JP2007045668A - 蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子の結晶化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、または水溶性高分子の結晶化方法を提供する。
【解決手段】以下の工程を含む蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、または水溶性高分子の結晶化方法。
(a) 蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子含有試料を、結晶化剤を含むゲルに接触させる工程。
(b) 前記試料に油相を接触させる工程。
本発明の結晶化方法により、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、または水溶性高分子のX線解析や精製工程などに適した良好な品質の結晶を得ることが可能となる。
【選択図】 図3
【解決手段】以下の工程を含む蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、または水溶性高分子の結晶化方法。
(a) 蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子含有試料を、結晶化剤を含むゲルに接触させる工程。
(b) 前記試料に油相を接触させる工程。
本発明の結晶化方法により、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、または水溶性高分子のX線解析や精製工程などに適した良好な品質の結晶を得ることが可能となる。
【選択図】 図3
Description
本発明は該試料から蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子の結晶を析出させる方法に関する。
近年、蛋白質の構造を網羅的に解析し、それに基づいて生命現象の仕組みを探索しようとするいわゆる構造ゲノム科学と呼ばれる動きが活発化している。構造ゲノム科学においては、構造解析の過程をさらに省力化及びスピードアップする必要があり、そのためにはより微量の蛋白質試料を用いて、迅速且つ効率的に結晶化条件をスクリーニングする方法の開発が望まれている。また、蛋白質の立体構造解析を行うにはその良好な結晶が必要とされ、それを調製するための条件の探索には多量の試料と長時間を費やすことが現在の課題となっている。既存の方法では非常に煩雑な操作を必要として非効率的であるとともに多くの蛋白質試料が必要であった。
一方、蛋白質との相互作用を明らかにする目的で、蛋白質に結合性、親和性等を有する化合物、例えば、アミノ酸、ペプチド、核酸、それらの複合体等の精製条件を見出すうえでも、結晶化条件のスクリーニングは重要である。
これらの目的で結晶化スクリーニング試薬キットの開発が行われており、結晶化条件のスクリーニングに必要なスクリーニング試薬の調製時間に関する条件は改善されてきている。
例えば、蛋白質の場合、固体支持体に複数の種類の結晶化剤を固定してなる結晶化スクリーニング用固定化試薬が提案されている(特許文献1)。しかし、これも含めて従来の結晶化条件のスクリーニングは一条件あたり数マイクロリットルの溶液量で行われており、結晶化条件の探索時間は数時間から数日に及ぶ。このため更なる試料の微量化及び結晶化条件の探索時間の短縮が望まれている。
一方、上記の背景から結晶化方法として種々の手法が提案されている。例えば、バッチ法、蒸気拡散法及び液-液拡散法(又は透析法)が挙げられる。
「バッチ法」は蛋白質溶液に結晶化剤を含む溶液を少しずつ加え、わずかに濁ったところで不溶物を遠心分離して除去し、上清を小さな試験管等に入れて密封した後、静置する方法である。この方法は、操作は簡便であるが結晶が得られにくい。さらには結晶の品質が良好ではないという問題点がある。また結晶化条件を能動的に制御する必要がある。
「蒸気拡散法」は結晶化剤を含む蛋白質溶液の液滴を、より高濃度の結晶化剤を含む緩衝液(外部)の入った容器中に置き、密閉後、静置する方法である。液滴の置き方によりハンギングドロップ法、シッティングドロップ法に区別される。ハンギングドロップ法とは、蛋白質溶液の小さな液滴をカバーガラス上に設置し、カバーガラスを溶液溜め上で反転させ、密閉する方法である。シッティングドロップ法とは溶液溜め内部に液滴台を設置し、蛋白質溶液の小滴を液滴台上に設置し、カバーガラス等で液滴溜めを密閉する方法である。蒸気拡散法では、蛋白質溶液及び結晶化剤の濃度が時間と共に変化する。また使用する蛋白量が少量ですむため、幅広い結晶化条件のスクリーニングに使用されている(特許文献2)。蒸気拡散法は多数の条件をより微量の蛋白質で検討できるが、その際、高価な装置が必要となる。
「液-液拡散法」又は「透析法」は、蛋白質溶液を結晶化剤の入った緩衝液に対して、それぞれ両溶液の界面もしくはゲル又は半透膜を境界として接触させ、蛋白質溶液中の結晶化剤の濃度を徐序に上昇させる方法である。これらの方法は蒸気拡散法及びバッチ法の利点を有し、良質な蛋白質結晶を得るために好適である。しかし、これらの方法は比較的多量の蛋白質溶液を使用し、蛋白質溶液の液量を少量化することも困難である。また操作は煩雑で時間がかかるため、簡便とは言いがたい。
また、本発明者らは上記の背景技術を踏まえて、該試料を、結晶化剤を保持するゲルポリマーに供し、前記蛋白質溶液と結晶化剤を接触させる方法によりX線結晶構造解析に適した蛋白質の結晶を簡便に取得する方法を提案している。(特許文献2、特許文献3)
しかし、上記の方法は、結晶を徐々に成長させる点においては優れているが、適当な核を発生させるには温度、圧力等の多数のエネルギー変化(熱ゆらぎ)が必要となる点で有利な方法とは言いがたい部分もある。
特開平9−89898
WO03/53998
特開2005−58889
本発明者らは、上記の問題点を解決するため鋭意検討を行った結果、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子を結晶化させるための方法において、試料を、結晶化剤を保持するゲルに供し、前記試料と結晶化剤を接触させる工程に加え、試料に油相を接触させる工程を付加することにより、短時間で良質な核発生を促し、さらにはX線結晶構造解析に適した蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、または水溶性高分子の結晶を簡便に取得することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の工程を含む蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、または水溶性高分子の結晶化方法、である。
(a)蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子含有試料を、結晶化剤を含むゲルに接触させる工程。
(b)前記試料に油相を接触させる工程。
本発明によれば、結晶化剤がゲル中から試料の部分に、又は蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸または水溶性高分子含有試料が結晶化剤を保持するゲル中に、徐々に移行し、結晶化反応も少しずつ起こる。それと同時に油相に水分が移行し、試料が徐序に濃縮される。この2つの現象により、結晶化のメカニズムである、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸または水溶性高分子と周囲環境(結晶化剤の存在、濃度、pH等)との相互作用が徐々に2方向から進行するため、短時間で良質な核発生を促し、良質な結晶を取得することができる。
本明細書中で使用される「蛋白質」という用語は、天然又は合成のポリペプチド、蛋白質及び蛋白質複合体を包含する。
「アミノ酸」という用語は、天然または合成のカルボキシル基とアミノ基を併せ持つ化合物である。
「ペプチド」という用語は、天然または合成のペプチド結合を有する化合物で、オリゴペプチド、ポリペプチドが含まれる。また、ペプチド核酸等の複合体も包含する。
「核酸」という用語は、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドで、DNA、RNA、及び蛋白質やペプチドとの複合体も包含する。
「水溶性高分子」という用語は、蛋白質やペプチド、アミノ酸、核酸以外の水に溶解する高分子化合物を包含する。
「結晶化」という用語は、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、または水溶性高分子(以下、蛋白質等と総称する)を含有する試料から、蛋白質等の結晶を成長又は析出させて結晶を得ることを指す。
「結晶化剤」という用語は、溶解度を下げる働きをする化合物を意味し、沈殿剤、pH緩衝剤、その他附加物等が挙げられる。
「ゲル」という用語は、重合性モノマー又はその溶液を、重合反応によりポリマー化又はゲル化させたもの、若しくは、合成ポリマーや天然ポリマーの添加により溶液の流動性をなくしたものを意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、以下の工程を含む蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、または水溶性高分子の結晶化方法、である。
(a)蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子含有試料を、結晶化剤を含むゲルに接触させる工程。
(b)前記試料に油相を接触させる工程。
蛋白質等の結晶化には、種々の相互作用が複雑に影響を及ぼしている。本発明は、このような種々の相互作用が徐々に変更するために、ゲルにおける拡散現象を利用して蛋白質等と結晶化剤とを接触させ、それらの間の相互作用、及びその他の相互作用を徐々に変更した状態を作り出す。さらに、該試料に油相を接触させることにより、油相部に試料の水分が移動し、試料が濃縮される。その結果、本結晶化方法により、短時間で良質な核発生を促し、良好な品質の蛋白質等の結晶を簡便かつ高効率に析出することができる。
ただし、これらのゲル、試料、油相の接触順番は特に限定されるものではない。例えば、接触方法(順序)には次のものが挙げられる。
(1)ゲルに蛋白質等を含有する試料を接触させた後、油相を該試料に接触させることを含む結晶化方法。
(2)試料に油相を接触させた後、ゲルを該試料に接触させることを含む結晶化方法。
(3)ゲルに油相を接触させた後、試料をゲルと油相の界面に添加し、接触させることを含む結晶化方法。
本発明の結晶化方法の工程(a)では、試料を、結晶化剤を保持するゲルに供する。ここで、該試料は、結晶化対象の蛋白質等の他、さらに、水溶性化合物の溶解を助ける可溶化剤、還元剤等の安定化剤などを含有してもよい。可溶化剤としては、例えば界面活性剤などを例示することができる。またここで、結晶化剤を保持するゲルは、以下のように調製することができる。
本発明に使用するゲルの種類は特に制限されない。例えばアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルアミノエトキシエタノール、N−アクリロイルアミノプロパノール、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、アリルデキストリン等の単量体の一種類又は二種類以上と、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等との多官能性単量体を、例えば水性媒体中で共重合したゲルを用いることができる。その他本発明に用いることのできるゲルとして、例えばアガロース、アルギン酸、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等のゲル、又はこれらを架橋したゲルを用いることができる。
次に結晶化剤をゲルに保持させるための方法を説明する。ここで「保持」とは、結晶化剤をゲルに固定化することを意味する。その方法としては、例えば、結晶化剤と上記重合性モノマーを混合して予め適当な容器に導入しておき、その後、重合過程を経てゲルを形成させて結晶化剤を固定化する方法が挙げられる。また、上記の方法の他に、結晶化剤を多孔性粒子などに含浸させ、その粒子をゲルに包括させ、結晶化剤を保持する方法や、先にモノマーをゲル化し、結晶化剤を含んだ水溶液と接触させて、膨潤させるか、結晶化剤などをゲル内へ浸透させることでも保持することが可能である。
ゲルに保持させる結晶化剤は、結晶化対象の蛋白質等の種類及び濃度などにより異なるが、当業者であれば適切な結晶化剤を選択し、適宜その濃度及び量を設定して、ゲルに保持させることができる。
例えばGrid ScreenTM、Crystal ScreenTM I & II、WizardTM I & II等の市販されているものと同様の条件を使用することができる。
ここで、結晶化の様子が顕微鏡等で経時的に観察可能とするために、結晶化剤を保持するゲルは、透明であることが好ましい。「透明」とは、必ずしも光の透過率が100%であることを意味せず、結晶化の様子が観察できる程度に透明であればよい。
例えば、結晶化剤として、NaClをゲル中に保持させる場合には、ゲルは、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸ジメチルアミノメチルクロライド塩から作製されることが好ましい。その他、結晶化剤の種類に応じて上述したモノマー等を適宜選択することにより、透明な結晶化剤を保持するゲルを得ることができる。
次に、上述のように調製された結晶化剤を保持するゲルと、該試料を接触させる。この接触方法は、任意の手法により行うことができる。例えば、結晶化剤を保持するゲルに該試料を滴下したり、シリンジなどで手動又は機械的に試料を充満させたり、又はゲルを該試料中に浸漬することなどにより該試料の接触が可能である。該試料の量は、結晶化条件などを考慮して目的に合わせて設定する。例えば、10nl〜1μlは、スクリーニングに適しており、それ以上の場合は、大きな結晶を析出させるのに適している。
次に、前記試料に油相を接触させる[工程(b)]。この工程で使用される油相としては、結晶化対象の蛋白質等に変性などの影響を及ぼさずに、水と分層するものであれば使用可能である。例えば、流動パラフィン、シリコンオイル、結晶化のシール用のオイル(Immersion Oil Sampler:Hampton Research社製)等が使用できる。前記油相は結晶化させる水溶性化合物の種類、及び分配係数等を考慮し適宜選択される。この油相は該試料の液面に接触させるように供する。その量は適宜選択される。
上述のように、該試料を、結晶化剤を保持するゲルに接触させた後、さらに油相を該試料の液面に接触させることにより、蛋白質等と結晶化剤とが接触し、さらに試料が徐序に濃縮されることにより結晶化が進行する。
本結晶化方法においては、結晶化剤がゲル中から該試料の部分に、又は該試料が結晶化剤を保持するゲル中に、徐々に移行し、結晶化反応も少しずつ起こる。それと同時に油相に水分が移行し、試料が徐々に濃縮される。この2つの効果により、結晶化のメカニズムである、蛋白質等と周囲環境(結晶化剤の存在、濃度、pH等)との相互作用が徐々に2方向から進行するため、良質な結晶が析出することになる。
該試料を接触させた後は、蛋白質等が析出するのに十分な時間にわたって、適切な温度条件下にて、ゲルを密閉状態又は大気中に静置する。
蛋白質等が析出するのに十分な時間とは、物質、濃度、結晶化条件などにより異なるが、約1時間〜10日である。また適切な温度条件もまた蛋白質等の種類、濃度、結晶化条件などにより異なるが、約4℃〜30℃である。
そして析出するのに十分な時間が経過した後、結晶析出状況を、例えば光学顕微鏡、X線回折装置などにより観察する。本結晶化方法においては、ゲルにおける結晶化をモニタリングするための公知のシステムを組み合わせて用いることができる。例えば、結晶析出の様子を、顕微鏡に搭載したCCDカメラにより撮影記録し、画像処理することによって、結晶化の成否を高速に判断することが可能である。
以上のように、本結晶化方法は、該試料と結晶化剤とを、ゲル中の拡散を利用して徐々に接触・反応させて、蛋白質等を結晶化させる。従って、本発明では、単に試料を該ゲルに接触させる操作のみでX線解析や精製などに適した良好な品質の結晶を得ることができる。
次に結晶化剤を保持するゲルの保持について、好適な実施形態を説明する。蛋白質等の結晶化においては、上述のごとく、一度に複数の結晶化条件をスクリーニングできることが好ましい。よって、該ゲルを同一基板に複数、保持する、即ち、マイクロアレイ状の装置とすることが好ましい。このような装置(以下、マイクロアレイと称す)は、例えば、基板にゲル構成成分であるアクリルアミド等の単量体、多官能性単量体及び開始剤を含む液を、該基板の所定位置に添加し、基板上で重合、ゲル化させることにより製造することができる。ゲル化は多官能性単量体の存在下に共重合させる方法の他、多官能性単量体の非存在下に共重合させたのち架橋剤を用いて行ってもよい。またアガロースゲルの場合には温度降下によってゲル化を行ってもよい。この際、基板は大きさや形を特に限定するものではない。また、基板に予め複数の溝や孔を形成されているものでも良い。さらには、その材質もガラス、樹脂等が挙げられるが、上述のごとく、結晶化の様子が顕微鏡等で経時的に観察可能とするために、透明であることが好ましい。
例えば、それぞれ異なる結晶化剤を保持したゲル(50nl)を100個配列、固定した基板を使用すれば、5μlほどの微量の試料で、一度に100条件の結晶化条件のスクリーニングが可能である。
また、1μl以上の量のゲルを固定したプレートを使用すれば、X線構造解析用の大きな結晶の作製も可能となる。
また、本発明者らの一部が開発している、複数の中空繊維を配列してなるマイクロアレイも好適に使用されうる(特許文献2参照)。
このようなマイクロアレイを使用し、本発明の結晶化方法を実施する場合、油相を各試料に個別に接触させてもよいし、複数にまたがる形で接触させてもよい。後者の方法の方がより簡便な操作ですむ。
次に図1を参照し、マイクロアレイを使用した好適な結晶化方法の実施形態を説明する。
図1は、結晶化の際に使用する冶具を示した斜視図である。まず、マイクロアレイ1は、そのアレイが設置できる凹上の溝3が形成されたプレート2に設置される。この時、マイクロアレイの各ゲル部に蛋白質等を含む試料を添加した後にプレート2に設置しても良いし、プレート2に設置した後、該試料を添加しても良い。次にそのプレート2と同じ形状で凹部の底面に溝3が形成されたプレート4を用意し、そのプレート4をプレート2に重ね合わせる。2枚のプレートを重ね合わせた形状物6のプレート3の穴部5から油相を導入する。なお、プレート4には2つの穴が形成されたプレートを図示しているが、穴の数は1つ以上であればよい。また、穴の形状も制限はない。プレート2及びプレート3は、結晶化の様子が観察可能とするため、透明性材料で形成されていることが好ましい。
以上の操作により、マイクロアレイを使用した場合、より簡便に結晶化実験を行うことができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1. 蛋白質結晶化チップの製造
(1) 中空繊維配列体の作製
ポリエチレン製中空繊維(外径500ミクロン内径350ミクロン)90本10列9行で、テフロン(登録商標)板製ボックス内に互いに重なることなく且つ1.5mm間隔で配列し、両端を固定した。このボックスに、中空糸同士の隙間まで行きわたるように、ポリウレタン樹脂接着剤(日本ポリウレタン工業(株)コロネート4403、ニッポラン4223)を満たし、一週間静置した。ポリウレタン樹脂が十分に固まったことを確認後、固化したポリウレタン樹脂をテフロン(登録商標)板製ボックスから剥がして取り出し、中空繊維が10列9行配列した配列体を得た。(以後、これを中空繊維配列体と表す)
(2)結晶化剤を含有したモノマー溶液(A)の調製方法
重合開始剤VA−044(和光純薬工業社製)0.10gと超純水0.9gを混合し、重合開始剤溶液を作製した。次に、モノマーとして、ジメチルアクリルアミド1.425g、架橋剤としてメチレンビス(メタ)アクリルアミド0.075gに超純水1.5gを混合・脱気し、モノマー溶液を作製した。体積比にて、該重合開始剤溶液を16、該モノマー溶液を1の割合で静かに混合し、氷浴保存した。
(1) 中空繊維配列体の作製
ポリエチレン製中空繊維(外径500ミクロン内径350ミクロン)90本10列9行で、テフロン(登録商標)板製ボックス内に互いに重なることなく且つ1.5mm間隔で配列し、両端を固定した。このボックスに、中空糸同士の隙間まで行きわたるように、ポリウレタン樹脂接着剤(日本ポリウレタン工業(株)コロネート4403、ニッポラン4223)を満たし、一週間静置した。ポリウレタン樹脂が十分に固まったことを確認後、固化したポリウレタン樹脂をテフロン(登録商標)板製ボックスから剥がして取り出し、中空繊維が10列9行配列した配列体を得た。(以後、これを中空繊維配列体と表す)
(2)結晶化剤を含有したモノマー溶液(A)の調製方法
重合開始剤VA−044(和光純薬工業社製)0.10gと超純水0.9gを混合し、重合開始剤溶液を作製した。次に、モノマーとして、ジメチルアクリルアミド1.425g、架橋剤としてメチレンビス(メタ)アクリルアミド0.075gに超純水1.5gを混合・脱気し、モノマー溶液を作製した。体積比にて、該重合開始剤溶液を16、該モノマー溶液を1の割合で静かに混合し、氷浴保存した。
次に、氷浴で冷やしたPCRチューブにモノマー溶液17μL、表1〜6の結晶化剤溶液83μLを加え、ピペッターにて、静かにかつ十分に攪拌・脱気した(以下、結晶化剤入りのモノマー溶液をモノマー溶液(A)と称する)。
(3)中空繊維へのモノマー溶液の導入
窒素が充填され密閉されたセパラブルフラスコ中で、該モノマー溶液(A)を、其々のポリエチレン製中空繊維(外径500ミクロン内径350ミクロン)の中空部に注入した後、直ちに中空繊維の末端をヒートシールにて接着することで、モノマー溶液が完全に封入された状態にした。次に、55℃の湯浴にて3時間放置することにより重合反応を行った。その結果、結晶化剤が保持されたゲルを内部に保持した状態の中空繊維が90本以上配列した中空繊維配列体が得られた。
窒素が充填され密閉されたセパラブルフラスコ中で、該モノマー溶液(A)を、其々のポリエチレン製中空繊維(外径500ミクロン内径350ミクロン)の中空部に注入した後、直ちに中空繊維の末端をヒートシールにて接着することで、モノマー溶液が完全に封入された状態にした。次に、55℃の湯浴にて3時間放置することにより重合反応を行った。その結果、結晶化剤が保持されたゲルを内部に保持した状態の中空繊維が90本以上配列した中空繊維配列体が得られた。
(4)スライス化
この結晶化剤を保持したゲルが充填された中空繊維配列体を、繊維軸に直角方向にミクロトームを用いて750μmの厚さに切り出すことにより、縦横各々10列9行、計90個の繊維と各結晶化剤を保持したゲルの断面が規則的に正方に配列された基板を得た。
この結晶化剤を保持したゲルが充填された中空繊維配列体を、繊維軸に直角方向にミクロトームを用いて750μmの厚さに切り出すことにより、縦横各々10列9行、計90個の繊維と各結晶化剤を保持したゲルの断面が規則的に正方に配列された基板を得た。
2.結晶化スクリーニング
上記1.で製造したチップを用いて、各スポット当り、沈殿剤保持ゲル50nlに対して、蛋白質であるリゾチーム80mg/mlを含有する試料の50nlの液滴を各ゲルに添加し、該試料と結晶化保持ゲルを接触させた。
上記1.で製造したチップを用いて、各スポット当り、沈殿剤保持ゲル50nlに対して、蛋白質であるリゾチーム80mg/mlを含有する試料の50nlの液滴を各ゲルに添加し、該試料と結晶化保持ゲルを接触させた。
さらに試料に油相を複数の試料に接触させた。20℃にて一週間静置し、50倍の倍率にて、顕微鏡で観察した。その結果、90点中7点にて結晶が析出した。結晶写真を図1及び図2に示す。なお、図1は、表4中、CSIIのNo.9の結晶化剤を使用して結晶化させた結晶である。図2は、表4中、CSIIのNo.8の結晶化剤を使用して結晶化させた結晶である。結晶の大きさは、いずれも250μm以上であった。
<比較例1>
<比較例1>
油相を接触させなかった以外は、実施例1と同様に操作を行った。その結果、90点中3点で結晶が析出した。結晶写真を図3及び図4に示す。なお、図3は、表4中、CSIIのNo.9の結晶化剤を使用して結晶化させた結晶である。図4は、表4中、CSIIのNo.8の結晶化剤を使用して結晶化させた結晶である。結晶の大きさはいずれも150μm程度で、生成した結晶の数が少なかった。また、結晶の形状が不明確で良好な結晶ではなかった。
図5 比較例1における結晶写真を示した図である。
1・・・マイクロアレイ
2・・・プレート
3・・・溝
4・・・プレート
5・・・穴部
6・・・形状物
2・・・プレート
3・・・溝
4・・・プレート
5・・・穴部
6・・・形状物
Claims (5)
- 以下の工程を含む蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、または水溶性高分子の結晶化方法。
(a) 蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子含有試料を、結晶化剤を含むゲルに接触させる工程。
(b) 前記試料に油相を接触させる工程。 - 蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子を含有する試料に、結晶化剤を含むゲルを接触させ、次いで油相を該試料に接触させることを含む蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子の結晶化方法。
- 蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、または水溶性高分子を含有する試料に、油相を接触させ、次いで結晶化剤を含むゲルを該試料に接触させることを含む、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子の結晶化方法。
- 結晶化剤を含むゲルに油相を接触させ、次いで蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子含有試料を、ゲルと油相の界面に添加することを含む、蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子含有試料の結晶化方法。
- 結晶化剤を含むゲルの1つ以上が、基板に保持されている請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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JP2005231917A Withdrawn JP2007045668A (ja) | 2005-08-10 | 2005-08-10 | 蛋白質、ペプチド、アミノ酸、核酸、又は水溶性高分子の結晶化方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012133695A1 (ja) | 2011-03-31 | 2012-10-04 | クニミネ工業株式会社 | タンパク質結晶化条件探索剤及びタンパク質結晶化条件探索方法 |
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2005
- 2005-08-10 JP JP2005231917A patent/JP2007045668A/ja not_active Withdrawn
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WO2012133695A1 (ja) | 2011-03-31 | 2012-10-04 | クニミネ工業株式会社 | タンパク質結晶化条件探索剤及びタンパク質結晶化条件探索方法 |
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