JP2007039430A - 粒状物分散組成物及びその製造方法、並びに、粒状物及び医薬品 - Google Patents

粒状物分散組成物及びその製造方法、並びに、粒状物及び医薬品 Download PDF

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Abstract

【課題】水中に難溶性の物質を微粒子化して分散させた、新規な粒状物分散組成物およびその製造方法の提供。
【解決手段】水中に、水に難溶性の特定物質と、ポリマーと、油とを含有し、平均粒径が1μm以下であり、該特定物質の重量に対する該ポリマー及び該油の合計重量の比が1.5以上である粒状物を分散させた粒状物分散組成物。また、水中に、水に非混和性の非混和性溶媒と、上記特定物質と、上記ポリマーと、上記油とを含有する液滴が分散したエマルジョンから、上記非混和性溶媒を除去する工程を備えることを特徴とする、粒状物分散組成物の製造法。
【選択図】なし

Description

本発明は、水に難溶性の物質を有する粒状物を水中に分散させた粒状物分散組成物及びその製造方法、並びに、それに用いる粒状物及びそれを用いた医薬品に関する。
工業や医療等のさまざまな場面において、水に難溶性の物質を分散させた組成物を用いることがある。例えば、水に溶け難い物質を微粒子化して水中に分散させる場合がある。難水溶性の薬剤、即ち、水に溶け難い薬剤を医療用に使用する場合などがこれに当たる。
上記のように、従来から、難水溶性の薬剤を人体に投与する場合に薬剤を水に分散させて投与することがしばしばなされている。難水溶性の薬剤は、投与後に循環系に吸収されにくいため、薬効が開始されるまでに長時間を要するか、若しくは、循環系に吸収される前に体外に排出され、十分薬効を得られない虞がある。したがって、近年の医薬製剤の分野において、難水溶性の医薬の実用化に関する研究では、体内への送薬方法として、薬剤の微粒子化方法が広く検討されている。薬剤を微粒子化することにより、水中への薬剤の分散安定性が向上し、さらに、体内への吸収が促され、薬効を高めることが可能となると考えられる。
このような難水溶性薬剤の微粒子化方法は、従来さまざまに検討されてきた。例えば、界面活性剤などの表面改質剤を用いて難水溶性薬剤の大きな固体を機械的手法により粉砕する方法、有機溶剤に溶解した難水溶性薬剤をスプレーなどで噴射する方法、水溶性有機溶剤に難水溶性薬剤を溶解させ水中に展開することによって難水溶性薬剤を貧溶媒析出させる方法、非水溶性有機溶剤に難水溶性薬剤を溶解させて界面活性剤等でエマルションを形成させた後、非水溶性有機溶剤を除去する方法(液中乾燥法)などが挙げられる(特許文献1〜8)。
米国特許第5145684号明細書 特開昭63−232840号公報 特開昭57−27128号公報 特開昭63−122620号公報 特許第3244502号公報 特開平1−156912号公報 特表昭61−63613号公報 特表平4−46115号公報
水に難溶性の物質を微粒子化して水中に分散させる場合、産業上の各分野において、その用途等に応じて更なる性能改善が求められ、その改善要求を満たす新たな技術が希求されていた。例えば、上述した難水溶性の薬剤の事例を例に挙げると、従来の方法では、微粒子化に大きなエネルギーを要する点、微粒子化した薬剤の粒子径が依然として大きい点、粒子径が小さくなったとしても水中で薬剤が安定しない虞がある点等が改善点として挙げられる。したがって、例えば、医療分野においては、粒子径が十分に小さく安定な難水溶性薬剤を安価に得る方法が要望されていた。
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたもので、水に難溶性の物質を微粒子化して水中に分散させた新規な粒状物分散組成物及びその製造方法、並びに、それに用いる粒状物、及び、それを用いた医薬品を提案することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、水中に、水に非混和性の非混和性溶媒と特定物質とポリマーと油とを含有する液滴が分散したエマルションから非混和性溶媒を除去することにより、特定物質とポリマーと油とを含有した粒状物が水中に分散した粒状物分散組成物であって、粒状物の平均粒径が1μm以下である粒状物分散組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、水中に、水に難溶性の特定物質と、ポリマーと、油とを含有した粒状物が分散した粒状物分散組成物であって、該粒状物の平均粒径が1μm以下であり、該特定物質の重量に対する該ポリマー及び該油の合計重量の比が1.5以上であることを特徴とする、粒状物分散組成物に存する(請求項1)。これにより、従来には無い新たな態様で媒体中に粒状物を分散させることができる。
また、本発明の別の要旨は、水中に、水に難溶性の特定物質と、ポリマーと、油とを含有した粒状物が分散した粒状物分散組成物であって、該粒状物の平均粒径が1μm以下であり、25℃1013hPaの条件下において12時間静置した場合であっても該粒状物が安定であることを特徴とする、粒状物分散組成物に存する(請求項2)。これによっても、従来には無い新たな態様で媒体中に粒状物を分散させることができる。
さらに、本発明の別の要旨は、水に難溶性の特定物質と、ポリマーと、油とを含有した粒状物であって、該粒状物の平均粒径が1μm以下であり、該特定物質の重量に対する該ポリマー及び該油の合計重量の比が1.5以上であることを特徴とする、粒状物に存する(請求項13)。これにより、従来に無い新たな態様の粒状物を提供することができる。
このとき、該特定物質は薬剤を含有することが好ましい(請求項8)。
また、該粒状物は、表面に界面活性剤を有することが好ましい(請求項3)。
さらに、水に対して該ポリマーが難溶性であることが好ましい(請求項4)。
さらに、該油に対して該特定物質が難溶性であることが好ましい(請求項5)。
さらに、該油に対して該ポリマーが相分離することが好ましい(請求項6)
さらに、水に非混和性の非混和性溶媒のうちの少なくとも1種に対して、該特定物質、該ポリマー及び該油がいずれも溶解しうることが好ましい(請求項7)。
さらに、本発明の別の要旨は、上記の粒状物分散組成物を含有することを特徴とする、医薬品に存する(請求項14)。これにより、薬剤の粒状物を適切に治療対象に投与しやすくすることができる。
また、本発明の別の要旨は、上記の粒状物分散組成物の製造方法であって、水中に、水に非混和性の非混和性溶媒と、上記特定物質と、上記ポリマーと、上記油とを含有する液滴が分散したエマルションから、上記非混和性溶媒を除去する工程を備えることを特徴とする、粒状物分散組成物の製造方法に存する(請求項9)。これにより、上記の粒状物分散組成物を簡単に製造することができる。
また、本発明の別の要旨は、水中に、水に非混和性の非混和性溶媒と、特定物質と、ポリマーと、油とを含有する液滴が分散したエマルションから、上記非混和性溶媒を除去する工程と、上記水中から所定値以上の粒径を有する粒子を除去する工程とを備えることを特徴とする、粒状物分散組成物の製造方法に存する(請求項10)。これによっても、上記の粒状物を簡単に製造することができる。
さらに、本発明の別の要旨は、水中に、水に非混和性の非混和性溶媒と、特定物質と、ポリマーと、上記油とを含有し、上記特定物質の重量に対する上記ポリマー及び上記油の合計重量の比が1.5以上である液滴が分散したエマルションから、上記非混和性溶媒を除去する工程を備えることを特徴とする、粒状物分散組成物の製造方法に存する(請求項11)。これによっても、上記の粒状物を簡単に製造することができる。
このとき、上記粒状物分散組成物の製造方法は、上記エマルション中の液滴を微小化する工程を備えることが好ましい(請求項12)。
本発明の粒状物分散組成物によれば、従来には無い新たな態様で、水中に、水に難溶性の特定物質を含む粒状物を分散させることができる。
また、本発明の粒状物分散組成物の製造方法によれば、上記の粒状物を簡単に製造することができる。
さらに、本発明の粒状物は、従来に無い新たな態様の粒状物を提供することができる。
また、本発明の医薬品によれば、薬剤の粒状物を適切に治療対象に投与しやすくすることができる。
以下、本発明の一実施形態について説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
[I.粒状物分散組成物]
本発明の粒状物分散組成物は、水中に本発明の粒状物が分散した組成物である。
[1.水]
本発明の粒状物分散組成物において、水は、本発明の粒状物を分散させる系を形成するものである。
水の存在状態は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意である。したがって、水は、液体状態であっても良く、固体状態であっても良い。具体例を挙げると、水が使用時に液体状態であるが保存時には凍って氷となっていたとしても、本発明の粒状物分散組成物は媒体である水の存在状態によってその権利範囲が左右されるものではなく、いずれの状態の組成物も本発明の粒状物分散組成物である。
[2.粒状物]
本発明の粒状物は、水に難溶性の特定物質と、ポリマーと、油とを含有する粒状物であり、通常、その表面には、界面活性剤を有している。
なお、本明細書において難溶性とは、溶質が媒体(ここでは、水)に溶解し難いことのみならず、溶質が媒体に全く溶解されないことも広く意味するものとする。具体的には、例えば、疎水性の物質が親水性溶媒に溶解しがたいことや、親水性の物質が疎水性溶媒に溶解しがたいことなどがこれに当たる。
[i.特定物質]
特定物質とは、本発明の粒状物に含有され、本発明の粒状物の一部を形成する材料のことを指し、水に難溶性の物質であれば、具体的な種類は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意である。ただし、本発明はこの特定物質を含有する微粒子(即ち、本発明の粒状物)の粒径を小さくし、且つ、水中で安定して分散させることができることを利点の一つとしているため、従来の方法では粒径の微小化及び分散の安定化が困難であった化合物を粒状物の材料である特定物質として用いると本発明の利点をより有効に発揮させることができ、好ましい。また、結晶性化合物や、常温で固体となる化合物などは、特定物質として好適である。
従来は粒子径の微小化及び分散の安定化が困難であった特定物質の性質としては、結晶化しやすい、常温で固体であるなどの性質が挙げられる。本発明によれば、このような性質を有する特定物質を含有する粒状物であっても安定に分散させることが可能である。
これに関連し、例えば、特定物質は、水中に特定物質を分散させた従来の分散体を調製した場合にその分散体の安定性が低くなるものを用いると、上記の利点を有効に発揮させることができる。従来、そのような分散体では経時的に特定物質が沈殿や凝集してしまっていたが、本発明の粒状物分散組成物及び粒状物においては、その製造過程において用いるポリマーや油などがあるために上記の沈殿や凝集が抑制されており、したがって、そのような特定物質を安定して分散させることができるという利点を得ることができる。
また、本発明の粒状物は、水に難溶性であることが好ましい。したがって、特定物質等の、本発明の粒状物に含有される各成分は、それぞれ水に難溶性であることが好ましい。水に難溶性の粒状物は従来技術では水中に安定に分散させることが困難であったため、本発明の粒状物として水に難溶性のものを用いれば、上述した本発明の利点を有効に発揮させることができるためである。
なお、特定物質が水に難溶性であるとは、本発明の粒状物分散組成物中において本発明の粒状物が形成できる程度に特定物質が水に溶けないことを意味し、具体的には、液体状態の水に対する特定物質の溶解性が、常温常圧(即ち、25℃1013hPa)の条件下において、通常100g/リットル以下、好ましくは50g/リットル以下、より好ましくは10g/リットル以下であることを表わす。下限に制限は無いが、通常は0g/リットルより大きい範囲である。
さらに、特定物質は、少なくとも1種の、水に非混和性の溶媒(以下適宜、「非混和性溶媒」という)に対して溶解しうることが好ましい。また、この特定物質が溶解しうる非混和性溶媒には、ポリマー及び油も溶解しうることが好ましい。本発明の粒状物の製造時には、特定物質、ポリマー及び油が溶解しうる共通の非混和性溶媒を用いて製造を行なうことが望ましいからである。
粒状物に含有される特定物質の例としては、有機化合物及び無機化合物が挙げられ、好適なものとしては、公知の薬剤、無機化合物、顔料、染料などが挙げられる。
特定物質の一例である薬剤としては、生理活性を有する化合物などが挙げられ、例えば、鎮痛薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗生物質(ペニシリン類を含む)、抗凝固薬、抗降圧薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗ムスカリン薬、抗ミコバクテリア薬、抗新生物薬、免疫抑制薬、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、不安解消薬(催眠薬および神経弛緩薬)、アストリンゼント、アドレナリン性β受容体遮断薬、血液製剤および代用血漿、心筋変性力薬、コントラスト媒質、コルチコステロイド、咳抑制薬(去痰薬および粘液破壊薬)、診断薬、診断像形成薬、利尿薬、ドーパミン作用薬(抗パーキンソン氏病薬)、止血薬、免疫薬、リピッド調節薬、筋肉弛緩薬、副交感神経刺激興奮薬、副甲状腺カルシトニンおよびビホスホネート類、プロスタグランジン、放射性医薬、性ホルモン(ステロイド類を含む)、抗アレルギー薬、興奮薬および食欲減退物質、交感神経興奮薬、甲状腺薬、血管拡張剤およびキサンチン類を含む各種既知薬物類などが挙げられる。
特に好適なものを具体的に例示すると、17−α−プレグノ−2,4−ジエン−20−イノ−[2,3−d]−イソキサゾール−17−オール(ダナゾール)、5α,17α,−1′−(メチルスルホニル)−1′Hプレグノ−20−イノ−[3,2−c]−ピラゾール−17−オール(ステロイドA)、〔6−メトキシ−4−(1−メチルエチル)−3−オキソ−1,2−ベンズイソチアゾール−2(3H)−イル〕メチル2,6−ジクロロベンゾエート1,1−ジオキシド、3−アミノ−1,2,4−ベンゾトリアジン−1,4−ジオキシド、ピポサルファム、ピポサルファン、カプトテシン、アセトミノフェン、アセチルサリチル酸、アミオダロン、コレスチフミン、コレスチポール、クロモリンナトリウム、アルブテロール、スクラルフェート、スルファサラジン、ミノキシジル、テンパゼパム、アルブラゾラム、プロポキシフェン、オーラノフィン、エリスロマイシン、サイクロスポリン、アシクロビア、ガンシクロビア、エトポサイド、メファラン、メトトリキセート、ミノキサントロン、ダウノルビシン、メガステロール、タモキシフェン、メドロキシプロゲステロン、ナイスタチン、テルブタリン、アンホテリシンB、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナック、ケトプロフェン、フルピプロフェン、ジフロミサール、エチル−3,5−ジアセトアミド−2,4,6−トリヨードベンゾエート、エチル(3,5−ビス(アセチルアミノ)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)アセテートおよびエチル−2−(3,5−ビス(アセチルアミノ)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシアセテート)などが挙げられる。中でも、特に好ましくは、ナプロキセン、インドメタシン等が挙げられる。これにより、薬剤を粒状物に含有させて用いることができる。
また、特定物質の一例である無機物質の例としては、金等の金属、シリカ、酸化チタン、クレイ、タルクなどが挙げられる。これにより、金コロイド等の金属粒子や無機微粒子などを粒状物に含有させて用いることができる。
さらに、特定物質の一例である顔料の例としては、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、金属錯体系顔料、アゾメチン系顔料、アゾ系顔料などが挙げられる。これにより、顔料粒子を粒状物に含有させて用いることができる。
また、特定物質の一例である染料の例としては、油溶性染料、直接染料、酸性染料、塩基性染料、アゾイック染料などが挙げられる。
さらに、染料の他の例としては、筆記記録液に通常使用されている染料、例えば、クマリン系、ペリレン系、ジシアノピニル系、アゾ系(例えば、ピリドンアゾ系、ジスアゾ系、トリスアゾ系、ベンゼンアゾ系、ヘテロ環アゾ系など)、キノフタロン系、アミノピラゾール系、メチン系、ジシアノイミダゾール系、インドアニリン系、フタロシアニン系などが挙げられる。これにより、染料粒子を粒状物に含有させて用いることができる。
なお、特定物質は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[ii.補助成分]
本発明の粒状物には、上記の特定物質のほか、ポリマーと油とが含有される。なお、以下の説明においては、適宜、本発明の粒状物に含有されるポリマー及び油をまとめて「補助成分」という。
本発明の粒状物にポリマー及び油を含有させるようにすることで、粒状物の分散安定性は増す。そのポリマー及び油の役割は明らかではないが、次のように推測する。即ち、ポリマーは粒状物の担体となり、粒状物中の特定物質同士の凝集を抑制していると考えられ、さらに、油はその粒状物の外側に位置し、界面活性剤を吸着させやすくすることで、粒状物の分散安定性に寄与しているものと推測される。
また、後述するエマルションの製造方法において、使用する非混和性溶媒を含むエマルションを作製した場合においても、著しくエマルションの安定性を増大させる。ここでのポリマー及び油(即ち、補助成分)の役割も明らかではないが、補助成分はエマルションの比重を軽くさせることや界面活性剤のエマルション表面への吸着を促進させることなどが推測され、これにより、補助成分はエマルションの分散安定に寄与しているものと考えられる。
<ポリマー>
ポリマーは、その具体的な種類は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常は、水に難溶性であり、且つ、非混和性溶媒に可溶のものを用いる。
ここで、ポリマーが水に難溶性であるとは、本発明の粒状物分散組成物中において本発明の粒状物が形成できる程度にポリマーが水に溶けないことを意味し、具体的には、液体状態の水に対するポリマーの溶解性が、常温常圧の条件下において、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下であることを表わす。なお、下限に制限は無いが、通常は0重量%より大きい範囲である。
また、上記の通りポリマーは少なくとも1種の非混和性溶媒に溶解しうることが好ましいのであるが、本発明の粒状物の製造を容易に行なう観点からは、特定物質及び油が溶解しうる非混和性溶媒に対して可溶であることがより好ましい。
さらにポリマーは、粒状物の中で担体となるべく、油と相分離することが好ましい。なお、上記のように相分離しうるか否かは、例えば、ポリマーと油とを同量(例えば、1g)ずつ取り、両者を混合し(例えば、5ccバイアル瓶中で任意の方法で混合)、本発明の粒状物分散組成物を製造する温度(例えば、室温)において相分離するか否かで調べることができる。
ここで相分離とは、固体−固体、固体−液体、液体−液体のように、界面を有する混ざり合わない相を形成することを示す。このとき、それぞれの相に、ポリマー及び油がある比率で分配していても良い。
また、これに関連して、ポリマーは、上記のように、油が液体状態である場合に、その油に難溶性であるものが好ましい。具体的には、油に対するポリマーの溶解性が、常温常圧の条件下において、通常500g/リットル以下、好ましくは300g/リットル以下、より好ましくは100g/リットル以下であることが望ましい。これにより、製造時の非混和性溶媒を除去する過程において、ポリマーと油とが混和しないようにすることができ、ポリマーは粒状物の担体として作用し、油は界面活性剤の吸着を促進させるために、それぞれ有効に作用させることができ、したがって、本発明の粒状物の粒径をより小さく、そして粒径の経時安定性を増加させることができる。なお、下限に制限は無いが、通常は0g/リットルより大きい範囲である。
さらに、ポリマーの存在状態は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であり、例えば液体状態であってもよく、固体状態であってもよい。ただし、粒径の経時安定性を高めるためには、通常は固体状態であることが好ましい。
また、ポリマーの分子量は、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、ポリマーの重量平均分子量は、通常1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上、また、通常1000000以下、好ましくは700000以下、より好ましくは500000以下である。この範囲の下限を下回るとポリマーが担体として作用できなくなる虞があり、上限を上回ると粘性が高くなってエマルションを安定に形成させられなくなる虞があるためである。
なお、ポリマーの重量平均分子量の測定はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)による。使用する媒体やカラム等の測定条件は、各種ポリマーのGPC測定に通常用いる方法が採用できる。
ポリマーの例を挙げると、例えば本発明の粒状物分散組成物や粒状物を医療用途等に用いるときには、生体内分解性の高分子化合物が挙げられる。その具体例を挙げると、脂肪族ポリエステル、ポリ−α−シアノアクリル酸エステル、ポリアミノ酸、無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。これらのうち、代表的なものを挙げると、脂肪族ポリエステルの例としては、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、2−ヒドロキシカプリル酸等のα−ヒドロキシ酸類、グリコリド、ラクチド等のα−ヒドロキシ酸の環状二量体類、リンゴ酸等のヒドロキシジカルボン酸類、クエン酸等のヒドロキシトリカルボン酸等の単独重合体、共重合体、単独重合体及び/又は共重合体の混合物などが挙げられる。重合体の例を挙げると、単独重合体としては乳酸重合体等が挙げられ、共重合体の例としては乳酸/グリコール酸共重合体、2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸共重合体等が挙げられ、単独重合体及び/又は共重合体の混合物としては乳酸重合体と2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸共重合体との混合物等が挙げられる。
また、ポリアミノ酸の例としてはポリ−γ−ベンジル−L−グルタミン酸、ポリ−L−アラニン、ポリ−γ−メチル−L−グルタミン酸等が挙げられる。
さらに、無水マレイン酸系共重合体の例としてはスチレン/マレイン酸共重合体等が挙げられる。
これらの中では、脂肪族ポリエステルが特に好ましい。また、脂肪族ポリエステルの中でも、α−ヒドロキシ酸類、α−ヒドロキシ酸の環状二量体類の単独重合体、2種以上の共重合体、或いは、これら単独重合体及び/又は共重合体の混合物が好ましい。さらに、α−ヒドロキシ酸類の単独重合体や共重合体、又は、これら単独重合体及び/又は共重合体の混合物が特に好ましい。
なお、上記α−ヒドロキシ酸類、α−ヒドロキシ酸の環状二量体類、ヒドロキシジカルボン酸類、ヒドロキシトリカルボン酸類などが分子内に光学活性中心を有する場合、D−体、L−体、DL−体などの、いずれの異性体も用いることができる。
また、上記脂肪族ポリエステルは、公知の任意の製造法(例えば、特開昭61−28521号公報に記載の製造法)で製造できる。また、重合の形式は、ランダム、ブロック、グラフトのいずれでもよい。
さらに、生体適合性高分子化合物も好ましく使用することができる。その例としては、ポリスチレン、ポリメタアクリル酸、アクリル酸とメタアクリル酸との共重合体、ポリアミノ酸、デキストランステアレート、エチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、無水マレイン酸系共重合物、エチレンビニルアセテート系共重合物、ポリビニルアセテート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレンなどが用いられる。
なお、ポリマーは、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
<油>
本発明でいう「油」は、その具体的な種類は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、水に難溶性である低分子化合物であることを意味する。これらの化合物の好ましい状態は液体状態である。また、これらの化合物は通常、高沸点化合物である。ただし、ここで高沸点とは、非混和性溶媒よりも沸点が高いことを表わす。具体的には、製造方法の説明において述べるように、非混和性溶媒の沸点と油の沸点との差が、通常1℃以上、好ましくは3℃以上、より好ましくは5℃以上であることが望ましい。
また、本発明の粒状物の製造時に関していえば、油は、非混和性溶媒に可溶性のものを用いる。この油は、ポリマーと併用した場合に、その構造は明らかではないが、推測すると、粒状物の外側にあるものと考えられる。また、ここで水に難溶性の油を用いるのは、界面活性剤をより多く吸着させ、本発明の粒状物分散組成物及び粒状物の製造を容易に行なえるようにすると考えられ、その効果のため本発明の粒状物分散組成物の安定性を向上させると考えられる。
ここで油が水に難溶性であるとは、本発明の粒状物分散組成物中において本発明の粒状物が形成できる程度に油が水に溶けないことを意味し、具体的には、液体状態の水に対する油の溶解性が、常温常圧の条件下において、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下であることを表わす。なお、下限に制限は無いが、通常は0重量%より大きい範囲である。
さらに、上述したように、通常は、油は粒状物の外側に位置することが好ましいため、油には、ポリマーと相分離しうるものを選択することが好ましい。したがって、油には、担体として作用するポリマーと相分離しうるものを選択することが好ましい。なお、上記のように相分離しうるか否かは、例えば、ポリマーの説明において上述した方法と同様の方法により調べることができる。
さらに、油の存在状態は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であり、例えば液体状態であっても固体状態であってもよい。ただし通常は、製造時の条件下において油は液体状態となっていることが望ましく、特に好ましくは常温常圧で液体状態であることが望ましい。本発明の粒状物の形成を効率的に行なうことができるようにするためである。具体的には、油の融点は、通常100℃以下、好ましくは65℃以下、より好ましくは42℃以下であることが望ましい。なお、油の融点の下限に制限は無いが、通常−30℃以上である。
また、本発明の粒状物分散組成物及び粒状物は、上記のように製造時において非混和性溶媒を除去する工程を経て製造されるが、油は、この非混和性溶媒を除去する工程においても除去されない、或いは、除去される量が非混和性溶媒よりも少ないことが望ましい。通常は、上記の非混和性溶媒の除去は非混和性溶媒を揮発させて除去するので、油が除去されないようにするためには、油は非混和性溶媒よりも高い沸点を有していることが望ましい。具体的には、油の沸点は通常40℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは200℃以上であることが好ましい。なお、油の沸点の上限に制限は無いが、通常500℃以下である。
さらに、本発明の粒状物の製造時には非混和性溶媒を用いることになるため、油は、少なくとも1種の非混和性溶媒に溶解しうることが好ましく、特に、本発明の粒状物の製造を容易に行なう観点からは、特定物質及び油が溶解しうる非混和性溶媒に対して可溶であることがより好ましい。
さらに、油の分子量は、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、その分子量は通常5000以下、好ましくは3000以下、より好ましくは1000以下である。この範囲の上限を上回ると粘性率が高くなり、製造過程においてエマルションを形成させにくくとなる虞があるためである。なお、油の分子量の測定は質量分析法により行なうことができる。
油としては、例えば、分子量が前述の範囲にある動植物油脂、あるいは鉱油が挙げられる。より具体的には、例えば、大豆油、ゴマ油、オリーブ油、綿実油などに代表される植物油や、獣脂などの動物油、カカオ脂、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコールのジ脂肪酸エステル、中鎖または高級脂肪酸アルキルエステル、乳酸アルキルエステル、芳香族モノマー、ジカルボン酸アルキルエステル、石油、シリコーン油などを用いることができる。さらに本発明において、特定物質として医薬品を用いる場合は、油は生体適合性もしくは医薬添加剤としてその国の法律が認めているものを用いるのが好ましい。例えば、日本国の場合は医薬品添加物事典(日本医薬品添加剤協会編集)に記載されているものが好ましい。
なお、油は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、油は、当該油が液体状態である場合に、その油に対して上記特定物質が難溶性であることが好ましい。したがって、本発明の粒状物に含有させる特定物質には、油に対して難溶性の化合物を用いることが好ましい。具体的には、油に対する特定物質の溶解性が、常温常圧の条件下において、通常100g/リットル以下、好ましくは50g/リットル以下、より好ましくは10g/リットル以下であることが望ましい。これにより、例えば特定物質として薬物(薬剤)を用いた場合に、薬物が体内に吸収されるとき、急激な薬物吸収を抑えることができ、有効なドラッグリリースが可能となる。また、薬物が油に溶解していると、徐々に水中に薬物粒子が溶出し、最後には水中に析出・沈殿してしまう虞がある。なお、下限に制限は無いが、通常は0g/リットルより大きい範囲である。
[iii.本発明の粒状物が含有できるその他の成分]
さらに、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記の特定物質、ポリマー及び油以外の化合物を、本発明の粒状物に含有させても良い。例を挙げれば、例えば、油溶性界面活性剤などを本発明の粒状物に含有させることもできる。
[iv.界面活性剤]
本発明の粒状物は、通常、その表面に界面活性剤を有する。この界面活性剤は、水中において本発明の粒状物を安定して存在させるために用いられる。
界面活性剤の種類に制限は無く、水中に本発明の粒状物を存在させることができる限り任意のものを用いることができる。例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などを用いることができる。また、界面活性能を有する高分子も、界面活性剤として用いることができる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、ドデシルスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホネート、デシルベンゼンスルホネート、ウンデシルベンゼンスルホネート、トリデシルベンゼンスルホネート、ノニルベンゼンスルホネート並びにこれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩などが挙げられる。
さらに、カチオン系界面活性剤の具体例としては、セチルトリメチルアンモニウムプロミド、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
また、ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリビニルアルコールの他、各種のものが市販されており、例えば、ユニオンカーバイド社製の「Triton」(X−100、X−114、X−305、N−101)、アイ・シー・アイ社製の「Tween」(20、40、60、80、85)、アイ・シー・アイ社製の「Brij」(35、58、76、98)、シェル社製の「Nonidet」(P−40)、ローヌ・プーラン社製の「Igepol」(CO530、CO630、CO720、CO730)、旭電化工業社製の「プルロニック」(F68、F87、F127)等が挙げられる。
さらに、界面活性能を有する高分子としては、デキストラン、ペクチン、デキストリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、アラビアゴム、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン等の天然高分子、及び、ポリアミノ酸や合成たんぱく質などが挙げられる。また、スチレン−アクリル酸共重合体等の、親水基及び疎水基を有する合成高分子も界面活性剤として使用することができる。
なお、界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[v.粒状物の物性]
本発明の粒状物分散組成物は、従来の微粒子分散体が経時的に特定物質を析出させていたのに対し、通常は、静置しておいても特定物質が析出せず安定である。具体的には、本発明の粒状物分散組成物は、常温常圧下で、通常12時間以上、好ましくは1日以上、より好ましくは2週間以上、さらに好ましくは1ヶ月以上静置した後でも、本発明の粒状物分散組成物中に析出が生じない、即ち、特定物質が析出しない程度に安定である。
また、これに関連し、本発明の粒状物分散組成物は、常温常圧下で、通常12時間以上、好ましくは1日以上、より好ましくは2週間以上、さらに好ましくは1ヶ月以上静置した後でも、その平均粒径が2倍以下である、即ち、本発明の粒状物の平均粒径の変化量が100%以下の範囲に収まる程度に安定である。
上記のような安定性は、本発明の発明者が推察するところでは、粒状物中に含まれるポリマー及び油が本発明の粒状物の安定性を向上させているために得られたものである。したがって、本発明の粒状物においては、特定物質の重量に対するポリマー及び油の合計重量の比が所定値以上の大きさを有するようにする。
具体的には、特定物質の重量に対する、ポリマー及び油の合計重量の比〔{(ポリマーの重量)+(油の重量)}/(特定物質の重量)〕が、通常1.5以上、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上である。これにより、上述したように本発明の粒状物を安定なものとすることができる。また、上限については特に制限は無いが、通常300以下、好ましくは100以下である。この上限を上回ると、効果的な薬効が得られない虞がある。
なお、上記の特定物質の重量に対するポリマー及び油の合計重量の比は、例えば、NMRや液体クロマトグラフィーなどにより、特定物質並びにポリマー及び油のそれぞれの濃度を測定し、比率を見積もればよい。
さらに、本発明の粒状物の平均粒径は、通常1nm以上、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、また、通常1μm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは100nm以下が望ましい。より好ましい態様の一つとして、当該平均粒径が200nm以下である場合において、粒状物の最大の粒径が500nm以下、好ましくは400nm以下、より好ましくは250nm以下である場合が挙げられる。この粒状物は、非常に小さい粒径を有する安定した粒子であり、粒径の小ささと水中での高い安定性を利用した様々な効能が期待される。例えば、本発明の粒状物の粒径を小さくすることにより、その比表面積を大きくすることができるため、例えば本発明の粒状物分散組成物又は粒状物を医薬品として使用する際などに、粒状物による作用を効果的に発揮させることが可能となる。しかし、この範囲の上限を上回ると上記の効能が得られなくなるとなる虞がある。また、この範囲の下限を下回ると、界面活性剤の使用量が大きくなる虞があるためである。
なお、本発明の粒状物や後述するエマルション中の液滴のような水中の粒子の粒径測定は、例えば、大塚電子社製「FPAR−1000」やマイクロトラック社製「Microtrack UPA」等の動的光散乱装置を用いて測定することができる。また、例えば堀場製作所社製「LA920」等のレーザー回折法を用いた装置で測定することもできる。さらに、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡で測定することができる。この中でも、好ましくは動的光散乱法を用いた測定である。
[3.その他の構成]
本発明の粒状物分散組成物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、その他の成分を含有していても良い。したがって、水中に、上述したもの以外の成分が含有されていても良い。そのような成分に制限はなく、本発明の趣旨に著しく反しない限り公知の物質を任意に用いることができる。なお、これらの成分は、適宜、本発明の粒状物分散組成物から本発明の粒状物を分離させた場合においても、含有されていても良い。
例えば、水中に含有されていても良い成分としては、KCl、NaCl等の塩化合物、緩衝液、pH調整剤、粘度調整剤、着色剤、防腐剤、防カビ剤、蒸発防止剤、香料などが挙げられる。
また、例えば、水中に水に混和しうる溶媒が含まれていても良く、具体例としては、アルコール、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)等の親水性溶媒などを含有させてもよい。
なお、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[4.各成分の組成]
本発明の粒状物分散組成物中における特定物質の量は、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常0.01g/リットル以上、好ましくは0.05g/リットル以上、より好ましくは0.1g/リットル以上、特に好ましくは0.5g/リットル以上、また、通常500g/リットル以下、好ましくは300g/リットル以下、より好ましくは100g/リットル以下であることが望ましい。この範囲の下限を下回ると特定物質が水に溶解し、製造過程において調製されるエマルションの液滴内に保持されなくなる虞があり、上限を上回ると上記エマルションの安定性が保たれず、特定物質が水中に析出する虞があるためである。
さらに、本発明の粒状物分散組成物中におけるポリマー及び油の量は、それぞれ、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常0.005g/リットル以上、好ましくは0.01g/リットル以上、より好ましくは0.1g/リットル以上、また、通常300g/リットル以下、好ましくは200g/リットル以下、より好ましくは100g/リットル以下であることが望ましい。この範囲の下限を下回ると期待する効果が得られなくなる虞があり、上限を上回ると分散体である粒状物を安定に存在させられなくなる虞があるためである。
また、本発明の粒状物分散組成物中における界面活性剤の量は、臨界ミセル濃度以上であれば任意であるが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であることが望ましい。この範囲の下限を下回ると製造過程で調製されるエマルションが安定しなくなる虞がある。上限に制限は無いが、現実的には30重量%以下である。
なお、本発明における粒状物は、コア−シェル構造を有していることが好ましい。このコア−シェル構造は、ポリマーと油とが相分離することによって形成される。このようなコア−シェル構造を有することにより、例えば油がシェル相を形成した場合、界面活性剤の吸着を促進させ、微粒子の保存安定性が高まると考えられる。このようなコア−シェル構造体の確認は、樹脂などに本発明の粒状物を包埋し、断面を切り出し、SEM、TEMなどの電子顕微鏡で観察することができる。ただし、本発明の粒状物が100nm以下の断面を切り出すことが難しく、この場合の構造確認には、位相差TEMが好ましい。このような位相差TEMにはJEM−3100FFC(日本電子社製 参考文献:Journal of Electron Microscopy 54(I):79−84(2005))を用いることができる。
[II.製造方法]
本発明の粒状物分散組成物の製造方法(以下適宜、「本発明の製造方法」という)では、水中に、非混和性溶媒と、特定物質と、ポリマーと、油とを含有する液滴が分散したエマルションから、上記非混和性溶媒を除去する工程を備える。
[1.エマルションの用意]
本発明の製造方法で用いるエマルションは、上記のように、水中に液滴が分散したものである。また、この液滴中には、上述した特定物質と、ポリマーと、油と、非混和性溶媒とが含有されている。さらに、このエマルション中には、通常、界面活性剤も含有されている。
水、特定物質、ポリマー、油及び界面活性剤は上述したとおりである。
[i.非混和性溶媒]
本発明の製造方法で用いる非混和性溶媒は、特定物質、ポリマー及び油が可溶で、且つ、上記水に非混和性の溶媒である。なお、本発明の粒状物を得ることができる限り、非混和性溶媒に制限は無いが、通常は、低沸点有機分子、即ち、油よりも沸点が低い有機分子を用いる。
ここで、非混和性溶媒に上記の特定物質、ポリマー及び油が可溶であるとは、特定物質、ポリマー及び油がそれぞれ本発明の粒状物分散組成物及び粒状物を製造できる程度に溶解しうることを表わす。具体的には、液体状態の非混和性溶媒に対する特定物質、ポリマー及び油それぞれの溶解性が、常温常圧の条件下において、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であることを表わす。なお、上限に制限は無いが、通常は50重量%以下である。
一方、非混和性溶媒が水に非混和性であるとは、非混和性溶媒と水とを共存させた場合に両者が相分離しうることを表わす。
また、後述する非混和性溶媒の除去工程において非混和性溶媒の除去を簡単に行なう観点からは、非混和性溶媒は揮発性の物質であることが望ましい。したがって、非混和性溶媒の沸点は低い方が望ましい。具体的には、非混和性溶媒の沸点は、通常0℃以上、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、また、通常180℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下であることが望ましい。
さらに、これに関連して、非混和性溶媒の沸点はポリマー及び油の沸点、特に油の沸点よりも低いことが好ましい。具体的には、非混和性溶媒の沸点とポリマー及び油の沸点との差が、通常1℃以上、好ましくは3℃以上、より好ましくは5℃以上であることが望ましい。なお、上記沸点の差の上限に制限は無いが、通常500℃以下である。
非混和性溶媒の具体例を挙げると、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;エチルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類;メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪酸エステル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ブタノール等のアルコール類などが用いられる。なかでもハロゲン化炭化水素が好ましく、特にクロロホルムが好適である。
なお、非混和性溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[ii.エマルション中の組成]
エマルション中における特定物質の量及び界面活性剤の量は、本発明の粒状物分散組成物中の量として上述したものと同様である。
さらに、エマルション中におけるポリマー及び油の量は、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常0.01g/リットル以上、好ましくは0.1g/リットル以上、より好ましくは1g/リットル以上、また、通常500g/リットル以下、好ましくは300g/リットル以下、より好ましくは100g/リットル以下であることが望ましい。この範囲の下限を下回ると、非混和性溶媒を取り除いた時に、十分に安定な本発明の粒状物を得ることができない虞があり、上限を上回るとエマルションが十分に形成されなくなる虞があるためである。
また、本発明の粒状物分散組成物の場合と同様に、エマルション中においても、液滴に含有される特定物質、ポリマー及び油は、特定物質の重量に対するポリマー及び油の合計重量の比〔{(ポリマーの重量)+(油の重量)}/(特定物質の重量)〕を、通常1.5以上、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上とすることが望ましい。これにより、エマルションを安定にすることができるため、本発明の粒状物分散組成物を確実に得ることができる。なお、上限については特に制限は無いが、通常300以下、好ましくは100以下である。この上限を上回ると、例えば特定物質として薬物を用いた場合に、効果的な薬効が得られなくなる虞がある。
さらに、ポリマーと油との比率も本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、「ポリマーの重量/(ポリマーの重量+油の重量)」で通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、また、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。この範囲の下限を下回ると、ポリマーが担体として作用しなくなる虞があり、さらにこの範囲の上限を上回ると、分散安定性が低下する虞がある。
また、非混和性溶媒の使用量は、本発明の粒状物分散組成物及び粒状物を製造できる限り任意であるが、「(特定物質の重量+ポリマーの重量+油の重量)/(特定物質の重量+ポリマーの重量+油の重量+非混和性溶媒の重量)の比率が、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下となるようにすることが望ましい。この範囲の下限を下回ると生産性が低下する虞があり、上限を上回るとエマルション内の粘性が増大し、エマルションを形成させにくくなる虞があるためである。
また、水との関係に注目すると、エマルション全体の重量に対する液滴の重量の比率、即ち、「(特定物質の重量+ポリマーの重量+油の重量+非混和性溶媒の重量)/エマルションの総重量」は、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。この範囲の下限を下回ると生産性が低下する虞があり、上限を上回ると安定にエマルションが形成されなくなる虞があるためである。
[iii.混合手順]
エマルションを調製する際には、水、特定物質、ポリマー、油、界面活性剤及び非混和性溶媒、並びに、適宜用いられるその他の成分を混合する。混合する順序に制限は無く、上記エマルションが得られる限り任意であるが、非混和性溶媒に特定物質、ポリマー及び油を溶解させた溶液(液滴用溶液)と、水中に界面活性剤を溶解又は分散させた溶液(水用溶液)とをそれぞれ調製し、その後両方の溶液を混合するようにすると、上記エマルションを確実に得ることができ、好ましい。
また、各成分を混合した後、微小化工程を行なうことが好ましい。即ち、エマルション中の液滴を微小化して、液滴の粒径を小さくすることが好ましい。これにより、液滴の粒径を小さくしてエマルション化を進行させることができる。
微小化の際、液滴を微小化させる具体的手法に制限はなく、攪拌等のエマルション化を進行させる公知の操作を任意に行なうことできる。例えば、ビーズミル、ロールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロ流動化装置(Microfluidizer:登録商標)等の分散機を用いて、エマルションを分散させることが好ましい。この中で超音波分散機を用いるのが好ましい。中でも、混合後のエマルションに超音波分散を行なうようにすれば、エマルション中の液滴を効果的に微小化することができるため、特に好ましい。
超音波分散を行なう場合、使用する超音波分散機の出力は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常10W以上6000W以下が好ましい。この範囲よりも高出力でもよいが、あまりに高出力過ぎると超音波分散に用いるチップの破片がエマルションに混入しコンタミとなる虞がある。
さらに、超音波分散を行なう際に用いる超音波の周波数は液滴の微小化が可能であれば任意であるが、通常1kHz以上、好ましくは5kHz以上、より好ましくは10kHz以上、また、通常3MHz以下、好ましくは100kHz以下、より好ましくは30kHz以下である。
また、超音波分散を行なう時間も本発明の趣旨に著しく反しない限り任意である。超音波分散を行なうエマルションの量に依存するが、通常1秒以上、好ましくは15分以上、また、通常72時間以下、好ましくは1時間以下である。
さらに、超音波分散を行なう際の温度条件も本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常は常温(25℃)前後で処理を行なうことが好ましい。ただし、超音波分散によって温度が上昇することがあるため、通常は水浴につけて超音波分散を行なう。
ところで、非混和性溶媒としてクロロホルム、四塩化炭素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素を用いて水の存在下で超音波分散を行なった場合には、HCl等のハロゲン化水素の発生などが生じ、これにより、エマルションの水のpHが低下することがある。このように水のpHが低下すると、特定物質等の粒状物を形成する化合物の分子構造が変化したり、界面活性剤が十分に作用しない虞がある。したがって、超音波分散により微小化を行なう場合には、超音波分散の前又は超音波分散時に、緩衝剤、pH調整剤、イオン交換樹脂などを水中に共存させておくことが好ましい。これにより、水のpHが上記のように低下することを防止することができる。
pHの低下を防止するために用いる緩衝剤、pH調整剤、イオン交換樹脂などに制限は無く、本発明の粒状物分散組成物を製造できる限り任意である。具体例を挙げると、緩衝剤としてはリン酸、炭酸、トリス{2−Amino−2−hydroxymethyl−1,3−propanediol Tris(hydroxymethyl)aminomethane}、ヘペス{2−[4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid}等が挙げられ、pH調整剤としては、NaOH等のアルカリなどが挙げられる。
また、本発明の粒状物分散組成物及び粒状物を製造できる限りエマルション中の水のpHは任意であるが、上記のように粒状物を形成する化合物の分子構造が変化したりポリマーが担体として作用しなくなったりすることを防止する観点からは、水のpHは、通常1.0以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、また、通常12以下、好ましくは11以下、より好ましくは10以下であることが望ましい。
なお、得られるエマルション中の液滴の粒径は、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、平均粒径が、通常10nm以上、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下となることが望ましい。この範囲の下限を下回るとエマルションの比表面積が大きくなり界面活性剤の使用量を多くしなくてはならなくなる虞があり、上限を上回るとエマルションの安定性が低下する虞があるためである。また、エマルションの粒径を小さくすることにより、その比表面積を大きくし、本発明の粒状物を効率よく作製することができるようになるという利点が得られる。なお、前記液滴の平均粒径の測定は、動的光散乱法による。
[2.非混和性溶媒の除去]
エマルションを用意した後、そのエマルションから非混和性溶媒を除去する。詳細には、エマルション内の液滴中に含まれる非混和性溶媒を除去する。
非混和性溶媒の除去方法に制限は無く、公知の方法を任意に用いることができるが、通常は、非混和性溶媒を液中乾燥法により乾燥させて除去する。
非混和性溶媒を液中乾燥法により乾燥させて除去する場合、温度、圧力、乾燥時間等の乾燥条件に制限は無く、非混和性溶媒の除去が可能である限り任意である。好適な乾燥条件を挙げると、温度条件は、通常200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下である。この範囲の上限を上回るとエマルション内の化合物が分解する虞がある。なお、温度条件の下限も任意であるが、通常−50℃以上である。さらに、圧力条件は、通常100kPa以下、好ましくは70kPa以下、より好ましくは50kPa以下で行なうことが好ましい。なお、圧力条件の下限も任意であるが、通常は1.0×10-6Pa以上である。また、乾燥時間は、通常1分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上である。なお、乾燥時間の上限も任意であるが、通常1週間以内である。なお、非混和性溶媒の乾燥と共に水も乾燥する場合などには、適宜、乾燥中にエマルションに水を足しても良い。
さらに、非混和性溶媒の除去を速やかに行なうことなどを目的として、乾燥用の器具等を用いて乾燥を行なうようにすることも好ましい。例えば、プロペラ型撹拌機やマグネチックスターラー等で撹拌しながら常圧もしくは徐々に減圧にして非混和性溶媒を蒸発させる方法、ロータリーエバポレーター等を用いて真空度を調節しながら非混和性溶媒を蒸発させる方法、凍結乾燥法などを用いることができる。このうち、好ましくはロータリーエバポレーターを用いることが望ましい。
[3.粒状物の分離]
適宜、本発明の粒状物分散組成物から本発明の粒状物以外の粒子を除去して用いても良い。具体的な除去の方法に制限は無いが、方法の一例を挙げると、例えば、本発明の粒状物分散組成物の水中から所定値以上の粒径を有する粒子を除去する工程を行なえばよい。ここで、所定値とは、例えば、1μmを所定値として採用することができる。水中に存在する本発明の粒状物以外の粒子は、通常は本発明の粒状物よりも大きい粒径を有するため、本発明の粒状物の粒径よりも大きい粒径の粒子を除去すれば、本発明の粒状物以外の粒子を除去し、本発明の粒状物を分離することができるのである。
上記のように所定値以上の粒径の粒子を除去する具体的方法としては、例えば、本発明の粒状物分散組成物に対して遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、透析等を行なえばよい。これにより、所定値以上の径を有する粒子を除去することができる。
また、その後、得られた組成物、即ち、水中に本発明の粒状物が分散した組成物から水を除去すれば、本発明の粒状物を分離することも可能である。例えば、遠心分離によって所定値以上の粒径の粒子を沈殿させ、その上澄み部分を取り出し、この上澄みの水を凍結乾燥、減圧乾燥等によって乾燥除去して本発明の粒状物を得ることができる。
また、例えば、塩析によって所定値以上の径を有する粒子を凝集により沈殿させ、上澄みを取り、その上澄みから水を乾燥除去して本発明の粒状物を得ることもできる。
したがって、本発明の粒状物分散組成物から水を除去すれば、水に難溶性の特定物質と、ポリマーと、油とを含有した粒状物であって、粒状物の平均粒径が1μm以下であり、特定物質の重量に対するポリマー及び油の合計重量の比が1.5以上である粒状物を得ることができる。
[4.収率]
本発明の製造方法によれば、上記エマルションに含有させた特定物質のうちの通常1%以上、好ましくは3%以上、より好ましくは10%以上を、本発明の粒状物に含有させた状態で得ることができる。また、上限値は理想的には100%である。なお、この収率は、例えば粒状物を水から分離し、液体クロマトグラフィー等で分析することにより測定することができる。
[III.利用分野]
本発明の粒状物分散組成物及び粒状物は、粒径が小さい点や非常に安定である点などを活かし、産業上のさまざまな分野において用いることができる。例えば、水に難溶性の特定物質を含む粒状物を形成する場合などにおいては、本発明の粒状物は、表面に界面活性剤を有する水に難溶性の粒状物として得ることができ、これを利用し、例えば粒状物を薬剤を特定物質として含有するように形成すれば、例えその薬剤が水に難溶性であったとしても、薬剤を水に安定して分散させることができ、且つ、薬剤を微小化することができる。したがって、薬剤の投与を必要とする生体に対して、薬剤を水に分散させた分散液として適切に投与することができるようになる。
また、本発明の粒状物分散組成物及び粒状物を医療分野に用いる場合には、水、特定物質、界面活性剤、ポリマー、油及びその他の成分等の、本発明の粒状物分散組成物及び粒状物を構成する各要素には、医薬品として認可されているものを用いることが好ましい。さらに、粒状物に含まれる特定物質として薬剤を用いた場合などには、本発明の粒状物分散組成物及び粒状物を、医療用の添加剤として用いることも可能である。
上記のように特定物質として薬剤の成分となるものを用い、薬剤を特定物質に用いた場合には、本発明の粒状物分散組成物及び粒状物は、その比表面積増大により、薬物の体内への吸収を助け、さらにその微粒子化により、分散安定性を高めることが期待され、薬物の送達及びその貯蔵に大きな利点を有する。さらに、本発明の製造方法を難水溶性薬剤の製造に適用することにより、大きなエネルギーを要することなく、また、薬剤の特性に大きく影響されること無く、薬剤を微粒子化することができる一般的な手法として取り入れることができる。
さらに、本発明の製造方法は、非常に微小な粒径の粒状物を簡単に製造することができることを利点の一つとしている。したがって、画像形成装置のトナー等のように、粒径を小さくすることが望まれる顔料や染料などを特定物質に用いて本発明の粒状物を製造すれば、非常に小さい粒径を有する良質の粒状物を簡単に得ることができる。
また、本発明の粒状物分散組成物及び粒状物は、上記のような分野以外にも、幅広い分野に用いることができる。例えば、特定物質として染料や顔料を用いた場合、インクジェットプリンタ用インク、トナー、カラーフィルタ用レジスト、その他のインク又は塗料として用いることができる。
以下、本発明について実施例を示して更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
[実施例1]
(1)エマルションの調製
薬剤(特定物質)であるs−ナプロキセン((S)−(+)−6−Methoxy−α−methyl−2−naphthaleneacetic−acid、ALDRICH社製)0.03gと、油である大豆油(和光純薬工業株式会社製)0.15gと、ポリマーであるポリ−L−乳酸(分子量10000、ナカライテスク株式会社製)0.3gとを、非混和性溶媒であるクロロホルム(純正化学株式会社製)2.52gに溶解し、50mLバイアル瓶に入れたSDS(ラウリル硫酸ナトリウム、ナカライテスク株式会社製;界面活性剤)0.3g及び脱塩水(水)26.7gに添加し、超音波分散機(STM社製ULTRA SONIC HOMOGENIZER UH−600S)を用いて分散させた。分散させる際、超音波分散機の設定は、出力チップは7φを使用し、出力レベルは5とし、超音波照射間隔レベルは50%とし、超音波照射時間は15分とした。また、サンプルの温度上昇を抑えるために、水槽の中にバイアル瓶を浸して分散を行なった。こうして、白濁のエマルションとして薬剤含有エマルションAを得た。なお、上記の薬剤含有エマルションAにおいて、{(ポリマーの重量)+(油の重量)}/(特定物質の重量)の値は15であった。
得られた薬剤含有エマルションAの粒度分布を、大塚電子社製の粒度分布計FPAR−1000(濃厚用プローブ使用)にて測定した。ここで粒度分布の解析には、FPAR−1000に付属の解析ソフトでのContin法で行なった(以下、粒度分布の解析には同様の手法を用いる)。測定結果を図1に示す。この結果より、薬剤含有エマルションA内の液滴の平均粒径は約180nmであった。
(2)エマルションからのクロロホルムの除去
薬剤含有エマルションAの液滴中に含まれるクロロホルムを除去するため、ナスフラスコに薬剤含有エマルションA20gを入れ、温度60℃の恒温槽にナスフラスコを浸し、ロータリーエバポレーターを用いて突沸しないように注意しながら減圧し、薬剤含有エマルションAの液滴中のクロロホルムの質量(1.68g)以上に薬剤含有エマルションAの質量が減量し、なおかつ、十分にクロロホルム臭が無くなったことを確認して、クロロホルムの除去を終了した。これにより、薬剤含有エマルションAの液滴からクロロホルムを除去し、水に粒状物が分散したクロロホルム除去薬剤含有エマルションA(粒状物分散組成物)を、白濁のエマルションとして得た。得られたクロロホルム除去薬剤含有エマルションAの重量を測定したところ、18.09gであった。
得られたクロロホルム除去薬剤含有エマルションA中の粒状物の粒度分布をFPAR−1000で測定した。測定結果を図2に示す。この結果より、クロロホルム除去薬剤含有エマルションA内の粒状物の平均粒径は約150nmであることがわかる。
また、クロロホルム除去から1ヵ月後にも同様に測定を行なった。この測定結果も図2に示す。この結果より、クロロホルム除去薬剤含有エマルションA内の粒状物の平均粒径は約150nmであり、ほぼ平均粒径の変化は観測されなかった。
以上から、クロロホルム除去薬剤含有エマルションA中の粒状物は非常に安定であることが確認された。
さらに、クロロホルム除去薬剤含有エマルションAを、回転速度10000rpm、回転時間30分の条件で遠心分離させた。粗粒子は沈殿し、微小粒子を含有する上澄みが得られた。
この上澄みを採取し、FPAR−1000を用いて粒状物の粒度分布を測定した。その結果を図3に示す。その結果、上澄み中の粒子(本発明の粒状物)の平均粒径は約75nmであり、また250nm以上の粒子が存在しないことがわかった。
さらに、この上澄み100μLの溶媒を除去し、エタノール0.5mLを加えて、その液を用いて、LC測定(カラムTSKgel superODS)を行なったところ、薬剤であるs−ナプロキセンの含有濃度は0.890mg/mLと見積もられた。ここで、遠心分離後の上澄み200μLをマイクロコンYM−10(アミコン)で限外ろ過した(7000rpm×90min)。その結果、限外ろ過したサンプル中の薬剤濃度は0.116mg/mlであった。この限外ろ過に使用したマイクロコンYM−10は、分子量カットオフがタンパク換算で10000である。その細孔は5〜10nmであると考えられ、大半が可溶化せずに、ナプロキセンが粒状物中に存在していることが示唆された。
また、上記の上澄み1mLを凍結乾燥し、メタノール/クロロホルム(体積比1:1)混合溶液2mLを加えて全成分を溶解させた。これらの溶液でLC測定(カラムTSKgel superODS)を行なったところ、ポリ−L−乳酸7.8mg/mL、大豆油0.99mg/mLであることがわかった。したがって、特定物質(s−ナプロキセン)の重量に対するポリマー(ポリ−L−乳酸)及び油(大豆油)の合計重量の比は9.9と見積もられた。
さらに、上記の上澄みを常温常圧下で静置したところ、1ヶ月経過後でも物質の析出は観察されなかった。したがって、本発明の粒状物分散組成物中の粒状物が非常に安定であることが確認された。
(3)電子顕微鏡観察
上述の薬剤含有エマルションAの遠心分離後の上澄みを酢酸ウランによるネガティブ染色により、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察した。観察された像の図面代用写真を図4に示す。図4から、本発明の粒状物と思われる10〜50nm程度の粒状物が観察された。
[実施例2]
薬剤としてインドメタシン(SIGMA社製)を用い、超音波分散時間を30分とした以外は、実施例1と同様にして薬剤含有エマルションを調製した。これを、薬剤含有エマルションBと呼ぶ。この薬剤含有エマルションBの平均粒径を実施例1と同様に測定したところ、平均粒径は140nmであった。
また、実施例1と同様にして薬剤含有エマルションBからクロロホルムを除去し、そうして得られたクロロホルム除去薬剤含有エマルションB(粒状物分散組成物)の平均粒径を実施例1と同様にして測定したところ、約96nmであった。
さらに、クロロホルム除去薬剤含有エマルションBを実施例1と同様に遠心分離させた。所定値以上の粒径を有する比較的大きい粒状物の大部分は沈降し、上澄みはほぼ透明な状態となった。
この上澄みを採取し、FPAR−1000を用いて粒状物の粒度分布を測定した。その結果、上澄み中の粒状物(本発明の粒状物)の平均粒径は約69nmであり、また250nm以上の粒子が存在しないことがわかった。
さらに、実施例1と同様に上澄みの組成をLC測定によって分析したところ、インドメタシン0.835mg/mL、ポリ−L−乳酸11.8mg/mL、大豆油2.0mg/mLということがわかった。したがって、特定物質(インドメタシン)の重量に対するポリマー(ポリ−L−乳酸)及び油(大豆油)の合計重量の比は16.5と見積もられた。
実施例1においてろ液中のs−ナプロキセン濃度を測定したのと同様にして、インドメタシン含有粒状物の限外ろ過によって得られたろ液に含まれるインドメタシンの量を測定した。限外ろ過後のろ液には、0.229mg/mlのインドメタシンが含まれていることがわかった。これより大半が可溶化せずに、インドメタシンが粒状物中に存在していることが示唆された。
また、粒状物の内部構造を確認するために、上記で得られた上澄みを、瞬間凍結機EM CPC(LEICA社製)を用いて、凍結させ氷包埋により観察用サンプルを作製し、位相差TEM(JEM−3100FFC)での観察を行なった。結果を図5に示す。その結果、本発明の粒状物がコア−シェル構造を有していることが確認された(図5参照。図中のスケールは100nmである。)。
[比較例1]
大豆油とポリ−L−乳酸とを使用せず、クロロホルムの使用量を2.97gとした以外は実施例1と同様にして、薬剤含有エマルションを調製した。得られた薬剤含有エマルションについてFPER−1000で測定を行なったところ、平均粒径は600nmであった。また、この薬剤含有エマルションは2時間後には白色の沈殿物と上澄みとに分離した。
また、薬剤含有エマルション調製直後にクロロホルムの除去を実施例1と同様に行なったところ、クロロホルム除去後に得られたエマルションは無色透明であったが約1時間後に目視にて確認できる微結晶が多数析出し、沈殿した。
[比較例2]
薬剤をインドメタシンに変更したこと以外は比較例1と同様にして、薬剤含有エマルションを調製した。得られた薬剤含有エマルションは20分程度で白色の沈殿物と上澄みとに分離したため、粒度分布測定は行なえなかった。
また、薬剤含有エマルション調製直後にクロロホルムの除去を実施例1と同様に行なったところ、クロロホルム除去後に得られたエマルションは無色透明であったが約1時間後に目視にて確認できる微結晶が多数析出し、沈殿した。
[比較例3]
大豆油の量を0.006g、ポリ−L−乳酸の量を0.03g、クロロホルムの量を2.934gとした以外は実施例1と同様にして、薬剤含有エマルションの調整を行なったところ、約2時間後には、白色の沈殿物と上澄みとに分離した。仕込での特定物質(s−ナプロキセン)の重量に対するポリマー(ポリ−L−乳酸)及び油(大豆油)の合計重量の比は1.2であった。
[まとめ]
実施例1,2及び比較例1〜3から、本発明の粒状物分散組成物である実施例1,2のクロロホルム除去薬剤含有エマルションA,B中の粒状物は比較例1〜3のものよりも非常に粒径が小さく、また、非常に安定であることが確認された。
本発明は産業上の任意の分野で広く用いることができ、例えば、医療、染色、医薬品、インク、塗料などの分野に用いて好適である。
本発明の実施例1において測定した薬剤含有エマルションA中の液滴の粒度分布を表わすグラフである。 本発明の実施例1において測定したクロロホルム除去薬剤含有エマルションA中の粒状物の粒度分布を表わすグラフである。 本発明の実施例1で測定したクロロホルム除去薬剤含有エマルションAの上澄み中の粒状物の粒度分布を表わすグラフである。 本発明の実施例1において得られた薬剤含有エマルションAの遠心分離後の上澄みを、酢酸ウランによるネガティブ染色により、透過型電子顕微鏡で観察された像の図面代用写真である。 本発明の実施例2において得られた薬剤含有エマルションAの遠心分離後の上澄みを、氷包埋し、透過型電子顕微鏡で観察された像の図面代用写真である。

Claims (14)

  1. 水中に、水に難溶性の特定物質と、ポリマーと、油とを含有した粒状物が分散した粒状物分散組成物であって、
    該粒状物の平均粒径が1μm以下であり、
    該特定物質の重量に対する該ポリマー及び該油の合計重量の比が1.5以上である
    ことを特徴とする、粒状物分散組成物。
  2. 水中に、水に難溶性の特定物質と、ポリマーと、油とを含有した粒状物が分散した粒状物分散組成物であって、
    該粒状物の平均粒径が1μm以下であり、
    25℃1013hPaの条件下において12時間静置した場合であっても該粒状物が安定である
    ことを特徴とする、粒状物分散組成物。
  3. 該粒状物が、表面に界面活性剤を有する
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の粒状物分散組成物。
  4. 該ポリマーが、水に対して難溶性である
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粒状物分散組成物。
  5. 該油に対して該特定物質が難溶性である
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粒状物分散組成物。
  6. 該油と該ポリマーが相分離する
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粒状物分散組成物。
  7. 水に非混和性の非混和性溶媒のうちの少なくとも1種に対して、該特定物質、該ポリマー及び該油がいずれも溶解しうる
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒状物分散組成物。
  8. 該特定物質が薬剤を含有する
    ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粒状物分散組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の粒状物分散組成物の製造方法であって、
    水中に、水に非混和性の非混和性溶媒と、上記特定物質と、上記ポリマーと、上記油とを含有する液滴が分散したエマルションから、上記非混和性溶媒を除去する工程を備えることを特徴とする、粒状物分散組成物の製造方法。
  10. 水中に、水に非混和性の非混和性溶媒と、特定物質と、ポリマーと、油とを含有する液滴が分散したエマルションから、上記非混和性溶媒を除去する工程と、
    上記水中から所定値以上の粒径を有する粒子を除去する工程とを備える
    ことを特徴とする、粒状物分散組成物の製造方法。
  11. 水中に、水に非混和性の非混和性溶媒と、特定物質と、ポリマーと、油とを含有し、上記特定物質の重量に対する上記ポリマー及び上記油の合計重量の比が1.5以上である液滴が分散したエマルションから、上記非混和性溶媒を除去する工程を備える
    ことを特徴とする、粒状物分散組成物の製造方法。
  12. 上記エマルション中の液滴を微小化する工程を備える
    ことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の粒状物分散組成物の製造方法。
  13. 水に難溶性の特定物質と、ポリマーと、油とを含有した粒状物であって、
    該粒状物の平均粒径が1μm以下であり、
    該特定物質の重量に対する該ポリマー及び該油の合計重量の比が1.5以上である
    ことを特徴とする、粒状物。
  14. 請求項8記載の粒状物分散組成物を含有する
    ことを特徴とする、医薬品。
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