明について一実施形態を示して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
例えば、反応用チップ1の流路3は、上記実施形態のものに限定されず、変形して形成することもできる。具体例としては、上記実施形態のように基板2の接着面に沿った2次元的な流路形状とせず、基板2の厚み方向にも流路3を設け3次元的な流路形状となるようにしてもよい。
さらに、例えば、反応用チップ1には、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記の導入流路部4,5、階層分岐流路部6及びプール部7以外の流路部を設けてもよい。
また、例えば、基板2に2本以上の流路3を設けるようにしてもよい。
さらに、例えば、気泡案内部72やガイド条73を形成するか否かは適宜選択することができる。
また、ガイド条73の本数や形状も適宜変更することができる。
さらに、例えば、送出口74は1個のみを設けるようにしてもよい。
また、上記反応装置の各構成要素は任意に組み合わせて実施することができる。さらに、上記の反応装置に別の機器を更に組み合わせて実施することも可能である。
また、生成流体はタンクに溜めず、そのままフローで次の工程に供しても良い。
さらに、シリンダポンプなどの定量ポンプやガスボンベ等の試料流体の供給源の数は用いる試料流体の種類に応じて設定すれば良く、したがって、適宜3個以上設けるようにしてもよい。
以下、実施例を示して本発明について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
α−メチルグルコシド0.3gを脱水ピリジン2mLに溶解させたものを本実施例におけるA液(試料流体)とし、p−トルエンスルホニルクロリド0.29gを脱水ピリジンに溶解したものをB液(試料流体)とし、それぞれの液を2.5mLマイクロシリンジに充填した。
この2つのマイクロシリンジを用いて、上記実施形態で説明したのと同様に反応用マイクロチップを形成し、図6に示したような反応装置を組み立て、反応用チップに反応温度0℃にてA液及びB液を共に20μL/分で送液して反応を行なわせた。反応用チップから送出された液をサンプル瓶に捕集し、高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、転化率は100%、α−メチルグルコシドのトシル体の選択率は62%、α−メチルグルコシドのジトシル体の選択率は38%であった。なお、反応を通して反応用チップの温度は0±1℃に保持されていた。この結果から、本発明の反応用チップを用いれば、精密な温度制御を行ないながら、選択率のよい反応を行なうことができることが確認された。
また、送出口での圧力の上昇は観測されず、円滑な流れが可能であった。この結果から、反応用マイクロチップに2以上の送出口を形成したことにより、圧力損失を低下させることができることが確認された。
本発明は、流体を用いた反応に任意に用いることができ、特に、制癌剤であるラニムスチンの合成反応に用いて好適である。
本発明の一実施形態にかかる反応用マイクロチップの模式的な上面図である。 本発明の一実施形態にかかる反応用マイクロチップの模式的な斜視図である。 本発明の一実施形態について示すもので、(a),(b)はいずれも分岐流路部近傍の模式的な拡大図である。 本発明の一実施形態について示すもので、プール部内を流通する試料流体の流通する向きを説明するために示す、反応用マイクロチップの模式的な上面図である。 本発明の一実施形態にかかる反応用マイクロチップのプール部をその流れ方向に垂直な面で切った模式的な断面図である。 本発明の一実施形態について示すもので、反応用マイクロチップを用いた反応に用いる反応装置の要部構成を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態について示すもので、チップホルダについて模式的に示す分解斜視図である。
符号の説明
1 反応用マイクロチップ
2 基盤
3 流路
4,5 導入流路部
6 階層分岐流路部
7 プール部
8 導入流路合流部
41,51 導入口
61,62 分岐流路部
63,64 (分岐部位より上流側の)流路部
65,66 分岐部位
67A,67B,68A,68B (分岐部位で分岐後の)流路部
71 流体流入口
72 気泡案内部
73 ガイド条
74 送出口
75 (プール部の)下流端面
76 (プール部の)上流端面
77 (プール部の)内側面
78 (プール部の)天井面
79 (プール部の)底面
100 分析装置
101 チップホルダ
102,103 試料流体供給器
104 サンプル瓶
105 温度コントローラ
106 下部ホルダ
107 上部ホルダ

Claims (7)

  1. 基板と、該基板に形成された流路とを備えた反応用マイクロチップであって、
    該流路が、
    該流路に流体を導入するための少なくとも2つの導入流路部と、
    該導入流路部が合流する導入流路合流部と、
    該導入流路合流部の下流に形成され、それぞれ少なくとも2本に分岐する分岐流路部を階層的に接続した階層分岐流路部と、
    該階層分岐流路部の下流に形成され、該階層分岐流路部から流体を流入させるための流体流入口を幅方向に均一に形成されたプール部と、
    該プール部の下流に形成され、該プール部内の流体を送出するための送出口とを備える
    ことを特徴とする、反応用マイクロチップ。
  2. 該分岐流路部の少なくとも一つが、偶数本に分岐する
    ことを特徴とする、請求項1記載の反応用マイクロチップ。
  3. 該分岐流路部が、面対称に形成されている
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の反応用マイクロチップ。
  4. 該階層分岐流路部の幅が500μm以下、深さが300μm以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の反応用マイクロチップ。
  5. 該プール部に、流れ方向に沿って形成されたガイド条が形成されている
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の反応用マイクロチップ。
  6. 該プール部の下流端部に、該プール部の形状が該送出口に向けて傾斜して形成された気泡案内部が形成されている
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の反応用マイクロチップ。
  7. 該送出口が少なくとも2つ設けられている
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の反応用マイクロチップ。
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