JP2007018608A - 光ディスク画像形成装置 - Google Patents

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久順 糸賀
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Abstract

【課題】 光ディスクに画像を形成する際に、その光ディスクのどちらの面がセットされたかを確実に判別できる光ディスク画像形成装置を提供する。
【解決手段】 光ディスク画像形成装置は、レーザ光線照射手段に対向させてレーザ光線を照射する光ディスクの面がいずれの面であるかを、少なくとも、回転手段の偏心量及び光ディスクの偏心量よりも大きな振幅で、または回転手段よりも短い周期で、光ディスクの半径方向に振動させたレーザ光線を光ディスクへ照射して判別を行う。また、バンドパスフィルタを設けて、画像が形成された光ディスクのレーベル面がセットされたことを判断できる信号を出力する。したがって、光ディスクのレーベル面における画像形成の有無にかかわらず、光ディスクのデータ記録面とレーベル面とを確実に判別することができる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、光ディスクに画像を形成する際に、その光ディスクの表裏を判別する光ディスク画像形成装置に関する。
従来、CD−RやCD−RWといったデータを記録可能な光ディスクのレーベル面側に設けた感熱層に、所定の幅で光ピックアップを光ディスクの半径方向に振動させながら周回毎に異なる位相となるようにレーザ光を照射し、また一定周回毎に光ピックアップを画像の1行分移送させる処理を繰り返して、文字や絵画などの複数階調の画像を形成する画像形成装置に関する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の光ディスクへの画像形成装置では、ユーザが光ディスクのレーベル面に画像を新たに形成したり追加したりする際に、誤って、光ディスクのデータ記録面を光ピックアップに対向させてセットすることがあった。しかし、上記従来の画像形成装置では、セットされた光ディスクの光ピックアップに対向する面が、レーベル面とデータ記録面のいずれであるかを判別することができなかった。そのため、ユーザが、セットした光ディスクを十分確認せずに、画像形成装置に画像を形成させると、画像形成装置は光ディスクのデータ記録面に画像を形成するので、この光ディスクに電子データを記録できなくなったり、記録済の電子データが読み出せなくなったりすることがあった。
そこで、従来、光ディスクのどちらの面が装置にセットされたかを判別する光ディスク再生装置に関する発明が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2004−5848公報 特開平10−162496号公報
特許文献2に記載の光ディスク再生装置では、トラッキングサーボがオフの状態で、トラバース信号を所定時間カウントすることで、光ディスクのいずれの面であるかの判別を行う。しかしながら、このトラバース信号の周波数は、光ディスクの偏心量(一般に、最大100μm程度)やスピンドルモータの回転軸の偏心量(一般に、最大100μm程度)の大きさによって異なり、偏心量が大きいほど高くなり、偏心量が小さいほど低くなる。そのため、光ディスクやスピンドルモータの回転軸の偏心量が小さかったり、光ディスクの偏心量とスピンドルモータの回転軸の偏心量とが相殺されたりする場合には、トラバース信号がはっきりとした粗密波にはならず、粗密が曖昧な周波数の低い信号となり、稀に直流信号となることもある。このような場合には、トラバース信号を用いてトラックの有無を検出できないので、光ディスクのどちらの面がセットされているか判別できなくなるという問題があった。
また、レーベル面に画像を形成した光ディスクを誤ってセットして面の判別を行うと、光ディスクに形成した画像によっては、トラバース信号が、光ディスクのデータ記録面に形成したトラックをレーザ光が横切った場合に出力される信号と同様の波形になることがあるため、光ディスクのレーベル面をデータ記録面と誤判別することがあった。
そこで、本発明は、上記従来の問題を解決して、光ディスクに画像を形成する際に、その光ディスクのどちらの面がセットされたかを確実に判別できる光ディスク画像形成装置を提供することを目的とする。
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
(1)トラックが形成された記録層をデータ記録面側に、トラックのない変色層をレーベル面側に備えた光ディスクを、一定の周期で回転させる回転手段と、
前記回転手段の偏心量及び前記光ディスクの偏心量よりも大きな振幅で、かつ前記回転手段の回転周期よりも短い周期で、前記光ディスクの半径方向に振動させたレーザ光線を、前記光ディスクのいずれかの面に照射するレーザ光線照射手段と、
前記光ディスクへ照射したレーザ光線の戻り光を受光して、この戻り光に応じた信号を出力する受光手段と、
前記受光手段が出力した信号を処理して、前記光ディスクへレーザ光線を照射した面がデータ記録面とレーベル面のいずれであるかを判別する光ディスク面判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
この構成おいては、光ディスク画像形成装置は、回転手段の偏心量及び光ディスクの偏心量よりも大きな振幅で、かつ回転手段よりも短い周期で、光ディスクの半径方向に振動させたレーザ光線を光ディスクへ照射して、レーザ光線照射手段に対向させてレーザ光線を照射する光ディスクの面がいずれの面であるかの判別を行う。これにより、偏心した光ディスクの回転動作と、レーザ光線の振動動作が同期することがなく、また、光ディスク及び回転手段の偏心量よりもレーザ光線の振動量の方が大きいので、光ディスクのデータ記録面にレーザ光線を照射する場合には、偏心量の大小にかかわらずレーザ光線が複数のトラックを横切ることになり、受光手段が出力する信号は、偏心量にかかわらず粗密がはっきりした波形となる。また、画像を未形成の光ディスクのレーベル面にレーザ光線が照射される場合には、レーベル面にはトラックが形成されていないので、受光手段が出力した信号はほぼ不変となる。したがって、受光手段が出力した信号に基づいて光ディスクの面がいずれの面かを確実に判別でき、光ディスクのデータ記録面に誤って画像を形成するのを防止できる。
(2)前記光ディスク面判別手段は、
前記受光手段が出力した信号を所定のスライスレベルに基づいて2値化して出力するコンパレータと、
前記コンパレータが出力した信号から立ち上がりまたは立ち下がりエッジ部分を抽出したパルスを生成して出力するエッジ抽出回路と、
前記エッジ抽出回路が出力したパルスの粗密に応じたアナログ信号に変換する平滑回路と、
前記平滑回路が出力したアナログ信号から、前記レーザ光線照射手段が振動させるレーザ光線の振動周波数を透過中心周波数とする所定帯域のバンドパス信号を出力するバンドパスフィルタと、
第1スライスレベル及び第2スライスレベルが設定され、前記バンドパスフィルタが出力したバンドパス信号が、前記第1スライスレベルよりも大または前記第2スライスレベルよりも小のときと、それ以外のときと、で異なるレベルの信号を出力するウインドコンパレータと、
前記ウインドコンパレータが出力した信号に基づいて、前記光ディスクへレーザ光線を照射した面がデータ記録面とレーベル面のいずれであるかを判別する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
この構成おいては、バンドパスフィルタは、平滑回路からアナログ信号が入力されると、レーザ光線照射手段が振動させるレーザ光線の振動周波数を透過中心周波数とする所定帯域のバンドパス信号を出力し、他の帯域の信号を透過させないので、レーザ光線を照射する光ディスクの面が、データ記録面の場合と画像を未形成のレーベル面の場合とで、異なる信号を出力する。また、画像を形成したレーベル面にレーザ光線を照射した場合には、画像が形成された光ディスクのレーベル面に対してレーザ光線を照射した場合には、受光手段が出力する信号は、画像に応じてランダムに変化する波形となるので、バンドパスフィルタは、概ね画像を未形成のレーベル面の場合と同様の信号を出力し、ランダムにデータ記録面の場合と類似した信号を出力する。したがって、ウインドコンパレータは、光ディスクのレーベル面における画像形成の有無にかかわらず、光ディスクのデータ記録面とレーベル面とを確実に判別できる信号を出力するので、光ディスクの面を確実に判別できる。
(3)前記制御手段は、前記ウインドコンパレータが出力した信号における前記光ディスク1回転当たりの立ち上がりエッジ数または立ち下がりエッジ数を計数し、このエッジ数と閾値とを比較して、前記光ディスクへレーザ光線を照射した面がデータ記録面とレーベル面のいずれであるかを判別することを特徴とする。
この構成おいては、光ディスクへレーザ光線を照射する面がデータ記録面の場合には、制御手段が計数するエッジの数Nは、光ディスクが1回転する間にレーザ光線が往復する回数と4の積に一致し、光ディスクへレーザ光線を照射する面がレーベル面の場合には、制御手段が計数するエッジの数Nは、画像の有無にかかわらず光ディスクが1回転する間にレーザ光線が往復する回数と4の積よりも小さな値となる。したがって、閾値を適切に設定することで、光ディスクの面がレーベル面とデータ記録面のどちらであるかを容易に判別できる。
(4)前記回転手段が回転させる光ディスクの半径方向に、前記レーザ光線照射手段を移動させるスレッド手段を備え、
前記スレッド手段は、光ディスクのデータ記録面のトラックが形成された領域に相当する範囲内において、前記レーザ光線照射手段を複数箇所に移動させ、
前記制御手段は、各箇所における判別結果がすべて一致しない場合には、前記光ディスクへレーザ光線を照射した面がレーベル面であると判別することを特徴とする。
この構成おいては、レーザ光線照射手段から光ディスクへレーザ光線を照射する面が、画像が形成された光ディスクのレーベル面であるにもかかわらず、データ記録面であると誤判別することがあった場合でも、光ディスクの複数の箇所で光ディスクの面の判別を行うので、光ディスクの面の誤判別を防止できる。
本発明によれば、少なくとも、回転手段の偏心量及び光ディスクの偏心量よりも大きな振幅で、かつ回転手段よりも高い周波数で、光ディスクの半径方向に振動させたレーザ光線を光ディスクへ照射して、レーザ光線照射手段からレーザ光線を照射する光ディスクの面の判別を行うことにより、光ディスクの面がいずれの面かを確実に判別できる。また、光ディスク面判別手段によって、画像の有無にかかわらず、レーベル面とデータ記録面とを判別できる。
本発明の実施形態に係る光ディスク画像形成装置は、前記特許文献1に記載の光ディスクへの画像形成装置と同様に、光ディスクに対して情報を記録する機能、光ディスクに記録された情報を読み出す機能、及び一定パワー以上のレーザ光線が照射されると変色する変色層や記録層を備えた光ディスクに画像を形成する機能を備えている。
さらに、本発明の実施形態に係る光ディスク画像形成装置は、光ディスクに画像を形成する際に、セットされた光ディスクの面がデータ記録面とレーベル面とのいずれであるかを判別する機能を備えたことを特徴としている。
以下の説明では、まず光ディスク画像形成装置が画像形成に用いる光ディスクの構成について簡単に説明し、続いて、光ディスク画像形成装置の構成を説明する。
なお、本発明の実施形態に係る光ディスク画像形成装置が備えている光ディスクの記録面に情報を記録する機能、光ディスクの記録面に記録した情報を読み出す機能、及び光ディスクの変色層や記録層に画像を形成する機能は、周知技術である。そのため、これらの機能を実現する構成及び動作については、詳細な説明を省略する。
また、以下の説明では、一例としてDVD−Rのレーベル面側に変色層を設けた光ディスクの面を判別する場合を説明するが、本発明はこれに限るものではなく、他の種類の光ディスクについても面を判別できる。
<光ディスクの構成>
図1は、画像形成用の変色層を備えた光ディスクの構成を示す側方断面図である。図1に示す光ディスク200は、2枚の基材を貼り合わせた構成のDVD−Rであり、データ記録面200D側からレーベル面200R側にかけて、保護層(基板)201、記録層202、反射層203、保護層204、接着層205、保護層206、反射層207、変色層208、及び保護層(基板)209を備え、各層を上記の順に積層した構造である。
変色層208は、有機色素から成り、一定以上の強度を有するレーザ光線が照射されたとき、その熱または光によって変色する。また、変色層208には、光の干渉により分光されて虹色に見えるのを抑制するために、記録層202のようにトラック(ランド202aやグルーブ202b)を設けていない。
なお、記録層202も、一定以上の強度を有するレーザ光線が照射されると変色するので、記録層202を変色層として用いて画像を形成することが可能である。
<光ディスク画像形成置の構成>
次に、光ディスク画像形成装置の構成を説明する。図2は、本発明の実施形態に係る光ディスク画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。光ディスク画像形成装置300は、インタフェース301を介して接続された光ディスク記録再生部10、光ディスク画像形成装置300で実行するプログラムや画像データなどを記憶する記憶部302、ユーザに伝達するメッセージや画像などを表示する表示部303、ユーザが光ディスク画像形成装置300や光ディスク記録再生部10を操作する入力を受け付ける操作部304、インターネットに接続して、他の機器と情報をやりとりを行ったり、テレビ番組などのデータを受信したりする通信部305、及び光ディスク画像形成装置300の各部を制御するメイン制御部306を備えており、各部がバス310を介して情報をやりとりする。
<光ディスク記録再生部の構成>
次に、光ディスク記録再生部10の構成について説明する。光ディスク記録再生部10は、図2に示したように、光ピックアップ100、スピンドルモータ130、回転検出器132、RFアンプ134、面判別信号生成部136、サーボ回路138、スレッドモータ140、モータドライバ142、PLL回路144、インタフェース150、レーザパワー制御(Laser Power Control:LPC)回路162、レーザドライバ164、及び制御部170を備えている。光ディスク記録再生部10は、インタフェース150を介して光ディスク画像形成装置300に接続されている。
光ディスク記録再生部10は、光ディスク200を一定の角速度(一定周期)で回転させながらレーザ光線を照射するCAV方式で光ディスク200に対して光ディスクの表裏の判別を行う。
スピンドルモータ130は、情報記録または画像形成の対象である光ディスク200を、一定の周期で回転させる。
回転検出器132は、スピンドルモータ130の逆起電流を利用して、スピンドル回転速度に応じた周波数のFGパルス信号を出力する。
光ピックアップ100は、レーザドライバ164からの駆動信号Liで駆動され、その駆動信号Liの電流値に応じた強度でレーザ光線を出射するレーザダイオード102、対物レンズ114などを含む光ディスク200にレーザ光線を照射するための図外の光学系、光ディスク200からの戻り光(反射光)を受光して受光量に応じた信号を出力する受光素子108などを備えており、回転中の光ディスク200のいずれかの面に対して、この光学系で集光したレーザ光線を照射する。また、光ピックアップ100は、サーボ回路138から供給されるフォーカス信号Fcに従って対物レンズ114を光軸方向に移動させるフォーカスアクチュエータ121、及びサーボ回路138から供給されるトラッキング信号Trに従って対物レンズ114を光ディスク200の半径方向に移動させたり、振動信号発生器138Aから供給される振動信号に従って対物レンズ114を光ディスク200の半径方向に所定の振幅で、かつ所定の周期で振動させたりするトラッキングアクチュエータ122を備えている。
スレッドモータ140は、その回転によって光ピックアップ100を、光ディスク200の半径方向に移送する。
モータドライバ142は、制御部170から指示された方向及び移送量だけ光ピックアップ100を移送させる駆動信号を、スレッドモータ140へ出力して、スレッド制御を行う。
RFアンプ134は、光ピックアップ100から出力されたトラッキングエラー信号Treを増幅して、増幅後の信号を面判別信号生成部136及びサーボ回路138へ出力する。
面判別信号生成部136は、RFアンプ134から出力されたトラッキングエラー信号Treに基づいて、光ディスク記録再生部10にセットされた光ディスク200の表裏(データ記録面とレーベル面)を判定できる信号を生成して、制御部170へ出力する。なお、面判別信号生成部136の詳細な構成及び動作については後述する。
サーボ回路138は、FGパルス信号によって検出されるスピンドルモータ130の回転速度が、制御部170から指示された角速度となるようにフィードバック制御(回転制御)を行う。また、サーボ回路138は、上記の回転制御に加えて、光ピックアップ100に対するトラッキング制御及びフォーカス制御を行う。また、サーボ回路138は、振動信号発生器138Aを備えており、光ディスク200の面の判別を行う際には、少なくとも光ディスク200及びスピンドルモータ130の偏心量よりも大きな振幅で、またはスピンドルモータ130の回転周期よりも短い周期で、レーザ光線を振動させる振動信号を光ピックアップ100ヘ供給する。
PLL回路144は、FGパルス信号を逓倍して、スピンドルモータ130が1回転する毎にHighとLowとのレベルが切り替わる周回信号を生成して、制御部170へ出力する。
制御部170は、詳細な構成について図示していないが、CPU、ROM、RAMなどを備えた構成であり、ROMに格納されたプログラムに従って各部を操作して、光ディスク200の記録面に対する情報記録や、光ディスク200のレーベル面に対する画像形成を行う。また、面判別信号生成部136及びPLL回路144から出力された信号に基づいて光ディスク200のどちらの面がセットされているかを判別する。
インタフェース(I/F)150は、光ディスク画像形成装置300から供給される制御信号や情報を光ディスク記録再生部10が受け取るためのインタフェースである。
レーザパワー制御(LPC)回路162は、レーザダイオードから照射されるレーザ光線の強度を制御するためのものである。具体的には、レーザパワー制御回路162は、フロントモニターダイオードによって検出されたレーザダイオードの出射光量値が制御部170によって供給される最適レーザパワーの目標値と一致するように、駆動信号Liの電流値を制御する。
ここで、本実施形態では、上述したように角速度一定のCAV方式としているので、光ディスク200の外側ほど線速度が速くなる。そのため、制御部170は、光ピックアップ100が光ディスク200の外側に位置するほど、最適レーザパワーの目標値を高く設定する。
レーザドライバ164は、レーザパワー制御回路162による制御内容を反映させた駆動信号Liを生成して、光ピックアップ100のレーザダイオードに供給する。これにより、レーザダイオードによるレーザビーム(レーザ光線)の強度は、制御部170から供給される目標値と一致するようにフィードバック制御される。
<光ディスクの表裏判別動作>
図3は、トラッキングエラー信号の一例を示す波形図である。光ディスク画像形成装置300の光ディスク記録再生部10に光ディスク200のデータ記録面200Dを光ピックアップ100に対向させてセットする。そして、スピンドルモータ130を一定の速度で回転させながら、光ピックアップにおいてトラッキングサーボを停止して、光ディスクの半径方向への対物レンズ114の動きを固定し、光ディスクのデータ記録面に対してフォーカスサーボを行うと、トラッキングエラー信号Treは、図3(A)に示すような粗密波となる。このトラッキングエラー信号Treは、光ディスクのデータ記録面に形成されたトラックをレーザ光線が横切ることにより発生するので、トラバース信号と呼ばれる。このトラバース信号の周期は、光ディスクの偏心量、及びスピンドルモータ130の回転軸の偏心量の大きさによって異なる。すなわち、トラバース信号の周期は、これらの偏心量が大きいほど短くなり、偏心量が小さいほど長くなる。なお、周知のように、トラバース信号が粗密波となるのは、光ディスクが偏心しているためにトラックを横切る速度が光ディスクの位置によって異なるためである。
前記のように、光ディスク200やスピンドルモータ130の回転軸の偏心量が小さかったり、光ディスク200の偏心量とスピンドルモータ130の回転軸の偏心量とが相殺されたりする場合には、トラバース信号は図3(A)に示したようなはっきりとした粗密波にはならず、粗密が曖昧な周波数が低い信号となり、稀に直流信号となることもある。しかし、トラバース信号の粗密が曖昧になると、トラックの有無を検出できないので、光ディスク200の表裏を判別できなくなる。
そこで、本発明では、少なくともスピンドルモータ130の回転周期よりも短い周期で、かつ、上記光ディスク200の偏心量とスピンドルモータ130の回転軸の偏心量との合計よりも大きな振幅で、トラッキングアクチュエータ112により対物レンズ114を周期的に振動させて、光ピックアップ100からレーザ光線を照射させる。
上記のように周期及び振幅を設定することで、偏心した光ディスクの回転周期とレーザ光線の振動周期が同期することがなく、また、光ディスクの偏心量とレーザ光線の振動量が異なっているので、レーザ光線がさらに複数のトラックを横切ることになる。
したがって、光ディスクのデータ記録面をセットした場合には、トラッキングエラー信号(トラバース信号)は、図3(B)に示すように偏心量の大小にかかわらず粗密がはっきりした波形となる。つまり、光ディスク200のデータ記録面200Dであることを確実に検出できる。
ここで、光ディスク200の偏心量とスピンドルモータ130の回転軸の偏心量との合計よりも大きな振幅で対物レンズ114を振動させるためには、予め複数の光ディスクについて偏心量を測定しておき、それらの最大値(一般に、最大100μm程度)とスピンドルモータ130の回転軸の偏心量(一般に、最大100μm程度)との合計した振幅で振動するように設定すると良い。また、光ディスク200がスピンドルモータ130にセットされた際に、光ディスク200を複数回回転させて偏心量を測定し、この偏心量よりも大きな振幅で対物レンズ114を振動させるように設定しても良い。
図4は、トラッキングアクチュエータの駆動電流の波形図である。例えば、図4に示すように、スピンドルモータ130が1周する間に対物レンズ114が2往復振動させるために、スピンドルモータ130の半分の周期の駆動電流をトラッキングアクチュエータ122に入力する。これにより、図3(B)に示したように、トラッキングエラー信号の粗密の周期は、図3(A)に示したトラッキングエラー信号Treの倍になる。また、上記のような制御を行って、画像を未形成の光ディスク200のレーベル面200Rにレーザ光線を照射した場合には、レーベル面200Rにはトラックが形成されていないので、2つのサブビームの戻り光量がほぼ等しくなり、トラッキングエラー信号は、ほぼ中点電圧のまま不変である。一方、画像が形成された光ディスク200のレーベル面200Rに、上記のような制御を行ってレーザ光線を照射した場合には、トラッキングエラー信号Treは、ランダムに変化する波形となる。このように、トラッキングエラー信号Treは、それぞれ異なる波形となる。
そこで、本発明では、画像形成の有無にかかわらずレーベル面200Rとデータ記録面200Dを判別できるように、光ディスク記録再生部10の面判別信号生成部136を、以下のように構成する。
<表裏判別信号生成部の構成>
図5は、表裏判別信号生成部の概略構成を示すブロック図である。図6は、光ディスクのデータ記録面にレーザ光線を照射したときにおける表裏判別信号生成部の各部の出力信号波形図である。
ここで、以下の説明では、光ディスク200のデータ記録面200Dにレーザ光線を照射して、面判別信号生成部136にトラバース信号が入力されたときを例に挙げて、面判別信号生成部136の各部を説明する。
図5に示すように、面判別信号生成部136は、コンパレータ182、エッジ抽出回路184、平滑回路186、バンドパスフィルタ188、及びウインドコンパレータ190を備えており、これらを順に直列接続した構成である。
コンパレータ182は、図6(A),(A)’に示すようなトラッキングエラー信号TreがRFアンプ134から出力されると、スライスレベルに基づいてトラッキングエラー信号Treを2値化して、図6(B)に示すような2値化信号を生成する。そして、コンパレータ182は、この2値化信号をエッジ抽出回路184へ出力する。なお、スライスレベルは、トラッキングエラー信号Treの最大値と最小値の間であれば任意の値を設定可能である。また、ノイズによる誤動作の発生確率を下げるために、スライスレベルにはヒステリシス特性を持たせることが望ましい。
エッジ抽出回路184は、単安定マルチバイブレータや微分回路などで構成されており、コンパレータ182から出力された2値化信号の立ち上がりまたは立ち下がりエッジ部分を抽出して、図6(C)に示すようなパルスを生成する。そして、エッジ抽出回路184は、平滑回路186へこのパルスを出力する。
平滑回路186は、エッジ抽出回路184から出力されたパルスの粗密に応じた、図6(D)に示すようなアナログ信号を生成する。そして、平滑回路186は、このアナログ信号をバンドパスフィルタ188へ出力する。
バンドパスフィルタ188は、光ディスク200の偏心成分の周波数のみを抽出するためのものである。バンドパスフィルタ188は、透過中心周波数が、トラッキングアクチュエータ122を光ディスク200の半径方向に振動させるレーザ光線の振動周波数に、透過中心周波数が設定されている。バンドパスフィルタ188は、平滑回路が出力したアナログ信号から、この透過中心周波数とする所定の帯域の成分のみを透過して、ウインドコンパレータ190へ出力する。バンドパスフィルタ188は、図6(D)に示すような透過中心周波数とする所定の帯域のアナログ信号が入力された場合には、信号を透過させるので、出力信号は図6(E)に示すように、入力信号と同じ波形の信号となる。
ウインドコンパレータ190は、第1スライスレベルと第2スライスレベルの2つのスライスレベルが設定され、バンドパスフィルタ188が出力したバンドパス信号が、第1スライスレベルよりも大きいか、または第2スライスレベルよりも小さいときには、信号Highを制御部170へ出力する。また、バンドパス信号がこれ以外の場合、すなわち、第1スライスレベルよりも小さくまた第2スライスレベルよりも大きいときには、信号Lowを制御部170へ出力する。したがって、ウインドコンパレータ190は、図6(E)に示すようなアナログ信号が入力された場合には、図6(F)に示すように周期的にHighレベルの信号を出力する。
制御部170は、図6(F)に示すようなウインドコンパレータ190から出力された信号と、図6(G)に示すようなPLL回路144から出力された周回信号と、に基づいて光ディスク200のいずれの面がセットされたかを判別する。すなわち、制御部170は、PLL回路144から出力された周回信号がHighレベルの間またはLowレベルの間に、ウインドコンパレータ190から出力された信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの数Nを計数する。図6に示した例では、N=8である。
<光ディスク面の判別>
ここで、面判別信号生成部136は、トラッキングエラー信号Treの粗密波を、この粗密に応じたアナログ信号に変換し、さらにその絶対値の最大点と最小点を制御部170で計数できるように変換した信号を出力する。光ピックアップ100に対向するようにセットした光ディスク200の面がデータ記録面の場合には、トラッキングエラー信号Treの粗密波を、この粗密に応じたアナログ信号に変化すると、正弦波または三角波となる。正弦波や三角波においては、その絶対値の最大点と最小点が1サイクル当たり4個ある。本実施形態では、図4に示したように、スピンドルモータ130が1回転につきレーザ光線が2往復するように設定しているため、絶対値の最大点と最小点は8個となる。これは、制御部170が計数したエッジの数Nと一致する。したがって、制御部170が計数したエッジの数Nと、スピンドルモータ130が1回転につきレーザ光線が往復させる回数と4との積と、が一致する場合には、光ディスクに螺旋状または同心円状に形成されたトラックが存在する。
一方、画像を未形成の光ディスク200のレーベル面200Rにレーザ光線を照射した場合には、レーベル面200Rにはトラックが形成されていないので、2つのサブビームの戻り光量がほぼ等しくなり、トラッキングエラー信号は、ほぼ中点電圧のまま不変である。そのため、このようなトラッキングエラー信号Treが、面判別信号生成部136のコンパレータ182に入力されると、ウインドコンパレータ190からは、全域がLowレベルの信号が出力される。したがって、制御部170がPLL回路144から出力された周回信号がHighレベルの間またはLowレベルの間に計数した、ウインドコンパレータ190から出力された信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの数Nは0となる。
また、画像が形成された光ディスク200のレーベル面200Rに、上記のような制御を行ってレーザ光線を照射した場合には、トラッキングエラー信号Treは、画像に応じてランダムに変化する波形となる。このようなトラッキングエラー信号Treが面判別信号生成部136のコンパレータ182へ入力されると、コンパレータ182から出力された2値化信号は、ランダムにHighレベルまたはLowレベルに変化する信号となる。そのため、エッジ抽出回路184からは、ランダムにパルスが出力され、平滑回路186からは、ランダムにレベルが変動するアナログ信号が出力される。さらに、バンドパスフィルタ188は、このアナログ信号が入力されると、トラッキングアクチュエータ122が対物レンズ114を振動させる周波数を含む帯域の成分は透過させるが、この帯域以外の成分は遮断する。そのため、ウインドコンパレータ190は、バンドパスフィルタ188の出力信号が入力された場合には、図6(F)に示した波形とは異なり、ときどきHighレベルの信号を出力する。したがって、制御部170が計数する立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジの数Nは概ね0であり、ランダムにエッジの数Nが8よりも小さな値となる。
このように、光ディスク記録再生部10の面判別信号生成部136が出力する信号は、光ピックアップ100に対向するようにセットされた光ディスク200の面が、データ記録面200Dの場合と、画像を未形成のレーベル面200Rの場合と、画像を形成したレーベル面200Rの場合と、で異なる。したがってエッジの数Nの閾値を例えば6に設定して、制御部170が計数するエッジの数Nと比較することで、光ディスク記録再生部10にセットされた光ディスク200の面がどちらの面であるかを、確実に判別することができる。
なお、光ディスク200のデータ記録面200Dにレーザ光線を照射する場合には、前記のように、制御部170が計数するエッジの数Nは8であるが、かの程度マージンを見込んだ方が、データ記録面の判別を確実に行うことができる。したがって上記の例では、面判別信号生成部136にトラバース信号が入力されたときを閾値を6としている。
<面の判別を行う領域>
上記のようにして、面の判別を行う場合には、光ディスク200のデータ記録面にトラックが形成されている領域に相当する範囲内で行うことは言うまでもないが、例えば、光ピックアップ100のホームポジションが光ディスクの内周側に対向する位置に設定されている場合には、リードイン領域付近で上記の判別処理を行うと、光ピックアップ100の移動量が少ないので、この判別処理を短時間で終了させることができる。
また、上記の判別処理を行う場合には、光ディスク200のデータ記録面にトラックが形成されている領域に相当する範囲内において、複数箇所で判別を行うようにすると良い。このように複数箇所で判別処理を行う場合には、スレッドモータ140により光ピックアップ100を移動させて、例えば、光ディスク200の内周部、中周部、及び外周部の3つの領域で面の判別処理を行うと良い。また、スレッドモータ140により光ピックアップ100を所定量ずつ移動させて、さらに複数の箇所で面の判別処理を行うようにすることも可能である。
上記のようにすることで、画像が形成された光ディスク200のレーベル面が光ピックアップ100に対向するようにセットされ、光ディスク200のデータ記録面をセットした場合と同様の信号を制御部170が検出したとしても、光ディスク200のレーベル面の全領域に画像を形成することは稀であり、さらに光ディスク200の複数の領域で誤判別することも稀であるため、光ディスク200の面の誤判別を防止できる。
また、各箇所における判断結果がすべて一致しない場合には、上記のように画像が形成された光ディスク200のレーベル面200Rを、データ記録面200Dと誤判別した結果を含むため、光ピックアップ100に対向するようにセットされた光ディスク面は、レーベル面であると判別するように設定しておく。
以上のように、本発明の実施形態に係る光ディスク画像形成装置では、光ピックアップに対向するようにセットされた光ディスクの面が、データ記録面とレーベル面のいずれであるかを、確実に判別することができる。これにより、光ディスクに画像を形成するためにセットした光ディスクのデータ記録面に、誤って画像を形成するのを防止できる。
また、以上の説明では、トラッキングエラー信号Treを用いて光ディスクの面の判別処理を行う場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、他の信号を用いることも可能である。例えば、メインビームの和信号であるRF信号や、サブビームの和信号であるSBAD信号を用いて、光ディスクの面の判別処理を行うことが可能である。
さらに、面判別信号生成部136をハードウェアで構成した場合について説明したが、これに限るものではなく、RFアンプ134が出力したトラッキングエラー信号Treを直接制御部170に入力するように構成し、面判別信号生成部136の各部が行う処理を、制御部170においてソフトウェアによって処理して、光ディスクの面を判別することも可能である。
画像形成用の変色層を備えた光ディスクの構成を示す側方断面図である。 本発明の実施形態に係る光ディスク画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。 トラッキングエラー信号の一例を示す波形図である。 トラッキングアクチュエータの駆動電流の波形図である。 表裏判別信号生成部の概略構成を示すブロック図である。 光ディスクのデータ記録面にレーザ光線を照射したときにおける表裏判別信号生成部の各部の出力信号波形図である。
符号の説明
10−光ディスク記録再生部、100−光ピックアップ、121−フォーカスアクチュエータ、122−トラッキングアクチュエータ、130−スピンドルモータ、132−回転検出器、138−サーボ回路、140−ステッピングモータ、160−データ変換器、170−制御部、200−光ディスク、202−記録層、208−変色層、300−光ディスク画像形成装置

Claims (4)

  1. トラックが形成された記録層をデータ記録面側に、トラックのない変色層をレーベル面側に備えた光ディスクを、一定の周期で回転させる回転手段と、
    前記回転手段の偏心量及び前記光ディスクの偏心量よりも大きな振幅で、かつ前記回転手段の回転周期よりも短い周期で、前記光ディスクの半径方向に振動させたレーザ光線を、前記光ディスクのいずれかの面に照射するレーザ光線照射手段と、
    前記光ディスクへ照射したレーザ光線の戻り光を受光して、この戻り光に応じた信号を出力する受光手段と、
    前記受光手段が出力した信号を処理して、前記光ディスクへレーザ光線を照射した面がデータ記録面とレーベル面のいずれであるかを判別する光ディスク面判別手段と、
    を備えたことを特徴とする光ディスク画像形成装置。
  2. 前記光ディスク面判別手段は、
    前記受光手段が出力した信号を所定のスライスレベルに基づいて2値化して出力するコンパレータと、
    前記コンパレータが出力した信号から立ち上がりまたは立ち下がりエッジ部分を抽出したパルスを生成して出力するエッジ抽出回路と、
    前記エッジ抽出回路が出力したパルスの粗密に応じたアナログ信号に変換する平滑回路と、
    前記平滑回路が出力したアナログ信号から、前記レーザ光線照射手段が振動させるレーザ光線の振動周波数を透過中心周波数とする所定帯域のバンドパス信号を出力するバンドパスフィルタと、
    第1スライスレベル及び第2スライスレベルが設定され、前記バンドパスフィルタが出力したバンドパス信号が、前記第1スライスレベルよりも大または前記第2スライスレベルよりも小のときと、それ以外のときと、で異なるレベルの信号を出力するウインドコンパレータと、
    前記ウインドコンパレータが出力した信号に基づいて、前記光ディスクへレーザ光線を照射した面がデータ記録面とレーベル面のいずれであるかを判別する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記ウインドコンパレータが出力した信号における前記光ディスク1回転当たりの立ち上がりエッジ数または立ち下がりエッジ数を計数し、このエッジ数と閾値とを比較して、前記光ディスクへレーザ光線を照射した面がデータ記録面とレーベル面のいずれであるかを判別する請求項2に記載の光ディスク画像形成装置。
  4. 前記回転手段が回転させる光ディスクの半径方向に、前記レーザ光線照射手段を移動させるスレッド手段を備え、
    前記スレッド手段は、光ディスクのデータ記録面のトラックが形成された領域に相当する範囲内において、前記レーザ光線照射手段を複数箇所に移動させ、
    前記制御手段は、各箇所における判別結果がすべて一致しない場合には、前記光ディスクへレーザ光線を照射した面がレーベル面であると判別する請求項2または3に記載の光ディスク画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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