JP2006193518A - 新規なコア−シェル構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】媒体中に難溶性の物質を微粒子化して分散させた新規な構造体分散組成物を提供する。
【解決手段】媒体に難溶性のコア用化合物からなるコアと、媒体に難溶性の液状シェル用化合物からなるシェルとで構成されるとともに、その内部に微粒子を含有し、平均粒径が10μm以下であるコア−シェル構造体を媒体中に含有させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、コア(核)とシェル(外殻)とを有するコア−シェル構造体であって、当該構造体内部に微粒子を含有するものを媒体中に分散させた構造体分散組成物及びその製造方法、並びに、それに用いるコアーシェル構造体及びそれを用いた医薬品に関する。
工業や医療等のさまざまな場面において、液中に難溶性の物質を分散させた組成物を用いることがある。例えば、水に溶け難い物質を微粒子化して水中に分散させたり、逆に、油に溶け難い物質を微粒子化して油中に分散させたりする場合がある。難水溶性の薬剤、即ち、水に溶け難い薬剤を医療用に使用する場合などがこれに当たる。
難水溶性の薬剤を人体に投与する際に薬剤を水に分散させて投与する場合には、難水溶性の薬剤は、投与後に循環系に吸収されにくいため、薬効が開始されるまでに長時間を要するか、若しくは、循環系に吸収される前に体外に排出され、十分薬効を得られない虞がある。したがって、近年の医薬製剤の分野において、難水溶性の医薬の実用化に関する研究では、体内への送薬方法として、薬剤の微粒子化方法が広く検討されている。薬剤を微粒子化することにより、水中への薬剤の分散安定性が向上し、さらに、体内への吸収が促され、薬効を高めることが可能となると考えられる。
このような難水溶性薬剤の微粒子化方法は、従来さまざまに検討されてきた。例えば、界面活性剤などの表面改質剤を用いて難水溶性薬剤の大きな固体を機械的手法により粉砕する方法、有機溶剤に溶解した難水溶性薬剤をスプレーなどで噴射する方法、水溶性有機溶剤に難水溶性薬剤を溶解させ水中に展開することによって難水溶性薬剤を貧溶媒析出させる方法、非水溶性有機溶剤に難水溶性薬剤を溶解させて界面活性剤等でエマルションを形成させた後、非水溶性有機溶剤を除去する方法(液中乾燥法)、油の中で難水溶性薬剤を機械的に分散したものを、水中に加え、界面活性剤によってエマルションを形成させて、薬剤含有S/O/W型エマルションを得る方法などが挙げられる(特許文献1〜9)。
また、特許文献10には、コア−シェル構造体として、薬剤をシェルに含んだ微粒子が記載されている。また、特許文献10では、前記の微粒子は、シード重合法により製造されると記載されている。
米国特許第5145684号明細書 特開昭63−232840号公報 特開昭57−27128号公報 特開昭63−122620号公報 特許第3244502号公報 特開平1−156912号公報 特開昭61−63613号公報 特開平4−46115号公報 特開昭63−23811号公報 特開平7−53835号公報
しかしながら、難溶性の物質を微粒子化して液中に分散させる場合、産業上の各分野において、その用途等に応じて更なる性能改善が求められ、その改善要求を満たす新たな技術が希求されていた。例えば、上述した難水溶性の薬剤の事例を例に挙げると、従来の方法では、微粒子化に大きなエネルギーを要する点、微粒子化した薬剤の粒子径が依然として大きい点、粒子径が小さくなったとしても水中で薬剤が安定しない虞がある点等が改善点として挙げられる。また、特に特許文献10記載の技術では、微粒子の製造をシード重合によって行なうために、微粒子に用いられるポリマーが合成ポリマーに限定される点、製造の過程においてラジカルが発生して薬剤が変性する点、シェルがポリマーであるために有効なドラックリリースができない点等が改善点として挙げられる。したがって、例えば、医療分野においては、粒子径が十分に小さく安定な難水溶性薬剤を安価に得る方法が要望されていた。
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたもので、媒体中に難溶性の物質を微粒子化して分散させた新規な構造体分散組成物及びその製造方法、並びに、それに用いるコア−シェル構造体、及び、それを用いた医薬品を提案することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、媒体中にコア−シェル構造体が分散した構造体分散組成物であって、該コア−シェル構造体が、該媒体に難溶性のコア用化合物からなるコアと、該媒体に難溶性の液状シェル用化合物からなるシェルとで構成されるとともに、その内部に微粒子を含有し、該コア−シェル構造体の平均粒径が10μm以下である新たな構造体分散組成物を見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、媒体中にコア−シェル構造体が分散した構造体分散組成物であって、該コア−シェル構造体が、該媒体に難溶性のコア用化合物からなるコアと、該媒体に難溶性であり、且つ、該コア−シェル構造体中で上記コア用化合物と相分離しうる液状シェル用化合物からなるシェルとで構成されるとともに、その内部に微粒子を含有し、該コア−シェル構造体の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする、構造体分散組成物に存する(請求項1)。これにより、従来には無い新たな態様で媒体中に微粒子を分散させることができる。
また、本発明の別の要旨は、上記の構造体分散組成物の製造方法であって、上記コア用化合物と、上記液状シェル用化合物と、上記微粒子を形成する特定化合物と、上記のコア用化合物、液状シェル用化合物及び特定化合物が可溶であり、且つ、上記媒体に非混和性の非混和性溶媒とを含有する液滴が上記媒体中に分散したエマルションから、上記非混和性溶媒を除去する工程を備えることを特徴とする、構造体分散組成物の製造方法に存する(請求項9)。これにより、従来には無い新たな態様で媒体中に微粒子を分散させることができる。
さらに、本発明の更に別の要旨は、中心核となるコアと、該コアの外殻となるシェルとを有するコア−シェル構造体であって、該コアが水に難溶性のコア用化合物からなり、該シェルが水に難溶性で、且つ、上記コア用化合物と相分離しうる液状シェル用化合物からなり、該コア−シェル構造体中に含有された微粒子を有し、該コア−シェル構造体の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする、コア−シェル構造体に存する(請求項11)。これにより、従来に無い新たな態様の構造体を提供することができる。
このとき、該微粒子は、少なくとも該シェル内に存在することが好ましい(請求項2)。
また、該微粒子の平均粒径は1μm以下であることが好ましい(請求項3)。
さらに、該微粒子が上記液状シェル用化合物に難溶性であることが好ましい(請求項4)。
また、該微粒子は、該媒体に難溶性であることが好ましい(請求項5)。
さらに、上記コア用化合物は、生体適合性高分子化合物であることが好ましい(請求項6)。
また、該コア−シェル構造体は、該シェルの外表面に界面活性剤を有することが好ましい(請求項7)。
さらに、該微粒子は薬剤であることが好ましい(請求項8)。
また、上記の構造体分散組成物の製造方法は、上記エマルション中の液滴を微小化する工程を備えるようにすることが好ましい(請求項10)。
本発明の更に別の要旨は、上記の構造体分散組成物を含有することを特徴とする、医薬品に存する(請求項12)。これにより、薬剤の微粒子を適切に治療対象に投与しやすくすることができる。
本発明の更に別の要旨は、上記のコア−シェル構造体を含有することを特徴とする、医薬品に存する(請求項13)。これによっても、薬剤の微粒子を適切に治療対象に投与しやすくすることができる。
本発明の構造体分散組成物及びその製造方法によれば、従来には無い新たな態様で媒体中に微粒子を分散させることができる。
また、本発明のコア−シェル構造体は、従来に無い新たな態様の構造体を提供することができる。
さらに、本発明の医薬品によれば、薬剤の微粒子を適切に治療対象に投与しやすくすることができる。
また、これらの本発明によれば、特定化合物、特に、径が数十nmの薬剤を微粒子として、媒体中に安定に存在させることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
[I.構造体分散組成物]
本発明の構造体分散組成物は、媒体中にコア−シェル構造体が分散した組成物である。
[1.媒体]
媒体は、本発明のコア−シェル構造体を分散させる系を形成するものであり、本発明の趣旨に著しく反しない限り公知の化合物を任意に用いることができる。ただし、通常は、本発明の構造体分散組成物は液体中に本発明のコア−シェル構造体が分散した組成物として製造され、また、用いられるため、媒体も製造時及び使用時には液体となりうる物質が好ましい。具体的には、媒体の融点は、通常200℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。なお、媒体の融点に下限の制限は無いが、通常−200℃以上である。
また、媒体は、微粒子を構成する特定化合物の種類に応じて決定することが好ましい。具体的には、媒体が液体状態である場合に、微粒子が媒体に難溶性であることが好ましい。本発明は、媒体に難溶性の特定化合物の微粒子を媒体中に安定して存在せしめることができることを利点の一つとしており、したがって、その利点を有効に発揮するためには、特定化合物が溶け難い、又は溶けない媒体を用いることが好ましいためである。なお、本明細書において難溶性とは、媒質が媒体に溶解し難いことのみならず、媒質が媒体に全く溶解されないことも広く意味するものとする。具体的には、例えば、疎水性の物質が親水性溶媒に溶解しがたいことや、親水性の物質が疎水性溶媒に溶解しがたいことなどがこれに当たる。
さらに、媒体はその存在状態は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意である。例えば媒体の例として水を挙げて説明すると、使用時には液体状態であるが保存時には凍って氷となっていたとしても、本発明の構造体分散組成物は媒体である水の存在状態によってその権利範囲が左右されるものではなく、いずれの状態の組成物も本発明の構造体分散組成物である。また、例えば媒体に樹脂分散体等を用いた場合にも、当該樹脂を硬化させれば、固体状態の媒体を用いた本発明の構造体分散組成物を得ることができる。
媒体の具体例を挙げると、水、アルコール、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)等の親水性溶媒;エーテル、トルエン、クロロホルムなどの疎水性溶媒;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリオレフィン等の樹脂化合物などが挙げられる。中でも、水が好ましい。なお、媒体は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の比率で組み合わせて併用しても良い。ただし、2種以上の媒体を使用する場合、その媒体同士は、少なくとも各媒体が液体状態である場合には混和しうるものを用いることが好ましい。
[2.コア−シェル構造体]
本発明の構造体分散組成物に含有されるコア−シェル構造体(以下適宜、「本発明のコア−シェル構造体」という)は、中心核を形成するコアと、コアの外殻を形成するシェルとで構成される。また、本発明のコア−シェル構造体は、内部に微粒子を含有する。
[i.コア]
コアは、本発明のコア−シェル構造体の中心核を形成するものであり、コア用化合物によって形成されている。
コアを形成するコア用化合物は、液体状態の媒体に難溶性の化合物であれば、その具体的な種類は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意である。媒体に難溶性のコア用化合物を用いるのは、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体の製造を容易に行なえるようにするため、及び、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体の安定性を向上させるためである。
また、ここでコア用化合物が媒体に難溶性であるとは、本発明の構造体分散組成物中において本発明のコア−シェル構造体が形成できる程度にコア用化合物が媒体に溶けないことを意味し、具体的には、液体状態の媒体に対するコア用化合物の溶解性が、常温常圧(即ち、25℃1013hPa)の条件下において、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下であることを表わす。なお、下限に制限は無いが、上記の溶解性の下限は理論的には0重量%以上である。
さらに、コア用化合物は、コア−シェル構造体内においてコアとシェルとが相分離するよう、シェルを形成する液状シェル用化合物(以下適宜「シェル用化合物」という)と相分離しうるものを選択することが好ましい。なお、上記のように相分離しうるか否かは、例えば、コア用化合物とシェル用化合物とを同量(例えば、1g)ずつ取り、両者を混合し(例えば、5ccバイアル瓶中で任意の方法で混合)、本発明の構造体分散組成物やコア−シェル構造体を使用する温度(例えば、室温)において相分離するか否かで調べることができる。
また、本発明では、シェル用化合物は後述するように液体状態である。さらに、コア用化合物は、そのシェル用化合物に難溶性であるものが好ましい。具体的には、シェル用化合物に対するコア用化合物の溶解性が、常温常圧の条件下において、通常500g/リットル以下、好ましくは300g/リットル以下、より好ましくは100g/リットル以下であることが望ましい。これにより、製造時の非混和性溶媒を除去する過程において、コア用化合物とシェル用化合物とが混和しないようにすることができるため、微粒子の粒径をより小さくすることができるためである。即ち、非混和性溶媒の除去により後述するエマルション内でコア用化合物を析出させることによって、微粒子が成長する空間が制限され、また、微粒子の核が互いに合一することが妨げられて、微粒子の粒径の小型化が可能になると考えられる。さらに、上記のコア用化合物の析出により、析出したコア用化合物で形成されるコアが微粒子をシェル側に押し出す役割も果たすと考えられるため、微粒子をシェルに存在させるように働くと考えられる。なお、下限に制限は無いが、シェル用化合物に対するコア用化合物の溶解性の下限は理論的には0g/リットル以上である。
さらに、コア用化合物の存在状態は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であり、例えば液体状態であってもよく、固体状態であってもよく、気体状態であっても良い。
また、コア用化合物の分子量は、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、例えば、コア用化合物がポリマーである場合、コア用化合物の重量平均分子量は、通常1000以上、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上、また、通常1000000以下、好ましくは700000以下、より好ましくは500000以下である。なお、コア用化合物としてモノマーやオリゴマーを用い、そのモノマーやオリゴマーを架橋剤存在下で重合させた場合などには、コア用化合物はゲル状となり、その分子量は無限大となることもある。なお、コア用化合物の重量平均分子量の測定はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)による。使用する媒体やカラム等の測定条件は、各種ポリマーのGPC測定に通常用いる方法が採用できる。
コア用化合物の例としては、例えば媒体として水等の親水性溶媒を用いる場合には、ポリマーや無機物質などが挙げられる。また、上記ポリマーの重合可能なモノマーやオリゴマーをコア用化合物として用いるようにしても良い。さらに、その場合、コア−シェル構造体の調製中又は調製後に当該モノマーやオリゴマーを重合させてポリマーを合成し、コアがポリマーによって形成されるようにしても良い。
コア用化合物の一例であるポリマーのうち、好ましいものの例を挙げると、例えば本発明の組成物やコア−シェル構造体を医療用途等に用いる場合には、生体内分解性の高分子化合物(いわゆる生分解性ポリマー)が挙げられる。その具体例を挙げると、脂肪族ポリエステル、ポリ−α−シアノアクリル酸エステル、ポリアミノ酸、無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。これらのうち、代表的なものを挙げると、脂肪族ポリエステルの例としては、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、2−ヒドロキシカプリル酸等のα−ヒドロキシ酸類、グリコリド、ラクチド等のα−ヒドロキシ酸の環状二量体類、リンゴ酸等のヒドロキシジカルボン酸類、クエン酸等のヒドロキシトリカルボン酸等の単独重合体、共重合体、単独重合体及び/又は共重合体の混合物などが挙げられる。重合体の例を挙げると、単独重合体としては乳酸重合体等が挙げられ、共重合体の例としては乳酸/グリコール酸共重合体、2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸共重合体等が挙げられ、単独重合体及び/又は共重合体の混合物としては乳酸重合体と2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸共重合体との混合物等が挙げられる。
また、ポリアミノ酸の例としてはポリ−γ−ベンジル−L−グルタミン酸、ポリ−L−アラニン、ポリ−γ−メチル−L−グルタミン酸等が挙げられる。
さらに、無水マレイン酸系共重合体の例としてはスチレン/マレイン酸共重合体等が挙げられる。
これらの中では、脂肪族ポリエステルが特に好ましい。また、脂肪族ポリエステルの中でも、α−ヒドロキシ酸類、α−ヒドロキシ酸の環状二量体類の単独重合体、2種以上の共重合体、或いは、これら単独重合体及び/又は共重合体の混合物が好ましい。さらに、α−ヒドロキシ酸類の単独重合体や共重合体、又は、これら単独重合体及び/又は共重合体の混合物が特に好ましい。
なお、上記α−ヒドロキシ酸類、α−ヒドロキシ酸の環状二量体類、ヒドロキシジカルボン酸類、ヒドロキシトリカルボン酸類などが分子内に光学活性中心を有する場合、D−体、L−体、DL−体などのいずれの異性体も用いることができる。
また、上記脂肪族ポリエステルは、公知の任意の製造法(例えば、特開昭61−28521号公報に記載の製造法)で製造できる。また、重合の形式は、ランダム、ブロック、グラフトのいずれでもよい。
さらに、生体適合性高分子化合物も好ましく使用することができる。その例としては、ポリスチレン、ポリメタアクリル酸、アクリル酸とメタアクリル酸との共重合体、ポリアミノ酸、デキストランステアレート、エチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロース、無水マレイン酸系共重合物、エチレンビニルアセテート系共重合物、ポリビニルアセテート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレンなどが用いられる。
また、コア用化合物として無機物質を用いる場合、その好ましいものの例を挙げると、金等の金属、シリカ、酸化チタン、クレイ、タルク等が挙げられる。
上述したものの中でも、コア用化合物としては、生体適合性高分子化合物を用いることが好ましい。
なお、コア用化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、コアの径は、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、また、通常10μm未満、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下が望ましい。この範囲の下限を下回るとコア−シェル構造の形成維持が難しくなる虞があり、上限を上回るとコア−シェル構造体自体の分散安定性が十分に得られなくなる虞があるためである。なお、コアの径は、例えば電子顕微鏡で観察することにより測定することができる。
[ii.シェル]
シェルは、本発明のコア−シェル構造体の中心核の外周を包む外殻を形成するものであり、シェル用化合物によって形成されている。
ここで、シェル用化合物とは、液体状態の媒体に難溶性の化合物であって、コア−シェル構造体中で上記コア用化合物と相分離して本発明のコア−シェル構造体のシェルを形成することができる化合物を広く意味する。
また、シェル用化合物が媒体に難溶性であるとは、本発明の構造体分散組成物中において本発明のコア−シェル構造体が形成できる程度にシェル用化合物が媒体に溶けないことを意味し、具体的には、液体状態の媒体に対するシェル用化合物の溶解性が、常温常圧の条件下において、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下であることを表わす。なお、下限に制限は無いが、上記の溶解性の下限は理論的には0重量%である。
さらに、上述したように、通常はコア用化合物とシェル用化合物とは、コア−シェル構造体内においてコアとシェルとが相分離するように両者を選択することになる。したがって、シェル用化合物には、コアを形成するコア用化合物と相分離しうるものを選択することが好ましい。なお、上記のように相分離しうるか否かは、例えば、コア用化合物の説明において上述した方法と同様の方法により調べることができる。
また、本発明においては、シェル用化合物は液体状態(液状)でコア−シェル構造を形成するものばかりでなく、例えば常温常圧で固体状態であっても、本発明の構造体分散組成物の使用時及び/又は製造時(製造直後を含む)において、操作温度の上昇等により液体状態となっているものも「液状シェル用化合物」の概念に含まれる。つまり、液状シェル用化合物としては、コア−シェル構造体の構成を保ったまま固体状態から液状化しうる化合物も使用可能である。液体状態とは、シェル用化合物がその融点以上の温度で存在しているため、流動性を有している状態をいう。液状シェル用化合物は、その融点が通常100℃以下、好ましくは65℃以下、より好ましくは42℃以下であることが望ましい。
なお、本発明のコア−シェル構造体を単離して媒体から分離させて用いる場合は、それまで液状であったシェル用化合物を一時的に凍結させるなどの処理により、一時的にシェル用化合物を固体状態としてもかまわない。
また、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体は、後述するように、製造時において非混和性溶媒を除去する工程を経て製造されるが、シェル用化合物は、この非混和性溶媒を除去する工程においても除去されない、或いは、除去される量が非混和性溶媒よりも少ないことが望ましい。通常は、上記の非混和性溶媒の除去は非混和性溶媒を揮発させて除去するので、シェル用化合物が除去されないようにするためには、シェル用化合物は非混和性溶媒よりも高い沸点を有していることが望ましい。具体的には、シェル用化合物の沸点は、通常40℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは200℃以上であることが好ましい。なお、シェル用化合物の沸点の上限に制限は無いが、通常500℃以下である。
さらに、シェル用化合物の分子量は、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、例えばシェル用化合物としてポリマーを用いる場合には、その分子量は、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは1000以下である。この上限を上回ると、微粒子として薬剤を用いた場合にその薬剤の放出が遅くなる虞がある。また、シェル用化合物の分子量が高くなりすぎると、シェル用化合物の粘度が高くなり、シェルを形成しにくくなる虞がある。なお、シェル用化合物の分子量の下限に特に制限は無いが、通常50以上である。また、シェル用化合物として高分子を用いる場合には、重量平均分子量がこの範囲に収まればよい。
シェル用化合物の具体例を挙げると、例えば媒体として水等の親水性溶媒を用いる場合には、大豆油、ゴマ油、オリーブ油、綿実油などに代表される植物油や、カカオ脂、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコールのジ脂肪酸エステル、リノール酸等の中鎖または高級脂肪酸及びこれらのアルキルエステル、乳酸アルキルエステル、芳香族モノマー、ジカルボン酸アルキルエステル、シリコン油などが挙げられる。また、常温常圧では固体状態であるが温度上昇等により液状化しうる例として、ミリスチン酸のような高級脂肪酸、あるいは、これを主成分とする牛脂のような油脂なども挙げることができる。
さらに、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタンのような炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素系、およびメチルイソブチルケトンのような非親水系ケトン類、酢酸エチルのようなエステル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムのようなハロゲン系溶媒、プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ベンジルエチルエーテル、等のエーテル類などもシェル用化合物として使用可能である。
なお、シェル用化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、シェルの厚さは、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、また、通常5μm未満、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下が望ましい。この範囲の下限を下回ると特定化合物の存在領域が狭すぎ十分な量を保持することが難しくなる虞があり、上限を上回るとコア−シェル構造体自体の分散安定性が十分に得られなくなる虞があるためである。なお、シェルの厚さは、例えば電子顕微鏡で観察することにより測定することができる。
[iii.微粒子]
微粒子は、本発明のコア−シェル構造体の内部に存在する粒子であり、特定化合物によって形成される。
ここで、特定化合物とは上記の微粒子を形成する材料のことを指し、具体的な種類は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意である。ただし、本発明はこの特定化合物の微粒子の粒径を小さくし、且つ、媒体中で安定して分散させることができることを利点の一つとしているため、従来の方法では粒径の微小化及び分散の安定化が困難であった化合物を微粒子の材料として用いると、本発明の利点をより有効に発揮させることができ、好ましい。また、結晶性化合物や、常温で固体となる化合物などは、特定化合物として好適である。
従来は粒子径の微小化及び分散の安定化が困難であった特定化合物の性質としては、結晶化しやすいなどの性質が挙げられる。本発明は、コア−シェル構造体の構成要素を適宜選択することにより、このような性質を有する特定化合物の微粒子であっても安定に分散させることが可能である。
これに関連し、例えば、特定化合物は、特定化合物を液滴中に含むエマルションの安定性が低いものを用いると、上記の利点を有効に発揮させることができる。従来、そのようなエマルションでは経時的に液滴中の特定化合物が析出してしまっていたが、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体においては上記のコア用化合物又はシェル用化合物があるために上記の析出が抑制されており、したがって、そのような特定化合物を安定して分散させることができるという利点を得ることができる。
また、微粒子は、媒体に難溶性であることが好ましい。したがって、微粒子の材料である特定化合物には、媒体に難溶性の化合物を用いることが好ましい。媒体に難溶性の微粒子は従来技術では媒体中に安定に分散させることが困難であったため、微粒子として媒体に難溶性のものを用いれば、上述した本発明の利点を有効に発揮させることができる。特定化合物が媒体に難溶性であるとは、本発明の構造体分散組成物中において本発明のコア−シェル構造体が形成できる程度に特定化合物が媒体に溶けないことを意味し、具体的には、液体状態の媒体に対する特定化合物の溶解性が、常温常圧の条件下において、通常100g/リットル以下、好ましくは50g/リットル以下、より好ましくは10g/リットル以下であることを表わす。なお、下限に制限は無いが、上記の溶解性の下限は理論的には0g/リットル以上である。
さらに、微粒子は、シェル用化合物が液体状態である場合に、そのシェル用化合物に難溶性であることが好ましい。したがって、微粒子の材料である特定化合物には、媒体に難溶性の化合物を用いることが好ましい。具体的には、シェル用化合物に対する特定化合物の溶解性が、常温常圧の条件下において、通常100g/リットル以下、好ましくは50g/リットル以下、より好ましくは10g/リットル以下であることが望ましい。これにより、シェル内において特定化合物の微粒子を確実に形成させることができる。なお、下限に制限は無いが、上記の溶解性の下限は理論的には0g/リットル以上である。
さらに、微粒子の存在状態は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意である。即ち、使用時や製造時などには、上記の利点を有効に活用するためには微粒子は固体粒子となっていることが望ましいが、その微粒子が一時的に融解して液体状態になっているような場合でも、本発明を実施することができる。
また、微粒子が本発明のコア−シェル構造体のどの位置に存在するかは任意であるが、通常は、シェル内に存在することが好ましい。微粒子をシェルに存在させることにより、本発明のコア−シェル構造体の構成に特有の効果を期待できる。例えば、微粒子として薬剤を用いた場合には、従来のマイクロカプセル等とは異なって構造体の表面近傍に薬剤を存在させることが可能となるため、本発明の構造体分散組成物又はコア−シェル構造体を生体へ投与した時の薬剤吸収性を高めることが可能となる。したがって、微粒子がコアに存在していても構わないが、少なくともシェルに微粒子が存在することが好ましい。
微粒子を形成する特定化合物のうち好適なものの例としては、例えば媒体として水等の親水性溶媒を用いる場合には有機化合物及び無機化合物が挙げられ、特に好適なものとしては、公知の薬剤を形成する材料化合物、無機化合物、顔料、染料などが挙げられる。
特定化合物の一例である薬剤の材料化合物としては、例えば、鎮痛薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗生物質(ペニシリン類を含む)、抗凝固薬、抗降圧薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗ムスカリン薬、抗ミコバクテリア薬、抗新生物薬、免疫抑制薬、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、不安解消薬(催眠薬および神経弛緩薬)、アストリンゼント、アドレナリン性β受容体遮断薬、血液製剤および代用血漿、心筋変性力薬、コントラスト媒質、コルチコステロイド、咳抑制薬(去痰薬および粘液破壊薬)、診断薬、診断像形成薬、利尿薬、ドパーミン作用薬(抗パーキンソ氏病薬)、止血薬、免疫薬、リピッド調節薬、筋肉弛緩薬、副交感神経刺激興奮薬、副甲状腺カルシトニンおよびビホスホネート類、プロスタグランジン、放射性医薬、性ホルモン(ステロイド類を含む)、抗アレルギー薬、興奮薬および食欲減退物質、交感神経興奮薬、甲状腺薬、血管拡張剤およびキサンチン類を含む各種既知薬物類等を形成する公知の任意の材料化合物などが挙げられる。
特に好適なものを具体的に例示すると、17−α−プレグノ−2,4−ジエン−20−イノ−[2,3−d]−イソキサゾール−17−オール(ダナゾール)、5α,17α,−1′−(メチルスルホニル)−1′Hプレグノ−20−イノ−[3,2−c]−ピラゾール−17−オール(ステロイドA)、〔6−メトキシ−4−(1−メチルエチル)−3−オキソ−1,2−ベンズイソチアゾール−2(3H)−イル〕メチル2,6−ジクロロベンゾエート1,1−ジオキシド、3−アミノ−1,2,4−ベンゾトリアジン−1,4−ジオキシド、ピポサルファム、ピポサルファン、カプトテシン、アセトミノフェン、アセチルサリチル酸、アミオダロン、コレスチフミン、コレスチポール、クロモリンナトリウム、アルブテロール、スクラルフェート、スルファサラジン、ミノキシジル、テンパゼパム、アルブラゾラム、プロポキシフェン、オーラノフィン、エリスロマイシン、サイクロスポリン、アシクロビア、ガンシクロビア、エトポサイド、メファラン、メトトリキセート、ミノキサントロン、ダウノルビシン、メガステロール、タモキシフェン、メドロキシプロゲステロン、ナイスタチン、テルブタリン、アンホテリシンB、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、ジクロフェナック、ケトプロフェン、フルピプロフェン、ジフロミサール、エチル−3,5−ジアセトアミド−2,4,6−トリヨードベンゾエート、エチル(3,5−ビス(アセチルアミノ)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシ)アセテートおよびエチル−2−(3,5−ビス(アセチルアミノ)−2,4,6−トリヨードベンゾイルオキシアセテート)などが挙げられる。中でも、特に好ましくは、ナプロキセン、インドメタシン等が挙げられる。これにより、薬剤を微粒子として用いることができる。
また、特定化合物の一例である無機化合物の例としては、金等の金属、シリカ、酸化チタン、クレイ、タルクなどが挙げられる。これにより、金コロイド等の金属粒子や無機微粒子などを微粒子として用いることができる。
さらに、特定化合物の一例である顔料の例としては、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、金属錯体系顔料、アゾメチン系顔料、アゾ系顔料などが挙げられる。このうち好ましくは、フタロシアニン系又はジケトピロロピロール系顔料等が挙げられる。これにより、顔料粒子を微粒子として用いることができる。
また、特定化合物の一例である染料の例としては、油溶性染料、直接染料、酸性染料、塩基性染料、アゾイック染料、反応染料などが挙げられる。
さらに、染料の他の例としては、筆記記録液に通常使用されている染料、例えば、クマリン系、ペリレン系、ジシアノピニル系、アゾ系(例えば、ピリドンアゾ系、ジスアゾ系、トリスアゾ系、ベンゼンアゾ系、ヘテロ環アゾ系など)、キノフタロン系、アミノピラゾール系、メチン系、ジシアノイミダゾール系、インドアニリン系、フタロシアニン系などが挙げられる。これらの中では、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系などが好ましいものとして挙げられる。これにより、染料粒子を微粒子として用いることができる。
なお、特定化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、微粒子の平均粒径は、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、また、通常1μm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは100nm以下が望ましい。この微粒子は、非常に小さい粒径を有する安定した粒子であり、粒径の小ささと媒体内での高い安定性を利用した様々な効能が期待されるが、この範囲の上限を上回ると上記の効能が得られなくなる虞があるためである。なお、微粒子の平均粒径は、例えば電子顕微鏡による観察により測定することができる。
[iv.界面活性剤]
本発明のコア−シェル構造体は、通常、その表面に界面活性剤を有する。この界面活性剤は、媒体中において本発明のコア−シェル構造体を安定して存在させるために用いられる。
界面活性剤の種類に制限は無く、媒体中に本発明のコア−シェル構造体を存在させることができる限り公知のものを任意に用いることができる。例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などを用いることができる。また、界面活性能を有する高分子も、界面活性剤として用いることができる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、ドデシルスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホネート、デシルベンゼンスルホネート、ウンデシルベンゼンスルホネート、トリデシルベンゼンスルホネート、ノニルベンゼンスルホネート並びにこれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩などが挙げられる。
さらに、カチオン系界面活性剤の具体例としては、セチルトリメチルアンモニウムプロミド、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
また、ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリビニルアルコールの他、各種のものが市販されており、例えば、ユニオンカーバイド社製の「Triton」(X−100、X−114、X−305、N−101)、アイ・シー・アイ社製の「Tween」(20、40、60、80、85)、アイ・シー・アイ社製の「Brij」(35、58、76、98)、シェル社製の「Nonidet」(P−40)、ローヌ・プーラン社製の「Igepol」(CO530、CO630、CO720、CO730)、旭電化工業社製の「プルオニックF68」等が挙げられる。
さらに、界面活性能を有する高分子としては、デキストラン、ペクチン、デキストリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、アラビアゴム、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン等の天然高分子、及び、ポリアミノ酸や合成たんぱく質などが挙げられる。また、スチレン−アクリル酸共重合体等の、親水基及び疎水基を有する合成高分子も界面活性剤として使用することができる。
さらに、界面活性剤として、アニオン反応性界面活性剤、カチオン反応性界面活性剤、ノニオン反応性界面活性剤などを用いることもできる。これらの反応性界面活性剤を用いた場合、界面活性剤が共有結合されたコア−シェル構造体を作製することが可能となる。この場合、本発明の構造体分散組成物から媒体中に遊離したバルクの界面活性剤を除去した場合であっても、コア−シェル構造体を安定に存在させることができるという利点を得ることができる。なかでも、これらの反応性界面活性剤は、反応基として、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基などを有するものであるのが好ましい。
上記のような反応性界面活性剤としては、前記反応性基を有する限り、公知の界面活性能を有するものを任意に用いることができる。その具体例を挙げると、特開平9−279073号公報等に記載されるものが挙げられる。なかでも好ましいものを挙げると、ラウリル(アリルベンゼン)スルホン酸塩、ラウリルスチレンスルホン酸塩、ステアリル(アリルベンゼン)スルホン酸塩、ステアリルスチレンスルホン酸塩等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、およびそれらのポリエチレンオキサイド付加物類、ラウリルアリルスルホ琥珀酸エステル、ラウリルビニルスルホ琥珀酸エステル、ステアリルアリルスルホ琥珀酸エステル、ステアリルビニルスルホ琥珀酸エステル等のアルキルスルホ琥珀酸エステル類、及びそれらのポリエチレンオキサイド付加物類、(メタ)アクリル酸ラウリルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩等のアルキルまたはアルケニルスルホン酸塩類、(メタ)アクリル酸ステアリル硫酸塩、オレイル硫酸塩等のアルキル又はアルケニル硫酸塩類、及びそれらのポリエチレンオキサイド付加物類等のアニオン性界面活性剤、ラウリルトリアリルアンモニウムクロライド、ステアリルトリアリルアンモニウムクロライド、ジステアリルジアリルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、ポリエチレングリコールオクチル(アリルフェニル)エーテル、ポリエチレングリコールノニル(アリルフェニル)エーテル、ポリエチレングリコールオレイルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキル又はアルケニルフェニルエーテル類、モノステアリル酸モノアリルグリセリル、ジステアリン酸モノアリルグリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル類、及びそれらのポリエチレンオキサイド付加物類、モノステアリン酸モノアリルソルビタン、トリステアリン酸モノアリルソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、及びそれらのポリエチレンオキサイド付加物類、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のポリエチレンオキサイドエステル類等のノニオン性界面活性剤等を挙げることができる。
なお、これらの反応性界面活性剤のうち、前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、第一工業製薬社より「アクアロン HS−10」、日本乳化剤社より「Antox−MS−60」、「RA−1000シリーズ」、「Antox−MS−2N」、旭電化工業社より「アデカリアソープ SE−10N」、花王社より「テラムル S−180A」、三洋化成工業社より「エレミノール JS−2」等の商品名で、また、前記カチオン性界面活性剤としては、例えば、日本乳化剤社より「RF―751」等の商品名で、又、前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、旭電化工業社より「アデカリアソープ NE−10」、日本油脂社より「ブレンマー PE−200」、「ブレンマー PE−350」、「ブレンマー PE−400」等の商品名で、それぞれ市販されている。
なお、界面活性剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[v.各成分の組成]
本発明の構造体分散組成物中におけるコア用化合物の量は、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常0.01g/リットル以上、好ましくは0.1g/リットル以上、より好ましくは1g/リットル以上、また、通常500g/リットル以下、好ましくは300g/リットル以下、より好ましくは100g/リットル以下であることが望ましい。この範囲の下限を下回るとコア−シェル構造体のコア−シェル構造を形成させられなくなる虞があり、上限を上回ると製造過程で調製されるエマルションが十分に調製できなくなる虞があるためである。
また、本発明の構造体分散組成物中におけるシェル用化合物の量も本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常0.01g/リットル以上、好ましくは0.1g/リットル以上、より好ましくは1g/リットル以上、また、通常500g/リットル以下、好ましくは300g/リットル以下、より好ましくは100g/リットル以下であることが望ましい。この範囲の下限を下回るとコア−シェル構造体のコア−シェル構造を形成させられなくなる虞があり、上限を上回ると製造過程で調製されるエマルションが十分に調製できなくなる虞があるためである。
さらに、本発明の構造体分散組成物中における特定化合物の量も本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上であることが望ましい。この範囲の下限を下回ると特定化合物の求めたい効能を十分に得られなくなる虞がある。なお、上限についても特に制限は無いが、通常50重量%以下である。
また、界面活性剤を用いる場合、本発明の構造体分散組成物中における界面活性剤の量は臨界ミセル濃度以上であれば任意であるが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であることが望ましい。この範囲の下限を下回ると本発明の構造体分散化合物の製造過程で調製するエマルションが安定しなくなる虞がある。なお、上限についても特に制限は無いが、通常50重量%以下である。
さらに、コア用化合物とシェル用化合物との比率も、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、「コア用化合物の重量/(コア用化合物の重量+シェル用化合物の重量)」で、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、また、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。この範囲の下限を下回るとコア−シェル構造体を安定に存在させられなくなる虞がある。なお、この比率はコア−シェル構造体を媒体から取り出した場合についても同様である。
さらに、コア−シェル構造体中のコア用化合物の割合は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、また、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。この範囲の下限を下回るとコア−シェル構造体を安定に存在させられなくなる虞があり、上限を上回ると微粒子をシェル内に安定に存在させられなくなる虞があるためである。
また、コア−シェル構造体中のシェル用化合物の割合も本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、また、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。この範囲の下限を下回ると微粒子をシェル内に安定に存在させられなくなる虞があり、上限を上回るとコア−シェル構造体を安定に存在させられなくなる虞があるためである。
さらに、コア−シェル構造体中の微粒子の割合も本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常0.003重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.03重量%以上である。この範囲の下限を下回ると特定化合物の求めたい効能が得られなくなる虞がある。なお、上限についても特に制限は無いが、通常90重量%以下である。
また、界面活性剤を使用する場合、コア−シェル構造体表面に付着している界面活性剤の割合も本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、また、通常95重量%以下、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下である。この範囲の下限を下回るとコア−シェル構造体を媒体に安定に分散させることができなくなる虞があり、上限を上回ると特定化合物の求めたい効能を十分に得られなくなる虞があるためである。
なお、通常は、本発明のコア−シェル構造体を媒体から取り出してもコア−シェル構造体の組成は取り出す前から変化せず、したがって、本発明の構造体分散組成物中でも媒体から取り出した場合でも本発明のコア−シェル構造体の組成は同様である。
[vi.その他の構成]
本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体は、その他の成分を含有していても良い。したがって、媒体、コア、シェル内に、上述したもの以外の成分が含有されていても良い。そのような成分に制限はなく、本発明の趣旨に著しく反しない限り公知の物質を任意に用いることができる。なお、これらの成分は、本発明の構造体分散組成物から本発明のコア−シェル構造体を分離させた場合においても、含有されていても良い。
例えば、媒体中に含有されていても良い成分としては、KCl、NaCl等の塩化合物、緩衝剤、pH調整剤、粘度調整剤、着色剤、防腐剤、防カビ剤、蒸発防止剤、香料などが挙げられる。
[vii.コア−シェル構造体の物性]
本発明の構造体分散組成物は、従来の微粒子分散体が経時的に特定化合物を析出させていたのに対し、通常は、静置しておいても特定化合物が析出せず安定である。具体的には、本発明の構造体分散組成物は、常温常圧下で、通常1日以上、好ましくは2週間以上、より好ましくは1ヶ月以上静置した後でも、本発明の構造体分散組成物中に微粒子の材料である特定化合物が析出しない程度に安定である。
また、本発明のコア−シェル構造体の平均粒径は、通常10nm以上、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下である。なお、この平均粒径は、本発明の構造体分散組成物中のコア−シェル構造体のみならず、本発明の構造体分散組成物から分離させた場合の本発明のコア−シェル構造体についても同様である。本発明のコア−シェル構造体の粒径がこの範囲の下限よりも小さくなると、コア−シェル構造体の比表面積が増大して界面活性剤の使用量が多くなる虞があり、一方、上限よりも大きくなると、本発明の構造体分散組成物自体の安定性が低下する虞がある。また、本発明のコア−シェル構造体の粒径を小さくすることにより、その比表面積を大きくすることができるため、例えば本発明の構造体分散組成物又はコア−シェル構造体を徐放性の医薬品として使用する際などに、内部の微粒子を効果的に放出させることが可能となる。
なお、本発明のコア−シェル構造体や後述するエマルション中の液滴のような媒体中の粒子の粒径測定は、例えば、大塚電子社製「FPAR−1000」やマイクロトラック社製「Microtrack UPA」等の動的光散乱装置を用いて測定することができる。また、例えば堀場製作所社製「LA920」等のレーザー回折法を用いた装置で測定することもできる。さらに、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡で測定することができる。この中でも、好ましくは動的光散乱法を用いた測定である。
[II.製造方法]
本発明の構造体分散組成物の製造方法(以下適宜、「本発明の製造方法」という)では、上記のコア用化合物と、シェル用化合物と、特定化合物と、非混和性溶媒とを含有する液滴が、上記の媒体中に分散したエマルションから、非混和性溶媒を除去する工程を備える。
[1.エマルションの用意]
本発明の製造方法で用いるエマルションは、上記のように、媒体中に液滴が分散したものである。また、この液滴中には、上述したコア用化合物、シェル用化合物及び特定化合物並びに非混和性溶媒が含有されている。さらに、このエマルション中には、通常、界面活性剤も含有されている。
媒体、コア用化合物、シェル用化合物、特定化合物及び界面活性剤それぞれの種類及び量は、上述したとおりである。
また、非混和性溶媒とは、上記のコア用化合物、シェル用化合物及び特定化合物が可溶で、且つ、上記媒体に非混和性の溶媒であるものが好ましい。
ここで、非混和性溶媒に上記のコア用化合物、シェル用化合物及び特定化合物が可溶であるとは、コア用化合物、シェル用化合物及び特定化合物がそれぞれ本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体を製造できる程度に溶解しうることを表わす。具体的には、液体状態の非混和性溶媒に対するコア用化合物、シェル用化合物及び特定化合物それぞれの溶解性が、常温常圧の条件下において、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であることを表わす。一方、非混和性溶媒が媒体に非混和性であるとは、非混和性溶媒と媒体とを共存させた場合に両者が相分離しうることを表わす。
また、後述する非混和性溶媒の除去工程において非混和性溶媒の除去を簡単に行なう観点からは、非混和性溶媒は揮発性の物質であることが望ましい。したがって、非混和性溶媒の沸点は低い方が望ましい。具体的には、非混和性溶媒の沸点は、通常0℃以上、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、また、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下であることが望ましい。
さらに、これに関連して、非混和性溶媒の沸点はシェル用化合物の沸点よりも低いことが好ましい。具体的には、非混和性溶媒の沸点とシェル用化合物の沸点との差が、通常1℃以上、好ましくは3℃以上、より好ましくは5℃以上であることが望ましい。なお、上記の差の上限に制限は無いが、上記の差は、通常500℃以下である。
非混和性溶媒の具体例を挙げると、媒体として親水性溶媒を用いる場合には、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;エチルエーテル、イソプロピルエーテル等のエーテル類;アセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪酸エステル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトニトリルなどが用いられる。なかでもハロゲン化炭化水素が好ましく、特にクロロホルムが好適である。
なお、非混和性溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、非混和性溶媒の使用量は、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体を製造できる限り任意であるが、「(特定化合物の重量+コア用化合物の重量+シェル用化合物の重量)/(特定化合物の重量+コア用化合物の重量+シェル用化合物の重量+非混和性溶媒の重量)の比率が、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下となるようにすることが望ましい。この範囲の下限を下回ると生産性が低下する虞があり、上限を上回ると製造過程において調製されるエマルション内の粘性が増大し、エマルションを形成させにくくなる虞があるためである。
また、媒体との関係に注目すると、エマルション全体の重量に対する液滴の重量の比率、即ち、「(特定化合物の重量+コア用化合物の重量+シェル用化合物の重量+非混和性溶媒の重量)/エマルションの総重量」は、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。この範囲の下限を下回ると生産性が低下する虞があり、上限を上回ると製造過程において調製されるエマルションを安定に形成できなくなる虞があるためである。
エマルションを調製する際には、媒体、コア用化合物、シェル用化合物、特定化合物及び非混和性溶媒、並びに、適宜用いられる界面活性剤やその他の成分を混合する。混合する順序に制限は無く、上記エマルションが得られる限り任意であるが、非混和性溶媒にコア用化合物、シェル用化合物及び特定化合物を溶解させた溶液(液滴用溶液)と、媒体中に界面活性剤を溶解又は分散させた溶液(媒体用溶液)とをそれぞれ調製し、その後両方の溶液を混合するようにすると、上記エマルションを確実に得ることができ、好ましい。
また、各成分を混合した後、微小化工程を行なうことが好ましい。即ち、エマルション中の液滴を微小化して、液滴の粒径を小さくすることが好ましい。これにより、エマルション化を進行させることができる。
さらに、微小化の際、液滴を微小化させる具体的手法に制限はなく、攪拌等のエマルション化を進行させる公知の操作を任意に行なうことができる。例えば、ビーズミル、ロールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロ流動化装置(Microfluidizer:登録商標)等の分散機を用いて、エマルションを分散させることが好ましい。この中で超音波分散機を用いるのが好ましい。中でも、混合後のエマルションに超音波分散を行なうようにすれば、エマルション中の液滴を効果的に微小化することができるため、特に好ましい。
超音波分散を行なう場合、使用する超音波分散機の出力は本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常10W以上6000W以下が好ましい。この範囲よりも高出力でもよいが、あまりに高出力過ぎると超音波分散に用いるチップの破片がエマルションに混入しコンタミとなる虞がある。
さらに、超音波分散を行なう際に用いる超音波の周波数は液滴の微小化が可能であれば任意であるが、通常1kHz以上、好ましくは5kHz以上、より好ましくは10kHz以上、また、通常3MHz以下、好ましくは100kHz以下、より好ましくは30kHz以下である。
また、超音波分散を行なう時間も本発明の趣旨に著しく反しない限り任意である。超音波分散を行なうエマルションの量に依存するが、通常1秒以上、好ましくは15分以上、また、通常72時間以下、好ましくは1時間以下である。
さらに、超音波分散を行なう際の温度条件も本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常は常温(25℃)前後で処理を行なうことが好ましい。ただし、超音波分散によって温度が上昇することがあるため、通常は水浴につけて超音波分散を行なう。
ところで、非混和性溶媒としてクロロホルム、四塩化炭素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素を用いて水の存在下で超音波分散を行なった場合には、HCl等のハロゲン化水素の発生などが生じ、これにより、エマルションの媒体のpHが低下することがある。これは、例えば媒体として水を用いた場合などに観察される現象である。このように媒体のpHが低下すると、コア−シェル構造体を形成する特定化合物等の化合物の分子構造が変化したり、コア−シェル構造体が形成されなかったりする虞がある。したがって、超音波分散により微小化を行なう場合には、超音波分散の前又は超音波分散時に、緩衝剤、pH調整剤、イオン交換樹脂などを媒体中に共存させておくことが好ましい。これにより、媒体のpHが上記のように低下することを防止することができる。
pHの低下を防止するために用いる緩衝剤、pH調整剤、イオン交換樹脂などに制限は無く、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体を製造できる限り任意である。具体例を挙げると、緩衝剤としてはリン酸、炭酸、トリス{2-Amino-2-hydroxymethyl-1,3-propanediol Tris(hydroxymethyl)aminomethane}、ヘペス{2-[4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazinyl]ethanesulfonic acid}等が挙げられ、pH調整剤としては、NaOH等のアルカリなどが挙げられる。
また、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体を製造できる限りエマルション中の媒体のpHは任意であるが、上記のようにコア−シェル構造体を形成する化合物の分子構造が変化したりコア−シェル構造体が形成されなかったりすることを防止する観点からは、媒体のpHは、通常1.0以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、また、通常12以下、好ましくは11以下、より好ましくは10以下であることが望ましい。
なお、得られるエマルション中の液滴の径は、本発明の趣旨に著しく反しない限り任意であるが、通常10nm以上、好ましくは30nm以上、より好ましくは50nm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下が望ましい。この範囲の下限を下回るとエマルションの比表面積が大きくなり界面活性剤の使用量を多くしなくてはならなくなる虞があり、上限を上回るとエマルションの安定性が低下する虞があるためである。
[2.非混和性溶媒の除去]
エマルションを用意した後、そのエマルションから非混和性溶媒を除去する。詳細には、エマルション内の液滴中に含まれる非混和性溶媒を除去する。
非混和性溶媒の除去方法に制限は無く、公知の方法を任意に用いることができるが、通常は、非混和性溶媒を乾燥させて除去する。
非混和性溶媒を乾燥させて除去する場合、温度、圧力、乾燥時間等の乾燥条件に制限は無く、非混和性溶媒の除去が可能である限り任意である。好適な乾燥条件を挙げると、温度条件は、通常300℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下である。この範囲の上限を上回ると、媒体の沸点を超える虞があり、また、エマルション内の化合物が分解する虞がある。なお、温度条件の下限も任意であるが、通常−200℃以上である。さらに、圧力条件は、通常は100kPa以下、好ましくは70kPa以下、より好ましくは50kPa以下で行なうことが好ましい。なお、圧力条件の下限も任意であるが、通常は1.0×10-2Pa以上である。また、乾燥時間は、通常1分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上である。なお、乾燥時間の上限も任意であるが、通常1週間以内である。なお、非混和性溶媒の乾燥と共に媒体も乾燥する場合などには、適宜、乾燥中にエマルションに媒体を足しても良い。
さらに、非混和性溶媒の除去を速やかに行なうことなどを目的として、乾燥用の器具等を用いて乾燥を行なうようにすることも好ましい。例えば、プロペラ型撹拌機やマグネチックスターラー等で撹拌しながら常圧もしくは徐々に減圧にして非混和性溶媒を蒸発させる方法、ロータリーエバポレーター等を用いて真空度を調節しながら非混和性溶媒を蒸発させる方法、凍結乾燥法などを用いることができる。このうち、好ましくはロータリーエバポレーターを用いることが望ましい。
非混和性溶媒を除去することにより、媒体中に本発明のコア−シェル構造体が生成する。即ち、エマルション中の液滴から非混和性溶媒が除去されることにより、液滴内ではコア用化合物とシェル用化合物とが相分離して、コアとシェルとが形成される。この際、液的中に存在していた物質のうちどの物質がコアを形成し、どの物質がシェルを形成するかは、それらの物質の親水性が尺度となりうるが、一般には、使用する界面活性剤の種類等により異なる。
ここで、本発明の発明者が推察するコア−シェル構造体の形成メカニズムを、コア用化合物としてポリマーを用いた場合を例に挙げて説明する。
図1(a),(b)は、非混和性溶媒を除去する前後の液滴及びコア−シェル構造体を表わす模式的な図である。なお、図1(a)は非混和性溶媒を除去する前のエマルション中の液滴を表わし、図1(b)は非混和性溶媒除去後のコア−シェル構造体を表わす。また、図1(a)においては説明のためにポリマー及び特定化合物を図示するが、実際には、液滴中のポリマー及び特定化合物は非混和性溶媒に溶解し視覚できない。さらに、図1(a),(b)において界面活性剤を図示するが、界面活性剤も極めて微小であるため、通常は視覚できない。
図1(a)に示すように、エマルション中の液滴では、液滴内において、ポリマー、シェル用化合物及び微粒子は非混和性溶媒中に溶解している。この液滴から非混和性溶媒を除去することにより、図1(b)に示すように、液滴の中心部にポリマーが凝集して析出することでコアが形成される。また、コアの周囲には液状のシェル用化合物の層が形成され、この層がシェルとなる。さらに、非混和性溶媒の除去に伴い特定化合物が析出して微粒子が形成されるが、この微粒子は析出したポリマーによりシェル側に押し出され、その結果、微粒子がシェル側に含有されるようになると考えられる。こうして、本発明のコア−シェル構造体が形成され、本発明の構造体分散組成物を得ることができる。
なお、通常は、液滴及びコア−シェル構造体の外周には界面活性剤が付着していて、これにより液滴及びコア−シェル構造体は媒体中において安定となっている。また、非混和性溶媒の除去に伴い、除去された非混和性溶媒分の体積が減少するため、一般に、液滴よりもコア−シェル構造体の方が粒径が小さくなる。
また、上記のコア−シェル構造は、例えば超薄切した電子顕微鏡観察により確認することができる。
[3.コア−シェル構造体の分離]
適宜、本発明の構造体分散組成物から本発明のコア−シェル構造体を分離して用いても良い。具体的な分離の方法に制限は無く、本発明のコア−シェル構造体の分離が可能であれば任意の方法を用いることができる。その方法の一例を挙げると、本発明の構造体分散組成物に対して遠心分離、限外濾過、ゲル濾過、透析等を行なうことによりコア−シェル構造体以外の媒体中の物質を除去し、その後、媒体を凍結乾燥、減圧乾燥等によって乾燥除去してコア−シェル構造体を得ることができる。また、例えば、塩析によってコア−シェル構造体を凝集により沈殿させ、上澄みを除去し、沈殿物を取り出してコア−シェル構造体を得ることもできる。
[4.収率]
本発明の製造方法によれば、上記エマルションに含有させた特定化合物のうちの通常0.1%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上を、本発明のコア−シェル構造体内の微粒子とすることができる。また、上限値は理想的には100%である。なお、この微粒子としての収率は、例えばコア−シェル構造体を媒体から分離し、液体クロマトグラフィー等で分析することにより測定することができる。
[III.利用分野]
本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体は、その新規な構成を活かし、産業上のさまざまな分野において用いることができる。例えば、水に難溶性の特定化合物で微粒子を形成する場合などにおいては、コアを水に難溶性のコア用化合物で形成し、シェルを水に難溶性のシェル用化合物で形成したコア−シェル構造体を調製し、そのコア−シェル構造体中に微粒子を含有させて用いるようにすれば、このコア−シェル構造体を水に分散させた構造体分散組成物を得ることができ、それにより、水中に微粒子が分散した構造体分散組成物と同様の作用、効果を得られることがある。これを利用し、例えば微粒子を薬剤で形成すれば、例えその薬剤が水に難溶性であったとしても、薬剤を水に安定して分散させることができ、且つ、薬剤を微小化することができる。したがって、薬剤の投与を必要とする生体に対して、薬剤を水に分散させた分散液として適切に投与することができるようになる。
また、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体を医療分野に用いる場合には、媒体、コア用化合物、シェル用化合物、特定化合物、界面活性剤及びその他の成分等の、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体を構成する各要素には、医薬品として認可されているものを用いることが好ましい。さらに、微粒子として薬剤を用いた場合などには、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体を、医療用の添加剤として用いることも可能である。
上記のように特定化合物として薬剤の成分となるものを用い、薬剤を微粒子として用いた場合には、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体は、その比表面積増大により、薬物の体内への吸収を助け、さらに、液状シェル用化合物を用いることにより、有効なドラッグリリースが可能となる。また、本発明の分散組成物及びコア−シェル構造体は、分散安定性に優れ、薬物の送達及びその貯蔵に大きな利点を有する。さらに、本発明の製造方法を難水溶性薬剤の製造に適用することにより、大きなエネルギーを要することなく、また、薬剤の特性に大きく影響されること無く、薬剤を微粒子化することができる一般的な手法として取り入れることができる。
また、本発明の構造体分散組成物及びコア−シェル構造体は、上記のような医療分野以外にも、幅広い分野に用いることができる。例えば、特定化合物として染料や顔料を用いた場合、インクジェットプリンタ用インク、トナー、カラーフィルタ用レジスト、その他のインク又は塗料として用いることができる。
以下、本発明について実施例を示して更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
[実施例1]
(1)エマルションの調製
薬剤(特定化合物)であるs−ナプロキセン((s)-(+)-6-Methoxy-α-methyl-2-naphthaleneacetic-acid:ALDRICH社製)0.03gと、液状シェル用化合物である大豆油(和光純薬工業株式会社製)0.15gと、コア用化合物であるポリ−L−乳酸(分子量10000、ナカライテスク株式会社製)0.3gとを、非混和性溶媒であるクロロホルム(純正化学株式会社製)2.52gに溶解し、50mLバイアル瓶に入れたSDS(ラウリル硫酸ナトリウム、ナカライテスク株式会社製;界面活性剤)0.3g及び脱塩水(媒体)26.7gに添加し、超音波分散機(STM社製ULTRA SONIC HOMOGENIZER UH−600S)を用いて分散させた。分散させる際、超音波分散機の設定は、出力チップは7φを使用し、出力レベルは5とし、超音波照射間隔レベルは50%とし、超音波照射時間は15分とした。また、サンプルの温度上昇を抑えるために、水槽の中にバイアル瓶を浸して分散を行なった。こうして、白濁のエマルションとして薬剤含有エマルションAを得た。
得られた薬剤含有エマルションAの粒度分布を、大塚電子社製の粒度分布計FPAR−1000(濃厚用プローブ使用)にて測定した。測定結果を図2に示す。この結果より、薬剤含有エマルションA内の液滴の平均粒径は約180nmであった。
(2)エマルションからのクロロホルムの除去
薬剤含有エマルションAの液滴中に含まれるクロロホルムを除去するため、ナスフラスコに薬剤含有エマルションA20gを入れ、温度60℃の恒温槽にナスフラスコを浸し、ロータリーエバポレーターを用いて突沸しないように注意しながら減圧し、薬剤含有エマルションAの液滴中のクロロホルムの質量(1.68g)以上に薬剤含有エマルションAの質量が減量し、なおかつ、十分にクロロホルム臭が無くなったことを確認して、クロロホルムの除去を終了した。これにより、薬剤含有エマルションAの液滴からクロロホルムを除去し、水にコア−シェル構造体が分散したクロロホルム除去薬剤含有エマルションA(構造体分散組成物)を、白濁のエマルションとして得た。得られたクロロホルム除去薬剤含有エマルションAの重量を測定したところ、18.09gであった。
得られたクロロホルム除去薬剤含有エマルションA中のコア−シェル構造体の粒度分布をFPAR−1000で測定した。測定結果を図3に示す。この結果より、クロロホルム除去薬剤含有エマルションA内のコア−シェル構造体の平均粒径は約150nmであった。
また、クロロホルム除去から1ヵ月後にも同様に測定を行なった。この測定結果も図3に示す。この結果より、クロロホルム除去薬剤含有エマルションA内のコア−シェル構造体の平均粒径は約150nmであり、ほぼ平均粒径の変化は観測されなかった。
以上から、クロロホルム除去薬剤含有エマルションA中のコア−シェル構造体は非常に安定であることが確認された。
(3)電子顕微鏡観察
得られたクロロホルム除去薬剤含有エマルションAを四酸化オスミウムにて固定化し、エポキシ樹脂に包埋したものを、ウルトラミクロトームにて超薄切し、酢酸ウラン/鉛染色液にて染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察した。観察された像の図面代用写真を、図4(a),(b)に示す。なお、図4(a),(b)は、同一のサンプルについて異なる倍率で撮影をしたものである。
染色の状態と各試薬の使用量から考えて、図4(a),(b)において、ドーナツ状に影が観察される部分(シェル)は大豆油で形成され、その大豆油に囲まれた内部(核)がポリ−L−乳酸で形成され、ドーナツ状部分中に濃い影として観察される点がs−ナプロキセンであると分かる。したがって、ポリ−L−乳酸をコアに大豆油がシェルを形成し、さらに、大豆油の層に、薬剤が微分散していることが確認された。また、このs−ナプロキセン粒子の大きさは、およそ10nmということが、電子顕微鏡写真から確認できた。
[実施例2]
薬剤としてインドメタシン(Indometacin:SIGMA社製)を用い、超音波分散時間を30分とした以外は、実施例1と同様にして薬剤含有エマルションを調製した。これを、薬剤含有エマルションBと呼ぶ。この薬剤含有エマルションB中のコア−シェル構造体の粒径を実施例1と同様にして測定したところ、平均粒径は約150nmであった。
また、実施例1と同様にして薬剤含有エマルションBからクロロホルムを除去し、そうして得られたクロロホルム除去薬剤含有エマルションB(構造体分散組成物)の平均粒径を実施例1と同様にして測定したところ、約110nmであった。さらに、2週間後に同様の測定を行なったところ、平均粒径は約110nmでほとんど変化は無かった。
以上から、クロロホルム除去薬剤含有エマルションB中のコア−シェル構造体は非常に安定であることが確認された。
[比較例1]
大豆油とポリ−L−乳酸とを使用せず、クロロホルムの使用量を2.97gとした以外は実施例1と同様にして、薬剤含有エマルションを調製した。得られた薬剤含有エマルションについてFPAR−1000で測定を行なったところ、平均粒径は600nmであった。また、この薬剤含有エマルションは2時間後には白色の沈殿物と上澄みとに分離した。
また、薬剤含有エマルション調製直後にクロロホルムの除去を実施例1と同様に行なったところ、クロロホルム除去後に得られたエマルションは無色透明であったが約1時間後に目視にて確認できる微結晶が多数析出し、沈殿した。
[比較例2]
薬剤をインドメタシンに変更したこと以外は比較例1と同様にして、薬剤含有エマルションを調製した。得られた薬剤含有エマルションは20分程度で白色の沈殿物と上澄みとに分離したため、粒度分布測定は行なえなかった。
また、薬剤含有エマルション調製直後にクロロホルムの除去を実施例1と同様に行なったところ、クロロホルム除去後に得られたエマルションは無色透明であったが約1時間後に目視にて確認できる微結晶が多数析出し、沈殿した。
[まとめ]
実施例1,2と比較例1,2とを比較したところ、構造体分散組成物である実施例1,2のクロロホルム除去薬剤含有エマルションA,B中のコア−シェル構造体は非常に粒径が小さく、また、非常に安定であることが確認された。さらに、製造途中に調製される薬剤含有エマルションに注目すると、実施例1,2の薬剤含有エマルションは非常に安定であるが、比較例1,2の薬剤含有エマルションは早く分離してしまう不安定なものであることが分かる。このことから、実施例1,2のクロロホルム除去薬剤含有エマルションA,B及びその中のコア−シェル構造体は容易に製造することができることが確認された。
本発明は産業上の任意の分野で広く用いることができ、例えば、医薬品、インク、塗料などの分野に用いて好適である。
図1(a)及び図1(b)は、本発明の一実施形態を説明するため、非混和性溶媒を除去する前後の液滴及びコア−シェル構造体を表わす模式的な図であり、図1(a)は非混和性溶媒を除去する前のエマルション中の液滴を表わし、図1(b)は非混和性溶媒除去後のコア−シェル構造体を表わす。 図2は、本発明の実施例1において測定した薬剤含有エマルションA中の液滴の粒度分布を表わすグラフである。 図3は、本発明の実施例1において測定したクロロホルム除去薬剤含有エマルションA中のコア−シェル構造体の粒度分布を表わすグラフである。 図4(a)及び図4(b)はいずれも本発明の実施例1において得られたクロロホルム除去薬剤含有エマルションAを透過型電子顕微鏡で観察した像を示す図面代用写真である。

Claims (13)

  1. 媒体中にコア−シェル構造体が分散した構造体分散組成物であって、
    該コア−シェル構造体が、該媒体に難溶性のコア用化合物からなるコアと、該媒体に難溶性であり、且つ、該コア−シェル構造体中で上記コア用化合物と相分離しうる液状シェル用化合物からなるシェルとで構成されるとともに、その内部に微粒子を含有し、
    該コア−シェル構造体の平均粒径が10μm以下である
    ことを特徴とする、構造体分散組成物。
  2. 該微粒子が、少なくとも該シェル内に存在する
    ことを特徴とする、請求項1記載の構造体分散組成物。
  3. 該微粒子の平均粒径が1μm以下である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の構造体分散組成物。
  4. 該微粒子が上記液状シェル用化合物に難溶性である
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体分散組成物。
  5. 該微粒子が、該媒体に難溶性である
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造体分散組成物。
  6. 上記コア用化合物が生体適合性高分子化合物である
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構造体分散組成物。
  7. 該コア−シェル構造体が、該シェルの外表面に界面活性剤を有する
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造体分散組成物。
  8. 該微粒子が薬剤である
    ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の構造体分散組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の構造体分散組成物の製造方法であって、
    上記コア用化合物と、上記液状シェル用化合物と、上記微粒子を形成する特定化合物と、上記のコア用化合物、液状シェル用化合物及び特定化合物が可溶であり、且つ、上記媒体に非混和性の非混和性溶媒とを含有する液滴が上記媒体中に分散したエマルションから、上記非混和性溶媒を除去する工程を備える
    ことを特徴とする、構造体分散組成物の製造方法。
  10. 上記エマルション中の液滴を微小化する工程を備える
    ことを特徴とする、請求項9記載の構造体分散組成物の製造方法。
  11. 中心核となるコアと、該コアの外殻となるシェルとを有するコア−シェル構造体であって、
    該コアが水に難溶性のコア用化合物からなり、
    該シェルが水に難溶性で、且つ、上記コア用化合物と相分離しうる液状シェル用化合物からなり、
    該コア−シェル構造体中に含有された微粒子を有し、
    該コア−シェル構造体の平均粒径が10μm以下である
    ことを特徴とする、コア−シェル構造体。
  12. 請求項8記載の構造体分散組成物を含有する
    ことを特徴とする、医薬品。
  13. 請求項11記載のコア−シェル構造体を含有する
    ことを特徴とする、医薬品。
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