JP2007024155A - クランクシャフト - Google Patents

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衡平 西畑
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Abstract

【課題】回転に際して作用する抵抗を好適に低減することのできるクランクシャフトを提供する。
【解決手段】このクランクシャフトは、クランクジャーナル12とクランクピン14とを連結するアーム20を備える。アーム20にはカウンタウェイト24が設けられるとともにカバー26が取り付けられる。カバー26によって、アーム20はそのクランクジャーナル12の径方向側が覆われる。カバー26を取り付けることにより、アーム20が円板形状に形成される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関のクランクシャフトに関するものである。
車載用内燃機関のクランクシャフトはクランクピンとクランクジャーナルとを連結するアームを備えており、このアームにはクランクシャフトの回転速度の脈動を抑制するためのカウンタウェイトが設けられている。カウンタウェイトは、アームの重心をクランクシャフトの回転軸から偏倚した位置にする形状のものであり、同アームの一端から突出するように設けられる。具体的には、例えば図4に示すクランクシャフト100のように、カウンタウェイト102は、クランクピン104とクランクジャーナル106とを連結するアーム108の一端から扇状に突出するように設けられる。
ところで、クランクシャフトが取り付けられるクランクケース内には潤滑用あるいは冷却用のオイルが多量に飛散しているため、この飛散オイルが、アームから突出しているカウンタウェイトの回転方向前側の端面に衝突して同クランクシャフトの回転力に抗する抵抗となってしまう。またクランクシャフトによってクランクケース内のガスや同クランクケース下部に溜まっているオイルが攪拌されており、これに伴い発生するカウンタウェイトの端面における摩擦抵抗もクランクシャフトの回転力に抗する抵抗となる。そして、それら抵抗がクランクシャフトの回転力(機関トルク)を不要に低下させる一因となっている。
ちなみに従来、そうした機関トルクの不要な低下を抑制するために、カウンタウェイトの端面を流線形状に形成して、同カウンタウェイトに作用する抵抗を低減させることが提案されている(特許文献1参照)。
実開平5−27330号公報
ここで、内燃機関の燃費性能の向上に対する要求が年々高まっている。そして、これに応えるべく、上述したように機関トルク低下の一因であるクランクシャフトに作用する抵抗についてもその更なる低減が強く望まれている。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転に際して作用する抵抗を好適に低減することのできるクランクシャフトを提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
先ず、請求項1に記載の発明は、カウンタウェイトが設けられたアームによりクランクピンとクランクジャーナルとが連結されるクランクシャフトにおいて、前記アームにはこれを前記クランクジャーナルの径方向から覆う形状補正部材が取り付けられ、同取り付け状態において前記アームは円板形状を呈してなることをその要旨とする。
ここで、形状補正部材が設けられないクランクシャフトにあって、前述したオイル衝突による抵抗や摩擦抵抗といったカウンタウェイトに作用する抵抗を極力小さくするためには、カウンタウェイトを含むアームを円板形状に形成すればよい。しかしながら、同アームは、その機能上、重心がクランクシャフトの回転軸から偏倚されるものであるため、それ自体を円板形状に形成することは難しい。
上記構成によれば、アームの重心をカウンタウェイトによってクランクシャフトの回転軸から偏倚させつつ、形状補正部材を取り付けることによって同アームを円板形状に形成することができるようになる。そのため、カウンタウェイト、ひいてはアームに作用する抵抗を好適に低減することができるようになり、クランクシャフトの回転に際して作用する抵抗を好適に低減することができるようになる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクランクシャフトにおいて、前記アームは前記形状補正部材が取り付けられた状態において前記クランクジャーナルの回転軸を中心とする円板形状を呈してなることをその要旨とする。
上記構成によれば、クランクシャフトの回転に伴ってアームが回転しても、同アームの中心位置は殆ど変化しない。そのため、アームの中心とクランクシャフトの回転軸とが異なる場合と比較して、同アームに作用する摩擦抵抗を小さくすることができるようになり、クランクシャフトに作用する抵抗をより好適に低減することができるようになる。
以下、本発明にかかるクランクシャフトを具体化した一実施の形態について説明する。
ここでは先ず、本実施の形態にかかるクランクシャフトの概略構成について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、クランクシャフト10は、同一軸線L1上に所定間隔をおいて設けられた複数のクランクジャーナル12と、各クランクジャーナル12の長手方向端部にそれぞれ固定されたアーム20と、上記クランクジャーナル12に対して平行になるように、各アーム20間に固定されたクランクピン14とにより構成されている。
このクランクシャフト10は、そのクランクジャーナル12が内燃機関(図示略)に回転可能に支持されるとともに、クランクピン14がコンロッドを介してピストン(共に図示略)に連結される。そしてピストンの往復移動によってクランクピン14がコンロッドにより押されることにより、クランクシャフト10はクランクジャーナル12の軸線L1を中心に回転する。
次に、図2及び図3を参照して、上記アーム20の構造について詳細に説明する。
なお図2はアーム20の斜視構造を示し、図3はアーム20を図1の矢印A方向から見た側面構造を示している。
図2及び図3に示すように、上記アーム20は、クランクアーム22、カウンタウェイト24、及びカバー26により構成されている。
クランクアーム22はクランクジャーナル12及びクランクピン14にそれぞれ固定されている。このクランクアーム22によってクランクジャーナル12とクランクピン14とが連結される。
カウンタウェイト24は、クランクアーム22の一端から扇状に突出するように同クランクアーム22に設けられる。カウンタウェイト24は、アーム20の重心をクランクシャフト10の回転軸から偏倚させるために設けられる。
カバー26は、クランクアーム22及びカウンタウェイト24を上記クランクジャーナル12の径方向から覆うように設けられる。このカバー26は具体的には、アーム20に取り付けられた状態において同アーム20が円板形状(詳しくは、断面真円の平板形状)になる形状であり且つその中心がクランクシャフト10の回転軸(軸線L1)と一致するようになる形状に形成され、クランクアーム22及びカウンタウェイト24に設けられる。なおカバー26は、クランクシャフト10の重量増加を抑えつつアーム20の重心を適正に偏倚させるために、クランクアーム22やカウンタウェイト24を形成する材料よりも軽い材料を用いて中空形状(図2参照)に形成される。本実施の形態では、そうしたカバー26の重量や形状も考慮した上で、アーム20の重心が所望の位置になるように上記カウンタウェイト24の形状が設定されている。
ちなみに、上記クランクシャフト10は、例えば鋳造等によってカバー26以外の部分を一体成形し、これに別途形成したカバー26を接着やボルト締結などによって取り付けるといった手順で形成される。またカバー26の内部にオイルが侵入するとアーム20の重心が変化してしまうため、カバー26の取り付けに際してはその内部にオイルが侵入しないように、必要に応じて適宜の部位にシール処理が施される。シール処理が必要になる可能性のある部位としては、例えばカバー26自体や、同カバー26とカウンタウェイト24との間、並びにカバー26とクランクアーム22との間等が考えられる。
ここで、カバー26が設けられないクランクシャフトにあって、前述したオイル衝突による抵抗や摩擦抵抗といったカウンタウェイトに作用する抵抗を極力小さくするためには、クランクアームとカウンタウェイトとにより構成されるアームを円板形状に形成すればよい。しかしながら、同アームは、その機能上、重心がクランクシャフトの回転軸から偏倚されるものであるため、それ自体を円板形状に形成することは難しい。
本実施の形態では、クランクアーム22、カウンタウェイト24及びカバー26により構成されるアーム20が円板形状に形成される。これにより、カウンタウェイト24を含むアーム20に作用する抵抗、ひいてはクランクシャフト10に作用する抵抗を極力低減することができる。またアーム20の重心を、カウンタウェイト24によってクランクシャフト10の回転軸L1から偏倚させることもできる。
しかも、円板形状のアーム20の中心とクランクシャフト10の回転軸L1とが一致しているため、クランクシャフト10の回転に伴ってアーム20が回転しても、同アーム20の中心位置は殆ど変化しない。そのため、クランクケース(図示略)内のガスや同クランクケース下部に溜まっているオイルがアーム20によって攪拌される度合いを極力低くすることができるようになる。したがって、アームの中心とクランクシャフトの回転軸とが異なる場合と比較して、上記アーム20に作用する摩擦抵抗を小さくすることができ、クランクシャフト10に作用する抵抗をより好適に低減することができるようになる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)アーム20にこれをクランクジャーナル12の径方向から覆うカバー26を取り付けることにより、同アーム20を円板形状に形成するようにした。そのため、カウンタウェイト24によってアーム20の重心をクランクシャフト10の回転軸L1から偏倚させつつ、同アーム20に作用する抵抗を極力低減することができるようになり、クランクシャフト10の回転に際して作用する抵抗を好適に低減することができるようになる。
(2)円板形状のアーム20の中心とクランクシャフト10の回転軸とが一致しているため、クランクシャフト10に作用する抵抗をより好適に低減することができるようになる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・カバー26は、中空形状に形成することの他、内部に空洞のない中実形状に形成することもできる。この場合、前述したシール処理を省略することも可能になる。なおカバー26を中空形状に形成する場合であっても、その内部にオイルが侵入するおそれがないのであれば、上記シール処理を施す必要はない。
・アーム20の中心がクランクシャフト10の回転軸L1から若干ずれた位置になるように、同アーム20を設けるようにしてもよい。
・アーム20を、断面真円の平板形状に形成することの他、同形状に近い円板形状に形成することも可能である。具体的には、例えば断面楕円の平板形状等、外周面が緩やかな曲線となる平板形状であればよい。なおアーム20に作用する摩擦抵抗を最も効果的に低減することのできる形状は、断面真円の平板形状である。
・カバー26に代えて、クランクアーム22及びカウンタウェイト24の全体を覆うカバーを設けるようにしてもよい。
本発明を具体化した一実施の形態にかかるクランクシャフトについてその側面構造を示す側面図。 同クランクシャフトのアームを拡大して示す斜視図。 図1の矢印A方向から見たアームを示す側面図。 従来のクランクシャフトの一部を拡大して示す斜視図。
符号の説明
10…クランクシャフト、12…クランクジャーナル、14…クランクピン、20…アーム、22…クランクアーム、24…カウンタウェイト、26…形状補正部材としてのカバー。

Claims (2)

  1. カウンタウェイトが設けられたアームによりクランクピンとクランクジャーナルとが連結されるクランクシャフトにおいて、
    前記アームにはこれを前記クランクジャーナルの径方向から覆う形状補正部材が取り付けられ、同取り付け状態において前記アームは円板形状を呈してなる
    ことを特徴とするクランクシャフト。
  2. 請求項1に記載のクランクシャフトにおいて、
    前記アームは前記形状補正部材が取り付けられた状態において前記クランクジャーナルの回転軸を中心とする円板形状を呈してなる
    ことを特徴とするクランクシャフト。
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