JP2007012633A - 薄膜型電子源、それを用いた表示装置及び応用機器 - Google Patents

薄膜型電子源、それを用いた表示装置及び応用機器 Download PDF

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睦三 鈴木
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敏明 楠
Masakazu Sagawa
雅一 佐川
Makoto Okai
誠 岡井
Akitoshi Ishizaka
彰利 石坂
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Abstract

【課題】薄膜型電子源において、電子放出効率を向上させる。
【解決手段】薄膜型電子源の上部電極の材料として、Siよりも大きな禁制帯幅を有し、かつ導電性を有する材料を用いる。特に、SnOやITO膜などの導電性酸化物、GaNやSiCなどの広禁制帯幅半導体を用いる。ホットエレクトロンが通過する上部電極(11)中での電子のエネルギー損失が低減し、電子放出効率が向上する。従来並のダイオード電流の場合、高い放出電流が得られる。一方、従来並の放出電流密度の場合、低駆動電流で済む為、給電線および駆動回路を簡易化できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電極−絶縁体−電極あるいは電極−半導体−絶縁体−電極の積層構造を有し、真空中に電子を放出する薄膜型電子源およびこれを用いた表示装置、電子線描画装置等の応用機器に関する。
本発明がかかわる薄膜型電子源とは、絶縁体に高電界を印加して生成するホットエレクトロンを利用する電子放出素子である。代表例として,上部電極−絶縁層−下部電極の3層構造の薄膜で構成されるMIM(Metal−Insulator−Metal)型電子源を説明する。これは上部電極−下部電極の間に電圧を印加して、上部電極の表面から電子を放出させるものである。MIM型電子源については、例えば、特開平7−65710号公報に示されている。
第2図は、薄膜型電子源の代表例であるMIM型電子源の動作原理を示すものである。上部電極11と下部電極13との間に駆動電圧20を印加して、絶縁層12内の電界を1〜10MV/cm以上にすると、下部電極13中のフェルミ準位近傍の電子はトンネル現象により障壁を透過し、絶縁層12、上部電極11の伝導帯へ注入されホットエレクトロンとなる。これらのホットエレクトロンの一部は,絶縁層12中および上部電極11中で,固体との相互作用で散乱を受けエネルギーを失う。この結果,上部電極11−真空10界面に到達した時点では,様々なエネルギーを有したホットエレクトロンがある。これらのホットエレクトロンのうち、上部電極11の仕事関数φ以上のエネルギーを有するものは、真空10中に放出される。それ以外のものは上部電極11に流れ込む。下部電極13から上部電極11に流れる電流をダイオード電流Id、真空10中に放出される電流を放出電流Ieと呼ぶと、電子放出効率Ie/Idは1/103〜1/105程度である。例えば、Au−Al2O3−Al構造においてこの原理による電子放出が観測されている。 この電子源は、上部電極11の表面が雰囲気ガスの付着により汚染して仕事関数φが変化しても電子放出特性には大きな影響がない、などの電子源として優れた性質を有しており、新型電子源として期待されている。
ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジーズB,第11巻,429頁〜432頁
先に述べたように,薄膜電子源の電子放出効率Ie/Idは,通常1/103〜1/105程度と小さい。このため所望の放出電流Ieを得るためには,ダイオード電流Idを大きくする必要があり,電子源に給電する給電線の大容量化,駆動回路の大出力電流化が必要になり,問題になっていた。特に複数の薄膜電子源を2次元的に配列して用いる場合には,1本の給電線に複数個の電子源を接続するので,これが大きな問題になっていた。さらに,ダイオード電流を多く流すには絶縁層に、より高い電界を印加しなければならず,これが薄膜電子源の動作寿命を短くする原因にもなっていた。
本発明の目的は,薄膜電子源の電子放出効率を高めることにある。電子放出効率が低い理由は,第2図に関連して述べたように,ホットエレクトロンが絶縁層および上部電極中で散乱され,エネルギーを失うためである。絶縁層と上部電極が散乱にいかなる割合で寄与しているかは,薄膜電子源の構成材料,絶縁層および上部電極の膜厚など種々の条件に依存するので一概には評価できないが,いずれにせよ上部電極中での散乱が電子放出効率にかなり寄与していることは確かである。したがって,ホットエレクトロンの散乱が小さい上部電極材料を用いれば電子放出効率は向上する。我々は,ホットエレクトロンの散乱の度合いが,電極材料の状態密度関数と関連していることを種々の研究から見い出した。 すなわち,フェルミ準位近傍の状態密度が小さい材料ほどホットエレクトロン散乱の割合が小さく,それを用いた薄膜電子源の電子放出効率が高くなる。
これは次のように説明される。固体中でのホットエレクトロンの散乱は,主に電子−電子散乱機構で支配されている。第3図は,金属中での,散乱前後の電子のエネルギー状態を模式的に示した図である。散乱前のホットエレクトロンの電子状態を1,そのエネルギーをE1とし,状態2にある電子と相互作用するとする。
フェルミ準位EF以下の状態は電子で占有されているので,散乱後の2つの電子の状態3,4はEF以上の状態しか取り得ない。したがって,エネルギーの基準をフェルミ準位に取ると,エネルギー保存則より
E1+E2=E3+E4>0
となる。すなわち,エネルギーE1のホットエレクトロンは,0〜−E1の範囲の価電子としか相互作用できず,また散乱後は0〜E1の範囲の状態しか取り得ない。したがって,ホットエレクトロンの散乱確率は,この範囲の状態密度D(E)の個数にほぼ比例する。
我々は,電子散乱の度合いの、金属材料による違いを実際に測定するために,MIM型電子源の上部電極11をM−Au(M=Au,Pt,Ir,Mo,W)の2層膜で構成した試料を作り,電子放出効率を測定した。すると,第4図に示すように,電子放出効率は,W,Mo,Ir,Pt,Auの順で大きくなる。一方,第5図には,これらの金属材料の状態密度関数を示したが,−7eV〜+7eVの範囲に存在する状態密度の個数は,W,Mo,Ir,Pt,Auの順で小さくなっている。このように,上述した,ホットエレクトロンの散乱の度合いと材料の状態密度の関連をわれわれは見いだした。
したがって,ホットエレクトロンの散乱が少ない上部電極材料とは,フェルミ準位近傍の状態密度が小さいものであることがわかる。すなわち,フェルミ準位近傍に広い禁制帯(wide−bandgap)を有する材料がとりわけ望ましいことがわかる。
半導体プロセスで電極材料として頻繁に用いられるn+−Siを薄膜電子源の上部電極に用いた例が,例えばジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・アンド・テクノロジーズB,第11巻,429頁〜432頁(Journal of Vacuum Science and Technologies B,Vol.11,pp.429〜432)に報告されている。しかし,この文献によるとこの構成では十分な放出効率が得られていない。このことは,Siの禁制帯幅(1.1eV)では電子散乱確率を低減するには不十分であることを示している。
以上の研究より,われわれは,薄膜電子源の上部電極材料に最適な材料として,以下の材料を見いだした。すなわち,Siよりも禁制帯幅が広い材料である。一方、上部電極は、ダイオード電流を流すため抵抗が低くなければならない。
このような材料として,特に導電性酸化物がある。中でも,透明導電膜と呼ばれる一群の材料は,光の吸収を防ぐために,3eV程度以上の禁制帯幅を有しており,かつ,抵抗率が1×10−4〜8×10−4Ωcm程度と抵抗率が10−3Ωcm以下で、導電性が高いので,薄膜電子源の上部電極に適している。更に具体的には,代表的なものとして,酸化錫,Sbをドープした酸化錫,Snをドープした酸化インジウム(ITO,Indium Tin Oxide膜),酸化亜鉛,Cd2SnO4などがある。
その他の導電性酸化物として,ドープしない酸化インジウム,Fをドープした酸化インジウム,CdO,TiO2,Cdln2O4,Cd2SnO2,Zn2SnO4,AlやGa,Inなどをドープした酸化亜鉛などが上げられる。
なお,これらの材料の抵抗率はAuなどの金属と比べると100倍程度高いが,電子放出部までは給電線(バスライン)で電流を供給し,かつ電子放出部の面積が数10〜数100μm角程度であれば,この抵抗率で十分である。というのは、電極抵抗に対する要求は、電流通過による電圧降下が所望の範囲に収まるか否かで決まる。上部電極の短辺の長さをLとすると、要求抵抗値はL−1〜L−2の依存性で変化する。上部電極に金属を用いた場合は、電子放出部面積が1mm角程度の大きさの薄膜型電子源を実現出来るので、電子放出部の面積が数10〜数100μm角程度であれば100倍程度の抵抗率が許容できる。
その他の最適材料としては,GaN,SiCなどのいわゆるワイド バンドギャップ(wide−bandgap)半導体がある。これらは,禁制帯幅が3eV以上と十分であり,不純物のドーピングにより導電性を上げられるので,薄膜型電子源の上部電極に適している。
上記以外の透明導電膜として,導電性ホウ化物および導電性窒化物がある。具体的には,導電性ホウ化物としてはLaB6があり,導電性窒化物としてはTiN,ZrN,HfNなどがある。導電性ホウ化物,導電性窒化物では,フェルミ順位の直下3eV程度の範囲の状態密度関数(Density of States,DOS)がきわめて小さくなっている。このエネルギー範囲のDOSがゼロではないので,ワイドバンドギャップ材料とは必ずしも言われないが,DOSがきわめて小さいため,上述の原理によりホットエレクトロンの散乱は起こりにくく,薄膜型電子源の上部電極に適している。さらにこれらの化合物は,表面の仕事関数が2.6〜4eV程度と小さいため,表面からの電子放出が起こりやすいという利点もある。
また、用途によって、さらに抵抗率を下げたい場合には、上述のような禁制帯幅がSiの禁制帯幅よりも広い材料の上に、AuやPtなどフェルミ準位近傍の状態密度が小さい金属を積層しても良い。この場合、電子放出効率は、金属膜がない場合より当然低下する。しかし、従来、長寿命化のために用いられていたIr−Au積層膜と比較すると放出効率は向上する。これも禁制帯幅が広い材料を用いるという本発明の範疇に含まれる。AuやPtなどはフェルミ準位近傍の状態密度が小さいため、ホットエレクトロンの散乱が少ないが、一方、昇華エンタルピーが小さいので、絶縁層内に金属原子が拡散しやすく、薄膜型電子源の寿命が短くなる。本発明の構成では、絶縁層に接するのは、禁制帯幅がSiの禁制帯幅よりも広い材料であって、AuやPtは接しないので、この問題も発生しない。
以上の記述から自明なように,本発明は,電子が電極を透過した後,外部に電子放出する電子源全般に有効であり,これらも本発明の範囲に入ることは言うまでもない。このような電子源の例としては,例えば,ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス(Japanese Journal of Applied Physics),Vol.36,Part 2,No.7B,pp.L939〜L941(1997)に記載された,下部電極(金属)−半導体(Si)−絶縁体(SiO2)−上部電極構成の電子源が含まれる。あるいは,例えばジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジクス(Japanese Journal of Applied Physics),Vol.34,Part 2,No.6A,pp.L705〜L707(1995)に記載された,下部電極(半導体,Si)−ポーラスSi−上部電極で構成される電子源が含まれる。
上記した本発明による薄膜型電子源は、電子放出効率が高いため,小さなダイオード電流で高い放出電流が得られる。また、2次元配列等の薄膜型電子源配列基板構成にも容易にできるので、これを用いて、長寿命で高輝度な薄膜型電子源応用表示装置、薄膜型電子源応用電子線描画装置等の薄膜型電子源応用機器を実現することができる。
例えば、薄膜型電子源応用表示装置は、薄膜型電子源を2次元配列してなる薄膜型電子源基板と、これに間隙を介して、蛍光体を塗布した面板とを張り合わせ、真空に封じることにより構成できる。
また、薄膜型電子源応用電子線描画装置は、薄膜型電子源と、この電子源からの電子ビームに作用する電子レンズとを備えることにより構成できる。この際、薄膜型電子源を、2次元配列した薄膜型電子源配列基板を用いると、パターンの一括転写が可能な薄膜型電子源応用電子線描画装置が得られる。
本発明の薄膜型電子源,薄膜型電子源応用表示装置および薄膜型電子源応用機器は、以下の構成により上記課題を解決する。
(1)下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前記下部電極と前記上部電極の間に、前記下部電極に対して前記上部電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、真空中において前記上部電極の表面から電子を放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、Siよりも広い禁制帯幅を有し、かつ導電性を有する材料を構成材として有している薄膜型電子源。
(2)前記材料は、GaNまたはSiCである前記(1)記載の薄膜型電子源。
(3)前記材料の前記禁制帯幅は3eV以上である前記(1)記載の薄膜型電子源。
(4)前記材料の抵抗率は10−3Ωcm以下である前記(3)記載の薄膜型電子源。
(5)下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前記下部電極と前記上部電極の間に、真空中において前記下部電極に対して前記上部電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、前記上部電極の表面から電子を放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、導電性酸化物を構成材として有している薄膜型電子源。
(6)前記導電性酸化物は、酸化錫,酸化インジウムおよび酸化亜鉛からなる群の中から選ばれた少なくとも一つを主成分として構成されており、前記上部電極は、前記導電性酸化物の単層膜またはそれらの積層膜を有している前記(5)記載の薄膜型電子源。
(7)前記酸化錫の少なくとも一部にアンチモンが、前記酸化インジウムの少なくとも一部にスズが、前記酸化亜鉛の少なくとも一部にアルミニウムがドープされている前記(6)記載の薄膜型電子源。
(8)下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前記下部電極と前記上部電極の間に、真空中において前記下部電極に対して前記上部電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、前記上部電極の表面から電子を放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、導電性ホウ化物を構成材として有している薄膜型電子源。
(9)下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前記下部電極と前記上部電極の間に、真空中において前記下部電極に対して前記上部電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、前記上部電極の表面から電子を放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、導電性窒化物を構成材として有している薄膜型電子源。
(10)下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前記下部電極と前記上部電極の間に、前記下部電極に対して前記上部電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、真空中において前記上部電極の表面から電子を放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、Siよりも広い禁制帯幅を有しかつ導電性を有する材料の膜と金属膜との積層膜を有している薄膜型電子源。
(11)下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前記下部電極と前記上部電極の間に、真空中において前記下部電極に対して前記上部電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、前記上部電極の表面から電子を放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、導電性酸化物膜と金属膜の積層膜を有している薄膜型電子源。
(12)下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前記下部電極と前記上部電極の間に、真空中において前記下部電極に対して前記上部電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、前記上部電極の表面から電子を放出する薄膜型電子源において、前記上部電極として、導電性酸化物膜,導電性ホウ化物膜,導電性窒化物膜および金属膜からなる群の中から選ばれた複数の膜の積層膜を有している薄膜型電子源。
(13)前記下部電極と前記絶縁層の間に半導体層が形成されている前記(1)乃至(12)のいずれか一つに記載の薄膜型電子源。
(14)前記(1)乃至(13)のいずれか一つに記載の薄膜型電子源を複数個配列してなる薄膜型電子源配列基板を電子源として有している薄膜型電子源応用機器。
(15)前記(1)乃至(13)のいずれか一つに記載の薄膜型電子源を2次元配列してなる薄膜型電子源配列基板を電子源として有している薄膜型電子源応用機器。
(16)前記(1)乃至(13)のいずれか一つに記載の薄膜型電子源を2次元配列してなる薄膜型電子源配列基板と、該基板に対向配置された、蛍光体を塗布した面板と、駆動回路を有している表示装置。
(17)前記上部電極に電流を給電する給電線を有しており、該給電線は前記上部電極の前記下部電極とは反対側に形成されている前記(16)記載の表示装置。
(18)前記給電線は前記上部電極を種膜とするメッキ膜である前記(17)記載の表示装置。
(19)前記(1)乃至(13)のいずれか一つに記載の薄膜型電子源と、該電子源からの電子ビームに作用する電子レンズを有している電子線描画装置。
(20)前記(1)乃至(13)のいずれか一つに記載の薄膜型電子源を2次元配列してなる薄膜型電子源配列基板と、該電子源からの電子ビームに作用する電子レンズを有している電子線描画装置。
以上のように、本発明によれば、薄膜電子源において,ホットエレクトロンが通過する上部電極中での電子のエネルギー損失を低減させ,その結果,電子放出効率が向上される。これにより,従来並のダイオード電流を用いた場合には,高い放出電流が得られる。また,従来と同一の放出電流密度を所望する場合には,従来より少ない駆動電流で済むため,給電線および駆動回路の簡易化が図れる。
第1の実施例
第1図は、本発明による薄膜型電子源の実施例として、MIM型電子源の例を示すものである。第1図(b)はその平面図で,第1図(a)は第1図(b)中のA−B線に沿う断面図である。絶縁性の基板14上に下部電極13としてAlを例えば100nmの膜厚で形成する。Alの形成には、例えば、RFマグネトロンスパッタリング法を用いる。このAlの表面を陽極酸化し、膜厚5.5nm程度の絶縁層12を形成する。陽極酸化の化成電流を小さな値に制限することにより、絶縁層12の膜質を向上させることができる。つぎにSiO2やAl2O3などの絶縁体をRFマグネトロンスパッタリング法などで50nm程度形成し、保護層15とする。続いてRFマグネトロンスパッタリング法などによりITO膜を10nm程度成膜し上部電極11とする。最後にAuなどで上部電極バスライン32を成膜した。
このようにして成膜した薄膜型電子源を、真空度1/107Torr程度の真空槽内にいれて、上部電極バスライン32をアース電位として、下部電極13にパルス電圧を印加する。パルス電圧は、第6図にそのパルス電圧波形の一例を示す。−Vd1=−9V程度の電圧を、パルス幅tw=64μsの期間印加して、その次にVd2=+1〜5V程度の電圧を64μsの期間印加する。全体の繰り返し周期Tは,16ms程度である。下部電極13に負電圧−Vdが印加されたときに電子は放出される。特開平7−226146号公報に述べられているように、逆極性のVd2=+1〜5V程度の電圧を印加すると、薄膜電子源の動作が安定化する。
なお、本実施例において、下部電極13として高配向膜、または単結晶膜を用いると、それを陽極酸化して形成した絶縁層12の特性は一層向上し、より高性能な薄膜電子源が得られる。また、絶縁層12を陽極酸化で形成する代わりに、スパッタ法や蒸着法などの気相合成法を用いて形成したMIM型電子源に対しても本発明は有効である。
上記第1の実施例では、上部電極11としてITO膜を用いた場合について述べたが、上部電極11としてSnO2,ZnO,Cd2SnO4などを用いても良い。ZnOを用いる場合には,AlやIn,Siなどをドープしたものを用いても良い。また,これらの材料は,透明導電膜とも呼ばれるものであるが,本発明では,広い禁制帯を有すれば良く、光学的透過率が高い必要はない。
第2の実施例
第7図は、本発明による薄膜型電子源の実施例として、MIS型電子源の例を示すものである。n型Si基板を下部電極13とし、その表面を熱酸化などの方法で酸化し、絶縁層12を作成する。つぎにCVD法やスパッタ法などによりSiO2膜を50nmの膜厚で蒸着し、保護層15とする。そのうえに、有機金属化学気相成長法(MOCVD)によりGaNを10nm程度形成して上部電極11とする。最後にAuなどで上部電極バスライン32を作成する。このように作成した金属−絶縁体−半導体(MIS)型電子源についても本発明は有効である。また,GaNの代わりに,CVD法によりSiCを上部電極11に用いても良い。
第3の実施例
第8図は,本発明による薄膜型電子源の実施例を示すものである。ガラスなどの絶縁性基板14上に下部電極13としてAlをスパッタなどで形成する。その上にSiを5μm程度成膜して半導体層41を形成し,さらにSiOxを400nm程度成膜して絶縁層12とする。その後にAuなどでバスライン32を形成し,最後にスパッタなどの方法で,ITO膜を10nm程度成膜して,上部電極11とする。このように形成した薄膜電子源の下部電極13に、上部電極11に対して−100V程度の電圧を印加すると,絶縁層12内でホットエレクトロンが生成され、上部電極11を通過して電子が放出される。
また、上記実施例において、用途によってさらに抵抗率を下げたい場合には、禁制帯幅がSiの禁制帯幅よりも広い材料の上に、AuやPtなどフェルミ準位近傍の状態密度が小さい金属を積層しても良い。この場合、電子放出効率は、金属膜がない場合より当然低下する。しかし、従来、長寿命化のために用いられていたIr−Au積層膜と比較すると放出効率は向上する。AuやPtなどはフェルミ準位近傍の状態密度が小さいため、ホットエレクトロンの散乱が少ないが、一方、昇華エンタルピーが小さいので、絶縁層内に金属原子が拡散しやすく、薄膜型電子源の寿命が短くなるが本発明の構成では、絶縁層に接するのは、禁制帯幅がSiの禁制帯幅よりも広い材料であって、AuやPtは接しないので、この問題も発生しない。
次に、本発明による薄膜型電子源を用いた応用機器の実施例を説明する。
第4の実施例
第9図,第10図,第11図,第12図を用いて本発明による表示装置の実施例を説明する。第10図は表示装置の表示パネルをその面板側から見た平面図,第11図は表示パネルから面板を取り除き、表示パネルの面板側から基板14を見た平面図である。第9図(a)は第10図,第11図中のA−B線に沿う断面図、第9図(b)は第10図,第11図中のC−D線に沿う断面の内の左半分のみの断面図である(但し、第10図、第11図においては、基板14の図示を省略している)。
まず,基板上に形成する薄膜電子源の作製方法を述べる。第12図は基板14上に薄膜型電子源を作製するプロセスを示したものである。第12図には、第10図、第11図において上部電極11の一つと下部電極13の一つとが対向して形成する一つの電子源エレメントのみを取り出して描いている。第12図の右の列には、第10図、第11図における一つの電子源エレメントの平面図をその垂線の周りに90度回転したものが示されている。第12図の左の列には、第10図、第11図における一つの電子源エレメントのA−B線に沿う断面図を示す。第12図には1個の一つの電子源エレメントしか描かれていないが,実際には,第9図,第11図のように複数の電子源エレメントがマトリクス状に配置されている。
ガラスなどの絶縁性基板14上に,下部電極13用の材料として,Al合金を例えば300nmの膜厚に形成する。ここではAl−Nd合金を用いた。このAl合金膜の形成には,例えば,スパッタリング法や抵抗加熱蒸着法などを用いる。次に,このAl合金膜を,フォトリソグラフィによるレジスト形成と,それに続くエッチングとによりストライプ状に加工し下部電極13を形成する。ここで用いるレジストはエッチングに適したものであればよく,また,エッチングもウエットエッチング,ドライエッチングのいずれも可能である。これが,第12図(a)の状態である。
次に,レジストを塗布して紫外線で露光してパターニングし,第12図(b)のレジストパターン501を形成する。レジストには、例えばキノンジアザイド系のポジ型レジストを用いる。次にレジストパターン501を付けたまま,陽極酸化を行い,保護層15を形成する。この陽極酸化は,本実施例では化成電圧100V程度とし,保護層15の膜厚を140nm程度とした。これが,第12図(c)の状態である。
レジストパターン501をアセトンなどの有機溶媒で剥離した後,レジストで被覆されていた下部電極13表面を陽極酸化して絶縁層12を形成する。本実施例では化成電圧を4Vに設定し,絶縁層膜厚を5.5nmとした。これが,第12図(d)の状態である。
次に,上部電極バスラインに用いる材料を成膜し,レジストをパターニングしてエッチングを行い,上部電極バスライン32を形成する。これが第12図(e)の状態である。本実施例では,上部電極バスライン32は膜厚300nm程度のAl合金と膜厚20nm程度のW膜との積層膜で形成し,Al合金とW膜とを2段階のエッチングで加工した。バスライン32の材料にはAuなどを用いても良い。また上部電極バスライン32をエッチングする際は端部がテーパー形状になるようにエッチングする。
次に,Snをドープした酸化インジウム,すなわちITO(Indium Tin Oxide)膜をスパッタリングで形成する。ITO膜の膜厚は10nm程度とした。レジストとエッチングによるパターン化によりITO膜をパターン化し,上部電極11とする。これが第12図(f)の状態であり,これが最終的な所望の構造である。
以上のプロセスで,基板14上に薄膜電子源が完成する。この薄膜電子源においては,レジストパターン501で規定した領域から電子が放出される。電子放出部の周辺部に厚い絶縁膜である保護層15を形成してあるため,上部電極−下部電極間に印加される電界が下部電極の辺または角部に集中しなくなり,長時間にわたって安定な電子放出特性が得られる。
第9図における面板110には透光性のガラスなどを用いる。まず,表示装置のコントラストを上げる目的でブラックマトリクス120を形成する(第9図(b))。ブラックマトリクス120は,第10図において蛍光体114間に配置されるが,第10図では記載を省略した。
次に赤色蛍光体114A,緑色蛍光体114B,青色蛍光体114Cを形成する。これら蛍光体のパターン化は,通常の陰極線管の蛍光面に用いられるのと同様に,フォトリソグラフィーを用いて行った。蛍光体としては,例えば赤色にY2O2S:Eu(P22−R),緑色にZn2SiO4:Mn(P1−G1),青色にZnS:Ag(P22−B)を用いればよい。
次いで,ニトロセルロースなどの膜でフィルミングした後,面板110全体にAlを,膜厚50〜300nm程度蒸着してメタルバック122とする。その後,面板110を400℃程度に加熱してフィルミング膜やPVAなどの有機物を加熱分解する。このようにして,面板110が完成する。
このように製作した面板110と基板14とを,スペーサ60を挟み込んでフリットガラスを用いて封着する。面板110に形成された蛍光体114A,114B,11Cと基板14との位置関係は第10図に示したとおりである。第11図には,基板14上に形成した薄膜電子源のパターンを第10図に対応させて示してある。
面板110−基板14間の距離は1〜3mm程度とする。スペーサ60はパネル内部を真空にしたときに,大気圧の外部からの力によるパネルの破損を防ぐために挿入する。したがって,基板14,面板110に厚さ3mmのガラスを用いて,幅4cm×長さ9cm程度以下の表示面積の表示装置を製作する場合には,面板110と基板14自体の機械強度で大気圧に耐え得るので,スペーサ60を挿入する必要はない。スペーサ60の形状は例えば第10図のようにする。ここでは,R(赤),G(緑),B(青)に発光するドット毎,すなわち上部電極11の3列毎にスペーサの支柱を設けているが,機械強度が耐える範囲で,支柱の数(密度)を減らしてかまわない。スペーサ60としては、厚さ1〜3mm程度のガラスやセラミックスなどの絶縁板に,例えばサンドブラスト法などで電子源エレメントを露出させる所望の形状の穴を加工したものを使うことが出来る。あるいは板状または柱状のガラス製またはセラミクス製の支柱を並べて配置してスペーサ60としてもよい。また,第10図では,スペーサ60を水平・垂直の両方向に挿入しているが,例えば水平方向のみに挿入しても良い。
封着したパネルは,1×10−7Torr程度の真空に排気して,封止する。パネル内の真空度を高真空に維持するために,封止の直前あるいは直後に,パネル内の所定の位置(図示せず)でゲッター膜の形成またはゲッター材の活性化を行う。例えばBaを主成分とするゲッター材の場合,高周波誘導加熱によりゲッター膜を形成できる。このようにして,薄膜電子源を用いた表示パネルが完成する。
このように本実施例では,面板110−基板14間の距離は1〜3mm程度と大きいので,メタルバック122に印加する加速電圧を3〜6KVと高電圧に出来る。したがって,上述のように,蛍光体114には陰極線管(CRT)用の蛍光体を使用できる。
第13図は、このようにして製作した表示装置パネル100の駆動回路への結線図である。下部電極13は下部電極駆動回路41へ結線し、上部電極バスライン32は上部電極駆動回路42に結線する。加速電極112は加速電極駆動回路43へ結線する。n番目の下部電極13Knとm番目の上部電極バスライン32cmの交点のドットを(n,m)で表すことにする。
第14図は、各駆動回路の発生電圧の波形を示す。第14図には記されていないが、加速電極112には3〜6KV程度の電圧を常時印加する。
時刻t0ではいずれの電極も電圧ゼロであるので電子は放出されず、したがって、蛍光体114は発光しない。
時刻t1において、下部電極13K1には−V1なる電圧を、上部電極バスライン32C1、C2には+V2なる電圧を印加する。ドット(1,1)、(1,2)の下部電極13と上部電極との間には(V1+V2)なる電圧が印加されるので、(V1+V2)を電子放出開始電圧以上に設定しておけば、この2つのドットの薄膜電子源からは電子が真空10中に放出される。放出された電子は加速電極112に印加された電圧により加速された後、蛍光体114に衝突し、蛍光体114を発光させる。
時刻t2において、下部電極13K2に−V1なる電圧を印加し、上部電極バスライン32C1にV2なる電圧を印加すると、同様にドット(2,1)が点灯する。このようにして、第14図の電圧波形を印加すると、第13図の斜線を施したドットのみが点灯する。
このようにして、上部電極バスライン32に印加する信号を変えることにより所望の画像または情報を表示することができる。また、上部電極バスライン32への印加電圧V1の大きさを画像信号に合わせて適宜変えることにより、階調のある画像を表示することができる。
本発明の薄膜電子源を用いると,高い電子放出効率のためダイオード電流が小さくてすみ,したがって,下部電極13および上部電極バスライン32の配線抵抗に関する要求が緩和される。さらに,駆動回路の出力電流も小さくて済むため,低コスト化が図れる。また,ダイオード電流を従来並に保てば,電子放出効率向上分だけ,電子放出電流が増加するため,高輝度の表示装置が実現できる。
第5の実施例
第10図,第11図,第15図,第16図を用いて本発明による表示装置の別の実施例を説明する。第10図は表示装置の表示パネルをその面板側から見た平面図,第11図は表示パネルから面板を取り除き、表示パネルの面板側から基板14を見た平面図である。第15図(a)は第10図,第11図中のA−B線に沿う断面図、第15図(b)は第10図,第11図中のC−D線に沿う断面の内の左半分のみの断面図である(但し、第10図、第11図においては、基板14の図示を省略している)。
まず,基板上に形成する薄膜電子源の作製方法を述べる。第16図は基板14上に薄膜型電子源を作製するプロセスを示したものである。第16図には、第10図、第11図において上部電極11の一つと下部電極13の一つとが対向して形成する一つの電子源エレメントのみを取り出して描いている。第16図の右の列には、第10図、第11図における一つの電子源エレメントの平面図をその垂線の周りに90度回転したものが示されている。第16図の左の列には、第10図、第11図における一つの電子源エレメントのA−B線に沿う断面図を示す。第16図には1個の一つの電子源エレメントしか描かれていないが,実際には,第11図,第15図のように複数の電子源エレメントがマトリクス状に配置されている。
ガラスなどの絶縁性基板14上に,下部電極13用の材料として,Al合金を例えば300nmの膜厚に形成する。ここではAl−Nd合金を用いた。このAl合金膜の形成には,例えば,スパッタリング法や抵抗加熱蒸着法などを用いる。次に,このAl合金膜を,フォトリソグラフィによるレジスト形成と,それに続くエッチングとによりストライプ状に加工し下部電極13を形成する。ここで用いるレジストはエッチングに適したものであればよく,また,エッチングもウエットエッチング,ドライエッチングのいずれも可能である。これが,第16図(a)の状態である。
次に,レジストを塗布して紫外線で露光してパターニングし,第16図(b)のレジストパターン501を形成する。レジストには、例えばキノンジアザイド系のポジ型レジストを用いる。次にレジストパターン501を付けたまま,陽極酸化を行い,保護層15を形成する。この陽極酸化は,本実施例では化成電圧100V程度とし,保護層15の膜厚を140nm程度とした。これが,第16図(c)の状態である。
レジストパターン501をアセトンなどの有機溶媒で剥離した後,レジストで被覆されていた下部電極13表面を陽極酸化して絶縁層12を形成する。本実施例では化成電圧を6Vに設定し,絶縁層膜厚を8nmとした。これが,第16図(d)の状態である。
次に,Snをドープした酸化インジウム,すなわちITO(Indium Tin Oxide)膜をスパッタリングで形成する。ITO膜の膜厚は10nm程度とした。レジストとエッチングによるパターン化によりITO膜をパターン化し,上部電極11とする。これが第16図(e)の状態である。
次にレジスト502を第16図(f)のパターンで形成した後,電界メッキによりバスライン32を形成する。本実施例では,電界金メッキ液を用い,上部電極12に0.1A/dm2程度の電流を通電をすることにより,上部電極12上のみ選択的に金の膜が成長する。このようにして膜厚400nm程度のバスライン32を形成した。本実施例では金の電界メッキを用いたが,もちろんCu,Niなど他の電極材料を用いても良い。
メッキによりバスライン32を形成した後,レジスト502を剥離することにより第16図(g)の構造を得る。これは第15図に示した最終構造である。この構造の特色は,膜厚の薄い上部電極11が膜厚の厚いバスライン32の下側にあることである。第9図のようにバスライン32の上に膜厚の薄い上部電極11を形成すると,バスライン32の段差で上部電極11が断線しやすいという欠点があるが,第15図,第16図の構造だと上部電極11が形成されている表面の段差が大幅に減少するので,10nm程度以下の薄膜でも信頼性良く膜形成できる。
本実施例のもう一つのポイントは,上部電極11を種膜として用いてメッキによりバスライン32を形成することである。これによりバスライン32が自己整合的にパターン化出来るため,パターン化が容易になるとともに信頼性も向上する。これを可能にするために,上部電極11を電子放出部のみでなく,後にバスライン32を形成する場所にも形成している。
バスライン32の成膜をメッキを用いずに形成することも可能である。この実施例を第17図に示した。第17図(e)までは第16図(e)までと同じであり,先の説明に従えばよい。この後,バスライン32として例えばWをスパッタにより形成する(第17図(f))。次にレジスト502を(g)のようにパターン化した後,アンモニアと過酸化水素水の混合液でWをエッチングし,レジストを剥離することにより第17図(h)の構造を得る。
以上のようにして第15図に示した表示パネルの基板14上に構成された構造が形成できる。この薄膜電子源においては,レジストパターン501で規定した領域から電子が放出される。電子放出部の周辺部に厚い絶縁膜である保護層15を形成してあるため,上部電極−下部電極間に印加される電界が下部電極の辺または角部に集中しなくなり,長時間にわたって安定な電子放出特性が得られる。
面板110上の蛍光体114などの構成方法,基板14,面板110,スペーサ60を組み合わせたパネル作成方法,および,駆動回路への接続と駆動方法などは先に述べた実施例と同様である。
第6の実施例
本発明を用いた電子線描画装置の実施例を第18図を用いて説明する。電子線描画装置の場合、電子源は少なくとも1つあればよいが、本実施例では薄膜型電子源を格子状に2次元配列して作製したマルチ電子線源200を搭載した電子線描画装置について説明する。
マルチ電子線源200には表示素子の実施例で記載したのと同じ駆動法を適用し、描画しようとする集積回路パターンの形状の電子ビームを放出させる。この電子ビームは、ブランカ(blanker)210を通った後、電子レンズ220により1/100程度に縮小され、偏向器230により偏向されるので、集積回路パターンがウェハ240上に転写される。この電子線描画装置はパターンが一括転写できるのに加え、本発明で放出効率を向上させた分,放出電流密度が高いため、レジストの感光時間が短い。したがって従来の電子線描画装置に比べ、スループットを大幅に改善することが可能となる。
本発明の第1の実施例である薄膜電子源を示した図である。 薄膜電子源の動作原理を模式的に示した図である。 固体中でのホットエレクトロンの散乱過程を模式的に示すエネルギー状態図である。 薄膜型電子源の電子放出効率の上部電極材料依存性を示した図である。 各種金属の状態密度関数を示す図である。 本発明で用いる駆動電圧波形を示した波形図である。 本発明の第2の実施例である薄膜型電子源を示した図である。 本発明の第3の実施例である薄膜型電子源を示した図である。 本発明の第4の実施例である表示装置の断面図である。 第4の実施例の表示装置における蛍光面位置を示す平面図である。 第4の実施例の表示装置における基板の平面図である。 第4の実施例の表示装置における薄膜型電子源作製プロセスを示す図である。 第4の実施例の表示装置の駆動回路への結線を示した図である。 第4の実施例の表示装置での駆動電圧波形を示した図である。 本発明の第5の実施例である表示装置の断面図である。 第5の実施例の表示装置における薄膜型電子源作製プロセスを示す図である。 第5の実施例の表示装置における薄膜型電子源作製プロセスを示す図である。 本発明の第6の実施例である電子線描画装置を示した図である。
符号の説明
10…真空雰囲気、11…上部電極、12…絶縁層、13…下部電極、14…絶縁性基板、15…保護層、32…上部電極バスライン、41・42…駆動回路、43…加速電極駆動回路、60…スペーサ、100…表示装置パネル、110…面版、114…蛍光体、120…ブラックマトリクス、122…メタルバック

Claims (20)

  1. 下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前記
    下部電極と前記上部電極の間に、前記下部電極に対して前記上部電極が正電圧に
    なる極性の電圧を印加した際に、真空中において前記上部電極の表面から電子を
    放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、Siよりも広い禁制帯幅を有
    し、かつ導電性を有する材料を構成材として有していることを特徴とする薄膜型
    電子源。
  2. 前記材料は、GaNまたはSiCであることを特徴とする請求の範
    囲第1項記載の薄膜型電子源。
  3. 前記材料の前記禁制帯幅は3eV以上であることを特徴とする請求
    の範囲第1項記載の薄膜型電子源。
  4. 前記材料の抵抗率は10−3Ωcm以下であることを特徴とする請
    求の範囲第3項記載の薄膜型電子源。
  5. 下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前記
    下部電極と前記上部電極の間に、真空中において前記下部電極に対して前記上部
    電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、前記上部電極の表面から電子を
    放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、導電性酸化物を構成材として
    有していることを特徴とする薄膜型電子源。
  6. 前記導電性酸化物は、酸化錫,酸化インジウムおよび酸化亜鉛から
    なる群の中から選ばれた少なくとも一つを主成分として構成されており、前記上
    部電極は、前記導電性酸化物の単層膜またはそれらの積層膜を有していることを
    特徴とする請求の範囲第5項記載の薄膜型電子源。
  7. 前記酸化錫の少なくとも一部にアンチモンが、前記酸化インジウム
    の少なくとも一部にスズが、前記酸化亜鉛の少なくとも一部にアルミニウムがド
    ープされていることを特徴とする請求の範囲第6項記載の薄膜型電子源。
  8. 下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前記
    下部電極と前記上部電極の間に、真空中において前記下部電極に対して前記上部
    電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、前記上部電極の表面から電子を
    放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、導電性ホウ化物を構成材とし
    て有していることを特徴とする薄膜型電子源。
  9. 下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前記
    下部電極と前記上部電極の間に、真空中において前記下部電極に対して前記上部
    電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、前記上部電極の表面から電子を
    放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、導電性窒化物を構成材として
    有していることを特徴とする薄膜型電子源。
  10. 下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前
    記下部電極と前記上部電極の間に、前記下部電極に対して前記上部電極が正電圧
    になる極性の電圧を印加した際に、真空中において前記上部電極の表面から電子
    を放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、Siよりも広い禁制帯幅を
    有しかつ導電性を有する材料の膜と金属膜との積層膜を有していることを特徴と
    する薄膜型電子源。
  11. 下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前
    記下部電極と前記上部電極の間に、真空中において前記下部電極に対して前記上
    部電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、前記上部電極の表面から電子
    を放出する薄膜型電子源において、前記上部電極は、導電性酸化物膜と金属膜の
    積層膜を有していることを特徴とする薄膜型電子源。
  12. 下部電極、絶縁層、上部電極をこの順に積層した構造を有し、前
    記下部電極と前記上部電極の間に、真空中において前記下部電極に対して前記上
    部電極が正電圧になる極性の電圧を印加した際に、前記上部電極の表面から電子
    を放出する薄膜型電子源において、前記上部電極として、導電性酸化物膜,導電
    性ホウ化物膜,導電性窒化物膜および金属膜からなる群の中から選ばれた複数の
    膜の積層膜を有していることを特徴とする薄膜型電子源。
  13. 前記下部電極と前記絶縁層の間に半導体層が形成されていること
    を特徴とする請求の範囲第1項乃至第12項のいずれか一項に記載の薄膜型電子
    源。
  14. 請求の範囲第1項乃至第13項のいずれか一項に記載の薄膜型電
    子源を複数個配列してなる薄膜型電子源配列基板を電子源として有していること
    を特徴とする薄膜型電子源応用機器。
  15. 請求の範囲第1項乃至第13項のいずれか一項に記載の薄膜型電
    子源を2次元配列してなる薄膜型電子源配列基板を電子源として有していること
    を特徴とする薄膜型電子源応用機器。
  16. 請求の範囲第1項乃至第13項のいずれか一項に記載の薄膜型電
    子源を2次元配列してなる薄膜型電子源配列基板と、該基板に対向配置された、
    蛍光体を塗布した面板と、駆動回路を有していることを特徴とする表示装置。
  17. 前記上部電極に電流を給電する給電線を有しており、該給電線は
    前記上部電極の前記下部電極とは反対側に形成されていることを特徴とする請求
    の範囲第16項記載の表示装置。
  18. 前記給電線は前記上部電極を種膜とするメッキ膜であることを特
    徴とする請求の範囲第17項記載の表示装置。
  19. 請求の範囲第1項乃至第13項のいずれか一項に記載の薄膜型電
    子源と、該電子源からの電子ビームに作用する電子レンズを有していることを特
    徴とする電子線描画装置。
  20. 請求の範囲第1項乃至第13項のいずれか一項に記載の薄膜型電
    子源を2次元配列してなる薄膜型電子源配列基板と、該電子源からの電子ビーム
    に作用する電子レンズを有していることを特徴とする電子線描画装置。
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