JP2007035408A - 注液式電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電解液を発電部における積層された各セルに迅速かつ確実に注入することができ、優れた電池性能を有する注液式電池を提供する。
【解決手段】 注液式電池は、複数個の単セルからなる発電部6、ならびに前記発電部を挟むスペーサ5および押さえ板4からなる積層体と、前記積層体の中央部に設けた空洞部7と、前記空洞部に配置され、電解液8を封入したアンプル9とを有し、前記スペーサおよび押さえ板は、その空洞部に面する部分の径が、発電部から離れるにつれて小さくなるテーパを設け、前記スペーサのテーパの角度Xは0.5°≦X≦10°を満たし、前記押さえ板のテーパの角度Yは2°≦Y≦30°を満たす。
【選択図】図1
【解決手段】 注液式電池は、複数個の単セルからなる発電部6、ならびに前記発電部を挟むスペーサ5および押さえ板4からなる積層体と、前記積層体の中央部に設けた空洞部7と、前記空洞部に配置され、電解液8を封入したアンプル9とを有し、前記スペーサおよび押さえ板は、その空洞部に面する部分の径が、発電部から離れるにつれて小さくなるテーパを設け、前記スペーサのテーパの角度Xは0.5°≦X≦10°を満たし、前記押さえ板のテーパの角度Yは2°≦Y≦30°を満たす。
【選択図】図1
Description
本発明は、注液式電池に関するものである。さらに詳しくは、小型タイプの注液式電池に関するものである。
近年、電池性能を損なうことなく、注液式電池を小型化することが要求されている。小型化とともに要求されている電池性能を満たすためには、できるだけ少ない電解液量で、発電部を構成するすべての単セルに電解液が流入する必要がある。
ところで、電池内に収納できる電解液の量はアンプルの容積で決まる。また、アンプルの容積は電池内の中央に設けられたアンプル収納用の空洞部の大きさで決まる。
ところで、電池内に収納できる電解液の量はアンプルの容積で決まる。また、アンプルの容積は電池内の中央に設けられたアンプル収納用の空洞部の大きさで決まる。
従来の注液式電池の一例として特許文献1の注液式電池を図2に示す。図2は従来の注液式電池の縦断面図である。
外装ケース1の内部には、押さえ板14とスペーサ5との間に挟まれた発電部6が収容されている。押さえ板14、スペーサ5、および発電部6からなる積層体には中央部に空洞部7が設けられている。空洞部7には、電解液8を封入したアンプル9が配置されている。空洞部7の上部および下部には、電解液が外部へ漏れないように鉄板10aおよび10bがそれぞれ配されている。
外装ケース1の内部には、押さえ板14とスペーサ5との間に挟まれた発電部6が収容されている。押さえ板14、スペーサ5、および発電部6からなる積層体には中央部に空洞部7が設けられている。空洞部7には、電解液8を封入したアンプル9が配置されている。空洞部7の上部および下部には、電解液が外部へ漏れないように鉄板10aおよび10bがそれぞれ配されている。
外装ケース1とスペーサ5および発電部6との隙間には、端子ピン2a、2bと発電部6とを接続するリード線11a、11bが配されている。そして、外装ケース1と押さえ板14、スペーサ5、および発電部6との隙間およびスペーサ5の上部に樹脂12が充填されている。よって、リード線11a、11bおよび空洞部7の上部に配された鉄板10aは樹脂12で埋め込まれている。
スペーサ5には、空洞部7における径が発電部から離れるにつれて、つまりスペーサ5の上部ほど小さくなるようにテーパが設けられている。これにより、電解液はテーパに沿って発電部へ流れ込みやすくなる。
図2の矢印の方向に電池に対して発射衝撃を加えると、アンプルは空洞部の底部に衝突して破壊される。そして、電池に旋回力が与えられるため、アンプルの破壊により外部に飛散した電解液は、遠心力によりアンプルの周囲に配された発電部に流入する。スペーサ側に飛散した電解液は、スペーサに設けられたテーパにより、発電部に流れ込みやすくなる。しかし、電解液は押さえ板側に飛散しやすく、空洞部底部に滞留しやすい。このため、電池性能を十分に満足させるには、この電解液の滞留分を見越して余剰の電解液をアンプル内に収納することが必要であり、電解液量を減らしてアンプルを小さくすることには限界があった。
特開2003−68311号公報
本発明は、上記従来の問題を解決するために、発電部を構成する各セルに電解液を迅速かつ確実に注入することができ、高性能な注液式電池を提供することを目的とする。
本発明の注液式電池は、複数個の単セルからなる発電部、ならびに前記発電部を挟むスペーサおよび押さえ板からなる積層体と;前記積層体の中央部に設けた空洞部と;前記空洞部に配置され、電解液を封入したアンプルとを有し、前記スペーサおよび押さえ板は、その空洞部に面する部分の径が、発電部から離れるにつれて小さくなるテーパを設け、前記スペーサのテーパの角度Xは0.5°≦X≦10°を満たし、前記押さえ板のテーパの角度Yは2°≦Y≦30°を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、発電部を構成する各セルに必要最小限の電解液を迅速かつ確実に注入することができる。したがって、電解液を収容するアンプルの容積を小さくすることができるため、電池性能を損なうことなく、注液式電池を小型化することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図1を参照して説明する。
1は金属からなる有底円筒状の外装ケースであり、端子ピン2aおよび2bを設けたフェノール樹脂製の電池蓋3により覆蓋される構成となっている。
1は金属からなる有底円筒状の外装ケースであり、端子ピン2aおよび2bを設けたフェノール樹脂製の電池蓋3により覆蓋される構成となっている。
外装ケース1の内部には、金属製の押さえ板4とポリエチレンからなるスペーサ5との間に挟まれた発電部6が収容されている。発電部6は、例えば鉛粉を活物質とする負極板、セルロース製のセパレータ、および二酸化鉛を活物質とする正極板からなる単セルを複数積層したものである。
押さえ板4、スペーサ5、および発電部6からなる円柱状の積層体には中央部に空洞部7が設けられている。その空洞部7には、過塩素酸水溶液からなる電解液8を封入した円柱状のアンプル9が配置されている。そして、その空洞部7の上部および下部には、電解液が外部へ漏れないように鉄板10aおよび10bが配されている。外装ケース1とスペーサ5および発電部6との隙間には、端子ピン2aおよび2bと発電部6とを接続するリード線11aおよび11bが配されている。そして、外装ケース1と押さえ板4、スペーサ5、および発電部6との隙間およびスペーサ5の上部に樹脂12が充填されている。よって、リード線11aおよび11bおよび空洞部7の上部に配された鉄板10aは樹脂12で埋め込まれる構成となっている。また、樹脂12は外装ケース1を封口するための電池蓋3を接着する役割も兼ねている。
スペーサ5には、空洞部7における径が発電部から離れるにつれて小さくなるように、すなわちスペーサ5の上部ほど空洞部7における径が小さくなるようにテーパが設けられている。また、押さえ板4には、空洞部7における径が発電部から離れるにつれて小さくなるように、すなわち押さえ板4の下部ほど空洞部7における径が小さくなるようにテーパが設けられている。
このような構成とすることにより、電解液はスペーサおよび押さえ板のテーパに沿って発電部へ流れていくため、電解液を発電部における積層された各セルに迅速かつ確実に注入することができ、電池性能の向上を図ることができる。特に、電解液は底部に滞留しやすいため、押さえ板に設けられたテーパによる効果が顕著に得られる。
スペーサには、ポリエチレン以外に、塩化ビニル樹脂、およびフッ素樹脂を用いてもよい。
スペーサには、ポリエチレン以外に、塩化ビニル樹脂、およびフッ素樹脂を用いてもよい。
スペーサにおけるテーパの角度X(図1において軸Zで表されるアンプル9の高さ方向(略平行な方向)に対する角度)は0.5°≦X≦10°を満たす。角度Xは0.5°未満であると、テーパを設けることによる効果が小さくなる。一方、角度Xは10°を超えると、アンプルの容積が小さくなるため、電解液量を極端に減らさなければならなくなり、放電持続時間が短くなる。
滞留する電解液量のバラツキが小さく、アンプルにおいて、必要最小限の量の電解液を封入するのに十分な大きさの容積が確保されるため、スペーサにおけるテーパの角度Xは、2°≦X≦5°を満たすのがより好ましい。
滞留する電解液量のバラツキが小さく、アンプルにおいて、必要最小限の量の電解液を封入するのに十分な大きさの容積が確保されるため、スペーサにおけるテーパの角度Xは、2°≦X≦5°を満たすのがより好ましい。
押さえ板におけるテーパの角度Y(図1において軸Zで表されるアンプル9の高さ方向(略平行な方向)に対する角度)は2°≦Y≦30°を満たす。角度Yは2°未満であると、テーパを設けることによる効果が小さくなる。一方、角度Yは30°を超えると、アンプルの容積が小さくなるため、電解液を極端に減らさなければならなくなり、放電持続時間が短くなる。
滞留する電解液量のバラツキが小さく、アンプルにおいて、必要最小限の量の電解液を封入するのに十分な大きさの容積が確保されるため、スペーサにおけるテーパの角度Yは、6°≦Y≦15°を満たすのがより好ましい。
滞留する電解液量のバラツキが小さく、アンプルにおいて、必要最小限の量の電解液を封入するのに十分な大きさの容積が確保されるため、スペーサにおけるテーパの角度Yは、6°≦Y≦15°を満たすのがより好ましい。
以下に、本発明の実施例を説明する。
《実施例1》
図1のような本発明のスペーサを用いた小型の注液式電池を作製した。電池の高さは24mmとした。
スペーサは、外径17mm、高さ10mmとした。スペーサには、空洞部の径が発電部から離れるにつれて10mmから9mmへと減少するようにテーパを設けた。このときのテーパ角度Xは3°であった。
押さえ板は、外径17mm、高さ3mmとした。押さえ板には、空洞部の径が発電部から離れるにつれて10mmから9mmへと減少するようにテーパを設けた。このときの、テーパ角度Yは9°であった。
《実施例1》
図1のような本発明のスペーサを用いた小型の注液式電池を作製した。電池の高さは24mmとした。
スペーサは、外径17mm、高さ10mmとした。スペーサには、空洞部の径が発電部から離れるにつれて10mmから9mmへと減少するようにテーパを設けた。このときのテーパ角度Xは3°であった。
押さえ板は、外径17mm、高さ3mmとした。押さえ板には、空洞部の径が発電部から離れるにつれて10mmから9mmへと減少するようにテーパを設けた。このときの、テーパ角度Yは9°であった。
また、正極板および負極板は、外径17mm、内径10mmとした。この正負極板を用いてセルを構成し、7セルを直列に接続し、さらにこの7セルを2並列に接続したものを積層して発電部とした。
《実施例2》
電解液が減少した分だけアンプルの高さを小さくし、電池の高さを20mmとした以外は、実施例1と同様の方法により電池を作製した。
電解液が減少した分だけアンプルの高さを小さくし、電池の高さを20mmとした以外は、実施例1と同様の方法により電池を作製した。
《実施例3〜6》
テーパ角度XおよびYを、表1に示すように種々に変えた以外は、実施例1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。
テーパ角度XおよびYを、表1に示すように種々に変えた以外は、実施例1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。
《比較例1》
実施例1で使用した押さえ板の代わりに、押さえ板の空洞部にテーパを設けずに、外径17mm、内径10mm、および高さ3mmとした押さえ板を用いた以外は実施例1と同様にして電池を作製した。
実施例1で使用した押さえ板の代わりに、押さえ板の空洞部にテーパを設けずに、外径17mm、内径10mm、および高さ3mmとした押さえ板を用いた以外は実施例1と同様にして電池を作製した。
《比較例2〜9》
テーパ角度XおよびYを、表1に示すように種々に変えた以外は、実施例1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。
テーパ角度XおよびYを、表1に示すように種々に変えた以外は、実施例1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。
上記で作製した実施例1〜6および比較例1〜9の電池について、以下の放電試験を行った。
常温にて、電池に対して旋回数25000rpmの旋回とともに図1中に示す矢印の方向から衝撃を加えアンプルを破壊した。そして、アンプルに封入されていた電解液が発電部に流入することにより発生した電圧の立ち上がり時間および放電持続時間を調べた。このときの負荷電流は200mAとした。
電圧の立ち上がり時間は、アンプルが破壊されてから電圧が7Vに到達するまでの時間とした。放電持続時間はアンプルが破壊されてから電圧が7Vを切るまでの時間とした。
常温にて、電池に対して旋回数25000rpmの旋回とともに図1中に示す矢印の方向から衝撃を加えアンプルを破壊した。そして、アンプルに封入されていた電解液が発電部に流入することにより発生した電圧の立ち上がり時間および放電持続時間を調べた。このときの負荷電流は200mAとした。
電圧の立ち上がり時間は、アンプルが破壊されてから電圧が7Vに到達するまでの時間とした。放電持続時間はアンプルが破壊されてから電圧が7Vを切るまでの時間とした。
また、放電試験後に電池を解体し、発電部に流入せずに空洞部内に残留した電解液の重量を測定した。表1中の滞留電解液量は、アンプル内に収納した電解液の重量に対する割合を示す。各電池の試験数は3個であった。
これらの評価結果を表1に示す。
これらの評価結果を表1に示す。
本発明のスペーサおよび押さえ板の両方にテーパを設けた実施例1〜6の電池は、スペーサのみにテーパを設けた比較例1の電池に比べて、電解液が、迅速かつ確実に、発電部の各セルへ流入することができるため、立ち上がり時間が短くなり、電解液量を少なくしても比較例1と同等の放電持続時間が得られた。
比較例6および7の電池では、アンプルが小さくなり、電解液量が少なすぎることにより、発電部を構成する全ての単セルに電解液が注入されなかったため、電圧が発生しなかった。また、比較例8および9の電池では、アンプルが小さくなり、電解液量が少なくなるため、放電持続時間が短くなった。
比較例2〜4の電池では、テーパを設けることによる効果が小さくなるため、放電持続時間が短くなった。また、発電部に流入する電解液量のばらつきが大きくなり、電池の信頼性が低下した。
本発明の注液式電池は、発射時に旋回する飛翔体の電源として好適に用いられる。
1 外装ケース
2a、2b 端子ピン
3 電池蓋
4、14 押さえ板
5 スペーサ
6 発電部
7 空洞部
8 電解液
9 アンプル
10a、10b 鉄板
11a、11b リード線
12 樹脂
2a、2b 端子ピン
3 電池蓋
4、14 押さえ板
5 スペーサ
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8 電解液
9 アンプル
10a、10b 鉄板
11a、11b リード線
12 樹脂
Claims (1)
- 複数個の単セルからなる発電部、ならびに前記発電部を挟むスペーサおよび押さえ板からなる積層体と;前記積層体の中央部に設けた空洞部と;前記空洞部に配置され、電解液を封入したアンプルとを有する注液式電池であって、
前記スペーサおよび押さえ板は、その空洞部に面する部分の径が、発電部から離れるにつれて小さくなるテーパを設け、
前記スペーサのテーパの角度Xは0.5°≦X≦10°を満たし、
前記押さえ板のテーパの角度Yは2°≦Y≦30°を満たすことを特徴とする注液式電池。
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JP2005215988A JP2007035408A (ja) | 2005-07-26 | 2005-07-26 | 注液式電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005215988A JP2007035408A (ja) | 2005-07-26 | 2005-07-26 | 注液式電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007035408A true JP2007035408A (ja) | 2007-02-08 |
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JP2005215988A Ceased JP2007035408A (ja) | 2005-07-26 | 2005-07-26 | 注液式電池 |
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2005
- 2005-07-26 JP JP2005215988A patent/JP2007035408A/ja not_active Ceased
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