JP2007051664A - 逆入力遮断クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】 内部から発する異音および振動を低減できる逆入力遮断クラッチを提供する。【解決手段】 この逆入力遮断クラッチ3は、回転自在な入力部材16と、回転自在な出力部材17と、回転が拘束される静止側部材18と、入力部材16に作用する入力トルクを出力部材17に伝達するトルク伝達手段19と、出力部材17に作用する逆入力トルクが入力部材16へ伝達されるのを遮断するロック手段20とを備える。ロック手段20は、出力部材17に作用する逆入力トルクに対し、出力部材17と静止側部材18とを、これら出力部材17と静止側部材18間に介在した係合子15によりロックして入力部材16へのトルク伝達を遮断する。前記係合子15の表面には燐酸塩被膜を設ける。
【選択図】 図1

Description

この発明は、車両の操舵装置や、その他、電動モータで駆動されるアクチュエータ等に使用されるローラタイプやスプラグタイプの逆入力遮断クラッチに関する。
近年、ボールねじを用いた電動アクチュエータには、クラッチを組み込んだ構成のものがある。このような電動アクチュエータを用いた車輪操舵装置の一例として、ボールねじのナットをモータで回転させ、ボールねじのねじ軸を軸方向に進退させることで、車輪支持部材を介して車輪を操舵可能としたものが提案されている(例えば特許文献1)。
車輪操舵装置におけるボールねじは、モータからの回転トルクを高い効率で軸方向推力に変換する反面、車両が横風を受けるなどの外力を受けた時に、モータロータに発生するトルクが大きくなり、車輪の操舵性が悪化することが懸念される。この問題を解決するために、特許文献1に開示の車輪操舵装置では、モータからの入力トルクを出力側に伝達し、逆に出力側から入力側への回転伝達を遮断するクラッチを具備している。
車輪操舵装置に限らず自動車用アクチュエータでは、電動化が進むにつれてモータ駆動による装置が増加することから、逆入力トルクによるモータへの過負荷防止やモータの小型化のために、逆入力遮断クラッチの適用が必要となってきている。
一方、ローラタイプの逆入力遮断クラッチにおいては、入力トルクと逆入力トルクが出力部材に対して同方向に作用して、入力部材の回転数よりも逆入力トルクによる回転数が大きい場合、ロック解除後に出力部材が回転し、再度ロック状態となる。その結果、それ以後、ロック解除と再ロックとが短時間で交互に繰り返されることとなり、クラッチ内部で異音や振動が発生することがある。この問題を解決する逆入力遮断クラッチとして、入力部材と出力部材との間にフリクションを設けて出力部材の回転数を減じることで、ロック解除と再ロックの繰り返しを回避し、異音や振動の発生を防止するものも提案されている(例えば特許文献2)。
特開2003−81106号公報 特開2002−173053号公報
特許文献2に開示の逆入力遮断クラッチは、逆入力トルクが比較的軽負荷で、摩擦効果が得られる場合には有効であるが、逆入力トルクが大きい場合には、トルクの大きさに見合う摩擦量にしなければならない。その結果、電動モータで駆動する場合には、駆動源であるモータの負荷を増大させることになり、消費電力が大きくなったり、モータ焼損の原因になることがある。また、電動アクチュエータの場合、摩擦を大きくした場合の問題として、アクチュエータの作動応答性が悪くなる等、所望の性能が得られないこともある。 さらに、逆入力トルクが大きくなれば、クラッチの解除力が大きくなり、ひいてはロック解除と再ロック時に発生する異音や振動も大きくなる。
また、ローラタイプの逆入力遮断クラッチ、特に、トルクダイオードに代表されるくさび部の2箇所にローラを配置したものでは、出力側(保持したい側)のバックラッシュは非常に小さいものの、位置が接近する。その結果、特有な現象として、ローラ解除方向と、外部荷重が作用した場合の出力軸(カム面)の回転方向が一致した場合、解除直後にローラがくさび部にロックし、さらにモータよりトルク入力後にロック解除という動作を繰り返すことによりガタツキ音が生じることがある。
特に、周囲の温度変化、あるいは回転による部材からの発熱によりクラッチ周囲の温度が上昇した場合、潤滑剤の粘度が低下する(グリースの場合、ちょう度低下)ことで、ローラ係合面の潤滑剤介入量が不足するか、あるいは油膜形成能力が低下するため、前記ガタツキ音が顕著になる場合がある。
この発明の目的は、内部から発する異音および振動を低減できる逆入力遮断クラッチを提供することである。
この発明の逆入力遮断クラッチは、回転自在な入力部材と、回転自在な出力部材と、回転が拘束される静止側部材と、入力部材に作用する入力トルクを出力部材に伝達するトルク伝達手段と、出力部材に作用する逆入力トルクに対し、出力部材と静止側部材とを、これら出力部材と静止側部材間に介在した係合子によりロックして入力部材へのトルク伝達を遮断するロック手段とを備え、前記係合子が係合・離脱する静止側部材と出力部材との間にグリースを介在させた逆入力遮断クラッチにおいて、前記係合子の表面に燐酸塩被膜を設けたことを特徴とする。
この構成の逆入力遮断クラッチでは、係合子の表面に燐酸塩被膜を設けているので、内部から発する異音および振動を低減できる。すなわち、逆入力遮断クラッチの使用状況として、係合子と、静止側部材および出力部材との間に高荷重・高面圧下での金属接触が起きて、摩擦係数が高くなる場合や、周辺雰囲気温度の上昇、あるいは回転によるクラッチ周辺の温度上昇が生じて、グリースの油膜形成が不十分になる場合にも、係合子の摩擦係数が過度に上昇することがないので、内部から発する異音および振動を低減できる。経時時には、被膜の剥がれの懸念が当然にあるが、グリース潤滑としたため、被膜成分がグリース内に均一に分散し、初期状態とほぼ同等の性能を発揮する。
係合子が接触する静止側部材の面にも燐酸塩被膜を設けた場合は、異音・振動の低減効果がさらに向上する。
なお、この逆入力遮断クラッチでは、入力側部材に回転トルクが入力されると、まず、ロック手段によるロックが解除され、その状態で入力側部材からの回転トルクがトルク伝達手段を介して出力側部材に伝達される。一方、出力側部材からの逆入力トルクは、ロック手段を介して出力側部材と静止側部材との間でロックされる。したがって、入力側からの回転トルクは出力側に伝達されるのに対して、出力側からの逆入力トルクは入力側に伝わらずに遮断される機能が得られる。
上記ロック手段には、楔係合力、凹凸形状力、摩擦力、磁気力、電磁力、流体圧力、流体粘性抵抗力、微粒子媒体などによって回転拘束力を付与するものが含まれるが、構造や制御機構の簡素化、動作の円滑化、コストの面などから、楔係合力によって回転拘束力を付与するものが好ましい。
具体的には、前記係合子がローラであり、前記ロック手段が、出力部材と静止側部材の間に形成された隙間と、この隙間に対して楔係合状態と空転状態とに切り替わる前記ローラとでなるものが好ましい。前記係合子はスプラグであっても良い。
試験によると、ローラクラッチ、特に逆入力遮断型の2ウェイクラッチにおいて、そのロック・解除繰り返し時の異音発生の低減対策として、ローラに被膜処理、特に、燐酸塩被膜処理がその低減効果を発揮することが分かった。経時時には、被膜の剥がれの懸念が当然にあるが、電動アクチュエータに使用される場合、そのクラッチの潤滑はグリースで行われることが殆どのケースであり、被膜成分がグリース内に均一に分散し、初期状態とほぼ同等の性能を発揮する。
この発明の逆入力遮断クラッチは、回転自在な入力部材と、回転自在な出力部材と、回転が拘束される静止側部材と、入力部材に作用する入力トルクを出力部材に伝達するトルク伝達手段と、出力部材に作用する逆入力トルクに対し、出力部材と静止側部材とを、これら出力部材と静止側部材間に介在した係合子によりロックして入力部材へのトルク伝達を遮断するロック手段とを備え、前記係合子が係合・離脱する静止側部材と出力部材との間にグリースを介在させた逆入力遮断クラッチにおいて、前記係合子の表面に燐酸塩被膜を設けたため、内部から発する異音および振動を低減することができる。
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3と共に説明する。図1は、この実施形態の逆入力遮断クラッチを組み込んだボールねじの要部断面図を示す。このクラッチ付きボールねじ1は、ねじ軸4とナット5のねじ溝4a,5a間に複数のボール(図示せず)を介在させたボールねじ部2と、このボールねじ部2の前記ナット5に入力部材16の回転を伝達する逆入力遮断クラッチ3とを備える。
ボールねじ部2は、ねじ溝4a,5a間に介在させたボールを循環させる循環路(図示せず)を有している。この循環路は、ねじ溝4a,5a間で形成される螺旋状のボール転走路を、その両端を連結して周回経路とするものであり、ナット5に設けられた駒6やリターンチューブ等の循環用部材により構成される。前記ねじ軸4の一端部は、ハウジング7の一端部7bの内周にスプライン等を介して嵌合されて、軸方向への進退のみが可能で回転不能となるようにされている。
前記ナット5は、ハウジング7の本体7a内の一端部(図1中の左側)に軸受8を介して回転自在に支持されている。前記軸受8は、複列のアンギュラ玉軸受とされ、その内輪9は分割型とされている。ナット5の外周に嵌合する前記軸受8の内輪9は、その一端の幅面をナット5の外周に一体形成されたフランジ5bに押し当てると共に、他端の幅面をナット5の一端部外径面に螺合する内輪固定ナット11で締め付けることにより、軸方向に締め付け固定されている。また、ハウジング本体7aの内周に嵌合する前記軸受8の外輪10は、その一端の幅面をハウジング本体7aの内周に形成された段部7cに押し当てると共に、他端の幅面をハウジング本体7aの内径面に螺合する外輪固定ナット12で締め付けることにより、軸方向に締め付け固定されている。
逆入力遮断クラッチ3は、逆入力制限型の2ウェイクラッチであり、回転自在な入力部材16と、回転自在な出力部材17と、回転が拘束される静止側部材18と、入力部材16に作用する入力トルクを出力部材17に伝達するトルク伝達手段19と、ロック手段20とを備え、出力部材17から入力部材16への回転は伝達するが、出力部材17から入力部材16への回転伝達は遮断するように構成される。
入力部材16は中空軸とされ、その内部に前記ねじ軸4の他端部(図1中の右側)が進退自在に挿入される。この入力部材16は、軸受21,22によってハウジング本体7a内の前記ナット5と軸方向に対向する位置に回転自在に支持されている。軸受21,22は玉軸受等の転がり軸受からなる。出力部材17は、前記ナット5と、このナット5の軸方向の他端部に設けられた円筒部5c(図1中の右側)の外周に、ナット5に対して回り止め状態に嵌合されたクラッチ内輪13とでなる。
トルク伝達手段19は、入力部材16のナット5と対向する端面から軸方向に突出させたスイッチングピン23を、クラッチ内輪13の入力部材16と対向する端面に設けられた円周方向の長孔等からなる遊嵌凹部24に挿入したものである。このトルク伝達手段19により、入力部材16とクラッチ内輪13とが回転方向の遊びを持たせて連結される。
ロック手段20は、出力部材17に作用する逆入力トルクに対し、出力部材17と静止側部材18とを、これら出力部材17と静止側部材18間に介在した複数の係合子15によりロックして入力部材16へのトルク伝達を遮断する手段である。このロック手段20は、出力部材17と静止側部材18の間に形成された楔状隙間と、この隙間に対して楔係合状態と空転状態とに切り替わる前記複数の係合子15とでなる。複数の係合子15はローラからなり、クラッチ内輪13とクラッチ外輪である静止側部材18間に介在する。保持器14は入力部材16の一端部(図1中の左側)に一体に形成されるリング状の部材であり、クラッチ内輪13と静止側部材18の間に挿通されて前記係合子15を保持する。
クラッチ外輪となる静止側部材18の内径面におけるクラッチ内輪13との対向面は、円筒面25からなる。クラッチ内輪13は、図2に示すように外径面における円周方向の複数箇所にカム面26が形成され、これら各カム面26と静止側部材18の円筒面25との間に係合子15が配置される。カム面26は、静止側部材18の円筒面25との間に、係合子15が噛み込む楔隙間を形成する面である。カム面26は平坦面とされ、上記楔隙間として正逆両方向の楔隙間を形成する。両側の楔隙間は対称形状となる。保持器14は、各係合子15を保持するポケット27を有する。このポケット27は、係合子15が遊びを持って嵌まる保持器円周方向幅に形成されている。ポケット27内には、係合子15をポケット27の中央側へ付勢する弾性体28が係合子15の両側に配置されている。弾性体28は、例えば板ばねからなり、保持器14に取付けられている。なお、図2では、構成を理解し易くするために、クラッチ内輪13、保持器14等の径方向寸法の相互関係を図1の場合と異ならせている。
係合子15は、クラッチ内輪13に対して、このクラッチ内輪13に係合しない中立位置(図2に図示された位置)であるカム面26の中央位置から、カム面26と静止側部材18の円筒面25との間に形成される上記楔隙間への最進入位置となる係合作動位置P1、P2(図3)まで移動可能である。この移動は正逆両方向に可能であり、上記位置P1,P2間の2倍の距離だけ、係合子15はクラッチ内輪13に対して移動可能である。保持器14とクラッチ内輪13との回転方向の遊びの大きさ、つまり上記スイッチングピン23と遊嵌凹部24とで許された遊びの大きさX(片側の遊びの大きさ)は、係合子15が中立位置から係合作動位置,P1,P2まで移動する移動量とほぼ同じに設定される。
係合子15の表面には燐酸塩被膜が設けられる。また、静止側部材18の前記係合子15が接触する円筒面25にも燐酸塩被膜が設けられる。これら燐酸塩被膜は、例えば膜厚5μm程度とされる。係合子15が係合・離脱する静止側部材18と出力部材17との間にはグリースが介在させられる。
入力部材16の外周にはギヤ29が設けられ、モータ30の回転出力を減速する減速機31のギヤ32が入力部材16のギヤ29に噛み合っている。これにより、モータ30の回転出力が減速機31で減速されて入力部材16に伝達される。
上記構成の作用を説明する。入力部材16が例えば時計方向に回転すると、図3(A)のように入力部材16と一体の保持器14が回転方向の遊び分だけクラッチ内輪13に対して相対回転し、その保持器14の回転により、係合子15が係合作動位置P2に移動する。この状態から入力部材16が引き続き回転すると、入力部材16とクラッチ内輪13がスイッチピン23を介して連結した状態になるため、クラッチ内輪13が共回りし、ボールねじ部2のナット5に回転が伝えられる。入力部材16が反時計方向に回転した場合にも、同様の作用により、その回転がクラッチ内輪13からナット5に伝達され、ナット5の回転はねじ軸4の進退動作に変換される。
逆に、外部からボールねじ部2のねじ軸4にこれを進退移動させる逆入力が加わった場合、その進退移動がナット5の回転に変換される。図2の状態から、上記逆入力により例えばナット5が反時計方向に回転すると、図3(B)のように入力部材16と一体の保持器14に対してクラッチ内輪13が反時計方向に回転し、相対的に係合子15が係合作動位置P2に移動し、係合子15を介してクラッチ内輪13が静止側部材18にロックされる。これにより、ナット5はそれ以上回らなくなり、入力部材16にナット5の回転が伝わらない。すなわち、ナット5からの逆入力が入力部材16に伝達されることが防止される。逆入力によるナット5の回転が時計方向の場合にも、同様の作用により入力部材16への伝達が防止される。
このように、上記逆入力遮断クラッチ3では、入力部材16の回転を出力部材17に効率良く伝達でき、かつ出力部材17から入力部材16へ伝わろうとする逆入力を制限できる。
また、係合子15の表面には燐酸塩被膜を設けているので、内部から発する異音および振動を低減できる。すなわち、逆入力遮断クラッチ3の使用状況として、係合子15と、静止側部材18および出力部材17との間に高荷重・高面圧下での金属接触が起きて、摩擦係数が高くなる場合や、周辺雰囲気温度の上昇、あるいは回転によるクラッチ周辺の温度上昇が生じて、グリースの油膜形成が不十分になる場合にも、係合子15の摩擦係数が過度に上昇することがないので、内部から発する異音および振動を低減できる。また、この実施形態では、係合子15が接触する静止側部材18の円筒面25にも燐酸塩被膜を設けているので、異音・振動の低減効果がさらに向上する。
なお、係合子15に設けた燐酸塩被膜は経時的には剥離の懸念が当然あるが、上記逆入力クラッチ3を電動アクチュエータに使用する場合には、そのクラッチの潤滑は殆どグリースで行われるので、剥離した燐酸塩被膜の成分がグリース内に均一に分布し、初期状態とほぼ同一の異音・低減性能を発揮できる。
図4は、この逆入力遮断クラッチ3の異音・振動低減効果を確認するために実施した試験方法を示す。この試験方法は、上記構成のクラッチ付きボールねじ1を用いて、逆入力遮断クラッチ3から発生するロック・解除連続音の評価を行うものである。すなわち、ボールねじ部2のねじ軸4の軸端に例えば油圧サーボ式の加振装置33を連結し、軸端より所定のスラスト荷重を負荷すると共に、振動負荷を負荷する。この状況において、クラッチ付きボールねじ1を動作させて、逆入力遮断クラッチ3から発生する振動を、係合子の表面に燐酸塩被膜を設けない逆入力遮断クラッチの場合と比較して測定する。
具体的には、ねじ軸4がスラスト荷重負荷側へ移動する時の振動状態、すなわち入力トルクと逆入力トルクが同方向に作用する時の振動状態を、逆入力遮断クラッチ3の静止側部材18の近傍に取付けた加速度ピックアップ34で測定する。また、この試験方法では、静止側部材18の近傍に取付けた熱電対35で逆入力遮断クラッチ3の表面温度をモニターする。
なお、この試験方法では、制振未対策の逆入力遮断クラッチは、実施形態の逆入力遮断クラッチ3とほぼ同等の構成のものとし、燐酸塩被膜を設けるか否かだけが制振未対策の逆入力遮断クラッチと実施形態の逆入力遮断クラッチ3とで異なるようにしている。すなわち、実施形態の逆入力遮断クラッチ3では、係合子15の表面に燐酸塩被膜を設ける。燐酸塩被膜の膜厚は5μmとした。静止側部材18の円筒面15には被膜処理を行っていない。制振未対策の逆入力遮断クラッチでは、係合子の表面にも静止側部材の円筒面にも燐酸塩被膜を設けていない。
図5および図6は上記試験の結果を示す振動平均値のグラフであり、図7および図8は上記試験の結果を示す振動波形図である。なお、同グラフおよび波形図において、「対策前」とは上記制振未対策のクラッチの場合を示し、「実施例」とは上記実施形態のクラッチ3の場合を示す。
これらのグラフおよび波形図から、実施例のクラッチでは未対策例のクラッチに比べて異音・振動が低減されることが分かる。図5および図6に示す振動平均値のグラフによると、スラスト荷重2300Nを負荷した場合には、実施例の振動平均値は未対策例に比べて36%低減されており、スラスト荷重4650Nを負荷した場合には、実施例の振動平均値は未対策例に比べて49%低減されていることが分かる。
以上のように、荷重が増加し、より係合子15の面圧が上昇した場合に、顕著な効果を示すことが分かる。
図9ないし図15は、逆入力遮断クラッチの他の実施形態を示す。この逆入力遮断クラッチ3Aは、スプラグからなる係合子15Aを用いたものである。クラッチ外輪となる静止側部材18Aはケーシング(図示せず)に固定される。静止側部材18Aの内径面は、円筒面39で形成されている。静止側部材18Aの内部には、その両側から軸芯上に沿って軸部材である入力部材16Aと出力部材17Aが挿入され、入力部材16Aの外径面に外側保持器14Aが圧入固定されている。出力部材17Aの外径面は、静止側部材18Aの円筒面39と同軸の円筒面38で形成され、その円筒面38に、円筒形をした内側保持器40がスイッチングピン23Aによりノックピン固定されている。外側保持器14Aと内側保持器40には、それぞれ円周方向に等間隔で複数のポケット41,42が形成され、その対向する各ポケット41,42に、スプラグからなる係合子15Aと、係合子15Aを保持する弾性体28Aとが組込まれている。弾性体28Aは、板ばね等のばねからなる。
スプラグからなる係合子15Aは、図11に示すように、外径側にO1を中心とする曲率半径R1の2つのカム面43,44を有し、内径側にO2を中心とする曲率半径R2のカム面45を有しており、円周方向に傾動した時、カム面43と45(反対側に傾動した場合はカム面44と45)が静止側部材18Aの円筒面39と出力部材17Aの円筒面38に接触し、係合作動状態(クラッチの噛合い可能状態)となるようになっている。弾性体28Aは、入力部材16Aが出力部材17Aと円周方向に中立状態にある場合は、スプラグからなる係合子15Aを両側から押圧して起立させ、各円筒面38,39と係合子15Aとを係合しない中立位置に保持している。
一方、出力部材17Aの表面には、図10に示すように半径方向に延びるスイッチングピン23Aが固定され、そのスイッチングピン23Aの先端が、外側保持器14Aの周面に設けた角孔等からなる遊嵌凹部24Aに嵌入されている。この遊嵌凹部24Aの円周方向の両側壁46,47とスイッチングピン23Aとの間には、外側保持器14A(入力部材16A)と出力部材17Aの相対回転を許容する回転方向遊びYが形成されている。この回転方向遊びYの大きさは、図11において、スプラグからなる係合子15Aが係合しない中立位置から係合動作位置まで移動するのに必要な回転両とほぼ同じ大きさに設定されている。
上記スイッチングピン23Aと遊嵌凹部24Aとで、入力部材16Aに作用する入力トルクを出力部材17Aに伝達するトルク伝達手段19Aが構成される。また、出力部材17Aに作用する逆入力トルクが入力部材16Aに伝達されるのを遮断するロック手段20Aは、上記係合子15A、内外保持器40,14Aのポケット41,42などで構成される。
係合子15Aの表面、および静止側部材18Aの円筒面39に燐酸塩被膜を設けることは、先の実施形態の場合と同じである。
この構成の逆入力遮断クラッチ3Aの動作を説明する。入力部材16Aが出力部材17Aと円周方向に中立状態にある場合は、図12に示すように係合子15Aは弾性体28Aの付勢により円筒面38,39間に係合しない中立状態に保たれる。いま、図13のように、入力部材16Aが矢印方向に回転した場合、入力部材16Aの固定された外側保持器14Aも回転を始める。この外側保持器14Aの回転により、弾性体28Aがスプラグの係合子15Aを傾動させ、係合子15Aのカム面43と45(または44と45)のそれぞれが静止側部材18Aの円筒面39と出力部材17Aの円筒面38に係合し、係合作動状態となる。しかし、このとき、外側保持器14Aの回転により、遊嵌凹部24Aの側壁46(あるいは47)と出力部材17Aに固定されたスイッチングピン23Aが接触点Aで接触するため、入力部材16A(外側保持器14A)と出力部材17A(内側保持器40)および係合子15Aは一体となって回転を始める。この時、係合子15Aは、係合作動状態になっているものの出力部材17Aが回転を始めるため、静止側部材18Aの円筒面39との接触点での摩擦により起立する側に荷重を受け、クランプすることなく入力部材16Aの回転が出力部材17Aに伝達される。
一方、出力部材17A側で反力が発生し、出力部材17Aが図14の矢印方向に回転しようとした場合、スプラグの係合子15Aは所定の楔角αを持って内外の円筒面38と39間に係合するため、出力部材17Aの回転は止まり、入力部材16Aには伝達されない。このとき、係合子15Aが図のように係合した状態から入力部材16Aを回転させる状態を考えると、先ず、図14で入力部材16Aを時計回りに回転させた場合は、外側保持器14Aの遊嵌凹部24Aの側壁46とスイッチングピン23Aが接触するため、出力部材17Aも時計回りに回転し、係合子15Aは静止側部材18Aの円筒面39との接触により起立する方向に摩擦力を受けて空転し、出力部材17Aは入力部材16Aにより回転させられる。一方、図15で入力部材16Aを反時計回りに回転させた場合は、外側保持器14Aのポケット41の側面が係合子15Aと接触点Bで接触し、内外の円筒面38,39間に係合していた係合子15Aが起立させられ、係合が解除されるため、逆回転が可能になる。
このようなスプラグタイプの逆入力遮断クラッチ3Aにおいても、係合子15Aの表面(静止側部材18Aの円筒面39も)に燐酸塩被膜を設けたことにより、内部から発する異音および振動を低減できるという効果が得られる。
この発明の第1の実施形態に係る逆入力遮断クラッチを備えたクラッチ付きボールねじを示す縦断面図である。 同クラッチの横断面図である。 同クラッチの動作説明図である。 同クラッチの異音・振動低減効果の試験方法を示す説明図である。 同クラッチの異音・振動低減効果の試験結果の一例を示すグラフである。 同クラッチの異音・振動低減効果の試験結果の他の例を示すグラフである。 同クラッチの振動低減効果の試験結果の一例を示す波形図である。 同クラッチの振動低減効果の試験結果の他の例を示す波形図である。 この発明の他の実施形態に係る逆入力遮断クラッチを示す縦断面図である。 同クラッチの横断面図である。 同クラッチの係合子の配置部を拡大して示す断面図である。 同クラッチの入力部材の停止状態を示す断面図である。 同クラッチの入力部材による駆動状態を示す断面図である。 同クラッチの入力部材による出力部材からの逆駆動状態を示す断面図である。 同クラッチのクランプ解除状態を示す断面図である。
符号の説明
3,3A…逆入力遮断クラッチ
15,15A…係合子
16,16A…入力部材
17,17A…出力部材
18,18A…静止側部材
19,19A…トルク伝達手段
20,20A…ロック手段

Claims (4)

  1. 回転自在な入力部材と、回転自在な出力部材と、回転が拘束される静止側部材と、入力部材に作用する入力トルクを出力部材に伝達するトルク伝達手段と、出力部材に作用する逆入力トルクに対し、出力部材と静止側部材とを、これら出力部材と静止側部材間に介在した係合子によりロックして入力部材へのトルク伝達を遮断するロック手段とを備え、前記係合子が係合・離脱する静止側部材と出力部材との間にグリースを介在させた逆入力遮断クラッチにおいて、
    前記係合子の表面に燐酸塩被膜を設けたことを特徴とする逆入力遮断クラッチ。
  2. 請求項1において、前記静止側部材の前記係合子が接触する面に、燐酸塩被膜を設けた逆入力遮断クラッチ。
  3. 請求項1または請求項2において、前記係合子がローラであり、前記ロック手段が、出力部材と静止側部材の間に形成された隙間と、この隙間に対して楔係合状態と空転状態とに切り替わる前記ロータとでなる逆入力遮断クラッチ。
  4. 請求項1または請求項2において、前記係合子がスプラグである逆入力遮断クラッチ。
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