以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。また実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図1は、本実施の形態の地震評価装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図2は、地震評価装置1を示す正面図である。図3は、地震評価装置1に含まれる感震器2を拡大して示す拡大図である。図4は、感震器2の一部を拡大して示す拡大断面図である。図5は、感震器2の一部を拡大して示す拡大斜視断面図である。図6は、震動の加速度を示すグラフである。地震評価装置1は、震動に基づいて地震の規模を評価し、速度の評価に基づいて遮断弁3、警報部4などを作動させる装置である。地震評価装置1は、たとえば30Hz以下の震動を測定し、3000Gal以下の加速度を測定可能に構成される。地震評価装置1は、筐体5、2つの感震器2、信号線6、制御装置7、操作部8、表示部9、遮断弁3および警報部4を含む。
筐体5は、直方体状の箱体に形成される。ただし筐体5は、直方体状の箱体に限定されず、内方に空間が形成されるものであればよい。検出手段である2つの感震器2には、内部感震器2Aと外部感震器2Bとが含まれる。内部感震器2Aは、筐体5の内方に配設される。他方の外部感震器2Bは、筐体5の外方に配設される。内部および外部感震器2A,2Bは、構成が同一である。したがって以下では、内部感震器2Aについて説明し、外部感震器2Bの構成については、内部感震器2Aの構成と同一の符号を付して、その説明を省略する。感震器2は、互いに直交する水平2方向であるX方向およびY方向の振動を検出可能に構成され配設される。つまり感震器は、水平2軸の振動を検出可能に構成される。
感震器2は、ブロック体10と2つのセンサS1,S2とを備える。ブロック体10は、直方体状に形成される。ブロック体10は、たとえば鉄、アルミニウムなどの金属材料または合成樹脂材料によって構成されている。2つのセンサS1,S2は、ブロック体10の互いに直交する取付面部11,12に配設される。各センサS1,S2は、一方のセンサS1がX方向の震動を検出し、他方のセンサS2がY方向の震動を検出可能に構成され、ブロック体10に配設される。2つのセンサS1,S2は、構成が同一である。したがって一方のセンサS1について説明し、他方のセンサS2については同一の符号を付してその説明を省略する。
センサS1は、地震動の加速度を測定する加速度センサであり、制御装置7に電気的に接続される。センサS1は、たとえば圧電型センサ、サーボ型センサ、ひずみ計型センサおよび静電容量型センサである。本実施の形態では、センサS1の一例として、静電容量型センサを示す。ただしセンサS1は、静電容量型センサに限定されず、少なくとも前述のセンサであればよく、地震動の加速度を測定する加速度センサであればよい。
センサS1は、一対の基盤13,14、一対のガラス板15,16、一対の電極17,18、スペーサ19、取付部20および振り子21を含む。一対の基盤13,14は、導電性単結晶シリコンから成り、一表面部が互いに第1方向A1に対向して配設される。第1方向A1は、一方のセンサS1においてX方向と同義であり、他方のセンサS2においてY方向と同義である。各基盤13,14には、一表面部から、対向する基盤13,13に向かって突出する突起部22がそれぞれ形成される。一対のガラス板15,16は、板状に形成され、突起部22が挿通可能な連結孔23がそれぞれ形成される。各ガラス板15,16は、突起部22を連結孔23に挿通させ、互いに対向させて各基盤13,14の一表面部にそれぞれ配設される。
スペーサ19および取付部20は、導電性単結晶シリコンから成り、一対のガラス板15,16の間に介在する。スペーサ19および取付部20は、第1方向A1に垂直な第2方向A2に互いに間隔を空けて配設される。一対の電極17,18は、薄膜状に形成される。各電極17,18は、互いに対向して各ガラス板15,16にそれぞれ配設される。一対の電極17,18は、たとえばアルミニウムをガラス板15,16に蒸着させて形成される。一対の電極17,18は、突起部22に電気的かつ機械的に接続される、つまり基盤13,14に電気的に接続される。
振り子21は、完全弾性体であり、導電性単結晶シリコンから成る。振り子21は、第2方向A2に延びる長手状に形成され、一対の電極17,18、スペーサ19および取付部20が囲繞する空間24に配設される。振り子21は、その長手方向一端部が取付部20に一体的に連結され、他端部が遊端部となる。換言すると、振り子21は、取付部20によって片持ち支持され、前記他端部が第1方向A1に揺動可能に配設される。振り子21は、揺動しない自然状態で、一対の電極17,18に対して間隔d1,d2を空けて配設される。本実施の形態では、振り子21は、図4に示す振り子21と各電極17,18との距離d1,d2が前記自然状態で等しくなるように配設される。信号線6は、センサS1の一対の基盤13,14および振り子21と制御装置7とを電気的にそれぞれ接続する。センサS1およびセンサS2は、信号線6によって、制御装置7に電気的に並列させて接続される。静電容量型センサ以外の他の加速度センサも同様に、制御装置7に電気的に接続され、加速度センサで取得された電気信号を制御装置7に伝送可能に構成される。
制御装置7には、ハイパスフィルタ25、ローパスフィルタ32、アナログ/ディジタル変換器(略称:A/D変換器)31、3つのフィルタ33、加速度演算部26、速度演算部27、SI値演算部28、記憶部29および制御部30が含まれる。ハイパスフィルタ25は、信号線6を介して各感震器2A,2BのセンサS1,S2に電気的に接続される。ハイパスフィルタ25は、ローパスフィルタ32に電気的に接続される。ハイパスフィルタ25は、周波数の低い電気信号、たとえば0.01Hz以下の電気信号を遮断する機能を有する。ローパスフィルタ32は、A/D変換器31に電気的に接続される。ローパスフィルタ32は、衝撃波などに基づく周波数の高い電気信号、たとえば30Hz以上の電気信号を遮断する機能を有する。
A/D変換器31は、3つのフィルタ33に電気的に接続される。A/D変換器31は、アナログ信号をディジタル信号に変換する機能を有する。3つのフィルタ33は、第1フィルタ33a、第2フィルタ33bおよび第3フィルタ33cである。第1フィルタ33aは、加速度演算部26に電気的に接続される。第2フィルタ33bは、速度演算部27に電気的に接続される。第3フィルタ33cは、SI値演算部28に電気的に接続される。
加速度演算部26は、制御部30に電気的に接続される。加速度演算部26は、各感震器2A,2BのセンサS1,S2からハイパスフィルタ25などを介して伝送される電気信号に基づいて、震動の加速度を演算する機能を有する。本実施の形態では、加速度演算部26は、振り子21と各電極17,18間の容量C1、C2に基づく電気信号を取得する。加速度演算部26は、容量C1,C2に基づいて振り子の加速度、すなわち震動の加速度を演算する機能を有する。本実施の形態では、容量C1、C2は、各センサS1,S2の並列容量である。したがって演算される加速度は、X方向成分およびY方向成分の加速度をベクトル合成して得られる加速度に相当する。第1フィルタ33aは、A/D変換器31から加速度演算部26に伝送される信号に含まれるノイズを除去する機能を有する。
速度演算部27は、制御部30に電気的に接続される。速度演算部27は、各感震器2A,2BのセンサS1,S2からハイパスフィルタ25などを介して伝送される電気信号に基づいて、震動の速度を演算する機能を有する。本実施の形態では、速度演算部27は、加速度演算部26と同様に、振り子21と各電極17,18間の容量C1、C2に基づいて、加速度を演算する。速度演算部27は、この加速度を積分して速度を演算する。本実施の形態では、容量C1、C2が各センサS1,S2の並列容量である。したがって演算される速度は、X方向成分およびY方向成分の速度をベクトル合成して得られる速度に相当する。第2フィルタ33bは、A/D変換器31から速度演算部27に伝送される信号に含まれるノイズを除去する機能を有する。
SI値演算部28は、制御部30に電気的に接続される。SI値演算部28は、各感震器2A,2BのセンサS1,S2からハイパスフィルタ25などを介して伝送される電気信号に基づいて、SI値を演算する機能を有する。SI値は、周期が0.1sec以上2.
5sec以下の速度応答スペクトルSvのスペクトル強度SIであり、速度応答スペクトル
Svおよび周期τを用いて式(3)で演算される。
SI値は、速度応答スペクトルSvを周期0.1sec以上周期2.5sec以下の範囲で周期τに関して積分し、この積分値を2.4で除した値である。
具体的な演算方法について説明すると、SI値演算部28は、加速度演算部26と同様に、加速度を演算する。SI値演算部28は、この加速度に基づいて、周期が0.1sec
から0.1sec刻みで2.5secまでの25個の速度応答を演算する。SI値演算部28は、検出開始から現時刻までの間の各周期の速度応答の最大値を検出する。SI値演算部28は、これらの検出された各周期の速度応答の最大値の総和を2.4で除してSI値を演算する。本実施の形態では、容量C1、C2は各センサS1,S2の並列容量である。したがってSI値は、X方向成分およびY方向成分の速度応答スペクトルSvをベクトル合成して得られる速度応答スペクトルSvのSI値に相当する。第3フィルタ33bは、A/D変換器31からSI値演算部28に伝送される信号に含まれるノイズを除去する機能を有する。
制御部30は、記憶部29、表示部9、遮断弁3、警報部4および操作部8に電気的に接続される。制御部30は、最大加速度警報レベルLα、最大値速度警報レベルLV、最大値SI値警報レベルLS、加速度持続警報レベルMα、速度持続警報レベルMV、SI値持続警報レベルMSおよび所定持続時間Tを記憶する。本実施の形態において、最大加速度警報レベルLα、最大値速度警報レベルLVおよび最大値SI値警報レベルLSを総称する場合、最大値警報レベルLと称し、加速度持続警報レベルMα、速度持続警報レベルMVおよびSI値持続警報レベルMSを総称する場合、持続警報レベルMと称する場合がある。
最大加速度警報レベルLαは、加速度持続警報レベルMαより大きく設定される。最大値速度警報レベルLVは、速度持続警報レベルMVより大きく設定される。最大値SI値警報レベルLSは、SI値持続警報レベルMSより大きく設定される。本実施の形態では、最大加速度警報レベルLαが250Gal、最大値速度警報レベルLVが30kine、最大値SI値警報レベルLSが30kine、加速度持続警報レベルMαが150Gal、速度持続警報レベルMVが25kine、SI値持続警報レベルMSが25kineおよび所定持続時間Tが120secに設定される。
制御部30は、内部感震器2Aおよび外部感震器2BのセンサS1,S2からの電気信号に基づいて演算される加速度、速度およびSI値をレベル弁別する機能を有する。以下では、内部感震器2AのセンサS1,S2からの電気信号に基づいて演算される加速度、速度およびSI値を、「内部加速度」、「内部速度」および「内部SI値」とそれぞれ称し、これらを総称して、「内部演算値」と称する場合がある。また外部感震器2BのセンサS1,S2からの電気信号に基づいて演算される加速度、速度およびSI値を、「外部加速度」、「外部速度」および「外部SI値」とそれぞれ称し、これらを総称して、「外部演算値」と称する場合がある。また本実施の形態において、演算される加速度、速度およびSI値を総称して、「演算値」と称する場合がある。
制御部30は、具体的には、内部および外部加速度を最大加速度警報レベルLαと加速度持続警報レベルMαとでレベル弁別し、内部および外部速度を最大速度警報レベルと速度持続警報レベルMVとでレベル弁別し、内部および外部SI値を最大値SI値警報レベルLSとSI値持続警報レベルMSとでレベル弁別する機能を有する。
制御部30は、以下3つの条件のうち少なくともいずれか1つを充足するか否かを判定する機能を有する。本実施の形態では、(1)内部加速度および外部加速度(以下、これらを総称する場合、「内外加速度」と称する場合がある)が加速度持続警報レベルMα以上であること、(2)内部速度および外部速度(以下、これらを総称する場合、「内外速度」と称する場合がある)が速度持続警報レベルMV以上であること、および(3)内部SI値および外部SI値(以下、これらを総称する場合、「内外SI値」と称する場合がある)がSI値持続警報レベルMS以上であることの3つの条件のうち少なくともいずれか1つを充足するか否かを判定する。
制御部30は、(1)〜(3)の条件のうち少なくともいずれか1つの条件を充足すると、継続時間を測定する機能を有する。制御部30は、前記条件が充足しなくなると、継続時間の測定を停止する機能を有する。制御部30は、測定される継続時間が所定持続時間T以上か否かを判定する機能を有する。以下では、測定される継続時間が所定持続時間T以上であることを条件(4)とする。
以下では、制御部30が継続時間を測定する測定方法について説明する。条件(1)または(2)を充足する場合は、同様の方法によって継続時間を測定する。したがって、条件(1)を充足する場合について図6を用いて説明し、条件(2)を充足する場合の測定方法については、条件(1)の場合の測定方法を参照し、その説明を省略する。制御部30は、条件(1)を充足すると、継続時間の測定を開始する(この開始時刻を時刻T0とする)。制御部30は、時刻T0から予め定められる時間間隔Δt毎に、条件(1)を充足するか否かの判定をする。制御部30は、各時間間隔Δtの間で、条件(1)が少なくとも1回充足するか否かを判定する。各時間間隔Δtの間で、条件(1)が少なくとも1回充足すると判定すると、時間間隔Δtの間、条件(1)を継続して充足すると判定する。制御部30は、時間間隔Δtの間、条件(1)を継続して充足すると判定すると、継続時間に前記時間間隔Δtを加算し、継続時間の測定を継続する。制御部30は、条件(1)を充足しないと判定すると、継続時間の測定を停止する。
次に条件(3)を充足する場合について、説明する。条件(3)を充足すると、継続時間の測定を開始する(この開始時刻を時刻T0とする)。制御部30は、条件(3)を充足する間、継続時間の測定を継続する。制御部30は、内外SI値がSI値持続警報レベルMS以下になると、継続時間の測定を停止する。
制御部30は、さらに以下の3つの条件のうち少なくともいずれか1つを充足か否かを判定する機能を有する。本実施の形態では、(5)内外加速度が最大加速度警報レベルLα以上であること、(6)内外速度が最大速度警報レベルLV以上であること、および(7)内外SI値が最大SI値警報レベルLS以上であることの3つの条件のうち少なくともいずれか1つを充足するか否かを判定する。
制御部30は、記憶部29に内外加速度を記憶させる機能を有する。制御部30は、内外加速度をそれぞれ関連付けて記憶させ、内外加速度の各波形を記憶させる機能を有する。内外加速度の波形は、経過時間に対する内外加速度の変化を示す波形と同義である。記憶部29は、複数個の内外加速度の波形、たとえば10個の内外加速度の波形を記憶する機能を有する。記憶部29は、10個の波形を記憶する状態で、さらに別の波形の記憶を要求されると、最も記憶してからの時間が経過している波形を消去し、要求される前記別の波形を記憶する機能を有する。本実施の形態では、加速度の波形だけを記憶しているけれども、速度の波形およびSI値の波形を記憶させてもよい。
制御部30は、内部演算値および外部演算値(以下、これらを総称して「内外演算値」と称する場合がある)の最大値をそれぞれ検出し、記憶部29に記憶させる機能を有する。具体的な検出方法は、以下に説明する。制御部30は、記憶部29に記憶される内外演算値の最大値(以下、単に「最大値」と称する場合がある)と制御部30が演算部34から取得する内外演算値(以下、「取得演算値」と称する場合がある)とを比較する。演算部34は、加速度演算部26、速度演算部27およびSI値演算部28に相当する。制御部30は、取得演算値が記憶部29に記憶される最大値より大きい場合、取得演算値を最大値として記憶部29に上書きして記憶させる。制御部30は、表示部9、遮断弁3および警報部4を制御する機能を有する。制御部30は、条件(4)〜(7)のうち少なくともいずれか1つを充足すると、遮断弁3および警報部4に警報信号を出力する。
表示部9は、図2に示す、インジケータ35と通電ランプ36とを含む。表示部9は、利用者が視認可能な筐体5の一表面部に配設される。インジケータ35は、制御部30から内外加速度および内外SI値の最大値を取得し、これらを棒グラフによってそれぞれ表示する。図2では、内部感震器が「内部センサ」と称され、外部感震器が「外部センサ」と称されている。本実施の形態では、インジケータ35の棒グラフは、目盛に基づいて段階的に色彩を変化させて、前記加速度およびSI値の最大値を表示する。インジケータ35は、たとえば、紫、青、緑、黄、赤のグラデーションによって表示される。ただし、インジケータ35は、このようなものに限定されず、前記最大値をディジタル表示させてもよい。また棒グラフに代えて、複数の発光ダイオード(略称:LED)を一列に配設し、LEDの点灯数によって最大値を表示してもよい。たとえば、LEDが4つ点灯すると、加速度の最大値が150Gal以上200Gal未満であることを示す。通電ランプ36は、たとえばLEDによって構成され、発光することによって内部および外部感震器2A,2Bに電力が供給されていることを示す機能を有する。
遮断弁3は、ガス管の管路に介在し、ガスの流れを遮断するための弁である。ただし、遮断弁3は、ガスの流れを遮断するものに限定されない。たとえば油などの流体の流路に介在し、前記流体を遮断するものであればよい。遮断弁3は、制御部30から出力される警報信号に基づいて、ガス管を遮断する機能を有する。
警報部4は、利用者に警報する機能を有する。警報部4には、最大値警報ランプ37、持続警報ランプ38および警報器が含まれる。最大値警報ランプ37および持続警報ランプ38は、たとえば発光ダイオードで実現される。最大値警報ランプ37および持続警報ランプ38は、図2に示すように、利用者が視認可能な筐体5の一表面部に配設される。制御部30は、条件(4)を充足すると、持続警報ランプ38を発光させる機能を有する。また制御部30は、条件(5)〜(7)を充足すると、最大値警報ランプ37を発光させる機能を有する。警報器は、制御部30から出力される警報信号を取得し、音によって警報する機能を有する。
地震評価装置1は、商用電源に電気的に接続可能に構成される。地震評価装置1は、商用電源から電力を取得し、各構成部に電力を供給可能に構成される。地震評価装置1は、内部電源39を備える。内部電源39は、たとえばバッテリであり、地震評価装置1を駆動する電力を各構成部に供給可能に構成される。内部電源39は、商用電源からの電力供給が遮断されると、各構成部に電力を供給可能に構成される。
操作部8は、利用者が操作可能に構成される。操作部8は、電源スイッチ、設定手段およびリセットスイッチ40を含む。電源スイッチは、商用電源および内部電源39から地震評価装置1の各構成部への電力供給のオンおよびオフを切替えるためのスイッチである。設定手段は、制御部30に記憶される最大値警報レベルL、持続警報レベルMおよび所定持続時間Tを設定可能に構成される。本実施の形態では、最大加速度警報レベルLαおよび加速度持続警報レベルMαは、110Gal以上520Gal以下の範囲で設定可能に構成される。最大速度警報レベルLVおよび速度持続警報レベルMVは、10kine以上100kine以下の範囲で設定可能に構成される。最大SI値警報レベルLSおよびSI値持続警報レベルMSは、10kine以上100kineの範囲で設定可能に構成される。所定持続時間Tは、10sec以上300sec以下の範囲で設定可能に構成される。
リセットスイッチ40は、利用者が操作可能に配設され、具体的には、筐体5の一表面部に配設される。リセットスイッチ40は、これを操作することによって、記憶部29に記憶される内外演算値の最大値をリセットし、インジケータ35の表示を0Galに戻す機能を有する。インジケータ35は、リセットスイッチ40が操作されるまで、内外加速度および内外SI値の最大値の表示を継続する機能を有する。リセットスイッチ40は、最大値警報ランプ37および持続警報ランプ38を消灯させる機能を有する。最大値警報ランプ37および持続警報ランプ38は、リセットスイッチ40が操作されるまで、発光し警報を継続する機能を有する。
図7は、地震評価装置1の地震評価方法の手順を示すフローチャートである。図8は、震動の加速度を示すグラフである。図9は、震動の速度を示すグラフである。図10は、震動のSI値を示すグラフである。以下では、このような地震評価装置1の制御装置7の動作について説明する。まず図8〜10に示す波形の長周期地震動における制御装置7の動作について説明する。地震評価装置1の電源スイッチをオンにすると、地震評価処理が開始され、ステップa1へ移行する。前処理フィルタ工程であるステップa1では、インジケータ35の表示を0Galに戻し、記憶部29に記憶される最大値を消去する。インジケータ35の表示を0Galに戻し、記憶部29に記憶される最大値を消去すると、ステップa2へ移行する。
地震感知判定工程であるステップa2は、内部および外部感震器2A,2BのセンサS1,S2の容量C1,C2が変化しているか、すなわち地震を感知しているか否かを判定する。地震を感知していない場合、ステップa1へ戻る。地震を感知している場合、ステップa2からステップa3へ移行する。演算工程であるステップa3では、内部および外部感震器2A,2BのセンサS1,S2の容量C1、C2に基づいて、内外加速度、内外速度および内外SI値を演算する。内外加速度、内外速度および内外SI値を演算すると、ステップa3からステップa4へ移行する。波形記憶工程であるステップa4では、内外加速度の波形を記憶部29に記憶する。記憶すると、ステップa4からステップa5へ移行する。
レベル判定工程であるステップa5では、内外演算値を最大値警報レベルLおよび持続警報レベルMでレベル弁別し、条件(1)〜(3)および(5)〜(7)のうちいずれの条件を充足するかを判定する。条件(1)〜(3)のうち少なくともいずれか1つの条件を充足する場合、ステップa5からステップa6へ移行する。
以下では、条件(1)〜(3)のうち少なくともいずれかの1つの条件を充足する場合について、図8〜図10を参照して、具体的に説明する。本実施の形態では、説明を簡略化するために、内部感震器2Aおよび外部感震器2Bの波形が同一であるとして説明する。まず条件(1)を充足する場合について、図8を参照して説明する。内外加速度を加速度持続警報レベルMαでレベル弁別する。時刻T1で内外加速度が加速度持続警報レベルMα以上になると、条件(1)を充足すると判定する。次に条件(2)を充足する場合について、図9を参照して説明する。内外速度を速度持続警報レベルMVで弁別する。時刻T2で内外速度が速度持続警報レベルMV以上になると、条件(2)を充足すると判定する。最後に条件(3)を充足する場合について、図10を参照して説明する。内外SI値をSI値持続警報レベルMSで弁別する。時刻T3で内外SI値がSI値持続警報レベルMS以上になると、条件(3)を充足すると判定する。このようにして、条件(1)〜(3)のうち少なくともいずれかの1つの条件を充足すると判定すると、ステップa5からステップa6へ移行する。
時間測定開始工程であるステップa6では、継続時間の測定を開始する。継続時間の測定を開始すると、ステップa6からステップa7へ移行する。最大値測定工程であるステップa7では、取得演算値と記憶される内外演算値の最大値とを比較して、最大値を検出する。最大値が検出されると、検出される最大値を記憶部29に上書きして記憶させる。最大値を記憶部29に記憶させると、ステップa7からステップa8へ移行する。最大値報知工程であるステップa8では、最大値をインジケータ35によって表示させる。最大値を表示させるとステップa8から、ステップa9へ移行する。
継続時間判定工程であるステップa9では、条件(4)を充足するか否かを判定する。条件(4)を充足する場合、すなわち継続時間が所定持続時間T以上である場合、ステップa9からステップa10へ移行する。以下では、条件(4)を充足する場合について、図8〜図10を参照して、具体的に説明する。所定持続時間Tは、たとえば時間4Δtに設定されている。
まず条件(1)および条件(4)を充足する場合について、図8を参照して説明する。継続時間の測定が開始され、時刻T1を越えて時刻T1+Δt以下の第1区間D1で、条件(1)を充足するか否かを判定する。図8に示すように、第1区間D1では、条件(1)を充足するので、条件(1)継続時間が時間Δtであると判定し、さらに継続時間の測定を継続する。次に時刻T1+Δtを越えて時刻T1+2Δt以下の第2区間D2で、条件(1)を充足するか否かを判定する。図8に示すように、第2区間D2では、条件(1)を充足するので、条件(1)の継続時間が時間2Δtであると判定し、さらに継続時間の測定を継続する。同様にして、時刻T+2Δtを越えて時刻T1+3Δt以下の第3区間D3および時刻T1+3Δtを越えて時刻T1+4Δt以下の第4区間D4で、条件(1)を充足するかを順次判定する。第3および第4区間D4では、図8に示すように、条件(1)を充足するので、条件(1)の継続時間が時間4Δtであると判定する。これによって条件(4)を充足すると判定し、ステップa9からステップa10へ移行する。
次に条件(2)および条件(4)を充足する場合について、図9を参照して説明する。継続時間の測定が開始され、条件(1)および条件(4)を充足する場合と同様に、時刻T2を越えて時刻T2+Δt以下の第1区間E1、時刻T2+Δtを越えて時刻T2+2Δt以下の第2区間E2で、時刻T2+2Δtを越えて時刻T2+3Δt以下の第3区間E3および時刻T+3Δtを越えて時刻T+4Δt以下の第4区間E4で、条件(2)を充足するかを順次判定する。第1区間〜第4区間E1,E2,E3,E4では、図9に示すように、条件(2)を充足するので、条件(2)の継続時間が時間4Δtであると判定する。これによって条件(4)を充足すると判定し、ステップa9からステップa10へ移行する。
最後に条件(3)および条件(4)を充足する場合について説明する。継続時間の測定が開始され、継続時間が所定持続時間4Δtを越えると、条件(4)充足すると判定し、ステップa9からステップa10へ移行する。
信号伝送工程であるステップa10では、警報信号を遮断弁3および警報部4に出力する。警報信号が出力されると、ステップa10からステップa11へ移行する。警報遮断工程であるステップa11では、持続警報ランプ38を発光させる。警報器は、警報信号に基づいて作動し、音によって利用者に警報する。遮断弁3は、警報信号に基づいて作動し、ガスの流れを遮断する。このように持続警報ランプ38などが作動すると、ステップa11からステップa12へ移行する。
最大値測定工程であるステップa12では、ステップa7と同様に、最大値を検出し、検出される最大値を記憶部29に上書きして記憶させる。最大値を記憶部29に記憶させると、ステップa12からステップa13へ移行する。最大値報知工程であるステップa13では、ステップa8と同様に、最大値をインジケータ35によって表示させる。最大値を表示させるとステップa13から、ステップa14へ移行する。リセット判定工程であるステップa14では、リセットスイッチ40が操作されたか否かを判定する。リセットスイッチ40が操作された場合、ステップa14からステップa1へ戻る。リセットスイッチ40が操作されていない場合、ステップa14からステップa12へ移行する。
図11は、震動の加速度を示すグラフである。図12は、震動の速度を示すグラフである。図13は、震動のSI値を示すグラフである。次に、図11〜13に示す波形の短周期地震動における制御装置7の動作について説明する。以下では、図7のフローチャートを参照しつつ、制御装置7の動作について説明する。短周期地震動における制御装置7の動作は、ステップa5とステップa11において長周期地震動における制御装置7の動作と異なり、その他のステップにおいて長周期地震動における制御装置7の動作と同様である。したがってステップa5およびステップa11について説明し、その他のステップについては、長周期地震動における制御装置7の動作を参照し、その説明を省略する。
レベル判定工程であるステップa5では、内外演算値を最大値警報レベルLおよび持続警報レベルMでレベル弁別し、条件(1)〜(3)および(5)〜(7)のうちいずれの条件を充足するかを判定する。条件(5)〜(7)のうち少なくともいずれかの1つ条件を充足する場合、ステップa5からステップa10へ移行する。なお条件(5)〜(7)のうち少なくともいずれか1つの条件を充足する場合、条件(1)〜(3)のうち少なくともいずれか1つの条件も充足する。この場合、ステップa5からステップ6に移行することなく、ステップa5からステップa10へ移行する。ただし、ステップa5からステップa10へ移行することだけに限定されず、ステップa6およびステップa10へ移行し、並列処理されてもよい。
以下では、条件(5)〜(7)のうち少なくともいずれかの1つの条件を充足する場合について、図11〜図13を参照して、具体的に説明する。本実施の形態では、説明を簡略化するために、内部感震器2Aおよび外部感震器2Bの波形が同一であるものとして説明する。
まず条件(5)を充足する場合について、図11を参照して説明する。内外加速度を最大加速度警報レベルLαでレベル弁別する。時刻T4で内外加速度が最大加速度警報レベルLα以上になると、条件(5)を充足すると判定する。次に条件(6)を充足する場合について、図12を参照して説明する。内外速度を最大速度警報レベルLVで弁別する。時刻T5で内外速度が最大速度警報レベルLV以上になると、条件(6)を充足すると判定する。最後に条件(7)を充足する場合について、図13を参照して説明する。内外SI値を最大SI値警報レベルLSで弁別する。時刻T6で内外SI値が最大SI値警報レベルLS以上になると、条件(7)を充足すると判定する。このようにして、条件(5)〜(7)のうち少なくともいずれか1つの条件を充足すると判定すると、ステップa5からステップa10へ移行する。
警報遮断工程であるステップa11では、最大値警報ランプ37を発光させる。警報器は、警報信号に基づいて作動し、利用者に警報する。遮断弁3は、警報信号に基づいて作動し、ガスの流れを遮断する。このように最大値警報ランプ37などが作動すると、ステップa11からステップa12へ移行する。
次に、内外演算値のうち少なくともいずれか一方が持続警報レベルMに満たない地震動における制御装置7の動作について説明する。内外演算値のうち少なくともいずれか一方が持続警報レベルMに満たない地震動における制御装置7の動作は、ステップa5において長周期地震動における制御装置7の動作と異なり、その他のステップにおいて長周期地震動における制御装置7の動作と同様である。したがってステップa5について説明し、その他のステップについては、長周期地震動における制御装置7の動作を参照し、その説明を省略する。
レベル判定工程であるステップa5では、内外演算値を最大値警報レベルLおよび持続警報レベルMでレベル弁別し、条件(1)〜(3)および(5)〜(7)のうちいずれの条件を充足するかを判定する。条件(1)〜(3)および(5)〜(7)をすべて充足しない場合、ステップa5からステップa1へ戻る。
具体的には、内外演算値を持続警報レベルMでレベル弁別する。内外加速度が加速度持続警報レベルMα以下であり、内外速度が速度持続警報レベルMV以下であり、内外SI値がSI値持続警報レベルMS以下であると、条件(1)〜(3)および(5)〜(7)のうちいずれの条件も充足しないと判定する。条件(1)〜(3)および(5)〜(7)の全てを充足しないと、ステップa5からステップa1へ移行する。
最後に長周期地震動において、継続時間が所定持続時間T未満である場合の制御装置7の動作について説明する。ステップ9では、条件(4)を充足しない、すなわち継続時間が所定持続時間T未満であると判定し、ステップa9からステップa1へ戻る。
以下では、このようにして構成される地震評価装置1が奏する効果について説明する。本実施の形態の地震評価方法によれば、検出される震動に基づいて内外演算値が演算される。この内外演算値が持続警報レベルM以上であることが所定持続時間T以上継続しているか否かを判定する。したがって従来の地震評価方法で検出不可能な、内外演算値が最大値警報レベルLより小さくかつ長時間継続する震動を検出することができる。これによって内外演算値が最大値警報レベルLより小さく長時間継続する震動が発生する場合、この震動を検出し、遮断弁3および警報部4などを作動させることができる。それ故、内外演算値が最大値警報レベルLより小さく、かつ長時間継続する震動の場合、これを確実に検出して、ガスなどの流れを早期に遮断することができるので、従来の地震評価方法より二次的な被害を小さくすることができる。
本実施の形態の地震評価方法によれば、さらに内外演算値が最大値警報レベルL以上であるか否かを判定する。2つのレベルで弁別できるので、従来の地震評価装置1で検出不可能な、内外演算値が最大値警報レベルLより小さくかつ長時間継続する震動、および内外演算値が最大値警報レベルLより大きい震動を検出することができる。これによって内外演算値が最大値警報レベルLより小さくかつ長時間継続する震動が発生する場合および内外演算値が最大値警報レベルLより大きい震動が発生する場合のどちらであっても、これらの震動を検出し、遮断弁3および警報部4などを作動させることができる。
本実施の形態の地震評価装置1によれば、感震器2によって検出される震動に基づいて、演算部34で内外演算値を演算する。制御部30は、演算部34で演算される内外演算値をこれに対応する持続警報レベルMでレベル弁別する。制御部30は、内外演算値が持続警報レベルM以上であることが所定持続時間T以上継続しているか否かを判定する。したがって従来の地震評価装置1で検出不可能な、内外演算値が最大値警報レベルLより小さくかつ長時間継続する震動を検出することができる。これによって内外演算値が最大値警報レベルLより小さく長時間継続する震動が発生する場合、この震動を検出し、遮断弁3および警報部4などを作動させることができる。それ故、内外演算値が最大値警報レベルLより小さく、かつ長時間継続する震動の場合、これを確実に検出することができ、ガスなどの流れを早期に遮断することができるので、従来の地震評価装置1より二次的な被害を小さくすることができる。
本実施の形態の地震評価装置1によれば、制御部30は、さらに内外演算値を、これに対応する最大値警報レベルLでレベル弁別する。制御部30は、さらに前記演算値が最大値警報レベルL以上であるか否かを判定する。2つのレベルで弁別できるので、従来の地震評価装置1で検出不可能な、内外演算値が最大値警報レベルLより小さくかつ長時間継続する震動、および内外演算値が最大値警報レベルLより大きい震動を検出することができる。これによって内外演算値が最大値警報レベルLより小さくかつ長時間継続する震動が発生する場合および内外演算値が最大値警報レベルLより大きい震動が発生する場合のどちらであっても、これらの震動を検出し、遮断弁3および警報部4などを作動させることができる。
本実施の形態の地震評価装置1によれば、表示部9のインジケータ35は、内外加速度、および内外SI値を報知する。これによって利用者は、内外加速度、内外SI値を知ることができ、視認による地震の評価をすることができる。
本実施の形態の地震評価装置1によれば、内外演算値が持続警報レベルM以上で所定持続時間T以上継続する場合、警報信号を出力し遮断弁3を作動させる。これによって地震動が所定継続時間T以上継続する場合、たとえば長周期地震動が長時間継続する場合に生じる、ガス管が損傷することを防止することができる。これによって漏れたガスに引火するなどして、甚大な被害が生じることを抑制できる。
本実施の形態の地震評価装置1によれば、条件(1)および(2)の継続時間の測定する際、時間間隔Δt毎に、少なくとも1回、条件を充足するか否かを判定する。これによって加速度および速度のように振動する波形であっても継続時間を測定することを実現できる。これによって、内外演算値が小さく長時間継続する震動を検出を実現でき、この震動の検出に基づいて遮断弁3および警報部4などを作動させることができる。これによって甚大な被害が発生することを抑制できる。
本実施の形態の地震評価装置1によれば、制御部30は、条件(3)の継続時間を測定する際、条件(3)を充足すると、継続時間の測定を開始する。制御部30は、条件(3)を充足する間、継続時間の測定を継続する。したがって持続時間の測定が容易であり、制御装置7の処理負担を軽減にすることができる。
本実施の形態の地震評価装置1によれば、インジケータ35が最大値を表示する。これによって利用者は、地震発生後、内外加速度、および内外SI値の最大値を容易に視認できる。それ故、地震発生後に、内外加速度および内外SI値の最大値を読取るために、地震評価装置1の記憶部29から情報を取出し、解析する必要がなく利便性が高い。またインジケータ35の棒グラフは、目盛に基づいて色彩が段階的に変化する。これによって利用者は、内外加速度および内外SI値の最大値さらに容易に視認できる。
本実施の形態の地震評価装置1によれば、条件(5)〜(7)を充足すると、最大値警報ランプ37が発光し、条件(4)を充足すると、持続警報ランプ38が発光して、警報する。したがって利用者は、条件(4)を充足して警報しているか、条件(5)〜(7)を充足して警報しているかを判断できる。これによって遮断弁3および警報部4が作動した、原因を容易に判断できる。
本実施の形態の地震評価装置1によれば、最大値警報レベルLおよび持続警報レベルMを設定手段によって設定できる。これによって地震評価装置1が配設される建物の特性、場所およびこれに配設されるガス管の状態などに応じて最大値警報レベルLおよび持続警報レベルMを設定できる。このようにして個々の配設状態に応じて最大値警報レベルLおよび持続警報レベルMの設定を変更できるので、より地震の規模を正確に評価できる。それ故、甚大な被害の発生を抑制できる。
本実施の形態の地震評価装置1によれば、内部電源39が設けられる。地震評価装置1は、内部電源が設けられるので、地震および停電によって商用電源からの電力供給が停止される場合であっても駆動することができる。したがって商用電源からの電源供給が停止した後に発生する地震であっても、地震の評価に基づいて遮断弁3の作動させることおよび演算値の最大値の測定を実現できる。
図14は、震動のSI値を時間毎に分割して示すグラフである。図14では、縦軸がSI値を示し、横軸が時間を示す。本実施の形態では、条件(3)を充足する間、継続時間の測定を継続することによって、継続時間を測定を実現しているけれども、必ずしもこれに限定されない。たとえば内外加速度および内外速度の場合と同様に、時間間隔Δt毎に、条件(3)を少なくとも1回充足しているか否かを判定することによって実現しても良い。具体的には、図14を参照して説明すると、時刻T7を越えて時刻T7+Δt以下の第1区間F1で、条件(3)を充足するので、条件(3)を第1区間F1の間、充足していると判定する。ここで時刻T7は、予め定められる時刻である。これによって条件(3)の継続時間が時間Δtであると判定し、継続時間の測定を継続する。同様に時刻T7+Δtを越えて時刻T7+2Δt以下の第2区間F2、時刻T7+2Δtを越えて時刻T7+3Δt以下の第3区間F3および時刻T7+3Δtを越えて時刻T7+4Δt以下の第4区間F4で、条件(3)を充足するので、条件(3)を第2区間〜第4区間F2,F3,F4の間、充足していると判定する。条件(3)の継続時間が時間4Δtであると判定し、継続時間の測定を継続する。時刻T7+4Δtを越えて時刻T7+5Δt以下の第5区間F5で、条件(3)を充足しないと判定する。これによって制御部30は、継続時間の測定を停止し、持続時間が時間4Δtであると判定する。このようにして条件(3)の継続時間を測定してもよい。
本実施の形態では、連続した区間で条件を充足する場合、継続時間の測定を継続し、少なくとも1つの区間で条件を充足しない場合、継続時間の測定を停止しているけれどもこのような測定方法に限定されない。たとえば所定持続時間Tを時間間隔Δtで複数の区間に分割する。これら複数の区間のうち予め定められる割合以上の区間において、条件を充足する場合、条件が充足する継続時間が所定持続時間T以上であると判定してもよい。これによって、偶発的に複数の区間のうち一部が条件(1)〜(3)を充足しない場合であっても、地震の規模を評価できる。したがって、偶発的な現象についても考慮され、より正確に地震の規模を評価でき、甚大な被害の発生を抑制できる。
本実施の形態では、演算部34に加速度演算部26、速度演算部27およびSI値演算部28を含んでいるけれども、これら全てを含むものに限定されない。演算部34に加速度演算部26、速度演算部27およびSI値演算部28のうち少なくともいずれか1つを含み、加速度、速度およびSI値のうち少なくとも1つを演算できればよい。これによって、演算部34の演算処理による負担を軽減しつつ、かつ震動が小さく長時間継続する地震を検出することができる。
本実施の形態では、演算値を全て演算し、これら演算値に基づいて地震を評価しているけれども、必ずしもこのような構成に限定されない。演算値のうち少なくともいずれか1つを選択して演算させるものであってもよい。具体的には、操作部8の設定手段および制御部30に以下のような機能を追加する。設定手段は、制御部30に電気的に接続され、利用者の操作に基づいて、加速度、速度およびSI値のうちいずれを演算させるかを設定する機能をさらに有する。速度、速度およびSI値のうち設定される値を設定演算値と称する場合がある。制御部30は、設定手段で設定される設定演算値を演算させる。これによって設定演算値以外の演算値が演算されず、制御装置7の演算処理の負担を軽減することができる。
また本実施の形態では、内部および外部感震器2A,2Bの2つの感震器2を含んでいるけれども、必ずしも2つの感震器2を含むことに限定されない。感震器2は、1つであってもよく、また3つ以上であってもよい。また感震器2は、水平2軸のものに限定されず、X方向およびY方向に垂直な方向であるZ方向を含む、3軸の震動を検出可能なものであってもよい。またセンサS1,S2は、静電容量型センサに限定されず、震動を検出し、加速度を演算可能なものであればよい。たとえばピエゾ素子を用いて加速度を演算する装置、または超音波を用いて震動によって変位する物体の加速度を検出する装置であってもよい。
図15は、実施の第2の形態の地震評価装置1Aの電気的な構成を示すブロック図である。図16は、地震評価装置1Aを示す正面図である。図17は、構造物の一自由度減衰系モデル60を示す図である。実施の第2の形態の地震評価装置1Aは、実施の第1の形態の地震評価装置1と構成が類似している。したがって実施の第2の形態の地震評価装置1Aについて、実施の第1の形態の地震評価装置と異なる構成ついてだけ説明し、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。地震評価装置1Aは、筐体5、2つの感震器2、信号線6、制御装置7A、操作部8、表示部9A、遮断弁3および警報部4を含む。
制御装置7Aは、ハイパスフィルタ25、ローパスフィルタ32、A/D変換器31、2つのフィルタ33A、加速度演算部26、SSI値演算部50、記憶部29および制御部30Aが含まれる。2つのフィルタ33Aは、第1フィルタ33aと第4フィルタ33dである。第4フィルタ33dは、A/D変換器31およびSSI値演算部50に電気的に接続される。
SSI値演算部50は、制御部30に電気的に接続される。SSI値演算部50は、各感震器2A,2BのセンサS1,S2からハイパスフィルタ25などを介して伝送される電気信号に基づいて、SSI値を演算する機能を有する。SSI値は、周期β以上周期γ以下の速度応答スペクトルSvのスペクトル強度SSIであり、速度応答スペクトルSvおよび周期τを用いて式(4)で演算される。
SSI値は、速度応答スペクトルSvを周期β以上周期γ以下の範囲で周期τに関して積分し、この積分値をγ−βで除した値である。本実施の形態では、周期βが0.1secで
あり、周期γが10.0secである。ただし周期βおよびγは、前記値に限定されず、周
期βが0<β<γ、周期γが2.5<γを充足すればよい。
具体的な演算方法について説明すると、SSI値演算部50は、加速度演算部26と同様に、振り子21と各電極17,18間の容量C1、C2に基づいて、加速度を演算する。SSI値演算部50は、この加速度に基づいて、周期βから周期γまでΔτsec刻みで
速度応答を検出する。
地表面部65に建てられた構造物の一方向の速度応答の演算方法について、構造物を図17に示す一自由度減衰系モデル60と仮定して演算した場合の演算方法を説明する。ただし速度応答の演算方法は、このような演算方法に限定されない。一自由度減衰系モデル60は、質量Mの平板61がばね定数K/2の2つのばね部材62,63によって支持されている。平板61は、水平方向に変位可能に構成され、ばね部材62,63は、平板61に水平方向の弾発力を付勢可能に配設されている。また平板61には、減衰係数Cのダッシュポット64が設けられている。ダッシュポット64は、いわゆるダンパであり、平板61の水平方向の変位を減衰するように設けられている。
ある時刻tにおける、地震動に伴う地表面部65の水平方向の絶対変位x(以下、「地震入力x」と称する)、平板61の水平方向の絶対変位y(以下、「変位応答y」と称する)、地表面部65に対する平板61の水平方向の相対変位z(以下、「相対変位z」と称する)とは、式(5)の関係を有する。
相対変位zは、変位応答yと地震入力xとの差で表される。
1自由度減衰系モデル60の運動方程式は、式(6)で表される。
式(6)では、質量Mと変位応答yの2回微分した値d2y/dt2との積の項、ダンピング係数Cと地震入力xおよび変位応答yをそれぞれ微分した値dy/dt,dx/dtの差(dy/dt−dx/dt)との積の項、ならびにばね定数Kと地震入力xおよび変位応答yの差(y−x)との積の項を加算した値が0になる。
式(5)を式(6)に代入すると、地震入力の2回微分した値である入力加速度d2x/dt2と相対変位zを2回微分した値である加速度応答d2z/dt2、および1回微分した値である速度応答dz/dtと関係式(7)が得られる。
式(7)をラプラス変換し、入力加速度d2x/dt2のラプラス変換s2Xと速度応答dz/dtのラプラス変換sZとの関係式は、ラプラス演算子s、固有周波数ωおよび減衰定数hを用いて、式(8)で与えられる。
式(8)は、入力加速度d2x/dt2のラプラス変換s2Xに対する速度応答dz/dtのラプラス変換sZは、ラプラス演算子sと−1との積を、固有周波数ωの二乗値、減衰定数hと固有周波数ωとラプラス演算子sとの積、およびラプラス演算子sの二乗値の加算されたもので除した式で表される。また固有周波数ωは、ω=√(K/M)で表され、減衰定数hは、h=C/(ωM)で表される。また固有周波数ωは、固有周期τを用いて、ω=2π/τで表される。このようにして求められた速度応答dz/dtのラプラス変換sZをラプラス逆変換することによって、速度応答dz/dtが演算される。速度応答スペクトルSvは、減衰定数hおよび固有周期τを変数とする速度応答dz/dtの関数であり、スペクトル強度SSIは、固有周期τを積分変数として、速度応答スペクトルSvを積分して演算される。第1の実施の形態の地震評価装置1についても同様の演算方法によって、速度応答スペクトルSvが演算される。
減衰定数hは、操作手段8の設定手段によって0以上1以下に設定可能な値であり、本実施の形態では、0以上1/20以下に設定されている。長周期地震動において、被害が大きいと想定される構造物は、超高層ビルである。従来の技術の地震評価装置では、減衰定数hは、1/5程度であるけれども、超高層ビルは、建設されている地盤の影響が小さく、その減衰定数hが小さくなり、0以上1/20以下になる。減衰定数hが小さいほど、長時間震動が継続し、構造物に与える被害が大きい。それ故、構造物に与える得る地震動を正確に検出するために、減衰定数hを本来の構造物の値に近似することが必要である。減衰定数hが1/5に設定された状態で使用すると、長周期地震動が過小評価され、構造物に与える得る地震動にもかかわらず、検出できない場合が生じる。
スペクトル強度SSIを演算するために、たとえば周期0.1secから0.1sec刻みで10.0secまでの100個の速度応答を演算する。SI値演算部28は、検出開始から現時刻までの間の各周期の速度応答の最大値を検出する。最大値の検出方法は、たとえば制御部30Aに含まれるRAMなど記録媒体に演算される速度応答を記憶させる。記憶される速度応答と順に演算される速度応答とを比較し、より大きい値を記憶させ、より小さい値を消去する。これによって速度応答の最大値を検出する。SI値演算部28は、これらの検出された各周期の速度応答の最大値の総和をγ−β、すなわち9.9で除してSSI値を演算する。本実施の形態では、容量C1、C2は各センサS1,S2の並列容量である。したがってSSI値は、X方向成分およびY方向成分の速度応答スペクトルSvをベクトル合成して得られる速度応答スペクトルSvのSSI値に相当する。第4フィルタ33dは、A/D変換器31からSSI値演算部50に伝送される信号に含まれるノイズを除去する機能を有する。本実施の形態では、加速度演算部26とSSI値演算部50とを含んで演算部34Aと称する場合がある。演算部34Aは、演算手段に相当する。
弁別手段および判定手段である制御部30Aは、記憶部29、表示部9、遮断弁3、警報部4および操作部8に電気的に接続される。制御部30Aは、最大加速度警報レベルLα、最大値SSI値警報レベルLIを記憶する。最大値SSI値警報レベルLIが第1警報レベルに相当し、最大加速度警報レベルLαが第2警報レベルに相当する。本実施の形態では、最大加速度警報レベルLαが200Gal、最大値SSI値警報レベルLIが30kineに設定される。ただしこれらの値に限定されない。本実施の形態において、最大加速度警報レベルLαおよび最大値SSI値警報レベルLIを総称する場合、最大値警報レベルLと称する場合がある。
制御部30Aは、内部感震器2Aおよび外部感震器2BのセンサS1,S2からの電気信号に基づいて演算される加速度、SSI値をレベル弁別する機能を有する。本実施の形態において、以下では内部感震器2AのセンサS1,S2からの電気信号に基づいて演算されるSSI値を、「内部SSI値」と称し、外部感震器2BのセンサS1,S2からの電気信号に基づいて演算されるSSI値を、「外部SSI値」と称する場合がある。制御部30Aは、具体的には、内部および外部加速度を最大加速度警報レベルLαでレベル弁別し、内部および外部SSI値を最大値SSI値警報レベルLIでレベル弁別する機能を有する。
制御部30Aは、以下の2つの条件のうち少なくともいずれか1つを充足か否かを判定する機能を有する。本実施の形態では、(8)内外加速度が最大加速度警報レベルLα以上であること、および(9)内部および外部SSI値(以下、「内外SSI値」と称する場合がある)が最大値SSI値警報レベルLI以上であることの2つの条件のうち少なくともいずれか一方を充足するか否かを判定する。
制御部30Aは、実施の第1の形態の制御部30Aと同様に、記憶部29に内外加速度の波形を記憶させる機能、内外加速度および内外SSI値の最大値を検出し記憶させる機能および表示部9、遮断弁3および警報部4を制御する機能を有する。制御部30Aは、条件(8)または(9)を充足すると、遮断弁3および警報部4に警報信号を出力する。制御部30Aは条件(8)または(9)を充足すると、条件に対応する最大値警報ランプ37を発光させる機能を有する。警報器は、制御部30Aから出力される警報信号を取得し、音によって警報する機能を有する。
報知手段である表示部9Aは、図16に示す、インジケータ35Aと通電ランプ36とを含む。表示部9Aは、利用者が視認可能な筐体5の一表面部に配設される。インジケータ35Aは、制御部30Aから内外加速度および内外SSI値の最大値を取得し、これらを実施の第1の形態のインジケータ35Aと同様に棒グラフによってそれぞれ表示する。
操作部8の設定手段は、制御部30Aに記憶される最大加速度警報レベルLα、最大値SSI値警報レベルLIを設定可能に構成される。本実施の形態では、最大加速度警報レベルLαは、110Gal以上520Gal以下の範囲で設定可能に構成される。最大値SSI値警報レベルLIは、10kine以上100kineの範囲で設定可能に構成される。
図18は、地震評価装置1Aの地震評価方法の手順を示すフローチャートである。図19は、震動の加速度を示すグラフである。図20は、震動のSSI値を示すグラフである。以下では、図19および図20に示す波形の長周期地振動における地震評価装置1Aの制御装置7Aの動作について説明する。地震評価装置1の電源スイッチをオンにすると、地震評価処理が開始され、ステップb1へ移行する。前処理フィルタ工程であるステップb1では、インジケータ35Aの表示を0Galに戻し、記憶部29に記憶される最大値を消去する。インジケータ35Aの表示を0Galに戻し、記憶部29に記憶される最大値を消去すると、ステップb1からステップb2へ移行する。
地震感知判定工程であるステップb2は、内部および外部感震器2A,2BのセンサS1,S2の容量C1,C2が変化しているか、すなわち地震を感知しているか否かを判定する。地震を感知していない場合、ステップb1へ戻る。地震を感知している場合、ステップb2からステップb3へ移行する。地震感知判定工程は、検出工程に相当する。演算工程であるステップb3では、内部および外部感震器2A,2BのセンサS1,S2の容量C1、C2に基づいて、内外加速度および内外SSI値を演算する。内外加速度および内外SSI値を演算すると、ステップb3からステップb4へ移行する。波形記憶工程であるステップb4では、内外加速度の波形を記憶部29に記憶する。記憶すると、ステップb4からステップb5へ移行する。
レベル判定工程であるステップb5では、内外加速度および内外SSI値を最大加速度警報レベルLおよび最大値SSI値警報レベルLIでそれぞれレベル弁別し、条件(8)および(9)のうち少なくともいずれか1つの条件を充足するかを判定する。条件(8)および(9)のうち少なくともいずれかの1つの条件を充足する場合、ステップb5からステップb6へ移行する。レベル判定工程は、弁別工程と判別工程とに相当する。
以下では、条件(8)および(9)のうち少なくともいずれかの1つの条件を充足する場合について、図18〜図19を参照して、具体的に説明する。本実施の形態では、説明を簡略化するために、内部感震器2Aおよび外部感震器2Bの波形が同一であるものとして説明する。
まず条件(8)を充足する場合について、図18を参照して説明する。内外加速度を最大加速度警報レベルLαでレベル弁別する。時刻T8で内外加速度が最大加速度警報レベルLα以上になると、条件(8)を充足すると判定する。次に条件(9)を充足する場合について、図19を参照して説明する。内外SSI値を最大値SSI値警報レベルLIで弁別する。時刻T9で内外SSI値が最大値SSI値警報レベルLI以上になると、条件(9)を充足すると判定する。このようにして、条件(8)および(9)のうち少なくともいずれか1つの条件を充足すると判定すると、ステップb5からステップb6へ移行する。
信号伝送工程であるステップb6では、警報信号を遮断弁3および警報部4に出力する。警報信号が出力されると、ステップb6からステップb7へ移行する。警報遮断工程であるステップb7では、最大値警報ランプ37を発光させる。警報器は、警報信号に基づいて作動し、利用者に警報する。遮断弁3は、警報信号に基づいて作動し、ガスの流れを遮断する。このように最大値警報ランプ37などが作動すると、ステップb8へ移行する。
最大値測定工程であるステップb8では、取得演算値と記憶される内外演算値の最大値とを比較して、最大値を検出する。最大値が検出されると、検出される最大値を記憶部29に上書きして記憶させる。最大値を記憶部29に記憶させると、ステップb8からステップb9へ移行する。最大値報知工程であるステップb9では、最大値をインジケータ35Aによって表示させる。最大値を表示させるとステップb9から、ステップb10へ移行する。リセット判定工程であるステップb10では、リセットスイッチ40が操作されたか否かを判定する。リセットスイッチ40が操作された場合、ステップb10からステップb1へ戻る。リセットスイッチ40が操作されていない場合、ステップb10からステップb8へ移行する。
次に、内外加速度のうち少なくともいずれか一方が最大加速度警報レベルLαに満たず、かつ内外SSI値のうち少なくともいずれか一方が最大値SSI値警報レベルLIに満たない地震動における制御装置7の動作について説明する。このような地震動における制御装置7の動作は、ステップb5において、図18および19に示す波形の地震動における制御装置7の動作と異なり、その他のステップにおいて前記地震動における制御装置7の動作と同様である。したがってステップb5について説明し、その他のステップについては、図18および19に示す波形の地震動における制御装置7の動作を参照し、その説明を省略する。
レベル判定工程であるステップb5では、内外加速度および内外SSI値を最大加速度警報レベルLおよび最大値SSI値警報レベルLIでそれぞれレベル弁別し、条件(8)および(9)のうち少なくともいずれか1つの条件を充足するかを判定する。条件(8)および(9)をすべて充足しない場合、ステップb5からステップb1へ戻る。
具体的には、内外加速度が最大加速度警報レベルLα以下であり、内外SSI値が最大値SSI値警報レベルLI以下であると、条件(8)および(9)の条件も充足しないと判定する。条件(8)および(9)を充足しないと、ステップb5からステップb1へ移行する。
以下では、このようにして構成される地震評価装置1Aが奏する効果について説明する。本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、演算工程では、検出工程で検出される震動に基づいて、周期β以上周期γ以下の速度応答スペクトルSvを演算し、この速度応答スペクトルSvに基づいて、内外SSI値を演算する。レベル判定工程では、内外SSI値を最大値SSI値警報レベルLIでレベル弁別する。周期γは、2.5secを越える値である。したがって従来の地震評価方法で検出不可能な、長周期地震動を検出することができる。これによって長周期地震動の場合、この震動を検出し、遮断弁3および警報部4などを作動させることができる。それ故、長周期地震動の場合、これを確実に検出して、ガスなどの流れを早期に遮断することができるので、従来の地震評価方法より二次的な被害を小さくすることができる。
また本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、超高層ビルに被害を与え得る地震動であるか否かを、より正確に検出することができる。減衰定数hが小さくなればなるほど、建築物の揺れが収まらない。特に長周期地震動の場合、ゆっくりと大きく、かつ長い間震動するので、減衰定数hが小さくなればなるほど、建築物に与える影響は大きくなる。超高層ビルは、減衰定数hが1/5以上である低層ビルなどと異なり、地表面部の影響が少ないので、減衰定数hが1/20以下になる。減衰定数hを本来の超高層ビルの減衰定数により近似することによって、超高層ビルに被害を与え得る長周期地震動であるか否かを、より正確に検出することができる。これによってガスなどの流れを早期に遮断することができるので、従来の地震評価装置より二次的な被害を小さくすることができる。
また本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、レベル弁別工程では、さらに演算工程で演算される内外加速度を最大加速度警報レベルLαで弁別する。レベル弁別工程では、内外SSI値が最大値SSI値警報レベルLI以上であること、および(2)内外加速度が最大加速度警報レベルLα以上であることの2つの条件のうち少なくともいずれか一方の条件を充足するか否かを判定する。したがって内外SSI値が最大値SSI値警報レベルより小さく、内外加速度が最大加速度警報レベルLαより大きい震動を検出することができる。本実施の地震評価方法では、内外加速度および内外SSI値の双方の観点から甚大な被害を及ぼす震動を確実に検出し、遮断弁3および警報部4などを作動させることができる。これによってガスなどの流れを早期に遮断することができるので、従来の地震評価方法より二次的な被害を小さくすることができる。
また本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、SSI値演算部50は、感震器2によって検出される震動に基づいて、周期β以上周期γ以下の速度応答スペクトルSvを演算し、この速度応答スペクトルSvに基づいて、内外SSI値を演算する。制御部30Aは、内外SSI値を最大値SSI値警報レベルLIでレベル弁別する。周期γは、2.5secを越える値である。したがって従来の地震評価装置で検出不可能な、長周期地震動を検出することができる。これによって長周期地震動の場合、この震動を検出し、遮断弁3および警報部4などを作動させることができる。それ故、長周期地震動の場合、これを確実に検出することができ、ガスなどの流れを早期に遮断することができるので、従来の地震評価装置より二次的な被害を小さくすることができる。
また本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、制御部30Aは、さらに加速度演算部26で演算される内外加速度を最大加速度弁別レベルLαでレベル弁別する。制御部30Aは、内外SSI値が最大値SSI値警報レベルLI以上であること、および(2)内外加速度が最大加速度警報レベルLα以上であることの2つの条件のうち少なくともいずれか一方の条件を充足するか否かを判定する。したがって内外SSI値が最大値SSI値警報レベルLIより小さく内外加速度が最大加速度警報レベルLαより大きい震動を検出することができる。地震評価装置では、内外加速度および内外SSI値の双方の観点から甚大な被害を及ぼす震動を確実に検出し、遮断弁および警報器などを作動させることができる。これによってガスなどの流れを早期に遮断することができるので、従来の地震評価方法より二次的な被害を小さくすることができる。
また本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、表示部9は、内外SSI値を報知する。これによって利用者は、内外SSI値を知ることができ、視認による地震の評価をできる。
また本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、周期0.1sec以上周期10.0sec以下の範囲の速度応答スペクトルSvに基づいて、内外SSI値を演算し、地震動を評価している。したがって周期2.5secより大きい範囲の速度応答スペクトルSvを評価対象にすることができ、長周期地震動を、従来の地震評価装置より正確に検出できる。東南海地震および南海地震は、長周期地震動であると予測されている。このような長周期地震動によって固有周期が周期2.5secより大きく設計される高さ60m以上のビルである超高層ビルが共振する。それ故、長周期地震動を評価可能な本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、長周期地震動が発生する場合、遮断弁3および警報部4を作動させ、従来の地震評価装置よりガスなどの流れを早期に遮断することができる。したがって従来の地震評価装置より二次的な被害を小さくすることができる。
また本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、周期γが2.5secより大きい値であるけれども、周期γは、10.0sec以上であることが好ましい。速度応答スペクトルSvにおいて周期10.0sec以上の範囲が大きな長周期地震動が発生する可能性が低く、前記範囲であれば、長周期地震動を正確に評価することが可能である。
本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、インジケータ35Aが最大値を表示する。これによって利用者は、地震発生後、内外加速度、および内外SSI値の最大値を容易に視認できる。それ故、地震発生後に、内外加速度および内外SSI値の最大値を読取るために、地震評価装置1の記憶部29から情報を取出し、解析する必要がなく利便性が高い。またインジケータ35Aの棒グラフは、目盛に基づいて色彩が段階的に変化する。これによって利用者は、内外加速度および内外SSI値の最大値さらに容易に視認できる。
本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、最大加速度警報レベルLαおよび最大値SSI値警報レベルLIを設定手段によって設定できる。これによって地震評価装置1が配設される建物の特性、場所およびこれに配設されるガス管の状態などに応じて最大加速度警報レベルLαおよび最大値SSI値警報レベルLIを設定できる。このようにして個々の配設状態に応じて最大値警報レベルLおよび持続警報レベルMの設定を変更できるので、より地震の規模を正確に評価できる。それ故、甚大な被害の発生を抑制できる。
本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、内部電源39が設けられる。地震評価装置1Aは、内部電源39が設けられるので、地震および停電によって商用電源からの電力供給が停止される場合であっても駆動することができる。したがって商用電源からの電源供給が停止した後に発生する地震であっても、地震の評価に基づいて遮断弁3および警報部4の作動させることおよび演算値の最大値の測定を実現できる。
本実施の形態では、周期βが0.1secに設定され、周期γが10.0secに設定されるけれども、必ずしもこの値に設定されるものに限定されない。たとえば、操作手段8の設定手段によって、周期βおよび周期γを設定可能に構成されてもよい。これによって地震評価装置1が配設される建物の特性、場所およびこれに配設されるガス管の状態などに応じて、評価の対象に含める速度応答スペクトルSvの周期の範囲を設定できる。たとえば、建物の固有周期が周期5.0secである場合、周期5.0sec付近までの範囲の速度応答スペクトルSvを評価できればよい。したがって個々の建物の状態などに応じて周期βおよび周期γの設定を変更できるので、個々の建物の状態などに応じて地震の規模を正確に評価できるとともに、SSI値演算部50の処理負担を軽減することができる。
またSSI値演算部50が演算する速度応答の個数を設定可能、つまりΔτsecを設定可能に構成してもよい。これによってSSI値演算部50の演算能力に合わせてΔτsecを設定すると、演算すべき速度応答の個数を調整することができる。これによってSSI値演算部50の処理負担を調整することができる。それ故、感震器2で検出される震動に基づいて、前記震動を瞬時に評価させて遮断弁3および警報部4を動作させることができ、震動に対して迅速に対処させることができる。
また本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、加速度およびSSI値の双方の観点から地震の規模を評価するので、短周期および長周期地震動のどちらも検出することができる。したがって地震の規模を地震の被害に則してより正確に検出することができる。
図21は、濃尾平野における各周期の速度応答スペクトルSvの大きさを示す図である。図21(a)は、周期5secの速度応答スペクトルSv、図21(b)は、周期7secの速度応答スペクトルSv、図21(c)は、周期10secの速度応答スペクトルSvを示している。図22は、大阪平野における各周期の速度応答スペクトルSvの大きさを示す図である。図22(a)は、周期5secの速度応答スペクトルSv、図22(b)は、周期7secの速度応答スペクトルSv、図22(c)は、周期10secの速度応答スペクトルSvを示している。図23は、関東平野における各周期の速度応答スペクトルSvの大きさを示す図である。図23(a)は、周期5secの速度応答スペクトルSv、図23(b)は、周期7secの速度応答スペクトルSv、図23(c)は、周期10secの速度応答スペクトルSvを示している。図21〜23は、長周期地震動、具体的には2005年9月15日の紀伊半島沖地震において、各地で計測され演算された速度応答スペクトルSvを示す。図21〜23では、速度応答スペクトルSvの大きさが同一の場所を線で結んでいる。各線の速度応答スペクトルSvの大きさは、一番小さい値で2kineであり、2kine毎に図面に示している。
図21(a)〜(c)で示されるように、濃尾平野では、特に周期5secの速度応答スペクトルSvの大きく、最大14kineになる。濃尾平野では、周期5secより大きくなるにつれて、速度応答スペクトルSvが小さくなり、周期10secの速度応答スペクトルSvの最大値は4kineとなる。また図22(a)〜(c)で示されるように、大阪平野で周期5secの速度応答スペクトルSvの最大値が16kineになり、周期7secの速度応答スペクトルSvの最大値が14kineになる。周期10secの速度応答スペクトルSvの最大値は、4kine程度となり、周期7secを超える周期の速度応答スペクトルSvが小さくなる。さらに図23(a)〜(c)で示されるように、関東平野で周期5secの速度応答スペクトルSvの最大値が6kineになり、周期7secの速度応答スペクトルSvの最大値が10kineになる。周期10secの速度応答スペクトルSvの最大値は、千葉県で16kineになり、周期7sec未満の周期の速度応答スペクトルSvが小さくなる。
このように地盤によって、各周期の速度応答スペクトルSvの大きさが異なる。スペクトル強度SSIは、各周期の速度応答スペクトルSvの平均値であり、同じ地盤、同じ地震動であっても、周期βおよびγの設定される値によって、スペクトル強度SSI値が変動する。速度応答スペクトルSvが大きくなる周期が積分範囲[β,γ]に含まれない場合、スペクトル強度SSI値が小さくなり地震動が過小評価される。速度応答スペクトルSvが大きい周期とは、たとえば濃尾平野では周期5sec、大阪平野では周期5sec以上7sec以下、関東平野では周期7sec以上10sec以下である。このように地震動が過小評価される場合、構造物に被害を与え得る地震動であるにもかかわらず、地震評価装置1Aが作動せず、二次的な被害が大きくなるおそれがある。このような事態を避けるために各地盤で最も顕著に現れる周期の速度応答スペクトルSvを考慮して、周期βおよびγを設定し、スペクトル強度SSI値を演算する。これによって各地盤に建設される構造物に与え得る被害をより正確に評価できる。
このような観点から、濃尾平野のような周期5secの速度応答スペクトルSvが大きい、つまり周期5secの揺れが大きい地盤では、スペクトル強度SSI値の積分区間[β,γ]に周期5secが含まれるように設定する。また大阪平野のような周期5sec以上7sec以下の速度応答スペクトルSvが大きい、つまり周期5sec以上7sec以下の揺れが大きい地盤では、スペクトル強度SSI値の積分区間[β,γ]に周期5sec以上7sec以下の範囲が含まれるように設定する。さらに関東平野のような周期7sec以上10sec以下の速度応答スペクトルSvが大きい、つまり周期7sec以上10sec以下の揺れが大きい地盤では、スペクトル強度SSI値の積分区間[β,γ]に周期7sec以上10sec以下の範囲が含まれるように設定する。これによって長周期地震動が発生しても、各平野に建設される構造物、特に超高層ビルにおいて、二次的な被害を小さくできる。また超高層ビルの固有周期は、建設される地盤において、大きい速度応答スペクトルSvが顕著に現れる周期以下、たとえば濃尾平野および大阪平野では5sec以下、関東平野では7sec以下になるように設計されている。この点からも周期βおよびγを各平野毎に前記値に設定することが好ましい。
このように構造物が建設される地盤によって、周期βおよびγの設定値を切換えることによって、必ずしも周期γを10sec以上に設定する必要がない。
このようにして周期βおよびγが設定される地震評価装置1Aが奏する効果について説明する。本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、スペクトル強度SSIの積分範囲[β,γ]に周期5secが含まれ、周期5secの速度応答スペクトルSvが含まれるスペクトル強度SSIを演算できる。地表面部の固有周期が5secの地盤、たとえば濃尾平野では、長周期地震動が発生した際、周期5secおよびその付近の震動が大きく、周期5secおよびその付近の速度応答スペクトルSvが大きくなる。スペクトル強度SSIの積分範囲[β,γ]に周期5secを含めることによって、前記地盤に建てられている構造物に被害を与え得る長周期地震であるか否かを、より正確に検出することができる。
本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、スペクトル強度SSIの積分範囲[β,γ]に周期5sec以上7sec以下の範囲が含まれ、周期5sec以上7sec以下の範囲の速度応答スペクトルSvが含まれるスペクトル強度SSIを演算できる。地表面部の固有周期が5sec以上7sec以下の地盤、たとえば大阪平野では、長周期地震動が発生した際、周期5sec以上7sec以下の震動が大きく、周期5sec以上7sec以下の範囲の速度応答スペクトルSvが大きくなる。スペクトル強度SSIの積分範囲[β,γ]に周期5sec以上7sec以下の範囲を含めることによって、前記地盤に建てられている構造物に被害を与え得る長周期地震であるか否かを、より正確に検出することができる。
本実施の形態の地震評価装置1Aによれば、スペクトル強度SSIの積分範囲[β,γ]に周期7sec未満10以上の範囲が含まれ、周期7sec以上10sec以下の範囲の速度応答スペクトルSvが含まれるスペクトル強度SSIを演算できる。地表面部の固有周期が7sec以上10sec以下の地盤、たとえば関東平野では、長周期地震動が発生した際、周期7sec以上10sec以下の震動が大きく、周期7sec以上10sec以下の範囲の速度応答スペクトルSvが大きくなる。スペクトル強度SSIの積分範囲[β,γ]に周期7sec以上10sec以下を含めることによって、前記地盤に建てられている構造物に被害を与え得る長周期地震であるか否かを、より正確に検出することができる。
図24は、加速度が700Gal以上の地震における速度応答スペクトルSv71,72を示すグラフである。図25は、加速度が200Gal以上300Gal未満の地震における速度応答スペクトルSv73〜75を示すグラフである。図26は、予測される南海地震および東南海地震の模擬波に基づいて、演算される速度応答スペクトルSv76〜78を示すグラフである。図27は、2005年9月15日に発生した紀伊半島沖地震における各地の速度応答スペクトルSv79〜83を示すグラフである。図24〜図27は、縦軸が速度応答スペクトルSv(kine)、横軸が周期(sec)である。表1には、複数の地震に番号を付し、これらの地震の震度と、相関変形角と、加速度(Gal)と、最大速度(kine)、SI値(kine)と、周期βおよびγならびに減衰定数hを変えて演算されたスペクトル強度SSI値(kine)とが示されている。各地震の計測地点を表1の()内に示す。
表1のNo.1および2の地震の速度応答スペクトルSv71,72は、図24に示され、No.3〜5の地震の速度応答スペクトルSv73〜75は、図25に示され、No.6〜8の地震の速度応答スペクトルSv76〜78は、図26に示され、No.9〜13の地震の速度応答スペクトルSv79〜83は、図27に示される。図24に示されるように、No.1の兵庫県南部地震およびNo.2の鳥取県西部地震は、その加速度が700Gal以上であり、各地震の速度応答スペクトルSv71,72は、周期1secおよび周期2secでそれぞれ最大となる。また図25に示されるように、No.3の宮城県北部地震、No.4の茨城県南部地震およびNo.5の芸予地震は、その加速度が200Gal以上300Gal未満であり、各地震の速度応答スペクトルSv73〜75は、周期1sec未満でそれぞれ最大となる。これらの地震は、速度応答スペクトルSvの長周期成分が小さいので、SI値とSSI値に大きな差がない。特にNo.3〜5の地震は、速度応答スペクトルSv73〜75の長周期成分が小さいので、加速度200Gal以上と大きい場合であっても、超高層ビルに与える被害は小さい、またはないに等しい。このような地震でガスなどの流れを遮断する必要がない。つまり、このような地震を検出してガスなどの流れを早期に遮断することは、望ましくない。従来の技術の地震評価装置では、このような地震も検出し、不必要にガスなどの流れを遮断してしまう。
さらに図26に示されるように、No.6および7の南海地震は、その加速度が70Gal以下であり、各地震の速度応答スペクトルSv76,77は、周期5secでそれぞれ最大となり、No.8の東南海地震は、加速度が140Gal以下であり、各地震の速度応答スペクトルSv78は、周期7secでそれぞれ最大となる。これらNo.6〜8の地震は、速度応答スペクトルSv76〜78の長周期成分が大きく、SI値に対してスペクトル強度SSI値が1.5倍以上になる。減衰定数hを1/20または1/50で演算すると、No.1および2の地震と略同じになる。つまりNo.6〜8の地震では、超高層ビルがNo.1および2の地震と同じ程度の被害が生じると考えられる。従来の技術の地震評価装置では、No.6〜8の地震を検出せず、ガスなどの流れの早期の遮断が行われない。これによって二次的な被害が大きくなり、甚大な被害が発生する恐れがある。本実施の形態の地震評価装置1Aでは、スペクトル強度SSI値に基づいて地震を検出し、ガスなどの流れの早期の遮断を行う。したがってNo.6〜8の地震を検出し、ガスなどの流れの早期の遮断を行い、二次的な被害を小さくすることができる。また減衰定数hを1/5、1/20および1/50としてそれぞれ演算されたスペクトル強度SSI値を比較すると、長周期震動では、減衰定数hを1/5で演算した場合、過小評価されていることがわかる。
図27に示されるように、No.9〜13の紀伊半島沖地震は、各地点での速度応答スペクトルSv79〜83が周期4sec以上6sec以下でそれぞれ最大となる。南海および東南海地震は、紀伊半島沖を震源とする地震と予測されていることから、この地震と同様の長周期地震動であると推定される。No.9〜13の地震も、加速度が小さいにもかかわらず、スペクトル強度SSI値が大きい。さらにスペクトル強度SSI値がSI値より大きく、SI値および加速度で地震の規模を評価すると、スペクトル強度SSI値で評価する場合に比べて、小さいと評価される。このように長周期地震動は、従来の技術の地震評価装置において被害が小さい地震動と過小評価され、検出されない。
さらに表1に示される層間変形角は、各階の高さに対する各階に生じる水平方向の層間変位の割合であり、観測される階の高さをL、前記階の水平方向の層間変位をδとすると、層間変形角は、δ/Lで表される。層間変形角は、1/200以下であることが好ましく、1/120以上になると、構造物、特に超高層ビルにおいて損傷しているおそれがある。No.6〜8の地震では、層間変形角が1/72以上1/300以下になると予測されており、超高層ビルなどの構造物に亀裂などが生じているおそれがある。このような状態では、ガス管などの配管に亀裂が生じているおそれがあり、配管に供給されるガスを遮断しなければ、二次的な被害が大きくなる。本実施の地震評価装置1Aでは、No.6〜8の地震を検出し、ガスなどの流れを早期に遮断でき、二次的な被害を小さくできる。
実施の第1の形態では、演算値には、加速度、速度およびSI値を含むけれども、SI値に変えてSSI値を含んでもよい。具体的には、SI値演算部28に替えてSSI値演算部50を設ける。内外SSI値に対応する最大値警報レベルLである最大値SSI値警報レベルLIおよび内外SSI値に対応する持続警報レベルMであるSSI値持続警報レベルMIを制御部30Aに記憶させる。最大値SSI値警報レベルLIは、たとえば30kineに設定され、SSI値持続警報レベルMIは、25kineに設定される。最大値SSI値警報レベルLIおよびSSI値持続警報レベルMIは、設定手段によって可変可能に構成される。制御部30Aは、内外SSI値が最大値SSI値警報レベルLI以上である場合、条件(5)〜(7)を充足する場合と同様の動作をする。また制御部30Aは、内外SSI値がSSI値持続警報レベルMI以上である場合、条件(1)〜(3)を充足する場合と同様の動作をする。内外SSI値に基づいて地震動を評価することによって、従来のSI値では評価対象から除かれている、長周期地震動をより正確に検出できる。これによって従来の地震評価装置では、評価対象から除かれている長周期地震動が発生する場合であっても、甚大な被害が発生することを抑制できる。
長周期震動が長時間継続する、たとえば内外SSI値がSSI値持続警報レベルMI以上の状態が長時間継続すると、地震動に基づく建物が大きく変動し、建物の内部に備えられる配管などが破断する可能性がある。実施の第1の形態に内外SSI値を評価対象に含めることによって、このような長周期地震動が長時間継続しているか否かを評価することができる。またこの評価に基づいて、遮断弁3および警報部4を作動させることによって、長周期地震動が発生する場合であっても、甚大な被害が発生することを抑制できる。
演算値にSSI値が含まれる。SSI値は、予め定められる周期β以上予め定められる周期γ以下の速度応答スペクトルSvのスペクトル強度である。周期γが2.5secより
大きいので、従来のSI値で評価対象から除かれている長周期地震動を検出できる。これによって長周期地震動が長時間継続する場合、前記検出に基づいて遮断弁および警報器を作動させることができ、超高層ビルに配設されるガス管などが損傷することを防止できる。これによって、従来の地震評価装置より二次的な被害を小さくすることができる。
実施の第2の形態では、2つの感震器2を含んでいるけれども、実施の第1の形態と同様に、2つに限定されない。1つであってもよく、3つ以上であっても良い。1つであれば、構成が容易になり、3つ以上であれば、誤動作を確実に検出することができる。
実施の第1および第2の形態において、加速度、速度、SI値およびSSI値の最大値の測定は、レベル弁別工程の後に行われているけれども、必ずしもこのような順序に限定されない。たとえば振動感知工程後に、最大値の測定および報知を開始してもよい。