JP2007060963A - 動物に病原体感染症を発症させるための動物用カプセル製剤およびそれを用いて動物に病原体感染症を発症させる方法 - Google Patents

動物に病原体感染症を発症させるための動物用カプセル製剤およびそれを用いて動物に病原体感染症を発症させる方法 Download PDF

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隆充 塚原
Kazunari Ushida
一成 牛田
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Abstract

【課題】ヒト以外の動物に病原体感染症をより確実に発症させるための手段を提供することを課題とする。
【解決手段】感染症をヒト以外の動物に発症させるための病原体を腸溶性カプセル内に充填してなる動物用カプセル製剤により、上記の課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒト以外の動物に病原体感染症を発症させるための動物用カプセル製剤、それを用いてヒト以外の動物に該病原体感染症を発症させる方法、ならびに該方法により発症したヒト以外の動物を用いる病原体感染症の予防および/または治療剤の評価方法に関する。
近年、ベロ毒素産生大腸菌(VTEC)などの毒素産生病原菌を原因とする病原菌感染症がブタなどの家畜や家禽に多発している。例えばブタがVTECに感染すると、VTECが腸で局所的に増殖して浮腫のような消化器疾患を引き起こすことが知られている。このような浮腫病の症状としては、眼周囲浮腫、神経失調、運動障害などが知られており、その他の臨床症状として下痢、食欲の低下、活力の低下、呼吸状態の変化、横臥などが知られている(非特許文献1、2および3)。近年、このブタ浮腫病に関しては、臨床現場では死亡率が20%を超える養豚農家も存在し、その対処療法が少ないことから廃業する農家まで出てきている現状があり、重大な問題となっている。
このような病原菌感染症のメカニズムは解明されていない点が多く、例えばブタの浮腫病に対しては、ブタにアンピシリンやホスホマイシンなどの抗菌剤を投与して病原菌を死滅させることが試みられたが、死滅した病原菌が菌体外へ毒素を放出してブタの症状が重篤化する可能性が示唆されている(非特許文献4)。また、抗菌剤の投与により多剤耐性大腸菌が出現したことも報告されている(非特許文献5および6)。これらのことから、病原菌感染症といえども抗菌剤のみに頼ることができない現状があり、これら病原菌感染症の病因の解明や新たな予防および治療剤ならびに予防および治療方法の開発・研究が望まれている。
このような研究のためには、病原体感染症を発症した動物モデルを得ることが必要である。従来、動物に病原体感染症を発症させる方法としては、例えば病原菌を含む液をそのまま動物に経口投与するか、または胃内へカテーテルなどにより投与する方法が用いられていた。しかしながら、このような方法で病原菌を含む液をそのまま投与した動物での該感染症の発症率は約30%であり(非特許文献2、3および7)、動物に感染症をより確実に発症させることが望まれていた。
Bertschinger, H. U. and Gyles, C. L. 1994. In: Escherichia coli in Domestic Animals (Gyles, C. L. ed.), CAB International, Wallingford. Bosworth, B. T., Samuel, J. E., Moon, H. W., O'Brien, A. D., Gordon, V. M. and Whipp, S. C. 1996. Infect. Immun. 64: 55-60. Matise, I., Cornick, N. A., Samuel, J. E. and Moon, H. W. 2003. Infect. Immun. 71: 5194-5201. Uemura, R., Sueyoshi, M., Taura, Y. and Nagatomo, H. 2004. J. Vet. Med. Sci. 66: 899-903. Fukuyama, M., Furuhata, K., Oonaka, K., Yakiwara, R., Koizumi, T., Hara, M., Dogasaki, C. and Watanabe, T. 2003. Kansensyogaku-Zasshi 77: 1032-1039 Uemura, R., Sueyoshi, M., Nagayoshi, M. and Nagatomo, H. 2003. Microbiol. Immunol. 47: 57-61. Cornick, N. A., Matise, I., Samuel, J. E., Bosworth, B. T. and Moon, H. W. 2000. J. Infect. Dis. 181: 242-251.
上記のような現状に鑑み、本発明は、ヒト以外の動物により確実に病原体感染症を発症させるための手段を提供することを課題とする。
本発明の課題は、感染症をヒト以外の動物に発症させるための病原体を腸溶性カプセル内に充填してなる動物用カプセル製剤である。
本発明の課題は、上記の動物用カプセル製剤をヒト以外の動物に投与することからなる、ヒト以外の動物に該病原体感染症を発症させる方法である。
さらに本発明の課題は、上記の方法により感染症を発症したヒト以外の動物を用いて、該病原体感染症の予防および/または治療剤を評価する方法でもある。
本発明により、ヒト以外の動物に病原体感染症を発症させることができる。従来、感染症をヒト以外の動物に発症させるために腸溶性カプセルに病原体を充填してヒト以外の動物に投与した例はなく、このような投与によるヒト以外の動物の感染症の発症に関する知見も得られていなかった。本発明により得られる動物を実験モデルとして用いることにより、病原体感染症の病因の解明や予防および/または治療方法ならびに予防および/または治療剤の開発を行うことが可能になる。また、該動物がブタである場合、ヒトに感染する病原体と同じ病原体に感染させたブタを用いることにより、ヒトの病原体感染症のメカニズムの解明、該感染症の予防および/または治療方法、ならびに該感染症の予防および/または治療剤を開発することも可能になる。
本発明の動物用カプセル製剤は、ヒト以外の動物に感染症を発症させるための病原体を含む。本明細書における「ヒト以外の動物」とは、ヒトを除くいずれの動物であってもよく、例えば哺乳類、鳥類などを含み、なかでも家畜または家禽が好ましい。家畜としては、人間に飼育される動物であれば特に限定されないが、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、モルモット、マウスなどが挙げられる。より好ましくはブタ、ウシ、ラットおよびイヌである。家禽としてはニワトリ、アヒル、ウズラなどが挙げられる。
本発明の動物用カプセル製剤に用いられる腸溶性カプセルは、胃で溶解せずに小腸または大腸で溶解するように設計されたものである。したがって、本明細書において、「腸」という用語は、小腸および大腸の両方を含む。小腸は、十二指腸、空腸、回腸を含み、大腸は盲腸、結腸、直腸を含む。
該腸溶性カプセルは、腸溶性物質を溶媒に溶解して得られた腸溶性コーティング液を通常のカプセル皮膜の表面にコーティングする方法、または腸溶性物質を通常のカプセル基剤に混合してカプセルを形成する方法のように当該技術分野において公知の方法で製造することができる。なお、上記の「通常のカプセル」とは、腸溶性の性質を有さないカプセルのことであり、ゼラチン、セルロース類、でんぷんなどを基剤として得られるカプセルである。
該腸溶性カプセルは、ソフトカプセルまたはハードカプセルのいずれであってもよい。
小腸で溶解する腸溶性カプセルとしては、当該技術分野において一般に知られているものを用いることができる。例えば腸溶性コーティング液として、メタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、セラック、ゼインなどを用いて通常のカプセルに腸溶性コーティングを施したもの、腸溶性物質としてペクチン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレートなどのセルロース類、メタクリル酸コポリマーなどを通常のカプセル基剤に混合してカプセルを形成したものなどが挙げられる。
大腸で溶解する腸溶性カプセルとしては、当該技術分野において一般に知られているものを用いることができる。例えばキトサンを基剤とするカプセルの表面に上記の腸溶性コーティングを施した腸溶性カプセル(特開平4−41422号公報参照)、キトサンとシリカとの混合物から得られる腸溶性カプセル(特開平6−179618号公報参照)などが挙げられる。
本発明の動物用カプセル製剤に充填されるヒト以外の動物に感染症を発症させるための病原体としては、ヒト以外の動物に感染症を発症させるための細菌、ウイルス、原虫、寄生虫などが挙げられる。なかでも、動物に消化器疾患を発生させる病原体が好ましい。消化器疾患を発生させるウイルスとしては、例えばロタウイルス、コロナウイルス、アストロウイルス、エンテロウイルスなどが挙げられる。消化器疾患を発生させる原虫としては、例えばコクシジウム、クリプトスポリジウムなどが挙げられる。消化器疾患を発生させる寄生虫としては、鞭虫、回虫などが挙げられる。
上記の病原体としては、病原菌が好ましく、動物に消化器疾患を発生させる病原菌がより好ましい。動物に消化器疾患を発生させるそのような病原菌としては、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、ローソニア・イントラセルラーリス(Lowsonia intracerullaris)、ブラキスピラ・ハイオディセンティリ(Brachyspira hyodysenteriae)、クロストリディウム・パフリンジェス(Clostridium perfringens)、カンピロバクター(Campylobacter)属菌、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ビブリオ(Vibrio)属菌およびサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)などのサルモネラ(Salmonella)属菌からなる群より選択される1種以上の菌が好ましく、なかでもエシェリキア・コリが好ましい。特に好ましいエシェリキア・コリとしては、易熱性毒素(LT)または耐熱性毒素(ST)を産生する毒素原性エシェリキア・コリが挙げられる。このような毒素原性エシェリキア・コリは、シガトキシンを含むベロ毒素(VT)を産生するものも含む。
本発明の動物用カプセル製剤の投与により、ヒト以外の動物に消化器疾患を発症させることができ、下痢などの臨床症状を観察することができる。
本発明の動物用カプセル製剤は、上記の病原体を、該病原体を含む液体の形態で腸溶性カプセルに充填するか、または該病原体を適切な固体の担体に保持させた形態で腸溶性カプセルに充填することにより得ることができる。上記の病原体を含む液体としては、病原体として病原菌を用いる場合、該病原菌を培養して得られた菌懸濁液をそのまままたは濃縮して用いることができ、菌懸濁液を濃縮したものを用いるのがより好ましい。菌懸濁液を濃縮する方法としては、該懸濁液を遠心分離して得られる沈殿物を用いる方法、菌懸濁液を凍結乾燥する方法など、従来公知の方法が挙げられる。
また、上記の固体の担体としては、医薬的に許容される担体であれば特に限定されないが、腸溶性物質である点で、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレートなどのセルロース類が好ましい。
本発明の動物用カプセル製剤に充填される病原体の量は、動物に該病原体の感染症を発症させることができる程度であれば特に限定されず、投与する動物の体重、病原体の種類などに応じて適宜調節することができる。病原体として病原菌を用いる場合、病原体の量は、好ましくは1カプセル当たり1×102〜1×1013CFUであり、より好ましくは1×107〜1×1010CFUである。
本発明の動物用カプセル製剤をヒト以外の動物に投与することにより、ヒト以外の動物に該病原体感染症を高い確率で発症させることができる。本発明の動物用カプセル製剤をヒト以外の動物に投与することからなる該動物に病原体感染症を発症させる方法は、該動物用カプセル製剤を投与した動物に70%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは100%の発症率で、感染症を発症させることができる。
従来のヒト以外の動物に感染症を発症させる方法では、約30%程度の動物にしか発症させることができなかったため、病原体感染症の予防および治療方法の確立のための研究においては、再現性のある実験を行うことができず、多くの動物を無駄に実験に供するなど、非効率的な作業を強いられてきた。このため、病原体感染症の予防および治療方法の開発・研究の分野での発展が阻害されてきた。これに対して本発明の方法は、従来の方法に比べてより高い確率で動物に感染症を発症させることができ、感染症を発症した動物モデルを安定的に得ることができるという優れた効果を有し、上記のような病原体感染症の予防および治療方法の開発・研究の分野での発展のために有用である。
ヒト以外の動物に病原体感染症を発症させる本発明の方法において、上記の動物用カプセル製剤の投与回数および投与量は、該動物に該病原体の感染症を発症させることができる程度であれば特に限定されず、投与する動物の体重、病原体の種類およびその量などに応じて適宜調節することができる。例えば、1カプセル当たり1×102CFU〜1×1013CFUのVT産生エシェリキア・コリを充填した動物用カプセル製剤を1日当たり1〜2回、1〜5日程度投与することにより、ブタにVT産生エシェリキア・コリ感染症を発症させることができる。
本発明の方法により感染症を発症したヒト以外の動物は、上記のように、感染症を発症した動物モデルとして、該感染症の病因および症状の研究、該感染症の予防および/または治療剤の評価ならびに予防および/または治療方法の研究や開発に有用である。
本発明の方法により感染症を発症したヒト以外の動物を用いて病原体感染症の予防および/または治療剤を評価する方法も、本発明の課題の一つである。この方法は、例えば、病原体感染症の予防および/または治療剤の候補品を、本発明の方法により発症したヒト以外の動物に投与して、該薬剤の予防および/または治療効果を評価することにより行われる。また、該病原体感染症の予防および/または治療剤を評価する方法は、例えば、病原体感染症の予防および/または治療剤の候補品を、本発明のカプセル製剤とともにヒト以外の動物に投与し、本発明の方法により発症したが該薬剤を投与していない対照の動物の状態と比較して、該薬剤の予防および/または治療効果を評価することにより行なうこともできる。本発明の評価方法により、病原体感染症に対する予防および/または治療効果が優れた化合物を選定・開発することができる。
以下の実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜3:動物用カプセル製剤の製造
病原体として以下の病原菌を用いて、毒素原性エシェリキア・コリを含む動物用カプセル製剤を製造した。
病原菌:ブタ由来VT産生エシェリキア・コリ(宮崎大学譲渡株);菌株No.1362−1(40日齢死亡ブタ由来)
血清型:O139;fedA,+
毒素:stx2e(シガトキシン2e),+;ST(耐熱性毒素),+;LT(易熱性毒素),−
上記の病原菌を、TSブロス培地(10mL、Difco, Detroit, MI, USA)中に好気条件下、37℃で4、6または8時間培養した。培養終了後、培養液を遠心分離(3000rpm、15分間)し、病原菌をペレット(約0.5mL)として得た。これを、1カプセル当たり3.9×108CFU(実施例1)、5.3×109CFU(実施例2)または1.0×1010CFU(実施例3)となるように、小腸で溶解する腸溶性カプセル(三生医薬社製)に充填して、動物用カプセル製剤を得た。
試験例1および2
一般的な畜産農家から購入した交雑種仔豚(21日齢;雄、雌各2頭の合計4頭)を、コンクリート床製オガコ敷き小豚房に収容した。保温灯で温度管理した。飼料(SDS No.1、日本配合飼料株式会社製、抗生物質を含まない飼料)および施設馴化を4日間行った。試験開始第0日(25日齢)、第1日(26日齢)および第2日(27日齢)の計3回、実施例1(試験例1)または2(試験例2)の動物用カプセル製剤を強制経口投与した。飼料および飲水は試験期間を通して自由摂取とした。観察期間は、カプセル製剤投与開始から最長14日間とし、試験開始第7日と第14日に、それぞれ1頭ずつ下記の方法に従って剖検を行った。試験期間中は毎日臨床的な観察(元気、食欲、呼吸状態、眼周囲浮腫、耳・腹部充血、糞便性状、姿勢、神経症状、糞便酸性臭)を行った。試験開始第0、1、7および14日に直腸便スワブを採取した。また,試験開始時および剖検時に採血と体重測定を行った。
剖検
ケタラール(ケタミン塩酸塩、三共株式会社製)およびストレスニル(アゼペロン、三共株式会社製)をブタの筋肉内に注射後、放血致死させた。開腹後、消化管(胃、空腸、回腸、回盲部、盲腸および結腸)、腎臓、肝臓、肺および腸間膜リンパ節を採取して10%中性緩衝ホルマリンで固定した。常法により薄切し、HE染色した後、各臓器または組織の異常を光学顕微鏡下で観察した。
VTEC産生大腸菌の分離
糞便スワブならびに剖検時の回腸、盲腸および結腸の内容物を段階希釈した後、DHL寒天平板(日水製薬株式会社製)に塗抹した。発育したコロニーを、ヒツジの脱フィブリン血(5%(v/v))含有Heart Infusion寒天平板に画線塗抹して、37℃で18または24時間培養して溶血性の有無を確認した。最高希釈倍率で発育したコロニーの中から代表3菌株について、VTEC遺伝子発現の有無をPCRを用いて確認した。PCR条件は、Blanco, M.ら、1997. J. Clin. Microbiol. 35: 2958-2963およびJohnson, W. M.ら、1990. J. Clin. Microbiol. 28: 2351-2353の方法に準拠した。
結果
試験期間中を通して死亡例は認められなかった。試験例1および2のブタの臨床症状の観察結果を表1に示す。
試験例1のブタは、中程度の下痢などの臨床症状を示したが、食欲はそれほど低下しなかった。試験例2のブタは、下痢の症状を示さなかったが、眼周囲浮腫を示した。食欲はそれほど低下しなかった。
また、試験例1のブタの直腸便スワブから検出されたVT産生大腸菌数と試験第7日に空腸、回腸および盲腸から検出されたVT産生大腸菌数を表2に示す。
小腸の病理組織学的検査結果を表3に示す。
以上の結果から、試験例1および2のブタは、消化器疾患である小腸の浮腫が認められ、これらのブタがいずれも病原菌に感染し、疾病が発症したことが確認できた。
試験例3
一般的な畜産農家から購入した交雑種仔豚(21日齢、3頭)を、コンクリート床製オガコ敷き小豚房に収容した。保温灯で温度管理した。飼料(SDS No.1)および施設馴化を4日間行った。試験開始第0日(25日齢)および第2日(27日齢)の計2回、実施例3の動物用カプセル製剤を強制経口投与した。飼料および飲水は試験期間を通して自由摂取とした。観察期間はカプセル製剤投与開始から最長28日間とし、試験開始第7日、第14日および第28日にそれぞれ1頭ずつ剖検を行った。試験期間中は毎日臨床的な観察(元気、食欲、呼吸状態、眼周囲浮腫、耳・腹部充血、糞便性状、姿勢、神経症状)を行った。試験開始第0、1、7、14および28日に直腸便スワブを採取した。また,試験開始時および剖検時に採血と体重測定を行った。
剖検
試験例1と同様の方法で剖検を行なった。観察した器官および組織は、消化管(胃、空腸、回腸、回盲部、盲腸および結腸)、脳、腎臓、副腎、肝臓、心臓、肺、腸間膜リンパ節、鼠頸部リンパ節、脾臓および膵臓であった。
VTEC産生大腸菌の分離
試験例1と同様の方法で行った。
結果
試験期間中を通して死亡例は認められなかった。ブタの臨床症状の観察結果を表4に示す。
本試験例では、カプセル製剤の投与翌日から3頭とも激しい下痢症状を呈し、飼料摂取量が減退した。
本試験例のブタの直腸便スワブから検出されたVT産生大腸菌数と試験第7日に空腸、回腸および盲腸から検出されたVT産生大腸菌数を表5に示す。
小腸の病理組織学的検査結果を表6に示す。
また、試験開始第7日に剖検したブタの回腸の組織および試験開始第14日に剖検したブタの回腸の組織をそれぞれヘマトキシリンエオジン染色して光学顕微鏡により観察した。これらのブタと同日齢の健康なブタの回腸の組織を同様にして染色して比較した結果を図1および2に示す。図1:ブタ回腸粘膜の光学顕微鏡写真(倍率:100倍):(a) 試験開始第7日(32日齢)で剖検した本試験例のブタの回腸粘膜;(b) 32日齢の健康なブタの回腸粘膜。この図から、本試験例のブタの間質に浮腫が認められることがわかる。図2:ブタの回腸の光学顕微鏡写真(倍率:40倍):(a) 試験開始第14日(39日齢)で剖検した本試験例のブタの回腸;(b) 39日齢の健康なブタの回腸。この図から、本試験例のブタのリンパ濾胞が肥大していることがわかる。
以上の結果から明らかなように、本試験例のブタも病原菌に感染し、疾病が発症したことが確認できた。
実施例4
実施例1と同様にして、大腸において感染する病原菌、ブラキスピラ・ハイオディセンティリを大腸で溶解する腸溶性カプセルに充填して動物用カプセル製剤を得、これをブタに投与することにより、ブタを大腸で感染する病原菌に感染させることができる。
試験例4 感染症の予防および/または治療剤の開発
一般的な畜産農家から購入した交雑種仔豚(21日齢;雄5頭、雌10頭の合計15頭)の体重を測定し、体重が均一になるように配慮して3頭ずつ5群に分けた。コンクリート床製オガコ敷き小豚房に収容した。保温灯で温度管理した。試験開始第0日から4日間、飼料(SDS No.1)に、感染症の予防および/または治療剤の候補品としてエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)EC−12株の菌体製剤(コンビ株式会社製)を、菌体の量が表7に示す量となるように混合して与えた。試験開始第4日(25日齢)、第5日(26日齢)および第6日(27日齢)の計3回、実施例1のカプセル製剤を強制経口投与した。なお、カプセル製剤を投与しない第5群の豚には、カプセル製剤の代わりに生理食塩水を与えた。飼料および飲水は試験期間を通して自由摂取とした。観察期間は試験開始第0日から第11日までとし、第11日に剖検を行なった。カプセル製剤の投与後も、エンテロコッカス・フェカリスEC−12株の菌体製剤を混合した飼料を与えた。試験期間中は毎日臨床的な観察(元気、食欲、呼吸状態、眼周囲浮腫、糞便性状)を行った。試験開始第4、7および11日に糞便を採取した。採取困難な場合には糞便スワブを採取した。試験開始第0、4および11日に体重ならびに飼料摂取量を測定した。第11日に、試験例1と同様にして剖検を行なった。
結果
1〜5群のブタの臨床観察の平均のスコアを表8に示す。
また、試験開始第0、4および11日に測定した体重および飼料摂取量から、飼料要求率を算出した。結果を表9に示す。
以上の結果から、本発明のカプセル製剤を投与して病原菌に感染させたブタの群(第1群)での状態と、該病原菌感染症の予防および/または治療剤の候補品としてのエンテロコッカス・フェカリスEC−12株の菌体製剤を本発明のカプセル製剤とともに投与したブタの群(第2、3および4群)での状態とを比較することにより、エンテロコッカス・フェカリスEC−12株の菌体製剤の感染症の予防および/または治療剤としての効果を評価することができた。
本発明により、簡便かつより確実にヒト以外の動物を病原体に感染させることができ、このようにして発症したヒト以外の動物を、感染症の研究や感染症の予防および/または治療剤の開発に有利に用いることができる。
ブタ回腸粘膜の光学顕微鏡写真(倍率:100倍):(a) 試験開始第7日(32日齢)で剖検した試験例3のブタの回腸粘膜;(b) 32日齢の健康なブタの回腸粘膜。 ブタの回腸の光学顕微鏡写真(倍率:40倍):(a) 試験開始第14日(39日齢)で剖検した試験例3のブタの回腸;(b) 39日齢の健康なブタの回腸。

Claims (12)

  1. 感染症をヒト以外の動物に発症させるための病原体を腸溶性カプセル内に充填してなることを特徴とする動物用カプセル製剤。
  2. 前記ヒト以外の動物が家畜または家禽である請求項1に記載の動物用カプセル製剤。
  3. 前記家畜がブタ、ウシ、ラットおよびイヌから選択される請求項2に記載の動物用カプセル製剤。
  4. 前記腸溶性カプセルが、小腸および/または大腸で溶解するカプセルである請求項1〜3のいずれか1つに記載の動物用カプセル製剤。
  5. 前記病原体が、病原体を含む液体の形態でカプセル内に充填されてなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の動物用カプセル製剤。
  6. 前記病原体が、固体の担体に保持された形態でカプセル内に充填されてなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の動物用カプセル製剤。
  7. 前記病原体が、動物に消化器疾患を発生させる病原体である請求項1〜6のいずれか1つに記載の動物用カプセル製剤。
  8. 前記消化器疾患を発生させる病原体が、エシェリキア・コリ、ローソニア・イントラセルラーリス、ブラキスピラ・ハイオディセンティリ、クロストリディウム・パフリンジェス、カンピロバクター属菌、スタフィロコッカス・アウレウス、ビブリオ属菌およびサルモネラ属菌からなる群より選択される請求項7に記載の動物用カプセル製剤。
  9. 前記病原体が、毒素産生エシェリキア・コリである請求項8に記載の動物用カプセル製剤。
  10. 前記病原体が、1カプセル当たり1×102CFU〜1×1013CFU含まれてなる請求項8または9に記載の動物用カプセル製剤。
  11. 請求項1〜10のいずれか1つに記載の動物用カプセル製剤をヒト以外の動物に投与することからなるヒト以外の動物に該病原体感染症を発症させる方法。
  12. 請求項11に記載の方法により病原体感染症を発症したヒト以外の動物を用いて該病原体感染症の予防および/または治療剤を評価する方法。
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CN117106657A (zh) * 2023-09-01 2023-11-24 中国农业科学院北京畜牧兽医研究所 大肠埃希氏菌(Escherichia coli)SKLAN202302、感染动物腹泻模型的构建方法及其应用

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