JP2007038425A - 筆 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、毛筆に不慣れな者であっても、思ったとおりの筆運びを実現することができ、自己の表現したい個性的且つ独創的な文字を書したり、独特な風合いを奏する絵を描いたりすることが容易となり、芸術性の高い絵画や書画を表現することができる新規な筆を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の筆は、主として、個性的且つ独創的な文字を書したり、独特な風合いを奏する絵を描いたりするための筆であり、複数の棒状体を束ねて結束し、その端部を筆先としたことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、主として、個性的且つ独創的な文字を書したり、独特な風合いを奏する絵を描いたりするための筆に関する。
筆或いは毛筆と称される筆記用具は、獣毛や合成繊維を束ねて筆先とし、これを竹筒やプラスチックパイプなどの軸に取り付けて構成したものが一般的であり、前記筆先に絵の具や墨汁などの液状染料(塗料)を含ませて絵を描いたり、文字を書したりするものである。
このような構成からなる一般的な筆は、筆先が比較的柔らかく、又、絵の具や墨汁などの液状染料と馴染み易く、且つ、液状染料を含んだ際の筆先のまとまりが良いので、筆の取扱に慣れた者にとっては、所望の絵を描いたり、文字を書したりするのに適している。
特に、筆の取扱に優れる者や芸術家などにとっては、ただ単にまとまりのある絵画や書画を表現することから進んで、更に、筆先への液状染料の含ませ具合や、筆運びを適宜調節することにより、濃淡やかすれなどのある個性的且つ独創的な文字を書したり、独特な風合いを奏する絵を描いたりして、芸術性などの価値を高めることもできるのである。
しかしながら、鉛筆やボールペンなどのいわゆる硬筆が主流となった昨今においては、筆の取扱に不慣れな者にとって、筆先の柔らかさに対応することは非常に困難であり、筆運びが悪くなることから、ただ単にまとまりのある絵画や書画を紙面などに表すことさえ困難となるのであり、したがって、このような者が、濃淡やかすれのある芸術性の高い絵画や書画などの表現を欲するのであれば、非常に高度な修練を長期間にわたって積む必要が生じることはいうまでもない。
この点に鑑みて、個性的で独創的な文字や絵を容易に表現することのできる筆を提供すべく、竹の子の皮の繊維を毛筆状にばらして筆先部とした竹の子皮筆が開発されている(例えば、特許文献1。)。
特開2005−144817号公報
前記特許文献1の記載によれば、この竹の子皮筆は、その筆先として、竹の子の皮の繊維を毛筆状にばらしたものを用いているので、従来の獣毛などを筆先とする筆と比較して、個性的で独創的な文字や絵を書くことができるとされているが、やはり、鉛筆やボールペンなどのいわゆる硬筆に慣れた者にとって、竹の子の皮の繊維を毛筆状にばらした筆先は柔らかすぎ、力の入れ加減などが難しく、思ったとおりの筆運びを実現するにはやはり相当の修練を必要とするものと思われる。
そこで、本発明者は、このような問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、複数の棒状体を束ねて結束し、その端部を筆先としたことを特徴とする本発明の筆を完成するに至ったのである。
即ち、本発明者は、この種、絵の具や墨汁などの液状染料を筆先に含ませて書や絵を紙面上などに表現するための筆につき、複数の棒状体を束ねて結束し、その端部を筆先とすれば、束ねた棒状体が形成する複数の隙間が風合いの良いかすれや濃淡を生じさせ、芸術性の高い絵画や書画を容易に表現することができるとの知見を得たのである。
又、複数の棒状体を束ねて結束し、その端部を筆先としたことを特徴とする本発明の筆は、筆先が比較的硬いため、鉛筆やボールペンなどのいわゆる硬筆に近い感覚で使用することができ、このため、硬筆に慣れた者であれば、毛筆に不慣れであっても、思ったとおりの筆運びを実現することができるとの知見も得たのである。
更に、複数の棒状体を束ねて結束し、その端部を筆先としたことを特徴とする本発明の筆においては、係る端部のエッジや端面などを適宜使い分けることにより、細い線や太い線を簡単に描き分けることができ、自己の表現したい個性的且つ独創的な文字を書したり、独特な風合いを奏する絵を描いたりすることが容易になるとの知見も得たのである。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、毛筆に不慣れな者であっても、思ったとおりの筆運びを実現することができ、自己の表現したい個性的且つ独創的な文字を書したり、独特な風合いを奏する絵を描いたりすることが容易となり、芸術性の高い絵画や書画を表現することができる新規な筆を提供することを目的とする。
以上の課題を解決する手段である本発明の筆は、複数の棒状体を束ねて結束し、その端部を筆先としたことを特徴とする。
以下、本発明の筆について詳細に説明する。
前述のように、本発明の筆は、複数の棒状体を束ねて結束したものであるが、前記「棒状体」とは、従来の筆における筆先の素材として用いられている獣毛や合成繊維などの細く、柔らかい繊維体とは異なり、当該棒状体を束ねて結束した状態において適度な硬さがあるもののことを意味し、本発明においては、直径0.1〜5mm程度の棒状のものが一般的に用いられ、更に、直径0.3〜3mm程度のものが好ましく、直径0.5〜2mm程度のものが一層好ましい。
なお、本発明において、前記棒状体としては、単に真っ直ぐな丸棒に限られるものではなく、任意の形状のもの、例えば、屈曲ないし湾曲したものや断面が四角形や三角形などの多角形或いは楕円形などのもの、又、中空のパイプ状のものや、更に、節などがあるものであってもよい。
中でも、中空のパイプ状の棒状体は、毛細管現象により、絵の具や墨汁などの液状染料を吸い込み、その内部に液状染料を良好に保持することができるため、特に好ましい。
又、前記棒状体を構成する材料としては、特に限定されるものではなく、木、紙、金属、プラスチックなどの公知の工業的材料を適宜選択し、これらを任意の形状の棒状体に加工して用いることができるが、本発明においては、特に、植物茎又は枝の乾燥物の如き天然材料を前記棒状体として用いることが好ましい。
この理由は、木、紙、金属、プラスチックなどの工業的材料を加工して棒状体とするよりも、植物茎又は枝の乾燥物の如き天然の棒状体は、殆んど加工することなくそのまま棒状体として用いることができるからであり、又、このような天然の棒状体を用いれば、筆自体に自然の風合いや趣が生じ、本発明の筆が、主として、個性的且つ独創的な文字を書したり、独特な風合いを奏する絵を描いたりするために用いられることを鑑みれば、このような趣のある筆を用いることは、使用者にとって、芸術的な創作意欲が高まることが期待されるからである。
前記植物の茎又は枝としては、乾燥した状態で、直径0.1〜5mm程度の棒状体になり、又、当該棒状体を束ねて結束した状態において適度な硬さが生ずるものであれば特に限定されるものではないが、本発明においては、特に、イネ科の植物の茎を用いることが好ましい。
ここで、イネ科の植物は、おおよそ600属と10000種が属する被子植物単子葉類の科であり、花序が変形した小穂と呼ばれる偽花を単位とし、これが集合して穂を形成するものであるが、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシなどの穀物や、ススキやヨシ、パンパスグラスなど、日常馴染み深いものが多く、なかでも、「藁」と呼ばれる稲穂や麦穂を乾燥させたものは、我々日本人にとっては郷愁を強く感じさせる独特の趣がある。
そのため、このようなイネ科の植物の茎を乾燥させたものを棒状体として用いれば、本発明の筆において、より一層、自然の風合いや趣が生ずるのであり、又、イネ科の植物の茎を乾燥させたものは、安価且つ大量に材料を調達することが可能である上、特別に加工を施すまでもなく、自然に中空のパイプ状になっているものが多く、このような点からも非常に好ましいのである。
そして、本発明の筆は、このような棒状体を束ねて結束し、その端部を筆先としたものである。
ここで、複数の棒状体を束ねて結束する手段としては、特に限定されるものではなく、束ねた棒状体を接着剤などによる接着力により結束したり、各種素材からなるテープや紐状体或いは帯状体などの結束部材を束ねた棒状体に巻き回して結束したりする手段を挙げることができる。
又、結束する棒状体の数(本数)については、当該棒状体の太さや、目的とする筆の太さなどに応じて適宜増減するものであり、特に限定されるものではないが、一般的には、5〜100本程度の棒状体を結束することが好ましく、更に、10〜50本程度とすることがより好ましい。
結束する棒状体の数が5本以下の場合、筆先が細く、又、棒状体間の隙間が少なくなるため、様々な太さの線を描き分けることが困難となったり、かすれや濃淡の程度が小さくなったりするため好ましくなく、一方、結束する棒状体の数が100本以下の場合、筆自体が太すぎて、取扱性が悪くなるため好ましくない。
そして、本発明の筆においては、複数の棒状体を束ねて結束した後に、その端部を切断して揃え、その揃えた端部を筆先とすることが好ましい。
即ち、複数の棒状体を束ねて結束した後に、その端部を切断して揃えれば、筆先の端部が平な切断面となり、そのエッジが立つため、筆先の平らな部分を使用した太い線や、エッジの頂点を使用した細い線の描き分けが容易になるからである。
特に、本発明においては、束ねて結束した棒状体の長さ方向に対して、垂直に端部を切断するよりも、ある程度の角度をつけて切断することがより好ましく、このように切断すれば、切断面において、尖がったエッジとなだらかなエッジが混在することになるため、より一層複雑な線種の描き分けが容易になるのである。
したがって、本発明の筆において、複数の棒状体を束ねて結束した端部を切断して揃える場合においては、当該束ねて結束した棒状体の長さ方向に対して、0〜45度程度の角度をつけて切断することが好ましく、特に、10〜45度程度の角度をつけて切断することがより好ましい。
なお、本発明の筆においては、束ねて結束する棒状体の長さについては特に限定されるものではなく、筆として使いやすい長さを有する棒状体を束ねて結束し、これをそのまま筆として用いても良いのであるが、所望によっては、比較的短い棒状体を束ねて結束したものや長い棒状体を束ねて結束した後に短く切断したりしたものを、竹筒やプラスチックパイプなどの軸の先端に適宜取り付けて、その握り易さを向上しても良いのである。
本発明は、前記構成を有し、毛筆に不慣れな者であっても、思ったとおりの筆運びを実現することができ、自己の表現したい個性的且つ独創的な文字を書したり、独特な風合いを奏する絵を描いたりすることが容易となり、芸術性の高い絵画や書画を表現することができる新規な筆である。
即ち、本発明の筆は、複数の棒状体を束ねて結束し、その端部を筆先としているから、束ねた棒状体が形成する複数の隙間が風合いの良いかすれや濃淡を生じさせ、芸術性の高い絵画や書画を容易に表現することができるのである。
又、本発明の筆は、複数の棒状体を束ねて結束し、その端部を筆先としているから、筆先が比較的硬く、鉛筆やボールペンなどのいわゆる硬筆に近い感覚で使用することができ、このため、硬筆に慣れた者であれば、毛筆に不慣れであっても、思ったとおりの筆運びを実現することができるのである。
更に、本発明の筆においては、複数の棒状体を束ねて結束し、その端部を筆先としているから、係る端部のエッジや端面などを適宜使い分けることにより、細い線や太い線を簡単に描き分けることができ、自己の表現したい個性的且つ独創的な文字を書したり、独特な風合いを奏する絵を描いたりすることが容易になるのである。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
図1は、実施例1に係る本発明の筆1を示す模式図であり、この筆1は、棒状体2として稲藁を用い、この棒状体2を複数本束ねて、結束部材3である糸を用いて2箇所(3a、3b)結束したものである。
そして、本実施例に係る筆1は、複数の棒状体2を束ねて結束し、その端部4を筆先として用いるものであり、このように構成しているから、束ねた棒状体2が形成する複数の隙間が風合いの良いかすれや濃淡を生じさせ、芸術性の高い絵画や書画を容易に表現することができるのである。
又、本実施例に係る筆1の端部1は、筆先が比較的硬く、鉛筆やボールペンなどのいわゆる硬筆に近い感覚で使用することができ、このため、硬筆に慣れた者であれば、毛筆に不慣れであっても、思ったとおりの筆運びを実現することができるのである。
更に、本実施例に係る筆1においては、その端部4のエッジや端面などを適宜使い分けることにより、細い線や太い線を簡単に描き分けることができるのであり、自己の表現したい個性的且つ独創的な文字を書したり、独特な風合いを奏する絵を描いたりすることが容易になるのである。
加えて、本実施例に係る筆1においては、棒状体2を構成する材料として、植物茎の乾燥物(稲藁)を用いているから、筆自体に自然の風合いや趣が生じ、使用者にとって、芸術的な創作意欲が高まることが期待される上、天然の中空パイプである稲藁は、毛細管現象により、絵の具や墨汁などの液状染料を吸い込み、その内部に液状染料を良好に保持することができるのである。
図2は、実施例2に係る本発明の筆1を示す模式図であり、この筆1は、棒状体2として稲藁を用い、この棒状体2を複数本束ねて、結束部材3である糸を用いて結束したものをその結束位置辺りで短く切断し、竹筒の軸5の先端に取り付けたものである。
即ち、本実施例に係る筆1は、実施例1にかかる筆の先端を短く切断して、竹筒の軸5の先端に取り付け、握り具合を向上したものであり、その余は、実施例1とほぼ同様であることから、繰り返しを避けるためここでは説明を省略する。
なお、図3は、実施例2に係る筆1の端部4を切断して揃えた状態を示す拡大図であり、筆先の端部4が平な切断面となり、そのエッジが立つことから、筆先の平らな部分を使用した太い線や、エッジの頂点を使用した細い線の描き分けが容易になるものである。
特に、図3(a)は、束ねて結束した棒状体2の長さ方向に対して、垂直に端部4を切断したものであるが、図3(b)に示すように、ある程度の角度をつけて切断すれば、切断面において、尖がったエッジとなだらかなエッジが混在することになるため、より一層複雑な線種の描き分けが容易になるのである。
図4は、本実施例に係る筆を用いて、紙面上に絵及び文字を表現したものであり、束ねた棒状体2が形成する複数の隙間が風合いの良いかすれや濃淡を生じさせ、非常に趣のあるものとなっている。
図1は、実施例1に係る本発明の筆を示す模式図である。 図2は、実施例2に係る本発明の筆を示す模式図である。 図3は、実施例2に係る本発明の筆の端部を切断して揃えた状態を示す模式図である。 図4は、本発明の筆を用いて、紙面上に絵及び文字を表現したものである。
符号の説明
1 筆
2 棒状体
3 結束部材
4 端部
5 軸

Claims (5)

  1. 複数の棒状体を束ねて結束し、その端部を筆先としたことを特徴とする筆。
  2. 棒状体が、植物の茎又は枝の乾燥物である請求項1に記載の筆。
  3. 植物が、イネ科の植物である請求項2に記載の筆。
  4. 複数の棒状体を束ねて結束した端部を切断して揃え、その揃えた切断部を筆先とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の筆。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の筆を、軸先に取り付けてなる筆。
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