JP2007051318A - 食塩水電解装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩素とアルカリを適切に処理しながら食塩水を効率よく電気分解する。
【解決手段】食塩水を貯留する水貯留槽1と、水貯留槽1の内部に設けられ、食塩水中の塩化物イオンから塩素と電子を生成する光触媒5と、水貯留槽1の内部に設けられ、短絡線を介して光触媒5から伝達された電子を利用して食塩水を水素と水酸化物イオンに電気分解する対極6と、光触媒5側で生成された塩素と対極6側で生成された水酸化物イオンを混合することにより食塩水を中和する中和部9とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光エネルギーを利用して食塩水を電気分解することにより水素を生成する食塩水電解装置に関する。
光触媒を利用した水素製造の歴史は、1969年に本多・藤嶋らによっていわゆる本多・藤嶋効果が発見されたことを契機として本格的に始まる。なお、この本多・藤嶋効果とは、チタニア(TiO)の光励起反応を利用した水分解反応のことを意味し、本多・藤嶋らは、半導体電極としてルチル型のTiO,金属電極として白金(Pt)を用い、TiO電極に紫外光を照射するとTiO電極及びPt電極からそれぞれO及びHが発生することが見出した。なお、この場合、Pt電極に−0.5V(vs.SCE)程度の外部バイアス電圧を掛ける必要があるが、pHにおける理論酸素発生電位0.7V(vs.SCE)よりもはるかに低い電圧で水をHとOに分解できることが明らかになった。
なお、n型半導体であるTiOでは、バンドギャップ幅(3.2eV)以上のエネルギーを有する光を吸収すると、価電子帯に存在する電子が伝導帯に励起され、また電子が励起することによって価電子帯にホールが形成される。また、TiOの価電子帯上端のエネルギー準位は、以下の酸素発生反応(1)の電位よりもエネルギー的に低いために、TiO表面においてはホールによる水の酸化反応が起きる。また、伝導帯に励起された電子は外部バイアス電圧によってエネルギー状態が水素発生電位よりも高い状態になるために、回路によって導通をとったPt電極においては以下の反応式(2)によって表される水素発生反応が起きる。
0+H→2H+1/2O …(1)
2H+2e→H …(2)
また、本多・藤嶋効果においては、Pt電極に外部バイアス電圧を掛ける必要があるが、以下の条件(1)〜(3)を満たすバンドキャップを有する半導体については外部バイアス電圧を掛けることなく光水電解を起こすことができる。なお、下記条件(1),(2)中における「エネルギー的に十分」とは、水分解反応が確認される程度に水素発生過電圧又は酸素発生過電圧を掛けることができるという意味である。
条件(1):価電子帯上端のエネルギー準位が酸素発生電位1.23V(vs.SCE)よりもエネルギー的に十分低い
条件(2):伝導帯下端のエネルギー準位が水素発生電位0.00V(vs.SCE)よりもエネルギー的に十分高い
条件(3):価電子帯に生じたホールが半導体自身を酸化しない
ところが、上記条件(1)〜(3)を満たす半導体は多数あるように思われるが、実際に光水分解が起きる半導体は、チタン酸塩(MTiO),タンタル酸塩(MTaO),ニオブ酸塩(MNb17)等に限られてしまう。例えば、CdSやCdSe等の化合物半導体は、価電子帯に生じたホールが自分自身を酸化してしまうので、水中での反応に用いることはできない。また、近年、荒川らがInTaOという可視光応答性を有し、光水電解可能な光触媒を見出したが、量子収率が低い(0.66%,402mm)。すなわち、可視光応答性を有し、エネルギー効率の高い光触媒は未だ存在しないのが現状である。
なお、先に述べたように、半導体が吸収する光のエネルギーはその半導体のバンドギャップ幅に対応し、バンドギャップ幅と吸収光波長の関係は以下の数式(3)のように表される。なお、数式(3)中のパラメータe,Eg,h、c,λはそれぞれ、電子素量(=1.602×10−19)[C],半導体のバンドギャップ幅[eV],プランク定数(=6.63×10−34)[J・s],光の速度(=3.00×10)[m/s],光の波長[m]を示す。
e・Eg=hc/λ …(3)
そして、式(3)中の各パラメータの値を代入し、光の波長単位をnmになおすと、以下の数式(4)が得られる。なお、数式(4)中のパラメータλ’は光の波長[nm]を示する。数式(4)から、TiOは、バンドギャップ幅が3.2[eV]であるので、388[nm]以下の波長を有する光を吸収して水電解を行うことがわかる。
Eg=1.240×10/λ’ …(4)
特開平8−158086号公報
ところで、波長が388[nm]の光は紫外線領域にあり、388[nm]以下の波長を有する光のエネルギー量は太陽光エネルギー全体の約4[%]と非常に少ない。従って、TiOを用いた光水電解においては、エネルギー全体の43[%]を占める可視光領域(波長:400〜800[nm])の光を有効に使うことができない。このような背景から、可視光応答性を有し、且つ、光水電解可能な光触媒に関する研究が盛んに行われているが、未だ実用的な光触媒は発見されていないのが現状である。また、基礎研究段階では、電解液のイオン伝導性を上げるために、電解液に硫酸,水酸化ナトリウム,硝酸ナトリウム等の電解質を添加しているが、実用面から考えると、純粋又は海水として豊富に存在する食塩水を用いることが望ましい。
ところが、食塩水を電気分解して塩素と苛性ソーダ(NaOH)を製造する食塩電解は化学工業の基幹となる重要な工業であり、100年以上も前から実用化されているが(例えば、特許文献1を参照)、光触媒反応による食塩水の電気分解についてはこれまで開示例がない。また、食塩水を電気分解する場合には、塩素とアルカリが生成されるために塩素とアルカリを適切に処理する必要性がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、塩素とアルカリを適切に処理しながら食塩水を効率よく電気分解することが可能な食塩水電解装置を提供することを目的とする。
本発明に係る食塩水電解装置は、食塩水を貯留する水貯留槽と、水貯留槽の内部に設けられ、食塩水中の塩化物イオンから塩素と電子を生成するアノード電極と、水貯留槽の内部に設けられ、短絡線を介してアノード電極から伝達された電子を利用して食塩水を水素と水酸化物イオンに電気分解するカソード電極と、アノード電極側で生成された塩素とカソード電極側で生成された水酸化物イオンを混合することにより食塩水を中和する中和部とを備える。
本発明に係る食塩水電解装置によれば、アノード電極側で生成された塩素とカソード電極側で生成された水酸化物イオンを混合することにより食塩水を中和するので、塩素とアルカリを適切に処理しながら食塩水を効率よく電気分解することができる。
以下、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態となる食塩水電解装置の構成について説明する。
〔食塩水電解装置の構成〕
本発明の第1の実施形態となる食塩水電解装置は、図1に示すように、電解質の役割と水素生成のための原料の役割とを兼ねる食塩水を貯留する水貯留槽1と、水貯留槽1の上部に設けられ、水貯留槽1内部に太陽光を導入する光導入口2と、水貯留槽1を上下方向で仕切り、上下の水貯留槽1間の電荷バランスを調整する際のイオンの通り道となる石綿隔膜3と、石綿隔膜3の上面側及び下面側の水貯留槽1に食塩水を供給する食塩水供給口4a,4bとを備える。
また、石綿隔膜3の上面側の水貯留槽1内部には、光導入口2から導入された太陽光のエネルギーを利用して食塩水中の塩化物イオン(Cl)を酸化する光触媒5と、光触媒5を担持し、光触媒5において発生した電子を図示しない短絡線を介して対極6に伝達する触媒担持体7と、光触媒5において発生した塩素を石綿隔膜3の下部側に供給する塩素ガス輸送管8と、石綿隔膜3の上面側の水貯留槽1内の電解液を中和槽9に排出する食塩水排出管10aが設けられている。
また、石綿隔膜3の下面側の水貯留槽1内部には、図示しない短絡線を介して触媒担持体7に電気的に接続された対極6と、石綿隔膜3の下面側の水貯留槽1内の電解液を中和槽9に排出する食塩水排出管10bとが設けられ、また、対極6の下面側には、電解反応によって生成された水素を貯留するための水素貯留溝11が形成されている。また水素貯留溝11の表面には、水素の発生反応(以下の反応式(6)参照)を促進するための貴金属触媒等の水素発生触媒がコーティングされ、水素貯留溝11に貯留した水素は図示しない水素ポンプ等の排出装置により水素タンク内に蓄えられる。
なお、上記中和槽9は、食塩水排出管10a,10bから排出された電解液を混合して中和した後に、排出口を介して系外に食塩水を排出する。また、食塩水排出管10a,10bには、水貯留槽1からの電解液の排出量を制御するためのバルブ12a,12bが設けられている。また、上記水素発生触媒としては、例えば、Pt,Pd,Ni,Ir,Rh,Ruやこれらの化合物が考えられるが、これらに限定されるものではない。
また、詳しくは後述するが、食塩水中の水は、水素と次亜塩素酸中の酸素に分解される、反応物として消費される。従って、この食塩水電解装置では、動作に伴ってカソード側の食塩水の濃度が上昇するために、水貯留槽1内部の食塩水を定期的に入れ替える必要性がある。そこで、この食塩水電解装置では、カソード側の食塩水濃度,水貯留槽1内の食塩水の水位,又は運転時間に閾値を設定し、カソード側の食塩水濃度,水貯留槽1内の食塩水の水位,又は運転時間が設定された閾値に達したタイミングでバルブ12a,12bを開くことにより水貯留槽1内部の食塩水を中和槽9に移動し、アノード側とカソード側の食塩水を混合した後に系外に排出する。
詳しくは後述するが、カソード側の食塩水は中性になっているのに対して、アノード側の食塩水は微量の塩素が溶け込むことにより酸性となっている。従って、上記のように中和槽9内部においてアノード側とカソード側の食塩水を混合した後に系外に排出することにより、排水を中性にした状態で系外に排出し、環境汚染を防ぐことができる。
〔食塩水電解装置の動作〕
このような構成を有する食塩水電解装置は、以下に示すように動作することにより、塩素とアルカリを適切に処理しながら食塩水を効率よく電気分解する。以下、食塩水電解装置の動作について詳しく説明する。
上記食塩水電解装置では、光導入口2を介して光触媒5に太陽光が照射されると、以下の反応式(5)によって光触媒5から塩素が発生すると共に、以下の反応式(6)によって対極6から水素が発生する。
2Cl→Cl+2e …(5)
0+2e→H+2OH …(6)
従って、マイナスの電解が光触媒5から対極6側に移動すると共に、電荷バランスを保つために対極6側から光触媒5側に向かって石綿隔膜3を介してナトリウム(Na)イオンが通過する。なお、食塩水を電解する場合には、光触媒5側では、上記反応式(5)の塩素発生反応と以下の反応式(7)で表される酸素発生反応が競合する。
0→1/2O+2H+2e …(7)
本発明の目的を考えると、主反応として反応式(5)の反応が起こることが望ましいが、図2に示す電位−ph平衡図から考えると、反応式(7)に示す反応の方が反応式(5)に示す反応よりも平衡論的には起こりやすい。しかしながら、酸素発生に対する電極触媒能が極めて小さく、塩素発生に対する電極触媒能が大きい貴金属酸化物(例えばRuO)等の助触媒を光触媒5に担持することにより、反応式(5)に示す反応を支配的にすることができる。なお、上記助触媒としては、RuOの他に、Pt,Pd,Ni,Ir,Rh,Ru単体やこれらの化合物が考えられるが、同様の働きを持つものであればよく、これらに限定されるものではない。
また、反応式(5)により発生した塩素のうち、少量の塩素は石綿隔膜3の上面側の水貯留槽1内部の食塩水に溶解するが、大部分の塩素は塩素ガス輸送管8を通って石綿隔膜3の下面側の水貯留槽1内部に送られる。そしてこの時、石綿隔膜3の下面側の水貯留槽1内部は反応式(6)によってアルカリ性となっているために、以下の反応式(8)に示すように、塩素は水酸化物イオンによって酸化数+1の次亜塩素酸(HClO)と酸化数−1の塩化物イオン(Cl−1)とに不均化分解する。
Cl+OH→HClO+Cl …(8)
さらに、pH値が高い場合には、次亜塩素酸は以下の反応式(9)に示すように分解されるので、この結果、石綿隔膜3の下面側の水貯留槽1内部には、次亜塩素酸と次亜塩素酸イオン(ClO)が生成される。なお、この反応は、常に平衡関係を保って進行する程の反応速度が速い反応である。
HClO+OH→ClO+H0 …(9)
また、反応速度は小さいが、以下の反応式(10)に示すような+1の電荷数の塩素が+5と−1の電荷数の塩素に不均化分解する塩素酸イオンの生成反応も生じる。
2HClO+ClO+2OH→ClO3−+2Cl+2H0 …(10)
以上をまとめると、石綿隔膜3の下面側の水貯留槽1内部では、塩素は以下の反応式(11)に示す反応を起こすので、内部の食塩水をpHをアルカリ性から中性に戻すことができる。
3Cl+6OH→ClO3−+5Cl+3H0 …(11)
なお、光触媒5側で発生した塩素を塩素ガス輸送管8を介して石綿隔膜3の下面側の水貯留槽1内部に送ることにより、以下の利点(1)〜(3)が得られる。
利点(1):通常の光水電解と比較して光触媒5として使用できる半導体の種類が増え、可視光域の光を吸収する半導体を用いることができるようになるので、エネルギー変換効率が上昇する。
利点(2):食塩水電解に伴って生じる塩素を系外に排出することなく適切に処理することができる。
利点(3):HClO等の殺菌効果を有する成分によって食塩水を浄化することができる。
ここで、上記利点(1)について詳しく説明すると、従来技術で述べたように、水を光電解可能な半導体は今の所紫外域の光を吸収するものが大半であり、そのためエネルギー変換効率は低いものとなっていた。図2に示した通り、塩素発生電位は1.36Vと酸素発生電位の1.23V(pH=0)よりも平衡論的には高い。しかし、実際に有意な量の酸素を発生させるためには、高い過電圧が必要であり、実際に水電解で印加される電圧は1.8〜2.0V必要である。
また、水素発生が酸素発生に比べて遙かに過電圧が小さいことを考えると、この平衡論から求められる水電解電位1。23Vとこの値の電位差はほぼ酸素発生の過電圧分である。一方、塩素発生の場合には、RuO2のような塩素発生に適した触媒を用いた場合、過電圧をほとんど掛けることなく反応が速やかに進むことが知られており、その値は食塩水電解の場合、約50mVである。
従って、本発明の第1の実施形態となる食塩水電解装置によれば、半導体の価電子帯の位置が光水電解に比べてエネルギー的に高い位置であっても、塩素を発生させることができる。具体的な値を図2から求めると、塩素発生電位はpHによらずほぼ塩素発生の酸化還元電位である1.36Vであり、また、水素発生電位は先に述べたようにClをカソード側に供給することでpH=7付近に調整されているので、約0.42V付近になる。従って、水素発生に必要な電圧は1.78(=1.36+0.42)Vとなる。
通常の食塩水電解においては、カソード側でアルカリが発生し、カソード側のpHは14付近になるために、水素発生電位は−0.83V付近になり、電解に必要な電圧は2.19(=1.36+0.83)Vとなるが、塩素をカソード側に供給し、カソード側のpH値を下げることにより、電解に必要な電圧を約0.4V下げることができる。
そして、このように電解に必要な電圧を下げることが可能になることにより、光触媒として用いることができる半導体の種類を増やすことができる。例えば、光触媒であるBiInNbOでは、図3に示すように価電子帯の上端電位が2eV付近に存在する。この電位は、酸素の発生電位1.23Vよりもエネルギー的に低いために、理論的には酸素発生が起きるはずであるが、実際には中性付近では酸素発生は観測することができない。これは、2eVという電位が速度論的に酸素発生を起こすのに不十分な電位であるためと考えられる。
しかしながら、BiInNbOを上記食塩水電解装置に適用した場合には、pHに係わらず塩素発生電位は約1.4eVであるので、塩素発生反応が十分に起きることが予想される。なお、この場合、BiInNbOのバンドギャップ幅は2.7eVであるので、460nm付近の可視光まで用いることができ、今までのTiO(光吸収波長域388nm以上)を用いた水電解反応と比較して装置全体のエネルギー変換効率を向上させることができる。
なお、光触媒はBiInNbOに限られることはなく、伝導帯下端が−0.42Vよりもエネルギー的に高く、価電子帯上端が1.36Vよりもエネルギー的に低いものであれば用いることができる可能性がある。例えば、BiFeNbO,InTaO,NiドープInTaO,SrNbO,TaON,Ta等はバンドギャップの位置から考えて、原理的には可視光応答性の光水電解用の光触媒として用いることができるとされている。
しかし、価電子帯上端のエネルギー準位がTiO等の実際に光水電解が可能なものと比べてエネルギー的に高いため、酸素発生過電圧が小さくなり、系全体の反応律速になることが考えられる。このような場合、食塩水電解を用いてアノード側の反応を速度論的に有利な塩素発生反応とすることにより、系全体の反応速度が上がることが期待される。
〔食塩水電解装置の構成〕
本発明の第2の実施形態となる食塩水電解装置は、図4に示すように、上記第1の実施形態となる食塩水電解装置における水貯留槽1が水平方向に対して傾斜しており、送水ポンプ21によって水貯留槽1内部において食塩水が定常的に循環する構成となっている。
また、アノード側で発生した塩素は水貯留槽1の上部に設けられた塩素ガス輸送管8を介して中和槽9に送られる。また、石綿隔膜3の代わりに陽イオン交換膜22が用いられている。なお、この陽イオン交換膜22はエンジニアリングプラスチック等の補強剤によって強度補強されていてもよい。
そして、このような構成によれば、対極6において発生した水素は傾斜によって速やかに水素タンクへと運ばれると共に、副生成物である水酸化物イオンを速やかに除去することにより反応場を中性に保つことができる。また、水酸化物イオンは、中和槽9に送られ、塩素ガス輸送管8を介して送られてきた塩素と反応することにより中和される。
また、このような構成によれば、上記第1の実施形態となる食塩水電解装置と比較して以下の利点(1)〜(3)が得られる。なお、第2の実施形態となる食塩水電解装置は送水ポンプ21を用いているので、送水ポンプ21の消費電力と以下の利点との兼ね合いで第1及び第2の実施形態となる食塩水電解装置のどちらの構成を用いるかを決定することが望ましい。
利点(1):一般に、太陽電池等により太陽光エネルギーを使用する場合には、地点の緯度,気象条件,及び使用期間に応じて集光可能な太陽光エネルギーを最大にする最適設置角度が存在する。日本の場合、光触媒を水平に設置するよりもある程度傾斜を有する方が通年で太陽光エネルギーをより多く利用できる。
利点(2):食塩水を入れ替える動作が連続的に行われるので、システムが簡素になる。
利点(3):反応場から水酸化物イオンを速やかに除去することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
本発明の第1の実施形態となる光水電解装置の構成を示す模式図である。 塩素発生電位と酸素発生電位の関係を説明するための図である。 BiInNbOの価電子帯の上端電位を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態となる光水電解装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
1:水貯留槽
2:光導入口
3:石綿隔膜
4a,4b:食塩水供給口
5:光触媒
6:対極
7:触媒担持体
8:塩素ガス輸送管
9:中和槽
10a,10b:食塩水排出管
11:水素貯留溝
12a,12b:バルブ

Claims (17)

  1. 食塩水を貯留する水貯留槽と、
    前記水貯留槽の内部に設けられ、食塩水中の塩化物イオンから塩素と電子を生成するアノード電極と、
    前記水貯留槽の内部に設けられ、短絡線を介してアノード電極から伝達された電子を利用して食塩水を水素と水酸化物イオンに電気分解するカソード電極と、
    前記アノード電極側で生成された塩素と前記カソード電極側で生成された水酸化物イオンを混合することにより前記食塩水を中和する中和部と
    を備えることを特徴とする食塩水電解装置。
  2. 請求項1に記載の食塩水電解装置であって、
    前記中和部は、前記アノード電極側で生成された塩素を前記カソード電極側に供給することにより前記食塩水を中和することを特徴とする食塩水電解装置。
  3. 請求項1に記載の食塩水電解装置であって、
    前記隔膜の下部側及び上部側から排出された食塩水を貯留する中和槽を備え、
    前記中和部は、前記アノード電極側で生成された塩素を前記中和槽に供給することにより前記食塩水を中和することを特徴とする食塩水電解装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1項に記載の食塩水電解装置であって、
    前記アノード電極は、光触媒を担持し、太陽光エネルギーを利用して塩化物イオンから塩素と電子を生成することを特徴とする食塩水電解装置。
  5. 請求項4に記載の食塩水電解装置であって、
    前記光触媒は、価電子帯下端のエネルギー準位が水素発生可能なエネルギー準位に位置し、価電子帯上端のエネルギー準位が塩素発生反応の酸化還元電位よりも低い材料から成ることを特徴とする食塩水電解装置。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の食塩水電解装置であって、
    前記アノード電極は、塩素を選択的に発生させる塩素発生触媒を担持することを特徴とする食塩水電解装置。
  7. 請求項6に記載の食塩水電解装置であって、
    前記塩素発生触媒は、{Pt,Pd,Ni,Ir,Rh,Ru}の中から選ばれる少なくとも一つの元素又は当該元素を含む化合物であることを特徴とする食塩水電解装置。
  8. 請求項1乃至請求項7のうち、いずれか1項に記載の食塩水電解装置であって、
    前記水貯留槽内部を前記アノード電極側と前記カソード電極側とに分割するイオン交換可能な隔膜を備えることを特徴とする食塩水電解装置。
  9. 請求項8に記載の食塩水電解装置であって、
    前記隔膜は石綿隔膜であることを特徴とする食塩水電解装置。
  10. 請求項8に記載の食塩水電解装置であって、
    前記隔膜は補強材によって補強された陽イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂であることを特徴とする食塩水電解装置。
  11. 請求項1乃至請求項10のうち、いずれか1項に記載の食塩水電解装置であって、
    前記カソード電極の下面側には生成された水素を貯留するための溝が形成されていることを特徴とする食塩水電解装置。
  12. 請求項11に記載の食塩水電解装置であって、
    前記溝の内側表面には水素発生触媒が担持されていることを特徴とする食塩水電解装置。
  13. 請求項11又は請求項12に記載の食塩水電解装置であって、
    前記溝は水平方向に対して傾きを有することを特徴とする食塩水電解装置。
  14. 請求項11乃至請求項13のうち、いずれか1項に記載の食塩水電解装置であって、
    前記水貯留槽は水平方向に対して傾きを有することを特徴とする食塩水電解装置。
  15. 請求項11乃至請求項14のうち、いずれか1項に記載の食塩水電解装置であって、
    前記アノード電極の光触媒担持面は水平方向に対して傾きを有することを特徴とする食塩水電解装置。
  16. 請求項11乃至請求項15のうち、いずれか1項に記載の食塩水電解装置であって、
    前記カソード電極側で生成された水素は水素と食塩水中の電解質の比重の違いに伴う浮力によって反応場から除去されることを特徴とする食塩水電解装置。
  17. 請求項11乃至請求項15のうち、いずれか1項に記載の食塩水電解装置であって、
    前記カソード電極側で生成された水素は外部エネルギーによって反応場から除去されることを特徴とする食塩水電解装置。
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