JP2007030793A - アーム状応力伝達部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】
意匠性を損なわずに軽量かつ高い耐衝撃特性を発揮することができるアーム状応力伝達部材を提供する。
【解決手段】
繊維強化プラスチック部材の周囲を炭素繊維からなる織物で一部がオーバーラップするように覆ったアーム状応力伝達部材であって、前記繊維強化プラスチックは実質的に曲率半径が3mm以上である曲面部または該曲面部および平面部で構成され、かつ、オーバーラップしている織物の平均オーバーラップ長が3mm以上であるアーム状応力伝達部材とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐衝撃性に優れ、軽量な構造を採ることが出来、表面の意匠性を生かした繊維強化プラスチックからなるアーム状応力伝達部材に関するものである。
従来から、自転車用クランクや往復動式内燃機関のクランク、コンロッド等、一方の端部に動力源、もう一方の端部に動力によって駆動される回転軸等の動力伝達部材が結合される部材においては、棒状、バナナ状、アーチ状、S字状等、ある方向に長さを有する形状のアーム状応力伝達部材が使用されている。また、スパナ等の工具、スイッチレバー、ロボットアーム等のように、一方の端部が力を入力する点、もう一方の端部が力が作用する点となる部材や、一方の端部が力を入力する点、もう一方の端部が拘束される点もしくは支持される点となる部材にも、上記のような形状のアーム状応力伝達部材が使用されている。
ところで、スポーツ用自転車のクランク等のアーム状応力伝達部材においては、従来、アルミ製のものが多用されていたが、近年、軽量化と意匠性が要求されており、たとえば実質的な強度を有する繊維強化プラスチック部材の外表面に炭素繊維からなる織物を貼り付け、その織目を意匠として用いたものが、アルミ製部材の置き換えとして様々なところで使われるようになってきている。このようなアーム状応力伝達部材においては、軽量化や意匠性に加え、回転や往復等の速い運動にさらされ使用者が事故の危険にさらされるために、高い安全性が求められるものがある。たとえば、動力源の出力の急激な変動や衝突などの衝撃荷重を受けたときに破壊し強化繊維の破片が飛び散るようなことは避けねばならない。しかし、現実には、繊維強化プラスチックからなる部材の表面に炭素繊維からなる織物を貼り付けたアーム状応力伝達部材では、衝撃荷重がかかると外形形状の尖部や、織物の継ぎ目、織物の目に沿って亀裂が入りやすいという問題がある。
そこで繊維強化プラスチック部材の耐衝撃特性を向上させる方法が様々考えられている。簡単な例では肉厚を増やし衝撃応力を緩和させるといった方法がある。しかしながら、この方法は重量が増えてしまい、繊維強化プラスチックの軽量性という利点が生かされない。また、特許文献1や特許文献2には、熱可塑性樹脂の不織布と強化繊維の層とを積層して繊維強化プラスチック部材を構成することが開示されている。この方法では靱性の高い熱可塑性樹脂不織布を層間に持ってくることにより積層体の層間の剥離に対する耐衝撃特性を上げることができる。しかしながら、積層体表面の亀裂の補強を行うためには部材表面に不織布をもってくる必要があり、部材表面に不織布をもってくることは繊維強化プラスチック部材としての意匠性を損なう。さらに、不織布は剛性や静的強度に対してあまり寄与しないものの重量はあるので、軽量な応力伝達部材をつくるという目的に関しては不利となる。また、特許文献3には、プラスチック中に無機粒子を混ぜることによって耐衝撃特性を向上させるという手法を提案している。しかしながら、この手法では、無機粒子がプラスチックの表面に分散することになるので、外から繊維や織目などが見えにくくなり意匠性という点で難がある。
以上のように、繊維強化プラスチックからなるアーム状応力伝達部材において、耐衝撃性と軽量性、意匠性を両立させることは難しかった。
特開2002-096413号公報 特開2002-113802号公報 特開平08-034864号公報
本発明は、上記の問題を解決し、意匠性を損なわずに軽量かつ高い耐衝撃特性を発揮することができるアーム状応力伝達部材を提供することを目的とする。
本発明者は、従来の繊維強化プラスチックからなるアーム状応力伝達部材の衝撃荷重による亀裂を調査したところ、外形形状の曲率半径が小さく繊維が大きく曲げられているところや、織物を複雑形状の部材表面に沿わせるために賦形時に織物に切れ込みを入れたところや織物の端部と端部とを突き合わせるような形で継なぎあわせたところから亀裂が発生していることが判った。これに伴い、外形形状をなめらかな形状とし、賦形性の良い基材を用い、切れ込みや継ぎ目を減らし、織物の端部と端部が重なり合うような継ぎ方とすることが出来れば亀裂発生が押さえられるだろうとの考えのもと、なめらかな形状にフィラメント数が小さい基材を用いて、重なり合う継ぎ目になるよう成形してみたところ、亀裂発生を押さえられる方法を提供できることを見いだした。
すなわち、本発明の繊維強化プラスチックからなるアーム状応力伝達部材は、下記(1)〜(12)の構成を特徴とするものである。
(1)繊維強化プラスチック部材の周囲を炭素繊維からなる織物で一部がオーバーラップするように覆ったアーム状応力伝達部材であって、前記繊維強化プラスチックは実質的に曲率半径が3mm以上である曲面部または該曲面部および平面部で構成され、かつ、オーバーラップしている織物の平均オーバーラップ長が3mm以上であることを特徴とするアーム状応力伝達部材。
(2)オーバーラップするように覆った前記織物の継ぎ目が、使用時に負荷される想定応力が他よりも低い部分で、かつ、使用時の裏面となる位置に配置されていることを特徴とする上記(1)に記載のアーム状応力伝達部材。
(3)オーバーラップするように覆った前記織物の継ぎ目の全部もしくは一部が、平面部もしくは曲率半径100mm以上の曲面部に配置されていることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のアーム状応力伝達部材。
(4)前記織物は、縦糸と横糸との交差による繊維糸条のうねりの振幅をδ、波長をLとしたとき、δ/Lが0.2を超えないものであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
(5)前記織物は、厚みが150μm以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
(6)前記織物がフィラメント数1500本以下の炭素繊維糸条からなる織物であること特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材
(7)前記炭素繊維糸条は破断伸度が1.0%以上であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
(8)前記炭素繊維糸条は引張弾性率が200〜500GPaの範囲内にあることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
(9)前記繊維強化プラスチック部材を構成する強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、およびセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
(10)スポーツ用品部材であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
(11)自転車用部品であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
本発明によれば、以下に説明するとおり、意匠性を損なわずに耐衝撃性を高くし、軽量なアーム状応力伝達部材を得ることができる。
本発明のアーム状応力伝達部材は、たとえば図1にその横断面を示すように、曲率半径が3mm以上の曲面部2と平面部3とで構成された繊維強化プラスチック部材の周囲を炭素繊維からなる炭素繊維織物4で覆ってなるものであって、炭素繊維織物4はオーバーラップ部5を有している。そして、オーバーラップしている炭素繊維織物4の平均オーバーラップ長は3mm以上である。
ここで、繊維強化プラスチック部材1は、外表面が実質的に覆われていればよく、他部材との結合用の孔、ネジ孔、座面、ほぞ等を除く外表面が覆われていればよい。繊維強化プラスチック部材1の外形形状についても同様に、実質的に曲率半径3mm以上の曲面もしくは平面で構成されていればよく、結合用孔等を除く部分がこのような曲面もしくは平面であればよい。このように、結合用孔等を除く外形形状が3mm以上という緩やかな曲率を持つ曲面もしくは平面であることにより、応力集中を避けることができ衝撃時に亀裂が入ることを避けることができる。
繊維強化プラスチック部材1とは、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂などのプラスチックを、強化繊維である炭素繊維などで強化したものである。繊維強化プラスチックは通称FRPと呼ばれ、バスタブ(浴槽)や、釣り竿、テニスラケットなどに広く用いられている。FRPには、強化繊維の種類によって、炭素繊維強化プラスチック(通常、CFRPと称される)、ガラス繊維強化プラスチック(通常、GFRPと称される)、アラミド繊維強化プラスチック(通常、AFRPと称される)などがある。
本発明において、繊維強化プラスチック部材1を構成するプラスチックとしては、上記した、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂の他、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂など熱可塑樹脂が使用される。強化繊維としては、炭素繊維やガラス繊維などの無機繊維や、アラミド繊維(ケブラー、トワロンなど)、高強度ポリエチレン繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維(「ザイロン」(登録商標)など)などの有機繊維などを用いることができる。また、タングステン線にボロンを化学真空蒸着したボロン繊維や、シリコンカーバイド(SiC)繊維、チラノ繊維、ニカロン繊維などのセラミック繊維も高強度であり、本発明に好ましい繊維の一つである。これら強化繊維は比重が軽金属であるアルミニウムの比重2.7より小さく、また、上記樹脂の比重も1.5以下と小さいので、FRPとしての比重もアルミニウムを下回る。中でも、炭素繊維とエポキシ樹脂を重量比4:6〜7:3の割合で組み合わせたCFRPは、重量当たりの剛性、強度が最も高く、本発明で最も好ましい材料である。ちなみに、通常、炭素繊維の弾性率は、200〜800GPa、強度は3GPa〜8GPaであり、アルミニウムの弾性率70GPa、強度0.2〜0.8GPaを大きく上回る。また、炭素繊維の比重は、1.5〜2.0程度で、アルミニウムの比重2.7より軽い。さらに、エポキシ樹脂の比重は、1.2〜1.3であり、樹脂を炭素繊維で強化したCFRPの比重は、アルミニウムのそれを大きく下回る。
一方、炭素繊維織物4は、繊維強化プラスチック部材1の周囲を覆う際に、必ず端部が重なり合うようにすることが必要である。この重なり長さをオーバーラップ長6と呼び、図2に示す。平均オーバーラップ長は、オーバーラップ部5の面積を、重なっている織物端部長さ7で割った値と定義するが、本発明ではこの平均オーバーラップ長が3mm以上となるように、炭素繊維織物4の一部を重ねる。
オーバーラップした織物の継ぎ目は、意匠性から考えると、部材の使用時における裏側(背面)等目立たない場所に配置するのが好ましい。また、継ぎ目は衝撃時に破壊の起点とならないために、使用時に負荷される想定応力が他よりも低い部分に配置されるのが好ましい。
またこの継ぎ目は、曲率の小さいところに配置されると繊維の屈曲が大きくなりがちであり、強度的な弱点となりやすい。そこで、この継ぎ目は部材の平面部や曲率の大きな面上に配置されるのが望ましい。すなわち平面部もしくは曲率半径100mm以上の面に継ぎ目が配置されるようにすることが好ましい。
そして、炭素繊維織物4は、図3に示すように、縦糸8と横糸9の交差により、織物断面における繊維の蛇行10が避けられないが、大きな蛇行は衝撃時に繊維の微少座屈等を誘発するので、小さな蛇行であることが好ましい。すなわち、繊維の蛇行の振幅δと波長Lの比であるδ/Lが0.2を越えないような織物であることが好ましい。
炭素繊維織物4は、織物自体が大きく剪断変形するものであればしわや突っ張りを解消し、切れ込みや継ぎ目を減少できる。そのため大きな剪断変形量をとれる織物、すなわち、最大剪断変形量が30%を超える織物が好ましい。せん断変形量はJIS L 1096に従って測ることができる。
さらに、賦形時の取扱性がよく、しわや突っ張りを生じにくいという点で薄手の織物が好ましく、厚みが150μm以下の織物ものを用いることがより好ましい。
織り構造としては、平織、綾織、絡み織、繻子織などであり、なかでも複雑形状のものへの沿いやすさと形態保持性のバランスに優れた綾織がより好ましい。
炭素繊維織物に用いる炭素繊維糸条のフィラメント数は、通常、3000本〜24000本の範囲が用いられているが、これより小さいものを用いることにより、形状への沿い易さを高めることができ、切れ込みや継ぎ目等による強度的弱点を減らすことができ、耐衝撃性を高めることができる。具体的にはフィラメント数が1500本以下の炭素繊維糸条で織物を構成することが好ましい。製織コストを抑えることも加味すれば、300本〜1000本の範囲内がもっとも好ましい。
織物をなす炭素繊維糸条としては、石炭ピッチや石油ピッチを原料とするピッチ系炭素繊維や、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維であり、なかでも強度や弾性率に優れるPAN系炭素繊維糸条で織物を構成することが好ましい。
さらに、炭素繊維糸条は、JIS R 7601によって測定されるストランドの引張弾性率が200GPa〜500GPaの範囲内であることが好ましく、特に250GPa〜350GPaの範囲内であることが好ましい。また、衝撃荷重時に繊維が破断しないように、破断伸度は1.0%以上であることが好ましい。
上述のような炭素繊維織物は、繊維強化プラスチック部材の表面にマトリクス樹脂で固着されている。このマトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂が適用できるが、なかでも力学的特性に優れ、炭素繊維との接着性の高いエポキシ樹脂が好適に使用できる。
本発明のアーム状応力伝達部材は、あらかじめ成形された繊維強化プラスチック部材の表面に上記織物を巻き付け、その後マトリクスを注入、含浸させるRTMのような成型法で成形してもよいし、また、繊維強化プラスチック部材の前駆体であるプリフォームに上記織物としてあらかじめマトリクスを含浸させたプリプレグを巻き付け同時に成形する方法でも良い。さらに、上記織物の内側に繊維強化プラスチックを射出や注入する事によって成型する方法でも良い。
以上のように成型される本発明のアーム状応力伝達部材は、高い衝撃特性を発揮し、かつ軽量で、表面の意匠性もよいので、各種特性とともに意匠性も重視されるスポーツ用品に好適に適用できる。なかでも軽量化と安全性とを高いレベルで両立しなければならない自転車部品には好適であり、自転車の構造部材であるフロントフォーク、ハンドルバー等や激しい動きにさらされるクランク、シートピラーなどに最適である。
図4、図5に示す、炭素繊維強化プラスチックからなる外殻部材20とアルミ合金製インサート17とを組み合わせて成形した自転車用クランク(アーム状応力伝達部材)13について、本発明を適用し耐衝撃性の測定を行った。なお、アルミ合金製インサート17は、外殻部材20の内側で、かつ、その外殻部材20のペダル軸取付部19とブラケットスピンドル取付部18に対応する位置にのみ配置した。
繊維強化プラスチック製の外殻部材20の周囲を覆う炭素繊維織物21としては、フィラメント数3000本の弾性率230GPa,引張強度3.1GPaの炭素繊維糸条からなる目付200g/m2の平織クロス材(東レ(株)製CO6343)にエポキシ樹脂を含浸したプリプレグA(繊維目付200g/m2,樹脂重量含有率30%,樹脂硬化温度120℃)と、フィラメント数1000本の弾性率280GPa,引張強度3.4GPaの炭素繊維糸条からなる綾織クロス材(繊維目付120g/ m2,東レ(株)製CO6158)にエポキシ樹脂を含浸したプリプレグB(繊維目付120g/ m2,樹脂重量含有率30%,樹脂硬化温度120℃)とを用いた。また、繊維強化プラスチック部製の外郭部材20には、フィラメント数12000本の弾性率280GPa,引張強度4.4GPaの炭素繊維糸条を一方向に引きそろえてエポキシ樹脂を含浸したプリプレグC(東レ(株)製P2253-19、繊維目付190g/ m2,樹脂重量含有率30%,樹脂硬化温度120℃)を用いた。
耐衝撃性の試験方法は、自転車用クランクの規格試験であるDIN79100-2の落錘衝撃試験法に従った。なお、ペダル軸取付部19とブラケットスピンドル取付部18の間の距離は170mmとした。
<実施例1>
図4、図5に示す中空状のクランクを形成するために、繊維強化プラスチックからなる外殻部材20として、プリプレグCを10層積層し、金型内に入れ130℃で1時間プレス成形したものを用いた。外殻部材20の曲率半径が最小値となる部位22の曲率半径を3mmとし、外殻部材20の周囲を覆う炭素繊維織物21の曲率半径が3mmを確実に越えるようにした。
アルミ合金製インサート17としては、アルミ合金7075T6を上記中空状の外殻部材20に嵌合されるように切削し、また、ペダル軸取付部19とブラケットスピンドル取付部18の2箇所の形状に合うように切削加工した
これらの外殻部材20およびアルミ合金製インサート17は、互いの接着面をサンディングし粗面化した後、2液型室温硬化エポキシ接着剤をその接着面に塗布し、両者を互いに嵌合して一体化した後、室温で12時間放置し硬化させた。
その後、周辺部のバリを機械加工により取り除き、プリプレグBを繊維強化プラスチックの外殻部材全体に巻き付け、130℃で2時間加熱するオートクレーブ成形で自転車クランクを成形した。巻き付ける際には、自転車クランクの使用時における裏面15側中央部に継ぎ目を設け、平均オーバーラップ長が3mmとなるように重ね合わせた。
<比較例1>
プリプレグBを外殻部材20の外周に巻き付ける際に、織物端部を重ね合わせずつきあわせるようにした以外は実施例1と同様にして自転車クランクを作成した。
<比較例2>
外殻部材20の外形形状の曲率半径の最小値を1mmとした以外は、実施例1と同様にして自転車クランクを作成した。
<比較例3>
外殻部材の外周を覆う炭素繊維織物としてプリプレグAを用いた以外は実施例1と同様にして自転車クランクを作成した。
<比較例4>
プリプレグBを外殻部材の外周に巻き付ける際に、自転車クランクの側面下端のコーナー部24に継ぎ目を設け、平均オーバーラップ長が1mmとなるように重ね合わせた以外は実施例1と同様にして自転車クランクを作成した。
これら異なる5水準の自転車クランクを落錘衝撃試験にかけたところ、比較例1では織物の継ぎ目が割れるように裏面に亀裂が生じ、比較例2では曲率半径が最小値となる部位22より亀裂が生じた。また、比較例3では織物の目に沿って表面に亀裂が走り、比較例4ではコーナー部24に配された織物継ぎ目から亀裂が生じた。しかし、実施例1では亀裂は入らず破損しなかった。
以上の結果より、本発明のアーム状応力伝達部材は耐衝撃性に優れていることがわかる。
本発明の一実施形態を示すアーム状応力伝達部材の概略横断面図である。 織物のオーバーラップ長の定義を示すアーム状応力伝達部材の概略平面図である。 炭素繊維織物を構成する糸条のうねりの振幅δと、波長Lの定義を示す概略図である。 実施例1における自転車クランクの概略一部断面図である。 実施例1における自転車クランクの概略横断面図である。
符号の説明
0:アーム状応力伝達部材
1:繊維強化プラスチック部材
2:曲面部
3:平面部
4:炭素繊維織物
5:オーバーラップ部
6:オーバーラップ長
7:重なっている織物端部の長さ
8:縦糸
9:横糸
10:繊維の蛇行
11:波長L
12:振幅δ
13:自転車用クランク(アーム状応力伝達部材)
14:表面
15:裏面
16:中空部
17:アルミ合金製インサート
18:ブラケットスピンドル取付部
19:ペダル軸取付部
20:外殻部材
21:外殻部材の周囲を覆う炭素繊維織物
22:外殻部材における曲率半径値が最小値の部位
23:側面
24:側面下端コーナー部
25:オーバーラップ部

Claims (11)

  1. 繊維強化プラスチック部材の周囲を炭素繊維からなる織物で一部がオーバーラップするように覆ったアーム状応力伝達部材であって、前記繊維強化プラスチックは実質的に曲率半径が3mm以上である曲面部または該曲面部および平面部で構成され、かつ、オーバーラップしている織物の平均オーバーラップ長が3mm以上であることを特徴とするアーム状応力伝達部材。
  2. オーバーラップするように覆った前記織物の継ぎ目が、使用時に負荷される想定応力が他よりも低い部分で、かつ、使用時の裏面となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアーム状応力伝達部材。
  3. オーバーラップするように覆った前記織物の継ぎ目の全部もしくは一部が、平面部もしくは曲率半径100mm以上の曲面部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のアーム状応力伝達部材。
  4. 前記織物は、縦糸と横糸との交差による繊維糸条のうねりの振幅をδ、波長をLとしたとき、δ/Lが0.2を超えないものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
  5. 前記織物は、厚みが150μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
  6. 前記織物がフィラメント数1500本以下の炭素繊維糸条からなる織物であること特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材
  7. 前記炭素繊維糸条は破断伸度が1.0%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
  8. 前記炭素繊維糸条は引張弾性率が200〜500GPaの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
  9. 前記繊維強化プラスチック部材を構成する強化繊維が、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、およびセラミック繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
  10. スポーツ用品部材であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
  11. 自転車用部品であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のアーム状応力伝達部材。
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