JP2007056928A - ロッカーアーム用転がり軸受、ロッカーアーム用すべり軸受、およびロッカーアーム用軸受の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造コストを低減するとともに、ピースバイピースの製品管理を容易にすることにより製品のトレーサビリティーが確保されたロッカーアーム用軸受を提供する。
【解決手段】 ロッカーアーム用転がり軸受10は、ローラー11と、ローラー11の内側に配置される軸12と、ローラー11と軸12との間に配置される針状ころ13とを備えたロッカーアーム用転がり軸受である。ローラー11の素材は、0.38質量%以上1.1質量%以下の炭素を含有する鋼である。ローラー11は、誘導加熱によりA1点より低い温度からA1点以上の温度に加熱された後、A1点以上の温度領域の所定の温度からMs点以下の温度に冷却されることにより焼入硬化されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 ロッカーアーム用転がり軸受10は、ローラー11と、ローラー11の内側に配置される軸12と、ローラー11と軸12との間に配置される針状ころ13とを備えたロッカーアーム用転がり軸受である。ローラー11の素材は、0.38質量%以上1.1質量%以下の炭素を含有する鋼である。ローラー11は、誘導加熱によりA1点より低い温度からA1点以上の温度に加熱された後、A1点以上の温度領域の所定の温度からMs点以下の温度に冷却されることにより焼入硬化されている。
【選択図】 図1
Description
本発明はロッカーアーム用転がり軸受、ロッカーアーム用すべり軸受、およびロッカーアーム用軸受の製造方法に関し、より特定的には環状の外輪と、外輪の内側に配置される軸とを備えたロッカーアーム用転がり軸受、ロッカーアーム用すべり軸受、およびロッカーアーム用軸受の製造方法に関するものである。
カムの回転によってエンジンのシリンダヘッドに設けられた吸気用または排気用のバルブを開閉するために、カムとバルブとの間にはロッカーアームが配置される。このロッカーアームとカムとが接触する部分においては、摩擦(フリクション)が発生する。そのため、フリクション低減を目的として、カムとロッカーアームとが接触する部分にすべり軸受を組み込んだローラーフォロアタイプや、針状ころ軸受を組み込んだ針状ころタイプなどのロッカーアームが用いられる場合がある。このすべり軸受や針状ころ軸受の外輪に相当するローラーには炭素含有量の高い鋼である軸受鋼(たとえばJIS SUJ2など)が素材として採用される場合が多い。そして、これらの素材に旋削、鍛造などの加工を施して成形し、雰囲気炉を使用した焼入硬化および焼戻を実施してローラーとして使用される場合が多い。さらに、このようなローラーの外周面にショットピーニングを施し、外周面の硬度を向上させたカムフォロア装置(ロッカーアーム)が提案されている。これにより、ローラーの外周面の耐久性が確保されるとともに、ローラーの端面に対向するロッカーアームの支持壁の内側面の耐久性が確保される(たとえば特許文献1参照)。
また、ローラーの内側に配置される軸(ローラー軸)を硬化するための焼入硬化方法として高周波焼入を採用し、軸の部位によって硬度を変化させたローラー付カムフォロア(ロッカーアーム)が提案されている。これにより、ローラー軸の剛性向上、耐摩耗性向上および固定作業の効率化の効果が得られる(たとえば特許文献2参照)。
特開2000−73712号公報
特開平5−321616号公報
しかし、雰囲気炉は比較的大規模な設備であり、また取扱に注意を要するガスを使用する場合も多いため、加工設備などの他の製造設備と同一の製造ラインに設置すること(インライン化)は難しく、一般的には他の製造設備とは離れた場所に設置される。そのため、焼入硬化処理はバッチ処理となり、処理の前後において仕掛在庫が発生するため、製造コストの上昇の原因となる。また、バッチ処理の場合、製品一つ一つを管理すること(ピースバイピースの管理)は困難で、製品の製造履歴の把握の容易性(トレーサビリティー)の観点から不利となる。さらに、素材または製造履歴が異なる製品や、異なる形状を有する製品の混入(異品混入)の可能性を完全に排除することも困難となる。
また、特許文献1の構成では、通常の焼入硬化処理の後に新たにショットピーニング処理の工程が必要となるため、製品の製造コストが上昇するという問題点を有している。さらに、特許文献2の構成では、ローラー軸を高周波焼入することにより部位によって硬度を変化させるという複雑な工程が必要となるため、熱処理コストが高くなり、製品の製造コストが上昇する。さらに、上述の特許文献1および2の構成では、ローラーのトレーサビリティーおよび異品混入の可能性に関しては従来と同様の問題点を有している。
そこで、本発明の一の目的は、外輪(ローラー)の仕掛在庫の発生が抑制されることにより製造コストが低減されるとともに、当該外輪のピースバイピースの製品管理を容易にすることにより製品のトレーサビリティーが確保され、かつ当該外輪の異品混入の可能性が抑制されたロッカーアーム用転がり軸受およびロッカーアーム用すべり軸受を提供することである。さらに、本発明の他の目的は、製造コストを低減するとともに、外輪のピースバイピースの製品管理を容易にすることにより製品のトレーサビリティーの確保および異品混入の可能性の抑制が可能なロッカーアーム用軸受(ロッカーアーム用転がり軸受およびロッカーアーム用すべり軸受を含む)の製造方法を提供することである。
本発明に従ったロッカーアーム用転がり軸受は、環状の外輪と、外輪の内側に配置される軸と、外輪と軸との間に配置される転動体とを備えたロッカーアーム用転がり軸受である。外輪の素材は、0.38質量%以上1.1質量%以下の炭素を含有する鋼である。外輪は、誘導加熱によりA1点よりも低い温度からA1点以上の温度に加熱された後、A1点以上の温度領域の所定の温度からMs点以下の温度に冷却されることにより焼入硬化されている。
本発明者はロッカーアーム用転がり軸受の製造における外輪の焼入硬化処理について鋭意検討した結果、誘導加熱を利用した焼入(高周波焼入)により表面全体を、または表層から芯部までの全体を焼入硬化することにより、外輪に十分な特性を付与できることを見出した。本発明のロッカーアーム用転がり軸受の製造においては、外輪の焼入硬化処理が誘導加熱を利用して実施されているため、焼入硬化のための設備をインライン化することが容易となる。インライン化が実施された場合、焼入硬化前後の仕掛在庫が発生しないため、外輪の製造コストが低下して、安価なロッカーアーム用転がり軸受を提供することができる。さらに、インライン化が実施された場合、焼入硬化処理を外輪一つ一つについて順次実施することが可能であるためピースバイピースの製品管理が容易となり、外輪のトレーサビリティーを確保し、かつ異品混入の可能性を低減したロッカーアーム用転がり軸受を提供することが可能となる。また、外輪において、従来品と遜色ない疲労強度および耐摩耗性を確保するためには、たとえば焼入硬化後180℃で焼戻した場合に700HV以上の硬さが必要である。焼入硬化後の硬さは炭素含有量により大きな影響を受け、180℃で焼戻した場合の硬度を700HV以上とするためには0.38質量%以上の炭素含有量が必要である。一方、1.1質量%以下の炭素を含む鋼とされることにより、素材の十分な加工性を確保して製造コストが抑制されている。以上より、本発明のロッカーアーム用転がり軸受によれば、安価で、かつ品質の安定したロッカーアーム用転がり軸受を提供することができる。
なお、A1点とは鋼を加熱した場合に、鋼の組織がフェライトからオーステナイトに変態を開始する温度に相当する点をいう。また、Ms点とはオーステナイト化した鋼が冷却される際に、マルテンサイト化を開始する温度に相当する点をいう。
上記ロッカーアーム用転がり軸受において好ましくは、外輪は、焼入硬化された後において、さらに誘導加熱によりA1点以下の温度に加熱された後冷却されて焼戻されている。
これにより、焼入および焼戻の熱処理設備をインライン化することが一層容易になり、たとえば棒鋼などの素材から加工、熱処理、仕上げまでを1つのラインで構成することも可能となる。その場合、仕掛在庫の発生を一層抑制することにより外輪の製造コストを低下させ、一層安価なロッカーアーム用転がり軸受を提供することができる。さらに、焼入硬化処理および焼戻処理を外輪一つ一つについて順次実施することが可能であるためピースバイピースの製品管理が一層容易となり、外輪のトレーサビリティーを確保し、かつ異品混入の可能性を低減したロッカーアーム用転がり軸受を提供することが可能となる。
上記ロッカーアーム用転がり軸受において好ましくは、外輪は、冷間鍛造を含む製造工程により製造されている。冷間鍛造が実施されることにより、素材のうち製品とならない部分を減少させるとともに、素材から外輪への成形を効率よく実施することにより、外輪の製造コストを低減することができる。
本発明に従ったロッカーアーム用すべり軸受は、環状の外輪と、外輪の内側に配置される軸とを備えたロッカーアーム用すべり軸受である。外輪の素材は、0.38質量%以上1.1質量%以下の炭素を含有する鋼であり、外輪は、誘導加熱によりA1点よりも低い温度からA1点以上の温度に加熱された後、A1点以上の温度領域の所定の温度からMs点以下の温度に冷却されることにより焼入硬化されている。本発明のロッカーアーム用すべり軸受によれば、上述の本発明のロッカーアーム用転がり軸受と同様の理由により、安価で、かつ品質の安定したロッカーアーム用すべり軸受を提供することができる。
上記ロッカーアーム用すべり軸受において好ましくは、外輪は、焼入硬化された後において、さらに誘導加熱によりA1点以下の温度に加熱された後冷却されて焼戻されている。これにより、上述の本発明のロッカーアーム用転がり軸受と同様の理由により、一層安価なロッカーアーム用すべり軸受を提供することができるとともに、外輪のトレーサビリティーを確保し、かつ異品混入の可能性を低減したロッカーアーム用すべり軸受を提供することが可能となる。
上記ロッカーアーム用すべり軸受において好ましくは、外輪は、冷間鍛造を含む製造工程により製造されている。冷間鍛造が実施されることにより、素材のうち製品とならない部分を減少させるとともに、素材から外輪への成形を効率よく実施することにより、外輪の製造コストを低減することができる。
本発明に従ったロッカーアーム用軸受の製造方法は、環状の外輪と、外輪の内側に配置される軸とを含むロッカーアーム用軸受の製造方法であって、外輪を準備する外輪準備工程と、外輪を焼入硬化する焼入硬化工程とを備えている。焼入硬化工程は、外輪をA1点よりも低い温度からA1点以上の温度に加熱する加熱工程と、加熱工程によりA1点以上の温度に加熱された外輪をMS点以下の温度に冷却する冷却工程とを含んでいる。そして加熱工程における加熱は誘導加熱により行なわれる。
本発明のロッカーアーム用軸受の製造方法によれば、焼入硬化工程の加熱工程における加熱は誘導加熱により行なわれるため、焼入硬化工程を実施するための設備をインライン化することが容易となる。インライン化が実施された場合、焼入硬化前後の仕掛在庫が発生しないため、外輪の製造コストを低下させることができる。さらに、インライン化が実施された場合、ピースバイピースの製品管理が容易となり、製品のトレーサビリティーを確保し、かつ異品混入の可能性を低減することが可能となる。
上記ロッカーアーム用軸受の製造方法において好ましくは、焼入硬化工程は複数の外輪に対して同時に実施される。これにより、ロッカーアーム用軸受の製造効率が向上し、ロッカーアーム用軸受を一層低コストで製造することができる。
上記ロッカーアーム用軸受の製造方法において好ましくは、加熱工程においては、外輪を誘導加熱するための加熱手段と外輪とが相対的に移動することにより、加熱手段による加熱が可能な領域の外部から領域の内部に外輪が進入して加熱される。
これにより、外輪を一つ一つ加熱手段による加熱が可能な領域にセットする場合に比べて生産性を向上させることができる。その結果、ロッカーアーム用軸受を一層低コストで製造することができる。
上記ロッカーアーム用軸受の製造方法において好ましくは、加熱工程においては、外輪を誘導加熱するための加熱手段と複数の外輪とが相対的に移動することにより、加熱手段による加熱が可能な領域の外部から領域の内部に複数の外輪が順次進入して加熱される。
これにより、ロッカーアーム用軸受の生産性を一層向上させることができる。その結果、ロッカーアーム用軸受を一層低コストで製造することができる。
上記ロッカーアーム用軸受の製造方法において好ましくは、焼入硬化工程の後において、外輪を誘導加熱によりA1点以下の温度に加熱した後冷却する焼戻工程をさらに備えている。
これにより、焼入および焼戻の熱処理設備をインライン化することが一層容易になり、たとえば棒鋼などの素材から加工、熱処理、仕上げまでを1つのラインで構成することも可能となる。その場合、仕掛在庫の発生を一層抑制することにより外輪の製造コストを低下させることができる。さらに、ピースバイピースの製品管理が一層容易となり、製品のトレーサビリティーを確保し、かつ異品混入の可能性を低減することが可能となる。
上記ロッカーアーム用軸受の製造方法において好ましくは、焼戻工程は複数の外輪に対して同時に実施される。これにより、ロッカーアーム用軸受の製造効率が向上し、ロッカーアーム用軸受を一層低コストで製造することができる。
上記ロッカーアーム用軸受の製造方法において好ましくは、焼戻工程においては、外輪を誘導加熱するための焼戻用加熱手段と外輪とが相対的に移動することにより、焼戻用加熱手段による加熱が可能な領域である焼戻誘導加熱領域の外部から焼戻誘導加熱領域の内部に外輪が進入して加熱される。
これにより、外輪を一つ一つ焼戻誘導加熱領域にセットする場合に比べて生産性を向上させることができる。その結果、ロッカーアーム用軸受を一層低コストで製造することができる。
上記ロッカーアーム用軸受の製造方法において好ましくは、焼戻工程においては、外輪を誘導加熱するための焼戻用加熱手段と複数の外輪とが相対的に移動することにより、焼戻誘導加熱領域の外部から焼戻誘導加熱領域の内部に複数の外輪が順次進入して加熱される。
これにより、ロッカーアーム用軸受の生産性を一層向上させることができる。その結果、ロッカーアーム用軸受を一層低コストで製造することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明のロッカーアーム用転がり軸受およびロッカーアーム用すべり軸受によれば、仕掛在庫の発生の抑制などにより製造コストを低減するとともに、ピースバイピースの製品管理を容易にすることにより製品のトレーサビリティーが確保され、かつ異品混入の可能性が抑制されたロッカーアーム用転がり軸受およびロッカーアーム用すべり軸受を提供することができる。さらに、本発明のロッカーアーム用軸受の製造方法によれば、製造コストを低減するとともに、ピースバイピースの製品管理を容易にすることにより製品のトレーサビリティーを確保し、かつ異品混入の可能性を低減することにより、製品の品質を安定させることができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施の形態である実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受を備えたロッカーアームを示す概略図である。また、図2は、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受を示す概略断面図である。また、図3は、図2の線分III−IIIに沿う概略断面図である。図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受について説明する。
図1は本発明の一実施の形態である実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受を備えたロッカーアームを示す概略図である。また、図2は、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受を示す概略断面図である。また、図3は、図2の線分III−IIIに沿う概略断面図である。図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受について説明する。
図1を参照して、ロッカーアーム1は、ロッカーアーム本体1Aとロッカーアーム用転がり軸受10とを備えている。ロッカーアーム1はロッカーアーム本体1Aの中央部において、軸受メタル7などを介してロッカーアーム軸6に回転自在に支持されている。さらに、ロッカーアーム用転がり軸受10はロッカーアーム1の一方の端部1B側に配置されている。ロッカーアーム用転がり軸受10は環状の外輪としてのローラー11と、外輪の内側に配置される軸12と、ローラー11と軸12との間に配置される複数の転動体としての針状ころ13とを備えている。これにより、ロッカーアーム用転がり軸受10は軸12に対してローラー11が相対的に回転可能に構成されている。そして、ローラー11の素材は、0.38質量%以上1.1質量%以下の炭素を含有する鋼である。さらに、ローラー11に接触するように、カム2が配置されている。カム2の、ロッカーアーム用転がり軸受10の軸12の軸方向に垂直な断面における断面形状は卵形である。そして、カム2はカムシャフト2Aと一体に形成されており、カムシャフト2Aを軸として回転可能に構成されている。
ロッカーアーム1の他方の端部1C側にはアジャストねじ用貫通孔1Dが形成されている。このアジャストねじ用貫通孔1Dにはアジャストねじ8が挿入され、ロックナット5によりアジャストねじ8はロッカーアーム本体1Aに固定されている。そして、アジャストねじ8の下端はエンジンの吸気弁または排気弁であるバルブ3の上端と連結されており、バルブ3、アジャストねじ8およびロッカーアームの他方の端部1C側は、ばね4により付勢の向き4Aに沿った向きに付勢されている。これにより、ロッカーアーム1の一方の端部1B側に配置されたロッカーアーム用転がり軸受10のローラー11は、常にカム2の外周に押し付けられている。
なお、図1においては、ロッカーアーム用転がり軸受10の軸12は軽量化のため中空状の軸12が採用された場合を示しているが、強度および剛性などを重視して中実の軸12を採用してもよい。
次に、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受10およびロッカーアーム1の動作について説明する。図1を参照して、カム2がカムシャフト2Aとともにカムシャフト2Aを軸として回転すると、カムシャフト2Aからカム2とロッカーアーム用転がり軸受10との接触部までの距離が周期的に変化する。そのため、ロッカーアーム1はロッカーアーム軸6を軸として揺動する。その結果、アジャストねじ8を介してバルブ3が往復運動することにより、吸気弁または排気弁が開閉する。
次に、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受10の構成について図2および図3に基づいて詳細に説明する。図2および図3を参照して、ロッカーアーム用転がり軸受10は前述のように環状の外輪としてのローラー11と、ローラー11の内側に配置される軸12と、ローラー11と軸12との間に配置される複数の転動体としての針状ころ13とを備えている。軸12は、図2に示すようにロッカーアーム本体1Aに設けられた貫通孔1Eに挿入され、両端をかしめることによりロッカーアーム本体1Aに固定されている。また、ローラー11の内径はロッカーアーム本体1Aの上下の端面1F、1F間の距離よりも小さいため、ロッカーアーム用転がり軸受10を構成するローラー11、軸12および針状ころ13はロッカーアーム本体1Aから脱落しない。
次に、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受の製造方法について説明する。図4は実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受の製造方法を説明するための図である。図4を参照して、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受の製造方法を説明する。
図4を参照して、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受の製造方法においては、まず、棒鋼などの素材に対して旋削、冷間鍛造などの加工を実施することにより外輪としてのローラー11を準備する外輪準備工程が実施される。そして、準備されたローラー11を焼入硬化することにより、疲労強度、耐摩耗性などの特性をローラー11に付与する焼入硬化工程が実施される。この焼入硬化工程は、ローラー11をA1点よりも低い温度からA1点以上の温度に加熱する加熱工程と、加熱工程によりA1点以上の温度に加熱されたローラー11をMS点以下の温度に冷却する冷却工程とを含んでいる。さらに、焼入硬化工程において焼入硬化されたローラー11を焼戻すことにより、靭性などの特性をローラー11に付与する焼戻工程が実施される。さらに、ローラー11の寸法精度を向上させるため、ローラー11の外周面、内周面および両方の端面が研磨される研磨工程が実施される。そして、内輪としての軸12、転動体としての針状ころ13およびローラー11を組み合わせてロッカーアーム用転がり軸受10を組み立てる組み立て工程が実施される。以上の手順により、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受10は製造される。
次に、焼入硬化工程について詳細に説明する。図5は実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受の製造方法に使用される熱処理設備の概略を示す図である。図5を参照して、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受の外輪としてのローラー11の焼入硬化について説明する。
図5を参照して、熱処理設備20は、被処理物であるローラー11を保持するための保持手段としての一対の支持棒21A、21Bと、支持棒21A、21Bの軸方向に垂直な面内に配置され、被処理物であるローラー11の外周面に対向可能に構成された加熱手段としての環状の誘導加熱コイル22とを備えている。一対の支持棒21A、21Bは同一直線上に配置されている。一対の支持棒21A、21Bの互いに対向する端部はテーパ形状となっており、環状のローラー11を支持棒21A、21Bの互いに対向する端部で挟むことにより固定可能に構成されている。さらに、誘導加熱コイル22の一部を貫通するように、一端を図示しない給液手段に連結され、かつ他端には被処理物であるローラー11に対向するように形成された開口である噴出口23Aを有する冷却手段としての冷却液流路23が配置されている。なお、冷却液流路23は1つであってもよいが、ローラー11を均一に冷却するためには複数個配置されることが好ましい。さらに、複数個配置される場合においては、ローラー11の軸方向に複数個配置されることが好ましく、3個以上配置される場合においては等間隔に配置されることが好ましい。さらに、ローラー11の周方向にも複数個、等間隔に配置されることが好ましい。
次に、熱処理設備20を用いた焼入硬化の手順を説明する。まず、被処理物であるローラー11の内周面の一方の端部が下部支持棒21Aのテーパ部分に接触するようにセットされ、上部支持棒21Bのテーパ部分がローラーの内周面の他方の端部に接触するようにセットされることにより、ローラー11が保持される。次に、誘導加熱コイル22に図示しない高周波電源から高周波電流が供給されることにより、ローラー11が誘導加熱される。ここで、ローラー11はその用途を考慮すると表面全体が、または表層から芯部までの全体が硬化されている必要がある。そのため、ローラー11の外周表面のみならず、ローラー11の表面全体が加熱されるように、またはローラー11全体が加熱されるように高周波電流の周波数および加熱時間が決定される。誘導加熱によりA1点よりも低い温度からA1点以上の温度に加熱されたローラー11は、均熱化のため所定時間A1点以上の温度に保持された後、高周波電流が遮断されるとともに、冷却液流路23の噴出口23Aから冷却液噴出方向24の向きに冷却水などの冷却液が噴出されることにより、MS点以下の温度に急冷される。以上の手順により、ローラー11を焼入硬化する焼入硬化工程が完了する。
焼入硬化工程の後においては、ローラー11をA1点以下の温度に加熱した後冷却する焼戻工程が実施される。この焼戻工程におけるローラー11の加熱は、一般的な雰囲気炉を用いて実施することもできるが、誘導加熱により実施してもよい。具体的には、図5に示す熱処理設備を用いて、上述の焼入硬化工程と同様の手順により、ローラー11をA1点以下の温度に加熱した後冷却することにより実施することができる。ただし、冷却においては焼入硬化の場合と異なり急冷する必要はないので、ローラー11がA1点以下の温度に所定時間保持された後、高周波電流が遮断されることにより放冷してもよい。
なお、誘導加熱コイル22による加熱が可能な範囲でローラー11をローラー11の軸方向に積み重ねてセットすることで、ローラー11を複数個同時に焼入硬化または焼戻することもできる。
以上のようにして、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受は製造される。その結果、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受10の製造においては、ローラー11の焼入硬化処理が誘導加熱を利用して実施されているため、焼入硬化のための熱処理設備20をインライン化することが容易となる。インライン化が実施された場合、焼入硬化前後の仕掛在庫が発生しないため、製品の納期短縮に寄与するのみならず、ローラー11の製造コストが低下して、安価なロッカーアーム用軸転がり軸受10を提供することができる。さらに、インライン化が実施された場合、焼入硬化処理をローラー11一つ一つについて順次実施することが可能であるためピースバイピースの製品管理が容易となり、ローラー11のトレーサビリティーを確保し、かつ異品混入の可能性を低減したロッカーアーム用転がり軸受10を提供することが可能となる。以上より、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受10、およびその製造方法によれば、安価で、かつ品質の安定したロッカーアーム用転がり軸受10を提供することができる。
さらに、ローラー11の焼戻工程において、誘導加熱によりA1点以下の温度に加熱された後冷却されて焼戻されることにより、焼入および焼戻の熱処理設備20をインライン化することが一層容易となる。その結果、たとえば棒鋼などの素材から加工、熱処理、仕上げまでを1つのラインで構成することも可能となる。その場合、仕掛在庫の発生を一層抑制することによりローラー11の製造コストを低下させ、一層安価なロッカーアーム用転がり軸受10を提供することができる。さらに、焼入硬化処理および焼戻処理をローラー11一つ一つについて順次実施することが可能であるためピースバイピースの製品管理が一層容易となり、ローラー11のトレーサビリティーを確保し、かつ異品混入の可能性を低減したロッカーアーム用転がり軸受10を提供することが可能となる。
さらに、ローラー11は、冷間鍛造を含む製造工程により製造されているため、素材のうち製品とならない部分を減少させるとともに、素材からローラー11への成形を効率よく実施することにより、ローラー11の製造コストを低減することができる。
ここで、誘導加熱を利用した焼入に適し、かつ十分な特性を有するロッカーアーム用転がり軸受10を得るためには、0.38質量%以上1.1質量%以下の炭素を含有する鋼として、炭素鋼、炭素工具鋼、クロム鋼、クロム−モリブデン鋼、軸受鋼などが適しており、具体的にはJIS S48C、S50C、S53C、S55C、SK5、SCr440、SCr445、SCM440、SCM445、SUJ2、SAE1070などを採用することができる。
なお、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受10は外輪としてのローラー11の焼入硬化工程における加熱に誘導加熱が採用されていることにより、品質の安定化および低価格化のみならず、特性面でも有利な効果を有している。すなわち、実施の形態1のローラー11は、焼入硬化工程における加熱に一般的な雰囲気炉による加熱を採用する場合に比べて、極めて急速に加熱され、かつA1点以上の温度に加熱される時間が非常に短い。そのため、焼入硬化後のローラー11の鋼組織における旧オーステナイト結晶粒の大きさが小さくなっている。具体的には、一般的な雰囲気炉による加熱を採用した場合、旧オーステナイト結晶粒度番号が10番程度であるのに対し、実施の形態1のローラー11の旧オーステナイト結晶粒度番号は11番以上とすることができる。その結果、一般的な雰囲気炉による加熱を採用した場合に比べて、実施の形態1のローラー11の転がり疲労寿命は1.5倍程度となる。
ここで、実施の形態1のローラー11は、極めて急速に加熱され、かつA1点以上の温度に加熱される時間が非常に短いため、旧オーステナイト結晶粒界の形成が十分に進行していない。具体的には、JIS G 0551に従って旧オーステナイト結晶粒度の観察を行なった場合、たとえば400倍の倍率において旧オーステナイト結晶粒界により明確に閉じられた領域は視野全体の10%以下となっている。
なお、実施の形態1においては、転動体として針状ころが採用される場合について説明したが、本発明のロッカーアーム用転がり軸受はこれに限られず、たとえば転動体として玉が採用されてもよい。また、実施の形態1においては、ロッカーアーム用転がり軸受に保持器が用いられない総ころタイプについて説明したが、本発明のロッカーアーム用転がり軸受はこれに限られず、保持器が用いられるタイプであってもよい。
(実施の形態2)
図6は、本発明の一実施の形態である実施の形態2のロッカーアーム用すべり軸受を示す概略断面図である。また、図7は、図6の線分VII−VIIに沿う概略断面図である。図6および図7を参照して、本発明の実施の形態2のロッカーアーム用すべり軸受について説明する。
図6は、本発明の一実施の形態である実施の形態2のロッカーアーム用すべり軸受を示す概略断面図である。また、図7は、図6の線分VII−VIIに沿う概略断面図である。図6および図7を参照して、本発明の実施の形態2のロッカーアーム用すべり軸受について説明する。
実施の形態2のロッカーアーム用すべり軸受と、上述した実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受とは基本的に同様の構成を有している。しかし、実施の形態2のロッカーアーム用すべり軸受は、転動体を有さない点で実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受とは異なっている。
具体的には、図6および図7を参照して実施の形態2のロッカーアーム用すべり軸受10は、環状の外輪としてのローラー11と、外輪の内側に配置される軸12とを備えており、ローラー11と軸12との間には転動体は配置されていない。その他の構成については、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受と同様である。
また、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受10においては、ロッカーアーム用転がり軸受10の外輪としてのローラー11と軸12との間に転動体としての針状ころ13が介在することにより、ローラー11と軸12とが相対的に回転するのに対し、実施の形態2ではローラー11と軸12とが互いに滑ることにより、相対的に回転する。その他の点においては、実施の形態2のロッカーアーム用すべり軸受10は実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受10と同様に動作する。
また、実施の形態2のロッカーアームすべり用軸受10の製造方法においては、組み立て工程においてローラー11と軸12との間に転動体が配置されない。その他の点においては、実施の形態2のロッカーアーム用すべり軸受10の製造方法は実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受10の製造方法と同様である。
実施の形態2のロッカーアーム用すべり軸受10によれば、実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受10に比べて部品点数を減少させることができるため、軽量化および低価格化が可能となる。
(実施の形態3)
図8は、本発明の一実施の形態である実施の形態3のロッカーアーム用軸受(ロッカーアーム用転がり軸受およびロッカーアーム用すべり軸受)の製造方法に使用される熱処理設備の概略を示す図である。図8を参照して、本発明の実施の形態3のロッカーアーム用軸受の製造方法について説明する。
図8は、本発明の一実施の形態である実施の形態3のロッカーアーム用軸受(ロッカーアーム用転がり軸受およびロッカーアーム用すべり軸受)の製造方法に使用される熱処理設備の概略を示す図である。図8を参照して、本発明の実施の形態3のロッカーアーム用軸受の製造方法について説明する。
実施の形態3の製造方法で製造されるロッカーアーム用転がり軸受およびロッカーアーム用すべり軸受と、上述した実施の形態1のロッカーアーム用転がり軸受およびロッカーアーム用すべり軸受とは同様の構成を有しており、同様に動作する。また、製造方法についても実施の形態3は基本的には実施の形態1および実施の形態2と同様である。しかし、実施の形態3では、ロッカーアーム用転がり軸受10またはロッカーアーム用すべり軸受10の外輪としてのローラー11の焼入硬化工程および焼戻工程において、実施の形態1とは異なっている。
すなわち、図8を参照して、焼入硬化工程の加熱工程においては、外輪としてのローラー11を誘導加熱するための加熱手段である熱処理設備30と複数のローラー11とが相対的に移動することにより、熱処理設備30による加熱が可能な領域の外部から領域の内部に複数のローラー11が順次進入して加熱される。
具体的には図8を参照して、熱処理設備30は、被処理物であるローラー11の外周面に対向可能に構成された加熱手段としての環状の誘導加熱コイル22と、誘導加熱コイル22の軸方向において誘導加熱コイル22に隣接し、被処理物であるローラー11に対向するように形成された開口である噴出口23Aを有する冷却手段としての冷却液流路23とを備えている。冷却液流路23は冷却液流路保持台23Bによって保持されている。さらに、冷却液流路保持台23Bから見て誘導加熱コイル22とは反対側には焼戻用加熱手段としての焼戻用誘導加熱コイル25が配置されていてもよい。
ここで、誘導加熱コイル22、冷却液流路23の噴出口23Aおよび焼戻用誘導加熱コイル25は、被処理物である複数のローラー11が熱処理のためにセットされた状態において、一部のローラー11のみが加熱可能に構成されている。具体的には、一部のローラー11の外周面のみが対向することができるように、誘導加熱コイル22、冷却液流路23における噴出口23Aが形成された領域および焼戻用誘導加熱コイル25の幅はセットされた複数のローラー11の軸方向の長さよりも小さくなっている。さらに、誘導加熱コイル22、冷却液流路23および焼戻用誘導加熱コイル25と熱処理のためにセットされたローラー11とは、一方または両方がそれぞれ誘導加熱コイル22の軸方向であるローラー移動方向26、コイル移動方向27に移動可能である。これにより、熱処理設備30は、ローラー11が誘導加熱コイル22、冷却液流路23の噴出口23Aおよび焼戻用誘導加熱コイル25に対して相対的に移動可能な構成となっている。
次に、熱処理設備30を用いた熱処理の手順を説明する。まず、被処理物である複数のローラー11が軸方向に積み重ねられるように熱処理設備30にセットされる。次に、誘導加熱コイル22および焼戻用誘導加熱コイル25に高周波電流が通電されるとともに、ローラー11は誘導加熱コイル22、冷却液流路23および焼戻用誘導加熱コイル25に対して相対的に移動する。これに伴いローラー11は通電された誘導加熱コイル22の内周面にローラー11の外周面が対向する位置に到達する。すなわち、誘導加熱コイル22に通電された高周波電流により形成された周期的に変化する磁界の磁束が所定量以上侵入する位置にローラー11が到達する。これによりローラー11はA1点以上の温度に誘導加熱される。そして、加熱されたローラー11は誘導加熱コイル22に対して相対的に移動しつつ、ローラー11の外周面が冷却液流路23の噴出口23Aに対向する位置に到達し、ローラー11には噴出口23Aから冷却水などの冷却液が吹き付けられる。これにより、ローラー11はA1点以上の温度からMs点以下の温度に急冷される。以上の手順により、ローラー11は焼入硬化される。
さらにローラー11は冷却液流路23の噴出口23Aに対して相対的に移動し、ローラー11の外周面が焼戻用誘導加熱コイル25の内周面に対向する位置に到達する。これにより、ローラー11はA1点以下の所定の焼戻温度に加熱される。そして、加熱されたローラー11は焼戻用誘導加熱コイル25に対して相対的に移動しつつ、所定時間経過後、焼戻用誘導加熱コイル25による加熱が可能範囲である焼戻誘導加熱領域から離脱することにより、空冷される。以上の手順により、実施の形態3の焼入硬化工程および焼戻工程が実施される。
以上のような実施の形態3のロッカーアーム用転がり軸受またはロッカーアーム用すべり軸受の製造方法を採用することにより、ローラー11を熱処理のために一つ一つセットする必要がなくなり、ロッカーアーム用転がり軸受またはロッカーアーム用すべり軸受の生産性を一層向上させることができる。その結果、ロッカーアーム用転がり軸受またはロッカーアーム用すべり軸受を一層低コストで製造することができる。さらに、被処理物である複数のローラー11を誘導加熱を用いて焼入硬化および焼戻するための設備がコンパクトになり、熱処理設備のインライン化が一層容易となる。
なお、上述の実施の形態1〜3においては、軸12のロッカーアーム本体1Aへの固定の方法について、かしめを採用する場合を説明したが、本発明のロッカーアーム用転がり軸受およびロッカーアーム用すべり軸受はこれに限られず、たとえば圧入固定されてもよいし、両端を止め輪により固定されてもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明の製造方法で作製した本発明のロッカーアーム用転がり軸受およびロッカーアーム用すべり軸受のローラーについて、断面の硬度分布を調査する実験を行なった。
図9は、ローラーの断面の硬度分布の調査位置を示す概略断面図である。以下、図9を参照して実験の手順を説明する。実験に供する材料としてJIS S48C、S55C、SCM440、SCr445、SUJ2を選択した。旋削加工により内径φ15mm、外径φ21mm、厚さ3mmの円環状のローラーを作製した。その後、作製されたローラーに対して、図5に示す熱処理設備を使用し、実施の形態1の方法で焼入硬化処理および焼戻処理を実施した。そして、得られたローラーを軸方向に平行な面で切断し、図9に示すように当該断面の外周側から内周側に向かう測定方向αに沿って硬度を測定することにより、断面硬度分布を調査した。硬度の測定にはビッカース硬度計を使用した。
図10は実施例の実験結果を示す図である。図10においては、横軸がローラーの断面における外周側面からの距離(mm)、縦軸がビッカース硬度(HV)を示している。図10を参照して、硬度は材料の炭素含有量(炭素含有量はSCM440<SCr445<S48C<S55C<SUJ2である。)が多くなるにつれて高くなっている。そして、いずれの材料においても、目標値である700HVから800HVを満足しており、かつ断面内において一様に焼入硬化されている。このことから、本発明のロッカーアーム用転がり軸受およびロッカーアーム用すべり軸受に使用されるローラーは必要な硬度特性を満足していることが分かる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のロッカーアーム用転がり軸受、ロッカーアーム用すべり軸受およびロッカーアーム用軸受の製造方法は、環状の外輪と、外輪の内側に配置される軸とを備えたロッカーアーム用転がり軸受、ロッカーアーム用すべり軸受およびロッカーアーム用軸受の製造方法に特に有利に適用され得る。
1 ロッカーアーム、1A ロッカーアーム本体、1B 一方の端部、1C 他方の端部、1D アジャストねじ用貫通孔、1E 貫通孔、1F 端面、2 カム、2A カムシャフト、3 バルブ、4 ばね、5 ロックナット、6 ロッカーアーム軸、7 軸受メタル、8 アジャストねじ、10 ロッカーアーム用転がり軸受(ロッカーアーム用すべり軸受)、11 ローラー、12 軸、13 針状ころ、20 熱処理設備、21A 下部支持棒、21B 上部支持棒、22 誘導加熱コイル、23 冷却液流路、23A 噴出口、23B 冷却液流路保持台、24 冷却液噴出方向、25 焼戻用誘導加熱コイル、26 ローラー移動方向、27 コイル移動方向、30 熱処理設備。
Claims (10)
- 環状の外輪と、
前記外輪の内側に配置される軸と、
前記外輪と前記軸との間に配置される転動体とを備えたロッカーアーム用転がり軸受であって、
前記外輪の素材は、0.38質量%以上1.1質量%以下の炭素を含有する鋼であり、
前記外輪は、誘導加熱によりA1点よりも低い温度からA1点以上の温度に加熱された後、前記A1点以上の温度領域の所定の温度からMs点以下の温度に冷却されることにより焼入硬化されている、ロッカーアーム用転がり軸受。 - 前記外輪は、前記焼入硬化された後において、さらに誘導加熱によりA1点以下の温度に加熱された後冷却されて焼戻されている、請求項1に記載のロッカーアーム用転がり軸受。
- 前記外輪は、冷間鍛造を含む製造工程により製造されている、請求項1または2に記載のロッカーアーム用転がり軸受。
- 環状の外輪と、
前記外輪の内側に配置される軸とを備えたロッカーアーム用すべり軸受であって、
前記外輪の素材は、0.38質量%以上1.1質量%以下の炭素を含有する鋼であり、
前記外輪は、誘導加熱によりA1点よりも低い温度からA1点以上の温度に加熱された後、前記A1点以上の温度領域の所定の温度からMs点以下の温度に冷却されることにより焼入硬化されている、ロッカーアーム用すべり軸受。 - 前記外輪は、前記焼入硬化された後において、さらに誘導加熱によりA1点以下の温度に加熱された後冷却されて焼戻されている、請求項4に記載のロッカーアーム用すべり軸受。
- 前記外輪は、冷間鍛造を含む製造工程により製造されている、請求項4または5に記載のロッカーアーム用すべり軸受。
- 環状の外輪と、前記外輪の内側に配置される軸とを含むロッカーアーム用軸受の製造方法であって、
前記外輪を準備する外輪準備工程と、
前記外輪を焼入硬化する焼入硬化工程とを備え、
前記焼入硬化工程は、
前記外輪をA1点よりも低い温度からA1点以上の温度に加熱する加熱工程と、
前記加熱工程によりA1点以上の温度に加熱された前記外輪をMS点以下の温度に冷却する冷却工程とを含み、
前記加熱工程における加熱は誘導加熱により行なわれる、ロッカーアーム用軸受の製造方法。 - 前記加熱工程においては、前記外輪を誘導加熱するための加熱手段と前記外輪とが相対的に移動することにより、前記加熱手段による加熱が可能な領域の外部から前記領域の内部に前記外輪が進入して加熱される、請求項7に記載のロッカーアーム用軸受の製造方法。
- 前記焼入硬化工程の後において、前記外輪を誘導加熱によりA1点以下の温度に加熱した後冷却する焼戻工程をさらに備えた、請求項7または8に記載のロッカーアーム用軸受の製造方法。
- 前記焼戻工程においては、前記外輪を誘導加熱するための焼戻用加熱手段と前記外輪とが相対的に移動することにより、前記焼戻用加熱手段による加熱が可能な領域である焼戻誘導加熱領域の外部から前記焼戻誘導加熱領域の内部に前記外輪が進入して加熱される、請求項9に記載のロッカーアーム用軸受の製造方法。
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