JP2007035286A - フラットケーブル半製品及びそれを用いたAuめっきフラットケーブルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 Auめっきを有する安価なフラットケーブルを製造するためのフラットケーブル半製品及びそれを用いたAuめっきフラットケーブルの製造方法を提供するものである。
【解決手段】 本発明に係るフラットケーブル半製品20は、フラットケーブルの製造に用いられるものであり、1本の導体又は並列配置された複数本の導体群12の一方の面に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルム11bを貼り付けて片面一体材10とし、その片面一体材10の導体又は導体群12の表面に、Ni膜25を設けたものである。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明に係るフラットケーブル半製品20は、フラットケーブルの製造に用いられるものであり、1本の導体又は並列配置された複数本の導体群12の一方の面に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルム11bを貼り付けて片面一体材10とし、その片面一体材10の導体又は導体群12の表面に、Ni膜25を設けたものである。
【選択図】 図2
Description
本発明は、Auめっきを有するフラットケーブルの製造に用いるフラットケーブル半製品及びそれを用いたフラットケーブルの製造方法に関するものである。
フラットケーブルは、軽くて薄いテープ状の電線(ケーブル)である。このフラットケーブルは、1本の導体又は並列配置された数十本の導体群の上下面を、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルムで挟み、熱ロールでプラスチックフィルム同士をラミネートすることで製造される。
図9に示すように、フラットケーブル90は、両端末部において一面側のプラスチックフィルム91aを除去して導体群92を露出させ、他面側のプラスチックフィルム91bにおける導体露出部93の直下部分に補強板94を重ねて設けたタイプが主流となっている。このフラットケーブル90は、挿抜タイプのコネクタ(図示せず)と組み合わせて用いられる。
フラットケーブルは、その柔軟性と低コスト性を活かし、電気・電子機器の回路間のジャンパ線(固定配線)や可動部配線として使用されている。可動部配線の例として、パーソナルコンピュータ用インクジェット型プリンタの、印字ヘッド部配線や、CD、DVDなどの光ピックアップ部配線などが挙げられる。
近年、ピッチ0.3mmの高精細フラットケーブルや、耐熱型フラットケーブルの開発、量産化が進んでおり、フラットケーブルの用途が大きく拡がっている。また、最近では、配線工程簡略化の観点から、フラットケーブルの自動車への適用が始まっている。
ところが、自動車用フラットケーブルの環境温度は、最高で85〜100℃と想定されており、自動車用フラットケーブルには優れた接続信頼性が要求される。また、自動車用フラットケーブルの導体めっきとして、一般的なSnめっきを用いた場合、Cu導体とSnメッキ膜の界面において、硬く、脆い金属間化合物の層が経時的に成長する。このCu-Sn系金属間化合物の層の成長は、60℃以上の高温において著しいことから、Sn(又はSn合金)めっきに代えて、Auめっきを採用することが検討され始めている。
このAuめっきを有するフラットケーブルの製造方法として、以下に示す方法が挙げられる。
(1) 全面にAuめっきを施したCu線(Cu導体)を、プラスチックフィルムで挟んでラミネートする。
(2) 全面にSn(又はSn合金)めっきを施したCu線を、プラスチックフィルムで挟んでラミネートする。その後、導体露出部のみにAuめっきを施す。
(3) 全面にNiめっきを施したCu線を、プラスチックフィルムで挟んでラミネートする。その後、導体露出部のみにAuめっきを施す(例えば、特許文献1参照)。
(1) 全面にAuめっきを施したCu線(Cu導体)を、プラスチックフィルムで挟んでラミネートする。
(2) 全面にSn(又はSn合金)めっきを施したCu線を、プラスチックフィルムで挟んでラミネートする。その後、導体露出部のみにAuめっきを施す。
(3) 全面にNiめっきを施したCu線を、プラスチックフィルムで挟んでラミネートする。その後、導体露出部のみにAuめっきを施す(例えば、特許文献1参照)。
ところで、前述した(1)の製造方法は、最も一般的な製造方法であり、最も容易であるものの、Cu線の全面にAuめっきを施すことから、製造コストが高くなってしまう。また、(2)の製造方法は、前述したCu-Sn系金属間化合物の層成長の問題があり、ケーブル挿抜時の耐摩耗性が十分でなく、信頼性の面で問題があった。さらに、(3)の製造方法は、(1)の製造方法の高コスト性、(2)の製造方法の耐摩耗性を改善するものである。
しかしながら、Auめっきを有するフラットケーブルは、特殊品であって生産量が少ないことから、(3)の方法で製造したフラットケーブルであっても、その生産コストは、一般的なSn(又はSn合金)めっきを有するフラットケーブルの数倍以上となってしまう。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、Auめっきを有する安価なフラットケーブルを製造するためのフラットケーブル半製品及びそれを用いたAuめっきフラットケーブルの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明に係るフラットケーブル半製品は、1本の導体又は並列配置された複数本の導体群の上下面に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルムをそれぞれ貼り付け、一体化したフラットケーブルの製造に用いるフラットケーブル半製品であって、
導体又は導体群の一方の面に第1のプラスチックフィルムを貼り付け、その貼り付けられた導体又は導体群の表面に、Ni膜を設けたものである。
導体又は導体群の一方の面に第1のプラスチックフィルムを貼り付け、その貼り付けられた導体又は導体群の表面に、Ni膜を設けたものである。
また、本発明に係るフラットケーブル半製品は、1本の導体又は並列配置された複数本の導体群の上下面に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルムをそれぞれ貼り付け、一体化したフラットケーブルの製造に用いるフラットケーブル半製品であって、
導体又は導体群の一方の面に第1のプラスチックフィルムを貼り付け、その貼り付けられた導体又は導体群の表面に、順にNi膜、Au膜を設けたものである。
導体又は導体群の一方の面に第1のプラスチックフィルムを貼り付け、その貼り付けられた導体又は導体群の表面に、順にNi膜、Au膜を設けたものである。
ここで、貼り付けられた導体又は導体群とNi膜の間に、Cuストライクめっき膜を設けることが好ましい。
一方、本発明に係るAuめっきフラットケーブルの製造方法は、導体又は導体群の一方の面にプラスチックフィルムを貼り付け、その貼り付けられた導体又は導体群の表面にNi膜を設けたフラットケーブル半製品を用いたフラットケーブルの製造方法であって、
フラットケーブル半製品の導体又は導体群側の面に、スリットを予め形成しておいた第2のプラスチックフィルムを貼り付け、そのスリットからNiめっきされた導体又は導体群の一部を露出させ、
その導体露出部の表面にAuめっきを施してAuめっき膜を形成するものである。
フラットケーブル半製品の導体又は導体群側の面に、スリットを予め形成しておいた第2のプラスチックフィルムを貼り付け、そのスリットからNiめっきされた導体又は導体群の一部を露出させ、
その導体露出部の表面にAuめっきを施してAuめっき膜を形成するものである。
また、本発明に係るAuめっきフラットケーブルの製造方法は、導体又は導体群の一方の面にプラスチックフィルムを貼り付け、その貼り付けられた導体又は導体群の表面にNi膜を設けたフラットケーブル半製品を用いたフラットケーブルの製造方法であって、
フラットケーブル半製品の導体又は導体群側の面に、第2のプラスチックフィルムを貼り付け、そのプラスチックフィルムの一部を除去してスリットを形成し、そのスリットからNiめっきされた導体又は導体群の一部を露出させ、
その導体露出部の表面にAuめっきを施してAuめっき膜を形成するものである。
フラットケーブル半製品の導体又は導体群側の面に、第2のプラスチックフィルムを貼り付け、そのプラスチックフィルムの一部を除去してスリットを形成し、そのスリットからNiめっきされた導体又は導体群の一部を露出させ、
その導体露出部の表面にAuめっきを施してAuめっき膜を形成するものである。
さらに、本発明に係るAuめっきフラットケーブルの製造方法は、導体又は導体群の一方の面にプラスチックフィルムを貼り付け、その貼り付けられた導体又は導体群の表面に、順にNi膜、Au膜を設けたフラットケーブル半製品を用いたフラットケーブルの製造方法であって、
フラットケーブル半製品の導体又は導体群側の面に、スリットを予め形成しておいた第2のプラスチックフィルムを貼り付け、そのスリットからAuめっきされた導体又は導体群の一部を露出させるものである。
フラットケーブル半製品の導体又は導体群側の面に、スリットを予め形成しておいた第2のプラスチックフィルムを貼り付け、そのスリットからAuめっきされた導体又は導体群の一部を露出させるものである。
また、本発明に係るAuめっきフラットケーブルの製造方法は、導体又は導体群の一方の面にプラスチックフィルムを貼り付け、その貼り付けられた導体又は導体群の表面に、順にNi膜、Au膜を設けたフラットケーブル半製品を用いたフラットケーブルの製造方法であって、
フラットケーブル半製品の導体又は導体群側の面に、第2のプラスチックフィルムを貼り付け、そのプラスチックフィルムの一部を除去してスリットを形成し、そのスリットからAuめっきされた導体又は導体群の一部を露出させるものである。
フラットケーブル半製品の導体又は導体群側の面に、第2のプラスチックフィルムを貼り付け、そのプラスチックフィルムの一部を除去してスリットを形成し、そのスリットからAuめっきされた導体又は導体群の一部を露出させるものである。
本発明によれば、安価で、接続信頼性の高いAuめっきフラットケーブルを得ることができるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本実施の形態に係るフラットケーブル半製品は、並列配置された複数本の導体群の下面(一方の面)に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルムを貼り付け、一体化し、その貼り付けられた導体群の表面に、Ni膜を設けたものである。このフラットケーブル半製品における導体群の下面は、プラスチックフィルムに貼り付けられているため、導体群の下面にはNi膜は形成されていない。
このフラットケーブル半製品は、例えば、以下の手順で製造される。
先ず、図1に示すように、並列配置(図面と垂直な方向に並列配置)された複数本の導体群12の下面(一方の面)に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルム(第1のプラスチックフィルム)11bが貼り付けられる。プラスチックフィルム11bは、穴(例えば、後述するスリットを参照)を有するものであってもよい。導体群12の構成材としては、ケーブル導体用材料として慣用的に用いられているものが全て適用可能であるが、例えば、タフピッチ銅(以下、TPCという)や、無酸素銅などの裸銅又は裸銅合金が挙げられる。また、プラスチックフィルム11bのフィルム本体の構成材としては、絶縁材であれば特に限定するものではないが、コスト面を考慮すると、安価なポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)が好ましい。
次に、貼り合わされた導体群12とプラスチックフィルム11bは、熱ロール15a,15b間に供給され、連続圧着される。これによって、導体群12とプラスチックフィルム11bが一体化され、片面一体材10が得られる。
次に、図2(a)に示すように、片面一体材10の導体群12に対して、順次、脱脂処理、水洗処理、及び酸洗処理などを施すことで、導体群12の表面の汚れが除去される。その後、導体群12に、順次、Cuストライクめっき処理、水洗処理を施す。このCuストライクめっき処理により、導体群12に対するNiめっき膜(後述)の密着力が向上する。
次に、図2(b)に示すように、導体群12の表面にNiめっきを施し、Ni膜(Niめっき膜)25が形成される。Niめっきは、例えば、連続電気めっきによってなされる。具体的には、片面一体材10を、Niめっき浴23内に連続的に供給し、浸漬させることで、導体群12にNiめっき膜25が形成され、フラットケーブル半製品20が得られる。Niめっき膜25の膜厚は0.5μm以上、好ましくは0.75μm以上とされる。ここで、Niめっき膜25の膜厚が0.5μm未満だと、Niめっき膜25にピンホール(めっき膜不完全部)が形成され易くなる。
次に、本実施の形態に係るフラットケーブル半製品を用いたAuめっきフラットケーブルの製造方法を、図3、図4に基づいて説明する。
先ず、図3に示すように、フラットケーブル半製品20の導体群12側の面(図3中では上面)に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルム(第2のプラスチックフィルム)11aが貼り付けられる。ここで、貼り付けられるプラスチックフィルム11aには、穿孔金型31により、スリット15が打ち抜き形成されている。このスリット15から露出する導体群12が導体露出部13となる。プラスチックフィルム11aとしては、プラスチックフィルム11bと同じものを使用することが好ましい。また、スリット15の形成部において、プラスチックフィルム11aを連結する連結部は、必ずしもプラスチックフィルム11aの幅方向両側に形成する必要はなく、幅方向一方側のみであってもよい。
次に、フラットケーブル半製品20に貼り合わされたプラスチックフィルム11aは、熱ロール35a,35b間に供給され、連続圧着される。これによって、フラットケーブル半製品20とプラスチックフィルム11aが一体化され、両面一体材30が得られる。
次に、補強板貼付装置33により、プラスチックフィルム11bにおけるスリット15の直下の部分に、補強板36が貼り付けられる。補強板36のケーブル長手方向長さ(図3中では左右方向長さ)は、スリット15のケーブル長手方向長さよりも長く形成される。なお、補強板36の貼り付けは、後述するAuめっき膜45の形成後であってもよい。
次に、両面一体材30の導体露出部13に対して、図4(a)に示すように、水洗処理などの中間処理を施すことで、導体露出部13におけるNiめっき膜25の表面の汚れが除去される。
次に、図4(b)に示すように、そのNiめっき膜25の表面にさらにAuめっきを施し、Au膜(Auめっき膜)45が形成される。Auめっきは、例えば、連続電気めっきによってなされる。具体的には、両面一体材30を、Auめっき浴43内に連続的に供給し、浸漬させることで、スリット15から露出する導体露出部13のNiめっき膜25上にAuめっき膜45が形成される。Auめっき膜45の膜厚は0.03μm以上、好ましくは0.05μm以上とされる。ここで、Auめっき膜45の膜厚が0.03μm未満だと、数回の端子挿抜でAuめっき膜45が剥離するおそれがある。
最後に、導体露出部13にAuめっき膜45が形成された両面一体材30を、スリット15の両面一体材幅方向両縁に沿って切断して両面一体材30の幅方向両端部を切り落とし、かつ、スリット15の部分で切断、分断することで、本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルが得られる。本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルは、プラスチックフィルム11aのケーブル長手方向両端部が所定の幅で除去されており、各除去部(スリット)から、最表面にAuめっき膜45を有する導体群12の一部が露出している。このフラットケーブルの、Auめっき膜45を有する導体露出部13にコネクタ端子(例えば、挿抜タイプ)を接続することで、フラット型接続ケーブルが得られ、各種電子・電気機器の配線材として使用される。
本実施の形態においては、スリット15が形成されたプラスチックフィルム11aをフラットケーブル半製品20の導体群12側の面に貼り付ける場合について説明を行ったが、特にこれに限定するものではない。例えば、プラスチックフィルム11aをフラットケーブル半製品20に貼り付けた後、スリット15を形成するようにしてもよい。例えば、プラスチックフィルム11aの接着剤層側面に、短冊状の剥離ガイド薄片を、プラスチックフィルム11aの幅方向一端面から突出させて貼り付けておき、この状態でフラットケーブル半製品20にプラスチックフィルム11aが貼り付けられる。その後、剥離ガイド薄片の突出部を指などで摘み、プラスチックフィルム11a側に折り返しながら引っ張ることで、プラスチックフィルム11aにおける剥離ガイド薄片の貼り付け部が引き剥がされ、スリット15が形成される。
次に、本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルの作用を説明する。
Auめっきを有するフラットケーブルは、一般的な全面Sn(又はSn合金)めっきを有するフラットケーブルと比べて原料コスト自体が割高な上、需要が少ない特殊品であることから大量生産することもできないため、どうしても製造コストが高くなってしまう。
そこで、本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルにおいては、予め大量に製造し、保管しておいたフラットケーブル半製品20を使用して製造される。フラットケーブル半製品20は、導体群12を構成する導体として裸銅材又は裸銅合金材を用い、この導体群12の一方の面に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルム11bを貼り付けてなり、その貼り付けられた導体群12に対してNiめっき膜25を設けてなる。
フラットケーブル半製品20は、導体群12に対してNiめっき膜25が設けられているため、このNiめっき膜25が保護膜となり、保管期間中に腐食が発生するのが抑制される。また、Niめっき膜25は、導体群12を構成する導体の周囲全面に形成されるものではなく、導体下面にはNiめっき膜25がない。
よって、本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルは、従来の(3)の方法で製造したフラットケーブルと比べて、Niめっきの原料コストの低減を図ることができる。また、Auめっきフラットケーブルは、従来の(2)の方法で製造したフラットケーブルのように、高温環境下での使用時にCu導体とSnめっき膜の界面に金属間化合物の層が生成するおそれもないため、接続信頼性がより良好となる。
また、本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルは、予め大量に製造し、保管しておいたフラットケーブル半製品20を使用して製造するため、異なる顧客要求(製品長さ)があったとしても、スリット15の打ち抜きピッチを調整するだけで、容易に製品長さの異なるフラットケーブルを得ることができる。その結果フラットケーブルの製品歩留りが大きく向上し、製造コストの低減を図ることができる。
本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルは、自動車用フラットケーブル、例えば、インパネ部の各種電気・電子機器やドア部の各種操作機器用のフラットケーブルなどに好適である。この他にも、本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルは、使用環境温度が高く、かつ、優れた接続信頼性が要求されるフラットケーブルに対して、適用可能である。
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の他の好適一実施の形態に係るフラットケーブル半製品の製造方法を説明するための図を、図5〜図7に示す。なお、図1〜図4と同様の部材には同じ符号を付しており、これらの部材については説明を省略する。
本実施の形態に係るフラットケーブル半製品は、並列配置された複数本の導体群の下面(一方の面)に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルムを貼り付け、一体化し、その貼り付けられた導体群の表面に、順にNi膜、Au膜を設けたものである。このフラットケーブル半製品における導体群の下面は、プラスチックフィルムに貼り付けられているため、導体群の下面にはNi膜、Au膜は形成されていない。
このフラットケーブル半製品は、例えば、以下の手順で製造される。
先ず、図5に示すように、並列配置(図面と垂直な方向に並列配置)された複数本の導体群12の下面(一方の面)に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルム11bが貼り付けられる。プラスチックフィルム11bは、穴(例えば、後述するスリットを参照)を有するものであってもよい。
次に、貼り合わされた導体群12とプラスチックフィルム11bは、熱ロール15a,15b間に供給され、連続圧着される。これによって、導体群12とプラスチックフィルム11bが一体化され、片面一体材50が得られる。
次に、図6(a)に示すように、片面一体材50の導体群12に対して、順次、脱脂処理、水洗処理、及び酸洗処理などを施すことで、導体群12の表面の汚れが除去される。その後、導体群12に、順次、Cuストライクめっき処理、水洗処理を施す。このCuストライクめっき処理により、導体群12に対するNiめっき膜(後述)の密着力が向上する。
次に、図6(b)に示すように、導体群12の表面にNiめっきを施し、Ni膜(Niめっき膜)25が形成される。Niめっきは、例えば、連続電気めっきによってなされる。具体的には、片面一体材50を、Niめっき浴23内に連続的に供給し、浸漬させることで、導体群12にNiめっき膜25が形成され、Niめっき片面一体材60が得られる。
次に、Niめっき片面一体材60のNiめっき膜25に対して、図7(a)に示すように、水洗処理などの中間処理を施すことで、Niめっき膜25の表面の汚れが除去される。
次に、図7(b)に示すように、そのNiめっき膜25の表面にさらにAuめっきを施し、Au膜(Auめっき膜)45が形成される。Auめっきは、例えば、連続電気めっきによってなされる。具体的には、Niめっき片面一体材60を、Auめっき浴43内に連続的に供給し、浸漬させることで、Niめっき膜25上にAuめっき膜45が形成され、フラットケーブル半製品70が得られる。
次に、本実施の形態に係るフラットケーブル半製品を用いたAuめっきフラットケーブルの製造方法を、図8に基づいて説明する。
先ず、図8に示すように、図7に示したフラットケーブル半製品70の導体群12側の面(図8中では上面)に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルム11aが貼り付けられる。ここで、貼り付けられるプラスチックフィルム11aには、穿孔金型31により、スリット15が打ち抜き形成されている。このスリット15から露出する導体群12が導体露出部13となる。また、スリット15の形成部において、プラスチックフィルム11aを連結する連結部は、必ずしもプラスチックフィルム11aの幅方向両側に形成する必要はなく、幅方向一方側のみであってもよい。
次に、フラットケーブル半製品70に貼り合わされたプラスチックフィルム11aは、熱ロール35a,35b間に供給され、連続圧着される。これによって、フラットケーブル半製品70とプラスチックフィルム11aが一体化され、両面一体材80が得られる。
次に、補強板貼付装置33により、プラスチックフィルム11bにおけるスリット15の直下の部分に、補強板36が貼り付けられる。その補強板36が貼り付けられた両面一体材80を、スリット15の部分で切断すると共に、プラスチックフィルム11aにおけるスリット15の両脇残存部(連結部15aの半分)を除去することで、本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルが得られる。
本実施の形態においては、スリット15が形成されたプラスチックフィルム11aをフラットケーブル半製品70の導体群12側の面に貼り付ける場合について説明を行ったが、特にこれに限定するものではない。例えば、プラスチックフィルム11aをフラットケーブル半製品70に貼り付けた後、スリット15を形成するようにしてもよい。例えば、プラスチックフィルム11aの接着剤層側面に、短冊状の剥離ガイド薄片を、プラスチックフィルム11aの幅方向一端面から突出させて貼り付けておき、この状態でフラットケーブル半製品70にプラスチックフィルム11aが貼り付けられる。その後、剥離ガイド薄片の突出部を指などで摘み、プラスチックフィルム11a側に折り返しながら引っ張ることで、プラスチックフィルム11aにおける剥離ガイド薄片の貼り付け部が引き剥がされ、スリット15が形成される。
本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルは、ケーブル全長にわたってAuめっき膜45が被膜されているため、両端末部だけにAuめっき膜45が被膜されている前実施の形態のAuめっきフラットケーブルと比べて、原料コスト、すなわち製造コストは高くなる。ところが、本実施の形態に係る全面Auめっきのフラットケーブルであっても、フラットケーブルの長さが短尺であれば、Auめっき膜45の被膜長さ自体が短くなるため、原料コストを抑制できる。よって、本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルは、短尺のフラットケーブルに対して好適である。
また、本実施の形態に係るAuめっきフラットケーブルは、半製品70の段階でめっき工程が全て終了している。このため、フラットケーブルの被覆材としては好適であっても、めっき工程で用いられる薬液(例えば、シアン系めっき液や酸洗剤など)に対する耐薬品性が弱いことから使用できなかった材料を、プラスチックフィルム11aのフィルム本体用材料として使用することが可能となる。
さらに、本実施の形態に係るフラットケーブル半製品70は、導体群12の最表面の被膜がAuめっき膜45であるため、導体群12の最表面の被膜がNiめっき膜25である前実施の形態のフラットケーブル半製品20と比べて、長期保管時の耐食性が良好となる。その結果、長期保管後においても、フラットケーブル半製品70における導体群12の信頼性は高い。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
TPCからなる幅0.7mm、厚さ50μmのCu導体を、ピッチ間隔1mmで14本並列配置し、導体群を作製した。その導体群の下面に、片面に難燃性ポリエステル系接着剤層を有するPET製プラスチックフィルムを貼り付け、全長100mm、幅15mmの片面一体材を作製した。プラスチックフィルムの厚さは60μm(フィルム本体の厚さ25μm、接着材層の厚さ35μm)である。
TPCからなる幅0.7mm、厚さ50μmのCu導体を、ピッチ間隔1mmで14本並列配置し、導体群を作製した。その導体群の下面に、片面に難燃性ポリエステル系接着剤層を有するPET製プラスチックフィルムを貼り付け、全長100mm、幅15mmの片面一体材を作製した。プラスチックフィルムの厚さは60μm(フィルム本体の厚さ25μm、接着材層の厚さ35μm)である。
片面一体材における導体群に厚さ3μmのNiめっき膜を設け、フラットケーブル半製品を作製した。このフラットケーブル半製品の導体群側(上面側)に、前述したプラスチックフィルムと同じPET製プラスチックフィルムを貼り付け、両面一体材を作製した。
この両面一体材における上面側のプラスチックフィルムの両端部を5mm幅で除去し、各除去部(スリット)からNiめっきされた導体群の一部を露出させた。この導体露出部の表面に、厚さ0.5μmのAuめっき膜を設け、フラットケーブルを作製した(試料1)。
(実施例2)
実施例1と同様の片面一体材における導体群に、順に厚さ3μmのNiめっき膜、厚さ0.5μmのAuめっき膜を設け、フラットケーブル半製品を作製した。このフラットケーブル半製品の導体群側(上面側)に、実施例1と同じPET製プラスチックフィルムを貼り付けた後、上面側のプラスチックフィルムの両端部を5mm幅で除去し、フラットケーブルを作製した(試料2)。
実施例1と同様の片面一体材における導体群に、順に厚さ3μmのNiめっき膜、厚さ0.5μmのAuめっき膜を設け、フラットケーブル半製品を作製した。このフラットケーブル半製品の導体群側(上面側)に、実施例1と同じPET製プラスチックフィルムを貼り付けた後、上面側のプラスチックフィルムの両端部を5mm幅で除去し、フラットケーブルを作製した(試料2)。
(比較例1)
TPCからなる幅0.7mm、厚さ50μmのCu導体に全面Niめっきを施し、Cu導体表面に厚さ3μmのNiめっき膜を形成した。そのCu導体を、ピッチ間隔1mmで14本並列配置し、導体群を作製した。その導体群の上下面に、実施例1と同じPET製プラスチックフィルムをそれぞれ貼り付け、全長100mm、幅15mmのフラットケーブル半製品を作製した。
TPCからなる幅0.7mm、厚さ50μmのCu導体に全面Niめっきを施し、Cu導体表面に厚さ3μmのNiめっき膜を形成した。そのCu導体を、ピッチ間隔1mmで14本並列配置し、導体群を作製した。その導体群の上下面に、実施例1と同じPET製プラスチックフィルムをそれぞれ貼り付け、全長100mm、幅15mmのフラットケーブル半製品を作製した。
フラットケーブル半製品におけるプラスチックフィルムの両端部を5mm幅で除去し、各除去部(スリット)から導体群の一部を露出させた。この導体露出部のNiめっき膜表面に、厚さ0.5μmのAuめっき膜を設け、フラットケーブルを作製した(試料3)。
試料1〜3について、生産コストの比較を行った結果、試料1,2は、試料3の約85〜90%のコストで、安価に製造することができた。
次に、試料1〜3について、環境試験後の接触抵抗の評価を行った。環境試験は、85℃の温度で500h放置する高温放置試験と、60℃、90%RHで、500h放置する高温高湿放置試験の2種類を行った。その結果、試料1〜3の耐環境性はほぼ同等レベルであり、試料1,2は、従来のフラットケーブルである試料3と同等の接続信頼性を有することが確認できた。
10 片面一体材
11b プラスチックフィルム
12 導体群
25 Ni膜
20 フラットケーブル半製品
11b プラスチックフィルム
12 導体群
25 Ni膜
20 フラットケーブル半製品
Claims (7)
- 1本の導体又は並列配置された複数本の導体群の上下面に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルムをそれぞれ貼り付け、一体化したフラットケーブルの製造に用いるフラットケーブル半製品であって、
上記導体又は導体群の一方の面に第1の上記プラスチックフィルムを貼り付け、その貼り付けられた導体又は導体群の表面に、Ni膜を設けたことを特徴とするフラットケーブル半製品。 - 1本の導体又は並列配置された複数本の導体群の上下面に、片面に接着剤層を有する絶縁性のプラスチックフィルムをそれぞれ貼り付け、一体化したフラットケーブルの製造に用いるフラットケーブル半製品であって、
上記導体又は導体群の一方の面に第1の上記プラスチックフィルムを貼り付け、その貼り付けられた導体又は導体群の表面に、順にNi膜、Au膜を設けたことを特徴とするフラットケーブル半製品。 - 上記貼り付けられた導体又は導体群と上記Ni膜の間に、Cuストライクめっき膜を設けた請求項1又は2記載のフラットケーブル半製品。
- 請求項1、3いずれかに記載のフラットケーブル半製品を用いたフラットケーブルの製造方法であって、
上記フラットケーブル半製品の上記導体又は導体群側の面に、スリットを予め形成しておいた第2の上記プラスチックフィルムを貼り付け、そのスリットからNiめっきされた上記導体又は導体群の一部を露出させ、
その導体露出部の表面にAuめっきを施してAuめっき膜を形成することを特徴とするAuめっきフラットケーブルの製造方法。 - 請求項1、3いずれかに記載のフラットケーブル半製品を用いたフラットケーブルの製造方法であって、
上記フラットケーブル半製品の上記導体又は導体群側の面に、第2の上記プラスチックフィルムを貼り付け、そのプラスチックフィルムの一部を除去してスリットを形成し、そのスリットからNiめっきされた上記導体又は導体群の一部を露出させ、
その導体露出部の表面にAuめっきを施してAuめっき膜を形成することを特徴とするAuめっきフラットケーブルの製造方法。 - 請求項2、3いずれかに記載のフラットケーブル半製品を用いたフラットケーブルの製造方法であって、
上記フラットケーブル半製品の上記導体又は導体群側の面に、スリットを予め形成しておいた第2の上記プラスチックフィルムを貼り付け、そのスリットからAuめっきされた上記導体又は導体群の一部を露出させることを特徴とするAuめっきフラットケーブルの製造方法。 - 請求項2、3いずれかに記載のフラットケーブル半製品を用いたフラットケーブルの製造方法であって、
上記フラットケーブル半製品の上記導体又は導体群側の面に、第2の上記プラスチックフィルムを貼り付け、そのプラスチックフィルムの一部を除去してスリットを形成し、そのスリットからAuめっきされた上記導体又は導体群の一部を露出させることを特徴とするAuめっきフラットケーブルの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2005212113A JP2007035286A (ja) | 2005-07-22 | 2005-07-22 | フラットケーブル半製品及びそれを用いたAuめっきフラットケーブルの製造方法 |
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JP2008210584A (ja) * | 2007-02-23 | 2008-09-11 | Fujikura Ltd | フレキシブルフラットケーブル端子部 |
JP2008208400A (ja) * | 2007-02-23 | 2008-09-11 | Fujikura Ltd | フレキシブルフラットケーブル端子部の製造方法 |
JP2009076322A (ja) * | 2007-09-20 | 2009-04-09 | Sumitomo Electric Ind Ltd | フレキシブルフラットケーブルおよびその製造方法 |
-
2005
- 2005-07-22 JP JP2005212113A patent/JP2007035286A/ja active Pending
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