JP2007043912A - イヌ科動物の樹状細胞の分化誘導方法 - Google Patents

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喜久弥 杉浦
Toshio Inaba
俊夫 稲葉
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Abstract

【課題】 生体の免疫力を向上させるために、生体から抜き出した樹状細胞の前駆体をインビトロで分化誘導し、生体に戻すことによって免疫力を向上させる治療方法(いわゆる免疫細胞治療)において、遺伝子工学によって得た組み換えサイトカインを誘導剤として用いたのでは、効果的な樹状細胞の分化誘導ができなかった。
【解決手段】 樹状細胞を抜き出した生体と同種もしくは近似種の生体から得たT細胞を抗CD3抗体で刺激して得たサイトカインの全部(TCM)を誘導剤としてインビトロで分化誘導する。
【選択図】 なし

Description

本発明はイヌ科動物の樹状細胞を試験管内(インビトロ)で効率的に分化誘導する方法である。
近年イヌは愛玩用動物としてだけでなく、伴侶動物(コンパニオンアニマル)として益々人間と密着した存在になってきている。そのため飼い主がイヌにそそぐ愛情も深く、イヌが病気になった場合の治療の要望も多い。一方で、イヌはヒトと同種のガンにかかることが知られており、ヒトのガン治療をイヌに応用することが望まれるところである。
ヒトのガン治療では、外科的に部位を摘出する治療の他に、免疫細胞療法が注目されている。その中でも個体の樹状細胞(Dendritic Cell)の前駆体を入手できる場合は、インビトロで分化誘導させた樹状細胞を個体に返す、いわゆるDC療法が有効である。DC療法の原理は以下のようなものである。
樹状細胞とは、多数の膜突起を有し、リンパ球と相互作用できる細胞である。生体に侵入した抗原に対する反応という観点から見ると、樹状細胞は抗原を取り込み、プロセシングした後、ヘルパーT細胞に抗原提示するという役割を担っている。抗原提示を行う細胞(抗原提示細胞)は、他にマクロファージやB細胞も知られているが、樹状細胞は抗原提示能力が最も高い細胞である。
ヘルパーT細胞への抗原提示は、抗原の無毒化やオプソニン化および抗原に感染した細胞の致死という免疫機能の起動点となる。つまり、抗原提示細胞の活性化は、免疫機能強化の方法として有望である。がん細胞は、本来免疫機能によって排除されるべき自己の異常細胞が、排除されずに増殖したものである。従って、抗原提示細胞ががん細胞の抗体をヘルパーT細胞へ提示させることができれば、免疫機能によってがん細胞を駆逐できることが期待される。
DC治療は、個体の樹状細胞の前駆体を取得し、インビトロで樹状細胞を効率的に誘導分化させ、
免疫機能が弱った生体に、がん抗原を提示した活性化樹状細胞をもどすことにより、がん細胞に対する免疫機能を高め、がんなどの治癒を促進させるというものである。
ところで、一般に知られている樹状細胞のインビトロでの分化誘導の方法は以下のようなものがある。
骨髄由来若しくは臍帯血由来の未分化なCD34陽性細胞、若しくは末梢血単球は樹状細胞の前駆細胞であり、この前駆細胞から、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン−4(IL−4)、腫瘍壊死因子(TNF−α)などの刺激により、樹状細胞へ分化誘導することが知られている。
また、GM−CSF、IL−4で刺激することにより、樹状細胞の前駆細胞は、未成熟樹状細胞へ分化する。この細胞にさらにTNFα、CD40L(CD40リガンド:CD40の配位子)、LPS(リボ多糖)等を作用させることにより成熟樹状細胞へと分化する。樹状細胞の前駆体はあらかじめGM−CSF、IL−4、TNFαの三種を同時に作用させることによっても成熟樹状細胞へと分化する。
より具体的に樹状細胞をインビトロで分化誘導させる方法としては、以下のものが紹介されている。
がん細胞に対するワクチンを得る目的で、骨髄や臍帯血の造血未分化細胞、もしくは末梢血単球などの樹状細胞の前駆体に、ケモカインを添加して培地で誘導分化する方法(特許文献1参照)。
免疫寛容性を誘導する樹状細胞を得るために、骨髄液、臍帯血、若しくは末梢血由来の樹状細胞の前駆体を、可溶性ファイブロネクチン、あるいは固相化ファイブロネクチンの存在下で適切な誘導剤と共に培養する方法(特許文献2参照)。
ES細胞(胚性幹細胞)から樹状細胞を選択的に、かつ効率よく産生する方法(特許文献3参照)。
特開2000−143534号公報 特開2002−65253号公報 特開2004−313038号公報
上記のように、イヌのガンに対してDC療法を行おうとすると、イヌの樹状細胞をインビトロで効率的に分化誘導する方法が必要となる。
しかし、上記のように樹状細胞をインビトロで分化誘導する方法の開示はあるが、イヌ若しくはイヌ科の動物の樹状細胞に関してのものはない。また、樹状細胞をインビトロで分化誘導するためには、分化誘導剤を用いるが、開示されている分化誘導剤はすべてサイトカインのうちの特定された物質(以後「サイトカイン特定物質」という)、もしくはサイトカイン特定物質の混合物である。
具体的には、幹細胞増殖因子(SCF)、IL−1、−2、−3、−4、GM−CSF、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、エリトロポエチン、TNF−αなどである。これらの物質は遺伝子工学を用いた遺伝子組み換え体として得られたものが、分化誘導剤として使用される。
ここで、サイトカインについて若干説明しておく。サイトカインとは、細胞から分泌された液性因子をいう。その名称は、リンパ球が抗原などの刺激によって、白血球の分化、増殖、運動能を調整する因子を分泌することが報告され、Dumondeら(1969)がこれらの活物質をリンフォカインと呼ぶことを提唱したことから始まる。
このような活物質はリンパ球に限らずマクロファージも産生していることがわかり、これをモノカインと呼んだ。その後、リンパ球、マクロファージだけでなく、線維芽細胞、上皮細胞もリンフォカインに似た活物質を産生していることが判明した。Cohenらはこれらを総称してサイトカインと呼ぶことを提唱した(1977)。
以後の研究で、サイトカインに属する活物質は、次々に特定されていったが、その全様が解明されたわけではない。すなわち、未だに特定されていない活物質の存在の可能性があり、またサイトカイン特定物質間の相互作用についても未知の部分が多い。
その上、ヒト以外の動物のサイトカインでは、実験用として多用されるマウス以外は、ほとんど確認されていないのが実情である。
サイトカインについては、以上のような事情がある。従って、ヒトだけでなく、他の動物の樹状細胞を分化誘導するにも、誘導剤としてヒト由来の遺伝子組み換え体サイトカイン特定物質を用いていた。
しかし、種が異なると同じサイトカイン特定物質でも分化誘導剤としてヒトの細胞に対するのと同程度の効果が発揮できないないという問題がある。また、種によって樹状細胞の分化誘導に要求されるサイトカイン濃度(ドーズ)が異なる可能性もある。さらに、それらの相互作用についても不明な部分があることから、イヌ若しくはイヌ科動物の樹状細胞を効果的に分化誘導を行うことができないという課題があった。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、イヌ科動物のT細胞を刺激して得られる分泌物であるサイトカインをそのまま全部誘導剤として用い、イヌ科動物の樹状細胞の分化誘導を促進させようとするものである。
上記のようにサイトカインとは、リンパ球、マクロファージ、線維芽細胞、上皮細胞、などが産生する活性物質を総称するものであり、産生元の細胞が異なれば産生する活性物質も異なる。また、細胞等への刺激方法が異なれば、産生する物質も異なる。従って、産生元の細胞と刺激方法を特定して得た天然のサイトカインは、既知の組み換え体として得られるサイトカイン特定物質の混合物とは異なる。
特に、生体における単球から樹状細胞への分化誘導は、感染等の刺激によってT細胞から産生されるサイトカインによるものである。
このサイトカインは、インビトロにおいては、末梢血あるいは脾臓のT細胞を刺激することによって得ることができる。
すなわち、本発明は、イヌ科動物の末梢血単球をスタート材料として、イヌ科の動物のT細胞を刺激して得たサイトカインを分離することなく誘導剤として用いることにより、樹状細胞の分化誘導を図る方法である。以後、本発明において用いるT細胞を刺激して得たサイトカインをTCM(T cell Conditioned Medium)と呼ぶ。なお、TCMは、TCMを適当な溶媒で希釈したものを含む。
本発明は、イヌ科動物の樹状細胞とイヌ科動物のの生体から得たT細胞を抗CD3抗体で刺激して得たサイトカインを誘導剤としてインビボの状態に近い環境(カルチャー)で樹状細胞を誘導分化させるため、効果的に増殖させることができる。
本発明では、分化誘導剤として、生体と同種もしくは近種から得たT細胞を刺激することによって得たTCMを用いる。T細胞は、生体から得た末梢血単核細胞をナイロンウールカラムに通すことによって、容易に得ることができる。
これに刺激物質を加えてTCMを得る。刺激物質としては抗CD3抗体が好ましい。
フィトヘムアグリューチニン(phytohemagglutinine:PHA)あるいはコンカナバリンA(concanavalin A:Con A)などのレクチンも、T細胞の活性化、増殖をひきおこし、固相CD3抗体と同様にTCMの産生も高めることができる。
しかしながら、これらのレクチンが生体内に入った場合、微量でも毒性を示すので、TCMを得る方法としては、望ましくない。
樹状細胞の前駆体として臍帯血、末梢血および骨髄液などを利用できる。樹状細胞の前駆体は生体から採取したものが望ましい。有核細胞を血液から分離するには、フィコール−パックの高比重液を利用する方法が用いられる。
得られた有核細胞からCD14陽性細胞を分離するには、磁気細胞分離システム(MACS)法などを利用することができる。
樹状細胞の分化誘導は、得られた前駆体をあらかじめ調整したTCMとともに培地で培養する。培地にはRPMI−1640倍地、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、など市販の培地を用いることができる。また、これらの培地には、FBS(牛胎児血清)、ペニシリンやストレプトマイシン等の添加物を適量加えてもよい。
培養環境(カルチャー)は、摂氏36度から38度で、二酸化炭素含有量が3〜8%、好ましくは摂氏37度で二酸化炭素含有量5%の環境がよい。
培養期間は8日以上、16日以下がよく、12日前後がより好ましい。
T細胞の分離
リンパ球分離液(比重1.077g/ml、ナカライテスク社製)を用い、定法にしたがって、健常犬より採取した末梢血から末梢血単核細胞を回収した。ここで、定法は例えば文献(Sugiura et al. Immunobiol. (2004)209:619−627)記載の方法である。
得られた末梢血単核細胞からのT細胞の分離は、ナイロンウールファイバー(和光純薬工業)を充填したカラム(ナイロンウールカラム)を用いて、マウスのT細胞分離ための公知の方法(栗林ら 「免疫実験操作法V」1461項、日本免疫学会、1976)を以下のように改変して行った。
(1)5mlのシリンジにCa2+およびMg2+不含りん酸緩衝食塩水(PBS(−))に浸漬しておいた0.25gのナイロンウールファイバーを充填し(容積:約3ml)、高圧蒸気滅菌をした後、シリンジの先に滅菌済み三方活栓(TERUMO(登録商標))および滅菌済み注射針(23G×1″、TERUMO)を装着し、37℃に加温した牛胎児血清(FBS)加(10%)RPMI1640培地(加温RPMI10%FBS)で上記PBS(−)を置換する。
(2)回収した末梢血単核細胞(8.3×107個以下)を1mlの加温RPMI10%FBSに浮遊させて、ナイロンファイバーの上にのせ、三方活栓をゆるめてナイロンファイバー中に浸透させる。浸透し終わった時点でさらに少量の加温RPMI10%FBSを加え、三方活栓を閉じる。
(3)滅菌したアルミ箔でシリンジの上部を覆い、37℃5%CO2の環境下で90分間インキュベートする。
(4)インキュベーションが終わったら、クリーンベンチ内で、上部アルミ箔の覆いをとり、加温RPMI10%FBSを加え、三方活栓をゆるめて、T細胞を滴下回収する。この場合、回収する容積は、3ml(ナイロンファイバーの充填容積に同じ)以下にする。
TCMの作製
TCMは、固相化した抗CD3抗体によってT細胞を刺激することによって作製した。抗CD3抗体の固相化およびT細胞の培養の方法は、公知の方法(Geppert TD et al.(1987)J.Immunol.138:1660−1666)を下記のように改変したものを用いた。
(1)精製した抗イヌCD3抗体(1mg/ml:Serotec Ltd)をPBS(−)で希釈して5μg/mlとし、その10mlを直径10cmのカルチャーディシュに入れる。そのカルチャーディシュを37℃で4時間あるいは6−8℃で18時間インキュベートして抗CD3抗体をカルチャーディシュ底面に吸着させる(固相化)。インキュベーションが終わったら、PBS(−)でカルチャーディシュ底面を1〜2回緩やかに洗浄して、非吸着の抗CD3抗体を除く。
(2)2×107個の分離T細胞(先述)を10mlのRPMI10%FBSに浮遊して、抗CD3抗体を固相化したカルチャーディシュに加え、37℃5%CO2の環境下で24〜96時間培養して、T細胞のサイトカイン産生を誘導する。培養後、上清を回収してTCMとする。
CD14陽性細胞の取得方法(樹状細胞の前駆体の取得)
CD14陽性細胞の分離は、先述の方法によって回収した末梢血単核細胞から(1)抗ヒトCD14モノクローナル抗体とヤギ抗マウスIgGマイクロビーズ(鉄コロイド標識抗体)(Miltenyi Biotec GmbH)を用いた磁気細胞分別(MACS)法と(2)それに続くプラスチックへの付着によって行った。
(1)(a)108の末梢血単核細胞を10mlの抗ヒトCD14モノクローナル抗体(ハイブリドーマ株3C10の培養上清)に浮遊し、4℃(氷上)で30分間インキュベートする。その後、冷PBS(−)で2回洗浄し、0.8mlのFBSを2%(v/v)含有するPBS(−)(PBS2%FBS)に浮遊する。そこへ0.2mlのヤギ抗マウスIgGマイクロビーズを加え6〜8℃で30分間インキュベートした後、冷PBS(−)で2回洗浄し、1mlの2mM EDTA含有PBS2%FBS(PBS−EDTA−FBS)に浮遊し、氷上に立てておく。
(b)MACSカラム(LSサイズ:Miltenyi Biotec)をMACSセパレーター(磁石)に装着し、カラム内を冷PBS−EDTA−FBSで浸漬する。カラム内にインキュベートした末梢血単核細胞を加えて流す。このときCD14陽性細胞は、磁気を帯びたカラム中の鉄製のマトリックスに接着することになる。次に、5〜8mlの冷PBS−EDTA−FBSをカラムに加えて流すことによって、カラム内に残っている非接着細胞(CD14陰性細胞)を洗い流す。その後、カラムをMACSセパレーターよりはずし、マトリックスが磁気を帯びていない環境で、3〜5mlの冷PBS−EDTA−FBSをカラムに流すことによって、マトリックスに接着した細胞を回収する。
(2)回収した細胞を1×106/mlの濃度で加温RPMI10%FBSに浮遊し、カルチャーディシュ(直径6〜10cm)に加え、37℃5%CO2の環境下で90分間インキュベートする。インキュベーションが終わったら、加温RPMI10%FBSで緩やかに洗浄することにより、非付着細胞を除く。その後、4℃に冷やした5mM EDTA含有PBS(−)をカルチャーディシュに加えてディシュ底面に付着している細胞を浮遊させ、回収する。
このようにして回収した細胞は、ほぼ100%CD14陽性である。この細胞に上述のTCMを作用させて樹状細胞を得る。
樹状細胞の分化誘導
上記の様にして得た樹状細胞の前駆体である末梢血単球1×106個を、10%(v/v)FBSを含むRPMI1640にTCMを25%含ませた培地で分化誘導を行った。環境は37℃5%CO2である。
結果
図1に培養開始から12日後に得た、TCMによって分化誘導した末梢血単球由来樹状細胞の形態を示す。中央にくびれを持った核と広い細胞質をもち、特徴的な長い樹状突起を有する大型の細胞が認められる。
図2に、このような樹状細胞の分化誘導された数と培養日数の関係を示す。図2Aは、図1に示したような樹状細胞の割合を、そして、図2Bは絶対数を示す。それぞれ、培養開始後4日、8日および12日において測定した結果を同時に示す。さらに、TCMを含む場合と、TCMを含まない、すなわちFBSを含む培地のみとの比較も同時に示す。
図2Aを参照して、TCMを含む培地での樹状細胞の割合は、培養開始後12日まで増加し、その後横ばいを示した。また、図2Bを参照して、樹状細胞の絶対数は、培養開始後8日をピークとして減少した。一方、TCMを含有しない培地(培地のみ)では、樹状細胞の絶対数は、日数の経過とともに減少して行き、培養開始後12日で樹状細胞を含むすべての細胞がほとんどみられなくなった。
図3に樹状細胞への分化誘導能におけるTCMとMonocyte Conditioned Medium(MCM:モノカイン)の比較を示す。
MCMは次のようにして末梢血単核細胞を培養しただけで得られる分泌物として調製した。
(1)末梢血単球(CD14陽性細胞)を上記の方法により、末梢血中の単核細胞より分離する。
(2)1×107個の分離単球を5mlのRPMI10%FBSに浮遊して、カルチャーディシュ(直系6cm)に加え、37℃5%CO2の環境下で48時間培養する。
(3)培養後、上清を回収してMCMとする。
TCMを25%含む培地あるいはMCMを25%含む培地によって末梢血単球(CD14陽性細胞)を8日間培養して、樹状細胞の分化誘導能をフローサイトメトリー(FACS Calibur、べクトン・ディッキンソン社製)によって比較した。
TCMを培地で培養した細胞のほとんどが、樹状細胞の特徴(サイズが大きく、主要組織適合抗原(MHC)クラスIIやCD1a抗原の発現が高い(枠内1および2の部分)を示したのに対して、MCMを含む培地では、非常に少数であった(枠内3および4の部分)。
本発明で使用したTCMはT細胞を抗CD3抗体で刺激した結果得たサイトカインである。このTCMは、マクロファージから得たサイトカインであるモノカイン(MCM)より、樹状細胞の分化誘導には有用であることがわかる。
本発明はイヌおよびイヌ科動物の樹状細胞の分化誘導に有効な方法を提供するものであり、インビトロで分化誘導した樹状細胞を生体に戻すことによって、生体の免疫機能を向上させるという治療剤に利用することができる。
本発明で得られた樹状細胞の写真である。 本発明の樹状細胞の培養による分化誘導された比率と培養日数の関係を示す図である。 本発明の樹状細胞の培養による分化誘導された絶対数と培養日数の関係を示す図である。 分化誘導剤としてのTCMとMCMの比較を示す図である。

Claims (1)

  1. イヌ科動物由来の樹状細胞の前駆体を含む懸濁液を
    イヌ科動物由来のT細胞に刺激因子を作用させて得られるサイトカイン含有物と共にインビトロで培養し、
    樹状細胞を取得することを
    特徴とする樹状細胞の分化誘導方法。
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