JP2007051719A - 流体軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 シール容積を確保すると共に、モーメント荷重に対する高い負荷能力を有する流体軸受装置を提供する。また、シール容積を確保すると共に、高いシール機能を有する流体軸受装置を提供する。
【解決手段】 軸部材2の外周に第一シール部9、および第二シール部10が軸方向に離隔して固定され、第一シール部9の外周面9bとハウジング部7の上端内周面7a1との間、および第二シール部10の外周面10bとハウジング部7の下端内周面7a2との間にそれぞれ第一、第二シール空間S1、S2が形成される。また、第一シール部9の外周面9bに、第一シール部9の旋削加工により螺旋状の切削痕11が、第二シール部10の外周面10bに、第二シール部10の旋削加工により螺旋状の切削痕12がそれぞれ生成される。
【選択図】 図2
【解決手段】 軸部材2の外周に第一シール部9、および第二シール部10が軸方向に離隔して固定され、第一シール部9の外周面9bとハウジング部7の上端内周面7a1との間、および第二シール部10の外周面10bとハウジング部7の下端内周面7a2との間にそれぞれ第一、第二シール空間S1、S2が形成される。また、第一シール部9の外周面9bに、第一シール部9の旋削加工により螺旋状の切削痕11が、第二シール部10の外周面10bに、第二シール部10の旋削加工により螺旋状の切削痕12がそれぞれ生成される。
【選択図】 図2
Description
本発明は、軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材を相対回転自在に支持する流体軸受装置に関するものである。この軸受装置は、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク駆動装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、あるいはファンモータなどの小型モータ用として好適に使用可能である。
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化等が求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の1つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、上記要求性能に優れた特性を有する流体軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
この種の流体軸受は、軸受隙間内の潤滑流体に動圧作用を発生させるための動圧発生部を備えた動圧軸受と、動圧発生部を備えていない、いわゆる真円軸受(軸受断面が真円形状である軸受)とに大別される。
例えば、HDD等のディスク駆動装置のスピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置では、軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部又はスラスト方向に支持するスラスト軸受部の双方を動圧軸受で構成する場合がある。この種の流体軸受装置(動圧軸受装置)におけるラジアル軸受部としては、例えば軸受スリーブの内周面と、これに対向する軸部材の外周面との何れか一方に動圧発生部としての動圧溝を形成すると共に、両面間にラジアル軸受隙間を形成するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
通常、軸受スリーブはハウジングの内周の所定位置に固定され、また、ハウジングの内部空間に注油した潤滑油が外部に漏れ出るのを防止するために、ラジアル軸受隙間と連通するハウジングの開口部にシール部材を配設する場合が多い。シール部材の内周面は、軸部材の外周面との間にシール空間を形成し、このシール空間の容積は、ハウジングの内部空間に充満された潤滑油が使用温度範囲内での膨張、あるいは収縮によって体積変化する量よりも大きくなるように設定される。従って、温度変化に伴う潤滑油の体積変化があった場合でも、潤滑油の油面は常にシール空間内に維持される(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−239951号公報
特開2003−65324号公報
上述のように、従来の流体軸受装置では、ハウジングの開口部に固定したシール部材の内周面と軸部材の外周面との間にシール空間を形成しているが、このシール空間に、温度変化に伴う潤滑油の体積変化量を吸収する機能(バッファ機能)を持たせようとすると、シール空間(シール部材)の軸方向寸法を比較的大きく確保する必要がある。そのために、設計上、ハウジングの内部において、軸受スリーブの軸方向中心位置を相対的にハウジングの底部側(反シール部材側)に下げる必要が生じる。これにより、ラジアル軸受部の軸受中心と回転体重心との離間距離が大きくなり、使用条件等によっては、モーメント荷重に対する負荷能力が不足する場合が起こり得る。
また、上記シール空間のバッファ機能を高めるため、当該シール空間を形成するシール部材の内周面と軸部材の外周面との間の対向間隔を大きくとる方法も考えられるが、これだと、シール空間内の潤滑油が衝撃等により軸受外部に容易に漏れ出す恐れがあり好ましくない。
本発明の課題は、シール容積を確保すると共に、モーメント荷重に対する高い負荷能力を有する流体軸受装置を提供することである。
本発明の別の課題は、シール容積を確保すると共に、高いシール機能を有する流体軸受装置を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明は、ハウジング部と、ハウジング部の内部に設けられるスリーブ部と、ハウジング部およびスリーブ部に対して相対回転する軸部材と、スリーブ部と軸部材との間のラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で軸部材をラジアル方向に回転自在に支持するラジアル軸受部と、スリーブ部の少なくとも一端側に位置する環状のシール部とを備えたものにおいて、シール部は軸部材に設けられ、シール部の外周面の側にシール空間が形成され、シール部のシール空間に臨む外周面は、外周面の機械加工時に生成された加工痕を有し、加工痕は、シール空間内の流体をハウジング部の内部側に引込み可能な形状を有することを特徴とする流体軸受装置を提供する。
このように、本発明は、軸部材に設けられたシール部の外周面の側にシール空間を設けたことを第1の特徴とするものであり、これによれば、従来品に比べてシール空間の形成位置を外径側に移動させて、かかるシール容積を増加させることが可能となる。そのため、ハウジング部の内部空間に充満された流体(例えば潤滑油)の温度変化に伴う体積変化量を吸収可能な程度にシール容積を確保しつつも、シール空間(シール部)の軸方向寸法を縮小することが可能となる。従って、ハウジング部に対するスリーブ部の軸方向中心位置を従来よりも相対的にシール部の側に近づけて設定することができる。これにより、ラジアル軸受部の軸受中心と回転体重心との離間距離を小さくして、モーメント荷重に対する負荷能力を高めることができる。
また、本発明は、シール部のシール空間に臨む外周面が、この外周面の機械加工時に生成された加工痕を有し、加工痕は、シール空間内の流体をハウジング部の内部側に引込み可能な形状を有することを第2の特徴とするものである。
上述のように、シール空間を外径側に配設することにより、シール部の軸方向寸法を縮小することが可能となるが、その一方、シール空間の軸方向寸法が狭められることで、例えば衝撃等によりシール空間内の潤滑油が外部に飛散し易くなる恐れがある。本発明は、この点に鑑みて成されたものであり、上記構成によれば、シール空間内の流体が、シール部の外周面に生成された加工痕によってハウジング部の内部側に引込まれる。従って、シール空間の半径方向寸法をある程度大きく取りつつも、言い換えるとシール空間におけるシール容積を確保しつつも、高いシール性能を流体軸受装置に付与することが可能となる。また、上記加工痕は、シール部外周面の機械加工と同時にその外周面に形成されるものであるから、シール部の機械加工とは別に上記流体の引込み作用を生ずる手段をシール部に形成するための加工は必要無く、これにより加工工程の簡略化が図られる。
上記加工痕は、例えば旋削加工時に生成された螺旋状の切削痕であることが望ましい。この場合、シール部の外周全面に亘って均一な切削痕が得られ、これにより、流体のハウジング部の内部側(軸受内部側)への引込み作用がシール空間の周方向で均等に生じる。従って、流体の軸受外部への漏れ出しをもれなく防止することができる。
シール空間の幅(半径方向寸法)は軸方向に均一であってもよいが、よりシール性を高める観点から、シール空間は軸受内部方向に向けて漸次縮小したテーパ形状を有していることが好ましい。シール空間を上記テーパ形状とすることで、シール空間内の潤滑油がシール空間が狭くなる方向(例えばハウジング部の内部側)に向けて毛細管力により引き込まれる。そのため、軸受外部への潤滑油の漏れ出しが効果的に防止される。このような形状のシール空間を形成するための構成として、例えばシール部の外周面に、ハウジング部の外部に向けて漸次縮径するテーパ面を形成する構成を挙げることができる。かかる構成によれば、上記加工痕やテーパ状シール空間の毛細管力による引き込み作用に加え、軸部材の回転時、シール空間内の潤滑油が遠心力を受けてテーパ面に沿って狭小側に引込まれる作用(遠心力シール作用)を得ることができ、潤滑油の漏れ出しがより一層効果的に防止される。
以上のように、本発明によれば、シール容積を確保すると共に、モーメント荷重に対する高い負荷能力を有する流体軸受装置を提供することができる。また、高いシール機能を有する流体軸受装置を提供することができる。
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る流体軸受装置(動圧軸受装置)1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に支持する流体軸受装置1と、軸部材2に固定されたディスクハブ3と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3の内周に取付けられる。流体軸受装置1はブラケット6の内周に固定される。ディスクハブ3には、情報記憶媒体としてのディスクDが1又は複数枚(図1では2枚)保持される。上述のように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する励磁力でロータマグネット5が回転し、それによってディスクハブ3およびディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2は、流体軸受装置1を示している。この流体軸受装置1は、ハウジング部7と、ハウジング部7の内周に固定されるスリーブ部8と、ハウジング部7およびスリーブ部8に対して回転する軸部材2と、軸方向に離隔した状態でそれぞれ軸部材2に固定され、ハウジング部7の軸方向両端で第一シール空間S1、および第二シール空間S2を形成する第一シール部9、および第二シール部10とを備える。なお、説明の便宜上、流体軸受装置1から軸部材2のディスクハブ3圧入側端部が突出する側を上側、軸部材2の突出側と反対の側を下側として以下説明する。
ハウジング部7は両端開口の筒状をなし、例えば真ちゅう等の金属で、あるいはLCP、PPS、PEEK等の結晶性樹脂や、PPSU、PES、PEI等の非晶性樹脂をベースとする樹脂組成物の射出成形で形成される。ハウジング部7の内周面7aは軸方向に径一定でストレートな円筒面となっており、その軸方向中間位置にスリーブ部8を固定している。
スリーブ部8は、例えば金属製の非孔質体あるいは焼結金属からなる多孔質体で円筒状に形成される。この実施形態では、スリーブ部8は、銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング部7の内周面7aに、例えば接着(ルーズ接着を含む)、圧入(圧入接着を含む)、溶着(超音波溶着を含む)等、適宜の手段で固定される。もちろん、スリーブ部8を樹脂やセラミック等、金属以外の材料で形成することも可能である。
スリーブ部8の内周面8aの全面又は一部円筒領域には、ラジアル動圧発生部として複数の動圧溝を配列した領域が形成される。この実施形態では、例えば図3(a)に示すように、複数の動圧溝8a1、8a2をヘリングボーン形状に配列した領域が軸方向に離隔して2箇所形成される。これら動圧溝8a1、8a2の形成領域はそれぞれラジアル軸受面として軸部材2の外周面2aと対向し、軸部材2の回転時には、外周面2aとの間に後述する第一、第二ラジアル軸受部R1、R2のラジアル軸受隙間をそれぞれ形成する(図2を参照)。
スリーブ部8の上端面8bの全面又は一部環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図3(b)に示すように、複数の動圧溝8b1をスパイラル形状に配列した領域が形成される。この動圧溝8b1形成領域はスラスト軸受面として、第一シール部9の下端面9aと対向し、軸部材2の回転時には、下端面9aとの間に後述する第一スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
スリーブ部8の下端面8cの全面又は一部環状領域には、スラスト動圧発生部として、例えば図3(c)に示すように、複数の動圧溝8c1をスパイラル状に配列した領域が形成される。この動圧溝8c1形成領域はスラスト軸受面として、第二シール部10の上端面10aと対向し、軸部材2の回転時には、上端面10aとの間に後述する第二スラスト軸受部T2のスラスト軸受隙間を形成する(図2を参照)。
軸部材2は、例えばステンレス鋼等の金属材料で形成され、スリーブ部8の内周に挿入される。軸部材2は全体として概ね同径の軸状をなし、その外周面2aの軸方向中間部(動圧溝8a1、8a2形成領域と対向しない箇所)には、他所よりも僅かに小径に形成した逃げ部2bが形成される。また、軸部材2の外周面2aのうち、第一シール部9および第二シール部10の固定領域には円環溝2cがそれぞれ形成される。なお、この実施形態では、軸部材2は金属製の一体加工品であるが、例えば金属と樹脂とからなるハイブリッド軸(鞘部が金属で、芯部が樹脂など)とすることも可能である。
第一シール部9および第二シール部10は、例えば真ちゅう等の銅合金をはじめとする金属材料で環状に形成される。第一シール部9は、その下端面9aをスリーブ部8の上端面8bと対向させた状態で軸部材2の外周に固定され、第二シール部10は、その上端面10aをスリーブ部8の下端面8cと対向させた状態で軸部材2の外周に固定される。この際、第一シール部9の下端面9aと、第二シール部10の上端面10aとの軸方向対向間隔から、両面9a、10a間に配置されるスリーブ部8の軸方向寸法を減じた値が、後述する第一、第二スラスト軸受部T1、T2のスラスト軸受隙間の総和として設定される。なお、この実施形態では、軸部材2の外周面2aのうち、シール部9、10の固定領域にそれぞれ円環溝2cを設けたので、例えば接着剤を使用してシール部9、10の内周面9c、10cを軸部材2の外周面2aに固定する場合、上記円環溝2cが接着剤溜りとして作用し、これによりシール部9、10の軸部材2に対する接着強度(固定強度)が向上する。もちろん、各シール部9、10と軸部材2との固定手段としては、接着に限らず、圧入や圧入を伴った接着等、他の手段を用いることも可能である。
第一シール部9の外周面9bには、図2に示すように、上方(スリーブ部8から第一シール部9に向けて離隔する方向)に向けて漸次縮径する環状のテーパ面9b1が形成される。このテーパ面9b1は、例えば第一シール部9の外周面9bを旋削加工で形成する際、同時に旋削で形成される。従って、完成品としての第一シール部9のテーパ面9b1上には、例えば図2左上部に示すように、螺旋状の切削痕11が生成される。同様に、第二シール部10の外周面10bにも、下方(スリーブ部8から第二シール部10に向けて離隔する方法)に向けて漸次縮径する環状のテーパ面10b1が形成され、このテーパ面10b1上には、例えば図2左下部に示すように、螺旋状の切削痕12が生成される。
また、第一シール部9のテーパ面9b1上に生成される螺旋状の切削痕11は水平方向(回転軸に直交する方向)に対して傾斜しており、その傾斜方向は、スリーブ部8の、軸方向下方に向けて潤滑油を引込む動圧溝8a1上部領域の傾斜方向に一致している(図2および図3を参照)。かかる傾斜方向は、旋削加工時、ワークに対する切削刃の送り方向(例えばテーパ面9b1の小径側から大径側)により調整可能である。第二シール部10のテーパ面10b1上に生成される螺旋状の切削痕12についても、同様に、その傾斜方向は、軸方向上方に向けて潤滑油を引込む動圧溝8a2下部領域の傾斜方向と一致している。
上記構成の第一シール部9を軸部材2に固定した状態では、テーパ面9b1を含む外周面9bと、外周面9bに対向するハウジング部7の上端内周面7a1との間に、半径方向寸法が下方に向けて漸次縮小するテーパ状の第一シール空間S1が形成される。
同様に、上記構成の第二シール部10を軸部材2に固定した状態では、テーパ面10b1を含む外周面10bと、外周面10bに対向するハウジング部7の下端内周面7a2との間に、半径方向寸法が上方に向けて漸次縮小するテーパ状の第二シール空間S2が形成される。
上述のようにしてアセンブリを行った後、シール部9、10で密閉されたハウジング部7の内部空間に潤滑油を注油する。これにより、スリーブ部8の内部空孔を含む、軸受内部空間を潤滑油で充満した流体軸受装置1が完成する。この際、第一および第二シール空間S1、S2の容積の総和は、少なくとも流体軸受装置1の内部空間に充満した潤滑油の温度変化に伴う体積変化量よりも大きい。そのため、潤滑油の油面は、常に両シール空間S1、S2内に維持される。
このように、シール空間S1、S2は、軸部材2の外周に固定された第一、第二シール部9、10の外周面9b、10bとハウジング部7の両端内周面7a1、7a2との間に形成される。従って、ハウジング部に固定したシール部と軸部材の外周面との間にシール空間を形成する場合(例えば、特許文献2を参照)に比べ、シール空間をより外径側に形成することができ、これにより両シール部9、10の軸方向幅を縮小しつつもシール空間S1、S2のシール容積を確保することができる。そのため、例えばスリーブ部8のハウジング部7に対する軸方向固定位置を従来よりも上方(ディスクハブ3の側)に近づけて、ラジアル軸受部R1、R2の軸受中心と回転体(ここではディスクハブ3を固定した軸部材2)重心との離間距離を小さくし、流体軸受装置1のモーメント荷重に対する負荷能力を高めることができる。あるいは、流体軸受装置1全体の軸方向寸法はそのままで、スリーブ部8の軸方向幅を増大させることで、ラジアル軸受部R1、R2間の離間距離を大きくとることができるので、これによっても、モーメント荷重に対する負荷能力を高めることができる。なお、前者の場合には、少なくとも両シール部9、10の軸方向幅を縮小した分、流体軸受装置1の軸方向寸法を従来よりも小さくすることができ、これにより流体軸受装置1の小サイズ化を図ることが可能となる。
また、この実施形態では、第一シール部9の外周面9bに、第一シール空間S1内の潤滑油をハウジング部7の内部側に向けて引込み可能な形状を有する、螺旋状の切削痕11が形成されるので、第一シール空間S1内の潤滑油が螺旋状の切削痕11を伝って第一スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間外径部に引込まれる。これにより、流体軸受装置1内に充満した潤滑油の軸受外部への漏れ出しを可及的に防止することができる。また、この実施形態では、螺旋状をなす切削痕11の傾斜方向を、スリーブ部8の動圧溝8a1上部領域の傾斜方向に一致させているので、特に軸部材2の回転時、切削痕11による潤滑油の下方への引込み作用をさらに高めて、かかるシール作用が一層向上する。
また、この実施形態では、第一シール部9の外周面9bに、軸方向上方に向けて縮径するテーパ面9b1を形成したので、ハウジング部7の上端内周面7a1との間のシール空間S1は、下方に向けて半径方向寸法を漸次縮小した形状(テーパ形状)をなす。従って、軸部材2の回転時、螺旋状の切削痕11による潤滑油の引込み作用に加え、テーパ状のシール空間S1による引込み作用、および遠心力による引込み作用により、潤滑油の流体軸受装置1外部への漏れ出しが一層効果的に抑制される。同様に、第二シール部10および第二シール空間S2においても、軸部材2の回転時、螺旋状の切削痕12による潤滑油の引込み作用に加え、テーパ状のシール空間S2による引込み作用、さらには遠心力による引込み作用により、流体軸受装置1外部への潤滑油の漏れ出しが効果的に抑制される。
上記構成の流体軸受装置1において、軸部材2の回転時、スリーブ部8の内周面8aの動圧溝8a1、8a2形成領域は、軸部材2の外周面2aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間の潤滑油が動圧溝8a1、8a2の軸方向中心側に押し込まれ、その圧力が上昇する。このような動圧溝8a1、8a2の動圧作用によって、軸部材2をラジアル方向に非接触支持する第一ラジアル軸受部R1と第二ラジアル軸受部R2とがそれぞれ構成される(図2を参照)。
これと同時に、スリーブ部8の上端面8bに形成された動圧溝8b1形成領域とこれに対向する第一シール部9の下端面9aとの間のスラスト軸受隙間、およびスリーブ部8の下端面8cに形成された動圧溝8c1形成領域とこれに対向する第二シール部10の上端面10aとの間のスラスト軸受隙間に、動圧溝8b1、8c1の動圧作用により潤滑油の油膜がそれぞれ形成される。そして、これら油膜の圧力によって、軸部材2をスラスト方向に非接触支持する第一スラスト軸受部T1と第二スラスト軸受部T2とがそれぞれ構成される。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されることなく、上記以外の構成をなす流体軸受装置にも適用可能である。
上記実施形態では、シール部9、10の機械加工により外周面9b、10bに生成された加工痕として、各テーパ面9b1、10b1上に生成された螺旋状の切削痕11、12を例示したが、シール空間S1、S2内の潤滑油を軸受内部に引込む形状を有する限り、他形状の加工痕であってもよい。また、各シール部9、10の機械加工も旋削に限ることなく、例えば砥石による研削加工等によって上記加工痕を形成しても構わない。
また、上記実施形態では、シール部9、10の外周に設けたテーパ面9b1、10b1と、ストレート形状をなすハウジング部7の両端内周面7a1、7a2との間にテーパ状のシール空間S1、S2を形成した場合を説明したが、これとは逆に、シール部9、10の外周面9b、10bをストレート面とし、ハウジング部7の両端内周面7a1、7a2をそれぞれ軸受外部に向けて拡径するテーパ面(図示は省略)とすることも可能である。もちろん、対向する両面9b、7a1(10b、7a2)を何れもテーパ面形状とすることもでき、あるいは何れもストレート面であっても構わない。
また、上記実施形態では、軸部材2に二つのシール部9、10を固定し、これによりハウジング部7の両端開口部をそれぞれシールする構造を例示したが、本発明は、一端を閉口したハウジング部を有し、その他端開口部を、軸部材に固定された一のシール部でシールする構造の流体軸受装置(図示は省略)についても適用可能である。
また、以上の実施形態では、ハウジング部7とスリーブ部8とをそれぞれ別体とし、スリーブ部8をハウジング部7の内部に固定する場合を説明したが、これらを金属又は樹脂の一体品とすることも可能である。あるいは一方の金属製部品をインサート部品として他方の部品と共に樹脂でインサート成形することも可能である。
また、以上の実施形態では、動圧溝などの動圧発生部を、スリーブ部8の内周面8aや上端面8b、下端面8cの側に形成した場合を説明したが、この形態に限られる必要はない。例えばこれら動圧発生部を、これらと対向する軸部材2の外周面2aや第一シール部9の下端面9a、第二シール部10の上端面10aの側に形成することもできる。以下に示す形態の動圧発生部についても同様に、対向する軸部材2やシール部9、10の側に形成することができる。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2やスラスト軸受部T1、T2として、へリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑流体の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ラジアル軸受部R1、R2として、図示は省略するが、軸方向の溝を円周方向の複数箇所に配列した、いわゆるステップ状の動圧発生部、あるいは、円周方向に複数の円弧面を配列し、対向する軸部材2の外周面2aとの間に、くさび状の径方向隙間(軸受隙間)を形成した、いわゆる多円弧軸受を採用してもよい。
あるいは、スリーブ部8の内周面8aを、動圧発生部としての動圧溝や円弧面等を設けない真円内周面とし、この内周面と対向する軸部材2の真円状外周面2aとで、いわゆる真円軸受を構成することができる。
また、スラスト軸受部T1、T2の一方又は双方は、同じく図示は省略するが、スラスト軸受面となる領域に、複数の半径方向溝形状の動圧溝を円周方向所定間隔に設けた、いわゆるステップ軸受、あるいは波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等で構成することもできる。
また、スラスト軸受部T1、T2を、動圧溝の動圧作用により、軸部材2を非接触支持するもので構成する以外に、例えば軸部材2の端部を球面状とし、これに対向するスラスト軸受面との間で接触支持する、いわゆるピボット軸受で構成することも可能である
1 流体軸受装置
2 軸部材
3 ディスクハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
7 ハウジング部
7a 内周面
8 スリーブ部
8a1、8a2 動圧溝
8b 上端面
8c 下端面
9 第一シール部
9b 外周面
9b1 テーパ面
10 第二シール部
10b 外周面
10b1 テーパ面
11、12 切削痕(加工痕)
S1、S2 シール空間
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
2 軸部材
3 ディスクハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
7 ハウジング部
7a 内周面
8 スリーブ部
8a1、8a2 動圧溝
8b 上端面
8c 下端面
9 第一シール部
9b 外周面
9b1 テーパ面
10 第二シール部
10b 外周面
10b1 テーパ面
11、12 切削痕(加工痕)
S1、S2 シール空間
R1、R2 ラジアル軸受部
T1、T2 スラスト軸受部
Claims (3)
- ハウジング部と、該ハウジング部の内部に設けられるスリーブ部と、前記ハウジング部および前記スリーブ部に対して相対回転する軸部材と、前記スリーブ部と前記軸部材との間のラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で前記軸部材をラジアル方向に回転自在に支持するラジアル軸受部と、前記スリーブ部の少なくとも一端側に位置する環状のシール部とを備えた流体軸受装置において、
前記シール部は前記軸部材に設けられ、前記シール部の外周面の側にシール空間が形成され、
前記シール部のシール空間に臨む外周面は、該外周面の機械加工時に生成された加工痕を有し、該加工痕は、前記シール空間内の流体を前記ハウジング部の内部側に引込み可能な形状を有することを特徴とする流体軸受装置。 - 前記加工痕は、旋削加工時に生成された螺旋状の切削痕である請求項1記載の流体軸受装置。
- 前記シール部の外周面に、前記ハウジング部の外部に向けて漸次縮径するテーパ面が形成される請求項1記載の流体軸受装置。
Priority Applications (5)
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JP2005237735A JP2007051719A (ja) | 2005-08-18 | 2005-08-18 | 流体軸受装置 |
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2005237735A JP2007051719A (ja) | 2005-08-18 | 2005-08-18 | 流体軸受装置 |
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Family Applications (1)
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-
2005
- 2005-08-18 JP JP2005237735A patent/JP2007051719A/ja not_active Withdrawn
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