JP2007057754A - クロスダイクロイックプリズム、光学装置、プロジェクタ、およびクロスダイクロイックプリズムの製造治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】良質な画質の画像を投影可能なクロスダイクロイックプリズム、光学装置、プロジェクタ、およびクロスダイクロイックプリズムの製造治具を提供すること。
【解決手段】クロスダイクロイックプリズム34では、ダイクロイックプリズム341の頂角が90度未満に形成され、接着層344が外側から中心部に向かって厚み寸法が薄く形成されている。これにより、クロスダイクロイックプリズム34の中心部においてダイクロイックプリズム341の頂角が互いに近接するので、この中心部の波長選択性反射膜が設けられない部分が小さくなる。したがって、クロスダイクロイックプリズム34に光が入射した際、反射膜形成面342Bに形成された波長選択性反射膜343にて所定の波長の光を反射させることができ、良質な画質のカラー画像を形成できる。
【選択図】 図4
Description
本発明は、複数個の三角柱プリズムを備えたクロスダイクロイックプリズム、このクロスダイクロイックプリズムを備えた光学装置、この光学装置を備えたプロジェクタ、およびクロスダイクロイックプリズムの製造治具に関する。
従来、プロジェクタなどに内蔵される光学装置に組み込まれ、所定の波長の光を透過させてその他の波長の光を反射させるクロスダイクロイックプリズムが知られている(例えば特許文献1)。
この特許文献1に記載のものは、頂角が90度で、頂角を形成する2面のうち一方の面に波長選択性反射膜が施された直角二等辺三角柱のダイクロイックプリズムを4つ接着させたクロスダイクロイックプリズムである。このクロスダイクロイックプリズムでは、4つのダイクロイックプリズムの波長選択性反射膜が十字状に直交するように波長選択性反射膜が施されている面と施されていない面とを対向配置し、その間に接着剤を封入して均一に接着層が形成されるように固着している。この時、波長選択性反射膜の厚さと接着剤による接着層の厚さとの合計分だけ互いのダイクロイックプリズムを接着層に対して平行方向に相対的にシフトさせ、選択性反射膜が同一平面上に位置するようにした構成が示されている。
ところで、特許文献1に記載のような従来のダイクロイックプリズムでは、4つのダイクロイックプリズムを配置して接着剤を均一に封入して接着層を形成する。このため、4つのダイクロイックプリズムの頂角が集合するクロスダイクロイックプリズムの中心位置にも均一に接着層が形成され、この中心位置の接着層には波長選択性反射膜が設けられない部分が生じてしまう。このような波長選択性反射膜が設けられない部分に光が透過すると、色分離および色合成がされないまま透過してしまうため、このクロスダイクロイックプリズムにより投影される画像の色ずれ、画質の低下などが生じる場合があるという問題が一例として挙げられる。
本発明は、良質な画質の画像を投影可能なクロスダイクロイックプリズム、光学装置、プロジェクタ、およびクロスダイクロイックプリズムの製造治具を提供することを目的とする。
本発明のクロスダイクロイックプリズムは、頂角を挟んで第1面と第2面とが設けられるとともに前記頂角同士を中心に近接配置し底面部を外側に配置した複数個の三角柱プリズムと、これらの三角柱プリズムの前記第1面にそれぞれ形成された波長選択性反射膜と、隣り合う前記三角柱プリズムの互いに対向する前記波長選択性反射膜と第2面との間に介装され前記三角柱プリズム同士を互いに接着固定する接着層とを備えたクロスダイクロイックプリズムであって、前記複数個の三角柱プリズムのうち少なくとも1個の三角柱プリズムの頂角が90度未満であり、この三角柱プリズムと隣り合う三角柱プリズムとの第1面と第2面との間に介装された前記接着層が外側から中心部に向かって厚み寸法が薄くなることを特徴とする。
この発明によれば、三角柱プリズムの頂角が90度未満に形成され、接着層が外側から中心部に向かって厚み寸法が薄く形成されている。これにより、クロスダイクロイックプリズムの中心位置において三角柱プリズムの頂角が互いに近接若しくは接触して、この中心位置の波長選択性反射膜が設けられない部分が小さくなる。
したがって、このようなクロスダイクロイックプリズムに光を入射した場合に、中心位置においても所定の波長の光を波長選択性反射膜にて反射させることが可能となる。よって、色ずれや画質低下を防止でき、良好な画質のカラー画像を投射することが可能となる。
したがって、このようなクロスダイクロイックプリズムに光を入射した場合に、中心位置においても所定の波長の光を波長選択性反射膜にて反射させることが可能となる。よって、色ずれや画質低下を防止でき、良好な画質のカラー画像を投射することが可能となる。
また、本発明では、クロスダイクロイックプリズムは、前記三角柱プリズムは4個あり、これらの三角柱プリズムの全ての頂角がそれぞれ90度未満であり、前記接着層は、略十字状に連続して形成されるとともに、外側から中心部に向かって厚み寸法が薄く形成されていることが好ましい。
この発明によれば、4個の三角柱プリズムの頂角のそれぞれが90度未満に形成され、接着層が十字状に連続して形成されるとともに、外側から中心部に向かって厚み寸法が薄く形成されている。これにより、4個の三角柱プリズムのそれぞれの頂点を中心部にて接触または近接させることが可能となる。したがって4個の三角柱プリズムのそれぞれに入射した光が中心部を通過する際に、波長選択性反射膜に対応する所定の波長の光を確実に反射させることが可能となる。
よって、クロスダイクロイックプリズムにより投射されるカラー画像の画質を良好にすることが可能となる。
よって、クロスダイクロイックプリズムにより投射されるカラー画像の画質を良好にすることが可能となる。
さらに、本発明のクロスダイクロイックプリズムでは、前記頂角をθとした場合、87度≦θ<90度であることが好ましい。
この発明では、頂角の角度θが87度≦θ<90度に形成されている。ここで、頂角の角度θが87度未満である場合、外側の接着層の厚み寸法が大きくなりすぎるため、クロスダイクロイックプリズムの製造時に接着剤の量が多くなり、接着作業も困難になる。また、接着層は三角柱プリズムの屈折率と同一の屈折率となる素材にて形成されることが好ましいが、このような素材を選定することは困難である。
このため、接着剤としては三角柱プリズムと略同じ屈折率の素材を用いることが一般的になるが、この場合、接着層の厚みが大きくなるに従い、屈折率の違いにより、光路のずれが大きくなり、クロスダイクロイックプリズムから投射されるカラー画像の画質に影響がでる虞がある。
これに対して、三角柱プリズムの頂角の角度θの大きさを87度≦θ<90度とすることで、三角柱プリズムの頂角同士を接触または近接させることができるとともに、接着層の厚み寸法をも小さくでき、接着層と三角柱プリズムとの屈折率の差を十分無視できる大きさにすることができる。従って、クロスダイクロイックプリズムの製造性が良好になるとともに、投射されるカラー画像の画質低下をも抑制できる。
このため、接着剤としては三角柱プリズムと略同じ屈折率の素材を用いることが一般的になるが、この場合、接着層の厚みが大きくなるに従い、屈折率の違いにより、光路のずれが大きくなり、クロスダイクロイックプリズムから投射されるカラー画像の画質に影響がでる虞がある。
これに対して、三角柱プリズムの頂角の角度θの大きさを87度≦θ<90度とすることで、三角柱プリズムの頂角同士を接触または近接させることができるとともに、接着層の厚み寸法をも小さくでき、接着層と三角柱プリズムとの屈折率の差を十分無視できる大きさにすることができる。従って、クロスダイクロイックプリズムの製造性が良好になるとともに、投射されるカラー画像の画質低下をも抑制できる。
そして、本発明のクロスダイクロイックプリズムは、前記三角柱プリズムの頂角以外の2つの角部のうちいずれか一方の角部の角度が45度であることが好ましい。
この発明では、三角柱プリズムの頂角以外の2つの角部のうちいずれか一方が45度に形成されている。これにより、従来の断面二等辺三角形の三角柱プリズムの頂角を挟む二辺のうち、いずれか一方を切断または研磨などするだけで容易に頂角が90度未満となる三角柱プリズムを作成することが可能となる。
また、本発明のクロスダイクロイックプリズムは、前記三角柱プリズムは、4個全てが同一形状であることが好ましい。
この発明では、4個の三角柱プリズムが全て同一形状に形成されている。これにより、これらの三角柱プリズムからクロスダイクロイックプリズムを作成する際に製造が簡単になる。
さらに、本発明のクロスダイクロイックプリズムは、前記4個の三角柱プリズムのうち互いに対向する2個の三角柱プリズムの第1面に形成された波長選択性反射膜は略同一平面内に位置していることが好ましい。
この発明では、波長選択性反射膜が同一平面内に位置している。このため、クロスダイクロイックプリズムに入射した波長選択性反射膜で反射される所定波長の光の反射される位置がずれることがないので、投射されるカラー画像に色ずれや画質低下などの問題が起こる虞がない。
そして、本発明の光学装置は、上述したようなクロスダイクロイックプリズムと、このクロスダイクロイックプリズムの外側に位置している4面のうち3面にそれぞれ近接配置される液晶パネルと、前記クロスダイクロイックプリズムのうち残り1面に対向配置される投射レンズとを備えたことを特徴とする。
また、本発明のプロジェクタは、上記光学装置を備えたことを特徴とする。
また、本発明のプロジェクタは、上記光学装置を備えたことを特徴とする。
これらの発明によれば、光学装置およびプロジェクタは、上述したようなクロスダイクロイックプリズムと、このクロスダイクロイックプリズムの外側に位置している4面のうち3面に対向配置される液晶パネルと、クロスダイクロイックプリズムの残りの1面に対向配置される投射レンズとを備えている。これにより、液晶パネルから入射した光をクロスダイクロイックプリズムにて良好に色合成してカラー画像を形成し、このカラー画像を投射レンズから投射させることが可能となる。したがって、このようなカラー画像を投射することで、投射された画質を良好にできる。
そして、本発明のクロスダイクロイックプリズムを製造する治具は、前記頂角を挟んで第1面と第2面とが設けられ前記第1面に予め波長選択性反射膜が形成された三角柱プリズムの2個を互いに波長選択性反射膜と第2面とを対向させた状態で並べる基準面を備え、この基準面は、一方の三角柱プリズムの波長選択性反射膜と対向する第1基準平面と、他方の三角柱プリズムの第2面と対向する第2基準平面と、これらの第1基準平面と第2基準平面との間に形成され前記2個の三角柱プリズムの頂角同士が近接配置される接合部とを備え、前記第2基準平面は前記第1基準平面に対して、直角と前記頂角の角度差に等しい傾斜角を有して形成されることを特徴とする。
この発明によれば、クロスダイクロイックプリズムを製造する治具は、2個の三角柱プリズムを互いに波長選択性反射膜と第2面とを対向させた状態で並べる基準面を備え、この基準面はさらに、一方の三角柱プリズムの波長選択性反射膜と対向する第1基準平面と、他方の三角柱プリズムの第2面と対向する第2基準平面と、が設けられている。そして、この第1基準平面と第2基準平面との間には前記2個の三角柱プリズムの頂角同士が近接配置される接合部が設けられ、第2基準平面が第1基準平面に対して直角と前記頂角の角度差に等しい傾斜角で傾斜して形成されている。これにより、第1基準平面および第2基準平面にそれぞれ三角柱プリズムを載置して接合部にて頂角同士を合わせた際に、第1基準平面に載置された三角柱プリズムの第2面と第2基準平面に載置された三角柱プリズムの波長選択性反射膜との間に頂角から外側から中心部に近づくにつれて厚み寸法が小さくなる隙間が生じる。従って、この隙間に接着剤を注入することにより、容易にプリズムペアを作成することができる。また、第2基準平面の傾斜角度を頂角の角度θに応じて、(90−θ)度に設定することで、2つの三角柱プリズムの第1面が直交する状態に配置させることが可能となる。したがって、容易に断面略正方形のクロスダイクロイックプリズムに対応するプリズムペアを作成することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係るプロジェクタについて図面に基づいて説明する。
[プロジェクタの構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係るプロジェクタの内部に設けられる光学系を模式的に示す図である。図2は、クロスダイクロイックプリズムを模式的に示す斜視図である。図3は、ダイクロイックプリズムの光軸面での断面を模式的に示す断面図である。図4は、クロスダイクロイックプリズムの光軸面での断面を模式的に示す断面図である。
図1は、本発明の一実施の形態に係るプロジェクタの内部に設けられる光学系を模式的に示す図である。図2は、クロスダイクロイックプリズムを模式的に示す斜視図である。図3は、ダイクロイックプリズムの光軸面での断面を模式的に示す断面図である。図4は、クロスダイクロイックプリズムの光軸面での断面を模式的に示す断面図である。
図1において、プロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投射面上に拡大投射する。このプロジェクタ1は、図示しない外装ケースと、光学ユニット2と、図示しない電源ユニットおよび冷却ユニットとを含んで構成される。
光学ユニット2は、インテグレータ照明光学系21と、色分離光学系22と、リレー光学系23と、光学装置3と、光学部品用筐体25とに機能的に大別される。
インテグレータ照明光学系21は、光源から射出された光束を照明光軸直交面内における照度を均一にするための光学系である。このインテグレータ照明光学系21は、光源装置211、第1レンズアレイ212、第2レンズアレイ213、偏光変換素子214、及び重畳レンズ215を備えて構成される。
光源装置211は、光源ランプ216およびリフレクタ217を備えている。そして、光源ランプ216から射出された放射状の光束は、リフレクタ217で反射されて略平行光束とされ、外部へと射出される。本実施の形態では、光源ランプ216として、高圧水銀ランプを採用し、リフレクタ217として、放物面鏡を採用している。なお、光源ランプ216としては、高圧水銀ランプに限らず、例えばメタルハライドランプやハロゲンランプ等を採用してもよい。また、リフレクタ217として放物面鏡を採用しているが、これに限らず、楕円面鏡からなるリフレクタの射出面に平行化凹レンズを配置した構成を採用してもよい。
第1レンズアレイ212は、照明光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備する。各小レンズは、光源ランプ216から射出された光束を部分光束に分割し、照明光軸方向に射出する。
第2レンズアレイ213は、第1レンズアレイ212と略同様の構成であり、小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備する。この第2レンズアレイ213は、重畳レンズ215とともに、第1レンズアレイ212の各小レンズの像を光学装置3の後述する液晶パネル31上に結像させる機能を有する。
偏光変換素子214は、第2レンズアレイ213からの光を略1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、光学装置3での光の利用効率が高められている。具体的に、偏光変換素子214によって略1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ215によって最終的に光学装置3の後述する液晶パネル31上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル31を用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ランプ216からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子214を用いることにより、光源ランプ216から射出された光束を略1種類の偏光光に変換し、光学装置3における光の利用効率を高めている。なお、このような偏光変換素子214は、例えば、特開平8−304739号公報に紹介されている。
色分離光学系22は、2枚のダイクロイックミラー221,222と、反射ミラー223とを備える。インテグレータ照明光学系21から射出された複数の部分光束は、2枚のダイクロイックミラー221,222により赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離される。
リレー光学系23は、入射側レンズ231と、リレーレンズ233と、反射ミラー232,234とを備える。このリレー光学系23は、色分離光学系22で分離された色光である青色光を光学装置3の後述する青色光用の液晶パネル31まで導く機能を有している。
この際、色分離光学系22のダイクロイックミラー221では、インテグレータ照明光学系21から射出された光束のうち、青色光成分と緑色光成分とは透過し、赤色光成分は反射する。ダイクロイックミラー221によって反射した赤色光は、反射ミラー223で反射し、フィールドレンズ218を通って、後述する赤色光用の液晶パネル31に到達する。このフィールドレンズ218は、第2レンズアレイ213から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の緑色光、青色光用の液晶パネル31の光入射側に設けられたフィールドレンズ218も同様である。
また、ダイクロイックミラー221を透過した青色光と緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー222によって反射し、フィールドレンズ218を通って、後述する緑色光用の液晶パネル31に到達する。一方、青色光は、ダイクロイックミラー222を透過してリレー光学系23を通り、さらにフィールドレンズ218を通って、後述する青色光用の液晶パネル31に到達する。
なお、リレー光学系23には、3つの色光のうちの青色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、赤色光を通す構成としてもよい。
光学装置3は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像(光学像)を形成し、形成したカラー画像を拡大投射する。この光学装置3は、図1に示すように、3つの液晶パネル31(赤色光用の液晶パネルを31R、緑色光用の液晶パネルを31G、青色光用の液晶パネルを31Bとする)と、これら液晶パネル31の光束入射側および光束射出側にそれぞれ対向配置される入射側偏光板32および光学変換板33と、クロスダイクロイックプリズム34と、ヘッド体4と、投射レンズ5とを備える。そして、これらのうち、3つの液晶パネル31、3つの光学変換板33、およびクロスダイクロイックプリズム34は一体化され、光学装置本体30を構成する。なお、光学装置本体30は、具体的な構成は後述するが、液晶パネル31、光学変換板33、およびクロスダイクロイックプリズム34以外に、液晶パネル31を保持する保持枠、第2光学変換板33Bを保持するとともに液晶パネル31をクロスダイクロイックプリズム34に取り付ける保持部材等を備える。
入射側偏光板32は、偏光変換素子214で偏光方向が略一方向に揃えられた各色光が入射され、入射された光束のうち、偏光変換素子214で揃えられた光束の偏光軸と略同一方向(第1偏光方向)の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。この入射側偏光板32は、図示を省略するが、透光性基板上に偏光膜が貼付された構成を有している。なお、本実施形態では、入射側偏光板32を光学装置本体30と別体で構成しているが、光学装置本体30と一体化する構成を採用してもよい。また、透光性基板を用いずに、偏光膜をフィールドレンズ218に貼り付ける構成を採用してもよい。
液晶パネル31は、図示は省略するが、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有し、前記制御基板から出力される駆動信号に応じて、前記液晶の配向状態が制御され、入射側偏光板32から射出された偏光光束の偏光方向を変調する。
光学変換板33は、第1光学変換板33Aと、第2光学変換板33Bとから構成されている。
第1光学変換板33Aは、前述の入射側偏光板32と略同様の構成を有し、入射された光束のうち、所定方向(第2偏光方向)の偏光光のみを透過させ、その他の光束を吸収するものである。
第2光学変換板33Bは、液晶パネル31から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみを透過させ、その他の光束を吸収するとともに、液晶パネル31から射出された光束の視野角を拡大する。
クロスダイクロイックプリズム34は、光学変換板33から入射される赤色光、青色光、および緑色光を合成してカラー画像を形成し、投射レンズ5に出射する。なお、クロスダイクロイックプリズム34の詳細な説明については後述する。
投射レンズ5は、先端部分が図示しない外装ケースから露出可能に配置され、クロスダイクロイックプリズム34にて形成されたカラー画像を拡大投射する。この投射レンズ5は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。また、この投射レンズ5には、複数のレンズの相対位置を変更するレバーが設けられ、投射像のフォーカス調整、および倍率調整可能に構成されているものであってもよい。
ヘッド体4は、例えばアルミニウム合金またはマグネシウム合金等の金属材料から構成され、光学装置本体30および投射レンズ5を一体化するとともに、一体化したユニットを光学部品用筐体25に対して取り付けるものである。
光学部品用筐体25は、合成樹脂製の成形品であり、内部に所定の照明光軸が設定され、上述した光学部品31〜34を照明光軸に対する所定位置に配置する。なお、光学部品用筐体25は、合成樹脂製の成形品に限らず、その他、金属製部材から構成してもよい。
[クロスダイクロイックプリズムの構成]
クロスダイクロイックプリズム34は、光学変換板33から射出された各色光がそれぞれ入射される3つの入射端面を備え、色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム34は、図2に示すように、4つの三角柱プリズムとしてのダイクロイックプリズム341を貼り合わせて平面視正方形状に形成されている。すなわち、赤色光用の液晶パネル31Rからの赤色光が入射する赤色光側ダイクロイックプリズム341Aと、青色光用の液晶パネル31Bからの青色光が入射する青色光側ダイクロイックプリズム341Bと、緑色光が入射する緑色光側ダイクロイックプリズム341Cと、合成された光が出射する投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dと、が張りつけられて平面視正方形状に形成されている。
クロスダイクロイックプリズム34は、光学変換板33から射出された各色光がそれぞれ入射される3つの入射端面を備え、色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム34は、図2に示すように、4つの三角柱プリズムとしてのダイクロイックプリズム341を貼り合わせて平面視正方形状に形成されている。すなわち、赤色光用の液晶パネル31Rからの赤色光が入射する赤色光側ダイクロイックプリズム341Aと、青色光用の液晶パネル31Bからの青色光が入射する青色光側ダイクロイックプリズム341Bと、緑色光が入射する緑色光側ダイクロイックプリズム341Cと、合成された光が出射する投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dと、が張りつけられて平面視正方形状に形成されている。
これらのダイクロイックプリズム341は、図3に示すように、光学変換板33からの光が入射または投射レンズ5に光を出射する入出射面342Aと、波長選択性反射膜が設けられる第1面としての反射膜形成面342Bと、他のダイクロイックプリズム341との間で接着剤が注入される第2面としての接着面342Cと、を備えている。これらの入出射面342A、反射膜形成面342B、および接着面342Cは平坦に研磨され、表面における光の乱反射等がない状態に形成されている。また、このダイクロイックプリズム341では、入出射面342Aに対向する頂角の角度θが87度以上90度未満に形成され、入出射面342Aおよび反射膜形成面342Bの挟角の角度γが45度に形成され、接着面342Cおよび入出射面342Aの挟角の角度βが45度<β≦48度に形成されている。これにより、反射膜形成面342Bの面積は接着面342Cの面積よりも大きくなる。ここで、ダイクロイックプリズム341の頂角が87度よりも小さく形成されている場合、接着面342Cと隣り合うダイクロイックプリズム341との距離が開きすぎるため、接着層344(図4参照)が大きくなってしまうため、接着剤とダイクロイックプリズム341との屈曲率の差の影響が大きくなって投射される画像の画質低下を招く虞がある。また、接着剤のコストも高くなり、製造性も悪くなってしまう。
また、各ダイクロイックプリズム341の反射膜形成面342Bには、所定の波長の光を反射してその他の光を透過させる波長選択性反射膜343が形成されている。具体的には、図4に示すように、赤色光側ダイクロイックプリズム341Aの反射膜形成面342B、および青色光側ダイクロイックプリズム341Bの反射膜形成面342Bには、青色光のみを反射する青色光反射膜343Aが形成され、緑色光側ダイクロイックプリズム341Cおよび投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dには、赤色光のみを反射する赤色光反射膜343Bが形成されている。これらの波長選択性反射膜343は、誘電多層膜を蒸着することにより形成されている。また、これらの波長選択性反射膜343のうち、赤色光側ダイクロイックプリズム341Aおよび青色光側ダイクロイックプリズム341Bに形成される青色光反射膜343Aは、同一平面内に位置し、同様に、緑色光側ダイクロイックプリズム341Cおよび投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dに形成される赤色光反射膜343Bも、同一平面内に位置している。
そして、クロスダイクロイックプリズム34は、図4に示すように、これらのダイクロイックプリズム341の頂角同士を中心位置で当接させた状態で、各接着面342Cとこれらの接着面342Cに対向するダイクロイックプリズム341との間に接着剤を注入し、接着層344を形成することで図2に示すような平面視正方形状に形成されている。すなわち、赤色光側ダイクロイックプリズム341Aの接着面342Cおよび緑色光側ダイクロイックプリズム341Cの反射膜形成面342Bの間、緑色光側ダイクロイックプリズム341Cの接着面342Cおよび青色光側ダイクロイックプリズム341Bの反射膜形成面342Bの間、青色光側ダイクロイックプリズム341Bの接着面342Cおよび投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dの反射膜形成面342Bの間、投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dの接着面および赤色光側ダイクロイックプリズム341Aの反射膜形成面342Bの間にそれぞれ接着剤を注入して接着層344を形成する。なお、図4において、波長選択性反射膜343および接着層344は、説明のため厚み寸法を大きく表示しているが、実際にはダイクロイックプリズム341の表面に膜状に形成されるものであり、ダイクロイックプリズム341の大きさに対して微小寸法に形成されている。
以上の構成により、クロスダイクロイックプリズム34は、赤色光側ダイクロイックプリズム341Aに入射した赤色光を赤色光反射膜343Bで投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dに反射させ、青色光側ダイクロイックプリズム341Bに入射した青色光を青色光反射膜343Aで投射レンズ側に反射させ、緑色光側ダイクロイックプリズム341Cから入射した緑色光をそのまま投射レンズ側ダイクロイックプリズムに透過させて、各色光を合成してカラー画像を形成し、投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dの入出射面342Aから出射する。
[クロスダイクロイックプリズムの製造]
次に上述したようなクロスダイクロイックプリズム34の製造方法について、図5ないし図7に基づいて説明する。図5は、クロスダイクロイックプリズムを製造する製造治具およびこの製造治具に載置されたダイクロイックプリズムの概略を模式的に示す斜視図である。図6は、クロスダイクロイックプリズムの製造工程を示す図であり、(A)は赤色光側ダイクロイックプリズムおよび投射レンズ側ダイクロイックプリズムを接着するプリズムペア成形工程を示す図、(B)は青色光側ダイクロイックプリズムおよび緑色光側ダイクロイックプリズムを接着するプリズムペア成形工程を示す図、(C)は(A)および(B)の接着工程で製造されたプリズムをさらに接着する接着工程を示す図である。図7は、接着工程で接着固定されたクロスダイクロイックプリズムを示す斜視図である。なお、図5および図6においては、説明を分かり易くするため、図4と同様に波長選択側反射膜343および接着層344の厚み寸法は実際よりも誇張して大きく表示している。
次に上述したようなクロスダイクロイックプリズム34の製造方法について、図5ないし図7に基づいて説明する。図5は、クロスダイクロイックプリズムを製造する製造治具およびこの製造治具に載置されたダイクロイックプリズムの概略を模式的に示す斜視図である。図6は、クロスダイクロイックプリズムの製造工程を示す図であり、(A)は赤色光側ダイクロイックプリズムおよび投射レンズ側ダイクロイックプリズムを接着するプリズムペア成形工程を示す図、(B)は青色光側ダイクロイックプリズムおよび緑色光側ダイクロイックプリズムを接着するプリズムペア成形工程を示す図、(C)は(A)および(B)の接着工程で製造されたプリズムをさらに接着する接着工程を示す図である。図7は、接着工程で接着固定されたクロスダイクロイックプリズムを示す斜視図である。なお、図5および図6においては、説明を分かり易くするため、図4と同様に波長選択側反射膜343および接着層344の厚み寸法は実際よりも誇張して大きく表示している。
クロスダイクロイックプリズム34を製造するためには、先ず、4つのダイクロイックプリズム341を製作する。これには、例えばガラスにて形成される断面直角二等辺三角形の三角柱のダイクロイックプリズム341を、図3に示すような頂角の角度が87度以上90度未満で、かつ入出射面342Aおよび反射膜形成面342Bの挟角の角度が45度となるように研磨する。
次に、このようにして製作されたダイクロイックプリズム341の反射膜形成面342Bの表面に、誘電多層膜を蒸着して、波長選択性反射膜343を形成する(波長選択性反射膜成形工程)。具体的には、赤色光側ダイクロイックプリズム341Aおよび青色光側ダイクロイックプリズム341Bの反射膜形成面342Bには、青色光を反射する青色光反射膜343Aを蒸着により形成し、緑色光側ダイクロイックプリズム341Cおよび投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dの反射膜形成面342Bには、赤色光を反射する赤色光反射膜343Aを蒸着により形成する。
この後、図5に示すような製造治具100に各ダイクロイックプリズム341を載置する。この製造治具100は、2つのダイクロイックプリズム341を接着するための治具であり、例えばガラスなどにて形成されている。そして、製造治具100は、平面状の第1基準平面101と、この第1基準平面101の面に対して直角と頂角の角度差に等しい傾斜角で傾斜した平面状の第2基準平面102と、を備えた基準面100Aを備えている。これらの第1基準平面101および第2基準平面102は、表面全体が研磨されてオプティカルフラットに形成されている。また、これらの第1基準平面101および第2基準平面102の間には、第1基準平面101の面から波長選択性反射膜343の厚み寸法分だけ垂直に立ち上がる接合部としての段差部103が形成されている。なお、第2基準平面102の第1基準平面101に対する傾斜角度は、ダイクロイックプリズム341の頂角の角度に応じて形成されている。すなわち、第2基準平面102の傾斜角度は、90度からダイクロイックプリズム341の頂角の角度θを差し引いた角度、すなわち0度よりも大きく3度以下に形成されている。
そして、このような製造治具100の第1基準平面101に、図6(A)および図6(B)に示すように、ダイクロイックプリズム341(本実施形態では、投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dおよび緑色側ダイクロイックプリズム341C)の反射膜形成面342Bを対向させて載置する。さらに、第2基準平面102に、ダイクロイックプリズム341(本実施形態では、赤色光側ダイクロイックプリズム341Aおよび青色光側ダイクロイックプリズム341B)の接着面を対向させて配置する。この後、第2基準平面102に載置されたダイクロイックプリズム341を第2基準平面102のオプティカルフラット面上で第1基準平面101側に移動させて、ダイクロイックプリズム341の頂角同士が接触する状態とする。そして、第1基準平面101に載置されたダイクロイックプリズム341の接着面342Cおよび第2基準平面102に載置されたダイクロイックプリズム341の波長選択性反射膜343との間に接着剤を注入する。この状態でさらに第2基準平面102に載置されたダイクロイックプリズム341を第1基準平面101側に位置出しして接着剤をダイクロイックプリズム341間に充填させ、接着層344を形成する。これにより、2つのダイクロイックプリズム341が接着されたプリズムペア345が作成される(プリズムペア成形工程)。
この後、上記において作成された2つのプリズムペア345を組み合わせて、図6(C)に示すように、赤色光側ダイクロイックプリズム341Aの接着面342Cおよび緑色光側ダイクロイックプリズム341Cの反射膜形成面342Bの隙間、青色光側ダイクロイックプリズム341Bの接着面342Cおよび投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dの反射膜形成面342Bの隙間に接着剤を注入し接着層344を形成する。これには、例えば、2つのプリズムペア345の両端位置346(図7参照)において、接着層344が形成される位置に図示しない保持部材を挿入し、プリズムペア345の位置を決定し、接着剤を注入して接着層344を形成する。これにより図7に示すような柱状のクロスダイクロイックプリズム347が形成される。この後、この柱状のクロスダイクロイックプリズム347を光学装置3に装着可能な大きさに切断(図7中破線で示す)する。
以上により本実施形態のクロスダイクロイックプリズム34が製造される。
以上により本実施形態のクロスダイクロイックプリズム34が製造される。
[実施形態の作用効果]
上述したような本実施形態のプロジェクタ1のクロスダイクロイックプリズム34では、ダイクロイックプリズム341の頂角が90度未満に形成され、接着層344が外側から中心部に向かって厚み寸法が薄く形成されている。このため、クロスダイクロイックプリズム34の中心部においてダイクロイックプリズム341の頂角が互いに近接若しくは接触して、この中心部の波長選択性反射膜が設けられない部分が小さくなる。したがって、このようなクロスダイクロイックプリズム34に光を入射した場合に、中心部においてもダイクロイックプリズム341の頂角が前述のように配置されていると、このダイクロイックプリズム341の反射膜形成面342Bに形成された波長選択性反射膜343にて所定の波長の光を反射させることができる。よって、このようなクロスダイクロイックプリズム34にて光合成されたカラー画像は、色ずれすることや画質が低下することがなく、良好な画質のカラー画像を投射できる。
上述したような本実施形態のプロジェクタ1のクロスダイクロイックプリズム34では、ダイクロイックプリズム341の頂角が90度未満に形成され、接着層344が外側から中心部に向かって厚み寸法が薄く形成されている。このため、クロスダイクロイックプリズム34の中心部においてダイクロイックプリズム341の頂角が互いに近接若しくは接触して、この中心部の波長選択性反射膜が設けられない部分が小さくなる。したがって、このようなクロスダイクロイックプリズム34に光を入射した場合に、中心部においてもダイクロイックプリズム341の頂角が前述のように配置されていると、このダイクロイックプリズム341の反射膜形成面342Bに形成された波長選択性反射膜343にて所定の波長の光を反射させることができる。よって、このようなクロスダイクロイックプリズム34にて光合成されたカラー画像は、色ずれすることや画質が低下することがなく、良好な画質のカラー画像を投射できる。
また、4個のダイクロイックプリズム341の頂角のそれぞれが90度未満に形成され、接着層が十字状に連続して形成されるとともに、外側から中心部に向かって厚み寸法が薄く形成されている。このため、4個のダイクロイックプリズム341のそれぞれの頂点を中心部にて接触または近接させることが可能となる。このため、4個のダイクロイックプリズム341のそれぞれに入射した光が中心部を通過する際に、波長選択性反射膜343に対応する所定の波長の光を確実に反射させることができる。従って、クロスダイクロイックプリズム34により投射されるカラー画像の画質を良好にできる。
さらに、ダイクロイックプリズム341の頂角の角度θが87度≦θ<90度に形成されている。このため、ダイクロイックプリズム341の頂角同士を接触または近接させることができるとともに、接着層344の全体的な厚み寸法も、接着層344とダイクロイックプリズム341の屈折率の差を十分無視できる大きさにすることができる。従って、クロスダイクロイックプリズム34の製造性が良好になるとともに、投射されるカラー画像の画質低下をも抑制できる。
そして、ダイクロイックプリズム341の入出射面342Aおよび反射膜形成面342Bの挟角の角度γが45度に形成されている。このため、従来の断面二等辺三角形のダイクロイックプリズムの接着面を切断または研磨などするだけで、容易に頂角が90度未満となるダイクロイックプリズム341を作成することができる。
また、4個のダイクロイックプリズム341が全て同一形状に形成されている。このため、これらのダイクロイックプリズム341からクロスダイクロイックプリズム34を作成する際に製造が簡単になり、製造性を向上できる。また、4つの接着層344の大きさも同一形状に形成されるので、接着層344による屈折率の違いも同じとなり、色合成および色分離が良好に実施できる。
さらに、波長選択性反射膜343のうち、赤色光側ダイクロイックプリズム341Aおよび青色光側ダイクロイックプリズム341Bに形成される青色光反射膜343Aは、同一平面内に位置し、同様に、緑色光側ダイクロイックプリズム341Cおよび投射レンズ側ダイクロイックプリズム341Dに形成される赤色光反射膜343Bも、同一平面内に位置している。このため、波長選択性反射膜343のずれや段差により光の反射される位置のずれが発生せず、波長選択性反射膜343は、良好に所定波長の光を反射させることができる。したがって、色ずれや画質低下を防止でき、良好な画質のカラー画像を投射することができる。
そして、クロスダイクロイックプリズム34の製造において、波長選択性反射膜成形工程で、ダイクロイックプリズム341の反射膜形成面342Bにそれぞれ波長選択性反射膜343を形成し、プリズムペア成形工程で、2個のダイクロイックプリズム341を互いに波長選択性反射膜343が形成される反射膜形成面342Bと接着面342Cとを対向させた状態で、
一方のダイクロイックプリズム341を製造治具100の第1基準平面101に反射膜形成面342Bを対向させて載置し、他方のダイクロイックプリズム341を製造治具100の第2基準平面102に接着面342Cを対向させて載置し、接着層344を外側から中心部に向かって厚み寸法が薄くするように形成している。このため、上述したように、光を入射した場合に、中心部においても所定の波長の光を波長選択性反射膜343にて反射させることができるクロスダイクロイックプリズム34を容易にかつ正確に製造することができる。
一方のダイクロイックプリズム341を製造治具100の第1基準平面101に反射膜形成面342Bを対向させて載置し、他方のダイクロイックプリズム341を製造治具100の第2基準平面102に接着面342Cを対向させて載置し、接着層344を外側から中心部に向かって厚み寸法が薄くするように形成している。このため、上述したように、光を入射した場合に、中心部においても所定の波長の光を波長選択性反射膜343にて反射させることができるクロスダイクロイックプリズム34を容易にかつ正確に製造することができる。
そして、製造治具100は、一方のダイクロイックプリズム341の波長選択性反射膜343と対向する第1基準平面101と、他方のダイクロイックプリズム341の接着面342Cと対向する第2基準平面102と、が設けられている。そして、この第1基準平面101と第2基準平面102との間には載置した2個のダイクロイックプリズム341の頂角同士が近接配置される段差部103が設けられ、第2基準平面102が第1基準平面101に対して所定の角度で傾斜して形成されている。このため、これらの第1基準平面101および第2基準平面102にそれぞれダイクロイックプリズム341を載置して段差部103にて頂角同士を近接または接触させた際に、第1基準平面101に載置されたダイクロイックプリズム341の接着面342Cと第2基準平面102に載置されたダイクロイックプリズム341の波長選択性反射膜343との間に外側から中心部に近づくにつれて厚み寸法が小さくなる隙間が生じる。したがって、この隙間に接着剤を注入することにより、容易にプリズムペア345を作成することができる。また、第2基準平面101の傾斜角度を頂角の角度θに応じて、(90−θ)度に設定することで、2つのダイクロイックプリズム341の反射膜形成面342Bが直交する状態で配置できる。したがって、容易に断面略正方形のクロスダイクロイックプリズム34に対応するプリズムペア345を作成することができる。
[実施形態の変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記実施の形態では、4個のダイクロイックプリズム341を組み合わせてクロスダイクロイックプリズム34を形成する例を示したが、これに限定されない。例えば、3個のダイクロイックプリズム341を組み合わせたクロスダイクロイックプリズムや、4個以上のダイクロイックプリズム341を組み合わせたクロスダイクロイックプリズムを形成してもよい。
また、上記実施の形態では、ダイクロイックプリズム341は、頂角の角度θが87度≦θ<90度に形成されている例を示したが、87度未満に形成されていてもよい。ただし、前述したように接着剤の屈折率がダイクロイックプリズム341と異なる場合、屈折率の差により光路が変わってしまうため、画質が悪化などの虞がある。このような場合、ダイクロイックプリズム341の屈折率を同等の屈折率を有する接着剤を用いることで光路のずれなどをなくすことができる。
さらに、上記実施の形態において、ダイクロイックプリズム341の入出射面342Aおよび反射膜形成面342Bの挟角の角度γが45度に形成されているが、これに限らない。例えば、ダイクロイックプリズム341の頂角の角度θが87度に形成され、入出射面342Aおよび反射膜形成面342Bの挟角の角度γが43度に形成され、入出射面342Aおよび接着面342Cの角度βが50度に形成されていてもよい。ただし、クロスダイクロイックプリズム34を製造する際に、入出射面342Aと液晶パネル31から入射する光の光軸とが直交しないため、屈折率の差により光軸が屈折してしまう虞がある。このような場合、入出射面342Aの表面にダイクロイックプリズム341と同等の屈折率を有する透明接着剤を形成するなどすればよい。
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明は、プロジェクタに内蔵される光学装置のクロスダイクロイックプリズムに利用することができる。
1…プロジェクタ、3…光学装置、5…投射レンズ、31…液晶パネル、34…クロスダイクロイックプリズム、100…製造治具、100A…基準面、101…第1基準平面、102…第2基準平面、103…接合部としての段差部、341…三角柱プリズムとしてのダイクロイックプリズム、342B…第1面としての反射膜成形面、342C…第2面としての接着面、343…波長選択性反射膜、344…接着層。
Claims (9)
- 頂角を挟んで第1面と第2面とが設けられるとともに前記頂角同士を中心に近接配置し底面部を外側に配置した複数個の三角柱プリズムと、これらの三角柱プリズムの前記第1面にそれぞれ形成された波長選択性反射膜と、隣り合う前記三角柱プリズムの互いに対向する前記波長選択性反射膜と第2面との間に介装され前記三角柱プリズム同士を互いに接着固定する接着層とを備えたクロスダイクロイックプリズムであって、
前記複数個の三角柱プリズムのうち少なくとも1個の三角柱プリズムの頂角が90度未満であり、この三角柱プリズムと隣り合う三角柱プリズムとの第1面と第2面との間に介装された前記接着層が外側から中心部に向かって厚み寸法が薄くなる
ことを特徴とするクロスダイクロイックプリズム。 - 請求項1に記載されたクロスダイクロイックプリズムにおいて、
前記三角柱プリズムは4個あり、これらの三角柱プリズムの全ての頂角がそれぞれ90度未満であり、前記接着層は、略十字状に連続して形成されるとともに、外側から前記中心部に向かって厚み寸法が薄く形成されている
ことを特徴とするクロスダイクロイックプリズム。 - 請求項1または請求項2に記載されたクロスダイクロイックプリズムにおいて、
前記頂角をθとした場合、87度≦θ<90度である
ことを特徴とするクロスダイクロイックプリズム。 - 請求項3に記載されたクロスダイクロイックプリズムにおいて、
前記三角柱プリズムの頂角以外の2つの角部のうちいずれか一方の角部の角度が45度である
ことを特徴とするクロスダイクロイックプリズム。 - 請求項2から請求項4のいずれかに記載されたクロスダイクロイックプリズムにおいて、
前記三角柱プリズムは、4個全てが同一形状である
ことを特徴とするクロスダイクロイックプリズム。 - 請求項2から請求項5のいずれかに記載されたクロスダイクロイックプリズムにおいて、
前記4個の三角柱プリズムのうち互いに対向する2個の三角柱プリズムの第1面に形成された波長選択性反射膜は略同一平面内に位置している
ことを特徴とするクロスダイクロイックプリズム。 - 請求項2から請求項6のいずれかに記載されたクロスダイクロイックプリズムと、
このクロスダイクロイックプリズムの外側に位置している4面のうち3面にそれぞれ近接配置される液晶パネルと、
前記クロスダイクロイックプリズムのうち残り1面に対向配置される投射レンズと、
を備えていることを特徴とする光学装置。 - 請求項7に記載された光学装置を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
- 請求項2から請求項6のいずれかに記載されたクロスダイクロイックプリズムを製造する製造治具であって、
前記頂角を挟んで第1面と第2面とが設けられ前記第1面に予め波長選択性反射膜が形成された三角柱プリズムの2個を互いに波長選択性反射膜と第2面とを対向させた状態で並べる基準面を備え、この基準面は、一方の三角柱プリズムの波長選択性反射膜と対向する第1基準平面と、他方の三角柱プリズムの第2面と対向する第2基準平面と、これらの第1基準平面と第2基準平面との間に形成され前記2個の三角柱プリズムの頂角同士が近接配置される接合部とを備え、
前記第2基準平面は前記第1基準平面に対して、直角と前記頂角の角度差に等しい傾斜角を有して形成されることを特徴とするクロスダイクロイックプリズムの製造治具。
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