JP2007017666A - 中間転写体、中間転写体の製造装置、中間転写体の製造方法、及び画像形成装置 - Google Patents

中間転写体、中間転写体の製造装置、中間転写体の製造方法、及び画像形成装置 Download PDF

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雄一郎 前原
Kenji Sakka
健治 属
Atsushi Saito
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Abstract

【課題】 転写性がより高く、クリーニング性及び耐久性がより高い中間転写体と、真空装置等の大がかりな設備を必要としない中間転写体の製造装置と、該中間転写体を有する画像形成装置の提供。
【解決手段】 第1のトナー画像担持体から転写されたトナー画像を担持し、担持したトナー画像が被転写物の表面に2次転写される中間転写体において、基材の表面に少なくとも1層の無機酸化物層を有し、該無機酸化物層はプラズマCVD法により形成されるものであることを特徴とする中間転写体。
【選択図】 図2

Description

本発明は、中間転写体、中間転写体の製造装置、中間転写体の製造方法、及び中間転写体を有する画像形成装置に関する。
従来より、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等が知られており、その画像形成装置において、第1のトナー画像担持体から第1の転写手段によってトナー画像を1次転写され、転写されたトナー画像を担持し、更に第2の転写手段によって記録紙等にトナー画像を2次転写される中間転写体を有する画像形成装置が知られている。
このような中間転写体として中間転写体の表面にシリコン酸化物や酸化アルミニウム等を被覆させることによりトナー画像の剥離性を向上させ記録紙等への転写効率向上を図るものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平9−212004号公報
しかし、中間転写体を有する画像形成装置は2次転写時にトナー画像を100%転写することは現時点では不可能に近く、例えば中間転写体に残留したトナーを中間転写体からブレードで掻き落とすクリーニング装置を必要としている。
特許文献1には蒸着或いはスパッタ法により金属酸化物層を形成する方法が開示されている。しかし、真空蒸着法では基材上に形成する薄膜と基材の密着性が悪く、またスパッタリング法では生成膜の生成速度が極めて遅いと共に、高分子基材上ではクラックが生じやすいという問題点があった。熱CVDにおいては基材の熱エネルギーによって原料ガスを酸化・分解して薄膜を形成する方法のため、基材を高温度にしなければならず、基材温度は300〜500度程度が必要となり、プラスティックフィルム上の熱CVD法で薄膜を形成することは困難であった。また、ゾルゲル法等によるウエットコ−ティングにより金属酸化物層を形成する方法も開示されているが基材上に薄膜を形成する場合はコーティング膜の薄膜化、膜質の均一化、膜厚制御が困難であった。また、一般に気相法による形成に比べて膜が脆弱であり、長い時間で転写効率を維持することは困難であった。
本発明の目的は上述した問題点に鑑み、転写性がより高く、クリーニング性がより高い中間転写体と、真空装置等の大がかりな設備を必要としない中間転写体の製造装置と、該中間転写体を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明に係る上記目的は下記により達成される。
(1)第1のトナー画像担持体から転写されたトナー画像を担持し、担持したトナー画像が被転写物の表面に2次転写される中間転写体において、
基材の表面に少なくとも1層の無機酸化物層を有し、該無機酸化物層はプラズマCVD法により形成されるものであることを特徴とする中間転写体。
(2)前記無機酸化物層は珪素、アルミニウム、チタン、亜鉛から選ばれる酸化物を含む層であることを特徴とする(1)に記載の中間転写体。
(3)前記無機酸化物層は、大気圧または大気圧近傍下の環境で行われるプラズマCVD法により形成されるものであることを特徴とする(1)または(2)に記載の中間転写体。
(4)前記基材は無端のベルト状をなし、前記基材の上に形成される前記無機酸化物層は、外表層に位置していることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の中間転写体。
(5)前記無機酸化物層は、少なくとも1対の電極の間で少なくとも前記無機酸化物層由来の原料ガスを前記基材の表面近傍で発生するプラズマ放電により励起し、励起した前記原料ガスを基材表面に晒して前記基材表面に堆積・形成されたものであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の中間転写体。
(6)前記無機酸化物層は、少なくとも前記無機酸化物層由来の原料ガスをプラズマ放電により励起して、励起した前記原料ガスを前記基材表面に噴射して前記基材表面に堆積・形成されたものであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の中間転写体。
(7)エンドレスのベルト状の中間転写体の製造装置において、
中間転写体は基材上に少なくとも無機酸化物層を有し、前記無機酸化物層を形成する第1の成膜装置は、プラズマ放電を行う少なくとも1対の電極を有し、前記1対の電極の内、一方の電極は前記基材を着脱可能に巻架して回転駆動させる少なくとも1対のローラの内の一方のローラで、他方の電極は前記一方のローラに前記基材を介して対向する固定電極であることを特徴とする中間転写体の製造装置。
(8)前記基材の表面に前記一方のローラと前記固定電極との対向領域において発生するプラズマを晒して前記無機酸化物層を堆積・形成することを特徴とする(7)に記載の中間転写体の製造装置。
(9)エンドレスのベルト状の中間転写体の製造装置において、
前記中間転写体は基材の上に少なくとも無機酸化物層を有し、前記無機酸化物層を形成する第2の成膜装置は、前記基材を着脱可能に巻架して回転駆動させる少なくとも1対のローラと、プラズマ放電を行う少なくとも1対の電極とを有し、前記1対の電極は前記1対のローラの内の一方のローラに前記基材を介して対向する少なくとも1対の固定電極であることを特徴とする前記中間転写体の製造装置。
(10)前記基材の表面に前記少なくとも1対の固定電極の対向領域において発生するプラズマを噴射して前記無機酸化物層を堆積・形成することを特徴とする(9)に記載の中間転写体の製造装置。
(11)円柱または円筒状の中間転写体の製造装置において、
前記中間転写体は円柱または円筒状の基材の周面に少なくとも無機酸化物層を有し、前記無機酸化物層を形成する成膜装置は、プラズマ放電を行う少なくとも1対の電極を有し、前記1対の電極の内、一方の電極は前記基材で、他方の電極は前記基材に対向する固定電極であり、前記基材の表面に前記基材と前記固定電極との対向領域において発生するプラズマを晒して前記無機酸化物層を堆積・形成することを特徴とする中間転写体の製造装置。
(12)円柱または円筒状の中間転写体の製造装置において、
前記中間転写体は円柱または円筒状の基材の周面に少なくとも無機酸化物層を有し、前記無機酸化物層を形成する成膜装置は、前記基材の周囲に所定間隙を隔てて沿うように配設されたプラズマ放電を行う少なくとも1対の固定電極を有し、前記1対の固定電極の対向領域において発生するプラズマを前記基材の表面に噴射して前記無機酸化物層を堆積・形成することを特徴とする中間転写体の製造装置。
(13)前記プラズマ放電を行う少なくとも1対の電極の一方に第1の電源を接続し他方に第2の電源を接続し、それぞれ出力周波数の異なる前記第1の電源及び前記第2の電源により、前記1対の電極の間に異なる周波数が重畳された電界を発生させ、該電界により無機酸化物層由来の原料ガスをプラズマ化させ、プラズマを基材表面に晒すことにより無機酸化物層を形成することを特徴とする(7)〜(12)のいずれか1項に記載の中間転写体の製造装置。
(14)前記プラズマ放電を行う少なくとも1対の電極の一方に第1の電源を接続し他方をアースに接続し、前記第1の電源により、前記1対の電極の間に第1の電源の出力する周波数による電界を発生させ、該電界により無機酸化物層由来の原料ガスをプラズマ化させ、プラズマを基材表面に晒すことにより無機酸化物層を形成することを特徴とする(7)〜(12)のいずれか1項に記載の中間転写体の製造装置。
(15)前記無機酸化物層は珪素、アルミニウム、チタン、亜鉛から選ばれる酸化物を含むものであることを特徴とする(7)〜(14)のいずれか1項に記載の中間転写体の製造装置。
(16)前記プラズマ放電は大気圧または大気圧近傍で行われるものであることを特徴とする(7)〜(15)のいずれか1項に記載の中間転写体の製造装置。
(17)最終工程としてプラズマ放電により珪素酸化物を含む無機酸化物層を形成する成膜工程を有することを特徴とする中間転写体の製造方法。
(18)前記プラズマ放電は大気圧または大気圧近傍で行われるものであることを特徴とする(17)に記載の中間転写体の製造方法。
(19)(1)〜(6)に記載の中間転写体を有することを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば次のような効果を得ることが出来る、すなわち、
(1)〜(6)に記載の、珪素酸化物を含む無機酸化物層を有する中間転写体により、転写性が高く、クリーニング性が高い中間転写体を得ることが可能となる。
(7)〜(16)に記載の、珪素酸化物を含む無機酸化物層を大気圧または大気圧近傍下のプラズマCVD装置により形成することにより、真空装置等の大がかりな設備を必要とせず上記効果を有する中間転写体を製造する製造装置を得ることが可能となる。
(17)、(18)に記載の、珪素酸化物を含む無機酸化物層を大気圧または大気圧近傍下でプラズマ放電を行う最終工程で形成することにより、効率よく、転写性が高い、クリーニング性及び耐久性が高い中間転写体の製造方法を得ることが可能となる。
(19)に記載の、(1)〜(6)に記載の中間転写体を有することにより、転写性が高く、クリーニング性及び耐久性が高い画像形成装置を提供することが可能となる。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本欄の記載は請求項の技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。
本発明の中間転写体は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に好適に用いられ、感光体の表面に担持されたトナー画像をその表面に1次転写され、転写されたトナー画像を保持し、保持したトナー画像を記録紙等の被転写物の表面に2次転写するものであれば良く、ベルト状の転写体でも、ドラム状の転写体でも良い。
先ず、本発明の中間転写体を有する画像形成装置について、タンデム型フルカラー複写機を例に取り説明する。
図1は、カラー画像形成装置の1例を示す断面構成図である。
このカラー画像形成装置1は、タンデム型フルカラー複写機と称せられるもので、自動原稿送り装置13と、原稿画像読み取り装置14と、複数の露光手段13Y、13M、13C、13Kと、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、中間転写体ユニット17と、給紙手段15及び定着手段124とから成る。
画像形成装置の本体12の上部には、自動原稿送り装置13と原稿画像読み取り装置14が配置されており、自動原稿送り装置13により搬送される原稿dの画像が原稿画像読み取り装置14の光学系により反射・結像され、ラインイメージセンサCCDにより読み込まれる。
ラインイメージセンサCCDにより読み取られた原稿画像を光電変換されたアナログ信号は、図示しない画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、露光手段13Y、13M、13C、13Kに各色毎のデジタル画像データとして送られ、露光手段13Y、13M、13C、13Kにより対応する第1の像担持体としてのドラム状の感光体(以下感光体とも記す)11Y、11M、11C、11Kに各色の画像データの潜像を形成する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されており、感光体11Y、11M、11C、11Kの図示左側方にローラ171、172、173、174を巻回して回動可能に張架された半導電性でエンドレスベルト状の第2の像担持体である本発明の中間転写体(以下中間転写ベルトと記す)170が配置されている。
そして、本発明の中間転写ベルト170は図示しない駆動装置により回転駆動されるローラ171を介し矢印方向に駆動されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、感光体11Yの周囲に配置された帯電手段12Y、露光手段13Y、現像手段14Y、1次転写手段としての1次転写ローラ15Y、クリーニング手段16Yを有する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、感光体11M、帯電手段12M、露光手段13M、現像手段14M、1次転写手段としての1次転写ローラ15M、クリーニング手段16Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、感光体11C、帯電手段12C、露光手段13C、現像手段14C、1次転写手段としての1次転写ローラ15C、クリーニング手段16Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成部10Kは、感光体11K、帯電手段12K、露光手段13K、現像手段14K、1次転写手段としての1次転写ローラ15K、クリーニング手段16Kを有する。
トナー補給手段141Y、141M、141C、141Kは、現像装置14Y、14M、14C、14Kにそれぞれ新規トナーを補給する。
ここで、1次転写ローラ15Y、15M、15C、15Kは、図示しない制御手段により画像の種類に応じて選択的に作動され、それぞれ対応する感光体11Y、11M、11C、11Kに中間転写ベルト170を押圧し、感光体上の画像を転写する。
このようにして、画像形成部10Y、10M、10C、10Kにより感光体11Y、11M、11C、11K上に形成された各色の画像は、1次転写ローラ15Y、15M、15C、15Kにより、回動する中間転写ベルト170上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
即ち、中間転写ベルトは感光体の表面に担持されたトナー画像をその表面に1次転写され、転写されたトナー画像を保持する。
また、給紙カセット151内に収容された記録媒体としての記録紙Pは、給紙手段15により給紙され、次いで複数の中間ローラ122A、122B、122C、122D、レジストローラ123を経て、2次転写手段としての2次転写ローラ117まで搬送され、2次転写ローラ117により中間転写体上の合成されたトナー画像が記録紙P上に一括転写される。
即ち、中間転写体上に保持したトナー画像を被転写物の表面に2次転写する。
ここで、2次転写手段6は、ここを記録紙Pが通過して2次転写を行なう時にのみ、記録紙Pを中間転写ベルト170に圧接させる。
カラー画像が転写された記録紙Pは、定着装置124により定着処理され、排紙ローラ125に挟持されて機外の排紙トレイ126上に載置される。
一方、2次転写ローラ117により記録紙Pにカラー画像を転写した後、記録紙Pを曲率分離した中間転写ベルト170は、クリーニング手段8により残留トナーが除去される。
次に、中間転写ベルト170に接する1次転写手段としての1次転写ローラ15Y、15M、15C、15K、と、2次転写ローラ117の構成について説明する。
一次転写ローラ15Y、15M、15C、15Kは、例えば外径8mmのステンレス等の導電性芯金の周面に、ポリウレタン、EPDM、シリコーン等のゴム材料に、カーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりして、体積抵抗が105〜109Ω・cm程度のソリッド状態または発泡スポンジ状態で、厚さが5mm、ゴム硬度が20〜70°程度(アスカー硬度C)の半導電弾性ゴムを被覆して形成される。
二次転写ローラ6は、例えば外径8mmのステンレス等の導電性芯金の周面に、ポリウレタン、EPDM、シリコーン等のゴム材料に、カーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりして、体積抵抗が105〜109Ω・cm程度のソリッド状態または発泡スポンジ状態で、厚さが5mm、ゴム硬度が20〜70°程度(アスカー硬度C)の半導電弾性ゴムを被覆して形成される。
そして、二次転写ローラ6は、一次転写ローラ15Y、15M、15C、15Kと異なり、記録紙Pが無い状態ではトナーが接する可能性があるため、二次転写ローラ6の表面に半導電性のフッ素樹脂やウレタン樹脂等の離型性の良いものを被覆すると良く、ステンレス等の導電性芯金の周面に、ポリウレタン、EPDM、シリコーン等のゴムや樹脂材料に、カーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりした半導電性材料を、厚さが0.05〜0.5mm程度被覆して形成される。
以下に上述した中間転写ベルト170を例に取り本発明の中間転写体について説明する。
図2は、中間転写体の層構成を示す概念断面図である。
中間転写ベルト170は基材175と、基材175の表面に形成された少なくとも無機酸化物層176とを有している。
基材171は、特に限定しないが、体積抵抗が106〜1012Ω・cmオーダーの無端ベルトであり、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)ポリアミドイミド(PAI)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、エトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等の樹脂材料やフッ素系樹脂、EPDM、NBR、CR、ポリウレタン等のゴム材料にカーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりしたものが用いられ、その厚みは、樹脂材料の場合50〜200μm程度、ゴム材料の場合は300〜700μm程度に設定されている。
ここで、中間転写ベルト170は基材175と無機酸化物層176との間に他の層を有しても良く、無機酸化物層176は最外表層に位置している。
また、無機酸化物層の積層前にプラズマ、火炎、紫外線照射等公知の表面処理方法により、基材表面を前処理しても良い。
そして、無機酸化物層176は厚さ10〜100nmで、SiO2、Al23、ZrO2、TiO2から選ばれる少なくとも1つの酸化物を含み特にSiO2が好ましく、無機酸化物層176は少なくとも放電ガスと無機酸化物層由来の原料ガスとの混合ガスをプラズマ化して原料ガスに応じた膜を堆積・形成するプラズマCVD、特に大気圧または大気圧近傍下において行われるプラズマCVDにより形成することが好ましい。
以下、無機酸化物層は珪素酸化物(SiO2)を用いた場合について説明する。
大気圧またはその近傍の圧力とは20kPa〜110kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
以下に中間転写体の層を大気圧プラズマCVDにより形成する場合を例に取り、装置及び方法について説明する。
図3は、中間転写体を製造する製造装置の説明図である。
中間転写体の製造装置2(放電空間と薄膜堆積領域が略同一部で、プラズマを基材に晒して堆積・形成するダイレクト方式)は基材上に無機酸化物層を形成するもので、エンドレスベルト状の中間転写体の基材175を巻架して矢印方向に回転するロール電極20と従動ローラ201、及び、基材表面に無機酸化物層を形成する成膜装置である大気圧プラズマCVD装置3より構成されている。
大気圧プラズマCVD装置3は、ロール電極20の外周に沿って配列された少なくとも1式の固定電極21と、固定電極21とロール電極20との対向領域で且つ放電が行われる放電空間23と、少なくとも原料ガスと放電ガスとの混合ガスGを生成して放電空間23に混合ガスGを供給する混合ガス供給装置24と、放電空間23等に空気の流入することを軽減する放電容器29と、固定電極21に接続された第1の電源25と、ロール電極20に接続された第2の電源26と、使用済みの排ガスG’を排気する排気部28とを有している。
ここで、固定電極21に第2の電源26、ロール電極20に第1の電源25を接続しても良い。
混合ガス供給装置24は珪素酸化物を含む膜を形成する原料ガスと、窒素ガス或いはアルゴンガス等の希ガスを混合した混合ガスを放電空間23に供給する。
また、従動ローラ201は張力付勢手段202により矢印方向に付勢され、基材175に所定の張力を掛けている。張力付勢手段202は基材175の掛け替え時等は張力の付勢を解除し、容易に基材175の掛け替え等を可能としている。
第1の電源25は周波数ω1の電圧を出力し、第2の電源26は周波数ω1より高い周波数ω2の電圧を出力し、これらの電圧により放電空間23に周波数ω1とω2とが重畳された電界Vを発生する。そして、電界Vにより混合ガスGをプラズマ化して混合ガスGに含まれる原料ガスに応じた膜(無機酸化物層)が基材175の表面に堆積される。
ここで、他の形態として、ロール電極20と固定電極21との内、一方の電極をアースに接続して、他方の電極に電源を接続しても良い。この場合の電源は第2の電源を使用することが緻密な薄膜形成を行え好ましく、特に放電ガスにアルゴン等の希ガスを用いる場合に好ましく用いられる。
なお、複数の固定電極の内、ロール電極の回転方向下流側に位置する複数の固定電極と混合ガス供給装置で無機酸化物層を積み重ねるように堆積し、無機酸化物層の厚さを調整するようにしても良い。
また、複数の固定電極の内、ロール電極の回転方向最下流側に位置する固定電極と混合ガス供給装置で無機酸化物層を堆積し、より上流に位置する他の固定電極と混合ガス供給装置で、例えば無機酸化物層と基材との接着性を向上させる接着層等、他の層を形成しても良い。
また、無機酸化物層と基材との接着性を向上させるために、無機酸化物層を形成する固定電極と混合ガス供給装置の上流に、アルゴンや酸素或いは水素などのガスを供給するガス供給装置と固定電極を設けてプラズマ処理を行い、基材の表面171aを活性化させるようにしても良い。
以上説明したように、エンドレスベルトである中間転写ベルトを1対のローラに張架し、1対のローラの内一方を1対の電極の一方の電極とし、一方の電極としたローラの外周面の外側に沿って他方の電極である少なくとも1の固定電極を設け、これら1対の電極間(固定電極とローラ電極)に大気圧または大気圧近傍下で電界を発生させプラズマ放電を行わせ、中間転写体表面に薄膜を堆積・形成する構成を取ることにより、転写性が高く、クリーニング性及び耐久性が高い中間転写体を得ることを可能としている。
図4は、中間転写体を製造する第2の製造装置の説明図である。
中間転写体の第2の製造装置2a(放電空間と薄膜堆積領域が異なり、プラズマを基材に噴射して堆積・形成するプラズマジェット方式)は基材上に無機酸化物層を形成するもので、エンドレスベルト状の中間転写体の基材175を巻架して矢印方向に回転するロール203と従動ローラ201、及び、基材表面に無機酸化物層を形成する成膜装置である大気圧プラズマCVD装置3aより構成されている。
大気圧プラズマCVD装置3aは前述した大気圧プラズマCVD装置3と、電極に対する電源の接続と混合ガスの供給と膜の堆積に係る部分とが異なり、以下異なる部分について説明する。
大気圧プラズマCVD装置3aは、ロール203の外周に沿って配列された少なくとも1対の固定電極21と、固定電極21の一方の固定電極21aと他方の固定電極21bとの対向領域で且つ放電が行われる放電空間23aと、少なくとも原料ガスと放電ガスとの混合ガスGを生成して放電空間23aに混合ガスGを供給する混合ガス供給装置24aと、放電空間23a等に空気の流入することを軽減する放電容器29と、一方の固定電極21aに接続された第1の電源25と、他方の固定電極21bに接続された第2の電源26と、使用済みの排ガスG’を排気する排気部28とを有している。
ここで、固定電極21に第2の電源26、ロール電極20に第1の電源25を接続しても良い。
混合ガス供給装置24aは少なくとも珪素酸化物の膜を形成する原料ガスと、窒素ガス或いはアルゴンガス等の希ガスを混合した混合ガスを放電空間23aに供給する。
第1の電源25は周波数ω1の電圧を出力し、第2の電源26は周波数ω1より高い周波数ω2の電圧を出力し、これらの電圧により放電空間23aに周波数ω1とω2とが重畳された電界Vを発生する。そして、電界Vにより混合ガスGをプラズマ化(励起)し、プラズマ化(励起)した混合ガスを基材175の表面に噴射し、噴射されたプラズマ化(励起)した混合ガスに含まれる原料ガスに応じた膜(無機酸化物層)が基材175の表面に堆積・形成される。
更に他の形態として、1対の固定電極(21a、21b)の内、一方の固定電極をアースに接続して、他方の固定電極に電源を接続しても良い。この場合の電源は第2の電源を使用することが緻密な薄膜形成を行え好ましく、特に放電ガスにアルゴン等の希ガスを用いる場合に好ましい。
中間転写体は円筒状の回転ドラムでも良く、図3及び図4において、図3のロール電極20また図4のロール203を円筒状の中間転写体に置き代えても良い。
以下に基材上に無機酸化物層を形成する各種の大気圧プラズマCVD装置の形態について詳細に説明する。
なお、下記の図5、6は図3、4の破線部を主に抜き出したものである。
図5は、プラズマにより中間転写体を製造する第1の製造装置の説明図である。
図5を参照して、無機酸化物層の形成に好適に用いられる大気圧プラズマCVD装置の第1の形態の1例を説明する。
第1の大気圧プラズマCVD装置3は前述したように混合ガス供給装置24、固定電極21、第1の電源25、第1のフィルタ25a、ロール電極20、ロール電極を矢印方向に駆動回転させる駆動手段20a、第2の電源26、第2のフィルタ26aとを有しており、前述したように放電空間23でプラズマ放電を行わせて原料ガスと放電ガスを混合した混合ガスGを励起させ励起した混合ガスG1を基材表面175aに晒し、その表面に無機酸化物層を堆積・形成するものである。即ち放電空間は薄膜形成領域でもある。
そして、固定電極21に第1の電源25から周波数ω1の第1の高周波電圧が印加され、ロール電極20に第2の電源26から周波数ω2の高周波電圧が印加されるようになっており、それにより、固定電極21とロール電極20との間に電界強度V1で周波数ω1と電界強度V2で周波数ω2とが重畳された電界が発生し、固定電極21に電流I1が流れ、ロール電極20に電流I2が流れ、電極間にプラズマが発生する。
ここで、周波数ω1と周波数ω2の関係、及び、電界強度V1と電界強度V2および放電ガスの放電を開始する電界強強度IVとの関係が、ω1<ω2で、V1≧IV>V2、または、V1>IV≧V2を満たし、前記第2の高周波電界の出力密度が1W/cm2以上となっている。
窒素ガスの放電を開始する電界強強度IVは3.7kV/mmの為、少なくとも第1の電源25から印可する電界強度V1は3.7kV/mm、またはそれ以上とし、第2の高周波電源60から印可する電界強度V2は3.7kV/mm、またはそれ未満とすることが好ましい。
また、第1の大気圧プラズマCVD装置3に利用可能な第1の電源25(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3−4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5−4500
A3 春日電機 15kHz AGI−023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50−4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
A6 パール工業 200kHz CF−2000−200k
A7 パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することが出来る。
また、第2の電源26(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF−2000−800k
B2 パール工業 2MHz CF−2000−2M
B3 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
B4 パール工業 27MHz CF−2000−27M
B5 パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することが出来る。
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
本発明において、第1及び第2の電源から対向する電極間に供給する電力は、固定電極21に1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、薄膜を形成する。固定電極21に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm2、より好ましくは20W/cm2である。下限値は、好ましくは1.2W/cm2である。なお、放電面積(cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
また、ロール電極20にも、1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給することにより、高周波電界の均一性を維持したまま、出力密度を向上させることが出来る。これにより、更なる均一高密度プラズマを生成出来、更なる製膜速度の向上と膜質の向上が両立出来る。好ましくは5W/cm2以上である。ロール電極20に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cm2である。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくともロール電極20に供給する高周波は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
また、固定電極21と第1の電源25との間には、第1フィルタ25aが設置されており、第1の電源25から固定電極21への電流を通過しやすくし、第2の電源26からの電流をアースして、第2の電源26から第1の電源25への電流が通過しにくくなるようになっており、ロール電極20と第2の電源26との間には、第2フィルター26aが設置されており、第2の電源26からロール電極20への電流を通過しやすくし、第1の電源21からの電流をアースして、第1の電源25から第2の電源26への電流を通過しにくくするようになっている。
電極には前述したような強い電界を印加して、均一で安定な放電状態を保つことが出来る電極を採用することが好ましく、固定電極21とロール電極20には強い電界による放電に耐えるため少なくとも一方の電極表面には下記の誘電体が被覆されている。
以上の説明において、電極と電源の関係は、固定電極21に第2の電源26を接続して、ロール電極20に第1の電源25を接続しても良い。
更に他の形態として、一方の電極をアースに接続しても良く、他方の電極に接続する電源は第2の電源を使用することが緻密な薄膜形成を行え好ましく、とくに放電ガスにアルゴン等の希ガスを用いる場合に好ましい。
図6は、プラズマにより中間転写体を製造する第2の製造装置の説明図である。
図6を参照して、無機酸化物層の形成に用いられる大気圧プラズマ装置の第2の形態の1例を説明する。
大気圧プラズマ装置4は、1対の固定電極21a、2bを有し、固定電極21aに第1フィルタ25a及び第1の電源25が接続され、固定電極21bに第2フィルター26a及び第2の電源26が接続され、ロール電極20がアースに接続されている以外は図4の大気圧プラズマCVD装置3と同様な構成を有している。
以下に作用を説明すると、固定電極21aに第1の電源25から周波数ω1の第1の高周波電圧が印加され、固定電極21bに第2の電源26から周波数ω2の高周波電圧が印加され、それにより、固定電極21aと21bとの間に電界強度V1で周波数ω1と電界強度V2で周波数ω2とが重畳された電界が発生し、固定電極21aに電流I1が流れ、固定電極21bに電流I2が流れ、電極間にプラズマが発生する。
そしてプラズマ化された混合ガスG2が薄膜形成領域41で基材175表面に噴射され無機酸化物層176を堆積・形成する。
また、一方の電極をアースに接続しても良く、他方の電極に接続する電源は第2の電源を使用することが緻密な薄膜形成を行え好ましく、とくに放電ガスにアルゴン等の希ガスを用いる場合に好ましい。
以上説明した第1の大気圧プラズマCVD装置3或いは大気圧プラズマ装置4のような、2台の電源により異なる周波数と電圧が重畳された電界でプラズマを発生する方式は、放電ガスとして窒素を用いる場合に好ましく用いられ、第1の電源により高電圧を掛け第2の電源により高周波を掛けることにより安定して放電を開始し且つ放電を継続することができる。
図7は、ロール電極の一例を示す概略図である。
ロール電極20(203)の構成について説明すると、図7(a)において、ロール電極20は、金属等の導電性母材20a(以下、「電極母材」ともいう。)に対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体20b(以下、単に「誘電体」ともいう。)を被覆した組み合わせで構成されている。また、溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
また、図7(b)に示すように、金属等の導電性母材20Aにライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体20Bを被覆した組み合わせでロール電極20’を構成してもよい。ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
金属等の導電性母材20a、20Aとしては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレスが好ましい。
尚、本実施の形態においては、ロール電極の母材20a、20Aは、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材を使用している(不図示)。
図8は、固定電極の一例を示す概略図である。
図8(a)において、角柱或いは角筒柱の固定電極21は上記記載のロール電極20と同様に、金属等の導電性母材21cに対しセラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体21dを被覆した組み合わせで構成されている。また、図8(b)に示す様に、角柱或いは角筒柱型の固定電極21’は金属等の導電性母材21Aへライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体21Bを被覆した組み合わせで構成してもよい。
以下に、中間転写体の製造方法の工程の内、基材上に少なくとも1つの層を形成する少なくとも1つの工程であり、最終工程に位置し、基材175上に無機酸化物層176を堆積・形成する成膜工程を、図3、5及び図4、6を参照して説明する。
図3、5において、ロール電極20及び固定電極21に基材175を張架後、張力付勢手段202により基材175に所定の張力を掛け、ロール電極20を所定の回転数で回転駆動する。
混合ガス供給装置24から上述した混合ガスGを生成し、放電空間23に放出する。
第1の電源25から周波数ω1の電圧を出力して固定電極21に印加し、第2の電源26から周波数ω2の電圧を出力してロール電極20に印加し、これらの電圧により放電空間23に周波数ω1とω2とが重畳された電界Vを発生させる。
電界Vにより放電空間23に放出された混合ガスGを励起しプラズマ状態にする。そして、プラズマ状態の混合ガスGを基材表面に晒し混合ガスG中の原料ガスにより珪素酸化物を含む膜、即ち無機酸化物層176(図5)を基材175上に形成する。
また図4、6において、第1の電源25から周波数ω1の電圧を出力して固定電極21aに印加し、第2の電源26から周波数ω2の電圧を出力して固定電極21bに印加し、これらの電圧により放電空間23aに周波数ω1とω2とが重畳された電界Vを発生させる。
電界Vにより放電空間23aを通過する混合ガスGを励起しプラズマ状態にして、プラズマ化された混合ガスG2(図6)は薄膜形成領域41に放出され、薄膜形成領域41で基材表面に晒される。該混合ガスG2中の原料ガスにより珪素酸化物の膜、即ち無機酸化物層176を基材175上に形成する。
無機酸化物層を有しない基材、プラズマCVD装置を用いない成膜法で無機酸化物層を形成した場合に対して、下記の条件で該基材に無機酸化物層を表面に形成した場合の効果について比較テストを実施したので説明する。
(1)資料の作成
下記の表1条件一覧に示す如く、下記の資料を作成した。
1)実施例1(真空プラズマCVD)
公知のプラズマCVD装置を使用して基材のポリイミドフィルム上にシリカ膜を形成した。
印加電力=1.0KW
TEOS流量=1.2slm(スタンダード・リットル/分)
酸素ガス流量=2.5slm
成膜温度=80℃
膜厚=20nm
2)実施例2:大気圧下で図5(ダイレクト方式)に示すプラズマCVD装置で基材上にSiO2層を成膜した。
膜厚=20nm
基材=ポリイミドベルト
3)実施例3:大気圧下で図5(ダイレクト方式)に示す大気圧プラズマCVD装置で基材上にSiO2層を成膜した。
膜厚=150nm
基材=ポリイミドベルト
4)実施例4:大気圧下で図5(ダイレクト方式)に示す大気圧プラズマCVD装置で基材上にAl23層を成膜した。
膜厚=150nm
基材=ポリイミドベルト
5)実施例5:大気圧下で図5(ダイレクト方式)に示す大気圧プラズマCVD装置で基材上にSiO2層を成膜した。
膜厚=150nm
基材=ポリフェニレンスルフィド(PPS)ベルト
6)比較例1:無機酸化物層を形成前のポリイミド基材シート。
7)比較例2:公知の方法により真空蒸着で基材上にSiO2層を成膜した。
膜厚=150nm
基材=ポリイミドベルト
8)比較例3:スパッタリング装置としてマグネトロンスパッタリング装置を用いスパッタリングを行った。
供給ガス アルゴンガス:5cm3/m、圧力:0.67Pa、
供給電力 1.2KW
膜厚=150nm
ターゲット材料=シリコン
9)比較例4:公知の方法により塗布で基材上にSiO2層を成膜した。
膜厚=150nm
基材=ポリイミドベルト
Figure 2007017666
(2)資料の評価
以下に上記資料の評価結果を示す。
なお、画質は所定枚数画像形成を行いその間適宜サンプリングを行い用紙に形成された画像を目視し中抜け状態を確認した。そして、10万枚の画像形成終了まで中抜けのないものを◎、5万枚の画像形成終了まで中抜けのないものを○、5万枚の画像形成終了時に中抜けが僅かなものを△、5万枚未満の画像形成で中抜けがあるものを×とした。
また、クリーニング性は所定枚数画像形成を行いその間適宜サンプリングを行い中間転写体を目視しトナーの付着状態を確認した。そして、10万枚の画像形成終了までトナーの付着のないものを◎、5万枚の画像形成終了までトナーの付着のないものを○、5万枚の画像形成終了時にトナーの付着が僅かなものを△、5万枚未満の画像形成でトナーの付着があるものを×とした。
Figure 2007017666
以上により、
1)無機酸化物層を形成しない基材単体(比較例1)では5万枚未満の画像形成で中抜け及びトナーの付着が発生することが確認され、
2)また、大気圧下のプラズマ成膜方法以外の無機酸化物層の形成(比較例2、3、4)では5万枚の画像形成終了時にトナーの付着が僅かに認められ、実技状問題のあることが確認され、基材単体及び大気圧下のプラズマCVD方法以外によるSiO2層の形成では問題のあることが確認された。
3)それに対して、大気圧下のプラズマCVD方法によるSiO2層或いはAl23層の形成では5万枚の画像形成終了まで中抜け及びトナーの付着発生が無く、特にSiO2層を100nm形成した場合は10万枚の画像形成終了まで中抜け及びトナーの付着のないことが確認され、大気圧下でプラズマCVD方法にりSiO2層を形成することにより目的を達することができることを確認した。
4)以上説明したように、プラズマ放電成膜装置で基材表面に無機酸化物層を形成することにより中間転写体の目的の効果を奏することが確認できた。
カラー画像形成装置の1例を示す断面構成図である。 中間転写体の層構成を示す概念断面図である。 中間転写体を製造する製造装置の説明図である。 中間転写体を製造する第2の製造装置の説明図である。 プラズマにより中間転写体を製造する第1の製造装置の説明図である。 プラズマにより中間転写体を製造する第2の製造装置の説明図である。 ロール電極の一例を示す概略図である。 固定電極の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 カラー画像形成装置
2 中間転写体の製造装置
3 大気圧プラズマCVD装置
4 大気圧プラズマ装置
17 中間転写体ユニット
20 ロール電極
21 固定電極
23 放電空間
24 混合ガス供給装置
25 第1の電源
26 第2の電源
41 薄膜形成領域
117 2次転写ローラ
170 中間転写ベルト
175 基材
176 無機酸化物層
201 従動ローラ

Claims (19)

  1. 第1のトナー画像担持体から転写されたトナー画像を担持し、担持したトナー画像が被転写物の表面に2次転写される中間転写体において、
    基材の表面に少なくとも1層の無機酸化物層を有し、該無機酸化物層はプラズマCVD法により形成されるものであることを特徴とする中間転写体。
  2. 前記無機酸化物層は珪素、アルミニウム、チタン、亜鉛から選ばれる酸化物を含む層であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記無機酸化物層は、大気圧または大気圧近傍下の環境で行われるプラズマCVD法により形成されるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の中間転写体。
  4. 前記基材は無端のベルト状をなし、前記基材の上に形成される前記無機酸化物層は、外表層に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中間転写体。
  5. 前記無機酸化物層は、少なくとも1対の電極の間で少なくとも前記無機酸化物層由来の原料ガスを前記基材の表面近傍で発生するプラズマ放電により励起し、励起した前記原料ガスを基材表面に晒して前記基材表面に堆積・形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の中間転写体。
  6. 前記無機酸化物層は、少なくとも前記無機酸化物層由来の原料ガスをプラズマ放電により励起して、励起した前記原料ガスを前記基材表面に噴射して前記基材表面に堆積・形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の中間転写体。
  7. エンドレスのベルト状の中間転写体の製造装置において、
    中間転写体は基材上に少なくとも無機酸化物層を有し、前記無機酸化物層を形成する第1の成膜装置は、プラズマ放電を行う少なくとも1対の電極を有し、前記1対の電極の内、一方の電極は前記基材を着脱可能に巻架して回転駆動させる少なくとも1対のローラの内の一方のローラで、他方の電極は前記一方のローラに前記基材を介して対向する固定電極であることを特徴とする中間転写体の製造装置。
  8. 前記基材の表面に前記一方のローラと前記固定電極との対向領域において発生するプラズマを晒して前記無機酸化物層を堆積・形成することを特徴とする請求項7に記載の中間転写体の製造装置。
  9. エンドレスのベルト状の中間転写体の製造装置において、
    前記中間転写体は基材の上に少なくとも無機酸化物層を有し、前記無機酸化物層を形成する第2の成膜装置は、前記基材を着脱可能に巻架して回転駆動させる少なくとも1対のローラと、プラズマ放電を行う少なくとも1対の電極とを有し、前記1対の電極は前記1対のローラの内の一方のローラに前記基材を介して対向する少なくとも1対の固定電極であることを特徴とする前記中間転写体の製造装置。
  10. 前記基材の表面に前記少なくとも1対の固定電極の対向領域において発生するプラズマを噴射して前記無機酸化物層を堆積・形成することを特徴とする請求項9に記載の中間転写体の製造装置。
  11. 円柱または円筒状の中間転写体の製造装置において、
    前記中間転写体は円柱または円筒状の基材の周面に少なくとも無機酸化物層を有し、前記無機酸化物層を形成する成膜装置は、プラズマ放電を行う少なくとも1対の電極を有し、前記1対の電極の内、一方の電極は前記基材で、他方の電極は前記基材に対向する固定電極であり、前記基材の表面に前記基材と前記固定電極との対向領域において発生するプラズマを晒して前記無機酸化物層を堆積・形成することを特徴とする中間転写体の製造装置。
  12. 円柱または円筒状の中間転写体の製造装置において、
    前記中間転写体は円柱または円筒状の基材の周面に少なくとも無機酸化物層を有し、前記無機酸化物層を形成する成膜装置は、前記基材の周囲に所定間隙を隔てて沿うように配設されたプラズマ放電を行う少なくとも1対の固定電極を有し、前記1対の固定電極の対向領域において発生するプラズマを前記基材の表面に噴射して前記無機酸化物層を堆積・形成することを特徴とする中間転写体の製造装置。
  13. 前記プラズマ放電を行う少なくとも1対の電極の一方に第1の電源を接続し他方に第2の電源を接続し、それぞれ出力周波数の異なる前記第1の電源及び前記第2の電源により、前記1対の電極の間に異なる周波数が重畳された電界を発生させ、該電界により無機酸化物層由来の原料ガスをプラズマ化させ、プラズマを基材表面に晒すことにより無機酸化物層を形成することを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の中間転写体の製造装置。
  14. 前記プラズマ放電を行う少なくとも1対の電極の一方に第1の電源を接続し他方をアースに接続し、前記第1の電源により、前記1対の電極の間に第1の電源の出力する周波数による電界を発生させ、該電界により無機酸化物層由来の原料ガスをプラズマ化させ、プラズマを基材表面に晒すことにより無機酸化物層を形成することを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の中間転写体の製造装置。
  15. 前記無機酸化物層は珪素、アルミニウム、チタン、亜鉛から選ばれる酸化物を含むものであることを特徴とする請求項7〜14のいずれか1項に記載の中間転写体の製造装置。
  16. 前記プラズマ放電は大気圧または大気圧近傍で行われるものであることを特徴とする請求項7〜15のいずれか1項に記載の中間転写体の製造装置。
  17. 最終工程としてプラズマ放電により珪素酸化物を含む無機酸化物層を形成する成膜工程を有することを特徴とする中間転写体の製造方法。
  18. 前記プラズマ放電は大気圧または大気圧近傍で行われるものであることを特徴とする請求項17に記載の中間転写体の製造方法。
  19. 請求項1〜6に記載の中間転写体を有することを特徴とする画像形成装置。
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