JP2007025420A - 撮像光学系、および撮像光学ユニット - Google Patents

撮像光学系、および撮像光学ユニット Download PDF

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Abstract

【課題】 小型でありながら、偏芯非点収差等の発生を効果的に抑制(補正)できる光学系等を提供する。
【解決手段】 少なくとも1個以上の光学プリズムPRを備えた撮像光学系OSであって、光学プリズムPRの少なくとも1個が偏芯配置した光学作用面である偏芯面を少なくとも1面含むようになっており、少なくとも1個の光学プリズムPRが、nd>1.85〔条件式(1);ただし、ndは光学プリズムPRの屈折率である〕の条件を満たすようになっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被写体像を撮像素子等で取り込む撮像装置に搭載される撮像光学系、および撮像光学ユニットに関するものである。
近年、携帯電話機や携帯情報端末(PDA;Personal Digital Assistant)等のデジタル機器には、画像を取り込むためのデジタルカメラ等(撮像装置)が内蔵されている。そして、このようなデジタル機器では、携帯性の観点から小型化が要望される一方、画像品質向上の観点から、撮像素子の高性能化も要望されている。
高性能化の一つとして、撮像素子が高画素化した場合、それに対応して撮像素子に被写体像を結像させる光学系(撮像光学系)の解像力等も向上する必要が生じる。例えば、ストレートタイプと呼ばれる光学系(共軸光学系)は、解像力等を高めるために、光学系自体を大型化したり、光学系を構成するレンズの枚数を増加させている。そのため、このような共軸光学系を採用したデジタル機器は、小型化および高性能化(高画素化)という両要望を同時に満たし難いといえる。したがって、共軸光学系と違い、小型でありながら解像力等の高い光学系の要望が極めて高まっている。
この要望に答えるべく、近年、共軸光学系と異なる偏芯光学系(例えば偏芯した反射面を備える光学プリズムを用いた光学系;特許文献1・2参照)が種々提案されている。かかるような偏芯光学系は、例えば反射面を偏芯配置させ光路を折り曲げることが可能である。そのため、偏芯光学系は、共軸光学系のように一方向に長大化することなく、全体的に小型になる。
特開平11−23971号公報(図1参照) 特開2003−84200号公報(図1参照)
しかしながら、偏芯光学系では、偏芯した光学面を持つ光学素子を用いた場合、偏芯特有の収差が発生する。その中でも、非点隔差は大きな性能劣化の原因となる。本来、共軸系では軸上に発生しない非点隔差が、偏芯した光学素子を有する光学系で発生し、それは軸外まで影響する。この非点隔差は、互いに垂直な方向の結像位置が異なり、一つの像面では著しく結像性能を低下させる要因となる。そのため、非点隔差を補正しないと、高性能の結像性能を実現することは困難である。その点から、従来提案されている光学系では、さらなる高画素化による結像領域の拡大には十分対応できていない。
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、高性能な結像性能を実現するために、特に、偏芯非点隔差の補正に優れた光学系を提供することにある。
本発明は、少なくとも1個以上の光学素子を備えており、光学素子の少なくとも1個が偏芯配置した光学作用面である偏芯面を少なくとも1面含む撮像光学系である。そして、この撮像光学系では、少なくとも1個の光学素子が、以下の条件式(1)を満たすように形成されている。
nd>1.85 … 条件式(1)
ただし、
nd:少なくとも1個の光学素子のd線に対する屈折率
である。
一般的に、このような偏芯した光学作用面を用いる偏芯光学系では、共軸光学系にはない偏芯特有の収差が現れる。従来の共軸光学系に現れる収差補正だけでは不十分で、偏芯特有の収差の補正が必要となる。偏芯特有の収差にはいくつかある。例えば、偏芯非点隔差は、互いに垂直な方向の結像位置の違いにより、各結像位置での性能が高くとも、1つの像面を選ぶと結像性能が低下するという現象である。この偏芯非点隔差は像面中心(軸上とも称す)でも見られ、その影響は像面周辺(軸外とも称す)まで影響する。
かかる偏芯非点収差の解消の一方策として、個々の面での、互いに直交する方向に対応した光線の焦点距離の差(ここではアナモ比と呼ぶ)を比較的小さくするという方策が挙げられる。各面での2方向に対応した焦点距離の差が比較的小さければ、像面上での光学系全体の2方向のピント位置ずれが生じにくいためである。
ところで、本発明の撮像光学系において、ある光学作用面が像面の垂直方向(便宜上、y方向とする)に偏芯していると、光学作用面での水平方向(便宜上、x方向とする)の焦点距離〔fx〕、および、垂直方向(y方向)の焦点距離〔fy〕は、下記のように表すことができる。なお、下記の例は、像面の垂直方向(y方向)に偏芯している光学系のある面の焦点距離を考えており、空気から屈折率nの媒質への光線が入射する場合を例としている。
fx=rx/(n・cosθ’−cosθ)
fy={ry・cosθ・cosθ’}/(n・cosθ’−cosθ)
ただし、
rx:光学作用面が入射光線との交点で有する水平方向の曲率半径[単位:mm]
ry:光学作用面が入射光線との交点で有する垂直方向の曲率半径[単位:mm]
θ :入射光線と光学作用面の法線との角度[単位:°]
θ’:射出光線(反射光線)と光学作用面の法線との角度[単位:°]
である。
すると、焦点距離のfxおよびfyにおける差が比較的小さくなるということは、下記に表されるfx/fyの値が「1」に近づけばよいことと同義である。
fx/fy=rx/{ry・cosθ・cosθ’}
そのため、偏芯非点隔差を補正する場合、rxと{ry・cosθ・cosθ’}との差が小さくなればよいといえる。
しかしながら、光学作用面の曲率半径は、他の収差等を考慮して決定されるものでもあり、偏芯非点隔差のみに着目して決定できない。そのため、rxと{ry・cosθ・cosθ’}との差は、小さくしようとしても、有る程度残ることになる。
かかるようにrxと{ry・cosθ・cosθ’}との差がある程度残ることになる場合、屈折率nが低ければx方向とy方向との焦点距離の差は大きくなるが、屈折率nを大きくしておけば、その差を小さくできる。よって、偏芯非点隔差を補正された高性能な結像系を実現するためには、高い屈折力(屈折率)の材質を用いると望ましい。
また、本発明の撮像光学系には、条件式(1)を満たす高屈折率の光学素子が含まれている。そのため、本発明の撮像光学系OSは、同じ屈折力を得たい場合、比較的屈折率の低い材質で形成された光学プリズムを用いた撮像光学系に比べて、光線の入射角度を比較的小さくできる。したがって、本発明の撮像光学系OSは、比較的屈折率の低い材質で形成された光学プリズムを用いた撮像光学系よりも、入射角度に起因する種々の収差も抑制できる。なお、このように種々の収差が抑制されることから、高性能な撮像光学系が実現可能となる。
また、本発明の撮像光学系では、光学素子における透過面が、以下の条件式(2)を満たすように形成されていると望ましい。
0.01<|φREFRy/φREFRx|<100.00
… 条件式(2)
ただし、
物体中心から絞りを通り、像面中心に向かう光線をベース光線としたとき、
φREFRy:透過面がベース光線との交点で有する垂直方向のパワー
φREFRx:透過面がベース光線との交点で有する水平方向のパワー
である。
上記してきたような、互いに直交する2方向での光線の結像位置が異なることによって、非点隔差が生じる。この非点隔差を防止するためには、撮像光学系における光学作用面での2方向のパワーが適切に設定されるとよい。例えば、光学素子における透過面での垂直方向と水平方向とのパワー比が大きく異なっている場合、透過面での垂直方向に対応する結像位置と水平方向に対応した結像位置とが、互いに異なり、非点隔差の大きな原因となる。なお、物体側の面にこの差があれば、後の撮像光学系による倍率がかかるため、非点隔差はさらに大きな隔差ともなる。
条件式(2)は、全系の非点隔差を許容範囲内に収めるために必要とされる透過面での2方向のパワー比の範囲を規定している。したがって、この条件式(2)の範囲内であれば、本発明は、非点隔差を効果的に抑制した撮像光学系になる。
また、本発明の撮像光学系では、光学素子における透過面が、以下の条件式(3)を満たすように形成されていると望ましい。
0.01<|Ry_REFR/Rx_REFR|<100.00
… 条件式(3)
ただし、
物体中心から絞りを通り、像面中心に向かう光線をベース光線としたとき、
Ry_REFR:透過面がベース光線との交点で有する垂直方向の曲率半径[単位:mm]
Rx_REFR:透過面がベース光線との交点で有する水平方向の曲率半径[単位:mm]
である。
条件式(3)は、透過面での曲率半径の水平方向と垂直方向との比を規制するものである。上記のように、水平方向のパワーと垂直方向のパワーの差があれば、非点隔差の大きな原因となる。また、面のパワーは、曲率半径、屈折率、法線との光線角度で表される。これより、水平方向と垂直方向の曲率半径の差が大きすぎると、水平方向と垂直方向のパワーの差が大きくなり、非点隔差が大きく発生してしまう。条件式(3)は、非点隔差を許容範囲に入れ、高性能な結像性能を満たすための条件式である。条件式(3)を外れると、非点隔差の発生が大きくなり、高性能な撮像光学系が達成できなくなる。
また、本発明の撮像光学系では、光学素子における透過面は、以下の条件式(4)を満たすように配置されていると望ましい。
2<θREFR<80
… 条件式(4)
ただし、
物体側から像面側に向かう光線のうち、像面中心から最も離間して像面の隅に結像す る光線を最終辺光線としたとき、
θREFR:最終辺光線の主光線が透過面に入射するときの入射角度[単位:°]
である。
条件式(4)は、最終辺の光線の、透過面への入射角度を規制するものである。大きく収差が発生するのは、入射光線高さが高い面、入射角度の大きな面が原因となることが多い。入射角度は、できるだけ小さい方が、収差発生を抑えることができる。しかしながら、小さすぎると、その面での屈折力が弱いため、十分なパワーを得ることができない。本発明では、屈折率の高い媒質を用いるため、同じ屈折力を得るにしても、屈折率の低い媒質に対して、入射角度を小さくすることが可能となる。そのため、従来よりも、入射角度の大きい撮像光学系が実現でき、それによって、薄型化を図ることができる。
この条件式(4)は、収差補正が可能で、なおかつ、薄型化を図るためのものである。下限を越えると、高屈折率材料の特徴を十分生かせず、撮像光学系が厚くなる。上限を越えると、収差発生量が大きくなりすぎ、性能の確保が困難になる。
ところで、少なくとも1個の光学素子は、物体側から像面側に向かう光線が通過する光学プリズムであると望ましく、さらには、その光学プリズムは、複数の光学作用面を有しており、これらの光学作用面は、光線の入射する入射面を1面と、偏芯面を少なくとも1面と、光線の射出する射出面を1面と、を含んだシンプルなものだと望ましい。
なお、本発明のような偏芯した撮像光学系を構成するために偏芯配置される光学作用面は、特に限定されるものではない。例えば、光学プリズムにおける入射面、反射面、および射出面のどの面が偏芯配置されてもよい。しかしながら、反射面は、必ず光線を反射させる。そのため、光学素子の反射面のうち少なくとも1面が偏芯配置されていると望ましい。かかる構成であれば、光路が折り曲げられ、撮像光学系が薄型になる。
また、偏芯した撮像光学系において、反射面が入射光線に対して垂直方向に近づくようにしてその入射光線を反射させると、光路の折りたたみ効果を顕著に発揮し得る撮像光学系になる。そこで、本発明では、光学プリズムの反射面に入射するベース光線を入射ベース光線とし、その反射面によって反射されるベース光線を反射ベース光線とし、その反射面は、入射ベース光線と反射ベース光線との成す角度を50°以上にするように配置されている。かかる構成であれば、反射面が入射光線をその入射光線に対して垂直方向に近づくようにして反射できるためである。また、正と負の画角を持った光線の、反射されたときのお互いの光線幅が、光学系の厚みに大きく影響することにより、光線を50°以上に曲げると薄型な光学系とすることができる。
ところで、一般的には、光学作用面が多ければ、高性能な撮像光学系が実現しやすい。しかしながら、撮像光学系内に透過面が増加すると、色収差が生じやすくなる。また、その補正のために素子の追加が必要になり却って、大型化、コストアップの要因となる。ところが、反射面は色収差を発生しないために高性能化のためには、反射面を複数配すると望ましい。そこで、本発明の撮像光学系では、反射面が、少なくとも2面備わっていると望ましいことになる。
また、少なくとも2面有る反射面において、ベース光線を続けて反射させる2面の反射面のうち、先にベース光線を反射させる面を先反射面、後にベース光線を反射させる面を後反射面とした場合に、先反射面および後反射面が、先反射面に入射するベース光線と後反射面によって反射するベース光線とを交差させるように配置されていると望ましい。かかる構成であれば、反射面によって反射される光線が光学プリズム内で交差し、光路の折りたたみ効果がより一層発揮されるためである。
また、先反射面が、光線の物体側からの入射順序で、3番目以降の光学作用面になっていると望ましい。かかる構成であれば、比較的像面側で、先反射面に入射するベース光線と後反射面によって反射するベース光線とが交差することになる。このように比較的像面側で、光線が交差していれば、交差する光線の光束幅は、物体側での光線の光束幅に比べて小さくなっている。したがって、光線幅に起因した光学プリズムの大型化は起こり得ない。
なお、本発明の撮像光学系では、偏芯面が自由曲面になっていると望ましい。かかる構成であれば、非点隔差の要因となる曲率半径の差が自由に設定できるし、偏芯歪曲、偏芯コマ収差、偏芯非点収差等を補正するために必要とされる面の形状の設計も可能になるためである。
また、本発明の撮像光学系では、少なくとも1個の光学素子が、樹脂で形成されていると望ましい。かかる構成であれば、回転非対称面や自由曲面等を容易に形成できるためである。また、樹脂であれば、回転非対称面等の作成と同時に、他の作用部分(例えば、コバ面等)も同時に成型(一体成型)することもできる。その結果、材料のコストも低く、加工のコストも安くできる。また、樹脂であるため、軽量化も可能である。なお、樹脂で形成されているとは、樹脂材料を母材としていることをいい、その表面に反射防止や表面硬度向上を目的としてコーティング処理を行った場合も含むものとする。
ところで、一般的に、樹脂は、温度変化に依存して屈折率を変化(光学的変移)させる。そのため、撮像光学系の光学素子に樹脂を使用した場合、温度変化に基づく屈折率変化のため、大きな像点移動が起こり得る。また、それにともない偏芯光学系では、軸上での非点隔差が拡大するという問題もある。さらには、屈折率変化にともなった諸収差の変動も大きく、性能低下の要因になる。
そこで、本発明の撮像光学系における光学素子の樹脂は、例えば、特開2005−55852号公報で開示されている材料が望ましい。この公報で開示されている樹脂材料とは、通常の樹脂材料に比べて、温度に依存した屈折率変化の比較的小さな材料である(特に、このような温度に依存した屈折率変化の小さい樹脂材料を、アサーマル樹脂と呼ぶ)。
アサーマル樹脂は、例えば、樹脂材料(母材)中に最大長30nm以下の粒子(子材;例えば無機微粒子)を分散させたものである。例えば、アクリル樹脂に酸化ニオブ(Nb25)を分散させたものが、アサーマル樹脂になり得る。このようなアーサマル樹脂で光学素子が形成されると、温度変化に依存した屈折率変化が小さくなるため、像点変動、非点隔差の増大、諸収差の変動が小さく抑えられる。
なお、特開2005−55852号公報で開示されている樹脂材料・無機微粒子の例において、屈折率nを温度tで微分した場合のdn/dtの符号が示されている。そして、この樹脂材料のdn/dtの符号(第1性質)と、無機微粒子のdn/dtの符号(第2性質)とが異なるもの同士を混合させた例が示されている。この例のように、相異なる符号同士(異質なもの同士)の樹脂材料と無機微粒子とが混合した場合、互いの性質(樹脂の性質と無機微粒子の性質)を打ち消し合う(変質する)。そのため、樹脂に分散させる無機微粒子の量は少なくてよい。
また、例えば、樹脂材料の性質(第1性質)を過剰に打ち消すことで、アサーマル樹脂に新たな性質が生じるようにもできる。例えば、樹脂材料、ひいてはアサーマル樹脂の線膨張係数が、比較的小さくなったりすることが新たな性質の一例として挙げられる。
ところで、樹脂と無機微粒子とのdn/dtの符号が同じであっても、温度変化にともなう光学プリズムの屈折率変化を小さくすることもできる。例えば、同符号であってもdn/dtの絶対値が樹脂に比べて小さい無機微粒子の場合、その無機微粒子を含む混合樹脂の屈折率変化は、樹脂単独での屈折率変化に比べて小さくなる。つまり、無機微粒子を含むことによって、混合樹脂は、樹脂単独よりも温度変化に依存した屈折率変化を小さくできるようになっている。ただし、樹脂と異なるdn/dtの符号を有する無機微粒子を分散させた方が、樹脂と同符号のdn/dtを有する無機微粒子を分散させる場合に比べて、分散量を少なくできる。
また、本発明の撮像光学系の場合、偏芯している光学系ゆえに、比較的大きな非点隔差が生じやすい。これを補正するためには、従来のパワー配分の調整だけでは限界があり、アサーマル樹脂を使う必要もある。
以上から理解できるように、非点隔差を小さく保てる高性能な偏芯光学系を実現するためには、本発明の撮像光学系のように、アサーマル樹脂を用いることが望ましい。
なお、上記してきた撮像光学系と、この撮像光学系からの光線を受光する撮像素子とを含む撮像光学ユニットが、小型かつ高性能化になっていることはいうまでもない。
本発明の撮像光学系は、比較的高屈折な材質で形成された光学素子を含むことで、高屈折率を利用して、偏芯非点収差を比較的小さくでき、さらに他の諸収差の発生を小さく抑えられる撮像光学系になる。
以下、本発明の構成・作用・効果を実際の例を用いて、さらに詳細に説明する。
[実施の形態1]
まず、本発明の光学系(撮像光学系)としては、多種多様な光学系が想定される。例えば、光学プリズム(光学素子)ばかりを組み合わせた撮像光学系や、光学プリズムの他に反射ミラー(光学素子)やレンズ(光学素子)等を加えた撮像光学系である。そこで、下記では、種々想定される撮像光学系の例を1つ挙げて説明していく。なお、撮像光学系と、この撮像光学系からの光線を受光する撮像素子とを含むユニットを撮像光学ユニットと表現する。また、撮像光学系は、撮像素子に光学像を結像させている点から結像光学系と表現されてもよいし、偏芯した光学作用面を有することから非軸光学系と表現されてもよい。
〔1.撮像光学ユニット(実施例1・実施例2)の構成について〕
図1(実施例1)・図2(実施例2)は、撮像光学ユニットOSUの光学断面図を示している。これらの図1・図2に示すように、撮像光学ユニットOSUは、撮像光学系OSと撮像素子SRとを含んでいる。なお、後述での光学プリズムPRでの各面(si)および撮像素子SRの像面(si)を表現するため、物体側から像側(像面側)に至るまでの光線の入射順(i番目;i=1、2、3、…)に応じて、番号を付すようにしている。また、自由曲面となっている面については、アスタリスク(*)を付すようにしている。
〈1−1−1.撮像光学系について〉
撮像光学系OSは、図1・図2に示すように、光学プリズムPRおよび平行平面板PTを含んでいる。
《光学プリズムについて》
光学プリズムPRは、5つの光学作用面(s1〜s5)を有している。第1面s1は、物体側(物面側)からの光線を最初に受けるとともに透過する面、すなわち、光学プリズムPRの入射面(透過面)になっている。
第2面s2は、第1面s1を透過(通過)してきた光線を、第3面s3に向けて反射させる反射面となっている。第3面(先反射面)s3は、第2面s2によって反射されてきた光線を第4面s4に向けて反射させる反射面となっている。なお、この反射面(第3面s3)には、光学絞りST(例えば円形の絞り形状を有する光学絞り)が施されるようになっている。
第4面(後反射面)s4は、第3面s3からの反射光線を、第5面s5に向けて反射させる反射面となっている。第5面s5は、第4面S4からの反射光線を射出(透過)させる射出面(透過面)となっている。
なお、上記の第1面s1〜第5面s5までの各面は、自由曲面で構成されるようになっている。
《平行平面板について》
平行平面板PTは、光学プリズムPRからの射出光線を取り入れるとともに、その光線を撮像素子〔CCD(Charge Coupled Device)等〕SRの撮像面(受光面)s8へと導くものである。
なお、平行平面板PTは、2面構成となっている。そして、光学プリズムPRの第5面s5からの射出光線を、最初に受けるとともに透過させる面を第6面s6と表現している。また、この第6面s6を透過してきた光線を、受けるとともに透過させる面を第7面s7と表現している。
〈1−1−2.撮像素子について〉
撮像素子SRは、光学プリズムPR・平行平面板PTを通過してきた光線(光像)を撮像面s8にて受光し、電気的信号(電子データ)に変換させるものである。例えばCCD(Charge Coupled Device)のエリアセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等が挙げられる。
なお、撮像光学ユニットOSUを備える撮像装置においては、撮像素子SRによって変換された電子データに対して種々の処理等を施す処理部や、電子データ等を記憶する記憶部等が、備えられるようになっている。
〈1−2.コンストラクションデータについて〉
ここで、実施例1・実施例2の撮像光学ユニットOSUにおけるコンストラクションデータについて、表1〜表8を用いて説明する。
Figure 2007025420
Figure 2007025420
これらの表1・表2での「si」は、上記したように、物体側から数えた光線の入射順に応じたi番目の面を示している。「ri」は、各面(si)における曲率半径[単位:mm]を示している。「Ni」・「υi」は、i番目の面(si)と、i+1番目の面(si+1)との間における軸上面間隔に位置する媒質が有するd線(587.56nm)に対する屈折率(Nd)・アッベ数(νd)を示している。
Figure 2007025420
Figure 2007025420
これらの表3・表4では、各面(si)における「面頂点座標」および「回転角度」を示している。そして、面頂点座標(面データ;[単位:mm])は、図3に示す右手系の直交座標(X座標、Y座標、Z座標)に基づいて表現されるようになっている〔X座標(X軸);親指、Y座標(Y軸);人差し指、Z座標(Z軸);中指〕。
具体的には、物体中心から絞りを通り、像面中心に向かう光線をベース光線と規定し、ベース光線と第1面s1との交点を原点(0、0、0)としている。そして、Z軸方向は、ベース光線が物面中心から第1面s1に向かって原点を通過していく方向とし、その向きを〈正(正方向)〉としている。すると、X軸方向は、図1において紙面に対して垂直方向となり、紙面の裏面側に向く方向が〈正(正方向)〉となる。一方、Y軸方向は、紙面に対して平行方向となり、紙面の上方に向く方向が〈正(正方向)〉となる。
また、回転角度(回転角度データ;[単位:°])は、上記の右手系のXYZ直交座標で定められた面頂点の座標位置(面頂点位置)を中心とした傾きによって表現されるようになっている。
具体的には、各面(si)の面頂点を中心とする各方向(X座標、Y座標、Z座標)の軸回り回転角(X回転、Y回転、Z回転)で表現するようになっている。なお、X軸・Y軸での正(正方向)に対して、反時計回りの方向が、正のX回転・正のY回転となっている。すなわち、回転角度が正方向(正)と規定されている。一方、Z軸での正に対して、時計回りの方向が、正方向のZ回転と規定されるようになっている。
Figure 2007025420
Figure 2007025420
これらの表5・表6は、各面の自由曲面係数を示している。自由曲面は、具体的には、面頂点を原点とするローカルな直交座標(x、y、z)を用いた以下の定義式(1)で定義される。そこで、この表5・表6は、下記の定義式(1)に用いられる自由曲面係数を示すようにしたものである。
なお、表記の無い項の係数は0であり(すべての自由曲面についてk=0である。)、すべてのデータに関してE−n=×10-nである。
Figure 2007025420
…定義式(1)
ただし、定義式(1)では、
z :高さhの位置でのz軸方向の変位量(面頂点基準)
h :z軸に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2
c :近軸曲率(=1/曲率半径)
k :円錐係数
j :自由曲面係数
であり、自由曲面項は以下の定義式(2)で表されるようになっている。
Figure 2007025420
…定義式(2)
Figure 2007025420
Figure 2007025420
これらの表7・表8は、撮像光学系の全系での焦点距離[単位;mm]、Fナンバー[Fno]、および光学絞り(ただし円形の場合)の半径[単位;mm]を示している。また、表7・表8は、水平方向(X方向)および垂直方向(Y方向)の半画角[単位;°]、および像面サイズの水平方向(長手の辺;長辺)および垂直方向(短手の辺;短辺)の長さ[単位;mm]も示している。
〈1−3.収差図について〉
なお、図4(図4A〜図4F)・図5(図5A〜図5F)は、実施例1における撮像光学ユニットOSUの横収差図である(なお、実施例2で、図4に対応する横収差は図6、図5に対応する横収差は図7になっている)。具体的には、図4はX方向(水平方向)での横収差、図5はY方向(垂直方向)での横収差を示している。これらの横収差図は、像面IS(図8参照)におけるローカルな直交座標(x、y)で表される像高[単位:mm]でのd線に対する横収差[単位;mm]を示している。
つまり、図4・図5の(A)〜(C)は、像面ISの中心(像面中心)を原点oとしたローカルな直交座標系(x,y)でのx方向の正側の3ヵ所{像面ISにおける一方の短辺での3ヵ所(円A〜円Cの位置)}に対応している。また、図4・図5の(D)〜(F)は、原点oを含むy方向の正負両側の3ヵ所{像面ISにおける中心を含みy方向に沿った3ヵ所(円D〜円Fの位置)}に対応している。また、図4〜図7の横収差図のスケールは、縦軸[−0.050〜0.050]、横軸[−1.0〜1.0]になっている。
なお、図8における円Aと円C、および、x方向の負側の2ヵ所である円Gと円Hは、像面中心から最も離間して像面ISの隅に結像する光線といえ、これらの光線を最終辺光線と称する。
〔2.本発明の種々の特徴について〕
以上のように、本発明の撮像光学系OSは、少なくとも1個以上の光学プリズムを備えている(実施例1・実施例2では1個、後述の実施例3では2個備わっている)。そして、光学プリズムの少なくとも1個が偏芯配置した光学作用面である偏芯面を少なくとも1面含むようになっている。なお、ここでの「偏芯」とは、直角プリズムのような45°の反射面(光学作用面)のみで構成されたものではなく、種々の角度で傾斜した光学作用面を含んでいることをいう。
そして、本発明のような偏芯した撮像光学系(偏芯光学系)OSでは、共軸光学系にはない偏芯特有の収差が現れる。そのため、かかる偏芯特有の収差の補正が、高性能な撮像光学系OSの実現のために必要になってくる。
偏芯特有の収差としては、例えば、軸上において、互いに直交する2方向(例えば、像面における水平方向および垂直方向)の結像位置が異なる収差(偏芯非点収差)が挙げられる。また、偏芯非点隔差は、像面中心(軸上)のみではなく、像面中心以外(軸外)の箇所にも影響を及ぼす。
例えば、ある光学作用面が像面の垂直方向(便宜上、y方向とする;ローカル直交座標)に偏芯していると光学作用面での水平方向(便宜上、x方向とする;ローカル直交座標)の焦点距離〔fx〕、および、垂直方向(y方向)の焦点距離〔fy〕は、下記のように表される。
fx=rx/(n・cosθ’−cosθ)
fy={ry・cosθ・cosθ’}/(n・cosθ’−cosθ)
ただし、
rx:光学作用面が入射光線との交点で有する水平方向の曲率半径[単位:mm]
ry:光学作用面が入射光線との交点で有する垂直方向の曲率半径[単位:mm]
θ :入射光線と光学作用面の法線との角度[単位:°]
θ’:射出光線(反射光線)と光学作用面の法線との角度[単位:°]
である。
かかる式において、焦点距離のfxおよびfyにおける差が比較的小さくなるということは、下記に表されるfx/fyの値が「1」に近づけばよいことと同義である。
fx/fy=rx/{ry・cosθ・cosθ’}
すると、偏芯非点隔差を補正する場合、rxと{ry・cosθ・cosθ’}との差が小さくなれば良いといえる。
しかし、諸収差の補正を行ったとしても、rxと{ry・cosθ・cosθ’}との差がある程度残る。かかるようにrxと{ry・cosθ・cosθ’}との差がある程度残るとしても、屈折率nが比較的大きい場合でのfx・fyは、屈折率nが比較的小さい場合でのfx・fyに比べて小さな値になる。そのため、屈折率nが比較的大きい場合でのfxとfyとの差は、屈折率nが比較的小さい場合でのfxとfyとの差に比べて小さな差になる。
そこで、本発明の撮像光学系OSに含まれる少なくとも1個の光学プリズムPRは、以下の条件式(1)を満たすように形成されている。
nd>1.85 … 条件式(1)
ただし、
nd:少なくとも1個の光学プリズムPRのd線に対する屈折率
である。
また、例えばパワーが同じとした場合、比較的高い屈折力を発揮する材質で光学作用面が形成されていると、その光学作用面での入射角度が比較的小さくてよいことにもなる。そのため、各光学作用面で生じる種々の収差の発生量が比較的抑制される。したがって、かかるような条件式(1)を満たす材質で形成された光学プリズムPRを含む本発明は、非点隔差の補正が容易で、なおかつ、種々の収差を小さくできる撮像光学系OSになる。
なお、条件式(1)の規定する条件範囲のなかでも、下記条件式(1a)の範囲を満たすほうが望ましく、さらには、下記条件式(1aa)の範囲を満たすほうが望ましい。
nd>1.90 … 条件式(1a)
nd>1.98 … 条件式(1aa)
また、実施例1・実施例2の光学プリズムPRの屈折率は、下記のようになっている。
○実施例1…光学プリズムPRの屈折率=2.082
○実施例2…光学プリズムPRの屈折率=2.082
ところで、上記してきたような、互いに直交する2方向での光線の結像位置が異なる非点隔差を小さくするためには、撮像光学系OSにおける個々の光学作用面での2方向のパワーが適切に設定されるとよい。
例えば、光学プリズムPRにおける透過面での垂直方向(y方向)と水平方向(x方向)とのパワー比が大きく異なっている場合(パワー比が1より大きく離れている場合)、透過面での垂直方向に対応する結像位置と水平方向に対応した結像位置とが、互いに異なることになる。そして、このような結像位置の相違は、非点隔差の収差量を増加させる要因となる。特に、このような結像位置の相違が比較的物体側の透過面で生じていると、その透過面より以降に位置する他の光学作用面(後の光学系)に起因する倍率の影響で、さらに非点隔差の収差量が増加しやすくなる。
そこで、本発明の撮像光学系OSでは、光学プリズムPRにおける透過面が、以下の条件式(2)を満たすように形成されていると望ましい。
0.01<|φREFRy/φREFRx|<100.00
… 条件式(2)
ただし、
物体中心から絞りを通り、像面中心に向かう光線をベース光線としたとき、
φREFRy:透過面がベース光線との交点で有する垂直方向のパワー
φREFRx:透過面がベース光線との交点で有する水平方向のパワー
である。
この条件式(2)は、全系の非点隔差を許容範囲内に収めるために必要とされる透過面での2方向のパワー比の範囲を規定している。したがって、この条件式(2)の範囲内であれば、本発明は、非点隔差を効果的に抑制した撮像光学系OSといえる。
なお、条件式(2)の規定する条件範囲のなかでも、下記条件式(2a)の範囲を満たすほうが望ましく、さらには、下記条件式(2aa)の範囲を満たすほうが望ましい。
0.10<|φREFRy/φREFRx|<10.00
… 条件式(2a)
0.50<|φREFRy/φREFRx|<6.00
… 条件式(2aa)
また、実施例1・実施例2を条件式(2)に対応させた結果は、下記のようになっている。
○実施例1
第1面s1の|φREFRy/φREFRx|=0.99
第5面s5の|φREFRy/φREFRx|=0.77
○実施例2
第1面s1の|φREFRy/φREFRx|=0.95
第5面s5の|φREFRy/φREFRx|=0.73
ところで、上記したように、水平方向・垂直方向のパワー差があると、非点隔差の原因になる。また、面のパワーは、曲率、屈折率、入射角度で表される。これより、水平方向・垂直方向の曲率半径の差が大きすぎると、水平方向・垂直方向のパワーの差が大きくなり、非点隔差が大きく発生してしまう。
そこで、本発明の撮像光学系OSでは、光学プリズムPRにおける透過面が、下記に示すような条件式(3)を満たすように形成されていると望ましい。
0.01<|Ry_REFR/Rx_REFR|<100.00 … 条件式(3)
ただし、
物体中心から絞りを通り、像面中心に向かう光線をベース光線としたとき、
Ry_REFR:透過面がベース光線との交点で有する垂直方向の曲率半径[単位:mm]
Rx_REFR:透過面がベース光線との交点で有する水平方向の曲率半径[単位:mm]
である。
この条件式(3)は、全系の非点隔差を許容範囲内に収めるために必要とされる透過面での垂直方向の曲率半径と水平方向の曲率半径との比を規定している。したがって、この条件式(3)の範囲内であれば、本発明は、非点隔差を効果的に抑制した撮像光学系OSといえる。
なお、条件式(3)の規定する条件範囲のなかでも、下記条件式(3a)の範囲を満たすほうが望ましい。
0.10<|Ry_REFR/Rx_REFR|<10.00 … 条件式(3a)
また、実施例1・実施例2を条件式(3)に対応させた結果は、下記のようになっている。
○実施例1
第1面s1の|Ry_REFR/Rx_REFR|=1.01
第5面s5の|Ry_REFR/Rx_REFR|=1.29
○実施例2
第1面s1の|Ry_REFR/Rx_REFR|=1.05
第5面s5の|Ry_REFR/Rx_REFR|=1.38
ところで、一般的に種々の収差が発生しやすいのは、入射光線高さの高い面、入射角度の比較的大きな面が要因になっている。
しかし、本発明の撮像光学系OSでは、光学プリズムPRが比較的屈折率の高い材質で形成されている。そのため、同じ屈折力を得たい場合であっても、本発明の撮像光学系OSは、比較的屈折率の低い材質で形成された光学プリズムを用いた撮像光学系に比べて、光線の入射角度を比較的小さくできる。したがって、本発明の撮像光学系OSは、比較的屈折率の低い材質で形成された光学プリズムを用いた撮像光学系よりも、入射角度に起因する種々の収差を抑制できる。
しかしながら、過剰に小さな入射角度の場合、面での屈折力が弱くなり(パワーが得られなくなり)、撮像光学系OSの大型化が生じかねない。そこで、本発明の撮像光学系OSは、種々の収差発生の抑制化と撮像光学系OSのサイズの小型化との調和を図る観点から、透過面への光線の入射角度を規制している。
具体的には、光学プリズムPRにおける透過面が、以下の条件式(4)を満たすように配置されていると望ましい。
2<θREFR<80 … 条件式(4)
ただし、
物体側から像面側に向かう光線のうち、像面中心から最も離間して像面の隅に結像す る光線を最終辺光線としたとき、
θREFR:最終辺光線の主光線が、透過面に入射するときの入射角度[単位:°] である。
この条件式(4)は、最終辺光線の透過面に対する入射角度について規定してものである。そして、この条件式(4)は、入射角度に基づいて、撮像光学系OSの小型化と、収差発生の抑制化(光学的性能の高性能化)との調和を図るための範囲を規定している。大きく収差が発生するのは、入射光線高さが高い面、入射角度の大きな面が原因となることが多い。そのため、入射角度は、できるだけ小さい方が、収差発生を抑えることができる。
しかしながら、入射角度が小さすぎると、その面での屈折力が弱くなる。本発明では、屈折率の高い媒質を用いるため、同じ屈折力を得るにしても、屈折率の低い媒質に対して、入射角度を小さくすることが可能となる。そのため、従来よりも高性能で、薄型化の光学系が実現する。
なお、条件式(4)の規定する条件範囲のなかでも、下記条件式(4a)の範囲を満たすほうが望ましい。
4<θREFR<60 … 条件式(4a)
また、実施例1・実施例2を条件式(4)に対応させた結果は、下記のようになっている。なお、理解を容易にすべく、図8における像面ISの円A・円C・円G・円Hに至る最終辺光線(光線A・光線C・光線G・光線H)に対応させて結果を示している。
○実施例1
第1面s1のθREFR
・第1面s1に入射する光線A・光線GのθREFR=20.1°
・第1面s1に入射する光線C・光線HのθREFR=15.4°
第5面s5のθREFR
・第5面s5に入射する光線A・光線GのθREFR=21.5°
・第5面s5に入射する光線C・光線HのθREFR=18.4°
○実施例2
第1面s1のθREFR
・第1面s1に入射する光線A・光線GのθREFR=19.7°
・第1面s1に入射する光線C・光線HのθREFR=13.7°
第5面s5のθREFR
・第5面s5に入射する光線A・光線GのθREFR=22.5°
・第5面s5に入射する光線C・光線HのθREFR=18.0°
ところで、本発明の撮像光学系OSでは、条件式(1)を満たすような高屈折率の材料(材質)で構成される光学素子が含まれるようになっている。しかし、光学素子は、上記したような光学プリズムPRに限定されるものではない。例えば、レンズ等であっても構わない。
しかし、偏芯した撮像光学系OSの利点を有効活用する点からは、光学素子は、光路を複数回折り曲げることのできる光学プリズムPRであるとよい。例えば、光線の入射する入射面を1面と、偏芯した面(偏芯面;具体的には偏芯した反射面)を少なくとも1面と、光線の射出する射出面を1面と、を含んでいるような光学プリズムPRが挙げられる。なお、実施例1・実施例2では、第1面s1が入射面、第2面s2・第3面s3・第4面s4が偏芯した反射面、第5面s5が射出面になっている。
また、偏芯光学系を構成するために偏芯配置される光学作用面は、特に限定されるものではない。例えば、光学プリズムにおける入射面、反射面、および射出面のどの面が偏芯配置されてもよい。しかしながら、反射面は、必ず光線を反射させる。そのため、光学プリズムの反射面のうち少なくとも1面が偏芯配置されていると望ましい。かかる構成であれば、光路が折り曲げられ、撮像光学系が薄型になる。
また、本発明の撮像光学系OSでは、光学プリズムPRにおける反射面に入射するベース光線を入射ベース光線とし、反射面によって反射されるベース光線を反射ベース光線とした場合に、反射面は、入射ベース光線と反射ベース光線との成す角度を50°以上にするように配置されていると望ましい。かかる構成であれば、反射面が入射光線をその入射光線に対して垂直方向に近づくようにして反射できる。そのため、本発明は、光路の折りたたみ効果を顕著に発揮し得る撮像光学系OSになる。
また、反射面が入射光線をその入射光線に対して垂直方向に近づけるように反射させるために傾斜配置されている場合、その反射面によって反射された正・負の画角を有する光線の光束がZ方向(光学系の厚み)に多大な影響を及ぼす。この点からも、本発明の撮像光学系OSでは、反射面が入射ベース光線と反射ベース光線との角度を50°以上にするように配置されていると望ましい。
ところで、一般的には、撮像光学系の高性能化を図るためには、光学作用面が多ければ有利といわれている。しかしながら、撮像光学系内に透過面が増加すると、色収差が生じやすくなる。そのため、色収差を補正するための別の光学素子等の追加が必要になり好ましくない(撮像光学系の大型化、コストアップにつながる)。そこで、本発明の撮像光学系OSでは、反射面を少なくとも2面含むようにしている。かかる構成であれば、反射面で色収差が発生しないために、撮像光学系OSが高性能化する。また、色収差の補正のために素子の追加が不要になり、撮像光学系OSが小型化、コストダウンする。
なお、図9は、少なくとも2面の反射面(具体的には、第2面s2・第3面s3・第4面s4の3面)を含む実施例1・実施例2の撮像光学系OSを模式的に示した説明図である。この図9に示すように、反射面によって反射される光線が光学プリズムPR内で交差していると(交差点CP参照)、光路の折りたたみ効果がより一層発揮されるといえる。
そこで、本発明の撮像光学系OSでは、少なくとも2面有る反射面において、ベース光線を続けて反射させる2面の反射面のうち、先にベース光線を反射させる面を先反射面、後にベース光線を反射させる面を後反射面とし、先反射面および後反射面が、先反射面に入射するベース光線と後反射面によって反射するベース光線とを交差させるように配置されている。例えば、実施例1・実施例2では、第3面s3が先反射面、第4面s4が後反射面になっている。
また、物体側からの光線の入射順序で、3番目の光学作用面である第3面s3(反射面)が先反射面になっている。そのため、比較的像面側で、第3面s3に入射するベース光線と第4面s4によって反射するベース光線とが交差することになる。かかるような像面側であれば、物体側での光線に比べて収斂された光線が交差することになる。そのため、交差する光線の光束幅は、物体側での光線の光束幅に比べて小さくなっている。したがって、光線幅に起因した光学プリズムPR(ひいては撮像光学系OS)の大型化は起こり得ない。
なお、本発明の撮像光学系OSにおける光学プリズムPRの偏芯配置された面(反射面等)は、自由曲面になっていると望ましい。かかる構成であれば、例えば、光学作用面における水平方向と垂直方向との曲率半径を適切に設定できる。そのため、非点隔差の要因となる曲率半径の差が自由に設定できることになる。また、偏芯光学系ゆえに発生する偏芯歪曲、偏芯コマ収差、偏芯非点収差等を補正するために必要とされる面の形状の設計が可能にもなる。
また、本発明の撮像光学系OSに含まれる光学プリズムの材質は、特に限定されるものではない。つまり、光学プリズムの材質は、ガラスであっても樹脂(プラスチック材料等)であってもよく、光学材料として用いられる材質であればよい。ただし、温度(熱)等による依存性の少ない材料が好ましい。そこで、光学プリズムに樹脂材料を用いる場合、本発明の撮像光学系OSは、温度依存性の低い樹脂(アサーマル樹脂)を用いるようになっている。より詳説すると、光学プリズムは、温度による屈折率変化(光学的変移;アッベ数等の変化)の比較的少ないアサーマル樹脂を含むようになっている(なお、アサーマル樹脂は、光学プリズム内に部分的に含まれていても全体に含まれていてもよい)。また、特性の異なるアサーマル樹脂を混合させてもよい。こうすることにより、互いに温度による変化を打ち消し合う効果が得られるためである。
かかるような屈折率変化の少ない樹脂材料が光学プリズムに含まれると、撮像光学系OSにおいて、温度変化に基づく屈折率変化に起因した像点位置の変化が抑制される。また、本発明の撮像光学系OSは、偏芯した光学作用面を有している。そのため、軸上で、非点隔差等が生じやすい。しかし、屈折率変化の抑制された樹脂(アサーマル樹脂)から成る光学プリズムであれば、効果的に非点隔差等も抑制される。
なお、このようなアサーマル樹脂の一例として、樹脂(母材)内に最大長30nm以下の粒子〔子材;例えば、酸化ニオブ(Nb25)〕を分散させたものが挙げられる(特開2005−55852号公報参照)。かかるような樹脂(混合樹脂)では、温度上昇に伴った樹脂による屈折率低下と、温度上昇に伴った粒子の屈折率上昇とが同時に発生する。そのため、両方の温度依存性(屈折率低下・屈折率上昇)が互いに相殺され、屈折率変化が起こりにくくなっている。
ここで、温度依存性による屈折率低下と温度依存性による屈折率上昇とによる相殺について、例を挙げて詳説する。温度に依存する屈折率の変化は、ローレンツ・ローレンツの式に基づいて屈折率nを温度tで微分することにより、下記の屈折率温度変化式で表される。
Figure 2007025420
… 屈折率温度変化式
ただし、
α :線膨張係数
[R]:分子屈折
である。
そして、いくつかの樹脂(母材)・無機微粒子(子材)における屈折率温度変化式の値(温度変化A=dn/dt)を求めると、下記の表9・表10のようになる(なお、単位は[/℃]である)。
Figure 2007025420
Figure 2007025420
本発明の撮像光学系OSの光学プリズムは、酸化ニオブを分散させた混合材料に限らず、上記の表9の樹脂に対して、表10の無機微粒子を分散させた混合材料で構成されてもよい(例えばポリオレフィン系の樹脂に酸化アルミニウムを分散させた混合材料で構成されてもよい)。
すると、混合材料(混合樹脂)中には、Aの符号(−)の樹脂と、Aの符号(+)の無機微粒子とが混在することになる。つまり、相反する符号の樹脂・無機微粒子が混合することになる。したがって、光学プリズムにおいて、温度上昇に伴った樹脂による屈折率低下(第1性質)と、温度上昇に伴った無機微粒子の屈折率上昇(第2性質)とが効果的に相殺されることがわかる。特に、かかる相殺(変質)が生じることから、樹脂に対する無機微粒子の比率が少なくとも、十分に光学プリズムの屈折率変化が抑制される。
また、樹脂(母材)に対する無機微粒子の分散量等が適宜調整されることで、アサーマル樹脂に新たな性質変化が生じる場合もある。例えば、無機微粒子(子材)を混合することによって、樹脂材料(母材)、ひいてはアサーマル樹脂の線膨張係数が比較的小さくなるというような性質変化は一例といえる。なお、かかるような性質変化や上記した温度依存による屈折率変化の小さくなる性質を生じさせる方法は、分散量の調整に限定されるものではない。例えば、無機微粒子の「A」の絶対値(Aの符号(+))が比較的大きなものを、樹脂材料に分散させてもよい。また、かかるような「A」の性質を備える他の材料(有機微粒子等)を分散させてもよい。
ところで、樹脂と無機微粒子とのAの符号が同じであっても、温度変化にともなう光学プリズムの屈折率変化を小さくすることもできる。例えば、同符号であってもAの絶対値が樹脂に比べて小さい無機微粒子の場合、その無機微粒子を含む混合樹脂の屈折率変化は、樹脂単独等での屈折率変化に比べて小さくなる。つまり、無機微粒子を含むことによって、混合樹脂は、樹脂単独よりも温度変化に依存した屈折率変化を小さくできるようになっている。ただし、樹脂と異なるAの符号を有する無機微粒子を分散させた方が、樹脂と同符号のAを有する無機微粒子を分散させる場合に比べて、分散量を少なくできる。
〔3.その他の実施例について〕
ここで、上記してきた特徴を有し、それらの特徴に対応する作用効果を奏じる他の撮像光学ユニット(実施例3)について説明する。なお、実施例1・2で用いた部材と同様の機能を有する部材については、同一の符号を付記し、その説明を省略する。また、上記した条件式(1)〜条件式(4)に実施例3の撮像光学ユニットOSUを対応させた値は、下記のようになっている。
○実施例3
・条件式(1)
光学プリズムPR(PR1)の屈折率=2.0017
光学プリズムPR(PR2)の屈折率=2.0820
・条件式(2)
第1面s1の|φREFRy/φREFRx|=1.25
第3面s3の|φREFRy/φREFRx|=0.90
第4面s4の|φREFRy/φREFRx|=0.91
第7面s7の|φREFRy/φREFRx|=5.26
・条件式(3)
第1面s1の|Ry_REFR/Rx_REFR|=0.80
第3面s3の|Ry_REFR/Rx_REFR|=1.17
第4面s4の|Ry_REFR/Rx_REFR|=1.16
第7面s7の|Ry_REFR/Rx_REFR|=0.19
・条件式(4)
第1面s1のθREFR[単位:°]
第1面s1に入射する光線A・光線GのθREFR=4.2
第1面s1に入射する光線C・光線HのθREFR=4.0
第3面s3のθREFR[単位:°]
第3面s3に入射する光線A・光線GのθREFR=12.6
第3面s3に入射する光線C・光線HのθREFR=19.8
第4面s4のθREFR[単位:°]
第4面s4に入射する光線A・光線GのθREFR=32.8
第4面s4に入射する光線C・光線HのθREFR=52.2
第7面s7のθREFR[単位:°]
第7面s7に入射する光線A・光線GのθREFR=11.8
第7面s7に入射する光線C・光線HのθREFR=16.8
〈3−1.実施例3の撮像光学ユニットについて(図10参照)〉
図10(実施例3)は、撮像光学ユニットOSUの光学断面図を示している。この図10に示すように、撮像光学ユニットOSUは、撮像光学系OSと撮像素子SRとを含んでいる。
〈撮像光学系について〉
撮像光学系OSは、図10に示すように、光学プリズムPR(第1光学プリズムPR1・第2光学プリズムPR2)および平行平面板PTを含んでいる。
《光学プリズムについて》
第1の光学プリズムPR1は3面の光学作用面を有し、第2の光学プリズムPR2は4面の光学作用面を有している。そのため、実施例3の撮像光学系OSでは、光学プリズムPRは、合計7つの光学作用面(s1〜s7)を有している。
第1面s1は、物体側(物面側)からの光線を最初に受けるとともに透過する面、すなわち、光学プリズムPRの入射面(透過面)になっている。
第2面s2は、第1面s1を透過(通過)してきた光線を、第3面s3に向けて反射させる反射面となっている。第3面s3は、第2面s2によって反射されてきた光線を第2光学プリズムPR2に向けて射出(透過)する射出面になっている。
第4面s4は、第1光学プリズムPR1の第3面s3からの光線を入射(透過)させる
、第2の光学プリズムPR2の面(第4面S4)に向けて射出させる射出面となっている。
第4面S4は、第1光学プリズムPR1の第3面S3からの反射光線(射出光線)を、第5面S5に向けて透過させる透過面(入射面)となっている。第5面(先反射面)S5は、第4面S4からの光線(透過光線)を第6面S6に向けて反射させる反射面となっている。
なお、第5面S5には、光学絞りST(例えば円形の絞り形状を有する光学絞り)が施されるようになっている。
第6面(後反射面)S6は、第5面S5から反射されてきた光線(反射光線)を第7面S7に向けて反射させる反射面となっている。第7面S7は、第6面S6からの反射光線を射出(透過)させる射出面となっている。
なお、上記の第1面S1〜第7面S7までの各面は、自由曲面(*)で構成されるようになっている。
《平行平面板について》
そして、平行平面板PTは、実施例1・実施例2同様に、2面構成となっている。そして、光学プリズムPRの第7面S7からの射出光線を、最初に受けるとともに透過させる面を第8面S8と表現している。また、この第8面S8を透過してきた光線を、受けるとともに透過させる面を第9面S9と表現している。
〈実施例3のコンストラクションデータについて〉
ここで、実施例3の撮像光学ユニットOSUにおけるコンストラクションデータについて、表11〜表14を用いて説明する。なお、表11は表1と、表12は表3と、表13は表5と、表14は表7と、同様の表現になっている。
Figure 2007025420
Figure 2007025420
Figure 2007025420
Figure 2007025420
〈実施例3の収差図について〉
なお、図11(図11A〜図11F)・図12(図12A〜図12F)は、実施例3における撮像光学ユニットOSUの横収差図である。そして、これらの図11・図12は、図4・図5と同様の表現になっている。
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
〔1.反射面の反射率について〕
例えば、撮像光学系OSにおいて複数含まれる反射面の全てが、反射率80%以上であることが好ましい。撮像光学系(全系)OSの反射率は、各反射面の掛け算で求められるためである。しかし、別表現すると、撮像光学系OSとして反射率を向上させるためには、複数含まれる反射面の少なくとも1面が反射率80%以上であればよいともいえる。少なくとも1面でも反射率が80%以上であれば、撮像光学系OSの反射率の向上に大きく寄与するためである。
〔2.反射面の領域について〕
また、光学プリズムの反射面は、反射領域と吸収領域とを含むような構成でもよいし、反射領域と遮光領域とを含むような構成でもよい。あるいは、光学プリズムの反射面は、反射領域と透過領域とを含むような構成でもよい。つまり、光学プリズムの反射面が、反射領域と非反射領域(吸収領域、遮光領域、透過領域等)とを含むような構成でもよい。
かかる構成であれば、例えば反射面の非反射領域と、反射面の端部(エッジ)との位置を対応させることができる。すると、エッジでの反射に起因する迷光が起こり得ない。また、この反射面の非反射領域を、光学プリズムを撮像装置等に取り付けるための保持部分として機能させることもできる。
〈2−1.反射領域の特徴について〉
なお、反射面における反射領域にも、種々の特徴があってもよい。例えば反射領域が、鏡面状態でもよい。かかる構成であれば、反射領域上に、凹凸や波打ち形状(リップル)が存在しないことになる。そのため、反射領域上で、リップル等に起因した迷光が生じることなく、さらに反射効率も向上する。
また、反射コート等が施されることで、反射領域が形成されてもよい。かかるような構成であれば、所望の位置のみを反射領域として機能させることができる。例えば光学絞りST等の有効径内(有効範囲内)に対応する部分のみを反射領域にできる。
なお、反射領域に施される反射コートとしては、種々のコーティングが挙げられる。そこで、下記にいくつかのコーティングとその特徴について列挙する。
・アルミ蒸着のコーティング
かかるコーティングは、比較的高い反射率を発揮する。その上、比較的安価なコー ティングである。
・アルミ増反射のコーティング
かかるコーティングは、比較的高価ではあるがアルミ蒸着のコーティングよりも高 い反射率を発揮する。
・誘電体のコーティングおよび銀蒸着のコーティング
両コーティングとも、比較的高価ではあるが極めて高い反射率を発揮する。そのた め、光線が複数回の反射を繰り返す場合であっても、光量損失が抑制される。
すると、光学プリズムにおける全ての反射面がアルミ蒸着コーティング面で構成される場合、反射面形成のコストが抑えられ、ひいては光学プリズム自体のコストも抑制される。しかしながら、その光学プリズム全体の反射率は、他のコーティングの面(誘電体のコーティング面等)で構成される光学プリズムの反射率に比べて、低い反射率になってしまう。逆に、光学プリズムにおける全ての反射面が誘電体コーティング面で構成される場合、極めて高い反射率のために、光学プリズム全体の反射率は高くなる。しかしながら、高価なコーティングゆえに、光学プリズム自体のコストが上昇してしまう。
そこで、本発明の撮像光学系OSでは、光学プリズムの反射面として、上記のコーティングの反射面(アルミ蒸着コーティング面、アルミ増反射コーティング面、誘電体コーティング面、または銀蒸着コーティング面)が混在するようにしてもよい。かかるような構成であれば(例えば、4種の面から複数種を選択するような構成であれば)、コストを抑制させつつつも、反射率を向上させた光学プリズムが実現するためである。
〈2−2.非反射領域の特徴について〉
また、反射面における非反射領域(特に吸収領域・遮光領域)にも、種々の特徴があってもよい。例えば、非反射領域が、粗研削されることで形成されてもよい。粗研削は、例えばカーブジェネレータを利用する。そのため、比較的簡単に反射面の所望の領域が、非反射領域へと仕上げられる。また、粗研削自体のコストも安価というメリットもある。
また、非反射領域は、粗面加工されることで形成されてもよい。粗面加工は、例えば金型プレスによって行われる。具体的には、金型の一部を粗くしたプレス加工によって行われる。そのため、比較的簡単かつ安価に反射面の所望の領域が、非反射領域へと仕上げられる。なお、粗面加工は、粗い研磨(例えば研磨剤なしの研磨;仕上げなしの研磨)によって行われてもよい。
なお、例えば上記のような方法(粗研削、粗面加工)は、面表面を凹凸等にすることで、非反射領域を形成している。そこで、かかるような方法を用いる場合、反射面上から隆起した微少な片(隆起片;例えばピラミッドのような四角錐)の散点する非反射領域が形成されるようにしてもよい。つまり、光線を散乱させるような隆起片を複数備えた非反射領域が形成されてもよい。
このような非反射領域であれば、隆起片近傍で光線が減衰するので、迷光を抑制できるというメリットが生じる。ただし、隆起片を含むタイプの非反射領域の形成方法は、上記の方法(粗研削、粗面加工)に限定されるものではない。なお、安価な金型プレス等で、隆起片を含む非反射領域を形成すれば、迷光対策用の別個の部材を設けることなく、光学プリズムを撮像光学系OSに組みこむことができるというメリットもある。
ところで、以上のような非反射領域は、反射面に凹凸等の隆起を設けることで構成されている。しかし、非反射領域は、このようなタイプに限定されるものではない。例えば、反射面の一部を黒染することで、非反射領域が形成されてもよい。かかる場合、非反射領域の面自体に変形等が生じない。そのため、その非反射領域の面を、光学プリズムの取付位置基準として機能させることができる。
また、非反射領域は、有機溶剤による化学反応によって形成されてもよい。化学反応の場合、複数の反射面をまとめて有機溶剤に浸したり、有機溶剤を一度に複数の反射面に塗布したりできる。そのため、一度で多量の処理(生産)を行えるというメリットがある。また、光学プリズム材料の性質を変化させることで非反射領域が形成されているならば、上記同様、非反射領域の面自体に変形等が生じない。したがって、かかる場合、黒染による非反射領域同様の効果が奏じる。
〔3.好ましいコーティングについて〕
ところで、本発明のような撮像光学系OS(撮像光学ユニットOSU)では、種々の波長域の光線が入射している。そして、これら光線においては、光線を結像するという点で、不要な光線(例えば赤外線)も含まれている。しかしながら、CCDのような撮像素子SRは、かかるような赤外線の波長域(長波長域)に対しても感度を有する。そのため、この赤外線に起因して、撮像素子SRの受光面(撮像面)に悪影響が生じる場合がある。
そこで、本発明では、光学プリズムにおける面(透過面または反射面)のいずれかに、長波長域の光線を吸収するコーティングが施されてもよい。かかる構成であれば、例えば、撮像素子SRの前にIRカットフィルタとして機能する平行平面板等を配置させる必要がなくなる。その結果、コスト抑制の図れた上、高性能な(例えば高解像力を発揮する)撮像光学系OSが実現する。
〔4.光学絞りの形状について〕
また、光学絞りSTの形状についても、特に限定されるものではない。例えば、円形であっても楕円形であってもよい。また、多角形状や、非対称な形状の光学絞りSTであってもよい。
本発明の撮像光学系を含む撮像光学ユニット(実施例1)の光学断面図である。 本発明の撮像光学系を含む撮像光学ユニット(実施例2)の光学断面図である。 右手系XYZ座標の説明図である。 実施例1の撮像光学ユニットにおけるX方向での横収差図である。 実施例1の撮像光学ユニットにおけるY方向での横収差図である。 実施例2の撮像光学ユニットにおけるX方向での横収差図である。 実施例2の撮像光学ユニットにおけるY方向での横収差図である。 像面ISにおけるローカルな直交座標の説明図である。 実施例1・実施例2の撮像光学系OSを模式的に示した説明図である。 本発明の撮像光学系を含む撮像光学ユニット(実施例3)の光学断面図である。 実施例3の撮像光学ユニットにおけるX方向での横収差図である。 実施例3の撮像光学ユニットにおけるY方向での横収差図である。
符号の説明
OS 撮像光学系
OSU 撮像光学ユニット
PR 光学プリズム(光学素子)
PR1 第1光学プリズム(光学素子)
PR2 第2光学プリズム(光学素子)
ST 光学絞り(絞り)
SR 撮像素子
IS 像面
BL ベース光線
si 光学作用面(光学面)
* 自由曲面

Claims (17)

  1. 少なくとも1個以上の光学素子を備えており、
    上記光学素子の少なくとも1個が偏芯配置した光学作用面である偏芯面を少なくとも1面含む撮像光学系であって、
    上記光学素子の少なくとも1個が、以下の条件式(1)を満たすように形成されていることを特徴とする撮像光学系;
    nd>1.85 … 条件式(1)
    ただし、
    nd:少なくとも1個の光学素子のd線に対する屈折率
    である。
  2. 上記光学素子における透過面が、以下の条件式(2)を満たすように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像光学系;
    0.01<|φREFRy/φREFRx|<100.00
    … 条件式(2)
    ただし、
    物体中心から絞りを通り、像面中心に向かう光線をベース光線としたとき、
    φREFRy:透過面がベース光線との交点で有する垂直方向のパワー
    φREFRx:透過面がベース光線との交点で有する水平方向のパワー
    である。
  3. 上記光学素子における透過面が、以下の条件式(3)を満たすように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像光学系;
    0.01<|Ry_REFR/Rx_REFR|<100.00
    … 条件式(3)
    ただし、
    物体中心から絞りを通り、像面中心に向かう光線をベース光線としたとき、
    Ry_REFR:透過面がベース光線との交点で有する垂直方向の曲率半径
    Rx_REFR:透過面がベース光線との交点で有する水平方向の曲率半径
    である。
  4. 上記光学素子における透過面は、以下の条件式(4)を満たすように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像光学系;
    2<θREFR<80
    … 条件式(4)
    ただし、
    物体側から像面側に向かう光線のうち、像面中心から最も離間して像面の隅に結像す る光線を最終辺光線としたとき、
    θREFR:最終辺光線の主光線が透過面に入射するときの入射角度[単位:°]
    である。
  5. 上記光学素子は、光線が通過する光学プリズムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像光学系。
  6. 上記光学プリズムは、複数の光学作用面を有しており、
    これらの光学作用面は、
    上記光線の入射する入射面を1面と、
    上記偏芯面を少なくとも1面と、
    上記光線の射出する射出面を1面と、
    を含んでいることを特徴とする請求項5に記載の撮像光学系。
  7. 上記偏芯面のうち、少なくとも1面が、反射面であることを特徴とする請求項6に記載の撮像光学系。
  8. 物体中心から絞り中心を通り、像面中心に向かう光線をベース光線とし、
    上記反射面に入射する上記ベース光線を入射ベース光線とする一方、上記反射面によって反射される上記ベース光線を反射ベース光線とした場合、
    上記反射面は、上記の入射ベース光線と反射ベース光線との成す角度を50°以上にするように配置されていることを特徴とする請求項7に記載の撮像光学系。
  9. 上記反射面が、少なくとも2面備わっていることを特徴とする請求項7または8に記載の撮像光学系。
  10. 少なくとも2面有る上記反射面において、
    上記ベース光線を続けて反射させる2面の上記反射面のうち、先にベース光線を反射させる面を先反射面、後にベース光線を反射させる面を後反射面とした場合、
    上記の先反射面および後反射面は、先反射面に入射するベース光線と後反射面によって反射するベース光線とを交差させるように配置されていることを特徴とする請求項9に記載の撮像光学系。
  11. 上記の先反射面は、上記光線の物体側からの入射順序で、3番目以降の光学作用面になっていることを特徴とする請求項10に記載の撮像光学系。
  12. 上記偏芯面は、自由曲面になっていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の撮像光学系。
  13. 少なくとも1個の上記光学素子は、樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の撮像光学系。
  14. 上記樹脂は、温度に依存した光学的変移を抑制する特性を有していることを特徴とする請求項13に記載の撮像光学系。
  15. 上記樹脂は、母材および子材を含んでおり、
    上記母材の有する第1性質が、上記子材の有する第2性質によって変質することで、上記光学的変移が抑制されていることを特徴とする請求項14に記載の撮像光学系。
  16. 上記光学的変移は、温度に依存した上記樹脂の屈折率変化であることを特徴とする請求項14または15に記載の撮像光学系。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の撮像光学系と、この撮像光学系からの光線を受光する撮像素子とを含む撮像光学ユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101438691B1 (ko) * 2013-12-04 2014-09-12 주식회사 에픽옵틱스 홍채인식 장치용 광학계 및 이를 구비한 홍채인식 카메라

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