JP2007046912A - 振動計測方法および振動計測装置 - Google Patents

振動計測方法および振動計測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】構造物の振動変位を、超音波の伝播方向に沿う方向およびそれに直角な方向を含めた2次元空間内で計測し、容器内の構造物の振動を評価する際の重要な情報を得て、多くの応用で役に立つようにする。
【解決手段】容器1内の構造体2に向って容器の外面側から超音波w1を送信し、構造体から反射する反射波w2の到達時刻により構造物に対する超音波伝播方向の振動変位を求め、予め構造体の振動による超音波プローブと構造体上の超音波反射面との傾きの関係の時間的な変化による波形のゆがみを求め、超音波伝播方向に直角な方向の振動変位データとして保持し、計測時には受信される反射波の形状変化を検出して超音波の進行方向に対する構造物の計測対象面の傾きの変化による波形のゆがみを計測し、ゆがみ形状と振動変位データにおけるゆがみ形状との特徴差に基づいて超音波伝播方向に直角な方向の振動変位を求め、構造物に対する超音波伝播方向とそれに直角な方向との二次元空間における振動変位を求める。
【選択図】 図1

Description

本発明は容器内の構造体を計測対象として超音波を送信し、構造体の振動変位を超音波の伝播方向およびそれに直角な方向を含めた2次元空間内で計測する振動計測方法および振動計測装置に関する。
従来、超音波伝達媒質が収容された容器内に構造体を設け、この構造体の振動を容器外部から非侵襲で計測する場合、容器の外部から容器壁と容器内の媒質を伝わる超音波等を対象に向かって発射し、対象物である構造体からの反射エコーを取込んでその伝播時間を計測し、波の伝播速度を用いて距離に換算する手順を高速で繰り返すことにより、構造体の振動変位を計測する技術が知られている。非破壊検査で用いられる超音波探傷装置は、このような技術に対応しており、汎用品として用いられている。
しかしながら、高精度の位置計測が望まれる場合には、汎用品の適用によっては一定の限界がある。例えば、超音波を用いて水中で位置計測する場合、7.5μmの距離差を識別するには、超音波の往復時間と、水中での速度1500m/secを考慮すると、2×7.5×10−6(m)/1500(m/s)=10−8(sec)=10nsという高精度で反射波の到達時刻を識別する必要がある。超音波の周波数を1MHzとすると、その水中での波長は、1.5mmであるが、この波長の1/100のオーダーのずれを計測する必要がある。一定の閾値で反射波の到達時刻を計測するような従来の方法では、このような高精度の計測は困難である。
一方、発明者の一人により、この困難を解決する技術として、超音波の反射波の到達時刻を、波の重心ないし相関を用いて高精度に計測する方法が提案されている。(特許文献1、2および非特許文献1参照)。
しかしながら、この従来の方法も、超音波の伝播方向に沿う方向での計測対象の変位を計測することは可能であるが、超音波の伝播方向に直角な方向の変位を計測することはできない。
容器内の構造体は任意の方向に振動していると考えられるので、この超音波の伝播方向に沿う方向およびそれに直角な方向を含めた2次元空間内での振動変位の位置を計測することは重要であるにもかかわらず、これを可能にする技術は現状では存在しない。
特開2004−20540号公報 特開2004−361131号公報 S.KANEMOTO et.al、Development of ultrasonic vibrometer for vertical pump bearing wear diagnostic system 、International Symposium on Machine Condition Monitoring and Diagnosis, JSME Annual Meeting 2002, Tokyo, Japan, September 2002
上述したように、従来の超音波を用いた反射波の到達時刻計測方法では、超音波の伝播方向に沿う方向での計測対象の変位計測は可能であるが、超音波の伝播方向に直角な方向の変位を計測することは困難であった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、構造物の振動変位を、超音波の伝播方向に沿う方向およびそれに直角な方向を含めた2次元空間内で計測することができ、それにより容器内の構造物の振動を評価する際の重要な情報を得て、構造物の健全性監視およびトラブル時の原因究明など多くの応用で役に立つ振動計測方法および振動計測装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明に係る振動計測方法は、対象物に超音波を送信し、前記対象物から反射する反射波の到達時刻により前記対象物に対する超音波伝播方向の振動変位を求める工程と、予め対象物の振動による超音波プローブと前記対象物上の超音波反射面との傾きの関係の時間的な変化による波形のゆがみを求めて超音波伝播方向に直角な方向の振動変位データとして保持する工程と、計測時には、受信される反射波の形状変化を検出して超音波の進行方向に対する前記対象物の計測対象面の傾きの変化による波形のゆがみを計測する工程と、そのゆがみ形状と前記振動変位データにおけるゆがみ形状との特徴差に基づいて超音波伝播方向に直角な方向の振動変位を求め、前記対象物に対する超音波伝播方向とそれに直角な方向との二次元空間における振動変位を求める工程とを備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る振動計測装置は、対象物に超音波を送信する超音波送信装置と、前記対象物からの反射波を受信する受信装置と、この受信装置による受信波形の演算処理を行う演算装置とを備え、前記演算装置は、予め求めた受信波形の特徴量と前記対象物の振動中心位置とを関係づける予測関数を設定する関数設定手段と、対象物の受信波形に基づいて前記対象物の超音波反射面の傾きの時間的変化による受信波形状のゆがみの特徴差を検出する受信波形状特徴量検出手段と、この受信波形状特徴量検出手段により検出された前記ゆがみの特徴差から前記関数設定手段で設定された予測関数により前記対象物の高次統計量を算出する高次統計量算出手段と、この高次統計量算出手段で算出された高次統計量に基づいて前記対象物に対する超音波伝播方向とそれに直角な方向との二次元空間における振動変位を求める二次元振動変位演算手段とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、容器内の構造物の振動を評価する際の重要な情報を得ることができ、構造物の健全性監視や、トラブル時の原因究明など多くの応用に役立つ効果が得られる。
以下、本発明に係る振動計測装置および振動計測方法の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態(図1〜図8)]
図1は、本発明に係る振動計測装置の基本構成および計測体系の2次元断面を示している。
この図1に示すように、本実施形態では、容器1内に設けられた構造物2に向って容器1の外面側から超音波を送信するとともに、構造物2からの反射波を容器1の外面側で受信する超音波送受信装置3を有する。また、送受信装置3による受信波形をデジタル値に変換するA/D変換装置4と、変換されたデジタル値のデータを数値化して演算処理を行う演算装置5とを備える。
演算装置5は、予め求めた受信波形の特徴量と構造物の振動中心位置とを関係づける予測関数を設定する関数設定手段と、数値化された前記データに基づいて構造体の超音波反射面の傾きの時間的変化による受信波形状のゆがみの特徴差を検出する受信波形状特徴量検出手段とを備えている。
また、演算装置5は、受信波形状特徴量検出手段により検出されたゆがみの特徴差から関数設定手段で設定された予測関数により構造物の重心、ひずみ度、平坦度等の高次統計量を算出する高次統計量算出手段と、この高次統計量算出手段で算出された高次統計量に基づいて構造物に対する超音波伝播方向とそれに直角な方向との二次元空間における振動変位を求める二次元振動変位演算手段とを備えている。
次に、具体的な装置の構成を図1に基づいて説明する。図1は、容器1内に満たされた媒質として冷却水6の中にある円柱状の構造物2を示し、ポンプのシャフトや、熱交換器のチューブがこれに相当する。本実施形態では、このような構造物2の振動の中心位置を2次元平面内で計測する。なお、図2には容器1内に平板状の構造物2を傾斜状態で配置した場合を示している。本実施形態では、このような傾斜した平板にも適用することができる。
本実施形態では、基本的に、計測基準位置から、計測対象までの距離を計測するため、まず計測位置に設置した超音波の送受信装置3からパルス状の波を計測対象である構造物2に向かって発信する。発信された送信波w1は、計測対象である構造物2に反射し、反射波w2として送受信装置3に戻る。本実施形態では、この反射である反射エコー波を、送受信装置3のセンサーで受信する。受信波は、A/D変換装置4により演算装置5にデジタルデータとして取込まれ、送信時刻を基準として受信波の到達時刻Tの評価対象とされる。超音波の媒体中での速度を予め計測しておけば、この受信波の到達時刻から計測対象までの距離を計測することができる。この手順を、例えば1msecの周期で高速に繰り返すことで、対象物の振動変位の時間変化を計測する。
一方、図1または図2に示した計測対象である構造物2が、超音波の伝播方向に沿う方向に振動している場合、前述のように、超音波の反射エコー波の到達時間から変位幅を推定できるが、超音波の伝播方向に直角の方向に振動している場合、超音波の平均伝播時間は変化しないため、従来の到達時間を用いた方法では計測できなかった。
これに対し、本実施形態では、計測対象が図1に示すように、円柱状であったり、図2に示すように、平板状であっても、超音波送信プローブに対して傾きを持っている場合には、構造物2の振動により、超音波送信プローブと構造物2上の超音波反射面の傾きの関係が時間的に変化するため、受信される超音波エコー波の形状は、送信波の形状とくらべてゆがみを持つことになる。
図3(a),(b)は、振動方向に応じた超音波エコー波の変化を示したものであり、ゆがみの例が示されている。構造物2が超音波伝播方向に振動した場合、図3(b)に示すように、反射エコー波w2は、形を変えずに時間方向で平行移動するだけであるが、超音波伝播方向に直角に振動した場合には、時間方向での平行移動はなく、図3(a)に示すように、わずかではあるが波形のゆがみw3が見られることがわかる。
本実施形態では、この波形のゆがみw3の特徴差を用いて、超音波伝播方向に平行な方向およびこれと直角な方向の振動変位を計測する。通常、計測対象の形状と、超音波送信装置と計測対象の静的な状態での位置関係は設計図面から判明しているため、計測対象の位置が振動により変化した場合の超音波送信装置と計測対象との位置関係、すなわち超音波進行方向に対する計測対象の面の傾きは、事前に予測することができる。この傾きの変化が、受信される反射エコー波の形状の変化として観測される。
この観測について、数式で表現すると、計測対象の中心位置を、前記の2次元空間内での座標値(X,Y)としたとき、反射エコー波R(τ)は、下記のような関係になる。
Figure 2007046912
ここで、R(τ)は、N点の観測時系列データとすると、N次元の列ベクトルであり、関数fもこれに応じたN次元の列ベクトルである。この(1)式を逆に解くことで、下記のように、計測対象の位置(X,Y)を得ることができる。
Figure 2007046912
予測関数f−1(R)には、いろいろな求め方があるが、線形の場合、次のようになる。(1)式を線形化すると、
Figure 2007046912
という関係になるが、このとき、行列(ATA)が正則であれば、次の演算で、計測対象の位置(X,Y)を得ることができる。
Figure 2007046912
すなわち、Aが既知であれば、観測値の反射エコー波形Rから、計測対象の位置(X,Y)が(4)式により求められる。(ATA)が正則でない場合には、特異値分解を利用した擬似逆行列を用いることにより、(4)式の解を得ることができる。
また、(1)式が、本来は非線形の関係であることを考慮して、(3)式の線形化を、次のように非線形の変数に拡張することも可能である。
Figure 2007046912
この場合、(4)式の代わりに、下記の式により、計測対象の位置(X,Y)を求める。
Figure 2007046912
以上の例では、観測反射エコー波(R(τ)、τ=1,…,N)について、そのままの値を用いたが、これは、ヒルベルト変換や絶対値変換により、図4に示すような、正の値だけをとるベクトル値に変換することができる。
図4は、観測反射エコー波のヒルベルト変換(図4(a))と,絶対値変換(図4(b)を示したものである。なお、ヒルベルト変換については、例えば、河田聡、南茂夫著「科学計測のためのデータ処理入門」CQ出版、2001年が参照できる。
本実施形態では、さらに、こうして、正の値だけをとる応答値Q(τ)に変換された波形に対し、下記のような特徴量を求めて、このMiを、(5)(6)式のRの代わりに用いている。
Figure 2007046912
これは、元の応答波形である(R(τ)、τ=1,…,N)が、Nが大きい場合数百点のオーダーになり、逆行列の演算が難しくなるのに対して、(7)式は、5個の変数に縮約されているため、演算が容易になる点と、計測波形の特徴をとらえた普遍性をもつため、計測精度の向上に役立つことがわかっている。
図5(a),(b)は、計測対象(構造物2)が超音波伝播方向aに平行な方向に振動する場合の、超音波の反射エコーを模擬計算した結果を示している。(a)は聴診器プローブと計測対象との間の送受信波形状を示し、(b)は反射波の形状を示している。また、図6(a),(b)は、計測対象が超音波伝播方向に直角の方向に振動する場合における超音波の反射エコーを模擬計算した結果を示している。
これらの計測方式の中で、係数AまたはBを求めておく必要があるが、これは、図5(a),(b)および図6(a),(b)に示したように、超音波の送受信を事前に模擬して、計測対象の位置(X,Y)と応答波形R(τ)の関係を数値的に求めておくことにより、係数A,Bを求めることができる。また、これは、計測対象を模擬したモックアップ試験装置で同じように、計測対象の位置(X,Y)と、応答R(τ)のデータとして求めておくことも可能である。そうすることで、(1)−(7)式を用いて、未知の計測対象の位置(X,Y)を、実際の計測反射エコー波形R(τ)から求めることができる。
(3)式の場合、上記の応答波形Rと位置(X,Y)が求まっていれば、係数Aは下記のように計算される。
Figure 2007046912
また、(5)式の場合も同様に、下記で係数Bが求まる。
Figure 2007046912
図7(a),(b)は、計測対象が振動している際の、振動1周期における、超音波受信信号の応答波形の変化を、重ねがきで示したものである。図7(a)には原受信波形を示し、図7(b)にはヒルベルト変換後の波形を示している。
なお、図7(a),(b)には、円柱状の計測対象が、0.1mmの振動で楕円軌道で振動している場合の反射エコー波を、楕円軌道1周分を重ね書きしたものを示している。すなわち、生の応答波形とヒルベルト変換した後の波形を示している。
図8は、本実施形態により、計測対象の振動中心位置の変位を推定した結果(推定値(×印))を、真値(黒丸印)と比較して示したものである。この図8により、(6)式により振動の中心座標を推定した結果として、真値と比べて2次元平面状で正しく位置を計測していることがわかる。
以上のように、本実施形態によれば、受信波形の形状の高次の特徴量と、対称の振動中心位置を関係づける予測関数を、あらかじめ準備して、その関数を利用して、二次元空間での振動変位位置を高精度で計測する振動計測装置を提供することができる。
また、本実施形態の振動計測装置においては、上述の方法を実施するための構成として、演算装置5は、受信波形の形状を数値化する際に受信波形をヒルベルト変換するヒルベルト変換手段と、変換された受信波形の絶対値により正の値の変動波形に変換する波形変換手段と、変換された波形の特徴量として、構造物2の重心、ひずみ度、平坦度の高次統計量を算出する高次統計量算出手段と、その高次統計量から二次元空間での振動変位を求める振動変位演算手段とを備えている。
また、演算装置5は、受信波形の形状を数値化する際に絶対値を取込む絶対値取込み手段と、取込まれた受信波形の絶対値により正の値の変動波形に変換する波形変換手段と、変換された波形の特徴量として、重心、ひずみ度、平坦度などの高次統計量を算出する高次統計量算出手段と、その高次統計量から二次元空間での振動変位を求める振動変位演算手段とを備えている。
さらに、演算装置5は、高次統計量算出手段に代えて、受信波形の値を特異値分解した際の大きな特異値だけからなる小数の変数を用いて二次元空間での振動変位を求める振動変位演算手段を備えている。
[第2実施形態(図9〜図12)]
図9は、本発明の第2実施形態による振動計測装置の構成を示しており、送受信装置を分離して用いる構成例を示している。この図9に示すように、本実施形態の振動計測装置では、超音波送信装置3aと受信装置3bとが独立し、互いに分離した配置で容器1の外面側に設けられている。すなわち、本実施形態では、図9に示すように、送受信装置を二つに分け、一方から超音波送信を行い、他方で受信する構成となっている。
また、図10は、本実施形態により、送受信装置を分離した場合の超音波伝播経路をシミュレーションで求めた結果を示している。これらの図9および図10に示すように、本実施形態の振動計測装置では、超音波の送信装置3aと受信装置3bとが独立し、互いに分離した配置で容器1の外面側に設けられている。そして、計測対象が振動している際の、振動1周期における超音波の受信信号の応答波形の変化を、重ね書きで示している。
この際の計測波形を図11に示している。すなわち、図11(a)は原受信波形(生波形)を示し、図11(b)は、ヒルベルト変換後の波形を示している。また、図12は、本実施形態において、計測対象の振動中心位置の変位を推定した結果(推定値(×印))を示し、真値(黒丸印)と比較して示している。
このように、本実施形態の振動計測装置では、超音波送信装置と受信装置とが独立し、互いに分離した配置で容器1の外面側に設けられた構成とすることにより、図10に示すように、二つの送受信間の超音波伝播経路が、計測対象の位置や、超音波プローブを装着可能な場所に応じて、単一センサーでなくとも、二つのセンサーを使用することで、第1実施形態と同様の計測が可能になる。この場合、計測対象は周期的な振動をしており、その一周期の振動時の複数の位置で、超音波受信波を計測し、それを重ねて表示される。計測対象が振動するにつれて中心位置が移動し、超音波の伝播時間が異なってくるため、受信波形の計測時間がずれていることが図11により明らかである。
図12は、上記の観測データを元に、第1実施形態と同じアルゴリズムで、振動変位の2次元座標を求めた結果を示している。図12において、黒丸印は、別途計測した振動変位の真値であり、×印が、本実施形態による計測値である。これらの計測値は両者よく一致しており、本発明が効果的であることを示している。
[第3実施形態(図13〜図15)]
図13は、本発明の第3の実施形態の構成を示している。図13に示すように、本実施形態では、送信装置3aの両側に二つの受信装置3bを配置した構成となっている。すなわち、本実施形態では、超音波の送信装置3aを容器1内の構造物2に対向配置させるとともに、送信装置3aの両脇に二つの受信装置3bを配置している。これらの受信装置3bには加算器7および差分器8が接続されている。そして、演算装置5では各受信装置で受信された二つの受信波形の加算値に基づいて計測対象の超音波伝播方向の振動変位が求められる。すなわち、この演算装置5は、二つの受信波形の差分値に基づいて構造物2の超音波伝播方向に直角な方向の振動変位を求める振動変位演算手段として構成されている。演算装置5には2次元位置表示装置9が接続されている。
このように、送信装置3aが測定対象に対して中心位置に配置され、その両脇に二つの受信装置3bが配置されている場合、の両受信装置3bからの受信波形は、計測対象が超音波送信方向に対して直角方向にずれた場合、左右のどちらにずらすかで、応答波形の強弱が変わってくる。第1実施形態のように、単一の受信装置を用いた場合には、左右のどちらにずれても同じ応答波形になるため、これを識別できないことがあるが、本実施形態の構成であれば、左右の移動を識別できることになる。
このように、本実施形態では二つの受信波形の加算値と差分値を利用する。そして、加算値については、超音波送信方向に平行な振動変位を計測する場合に用い、差分値については、超音波送信方向に直角な振動変位を計測する場合に用いる。もちろん、差分値ではなく、二つの受信波の比をとるなどの比較方法であれば、同等の結果が得られる。
図14は、第3実施形態における受信波形を示し、計測対象の1周期の振動時における複数の計測受信波形を重ね書きしたものを示している。図14(a),(b)には加算値を示し、図14(c),(d)には差分値を示している。さらに、図14(a)、(c)上側にはヒルベルト変換後の値を示し、図14(b),(d)には、元の受信波形を示している。図14(a)は原受信波形を示し、図14(b)はヒルベルト変換後の波形を示している。また、図15は、本実施形態において、計測対象の振動中心位置の変位を推定した結果(推定値(×印))を、真値(黒丸印)と比較して示している。
なお、これらの図に示したデータは、第1実施形態と同じアルゴリズムで、振動変位の2次元座標を求めた結果である。上述のように、図15に示した黒丸印は、別途計測した振動変位の真値であり、×印は本実施形態による計測値であり、これらの両者はよく一致している。これにより、本発明が効果的であることが判る。また、本実施形態では、振動変位が、超音波センサーの正面にあり、これにより左右対称に変動している場合でも、振動変位を正しく計測していることが判る。
[第4実施形態(図16)]
図16は、本発明の第4の実施形態を示し、振動計測と温度変動計測と同時に行う場合の構成例を示したものである。
本実施形態は、予め容器1内の超音波伝播媒体6について振動固有周期に応じた伝播時間と温度との関係値を求めておき、二次元空間での振動変位を計測する際に、超音波の平均伝播時間の計測値の変動特性に基づいて、振動変位と分離して容器1内の温度を計測する振動計測方法についてのものである。
すなわち、送信される超音波は、介在する超音波伝播媒体を通過して計測対象である円柱に到達した後に反射されて受信機に到るが、この伝播時間は、計測対象の位置の変化だけでなく、伝播媒質の温度にも依存して変化する。伝播媒質の温度は、通常は、水などの流体であり、その流れの影響を受けて変動する。そうすると、超音波伝播速度も変化するが、この変動は、流れの渦などの影響を受ける場合、ランダムな変動とみなせる。一方で、計測対象の機械振動は、その振動固有周期に応じた周期的なものである。
このため、本実施形態では、演算装置5として、振動変位計算装置10、狭帯域通過フィルタ11および狭帯域除去フィルタ12を備えた構成となっている。すなわち、計測対象の振動固有周期に対応した狭帯域通過フィルタ11を用意して、計測された伝播時間の変動から、特定の周波数成分を抽出して、これを計測対象の振動計測値d1とする。さらに、同じ周波数成分を除去する狭帯域除去フィルタ12を用意して、こちらを通した信号を、温度変動信号の計測値d2とする。このような方法で、容器1内の振動計測と同時に、介在する媒体の温度変動値d2を計測することが可能になる。
したがって、振動と併せて、超音波の伝播速度が、超音波を伝播させる媒体の温度に依存して変化することを利用して、介在する媒体の温度変動も同時に計測する手段を提供することができる。
本発明の第1実施形態を示すもので、装置の基本構成と計測体系を2次元断面図で示している。 本発明の第1実施形態を示すもので、計測対象が板状の場合を示している。 本発明の第1実施形態を示すもので、振動方向に応じた超音波エコー波の変化を示している。 本発明の第1実施形態を示すもので、(a)は観測反射エコー波のヒルベルト変換を示し、(b)は絶対値変換示している。 本発明の第1実施形態を示すもので、(a),(b)は計測対象が超音波伝播方向に平行した方向に振動する場合における超音波の反射エコーを模擬計算した結果を示している。 本発明の第1実施形態を示すもので、(a),(b)は計測対象が超音波伝播方向に直角の方向に振動する場合の、超音波の反射エコーを模擬計算した結果を示している。 本発明の第1実施形態を示すもので、(a),(b)は、計測対象が振動している際の振動1周期における超音波受信信号の応答波形の変化を示している。 本発明の第1実施形態を示すもので、計測対象の振動中心位置の変位を推定した結果を真値と比較して示している。 本発明の第2実施形態の構成を示すもので、送受信装置を分離して用いる場合の構成例を示している。 本発明の第2実施形態を示すもので、送受信装置を分離した場合の超音波伝播経路をシミュレーションで求めた結果を示している。 本発明の第2実施形態を示すもので、(a),(b)は、計測対象が振動している際の振動1周期における超音波受信信号の応答波形の変化を示している。 本発明の第2実施形態を示すもので、計測対象の振動中心位置の変位を推定した結果を真値と比較して示している。 本発明の第3実施形態の構成を示すもので、送信装置の両側に二つの受信装置をおいた場合の構成例を示している。 (a)〜(d)は、本発明の第3の実施形態を示すもので、計測対象が振動している際の振動1周期における超音波受信信号の応答波形の変化を示している。 本発明の第3実施形態の構成を示すもので、計測対象の振動中心位置の変位を推定した結果を真値と比較して示している。 本発明の第4の実施形態を示すもので、振動計測と温度変動計測を同時に行う場合の構成例を示している。
符号の説明
1 容器 2 構造物
3 送受信装置 3a 送信装置
3b 受信装置 4 A/D変換装置
5 演算装置 6 冷却水
7 加算器 8 差分器
9 2次元位置表示装置 10 振動変位計算装置
11 狭帯域通過フィルタ 12 狭帯域除去フィルタ

Claims (9)

  1. 対象物に超音波を送信する超音波送信装置と、
    前記対象物からの反射波を受信する受信装置と、
    この受信装置による受信波形の演算処理を行う演算装置とを備え、
    前記演算装置は、予め求めた受信波形の特徴量と前記対象物の振動中心位置とを関係づける予測関数を設定する関数設定手段と、
    対象物の受信波形に基づいて前記対象物の超音波反射面の傾きの時間的変化による受信波形状のゆがみの特徴差を検出する受信波形状特徴量検出手段と、
    この受信波形状特徴量検出手段により検出された前記ゆがみの特徴差から前記関数設定手段で設定された予測関数により前記対象物の高次統計量を算出する高次統計量算出手段と、
    この高次統計量算出手段で算出された高次統計量に基づいて前記対象物に対する超音波伝播方向とそれに直角な方向との二次元空間における振動変位を求める二次元振動変位演算手段とを備えたことを特徴とする振動計測装置。
  2. 請求項1記載の振動計測装置において、二つの受信装置を配置し、演算装置では前記各受信装置で受信された二つの受信波形の加算値に基づいて計測対象の超音波伝播方向の振動変位を求める一方、前記二つの受信波形の差分値に基づいて前記構造物の超音波伝播方向に直角な方向の振動変位を求める振動変位演算手段とを備えたことを特徴とする振動計測装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の振動計測装置において、演算装置は、受信波形の形状を数値化する際に受信波形をヒルベルト変換するヒルベルト変換手段と、変換された受信波形の絶対値により正の値の変動波形に変換する波形変換手段と、その高次統計量から二次元空間での振動変位を求める振動変位演算手段とを備えたことを特徴とする振動計測装置。
  4. 請求項1または請求項2記載の振動計測装置において、演算装置は、受信波形の形状を数値化する際に絶対値を取込む絶対値取込み手段と、取込まれた受信波形の絶対値により正の値の変動波形に変換する波形変換手段と、その高次統計量から二次元空間での振動変位を求める振動変位演算手段とを備えたことを特徴とする振動計測装置。
  5. 請求項3または請求項4記載の振動計測装置において、高次統計量算出手段に代えて、前記振動変位演算手段が受信波形の値を特異値分解した際の大きな特異値だけからなる小数の変数を用いて二次元空間での振動変位を求めることを特徴とする振動計測装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の振動計測装置を使用して、対象物の振動を計測する振動計測方法であって、受信波形の値から変換された高次特徴量または少数の変数から、2次元空間での振動変位を推定する際に、線形または非線形の予測関数を用いることを特徴とする振動計測方法。
  7. 請求項6記載の振動計測方法において、線形又は非線形の予測関数を試験装置を用いて試験データとしてあらかじめ求めておくことを特徴とする振動計測方法。
  8. 請求項6または請求項7記載の振動計測方法において、予め超音波伝播媒体について振動固有周期に応じた伝播時間と温度との関係値を求めておき、二次元空間での振動変位を計測する際に、超音波の平均伝播時間の計測値の変動特性に基づいて、振動変位と分離して容器内の温度を計測することを特徴とする振動計測方法。
  9. 対象物に超音波を送信し、前記対象物から反射する反射波の到達時刻により前記対象物に対する超音波伝播方向の振動変位を求める工程と、
    予め対象物の振動による超音波プローブと前記対象物上の超音波反射面との傾きの関係の時間的な変化による波形のゆがみを求めて超音波伝播方向に直角な方向の振動変位データとして保持する工程と、
    計測時には、受信される反射波の形状変化を検出して超音波の進行方向に対する前記対象物の計測対象面の傾きの変化による波形のゆがみを計測する工程と、
    そのゆがみ形状と前記振動変位データにおけるゆがみ形状との特徴差に基づいて超音波伝播方向に直角な方向の振動変位を求め、前記対象物に対する超音波伝播方向とそれに直角な方向との二次元空間における振動変位を求める工程と
    を備えたことを特徴とする振動計測方法。
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