JP2007057504A - 近接場光学センサ用ナノ流路およびその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 測定に必要な試料量をナノリットルスケールに抑え、測定対象分子を近接場によるプローブ可能領域であるサブマイクロメートルスケールの深さを有する空間に閉じ込めることができるナノ流路を提供すること。
【解決手段】 測定光の波長に対して透明な材料から成り、かつ測定光が入射される側の内壁に金属薄膜3が形成された近接場光学センサ用ナノ流路であって、金属薄膜3が形成された内壁から内壁に対向する内壁までの距離tは、内壁と金属薄膜3との界面において測定光が全反射するときに生じるエバネッセント波が金属薄膜3から滲みだす距離と略同じ、またはそれ以下であることを特徴とする近接場光学センサ用ナノ流路。
【選択図】 図4

Description

エバネッセント波をプローブ光とし表面プラズモン共鳴および光吸収を検出原理とする光学センサにおいて、測定に必要なサンプル量を小さく抑え、さらに、センシング部における反応の効率的な捕捉のために用いられるナノリットルからマイクロリットルスケールの容積を有する近接場光学センサ用ナノ流路およびその作製方法に関するものである。
センシング部表面に分子特異的な反応を生じる物質、例えば、イオノフォア、抗体、酵素、分子インプリントポリマーまたはメディエーターを金属薄膜上に固定化しておき、測定対象物との分子選択的な反応により生じる屈折率または吸光係数の変化を測定するセンサは、医薬・環境・食品分野で応用されている。この屈折率または吸光係数の変化は、測定対象物を固定化した金属薄膜に対して全反射するように測定光を当て、全反射してきた光の表面プラズモンまたは光吸収変化を測定することにより求めることができる。これは、測定光が全反射する際にエバネッセント波を生じ、このエバネッセント波が分子と相互作用するプローブ光として作用するためである。このようにエバネッセント波をプローブ光とするセンサでは、測定可能領域は、プローブ光の到達距離以内に制限されている。また、動物や人を検体とする場合、検体への負担も大きくなることから、測定における必要試料量は小さく抑えることが望ましい。そこで、流路の内容量が約8nLのセルが考案され(非特許文献1参照)、必要試料量を小さく抑えられることが示されている。
M. Furuki, J. Kameoka. H. G. Craighead, M. S. Isaacson, "Surface plasmon resonance sensors utilizing microfabricated channels", Sensors and Actuators B, vol. 79, 2001, P.63-69.
しかしながら、それでもまだ流路には測定できない領域が多く含まれているため、測定を行うのに余分な試料を必要とするという問題があった。測定光として波長300〜1000nmの紫外・可視・近赤外光を用いた場合、エバネッセント波の到達可能距離は、入射角度と全反射面の材料の屈折率に左右されるものの、少なくとも測定光の波長よりは短くなる。したがって、従来の金属薄膜が形成された内壁とそれに対向する内壁との間隔(深さ)が約15μmの流路の場合、流路内に導入された試料溶液に含まれる測定対象物(分子)の多くはセンシング可能領域外に存在し、センシングデータへの寄与は殆ど無い。
本発明の目的は、測定に必要な試料量をナノリットルスケールに抑え、同時にプローブ光が試料に含まれる被測定対象物を高い確率で捕捉することができるように、測定対象分子を近接場によるプローブ可能領域であるサブマイクロメートルスケールの深さを有する空間に閉じ込めることができる近接場光学センサ用ナノ流路およびその作製方法を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、近接場光学センサ用ナノ流路において、測定光の波長に対して透明な材料から成り、かつ測定光が入射される側の内壁に金属薄膜が形成された近接場光学センサ用ナノ流路であって、金属薄膜が形成された内壁から内壁に対向する内壁までの距離は、内壁と金属薄膜との界面において測定光が全反射するときに生じるエバネッセント波が金属薄膜から滲みだす距離と略同じまたはそれ以下であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、近接場光学センサ用ナノ流路は、材料から成る第1の基板と、測定光が入射される側であって、材料から成る第2の基板とを備え、第1の基板および第2の基板の内の少なくとも一方の表面に流路と成る領域が形成され、第1の基板と第2の基板とを張り合わせて流路が形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、流路と成る領域は、エッチングにより形成された溝であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、第1の基板と第2の基板とは、接着層を介して接着されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、流路と成る領域は、第1の基板と第2の基板とを接着する第1の接着層と第2の接着層とを離間して形成された、第1の接着層と第2の接着層との間の領域であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、近接場光学センサ用ナノ流路の深さは、200nm以上1μm以下であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、近接場光学センサ用ナノ流路の側壁間の間隔は、0.15mm以上5mm以下であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、金属薄膜は、金、銀、および銅の内のいずれかであることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、流路内部の金属薄膜の表面に抗体、DNA、酵素、イオノフォア、分子インプリントポリマーおよびメディエーターの内のいずれかが固定化されたことを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、近接場光学センサ用ナノ流路の作製方法において、測定光の波長に対して透明な材料から成る第1の基板と、測定光が入射される側であって、測定光の波長に対して透明な材料から成る第2の基板とを準備するステップと、第1の基板および第2の基板の内の少なくとも一方の表面に、流路と成る領域を形成するステップと、流路と成る領域内に収まるように、第2の基板表面に金属薄膜を形成するステップと、第1の基板と第2の基板とを張り合わせて、流路を形成するステップとを備え、流路内の金属薄膜が形成された内壁から内壁に対向する内壁までの距離は、内壁と金属薄膜との界面において測定光が全反射するときに生じるエバネッセント波が内壁から滲みだす距離と略同じまたはそれ以下であることを特徴とする。
本発明によれば、金属薄膜を有する深さがナノメートルスケールで容量がナノリットルスケールの流路を備えたので、測定に必要な試料量をナノリットルスケールに抑え、かつプローブ光が試料に含まれる被測定対象物を高い確率で捕捉するため、表面プラズモン共鳴測定および全反射吸収測定の高感度化が可能となる。また、ナノ流路の金属薄膜上に抗体を固定化して抗原−抗体反応を測定することも可能であり、抗体の他にイオノフォア、酵素、分子インプリントポリマー、およびメディエーターを分子選択性物質として金属薄膜上に固定化して多様な種類の対象物を極少量の試料から効率よく測定することも可能である。
図1(a)〜(d)に、本発明の一実施形態に係るナノ流路の構成を示す。近接場のプローブ光の到達距離に相当する深さを有するナノ流路に含まれる上部ガラス基板1および下部ガラス基板6には、光学測定の際に用いる波長帯域の光に対して透明性を有し、かつ屈折率が調製されたガラス材料またはポリマー材料を用いる。上部ガラス基板1の流路部5は、基板のエッチング、基板への材料の堆積、または基板材料からの金型成型等によって形成し、下部ガラス基板6の、上部ガラス基板1側の面であって、流路部5内の少なくとも一部に、表面プラズモンを含む近接場プローブ光を生成し、または増強するための金属薄膜3を形成する。そして、これら上部ガラス基板1と下部ガラス基板6とを接着層4によって接着する。金属薄膜3は、金(Au)、銀(Ag)、または銅(Cu)の金属薄膜とすることができる。
本明細書では、金属薄膜3が形成された、流路部5の内壁とそれと対向する内壁との間隔を深さとし、および金属薄膜3が形成された、流路部5の内壁と直交している内壁を側壁として、これらの側壁間の間隔を幅とする。
ナノ流路を形成した後、金属薄膜3表面を分子特異的な反応を生じる物質であるイオノフォア、抗体、酵素、分子インプリントポリマーさらにはメディエーターで修飾することで、溶液試料中のイオン、抗原、基質、または有機物を測定する各種バイオ・ケミカルセンシング用ナノ流路を作製する。
図2に、本発明の一実施形態に係るナノ流路を用いた測定を行うための光学系の構成を示す。ナノ流路8を光学測定系のプリズム9に貼り付け、光源7から出射された測定光がプリズム9を介して下部ガラス基板6と金属薄膜3との界面で全反射するようにナノ流路8、プリズム9、光源7を配置する。そして下部ガラス基板6と金属薄膜3との界面で全反射した測定光を、プリズム9を介して検出器10で検出する。
金属薄膜3が少なくとも試料が通過する流路部5内の下部ガラス基板6表面に形成されているので、金属薄膜3と下部ガラス基板6との界面への入射光の全反射条件が成立するとき、金属薄膜3を経て流路部5内へエバネッセント波が進入する。表面プラズモン共鳴による入射角または波長スペクトル、あるいは光吸収に関する波長スペクトルは、流路部5内に滲み出したエバネッセント波の試料中に含まれる測定対象物(分子)による吸収のされ方により変化する。抗原−抗体反応等の分子特異的な反応の測定を行うためには、金属薄膜3上に分子選択性物質を固定化し、測定対象分子との相互作用の結果生じる表面プラズモン共鳴および光吸収を発生させる必要がある。この表面プラズモン共鳴および光吸収の起こる確率が高まる場合にも、測定感度は向上する。
プローブ光であるエバネッセント波の強度は、全反射界面からの距離に対し指数関数的に減少する。よって、流路部5の深さtをエバネッセント波の到達距離と同等またはそれ以下にしておけば、流路部5内に導入された測定対象分子が、全てプローブ可能領域内に存在するようになる。また、分子選択性物質が金属薄膜3上に固定化されたナノ流路8の場合、測定対象物(分子)を流路部5内に導入し、それら測定対象物が拡散して分子選択性物質と測定対象物との間の化学平衡状態が達成されるまで待つ必要がある。この化学平衡状態に達するまでの反応時間と、流路部5内に導入される試料中の測定対象物(分子)である抗原、相補DNA、酵素基質、イオン、およびポリマー内にインプリントされた分子およびその類似構造を有する分子の平均的な拡散距離との間には相関がある。本発明の一実施形態に係るナノ流路8の流路部5の深さtがエバネッセント波の到達距離以下であり、従来の流路の深さに比べて小さいため、流路部5内に導入される試料中の測定対象物(分子)の平均的な拡散距離が短い。その結果、化学平衡状態を達する時間は短縮され、反応の時定数が大きくなり、少量の試料からも測定に必要な量の反応が一定の測定時間内で起きるため、光学センサとしての低濃度側の検出下限界の引き下げが可能になる。
流路部5の深さtはサブマイクロメートルスケールであるが、流路部5の幅のスケールを数百μmから数mm単位と大きくすることで、試料溶液は毛細管現象によって容易に流路部5内に流入できる。また、一方の開口部から流路部5に流入した試料溶液が反対側の開口部に到達しても、その試料溶液は流路部5が狭いため流路部5内に留まる。このように、外部ポンプを使わなくても流路部5内に試料溶液を満たすことができ、かつ、流路部5内に満ちた試料溶液が流路部5内に留まることから、測定対象物(分子)と固定化された分子選択性物質との相互作用のための反応時間を確保した測定を実施することができる。
さらに、流路部5内の容量が1nL〜1μLであることから、必要試料量を従来よりも少量に抑えることができる。
[光学モデルによるプローブ可能領域の見積もりの例]
本実施形態において想定するモデルは、表面プラズモン共鳴を測定するクレッチェマン型光学系とする。プリズム9およびナノ流路8の上部ガラス基板1および下部ガラス基板6の材料をポロシリケートガラスであるBK7、光源7から出射される測定光の波長を770nm、プリズム9への測定光の入射角度を60度とする。そこで、第1層をBK7、第2層を金薄膜(50nm厚さ)、第3層を水、第4層をBK7とする4層モデルのナノ流路を構築し、表面プラズモン共鳴における入射角スペクトルのシミュレーションを行った。図3に、シミュレーションにより得られた表面プラズモン共鳴角度における光の反射率を折れ線グラフで示す。
表面プラズモン共鳴スペクトル中の極小値における光の反射率は、流路部5の深さが薄いほど高く、流路部5の深さが800nmを超えた辺りで約20%に達する。この800nm付近からは、水層の厚さを厚くしていっても光の反射率の変化は極僅かである。この光の反射率は、エバネッセント波と相互作用する水の量、つまり、エバネッセント波と相互作用する水層の厚さを反映する。水層の厚さを厚くしても光の反射率が変化しないということは、エバネッセント波と相互作用する水層の厚さも変化していないということである。そのため、エバネッセント波と相互作用する水層の厚さ、つまり、エバネッセント波により光吸収測定が実効的に機能する水層の厚さの上限はおよそ1μm程度と見積もることができる。
また図3に、シミュレーションにより得られた屈折率感度を棒グラフで示す。単位相対屈折率(RIU)当たりの表面プラズモン共鳴角度の変化で表される屈折率感度は、水層の厚さが薄いほど大きく、水層の厚さが増すに従い小さくなる。しかし、水層の厚さがエバネッセント波の到達距離の限界付近でもある800、900nmに達すると、屈折率感度は殆ど変化しなくなる。このことからもエバネッセント波と相互作用する水層のプローブ可能領域は、金属薄膜表面から1μm程度までの距離と見積もれる。
[ナノ流路の作製]
図4(a)〜(f)、(b′)〜(e′)に、本発明の一実施形態に係るナノ流路の作製フロー例を示す。上部ガラス基板1および下部ガラス基板6には、屈折率が調整されたポロンシリケートガラス(BK7)を用いる。
上部パーツの作製フローを示す。上部ガラス基板1の表面に、窒化シリコン膜からなる接着層4を200nmの厚さで形成する(図4(a))。次に、厚さ20μmのレジストポリマー11を塗布し(図4(b))、フォトリソグラフィーによりレジストポリマー11に溝2のパターンを形成する(図4(c))。この溝2の側壁間の間隔は、0.15〜5mmの範囲で任意に定めることができる。この後、上部ガラス基板1に流路となる領域を形成するため、六フッ化炭素ガスを用いたドライエッチングにより、接着層4および上部ガラス基板1を削りだし、接着層4の上面から底面までの深さが200nm〜1μmとなる溝2を形成する(図4(d))。すなわち、接着層4の上面から溝2の底面までの距離が、エバネッセント波の到達距離と同等またはそれ以下となるように溝2を形成する。次に、ピラニア溶液によりレジストポリマー11を溶解し、除去する(図4(e))。
下部パーツの作製フローを示す。下部ガラス基板6の表面に、レジストポリマー11を塗布し(図4(b′))、フォトリソグラフィーによりレジストポリマー11に、上部ガラス基板1の溝2の内側に金属薄膜3が収まるように設計したパターンを形成する(図4(c′))。次に、スパッタ法または蒸着法により金属薄膜3を下部ガラス基板6およびレジストポリマー11上に形成し(図4(e′))、その後ピラニア溶液でレジストポリマー11を剥離する(図4(e))。
そして、これら上部パーツと下部パーツとを、上部パーツの溝2内に下部パーツの金属薄膜3が入り、流路部5内を通過する溶液試料が金属薄膜3の表面と接するように位置を調整して陽極接合法で張り合わせることによりナノ流路を作製することができる(図4(f))。
なお、本実施形態では、上部ガラス基板1と下部ガラス基板6との張り合わせのために、接着層4を用いたので、接着層4の上面から、溝2の底面までの距離をエバネッセント波の到達距離と同等またはそれ以下としている。しかし、本発明で重要なことは、流路の高さtをエバネッセント波の到達距離と同等またはそれ以下とすることである。よって、例えば、下部ガラス基板6に上部ガラス基板1を設置して、上部ガラス基板1と下部ガラス基板6との接触面を、流路の外側から接着剤により接着するなど、接着層4を用いない場合は、上部ガラス基板1の上面から溝2の底面までの距離をエバネッセント波の到達距離と同等またはそれ以下となるように溝2を形成すればよい。
ここで別のナノ流路の作製フロー例を示す。上部ガラス基板1の表面にレジストポリマー11によるパターニングを行い、その後レジストポリマー11未被覆部分の選択的なエッチングを実施して溝2を形成する。次にピラニア溶液によりレジストポリマー11を溶解し、除去する。この上部ガラス基板1上に下部パーツとなる下部ガラス基板6との接着面に接着層4を形成することにより、上部パーツを作製する。また、下部ガラス基板6の表面に金属薄膜3をパターン化して形成することにより、下部パーツを作製する。そして、これら上部パーツと下部パーツとを位置の調整を行って陽極接合法で張り合わせることによりナノ流路を作製することができる。
さらに別のナノ流路の作製フロー例を示す。上部ガラス基板1の表面にレジストポリマー11によるパターニングを実施した後、厚さ100〜1000nmの接着層4を堆積させ、レジストポリマー11を剥離させて接着層4のパターニングを行うことにより流路となる領域を形成し、上部パーツを作製する。下部ガラス基板6の表面に金属薄膜3を上部パーツの流路となる領域内に収まるようにパターン化して形成することにより下部パーツを作製する。そして、これら上部パーツと下部パーツとを位置の調整を行って陽極接合法で張り合わせることによりナノ流路を作製することができる。
いずれの作製方法においても、接着層4には、シリコンおよび窒化シリコンを用いることができる。また、基板材料としては、測定光に対する透明性を有するポリマーを用い、金型成型により溝2を形成して上部パーツを作製し、下部パーツとなるポリマーとの接着面に有機溶媒を塗布して両パーツ同士を押し付けることで流路部5を形成することができる。
図5に、本発明の一実施形態に係るナノ流路のパターン例を示す。上部ガラス基板1に形成された溝2は、両開口部付近の第1の幅の領域と、中間点付近の第1の幅より狭い第2の幅の領域と、第1の領域から第2の領域へと徐々に幅の狭くなる第3の領域とからなる。つまり溝2は、第1の領域、第3の領域、第2の領域、第3の領域、第1の領域の順で構成されている。また、この溝2の内側に収まり、かつこの溝2と相似形の金属薄膜3が、下部ガラス基板6上に形成されている。そして、上部ガラス基板1と下部ガラス基板とは、金属薄膜3が溝2内に収まるように位置を調整されて接着されている。このように、本実施形態に係るナノ流路は、流路部5の各領域の幅である側壁間の間隔を0.15〜5mmの範囲で任意に定め、流路部5内の容積を1nL〜1μLとすることができる。
[ナノ流路への溶液の進入]
作製したナノ流路の一方の開口部に液体を滴下すると、液体は毛細管現象により流路部5内に浸み込む。ナノ流路内に空気が存在すると、上部ガラス基板1と下部ガラス基板6とで反射された光が干渉することにより生じる干渉縞が、流路部5に液体が満たされることで消失する様子を目視確認することができる。一度流路部5内に浸み込んだ液体は、加熱あるいは強く振ることによって流路部5の外へ追い出すことができる。
[ナノ流路を用いた表面プラズモン共鳴スペクトル]
図6に、本発明の一実施形態に係るナノ流路を用いたときの水の表面プラズモン共鳴スペクトルを示す。これは、流路部5の深さが340nmであり、接着層4として窒化シリコンを用いたナノ流路における測定結果である。逆ピークの高さは光強度のスケールで約2000A.U.あり、これは平らなガラス基板表面に形成されたAu薄膜を用いて同じ表面プラズモン共鳴測定系で得られたデータと同程度の逆ピークの高さである。
[ナノ流路を用いた抗原−抗体反応の表面プラズモン共鳴測定]
流路部5内に抗体を含む溶液を満たし、数時間静置した後、流路部5内の液体を抜き取る。次にポリエチレングリコールの水溶液を流路部5に加え、さらに数時間静置した後、流路部5内の液体を抜き取り、流路部5の金属薄膜3上に抗体を固定化した。
図7に、本発明の一実施形態に係るナノ流路において抗体を固定した流路部5に、緩衝液のみを導入したときの表面プラズモン共鳴スペクトルと(図7のa)、抗原を含む緩衝液を導入したときの表面プラズモン共鳴スペクトル(図7のb)とを示す。抗原−抗体反応の結果、緩衝液のみを導入したときの表面プラズモン共鳴角度が69.14度であるのに対し、抗原を含む緩衝液を導入したときの表面プラズモン共鳴角度は69.18度と0.04度上昇した。このように、本実施形態に係るナノ流路内には、抗原−抗体反応における特異性を保った状態で分子特異性物質である抗体を固定化することが可能である。
(a)は、本発明の一実施形態に係るナノ流路の上面図であり、(b)は、(a)のa−a′線切断断面図であり、(c)は、(a)のb−b′線切断断面図であり、(d)は、(a)のc−c′線切断断面図であり、構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係るナノ流路を用いた測定を行うための光学系の構成を示す図である。 シミュレーションにより得られた表面プラズモン共鳴角度における光の反射率を折れ線グラフで示し、屈折率感度を棒グラフで示す図である。 (a)〜(f)、(b′)〜(e′)は、本発明の一実施形態に係るナノ流路の作製フローを示す図である。 本発明の一実施形態に係るナノ流路パターン例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るナノ流路を用いたときの水の表面プラズモン共鳴スペクトルを示す図である。 本発明の一実施形態に係るナノ流路(深さ340nm)を用いたときの抗原−抗体反応の表面プラズモン共鳴の測定値を示す図である。
符号の説明
1 上部ガラス基板
2 溝
3 金属薄膜
4 接着層
5 流路部
6 下部ガラス基板
7 光源
8 ナノ流路
9 プリズム
10 検出器
11 レジストポリマー

Claims (10)

  1. 測定光の波長に対して透明な材料から成り、かつ前記測定光が入射される側の内壁に金属薄膜が形成された近接場光学センサ用ナノ流路であって、
    前記金属薄膜が形成された内壁から該内壁に対向する内壁までの距離は、前記内壁と前記金属薄膜との界面において前記測定光が全反射するときに生じるエバネッセント波が前記金属薄膜から滲みだす距離と略同じ、またはそれ以下であることを特徴とする近接場光学センサ用ナノ流路。
  2. 請求項1に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、前記近接場光学センサ用ナノ流路は、前記材料から成る第1の基板と、前記測定光が入射される側であって、前記材料から成る第2の基板とを備え、
    前記第1の基板および前記第2の基板の内の少なくとも一方の表面に流路と成る領域が形成され、前記第1の基板と前記第2の基板とを張り合わせて前記流路が形成されていることを特徴とする近接場光学センサ用ナノ流路。
  3. 請求項2に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、前記流路と成る領域は、エッチングにより形成された溝であることを特徴とする近接場光学センサ用ナノ流路。
  4. 請求項3に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、前記第1の基板と前記第2の基板とは、接着層を介して接着されていることを特徴とする近接場光学センサ用ナノ流路。
  5. 請求項2に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、前記流路と成る領域は、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する第1の接着層と第2の接着層とを離間して形成された、第1の接着層と第2の接着層との間の領域であることを特徴とする近接場光学センサ用ナノ流路。
  6. 請求項1乃至5に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、前記近接場光学センサ用ナノ流路の深さは、200nm以上1μm以下であることを特徴とする近接場光学センサ用ナノ流路。
  7. 請求項1乃至6に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、前記近接場光学センサ用ナノ流路の側壁間の間隔は、0.15mm以上5mm以下であることを特徴とする近接場光学センサ用ナノ流路。
  8. 請求項1乃至7に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、前記金属薄膜は、金、銀、および銅の内のいずれかであることを特徴とする近接場光学センサ用ナノ流路。
  9. 請求項1乃至8に記載の近接場光学センサ用ナノ流路であって、前記金属薄膜の表面に抗体、DNA、酵素、イオノフォア、分子インプリントポリマーおよびメディエーターの内のいずれかが固定化されたことを特徴とする近接場光学センサ用ナノ流路。
  10. 測定光の波長に対して透明な材料から成る第1の基板と、前記測定光が入射される側であって、測定光の波長に対して透明な材料から成る第2の基板とを準備するステップと、
    前記第1の基板および前記第2の基板の内の少なくとも一方の表面に、流路と成る領域を形成するステップと、
    前記流路と成る領域内に収まるように、前記第2の基板表面に金属薄膜を形成するステップと、
    前記第1の基板と前記第2の基板とを張り合わせて、前記流路を形成するステップとを備え、
    前記流路内の前記金属薄膜が形成された内壁から該内壁に対向する内壁までの距離は、前記内壁と前記金属薄膜との界面において前記測定光が全反射するときに生じるエバネッセント波が前記内壁から滲みだす距離と略同じまたはそれ以下であることを特徴とする近接場光学センサ用ナノ流路の作製方法。
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