JP2005024483A - バイオセンサー - Google Patents

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弦 岩崎
Osamu Niwa
修 丹羽
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Abstract

【課題】 微小流路中でも酵素による増幅効果が得られる、酵素反応による増幅効果を用いる蛍光・吸光・発光法・基質そのもの屈折率測定法に代わる酵素反応生成物の検出方法を提供すること。
【解決手段】 生体分子の特異的結合に関与する分子を検出するバイオセンサーであって、(i)a)特異的結合反応と、b)酵素反応とを行う反応部と、(ii)反応a)およびb)によって生じた酸化還元性反応生成物と酸化還元物質膜が反応する検出部と、(iii)酸化還元反応生成物との反応による酸化還元物質膜の状態の変化を測定し、誘電率の変化を求める測定部とを含むことを特徴とするバイオセンサー。
【選択図】 図1

Description

本発明は、医療診断や環境分析を行う装置において、抗原抗体反応を用いる抗原、ホルモンを検出するセンサー、DNAの配列を識別するセンサー、および酵素と基質の結合を利用するバイオセンサーに関する。
抗体の抗原分子認識機能を使った免疫測定法は、複雑な生体分子を分離操作することなく検出できるため、臨床検査、環境汚染物質の測定、生化学分野での測定で広く使われている。比較的感度の低い測定では、簡便な測定法が開発され、例えば、個人で行うことのできる妊娠検査などに使われている。また特に低濃度の抗原が測定できることから、高感度測定が必要なインシュリン、BNPなどの疾病関連物質、環境ホルモンの測定に利用される。測定対象の分子に対する抗体は安価に人工的に産生することができるので、多くの天然分子や、環境ホルモンなど生体に影響のある非天然分子を測定できる対象分子の広い測定法である。抗体と抗原の結合が極めて特異的で結合定数も大きいことから、測定対象が低濃度である場合にも抗体は抗原に高い割合で結合し、またより高い濃度で存在する夾雑分子の影響を受けにくい。このような特徴から、免疫測定法は液体クロマトグラフィーなどの分離操作を必要としない、特定の分子を測定する方法である。このような特異的結合は、抗原抗体反応のほかに、相補する配列を持つDNA、酵素と基質、レセプター分子とリガンド分子があり、結合する組み合わせも、1対1だけではなく、3種以上の分子が結合する場合もある。
抗原抗体反応を使って抗原または、抗体分子を高感度に検出する方法では、酵素免疫測定法(EIA)や、Enzyme Linked Immunosorbent assay (ELISA法)が一般的である(例えば非特許文献1および2参照)。DNAでも、レセプターでも、抗原や抗体の代わりに使うことができる。EIAやELISAでは標識酵素が必要である。これらの方法は、特異的反応によって、固定化された分子と酵素が複合体をつくり、固定化された酵素の活性により、大量の基質を加えると、標識酵素の分子数よりも多い酵素反応生成物が得られる。したがって容易に低分子の数少ない被検出分子を測定できる。
生成した物質の検出には、蛍光法が感度の高い方法として用いられている。例えば、標識酵素がβ−D−ガラクトシダーゼの場合には、非蛍光性の4-methylumbelliferyl-β-D-galactosideを基質として加えると、固定化された酵素の反応によって蛍光性の分子に変換され、時間と共に蛍光強度が強くなる。
したがって、酵素の反応時間を十分にとると、極めて高い感度を実現できる。
一方、生体分子の検出では、高い感度が必要とされると共に、微量サンプルでの測定が重要である。近年サンプル体積の微量化、測定の自動化、測定装置の小型化を図るために、ガラスやプラスティック基板に半導体加工技術を使って微小な流路を形成し、この中で化学反応を行わせる技術が開発されている。
この方法を使うと、1μl以下の体積のサンプルで測定ができる。例えば、非特許文献3では、ポリスチレンビーズに抗原を固定化し、微小流路に閉じ込め、金微粒子を標識に使い、特殊な装置で抗体と共にビーズに固定化された金微粒子を測定している。微小流路を使うと、酵素増幅免疫測定で必要になる複雑な溶液交換や洗浄を自動化できる利点がある。非特許文献4では、複数の流路からの送液を制御することで、ELISAを微小流路で実現し、最終的には微小流路内の蛍光強度で検出している。
ところで、特異的反応を標識分子を使って検出する方法は、高感度化を図れるが、複雑な操作を必要とする。そこで、特異的反応を直接検出する方法が開発されている。特に、表面プラズモン共鳴(SPR)を使った屈折率の変化から特異的結合を検出する方法が実用化され(非特許文献5)、広く使われている(非特許文献2)。SPR法では、金や銀などの基板表面から数百nmの範囲の屈折率変化を検出でき、微小流路中でもバルク測定と同じ感度で測定できる利点がある。SPRを使う免疫センサーにおいては、抗原または抗体を金属薄膜に固定し、これと被測定分子が特異結合すると、金属薄膜表面の屈折率が大きくなるのを利用して検出する。このため、被測定分子の分子量が大きい場合には屈折率変化が大きく高感度に測定できるが、分子量が小さい場合には感度が低く測定が困難であった。しかし、金属薄膜表面に屈折率変化を増幅する膜を設けることにより過酸化水素のように低分子量分子でも特異的に検出することができるようになった(特許文献1)。
特開2001−194298号公報 「超高感度酵素免疫測定法」、石川 栄治著、学会出版センタ、 1993年12月19日発行、p.131〜132 独立行政法人工業所有権総合情報館、インターネットURL :www.ryutu.ncipi.go.jp/chart/kagaku2/1/1-1.htm Sato, K:Tokeshi, M:Odake, T:Kimura, H:Ooi, T:Nakao, M:Kitamori, T, Anal.Chem. 2000, 72, 1144-1147. J. Cooper McDonald, Steven J. Metallo, and George M. Whitesides, Anal, Chem. 2001, 73, 5645-5650 ビアコア株式会社、インターネットURL :www.biacore.co.jp/2_0.html 酵素ハンドブック 1982年 朝倉書店 Enzyme Handbook 10, Class 1.1.1.150-1.1.99.26 Oxidoreductases (Eds.: D. Schomburg, D. Stephan, Springer-Verlag 1995) Yuzuru Iwasaki, Tsutomu Horiuchi, and Osamu Niwa, Anal Chem. 2001, 73, 1595-1593
EIAを微小流路を用いて行えば、簡便な測定と高感度検出を両立することができる。ところが、酵素反応を行わせるときには流れを静止させるか、線流速が遅くなる体積の大きなインキュベーション部分を作る必要があり、微量高感度測定を行うのに不利であった。また、微小流路では従来の大きさの反応体積に比べて流路内の体積が小さいために、たとえすべての酵素の基質が反応したとしても、生成物の量は、酵素が固定化された部分に反応時間内に拡散可能な距離にあった基質の量に制限される。また、酵素の基質が抗原抗体反応を阻害する場合には、基質濃度が制限される。したがって、酵素による増幅効果が十分に得られない。
そこで、微小流路中でも酵素による増幅効果が得られる、検出手段が必要である。本発明の目的は、免疫、DNAバイブリダイゼーション、レセプター・リガンドの特異的結合反応を用いるセンサーにおいて、微小流路中で、酵素反応による増幅効果を用いる蛍光・吸光・発光法・基質そのもの屈折率測定法に代わる酵素反応生成物の検出方法を提供することにある。
本発明は、生体分子の特異的結合に関与する分子を検出するバイオセンサーであって、(i)a)特異的結合反応と、b)酵素反応とを行う反応部と、(ii)反応a)および b)によって生じた酸化還元性反応生成物と酸化還元物質膜が反応する検出部と、(iii)酸化還元反応生成物との反応による酸化還元物質膜の状態の変化を測定し、誘電率の変化を求める測定部とを含むバイオセンサーである。
好ましくは、本発明は、(i)a)特異的結合反応と、b)酵素反応とを行う反応部、および(ii)反応a)およびb)によって生じた酸化還元性反応生成物と酸化還元物質膜が反応する検出部を含む微小流路を用い、微小流路と、(iii)酸化還元反応生成物との反応による酸化還元物質膜の状態の変化を測定し、誘電率の変化を求める測定部とを含むバイオセンサーである。
これらのバイオセンサーは、誘電率の変化の測定方法が表面プラズモン共鳴を用いる測定方法であることが好ましく、また、特異的結合が抗原と抗体との結合であることが好ましい。
本発明のバイオセンサーは、特異的結合反応と酵素増幅を使った高感度測定法において、酵素反応の生成物を微小流路の下流で捕捉する膜を設け、この膜の誘電率測定からこの捕捉の進行状態を測定することにより、微小流路中で連続して基質を流す場合にも、流路体積の制限を受けずに酵素増幅の効果が得られ、低い検出限界濃度を達成できる。
本発明は、生体分子の特異的結合に関与する分子を検出するバイオセンサーであって、(i)反応部、(ii)検出部および(iii)測定部を含む。以下各部分について説明する。
(i)反応部は、a)特異的結合反応と、b)酵素反応が行われる部分である。a)特異的結合反応は、好ましくは抗原抗体反応である。
(ii)検出部は、反応a)およびb)によって生じた酸化還元性反応生成物と酸化還元物質膜が反応する部分であり、高分子膜等が用いられる。
(iii)測定部は、酸化還元反応生成物との反応による酸化還元物質膜の状態の変化を測定し、誘電率の変化を求める部分である。この誘電率の変化の測定方法において、好ましい測定方法は、表面プラズモン共鳴法(SPR法)である。表面プラズモン共鳴法とは、金属薄膜にp偏光の光を入射したとき、ある特定の角度(共鳴角)でその反射光強度が減少することを利用した手法である。この手法は感度が高く、金や銀などの基板表面から数nmの範囲の屈折率変化を検出できる。実際の測定では、光を試料の反対面からある角度で入射し、そのエバネッセンス波と表面プラズモンとが共鳴する角度を測定する。この他にも、臨界角を測定することにより屈折率(誘電率の平方根)を測定する方法、エリプソメトリー、膜に交流またはパルス電位を印加して電気的インピーダンスから測定する方法等も使用可能である。
好ましい実施形態では、(i)反応部および(ii)検出部は微小流路において行われる。したがって、好ましい実施形態のバイオセンサーは、(i)反応部および(ii)検出部を有する微小流路と、(iii)酸化還元反応生成物との反応による酸化還元物質膜の状態の変化を測定し、誘電率の変化を求める測定部とを含むことを特徴とするバイオセンサーである。
以下に図面を参照して本発明を実施例により詳細に説明する。なお、以下の実施例は、例示であり、本発明はこれに限定されない。
図1は本発明のバイオセンサーの概略図である。本発明のバイオセンサーは、微小流路1と測定装置4を含んでおり、その間に金薄膜基板2を有し、測定装置4がSPR測定装置である場合は、微小流路1と測定装置4の間に、SPR測定に用いるプリズム3が設置されている。
本発明の微小流路の一実施形態について、図面を参照して説明する。
微小流路1を、図2に示される微小流路マスクパターン6を用いてパターニングして作製した。この微小流路マスクパターン6に基づいて微小流路の各部分について説明する。符号8がサンプルを送液する送液ポートA、符号9が酵素結合コンジュゲートを送液する送液ポートB、および符号10が基質および緩衝液を送液する送液ポートCである。液の種類と位置はこれらに限定されないが、このように測定に用いる液ごとにポートを設けている。各送液ポートにシリンジからのチューブを接続し、シリンジポンプ等で送液する。これらの送液ポートから送られた液は、出液ポート11から排出される。
このような微小流路マスクパターン6を用い、PDMS(polydimethyl siloxane 、ダウコーニング社製)を用いたレプリカ法によって作製した。レプリカ法は、まず、アクリル基板に耐酸素イオン反応性エッチングレジスト(NTT−AT社製、SPP)をスピンコートし、フォトマスクまたは、インクジェットプリンター(エプソン社製PM−950C)でパターンを印刷したOHPシートを用いて露光・現像し、流路となる部分にSPPが残るパターンを得ることにより行った。さらにこのアクリル基板を、酸素イオン反応性エッチング装置(アネルバ社製DEM−451)を用いて進行波出力50Wで4時間エッチングした。
以上の工程により、アクリル基板に25μmの段差を作製した。この基板をシャーレに入れ、硬化剤(ダウコーニング社製PDMSカタリスト)と混合し、気泡を取り除いたPDMSを流し込んだ。これを6時間60度に保ち、PDMSを硬化させた。この後、硬化したPDMSをアクリル基板から剥離し、アクリル基板に作った流路パターンのレプリカを得た。レジストで作ったパターン部分は、深さ25μmのPDMSの溝になり、液体が流れる流路として機能する。
次に金薄膜基板2を作製した。金薄膜基板2は、BK7基板(松浪硝子工業社製)上にスパッタ法(日本シード研究所社製スパッタ装置)とリフトオフ法により成膜および図2に示される金薄膜マスクパターン5を用いたパターニングを行い作製した。金薄膜マスクパターン5に基づいて微小流路の各部分について説明する。なお、図2の金薄膜マスクパターン5は、マスクパターンであるため、図1の金薄膜基板とは左右が反転している。符号12、14および13は、それぞれ外部回路にリード線を取り出す電極パッドA、BおよびCである。電極パッドAは流路中の電気化学的参照極20、電極パッドBは対極22、および電極パッドCは作用極21にそれぞれ接続されている。作用極では、酸化還元反応生成物との反応による酸化還元物質膜の状態の変化をSPRで測定する際に、電気化学的に酸化還元状態を元に戻すために用いる。図2の符号15に示す部分に3−メルカプトプロピオン酸(東京化成工業社製)の2mMエタノール溶液を用いて自己組織化膜を形成し、この膜にEDC(同仁化学研究所製)とSulfo-NHS-Acetate (ピアス社製)を用いて、検出分子である生体分子に特異的に結合する分子(認識分子)を結合し、固定化した(反応部15)。この分子は、抗原抗体反応を利用する場合に、抗原を検出分子として使用する場合には抗体、ホルモンを検出分子とする場合にはホルモンに特異的に結合する分子、DNAを検出分子とする場合は、検出するDNAに特異的に結合する分子などを用いることができる。具体的には、後述の測定例1および2に用いられる抗hIgGまたは抗hIgG−Fcである。
次に、図2の16に示す部位に、酸化還元物質膜として、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を含む酸化還元高分子膜であるHRP−Oポリマー膜を、キャスト法により形成した(検出部16)。酸化還元物質膜は、電極と酵素の両方と電気移動反応を起こすものであればよく、オスミウム化合物の他にもフェロセン化合物、有機酸化還元試薬、金属錯体、酸化還元酵素など、バイオセンサーにおいて一般的にメディエーターとなる物質が利用可能である。次に微小流路と金薄膜パターンを有するBK7基板(金薄膜基板)とを合わせることにより、接着剤等を使用することなく自然に接着させ、微小流路を完成した。SPR測定装置を測定部とする場合には、この微小流路の底面であるBK7基板を、屈折率マッチングオイルを介してSPR測定装置のプリズムに設置した。
以上のように、本実施例では、流路幅1mm、流路の深さ25μmの微小流路を作製したが、使用可能な微小流路は、流路幅が50μm〜2000μm、好ましくは50μm〜200μmの範囲、流路の深さが10μm〜50μm、好ましくは18μm〜25μmの範囲である。
次に流路内部の各部分について、図3に基づいて説明する。図3は、図2の7の点線に沿った断面模式図である。微少流路は、基板17と天井18に囲まれており、符号26は液が流れる方向を示す。流路上には4か所の金薄膜が成膜されている(符号19、20、21、および22)。金薄膜19の上には、認識分子固定膜23が設けられ、金薄膜19と認識分子固定膜23とを合わせて反応部を構成する。電極パッドAにつながる金薄膜20は、参照極として動作し、好ましくは金薄膜にごく薄く、銀または塩化銀がコートされる。電極パッドBにつながる金薄膜22は対極として動作する。電極パッドBにつながる金薄膜21の上には、酸化還元物質膜24が設けられ、金薄膜21と酸化還元物質膜24を合わせて検出部(センサー部分)を構成する。金薄膜21は電極パッドCにつながっており、酸化還元物質膜24の酸化還元状態を元に戻す。
以下に本発明のバイオセンサーを用いた測定例を示す。
測定例1
(競合法EIAを用いた本発明のバイオセンサー(微小流路SPR測定装置)によるhIgGの測定方法)
競合法によってhIgGを検出する場合の微小流路内部の一連の反応を本発明の一測定例として、図3および図4に従って説明する。図3は、図2の点線7で縦断した縦横の縮尺を考慮しない断面模式図である。検出分子30として、抗原であるhIgG(コスモバイ社製)、この認識分子28として、抗体である抗hIgG(シグマ社製)を使って検出する競合法EIAを微小流路で行う測定例1の反応を示している。本測定例では、以上の抗原および抗体を用いて抗原抗体反応を利用することができるが、必ずしもこれに限る必要はなく、例えば生体分子としてDNAおよびタンパク質、特異的に結合する分子としてこれらに特異的に結合する物質を用いることができる。本測定例のEIAで増幅に用いる酵素はグルコース酸化酵素(GOD)、その酵素反応生成物である酸化還元反応生成物は過酸化水素であり、過酸化水素を捕捉する膜(酸化還元物質膜)はHRP−Oポリマー膜(BAS社製)である。用いられる酵素は、従来から周知の酵素を用いてよく、例えば、ペルオキシダーゼ、グルコース酸化酵素、酪酸酸化酵素、グルタミン酸化酵素、ヒスタミン酸化酵素、コリン酸化酵素およびコレステロール酸化酵素を挙げることができる(非特許文献6、7を参照)。グルコース酸化酵素によるグルコースの酸化還元反応生成物である過酸化水素が検出部のHRP−Oポリマーに捕捉される結果、Oポリマーの酸化還元状態が変化する(図4(b))。この酸化還元状態の変化を、金薄膜を通して光を照射してSPR測定装置(DKK社製)で測定する。
まず、基板(BK7ガラスに金薄膜を形成したもの)上に金薄膜を設け(図3の符号19および図4(a)の符号27)、抗hIgGを固定化して反応部(抗体膜)とし(図3の符号23および図4(a)の符号28)、この抗体膜に微小流路中でhIgGのγ鎖を認識する抗hIgG−Gにグルコース酸化酵素を結合したコンジュゲート(American Qualex Antibodies社製、抗hIgG−G−GOD)をあらかじめ結合させる(図4(a)の符号29)。次に、非特異吸着を防ぐために2%BSAを含むPBSを、送液ポートから5分間送液した。送液は、各送液ポートにシリンジからのチューブを接続し、PBS(ギフコ社製)に種々のサンプルまたはグルコースを溶解し、シリンジポンプ(CMS社製)により送液した。流速はすべて1μl/minとした。これ以降、すべてのシリンジに2%BSAを含む溶液を用いる。この状態で基質のグルコースを送流すると、グルコース酸化酵素によってグルコースが反応し、酵素反応生成物として過酸化水素を生成する(図4(b))。下流に金薄膜(図3の符号21)と酸化還元物質膜であるOポリマー複合体(図3の符号24および図4(a)の符号31)とを合わせた検出部(図4(a)の符号32)を設置し、Oポリマー複合体をあらかじめ還元しておくと、HRPと過酸化水素が反応してOポリマーを酸化する(図4(b))。この酸化速度をSPR測定機SPR20(DKK社製)(非特許文献8)により測定すると、その変化速度は、固定された抗hIgGの濃度に比例する。
次に検出分子(被測定分子)であるhIgGを含む試料を一定時間(T1)送液すると、hIgGと抗hIgG−G−GODが交換反応を起こし、hIgGの濃度に応じて、特異的に結合していた抗hIgG−G−GODの一部がhIgGに置き換わる(図4(c))。この反応後、再び電極により電気化学的にOポリマーを還元し、グルコースを送液すると、交換反応で抗hIgG−G−GODが少なくなった分だけ、Oポリマーの酸化速度が遅くなり、hIgGの濃度を測定することができる(図4(d))。
この微小流路で、1μg/mLのhIgGを1μL/minの流速で5分間送液し測定した結果、SPR角度変化で0.2度の信号を得た。用いたSPR測定装置の分解能は1/10000度なので、十分な感度で測定できた。測定時間を長くした場合、標識酵素が無い場合には、2時間まで、SPR測定値は変化しなかった。また、上流で発生した過酸化水素は下流のHRP−Oポリマー膜で高さ20μmの微小流路を用いると、酵素反応を行う膜(反応部)と、酸化還元反応を行う膜(検出部)とを別々の場所に配置しても、微小流路を用いて検出に用いる生成物を反応部から下流の検出部に流すことにより、十分な感度で反応させることができた。
なお、SPR角度と誘電率は、ほぼ比例関係にあり、図5はSPR角度と誘電率の関係を示す。SPR角度を測定した際には、図5により誘電率を求めることができる。
被測定分子であるhIgGを流す時間T1を長くすると、低濃度の抗体を測定するのに適し、T1を短くすると高濃度の抗体を測定するのに適する。
測定例2
(非競合法を用いた本発明のバイオセンサー(微小流路SPR測定装置)によるhIgG測定方法)
測定例1と同様に、図2の微小流路を用いて、サンドイッチイムノアセイを行った。測定例1の抗hIgG−G−GODと同時にhIgG結合可能なFc部分を認識する抗hIgG−Fc(American Qualex Antibodies社製)でhIgGを検出する。抗hIgG−Fcを図3の符号23にSAM法で固定し、ポートA(図2の符号8)からサンプル(hIgG)を送液した。抗hIgG−Fcの一部には、hIgGが結合する。次に送液ポートB(図2の符号9)から抗hIgG−G−GODを送液する。抗hIgG−G−GODは、すでにhIgGが結合している部分に結合する。次に送液ポートC(図2の符号10)から、グルコースを100μM含む緩衝溶液を送液した。抗hIgG−Fc固定部分(図2の符号15および図3の符号23)に結合した抗hIgG−G−GODのグルコース酸化酵素の活性によって、その場で過酸化水素が発生する。この過酸化水素を、酸化還元物質膜であるHRP−Oポリマー膜部分(図3の符号24)で、測定例1と同様に測定した。流路が薄層であるために、ほとんどの過酸化水素が、HRP−Oポリマー膜部分で反応し、さらにHRP−Oポリマー膜の酸化反応として積算される。時間をかけて酸化還元物質膜の酸化状態をSPRで測定すると、HRP−Oポリマー膜に結合したhIgGの濃度に比例した速度で、酸化速度が変化した。さらに、hIgGの濃度が近くても微小流路を使った測定で、サンドイッチイムノアセイを使って効果的に酵素増幅することができた。
以上説明したように、特異的結合反応と酵素増幅を使った高感度測定法において、酵素反応の生成物を微小流路の下流で捕捉する膜を設け、この膜の誘電率測定からこの捕捉の進行状態を測定することにより、微小流路中で連続して基質を流す場合にも、流路体積の制限を受けずに酵素増幅の効果が得られ、低い検出限界濃度を達成することができる。
したがって、本発明による抗原抗体反応を利用するセンサーは以下のような有利な効果を有する。
1.微小流路では効果が低かった、酵素抗体測定法による免疫センサーの感度を向上することができる。
2.酵素抗体法による増幅に加えて、酸化還元状態変化による酵素反応生成物の局所的蓄積により高感度化することができる。
3.酵素抗体法の最終的検出手段として、ELISAや種々の高感度手法と組み合わせてセンサーの高機能化を図ることができる。
本発明のバイオセンサーを示す図である。 微小流路の金薄膜マスクパターンおよび微小流路マスクパターンを示す図である。 図2の符号7の線に沿った断面模式図である。 本発明のバイオセンサー内の反応を示す図である。 SPR角度と誘電率の関係を示す図である。
符号の説明
1 微小流路
2 金薄膜基板
3 SPR測定装置のプリズム
4 SPR測定装置本体
5 金薄膜マスクパターン
6 微小流路マスクパターン
7 図3で示す断面を表す補助線
8 送液ポートA
9 送液ポートB
10 送液ポートC
11 出液ポート
12 電極パッドA
13 電極パッドB
14 電極パッドC
15 反応部
16 検出部
17 基板
18 微小流路の天井
19 金薄膜
20 電極パッドAにつながる金薄膜(参照極)
21 電極パッドCにつながる金薄膜(作用極)
22 電極パッドBにつながる金薄膜(対極)
23 認識分子固定膜
24 検出部
25 微小流路の深さ
26 流れる方向
27 金薄膜
28 認識分子(抗hIgG)
29 酵素結合コンジュゲート(抗hIgG−G−GOD)
30 検出分子(被認識分子・hIgG)
31 酸化還元物質膜(HRP−Osポリマー複合膜)
32 センサー(検出部)

Claims (5)

  1. 生体分子の特異的結合に関与する分子を検出するバイオセンサーであって、
    (i)a)特異的結合反応と、b)酵素反応とを行う反応部と、
    (ii)反応a)およびb)によって生じた酸化還元性反応生成物と酸化還元物質膜が反応する検出部と、
    (iii)酸化還元反応生成物との反応による酸化還元物質膜の状態の変化を測定し、誘電率の変化を求める測定部と
    を含むことを特徴とするバイオセンサー。
  2. 生体分子の特異的結合に関与する分子を検出する際に用いられる微小流路であって、
    (i)a)特異的結合反応と、b)酵素反応とを行う反応部、および
    (ii)反応a)およびb)によって生じた酸化還元性反応生成物と酸化還元物質膜が反応する検出部
    を含むことを特徴とする微小流路。
  3. 生体分子の特異的結合に関与する分子を検出するバイオセンサーであって、
    (i)a)特異的結合反応と、b)酵素反応とを行う反応部、および
    (ii)反応a)およびb)によって生じた酸化還元性反応生成物と酸化還元物質膜が反応する検出部
    を含む微小流路と、
    (iii) 酸化還元反応生成物との反応による酸化還元物質膜の状態の変化を測定し、誘電率の変化を求める測定部と
    を含むことを特徴とするバイオセンサー。
  4. 誘電率の変化の測定方法が表面プラズモン共鳴を用いる測定方法であることを特徴とする請求項1または3に記載のバイオセンサー。
  5. 特異的結合が抗原と抗体との結合であることを特徴とする請求項1、3または4に記載のバイオセンサー。
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