JP2007018835A - 真空遮断器用電気接点およびその製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明の目的は、遮断性能と低サージ性を兼ね備えた真空遮断器を提供することにある。
【解決手段】
電気接点として、Crと、CuまたはAgのいずれか一方と、炭化物からなり、CuまたはAgのいずれか一方を主成分としたマトリックス中に、周囲を炭化物で囲まれたCrが分散した組織をなすものを用いる。
CrとCuまたはAgのいずれか一方を含むことにより、十分な遮断性能が得られ、また、電流遮断時における炭化物の昇華現象によって裁断電流を小さくするとともに、アーク駆動を促進し、優れた遮断性能を発揮することができる。さらにこの炭化物は、おもにCrの周辺を囲んで存在することにより、CuまたはAgのいずれか一方を主成分としたマトリックスの通電性能を確保し、前述の低サージ性向上作用を発揮できる。
【選択図】なし
本発明の目的は、遮断性能と低サージ性を兼ね備えた真空遮断器を提供することにある。
【解決手段】
電気接点として、Crと、CuまたはAgのいずれか一方と、炭化物からなり、CuまたはAgのいずれか一方を主成分としたマトリックス中に、周囲を炭化物で囲まれたCrが分散した組織をなすものを用いる。
CrとCuまたはAgのいずれか一方を含むことにより、十分な遮断性能が得られ、また、電流遮断時における炭化物の昇華現象によって裁断電流を小さくするとともに、アーク駆動を促進し、優れた遮断性能を発揮することができる。さらにこの炭化物は、おもにCrの周辺を囲んで存在することにより、CuまたはAgのいずれか一方を主成分としたマトリックスの通電性能を確保し、前述の低サージ性向上作用を発揮できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、真空遮断器,真空開閉器等に用いられる新規な真空バルブ用電気接点、並びにその製法に関する。
真空遮断器等の受配電機器には小型化が求められており、真空バルブを小径・小型化するために、真空バルブ内の電気接点の遮断性能を向上させ、小さい電気接点で大電流を遮断する必要がある。遮断性能に優れる電気接点としては、おもにCr−Cu系が用いられる(特許文献1)。
また、真空バルブを誘導性回路に用いて電流を遮断すると、異常サージ電圧が発生して負荷機器の絶縁破壊などを引き起こす恐れがある。従って異常サージ電圧を抑制するために裁断電流値を小さくする必要がある。よって電気接点に求められる他の要件の一つに、裁断電流値が小さいことが挙げられる。裁断電流値の小さい低サージ型の電気接点としては、例えばCo−Ag−Se系などが挙げられる(特許文献2,特許文献3)。
Cr−Cu系などの電気接点を用いた真空遮断器では、遮断性能に優れ大電流の遮断が可能であるものの、大電流遮断に伴いサージ電圧が発生する。従って、異常サージ電圧を吸収するためのサージアブソーバを併用する必要があり、機器の大型化や高価格化につながる問題があった。
また、Co−Ag−Seなどの電気接点を用いた真空遮断器は、低サージ性に優れるものの、大電流遮断に不向きであった。
遮断性能が高いほど電流がゼロになる前に電流が遮断され、大きい裁断電流が発生するため、遮断性能と低サージ性の性質は理論上相反するものと考えられている。従って遮断性能の高い電気接点と、低サージ性に優れる電気接点とを、真空遮断器の機種・用途によって使い分けているのが現状である。
本発明の目的は、遮断性能と低サージ性を兼ね備えた真空遮断器を提供することにある。また、真空遮断器等の小型化や低価格化を可能とする電気接点とその製法を提供することにある。
本発明の電気接点は、Crと、CuまたはAgのいずれか一方と、炭化物からなり、
CuまたはAgのいずれか一方を主成分としたマトリックス中に、周囲を炭化物で囲まれたCrが分散した組織をなすものである。
CuまたはAgのいずれか一方を主成分としたマトリックス中に、周囲を炭化物で囲まれたCrが分散した組織をなすものである。
上記構成とすれば、真空遮断器の小型化とともに、大電流の遮断が可能な真空遮断器を提供することができる。また、遮断性能と低サージ性を兼ね備えた真空遮断器を提供することが可能である。
本発明の電気接点は、Crと、CuまたはAgのいずれか一方と、炭化物を含むものであって、CuまたはAgのいずれか一方を主成分とした母材中に、周囲を炭化物で囲まれたCrが分散した組織をなすものである。炭化物で囲まれるとは、CrまたはCrを主成分とする粒子の周囲に炭化物が凝集している状態であればよく、Cr全体が炭化物で被覆されている必要はない。言い換えれば、CuまたはAgとの相とCrの相との境に炭化物が集中して存在する状態である。
CrとCuまたはAgのいずれか一方を含むことにより、十分な遮断性能が得られ、また、電流遮断時における炭化物の昇華現象によって裁断電流を小さくするとともに、アーク駆動を促進し、優れた遮断性能を発揮することができる。さらにこの炭化物は、おもにCrの周辺を囲んで存在することにより、CuまたはAgのいずれか一方を主成分としたマトリックスの通電性能を確保し、前述の低サージ性向上作用を発揮できる。
上記成分の配合比は、5〜40重量%のCrと、0.5 〜15重量%の炭化物とを含み、残部がCuまたはAgのいずれか一方とすることが好ましい。
炭化物は、クロムの形状が判別できる程度の量が含まれることが好ましい。上記範囲であれば、通電性能や耐電圧性能,耐溶着性能等の各性能のバランスに優れた電極を得ることができる。
本発明の電気接点の製法は、Cr,CuまたはAgのいずれか一方、および炭化物の粉末を混合した混合粉末を、加圧成形した後に焼結するものである。本発明の電気接点の原料となる各成分の粒径はCrとCuまたはAgのいずれか一方の粉末の粒径が75μm以下、炭化物の粉末の粒径が20μm以下が好ましい。成形性に優れ、均一かつ、Crの周囲が炭化物で囲まれた所望の組織が得られるためである。焼結は真空中または不活性雰囲気中において、CuまたはAgの融点以下の温度で焼結することが好ましい。これにより、最終形状のニアネット成形が可能となり、後加工が不要で、安価な電気接点を得ることができる。加圧成形は120〜500MPaの加圧成形圧力で成形することが好ましい。成形圧力が120MPaより低いと、成形体のハンドリングが困難で、500MPaより高いと、原料粉末が金型に凝着しやすく、金型寿命が短縮するとともに生産性が低下することとなるからである。
また、本発明の電気接点は、裁断電流値が1〜2.5A で、かつ、電極径x(mm)に対して遮断可能な最大電流値y(kA)が式(1)で求められる範囲にあるものである。
0.44x<y<1.32x …式(1)
このような範囲であれば、サージアブソーバを必要とせず、かつ大電流に対応可能な真空遮断器を提供することができる。前述の成分及び組織を有することにより、上記範囲は達成され、低サージ性と優れた遮断性能を兼ね備えることが可能となる。
このような範囲であれば、サージアブソーバを必要とせず、かつ大電流に対応可能な真空遮断器を提供することができる。前述の成分及び組織を有することにより、上記範囲は達成され、低サージ性と優れた遮断性能を兼ね備えることが可能となる。
本発明の電気接点における炭化物としては、SiC,TiC,WC,Cr3C2,Be2C,B4C,ZrC,HfC,NbC,TaC,ThC,VC が挙げられる。これらは一種類であってもよいし、複数を混合して用いてもよい。特に融点または分解点が1800℃以上のものが好ましい。これらの炭化物は電流遮断時に生ずるアークによって昇華する性質を有するため、裁断電流を小さくすることができるとともに優れた遮断性能が得られる。
本発明の電気接点を用いた電極は、円盤形状を有し、円盤の円中心に形成された中心孔と、この中心孔に対して非接触で円中心から外周部に向かって形成された複数本の貫通したスリット溝とを有するものである。スリット溝によって分離された羽根型の平面形状をなすこととなる。これにより、電極中心にアークが発生するのを防ぐとともに、スリット溝によってアークを外周方向へ駆動し、アーク停滞による遮断不能を防止することができる。
また、本発明の電気接点を用いた電極は、円盤状部材と、この円盤状部材のアーク発生面の反対面に一体に接合された電極棒とを有するものである。円盤状部材が本発明の電気接点からなる。これにより、所望の性能を有する電極が得られる。
本発明に関わる真空バルブは、真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備え、その少なくとも一方が、本発明の電気接点を用いた電極からなるものである。
本発明に関わる真空遮断器は、少なくとも一方に本発明の電気接点を用いた固定側電極及び可動側電極を真空容器内に備えた真空バルブと、この真空バルブ内の固定側電極及び可動側電極の各々に真空バルブ外に接続された導体端子と、可動側電極を駆動する開閉手段とを備えたものである。これにより、優れた遮断性能と低サージ性を兼ね備えた真空遮断器、さらには各種真空開閉装置が得られる。
以下、発明を実施するための形態を実施例によって詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
Cuをマトリックスとし、周囲をSiCで囲まれたCr粒子が分散する組織をなす電気接点を作製し、これを用いて電極を作製した。図1は、作製した電極の構造を示す図である。図1において、1は電気接点、2はアークに駆動力を与えて停滞させないようにするためのスパイラル溝、3はステンレス製の補強板、4は電極棒、5はろう材、51は電極中央にアークを生じさせないようにするための凹部を形成する中央孔である。
電気接点1の作製方法は次のとおりである。まず、粒径75μm以下のCr粉末とCu粉末、および2〜3μmのSiC粉末とを、後述する表1の接点組成となるような配合比でV型混合器により混合した。次にこの混合粉末を、貫通したスパイラル溝2及び中央孔51を形成して所望の電気接点形状を形作ることのできる金型に充填し、油圧プレスにより400MPaの圧力で加圧成形した。成形体の密度は、およそ73%であった。これを真空中で、1050℃×2時間加熱して焼結し、電気接点1を作製した。得られた電気接点1の相対密度は、およそ96%であった。
さらに、電極の作製方法は次の通りである。電極棒4を無酸素銅で、また、補強板3をSUS304であらかじめ機械加工により作製しておき、前記の焼結で得られた電気接点1の中央孔51及び補強板3の中央孔に電極棒4の凸部を挿入し、ろう材5を介して嵌め合わせ、また電気接点1と補強板3との間にもろう材5を載置し、これを8.2×10-4Pa以下の真空中で970℃×10分間加熱し、図1に示す電極を作製した。この電極は定格電圧7.2kV,定格電流600A,定格遮断電流20kA用の真空バルブに用いられる電極である。なお、電気接点1の強度が十分であれば、補強板3は省いてもよい。
上記以外に、炭化物がSiC以外のTiC,WC,Cr3C2,Be2C,B4C,ZrC,HfC,NbC,TaC,ThC,VCのうちの1種または2種以上である場合にも、また、マトリックス成分がAgである場合にも、前記の方法によって電気接点1を作製することができる。
実施例1で作製した電気接点を電極に用いて、真空バルブを作製した。真空バルブの仕様は、定格電圧7.2kV,定格電流600A,定格遮断電流20kAである。
図2は、本実施例に係わる真空バルブの構造を示す図である。図2において、1a,
1bはそれぞれ固定側電気接点,可動側電気接点、3a,3bは補強板、4a,4bはそれぞれ固定側電極棒,可動側電極棒で、これらをもってそれぞれ固定側電極6a,可動側電極6bを構成する。可動側電極6bは、遮断時の金属蒸気等の飛散を防ぐ可動側シールド8を介して可動側ホルダー12にろう付け接合される。これらは、固定側端板9a,可動側端板9b、及び絶縁筒13によって高真空にろう付け封止され、固定側電極6a及び可動側ホルダー12のネジ部をもって外部導体と接続される。絶縁筒13の内面には、遮断時の金属蒸気等の飛散を防ぐシールド7が設けられ、また、可動側端板9bと可動側ホルダー12の間には摺動部分を支えるためのガイド11が設けられる。可動側シールド8と可動側端板9bの間にはべローズ10が設けられ、真空バルブ内を真空に保ったまま可動側ホルダー12を上下させ、固定側電極6aと可動側電極6bを開閉させることが出来る。
1bはそれぞれ固定側電気接点,可動側電気接点、3a,3bは補強板、4a,4bはそれぞれ固定側電極棒,可動側電極棒で、これらをもってそれぞれ固定側電極6a,可動側電極6bを構成する。可動側電極6bは、遮断時の金属蒸気等の飛散を防ぐ可動側シールド8を介して可動側ホルダー12にろう付け接合される。これらは、固定側端板9a,可動側端板9b、及び絶縁筒13によって高真空にろう付け封止され、固定側電極6a及び可動側ホルダー12のネジ部をもって外部導体と接続される。絶縁筒13の内面には、遮断時の金属蒸気等の飛散を防ぐシールド7が設けられ、また、可動側端板9bと可動側ホルダー12の間には摺動部分を支えるためのガイド11が設けられる。可動側シールド8と可動側端板9bの間にはべローズ10が設けられ、真空バルブ内を真空に保ったまま可動側ホルダー12を上下させ、固定側電極6aと可動側電極6bを開閉させることが出来る。
このように、実施例1で作製した電気接点を図2に示す電気接点1a,1bに用いて、本発明に係わる真空バルブを作製した。
実施例2で作製した真空バルブを搭載した真空遮断器を作製した。図3は、本発明に係わる真空バルブ14とその操作機構を示す真空遮断器の構成図である。
真空遮断器は、操作機構部を前面に配置し、背面に真空バルブ14を支持する3相一括型の3組のエポキシ筒15を配置した構造である。真空バルブ14は、絶縁操作ロッド
16を介して、操作機構によって開閉される。
16を介して、操作機構によって開閉される。
遮断器が閉路状態の場合、電流は上部端子17,電気接点1,集電子18,下部端子
19を流れる。電極間の接触力は、絶縁操作ロッド16に装着された接触バネ20によって保たれている。電極間の接触力および短絡電流による電磁力は、支えレバー21およびプロップ22で保持されている。投入コイル30を励磁すると開路状態からプランジャ
23がノッキングロッド24を介してローラ25を押し上げ、主レバー26を回して電極間を閉じたあと、支えレバー21で保持している。
19を流れる。電極間の接触力は、絶縁操作ロッド16に装着された接触バネ20によって保たれている。電極間の接触力および短絡電流による電磁力は、支えレバー21およびプロップ22で保持されている。投入コイル30を励磁すると開路状態からプランジャ
23がノッキングロッド24を介してローラ25を押し上げ、主レバー26を回して電極間を閉じたあと、支えレバー21で保持している。
遮断器が引き外し自由状態では、引き外しコイル27が励磁され、引き外しレバー28がプロップ22の係合を外し、主レバー26が回って電極間が開かれる。
遮断器が開路状態では、電極間が開かれたあと、リセットバネ29によってリンクが復帰し、同時にプロップ22が係合する。この状態で投入コイル30を励磁すると閉路状態になる。なお、31は排気筒である。
実施例1で作製した電気接点を実施例2で示した定格電圧7.2kV ,定格電流600A,定格遮断電流20kAの真空バルブに用い、実施例3で示した真空遮断器に搭載して遮断試験を行った。表1は、接点組成及び電極径と遮断試験結果を示すもので、No.1〜No.8が本発明材、No.9〜No.11が比較材である。
No.1〜No.8の本発明材、およびNo.10〜No.11の比較材では、SiCがCr粒子周辺を取り囲むように凝集した組織をなす。その一例として、図4は本発明材No.2の組織写真である。
SiCの含有量が0.5 〜15重量%の範囲では(No.1〜No.4)、SiC量が多くなるにつれてその昇華によって、裁断電流値は小さくなる傾向にある。また、SiCが含まれることにより最大遮断電流値(遮断性能)も向上するが、多くなると(No.4)、接点密度の低下によって遮断性能も低下する傾向にある。
これに対し、SiCが含まれない場合には(No.10)、裁断電流値は比較的大きく、最大遮断電流値は小さい。また、SiCが15重量%を超えると(No.11)、接点密度の低下が顕著になり、最大遮断電流値は大幅に低下する。
Cr量が変化すると(No.5,No.6)、裁断電流値の変化は小さいが、Crが多いと耐電圧特性の向上により最大遮断電流値は大きくなる傾向にある。
電極径が大きくなると(No.7,No.8)、裁断電流値はほとんど変化しないが、最大遮断電流値は大きくなる。
比較材No.9は、SiCがCuマトリックス中に均一に分散し、Cr粒子周辺に凝集しない組織を有する。この場合、接点組成が本発明材No.2と同様であっても、裁断電流値は大きくなり、最大遮断電流値は低下する傾向にあり、SiCがCr粒子周辺を囲むように凝集することが、低サージ性および遮断性能の向上に有効であることが示された。
以上から、本発明にかかわる電気接点によって、優れた遮断性能と低サージ性を兼ね備えた電極性能を得ることができる。
なお、炭化物がSiC以外のTiC,WC,Cr3C2,Be2C,B4C,ZrC,HfC,NbC,TaC,ThC,VCのうちの1種または2種以上である場合にも、また、マトリックス成分がAgである場合にも、同様の効果が得られる。
実施例2で作製した真空バルブを、真空遮断器以外の真空開閉装置に搭載した。図5は、実施例2で作製した真空バルブ14を搭載した、路肩設置変圧器用の負荷開閉器である。
この負荷開閉器は、主回路開閉部に相当する真空バルブ14が、真空封止された外側真空容器32内に複数対収納されたものである。外側真空容器32は、上部板材33と下部板材34及び側部板材35を備え、各板材の周囲(縁)が互いに溶接によって接合されているとともに、設備本体とともに設置されている。
上部板材33には、上部貫通孔36が形成されており、各上部貫通孔36の縁には環状の絶縁性上部ベース37が各上部貫通孔36を覆うように固定されている。そして、各上部ベース37の中央に形成された円形空間部には、円柱状の可動側電極棒4bが往復動
(上下動)自在に挿入されている。すなわち、各上部貫通孔36は上部ベース37と可動側電極棒4bによって閉塞されている。
(上下動)自在に挿入されている。すなわち、各上部貫通孔36は上部ベース37と可動側電極棒4bによって閉塞されている。
可動側電極棒4bの軸方向端部(上部側)は、外側真空容器32の外部に設置される操作器(電磁操作器)に連結されるようになっている。また、上部板材33の下部側には、各上部貫通孔36の縁に沿って外側ベローズ38が往復動(上下動)自在に配置されており、各外側ベローズ38は、軸方向の一端側が上部板材33の下部側に固定され、軸方向の他端側が各可動側電極棒4bの外周面に装着されている。すなわち、外側真空容器32を密閉構造とするために、各上部貫通孔36の縁には各可動側電極棒4bの軸方向に沿って外側ベローズ38が配置されている。また、上部板材33には排気管(図示省略)が連結され、この排気管を介して外側真空容器32内が真空排気されるようになっている。
一方、下部板材34には下部貫通孔39が形成されており、各下部貫通孔39の縁には絶縁性ブッシング40が各下部貫通孔39を覆うように固定されている。各絶縁性ブッシング40の底部には、環状の絶縁性下部ベース41が固定されている。そして、各下部ベース41の中央の円形空間部には、円柱状の固定側電極棒4aが挿入されている。すなわち、下部板材34に形成された下部貫通孔39は、それぞれ絶縁性ブッシング40,下部ベース41、及び固定側電極棒4aによって閉塞されている。そして、固定側電極棒4aの軸方向の一端側(下部側)は、外側真空容器32の外部に配置されたケーブル(配電線)に連結されるようになっている。
外側真空容器32の内部には、負荷開閉器の主回路開閉部に相当する真空バルブ14が収納されており、各可動側電極棒4bは、2つの湾曲部を有するフレキシブル導体(可撓性導体)42を介して互いに連結されている。このフレキシブル導体42は、軸方向において2つの湾曲部を有する導電性板材としての銅板とステンレス板を交互に複数枚積層して構成されている。フレキシブル導体42には貫通孔43が形成されており、各貫通孔
43に各可動側電極棒4bを挿入して互いに連結される。
43に各可動側電極棒4bを挿入して互いに連結される。
以上のように、実施例2で作製した本発明に係わる真空バルブは、路肩設置変圧器用の負荷開閉器にも適用可能であり、これ以外の真空絶縁スイッチギアなどの各種真空開閉装置にも適用できる。
1…電気接点(接点層)、1a…固定側電気接点、1b…可動側電気接点、2…スパイラル溝、3,3a,3b…補強板、4,4a,4b…電極棒、5…ろう材、6a…固定側電極、6b…可動側電極、7…シールド、8…可動側シールド、9a…固定側端板、9b…可動側端板、10…ベローズ、11…ガイド、12…可動側ホルダー、13…絶縁筒、14…真空バルブ、15…エポキシ筒、16…絶縁操作ロッド、17…上部端子、18…集電子、19…下部端子、20…接触バネ、21…支えレバー、22…プロップ、23…プランジャ、24…ノッキングロッド、25…ローラ、26…主レバー、27…引き外しコイル、28…引き外しレバー、29…リセットバネ、30…投入コイル、31…排気筒、32…外側真空容器、33…上部板材、34…下部板材、35…側部板材、36…上部貫通孔、37…上部ベース、38…外側ベローズ、39…下部貫通孔、40…絶縁性ブッシング、41…下部ベース、42…フレキシブル導体、43…フレキシブル導体貫通孔、51…中央孔。
Claims (14)
- Crと、CuまたはAgのいずれか一方と、炭化物とを含み、前記CuまたはAgのいずれか一方を主成分とした母相中に、周囲を前記炭化物で囲まれたCr相が分散した組織をなすことを特徴とする電気接点。
- 請求項1に記載された電気接点であって、前記炭化物はアークにより昇華する性質を有するものであることを特徴とする電気接点。
- Crと、CuまたはAgのいずれか一方と、炭化物を含む電気接点であって、裁断電流値が1〜2.5A であり、電極径x(mm)に対して遮断可能な最大電流値y(kA)が式(1)で求められる範囲にあることを特徴とする電気接点。
0.44x<y<1.32x …式(1) - 請求項1または3に記載の電気接点であって、前記炭化物は、融点または分解点が1800℃以上であることを特徴とする電気接点。
- 請求項1または3に記載の電気接点であって、前記炭化物は、SiC,TiC,WC,Cr3C2,Be2C,B4C,ZrC,HfC,NbC,TaC,ThC,VCのうちの1種または2種以上からなることを特徴とする電気接点。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の電気接点であって、5〜40重量%のCrと、
0.5 〜15重量%の炭化物とを含み、CuまたはAgのいずれか一方を残部とすることを特徴とする電気接点。 - Crと、CuまたはAgのいずれか一方と、炭化物とを含有する電気接点の製造方法であって、
前記Cr,CuまたはAgのいずれか一方、および炭化物の粉末を混合して混合粉末とし、該混合粉末を加圧成形した後に焼結することを特徴とする電気接点の製造方法。 - 請求項7記載の電気接点の製造方法であって、
前記Cr粉末の粒径を75μm以下とし、前記CuまたはAgのいずれか一方の粉末の粒径を75μm以下とし、前記炭化物の粉末の粒径を20μm以下とすることを特徴とする電気接点の製法。 - 請求項7または8に記載の電気接点の製造方法であって、
前記加圧成形圧力を120〜500MPaとすることを特徴とする請求項6に記載の電気接点の製法。 - 請求項7に記載の電気接点の製造方法であって、
前記焼結は、真空中または不活性雰囲気中で、CuまたはAgの融点以下の温度で行うことを特徴とする電気接点の製造方法。 - 円盤形状を有し、該円盤の円中心に形成された中心孔と、該中心孔に対して非接触で円中心から外周部に向かって形成された複数本の貫通したスリット溝とを有する電極であって、前記電極は請求項1ないし6のいずれかに記載された電気接点であることを特徴とする電極。
- 円盤状部材と、該円盤状部材のアーク発生面の反対面に一体に接合された電極棒とを有する電極であって、前記円盤状部材は請求項1ないし6のいずれかに記載された電気接点であることを特徴とする電極。
- 真空容器内に少なくとも一対の固定側電極及び可動側電極とを備えた真空バルブにおいて、前記固定側電極及び可動側電極の少なくとも一方が、請求項11または12に記載の電極からなることを特徴とする真空バルブ。
- 真空容器内に一対の固定側電極及び可動側電極を備えた真空バルブと、該真空バルブ内の前記固定側電極及び可動側電極の各々に前記真空バルブ外に接続された導体端子と、前記可動側電極を駆動する開閉手段とを備えた真空遮断器において、前記真空バルブが請求項12に記載の真空バルブからなることを特徴とする真空遮断器。
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