JP2007032830A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受すきまの影響を受けること無く高いモーメント剛性を確保しつつ、トルクの増加を抑えると共に早期の焼き付きを防止することが可能な転がり軸受を提供する。
【解決手段】相対的に回転可能に対向配置された内輪4及び外輪6と、内外輪の軌道面4s,6s間に転動自在に配列された複数の転動体8a,8bとを備えた転がり軸受2であって、複数の転動体は、異なる直径を有する2種類以上の転動体で構成されており、少なくとも非使用時において、最も大きな直径の転動体のラジアルすきまは負の値に設定され、且つ、最も小さな直径の転動体のラジアルすきまは正の値に設定されている。
【選択図】図1
【解決手段】相対的に回転可能に対向配置された内輪4及び外輪6と、内外輪の軌道面4s,6s間に転動自在に配列された複数の転動体8a,8bとを備えた転がり軸受2であって、複数の転動体は、異なる直径を有する2種類以上の転動体で構成されており、少なくとも非使用時において、最も大きな直径の転動体のラジアルすきまは負の値に設定され、且つ、最も小さな直径の転動体のラジアルすきまは正の値に設定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、各種自動車のスライドドアを所定方向にスライドさせる案内装置に組み込まれた転がり軸受や、各種自動車の車体に固定されたステアリングコラムに挿通されたステアリングシャフトを回転自在に支持する転がり軸受に関する。
従来、スライドドアを備えた各種自動車が知られており、スライドドアをスライドすることにより例えば人の乗降や荷物の搬入出を行うことができる。このようなスライドドアのスライド動作を安定して行うために、各種自動車には案内装置が設けられており、案内装置は、自動車の車体に配設されたガイドレールと、ガイドレールに沿って転動するローラとを備えている。なお、ローラは、転がり軸受を介してシャフトに回転自在に支持されている。この構成によれば、スライドドアを開閉する際、案内装置のローラがガイドレールに沿って転動することにより、スライドドアを安定してスライドさせることができる。
ところで、転がり軸受には、シャフトに対する取付状態や軸受運転時の熱膨張などを考慮して、内外輪と転動体との間に所定量の軸受すきま(ラジアル内部すきま、アキシアル内部すきま、角すきま)が構成されている。この場合、軸受すきまが大き過ぎると、それに応じてスライドドアの開閉時にガタ付きが生じ、スライドドアを安定して且つ滑らかにスライドさせることが困難になってしまう場合がある。
そこで、例えば特許文献1では、内外輪の一方の軌道面に研磨仕上げを施すと共に、内外輪の他方の軌道面に旋削仕上げを施すことにより、当該軌道面に対して転動体を多点接触(例えば、3点接触、4点接触)させる発明が提案されている。
そこで、例えば特許文献1では、内外輪の一方の軌道面に研磨仕上げを施すと共に、内外輪の他方の軌道面に旋削仕上げを施すことにより、当該軌道面に対して転動体を多点接触(例えば、3点接触、4点接触)させる発明が提案されている。
しかし、内外輪と転動体とを多点接触させる構成では、比較的高いモーメント剛性を確保することはできるが、接触点の数が増えるに従って回転トルクが大きくなってしまうという不利な点がある。また、回転トルクが大きくなることにより、早期に焼き付きが生じる場合もある。
また、各種自動車には、走行車輪(例えば、前輪)を操舵するステアリング装置が設けられており、当該ステアリング装置は、例えば図6(a)に示すように、ステアリングホイール(ハンドル)32の回転運動をステアリングギヤ(図示しない)に伝達するステアリングシャフト34を備えている。なお、ステアリングギヤは、タイロッド(図示しない)に連結されており、当該タイロッドの両側には、ナックルアーム(図示しない)を介して走行車輪(図示しない)が回転/旋回可能に連結されている。この場合、ステアリングホイール32を回転させると、その回転運動がステアリングシャフト34からステアリングギヤに伝達され、タイロッドを往復直線運動させることで、ナックルアームを介して走行車輪を所望の走行角度に操舵することができる。
このようなステアリング装置において、ステアリングシャフト34は、車体に固定された円管状のステアリングコラム内(図示しない)に挿通されており、ステアリングコラムとステアリングシャフト34との間に介在された複数の転がり軸受(例えば、深溝玉軸受36、ニードル軸受38)により回転自在に支持されている。なお、各々の転がり軸受36,38は、その内輪36a,38aがステアリングシャフト34に外嵌され、その外輪36b,38bがステアリングコラムに内嵌されている。
ところで、従来のステアリング装置では、例えば自動車の走行時において、ステアリングシャフト34から振動や騒音が発生する場合がある。これは各転がり軸受36,38のガタ(振動)に起因しており、かかる不具合を防止する方法としては、例えば軸受内部すきま(ラジアルすきま)を無くした負のすきま状態に設定すれば良い。しかしながら、軸受内部すきまの無い(負のすきま)状態で各転がり軸受36,38を回転させると、トルク(例えば、起動トルク、回転トルク)の増大や、潤滑性能の低下を招く場合がある。この場合、トルクが増大したり、潤滑性能が低下した状態で軸受を回転させ続けると、軸受が早期に焼き付いてしまう虞がある。
特に、従来のステアリング装置には、鋼管製のステアリングコラムが用いられており、その内径精度が一定に構成(例えば、内径精度が高く設定)されていない場合がある。この場合、各転がり軸受36,38をステアリングコラムとステアリングシャフト34との間に介在(圧入)した状態において、軸受内部すきま(ラジアルすきま)のバラツキが大きくなり、高いモーメント剛性を確保することが困難になってしまう。軸受内部すきまを負の状態で各転がり軸受36,38を回転させるためには、相当量の負すきま設定が必要となるが、かかる設定では、トルクの増大を招く虞がある。
特開2001−317556号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、軸受すきまの影響を受けること無く高いモーメント剛性を確保しつつ、トルクの増加を抑えると共に早期の焼き付きを防止することが可能な転がり軸受を提供することにある。
かかる目的を達成するために、本発明は、相対的に回転可能に対向配置された内輪及び外輪と、内外輪の軌道面間に転動自在に配列された複数の転動体とを備えた転がり軸受であって、複数の転動体は、異なる直径を有する2種類以上の転動体で構成されており、少なくとも非使用時において、最も大きな直径の転動体のラジアルすきまは負の値に設定され、且つ、最も小さな直径の転動体のラジアルすきまは正の値に設定されている。
このような発明において、転がり軸受は、各種自動車のスライドドアを所定方向にスライドさせる案内装置に組み込まれており、案内装置は、所定方向に延出したガイドレールと、ガイドレールに沿ってスライド自在で且つスライドドアに接続されたスライド機構とを備えていると共に、スライド機構には、ガイドレールに沿って転動自在なローラと、ローラを支持するシャフトとが設けられており、転がり軸受は、ローラとシャフトとの間に介挿されている。
また、本発明において、転がり軸受は、各種自動車の車体に固定されたステアリングコラムに挿通されたステアリングシャフトを回転自在に支持しており、当該転がり軸受の内輪は、ステアリングシャフトに外嵌され、その外輪は、ステアリングコラムに内嵌されている。
この場合、最も大きな直径の転動体と最も小さな直径の転動体とは、線膨張係数及び縦弾性係数の少なくともいずれか一方が互いに異なっている。また、最も大きな直径の転動体は、セラミックスで形成されており、一方、最も小さな直径の転動体は、鋼で形成されている。
本発明によれば、内外輪の軌道面間に異なる直径を有する2種類以上の転動体を配列し、少なくとも非使用時において、最も大きな直径の転動体のラジアルすきまを負の値に設定し、且つ最も小さな直径の転動体のラジアルすきまを正の値に設定したことにより、軸受すきまの影響を受けること無く高いモーメント剛性を確保しつつ、トルクの増加を抑えると共に早期の焼き付きを防止することが可能な転がり軸受を実現することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る転がり軸受について添付図面を参照して説明する。
本実施の形態では、各種自動車のスライドドアを所定方向にスライドさせる案内装置に組み込まれた転がり軸受を想定する。
図1(c)には、案内装置のスライド機構Smに転がり軸受2が組み込まれた構成例が示されており、転がり軸受2は、相対的に回転可能に対向配置された内輪4及び外輪6と、内外輪4,6の軌道面4s,6s間に転動自在に配列された複数の転動体(例えば、玉、ころ)8とを備えている。また、転がり軸受2には、内外輪4,6間に密封板10が設けられており、転がり軸受2に封入された潤滑剤(例えば、グリース、油)の漏洩防止と共に、異物(例えば、水、塵埃)の浸入防止が図られている。なお、密封板10としては、シールやシールドを適宜選択的に使用することができる。
本実施の形態では、各種自動車のスライドドアを所定方向にスライドさせる案内装置に組み込まれた転がり軸受を想定する。
図1(c)には、案内装置のスライド機構Smに転がり軸受2が組み込まれた構成例が示されており、転がり軸受2は、相対的に回転可能に対向配置された内輪4及び外輪6と、内外輪4,6の軌道面4s,6s間に転動自在に配列された複数の転動体(例えば、玉、ころ)8とを備えている。また、転がり軸受2には、内外輪4,6間に密封板10が設けられており、転がり軸受2に封入された潤滑剤(例えば、グリース、油)の漏洩防止と共に、異物(例えば、水、塵埃)の浸入防止が図られている。なお、密封板10としては、シールやシールドを適宜選択的に使用することができる。
このような構成において、案内装置のスライド機構Smには、ガイドレール22(図5(b))に沿って転動自在なローラ12と、ローラ12を支持するシャフト14とが設けられており、転がり軸受2は、ローラ12とシャフト14との間に介挿されている。具体的に説明すると、ローラ12は外輪6の外周に装着されており、内輪4の内周にはシャフト14が装着されている。なお、シャフト14には、比較的小径の支持部14aと基端部14bとが設けられており、内輪4は支持部14aに外装されている。これにより、ローラ12はシャフト14に対して転がり軸受2を介して相対回転可能に支持され、ローラ12をガイドレールに沿って転動させることができる。
このような転がり軸受2において、図1(a),(b)に示すように、複数の転動体は、異なる直径を有する2種類以上の転動体(例えば、8a,8b)で構成されており、少なくとも非使用時において、最も大きな直径の転動体8aのラジアルすきまは負の値に設定され、且つ、最も小さな直径の転動体8bのラジアルすきまは正の値に設定されている。この場合、ラジアルすきまの正負の設定値は、転がり軸受2の種類や大きさ、転動体8a,8bの形状や大きさなどに応じて最適な値に設定されるため、ここでは特に数値限定はしない。
なお、転動体の直径寸法差は、生産上のばらつきが1μm以下であることから、本実施の形態では、転動体の直径寸法差が1μm以下であるものは同一直径とみなす。
また、本実施の形態では一例として、互いに直径が異なる2種類の転動体(大径転動体8a、小径転動体8b)を想定し、大径転動体8aの配置状態を明確化するために、該当する大径転動体8aにはハッチングを施している。
また、本実施の形態では一例として、互いに直径が異なる2種類の転動体(大径転動体8a、小径転動体8b)を想定し、大径転動体8aの配置状態を明確化するために、該当する大径転動体8aにはハッチングを施している。
この場合、スライドドアの案内装置に組み込まれる前の転がり軸受単体では、内外輪4,6の軌道面4s,6s間に2種類の転動体8a,8bを配列した状態において、内外輪4,6に対して接触面圧を有する大径転動体8aと接触面圧の無い小径転動体8bとが混在することで、転がり軸受2は周方向に沿って部分的に予圧が付加された状態となる。
転がり軸受2の動作中は、内外輪4,6にラジアル荷重が付加されて転動体8a,8bを介して相対的に回転すると、内外輪4,6に対して非負荷図では接触面圧の無い小径転動体8bの位置が周方向に変化し、負荷図では接触面を有する状態となり、内外輪4,6に対して非負荷図でも接触面圧を有する大径転動体8aは、内外輪4,6の軌道面4s,6sに常時接した状態を維持する。即ち、転がり軸受2をスライドドアの案内装置に組み込んだ状態において、大径転動体8aにより周方向に沿って部分的に予圧が付加された状態となるため、ラジアル荷重、アキシアル荷重及びモーメント荷重に対して高い剛性が確保される。
また、大径転動体8aと小径転動体8bとは、内外輪4,6の軌道面4s,6s間に所定の順序で等間隔に配列することが好ましい。例えば図1(a)では、4個の大径転動体8aと4個の小径転動体8bとを1個ずつ交互に等間隔に配列している。このような配列によれば、転がり軸受2は周方向に沿って等間隔に予圧付加状態となる。
このような構成によれば、例えば図1(b)に示すように、転がり軸受2の中心Tからオフセットされた位置にラジアル荷重Frが加わってもモーメント剛性の変化を小さくすることができる。この結果、転がり軸受2を安定して且つ滑らかに動作させることが可能となり、トルク制御を安定して行うことが可能となる。
更に、転がり軸受2は周方向に沿って等間隔に予圧付加状態とすることにより、内輪4と外輪6とが相対的に傾斜するのを抑制することができる。この結果、内外輪4,6の軌道面4s,6sと転動体8との間に潤滑剤を引き込み易くなり、潤滑不良による異音や早期の焼き付きも生じない。特に、耐熱性の潤滑剤を用いた転がり軸受2では、低温化での潤滑剤の流動性が低くなるが、この場合でも異音や焼き付きが生じることはない。
また、本実施の形態の転がり軸受2において、大径転動体8aと小径転動体8bとは、線膨張係数及び縦弾性係数の少なくともいずれか一方が互いに異なるように形成することが好ましい。この場合、大径転動体8aは、例えば金属元素と非金属元素がイオン結合又は共有結合したセラミックスで形成し、一方、小径転動体8bは、例えば2パーセント以下の炭素を含有する鋼で形成すれば良い。なお、線膨張係数とは、材料が1℃上昇する毎に膨張する長さ方向の割合を示し、一方、縦弾性係数とは、例えば応力値が材料により定まる一定値を超えない範囲で、それにより生じる歪との間の比例関係(フックの法則)における比例定数(ヤング率)を示す。
この場合、例えば転がり軸受2を高温下で運転する際、2種類の転動体8a,8bの熱膨張量の違いにより、転動体相互の直径差が緩和されるため、転動体回転時の軸受振動を抑制することができると共に、全ての転動体8a,8bが荷重負荷を分担するようになるため、軸受内部の接触面圧が低減され転がり軸受2の転がり疲れ寿命を延命化することができる。
ここで、ラジアルすきまが負の値に設定された大径転動体8aと正の値に設定された小径転動体8bとを備えた転がり軸受2の軸受温度の変化に対するモーメント剛性(図2)の計算結果について説明する。
まず、呼び番号(開放形)6203の転がり軸受2(実施例1)を適用する。実施例1の転がり軸受2は、内径が17mm、外径が40mm、幅が12mmであり、玉径は6.747mm、玉数は8個に設定した。なお、ラジアル荷重Fr(図1(b))を1000N、モーメント荷重を1Nmとした。
また、転動体8a,8bは、その直径及び線膨張係数が互いに異なったものを用意し、これら転動体8a,8bを図1(a)に示すように等配させた。即ち、大径転動体8aと小径転動体8bとを1個ずつ交互に配列させた。この場合、大径転動体8aの直径を6.747+0.006mm(6μmの負すきま)、線膨張係数を2.9×10−6に設定し、小径転動体8bの直径を6.747−0.002mm(2μmの正すきま)、線膨張係数を12.5×10−6に設定した。
このような設定条件の下に、転がり軸受2の軸受温度の変化に対するモーメント剛性の変化について、上記の設定条件に従った本発明の転がり軸受2(実施例1)と、従来の軸受(軸受内部すきま22μmの従来品)とを比較した。この場合、図2に示すように、発明品(実施例1)は常温時から高いモーメント剛性を有しており、そのモーメント剛性の変化が従来品に比べて小さくなっていることが分る。これにより、実施例1の軸受は、例えば取付誤差や取付制限などから生じるオフセット荷重Fr(図1(b))に対してモーメント剛性比が変化し難いという意味で、従来品よりも高いロバスト性(例えば、安定性、最適性)を有していることが分る。
次に、呼び番号(開放形)6203の転がり軸受2(実施例2)を適用する。実施例2の転がり軸受2も、内径が17mm、外径が40mm、幅が12mmであり、玉径は6.747mm、玉数は8個に設定した。なお、ラジアル荷重Fr(図1(b))を1000N、モーメント荷重を1Nmとした。
また、転動体8a,8bは、その直径及び線膨張係数が互いに異なったものを用意し、これら転動体8a,8bを図1(a)に示すように等配させた。即ち、大径転動体8aと小径転動体8bとを1個ずつ交互に配列させた。この場合、大径転動体8aの直径を6.747+0.004mm(4μmの負すきま)、線膨張係数を2.9×10−6に設定し、小径転動体8bの直径を6.747−0.010mm(10μmの正すきま)、線膨張係数を12.5×10−6に設定した。
このような設定条件の下に、転がり軸受2の軸受すきまの変化に対する軸受内部発熱の変化について、上記の設定条件に従った本発明の転がり軸受2(実施例2)と、従来の軸受(軸受内部すきま22μmの従来品)とを比較した。この場合、図3に示すように、軸受トルクに比例する軸受内部発熱は、軸受すきまが小さくなった場合(負すきまで予圧が大きくなった場合)、その温度上昇が従来品に比べて実施例2の軸受の方が小さくなっていることが分る。これにより、実施例2の軸受は、その軸受回転時における例えばガタを抑えることができると共に、低トルク化を実現することが可能となる。
なお、上述した実施例1は、負すきまの絶対値(6μm)が正すきまの絶対値(2μm)より大きい場合であり、一方、上述した実施例2は、正すきまの絶対値(10μm)が負すきまの絶対値(4μm)より大きい場合である。この場合、モーメント剛性を大きくするためには、実施例1のように負すきまの絶対値(6μm)を正すきまの絶対値(2μm)より大きくすれば良いが、各種自動車のスライドドア用の転がり軸受には、むしろ低トルクで且つガタを抑えることが要求されるため、実施例2のように正すきまの絶対値(10μm)を負すきまの絶対値(4μm)より大きくすることが好ましい。
ここで、本実施の形態の転がり軸受2を自動車16のスライドドア18の案内装置(例えば図5(a),(b))に組み込んだ構成例について考察する。
図5(a),(b)の構成例において、案内装置は、自動車16のサイドボディ20の内側に配設されており、所定方向に延出(例えば、サイドボディ20のリア側からフロント側に亘って延出)したガイドレール22と、ガイドレール22に沿ってスライド自在で且つスライドドアに接続されたスライド機構Sm(図1(c))とを備えている。なお、サイドボディ20の下部には、後輪24用のフェンダ26が設けられている。
図5(a),(b)の構成例において、案内装置は、自動車16のサイドボディ20の内側に配設されており、所定方向に延出(例えば、サイドボディ20のリア側からフロント側に亘って延出)したガイドレール22と、ガイドレール22に沿ってスライド自在で且つスライドドアに接続されたスライド機構Sm(図1(c))とを備えている。なお、サイドボディ20の下部には、後輪24用のフェンダ26が設けられている。
また、スライド機構Smのシャフト14は、その基端部14bがブラケット(取付金具)28に固定されており、ブラケット28は、開閉機構30を介してスライドドア18に接続されている。開閉機構30は、スライドドア18の開閉時に、スライドドア18を閉じ位置(サイドボディ20と同一平面位置)と開き位置(サイドボディ20よりも外側位置:図5(a))との間で平行移動させる。
まず、スライドドア18を開ける際、開閉機構30によりスライドドア18は閉じ位置から開き位置に平行移動される。このときスライドドア18は、サイドボディ20を回避した位置に位置付けられ、その状態でスライドドア18をリア側に向けてサイドボディ20と接触(干渉)させること無くスライドさせることができる。逆に、スライドドア18を閉める際、スライドドア18をリア側からフロント側に移動させたとき、開閉機構30が働いてスライドドア18を開き位置から閉じ位置に平行移動させる。
このようなスライドドア18の開閉動作中(ガイドレール22に沿ってスライド機構Smをスライドさせている間)、ガイドレール22からスライド機構Smに働く作用力により、転がり軸受2には、例えば図1(b)に示すようなオフセットされた位置にラジアル荷重Frが加わる場合がある。この場合、転がり軸受2には更にモーメント荷重も作用することになる。
しかしながら、本実施の形態によれば、内外輪4,6の軌道面4s,6s間に直径の異なる2種類の転動体8a,8bを配列し、転がり軸受2の周方向に沿って部分的に予圧を付加した状態にしたことにより、モーメント荷重に対して高いモーメント剛性を確保することができる。この場合、転がり軸受2をガタ付くこと無く安定して且つ滑らかに動作させることができるため、ガイドレール22に沿ってスライド機構Smを安定して且つ滑らかにスライドさせることができる。これにより、スライドドア18をリア側及びフロント側に向けて安定して且つ滑らかに(ガタ付くこと無く)スライドさせることができる。
また、本実施の形態の転がり軸受2は、3点及び4点接触軸受に比べて軸受トルクを小さくすることができるため、運転中の発熱量を軽減することができる。この結果、従来品に比べて、潤滑剤の劣化(潤滑性の低下)を生じさせることが無いため、潤滑不良による異音や早期の焼き付きが生じることも無い。これにより、スライド機構Smの回転安定性及び円滑性を長期に亘って確保することが可能となる。更にまた、例えば電動式スライドドアの場合には、転がり軸受2の軸受トルクを小さくすることにより、スライド機構Smの駆動に要する消費馬力の増大を抑えることも可能となる。
更に、常時炎天下にさらされて高温環境下での使用状態となるような案内装置(スライド機構Sm)の転がり軸受2では、その大径転動体8aの線膨張係数を小径転動体8bの線膨張係数よりも小さく設定することが好ましい。高温下で使用される転がり軸受2は、通常、運転時の負のすきまによる軸受焼き付けを防止するため、常温時の残留すきまが正の値に設定されているが、これが軸受ガタの要因となる。しかしながら、本実施の形態の転がり軸受2では、大径転動体8aにより転がり軸受2の周方向に沿って部分的に予圧付加状態となるため、高温運転時には熱膨張量の違いにより転動体8a,8bの径相互差が緩和される。この場合、転動体回転時の軸受振動を抑制することができると共に、全ての転動体8a,8bが荷重負荷を分担するようになるため、軸受内部の接触面圧が低減され転がり軸受2の転がり疲れ寿命を延命化することができる。この結果、長期に亘って案内装置(スライド機構Sm)を安定して且つ滑らかに動作させることができる。
また、低温環境下で使用される案内装置(スライド機構Sm)の転がり軸受2では、その大径転動体8aの線膨張係数を小径転動体8bの線膨張係数よりも大きく設定することにより、上記(高温環境下)と同様の効果を得ることが可能である。
なお、上述した実施の形態では、互いに直径が異なる2種類の転動体8a,8bを想定したが、これに限定されることは無く、互いに直径が異なる3種類又はそれ以上の転動体を備えた転がり軸受2に対して本発明を適用することができることは言うまでも無い。更に、単列及び複列の軸受にも本発明を適用することができることは言うまでも無い。
なお、上述した実施の形態では、互いに直径が異なる2種類の転動体8a,8bを想定したが、これに限定されることは無く、互いに直径が異なる3種類又はそれ以上の転動体を備えた転がり軸受2に対して本発明を適用することができることは言うまでも無い。更に、単列及び複列の軸受にも本発明を適用することができることは言うまでも無い。
また、上述した実施の形態では、大径転動体8aと小径転動体8bとを1個ずつ交互に配列した転がり軸受2を例示して説明したが、これに限定されることは無く、例えば図4(a)に示すように2個の大径転動体8aの間に1個の小径転動体8bを交互に介在させた配列構成や、例えば図4(b)に示すように1個の大径転動体8aの間に2個の小径転動体8bを交互に介在させた配列構成など、転がり軸受2の使用目的や使用環境に応じて任意の配列構成を適用することができる。なお、かかる配列構成でも上述した実施の形態と同様の効果を得ることができることは言うまでも無い。
なお、上述した実施の形態では、各種自動車のスライドドアをスライドさせる案内装置に転がり軸受2を組み込んだ場合を想定したが、これに限定されることは無く、各種自動車の走行車輪(例えば、前輪)を操舵するステアリング装置(図6(a))に上述した実施の形態の技術を適用しても同様の作用効果を得ることができる。なお、ステアリング装置の構成は、上記図6(a)と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
ステアリング装置に適用した転がり軸受は、車体に固定されたステアリングコラムに挿通されたステアリングシャフト34(図6(a))を回転自在に支持している。具体的に説明すると、ステアリング装置において、ステアリングコラムとステアリングシャフト34との間には、複数の転がり軸受(例えば、深溝玉軸受36、ニードル軸受38)が介在されており、各転がり軸受36,38は、その内輪36a,38aがステアリングシャフト34に外嵌され、その外輪36b,38bがステアリングコラムに内嵌されている。
また、図6(b)に示すように、各転がり軸受36,38は、相対的に回転可能に対向配置された内輪4及び外輪6と、内外輪4,6の軌道面4s,6s間に転動自在に配列された複数の転動体(例えば、玉、ころ)8とを備えている。なお、深溝玉軸受36に組み込まれた転動体8は「玉」であり、ニードル軸受38に組み込まれた転動体8は「ころ」である。
この場合、深溝玉軸受36及びニードル軸受38のいずれにおいても、転動体8は、異なる直径を有する2種類以上の転動体(例えば、8a,8b)で構成されており、少なくとも非使用時において、最も大きな直径の転動体8aのラジアルすきまは負の値に設定され、且つ、最も小さな直径の転動体8bのラジアルすきまは正の値に設定されている。なお、各転動体8a,8bの形状や大きさに関する数値限定や配列構成については、上述した実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。また、図面上で各転動体8a,8bは、保持器40で回転自在に保持されているが、当該保持器40は必ずしも必要な構成では無い。
このような構成によれば、転がり軸受36,38をステアリング装置に組み込んだ状態(ステアリングコラムとステアリングシャフト34との間に介在(圧入)した状態)において、大径転動体8aにより周方向に沿って部分的に予圧が付加された状態となるため、ラジアル荷重、アキシアル荷重及びモーメント荷重に対して高い剛性が確保することができる。また、転がり軸受36,38をステアリング装置に組み込んだ状態において、軸受内部すきま(ラジアルすきま)のバラツキを小さくすることができる。
これにより、例えば自動車の走行時における各転がり軸受36,38のガタ(振動)を防止することができるため、ステアリングシャフト34から振動や騒音が発生することは無い。更に、トルク(例えば、起動トルク、回転トルク)の増大や、潤滑性能の低下を招くことも無いため、軸受の早期の焼き付きを防止することができる。なお、その他の効果は、上述した実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
2 転がり軸受
4 内輪
4s 内輪の軌道面
6 外輪
6s 外輪の軌道面
8 転動体
8a 大径転動体
8b 小径転動体
10 密封板
12 ローラ
14 シャフト
14a シャフトの支持部
14b シャフトの基端部
Sm 案内装置のスライド機構
32 ステアリングホイール(ハンドル)
34 ステアリングシャフト
36,38 転がり軸受
4 内輪
4s 内輪の軌道面
6 外輪
6s 外輪の軌道面
8 転動体
8a 大径転動体
8b 小径転動体
10 密封板
12 ローラ
14 シャフト
14a シャフトの支持部
14b シャフトの基端部
Sm 案内装置のスライド機構
32 ステアリングホイール(ハンドル)
34 ステアリングシャフト
36,38 転がり軸受
Claims (5)
- 相対的に回転可能に対向配置された内輪及び外輪と、内外輪の軌道面間に転動自在に配列された複数の転動体とを備えた転がり軸受であって、
複数の転動体は、異なる直径を有する2種類以上の転動体で構成されており、少なくとも非使用時において、最も大きな直径の転動体のラジアルすきまは負の値に設定され、且つ、最も小さな直径の転動体のラジアルすきまは正の値に設定されていることを特徴とする転がり軸受。 - 転がり軸受は、各種自動車のスライドドアを所定方向にスライドさせる案内装置に組み込まれており、
案内装置は、所定方向に延出したガイドレールと、ガイドレールに沿ってスライド自在で且つスライドドアに接続されたスライド機構とを備えていると共に、
スライド機構には、ガイドレールに沿って転動自在なローラと、ローラを支持するシャフトとが設けられており、転がり軸受は、ローラとシャフトとの間に介挿されていることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。 - 転がり軸受は、各種自動車の車体に固定されたステアリングコラムに挿通されたステアリングシャフトを回転自在に支持しており、
当該転がり軸受の内輪は、ステアリングシャフトに外嵌され、その外輪は、ステアリングコラムに内嵌されていることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。 - 最も大きな直径の転動体と最も小さな直径の転動体とは、線膨張係数及び縦弾性係数の少なくともいずれか一方が互いに異なっていることを特徴とする請求項2又は3に記載の転がり軸受。
- 最も大きな直径の転動体は、セラミックスで形成されており、一方、最も小さな直径の転動体は、鋼で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005352200A JP2007032830A (ja) | 2005-06-20 | 2005-12-06 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (2)
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JP2005178741 | 2005-06-20 | ||
JP2005352200A JP2007032830A (ja) | 2005-06-20 | 2005-12-06 | 転がり軸受 |
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007032830A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2005
- 2005-12-06 JP JP2005352200A patent/JP2007032830A/ja active Pending
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