JP2007009257A - 超塑性マグネシウム合金材の製造方法 - Google Patents

超塑性マグネシウム合金材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マグネシウム合金材の組織が微細結晶粒からなるマグネシウム合金材を簡便に得ることのできる超塑性マグネシウム合金材の製造方法を提供する。
【解決手段】マグネシウム合金に固有の周波数を発生する超音波振動子を複数用いて超音波を印加した後、マグネシウム合金を絶対温度で表されたその融点に0.35乃至0.6を乗じた温度で加熱する。超音波として、周波数変調方式の超音波を使用することが最適である。

Description

本発明は、超音波を利用したマグネシウム合金の結晶粒微細化に係るものであり、超塑性特性を発現するマグネシウム合金材の製造方法に関する。
金属材料は、結晶粒が小さくなるほど強度、靱性および耐食性が大きくなることが知られている。その結晶粒を数μm以下にすると超塑性現象が発現し、常温では極めて高強度でありながら特定の加熱条件下で加工性が飛躍的に向上する。
一般的な超塑性の定義は、「多結晶材料の引張変形において、変形応力が高い歪み依存性を示し、局部収縮を生じることなく数百%以上の巨大な伸びを示す現象」とされており、具体的には、等軸状で10μm以下の小さな結晶粒を有する材料が、絶対温度で表された融点の1/2以上の温度に加熱した条件下で、歪み速度10-4/s程度で変形したとき、10MPa以下の低い変形応力で巨大な伸びを発現すると言われている。ただし、工業生産で要求される歪み速度は10-2/s程度であり、この歪み速度で300%以上の伸びを示す場合は高速超塑性と呼ばれる。
鉄鋼材料および非鉄金属材料の結晶粒微細化方法としては、結晶粒の成長抑制元素を添加する方法、加工熱処理による変態、析出、再結晶を利用する方法、強せん断加工を加える方法などが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
鉄鋼材料は、加工熱処理による変態、析出、再結晶を利用する方法が有効で、実験室規模で1μm未満の微細結晶粒組織が得られているが、大量生産に対応するため如何に工程を簡素化できるかが課題である。
一方の非鉄金属材料、特にアルミニウムについては、従来、10μm以下の微細結晶粒組織を均一に作ることが難しく、日本においては3μm以下の微細結晶粒組織創製のため新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるプロジェクトとして平成9年から5年計画で技術開発が行われたが、その基本となる技術は材料に強せん断加工を加える方法である。
最近、マグネシウム合金が、軽量かつ強靱で高い振動吸収性を有する特徴を生かしてノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話の筐体材料として多用されている。マグネシウム合金は結晶構造が六方最密充填構造であるため、室温での延性が低く、高速プレス成形が難しい。そこでダイキャストやチクソモールディングが主な成形方法として用いられているが、ダイキャストやチクソモールディングは歩留まりが悪く、仕上げ工程も多いため、製造コストが高いという欠点があり、製造コスト低減の可能性がある高速プレス成形の実現が望まれている。
この課題を解決するため、1μm以下の微細結晶粒組織を得るための技術開発が行われている。その主な手法はアルミニウムと同様に強せん断加工を加える方法で、一般的には、押出し、ロール圧延によるものであるが、最近ではECAP法(EqualChannel Angular Pressing法)などが開発されている。
押出しは、文字通りビレットまたはスラブを所定の形状の穴を有するダイスから押出す方法で、一般的にはダイスのオリフィスを通して押出す直接法が用いられる。例えば、純マグネシウムは623〜673Kにビレットまたはスラブを加熱し押出すが、アルミニウムに較べるとビレット温度と押出し速度のバランスが難しく、温度が少しでも低いと押出されず、温度を上げると酸化してしまう欠点があり、Mg−Al−Zn合金(AZ合金)
などはさらに精密な制御が必要である。
ロール圧延は、マグネシウム合金を上下のロールで加圧しながら一方向に送り出す方法で、繰り返し接合圧延(Accumulative Roll Bonding)、異周速圧延、溶湯圧延、温間圧延などが研究されている。
繰り返し接合圧延は、圧延された板を長さの方向に半割りし、脱脂等の表面処理を施した後、二枚の板を重ね合わせて再度圧延する方法である。この方法は板厚を変化させずに強せん断加工できる特徴を有するが、製造コストが高い。
異周速圧延は、上下のロールの周速を変えて材料に強せん断加工を加える方法であるが、無潤滑で圧延するため不均一なせん断力を受け易く、ロールへマグネシウム合金が巻き付くことで表面状態が悪化する欠点がある。
溶湯圧延は、添加元素を過飽和に固溶させた溶湯を水冷したロールに流し込むなどで急速冷却する方法で、添加元素が再結晶核発生を促すと同時に結晶粒の成長を抑制する効果があるが、酸化されやすいマグネシウム合金は、十分な雰囲気調整が必要で大量生産に向かない。
温間圧延は、再結晶温度以上で圧延する熱間圧延と常温で圧延する冷間圧延の中間に相当する温度で圧延する方法で、例えばアルミニウム合金の一つであるAl−Zn−Mg−Cu合金に適当量のZrを添加した合金では、微細結晶粒組織が得られるなど一部の合金で効果が確認されている。しかし、比熱容量の小さなマグネシウム合金では、中間温度の制御は非常に難しく、十分な効果が確認されていない。
ECAP法は、ある角度を持った穴を有するダイスの中にビレットまたはスラブを入れ、加圧、押出すことでビレットまたはスラブに強せん断力を加える方法で、微細結晶粒組織を得る方法として非常に効果的であり注目を集めているが、ビレットまたはスラブは加工硬化を受けるため繰り返し強せん断力を加えるには、非常に大きな押出し力を必要とし、工業的に用いる大きなビレットまたはスラブに適用するには非現実的である。
なお、ECAP法の欠点を補う方法として、ECAP法を連続化した連続せん断変形加工法(Conshearing 法)も提案されている(非特許文献1参照)。
何れの方法も溶製したビレット等を強せん断加工する方法であり、せん断加工に非常に大きな応力を必要とするか、または強せん断加工によってマグネシウム合金は必要以上に薄く、長く変形させられてしまうので、適用できる製品が限定される欠点がある。
特開2003−041331号公報 特開2002−194472号公報 特開2002−105568号公報 特開2000−271693号公報 Saitou外2名、「PROPOSAL OF NOVEL CONTINUOUS HIGH STRAINING PROCESS-DEVELOPMENT OF CONSHEARING PROCESS」、Advanced Technology of Plasticity 、Vol.III、Proceedings of the 6th International Conference on Technology of Plasticity 、Sept,19〜24, 1999、p.2459〜2464
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するものであって、微細結晶粒組織を有し且つ超塑性特性を発現するマグネシウム合金材を簡便に得ることのできる超塑性マグネシウム合金材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1発明に係る超塑性マグネシウム合金材の製造方法では、マグネシウム合金に個々に異なる周波数を発生する超音波振動子を複数個用いて超音波を印加した後、該マグネシウム合金を絶対温度で表されたその融点に0.35乃至0.6を乗じた温度で加熱することで上記課題を解決している。また、本発明の第2発明に係る超塑性マグネシウム合金材の製造方法では、マグネシウム合金に周波数変調方式の超音波を印加した後、該マグネシウム合金を絶対温度で表されたその融点に0.35乃至0.6を乗じた温度で加熱することで上記課題を解決している。
多くの場合、金属材料に与えられた振動は、やがて減衰し最後に停止する。振動が減衰する機構は二つあり、一つは外部摩擦(external friction)と呼ばれ、振動している金属材料から外部へ空気等を介して振動エネルギーが放出される機構である。他の一つは内部摩擦(internalfriction) で、金属材料内部で振動エネルギーが熱あるいは歪み等に変換される機構である。内部摩擦は減衰能(damping capacity)とも呼ばれる。
減衰能は、振動エネルギーの変換機構の違いによって次の四つに分類される。
(1)母相と第2相との間の界面で粘性流動または塑性流動をおこすことによるもの。
(2)磁区壁の非可逆移動によるもの。
(3)不純物原子によってトラップされた転位が離脱、移動することによるもの。
(4)変形双晶の形成によるもの。
マグネシウム合金に印加された超音波振動エネルギーは、(3)の不純物原子によってトラップされた転位が離脱、移動することによって消費されるか、あるいは(4)の変形双晶の形成によって消費されると考えられる。
このときマグネシウム合金には、機械的なせん断応力を加えるのと同様の大きな歪みが導入されるため、そのマグネシウム合金を絶対温度で表されるその融点に0.35乃至0.6を乗じた温度で加熱すると、転位や変形双晶が再配列または相互に合体消滅することによるエネルギー開放の過程で等軸状の微細結晶粒から再結晶組織に変化する。
マグネシウムは固有減衰能が金属の中で最大の60%以上を示し、振動エネルギーの多くを歪みとして蓄積するが、強度及び耐食性を改善したマグネシウム合金もマグネシウムほどではないが大きな固有減衰能を示す。
固有減衰能は、次式の通り、振動する物体の1サイクルあたりの振動エネルギー損失率(Specific Damping Capacity,S.D.C)で表される。
S.D.C(%)= (ΔW/W)×100
ここでWは振動エネルギー、ΔWは1サイクルに失われるエネルギーである。
マグネシウム合金としては、Mg−Al合金、Mg−Al−Zn合金、Mg−Zr合金、Mg−Zn−Zr合金、Mg−Mg2Ni合金、Mg−RE−Zn合金(REはレアアース)、Mg−Ag−RE合金(REはレアアース)、Mg−Y−RE合金(REはレアアース)、Mg−Al−Ca合金、Mg−Al−Ca−RE(REはレアアース)などが実用合金として知られている。しかし、Mg−Al合金、Mg−Al−Zn合金、Mg−Al−Ca合金またはMg−Al−Ca−REの中でもAl添加量の多いマグネシウム合金は固有減衰能が小さい。例えば、Mg−10%Al合金(AM100)、Mg−9%Al−1%Zn合金(AZ91)、Mg−6%Al−3%Zn合金(AZ63)などは固有減衰能が10%未満である。
固有減衰能が10%未満では、超音波振動エネルギーの多くは外部摩擦としてマグネシウム合金の外部に放出されるため、マグネシウム合金に歪みを導入するためのエネルギー効率が著しく低下する。したがってマグネシウム合金は、固有減衰能10%以上のマグネシウム合金が最適である。
超音波は、マグネシウム合金に伝達媒体を介して伝達させることができるが、マグネシウム合金に超音波振動子の支持体、かつ超音波伝送体としての役割を果たす金属部材(コーン)などを接合することで直接伝達させることも可能である。
マグネシウム合金に印加する超音波は、個々に異なる周波数を発生する超音波振動子を複数個用いて発振する超音波、もしくは周波数変調方式の超音波を使用する。超音波は進行方向と平行な縦波の粗密波であり、マグネシウム合金に伝達された超音波振動は、マグネシウム合金内を透過しながら減衰し、透過した超音波振動の一部はマグネシウム合金と他の媒質、例えば空気、水などの境界面に衝突し反射する。透過しながら進行する波と反射した波の位相が一致した時には、進行波と反射波が重畳して定在波が形成される。
定在波が形成されると、見かけ上、波の進行が止まり、マグネシウム合金内に強い内部応力を受け歪が蓄積する部分と内部応力をほとんど受けず歪が蓄積されない部分が発生するので斑が生じ易い。ただし、マグネシウム合金が薄板形状である場合は定在波が形成されることで効率良く歪を蓄積させることができるが、単一周波数の超音波では定在波の形成、または定在波の発生を抑制することは難しい。
個々に異なる周波数を発生する超音波振動子を複数用いて発振する超音波、もしくは周波数変調方式の超音波を使用すると、周期の異なる定在波の形成、または定在波を抑制することができ、マグネシウム合金体に万遍なく歪を蓄積させることが可能となる。
個々に異なる周波数を発生する超音波振動子を複数用いて発振する超音波を印加する手段としては、個々に異なる周波数を発生する超音波振動子を2つ以上任意に組み合せて同時に、または一定時間毎に各々の超音波を印加する方法などがあるが、超音波振動子を周波数変調制御で発振させるのが最適である。
周波数変調方式の超音波は、共振周波数を非常に遅い速度でスイープさせる超音波発振器を使用することで、周波数を一定の変動周波数範囲内で上下に連続的に変化させることができ、簡便な超音波印加装置で効率的な歪み導入効果が得られる。
なお、異なる周波数の周波数変調方式の超音波を同時または一定時間毎に印加することも可能であり、より一層の効率的な歪み導入効果が得られる。
超音波を印加したマグネシウム合金は、加熱処理することで再結晶化が行われる。このとき好ましくは、マグネシウム合金を絶対温度で表されたその融点に0.35乃至0.6を乗じた温度で加熱する。絶対温度で表されたマグネシウム合金の融点に0.6を乗じた温度より高い加熱温度領域では、結晶粒が次第に大きくなる。また、絶対温度で表されたマグネシウム合金の融点に0.35を乗じた温度より低い加熱温度領域では、マグネシウム合金内部の歪みが一部消失する回復が行われるが、再結晶粒の発生確率が小さくなる。
本発明の超塑性マグネシウム合金材の製造方法によれば、マグネシウム合金の形状変化なしに大きな歪みを導入することが可能となり、マグネシウム合金の組織が微細結晶粒からなる超塑性マグネシウム合金材を簡便に得ることができる。
マグネシウム合金の形状や寸法には、特別な制限を設けない。例えば、粉末固化成形体または溶製材である板材、棒材、パイプあるいは目的形状にプレス成形した成形体等を用いることができる。粉末固化成形体とは、粉末焼結体あるいは粉末の圧縮せん断によって作製した固化成形体などであり、溶製材とは、鋳造物あるいは溶融後固化したマグネシウム合金を目的の形状にプレス加工または押出し加工したものなどである。
マグネシウム合金へ超音波を印加する方法としては、例えば、マグネシウム合金にコーンを接合させ、一定時間超音波を印加する方法がある。コーンとマグネシウム合金を接合する手段は、端面に細目平行雄ネジを有するコーンを細目平行雌ネジを有するマグネシウム合金にねじ込み接合する方法、あるいはコーンとマグネシウム合金の両方の端面に雌ネジを切り、別途製作した雄ネジを使用して両方を締め付け接合する方法などがある。
その他、水中または有機溶媒中にマグネシウム合金を入れ、コーンに振幅を増大させる金属部材(ホーン)を接続し、増幅した振動を水または有機溶媒を介してマグネシウム合金に伝達、あるいはマグネシウム合金を超音波振動子が接着された液槽(ステンレス鋼製、チタン製など)に入れ、水または有機溶媒を介して超音波を伝達させるなど伝達媒体を介して振動を伝達させることも可能であり、効率よく安全に振動を伝達できる方法であれば、上記以外の方法を用いても差し支えない。
超音波の振動数と出力および印加時間は、マグネシウム合金の融点、固有減衰能、大きさなどを十分考慮に入れ最適値を決定しなければならないが、例えば高減衰能合金のマグネシウム合金であるMg−3%Al−1%Zn合金(AZ31)押出し材(50mm×50mm×1.25mm)では、底部に超音波振動子が装着されたステンレス鋼製水槽を使用し、純水を入れた水槽にAZ31押出し材試験片を浸漬し、周波数38KHz、変動周波数範囲±0.5KHz、出力600Wの周波数変調方式超音波を15分間程度印加すると良い。
超音波を印加したマグネシウム合金は、再結晶温度で1h程度加熱処理される。再結晶温度は、好ましくは絶対温度で表されたマグネシウム合金の融点に0.35乃至0.6を乗じた温度範囲内とする。この温度範囲内では、本来、マグネシウム合金の種類、純度、内部歪みの程度などによって変化する特有の値であるが、内部歪みが増加するにしたがって一定の温度に収束する傾向がある。すなわち、大きな内部歪みを受けたマグネシウム合金では、上記の温度範囲を一つの目安とすれば、結晶粒の成長が抑制され、目的とする超塑性マグネシウム合金材が得られ易い。
例えばAZ31は、再結晶温度が453〜503Kと予想され、503K、1h真空中で加熱する。真空以外であればアルゴン雰囲気下で加熱することが好ましい。窒素、水素または酸素中で加熱すると、これらとの化合物を形成し、表面性状や機械的性質を悪化させる。なお、耐酸化性に優れた高純度マグネシウムや耐食マグネシウム合金であれば大気中加熱でも構わない。
超音波を印加した後、再結晶化したマグネシウム合金は、初期形状を維持したまま、その結晶粒径は、超音波を印加する前の約1/13以下となる。例えばAZ31押出し材(50mm×50mm×1.25mm)は、材料の大きさは変化せず、平均結晶粒径100μmであった結晶組織が等軸状の6〜8μmの結晶組織となり、超塑性を発現するAZ31材へ改良することが可能である。
以上に示すような本発明の超塑性マグネシウム合金材の製造方法によれば、マグネシウムまたはマグネシウム合金材の形状を変化させることなしに、内部組織が均一な微細結晶粒組織からなる超塑性マグネシウム合金材を得ることができる。
なお、本発明による超塑性マグネシウム合金材の製造方法は、純マグネシウムにも適用可能であり、さらにマグネシウム合金の圧延あるいは押出し工程と組み合せて使用することができる。
〔実施例1〕
マグネシウム合金として、AZ31押出し材から50mm×50mm×1.25mmの試験片を外周刃カッターで切り出し、エタノールで速やかに表面を洗浄した。
超音波の印加手段として、底部に26KHzと38KHzの超音波振動子が装着されたステンレス鋼製水槽を使用し、純水を入れた水槽にAZ31押出し材試験片を浸漬し、周波数26KHz、出力600Wの超音波と周波数38KHz、出力600Wの超音波を30秒毎交互に、合計15分間印加した。
超音波を印加したAZ31押出し材試験片を真空加熱炉に挿入し、真空度1Pa、加熱温度453Kすなわち加熱温度/融点=0.49で、1h加熱処理を行った。
以上の処理によるAZ31押出し材試験片の変形および寸法の変化はほとんど認められなかった。
加熱処理を行ったAZ31押出し材の破断伸びを573K、歪み速度10-2/sで調べたところ110%を示し、超塑性現象が発現していることがわかった。
さらに10mm×10mm×1.25mmの組織観察試験片を切り出し、1%硝酸エタノール溶液でエッチングした後、光学顕微鏡で組織観察を行ったところ、JIS G0551に準じて求めた平均結晶粒径は7.1μmであり、超音波印加前の平均結晶粒径100μmの約1/14であった。
〔実施例2〕
超音波の印加手段として、底部に38KHzの超音波振動子が装着されたステンレス鋼製水槽を使用し、純水を入れた水槽にAZ31押出し材試験片を浸漬し、周波数38KHz、変動周波数範囲±0.5KHz、出力600Wの周波数変調方式超音波を15分間印加した以外は実施例1と同様の操作を行った。
以上の処理によるAZ31押出し材試験片の変形および寸法の変化はほとんど認められなかった。
加熱処理を行ったAZ31押出し材の破断伸びを573K、歪み速度10-2/sで調べたところ120%を示し、超塑性現象が発現していることがわかった。
さらに10mm×10mm×1.25mmの組織観察試験片を切り出し、1%硝酸エタノール溶液でエッチングした後、光学顕微鏡で組織観察を行ったところ、JIS G0551に準じて求めた平均結晶粒径は6.5μmであり、超音波印加前の平均結晶粒径100μmの約1/15であった。
〔実施例3〕
実施例2と同様の操作により超音波を印加したAZ31押出し材試験片を真空加熱炉に挿入し、真空度1Pa、加熱温度324Kすなわち加熱温度/融点=0.35で、1h加熱処理を行なった。
加熱処理を行ったAZ31押出し材の破断伸びを573K、歪み速度10-2/sで調べたところ100%を示し、超塑性現象が発現していることがわかった。
さらに10mm×10mm×1.25mmの組織観察試験片を切り出し、1%硝酸エタノール溶液でエッチングした後、光学顕微鏡で組織観察を行ったところ、JIS G0551に準じて求めた平均結晶粒径は7.8μmであり、超音波印加前の平均結晶粒径100μmの約1/13であった。
〔実施例4〕
実施例2と同様の操作により超音波を印加したAZ31押出し材試験片を真空加熱炉に挿入し、真空度1Pa、加熱温度523Kすなわち加熱温度/融点=0.57で、0.5h加熱処理を行なった。
加熱処理を行ったAZ31押出し材の破断伸びを573K、歪み速度10-2/sで調べたところ110%を示し、超塑性現象が発現していることがわかった。
さらに10mm×10mm×1.25mmの組織観察試験片を切り出し、1%硝酸エタノール溶液でエッチングした後、光学顕微鏡で組織観察を行ったところ、JIS G0551に準じて求めた平均結晶粒径は7.5μmであり、超音波印加前の平均結晶粒径100μmの約1/13であった。
〔実施例5〕
超音波の印加手段として、底部に26KHzと38KHzの超音波振動子が装着されたステンレス鋼製水槽を使用し、純水を入れた水槽にAZ31押出し材試験片を浸漬し、周波数26KHz、変動周波数範囲±0.5KHz、出力600Wの超音波と周波数38KHz、変動周波数範囲±0.5KHz、出力600Wの超音波を30秒毎交互に、合計15分間印加した以外は実施例1と同様の操作を行った。
以上の処理によるAZ31押出し材試験片の変形および寸法の変化はほとんど認められなかった。
加熱処理を行ったAZ31押出し材の破断伸びを573K、歪み速度10-2/sで調べたところ130%を示し、超塑性現象が発現していることがわかった。
さらに10mm×10mm×1.25mmの組織観察試験片を切り出し、1%硝酸エタノール溶液でエッチングした後、光学顕微鏡で組織観察を行ったところ、JIS G0551に準じて求めた平均結晶粒径は6.1μmであり、超音波印加前の平均結晶粒径100μmの約1/16であった。
〔比較例1〕
超音波の印加手段として、底部に周波数38KHzの超音波振動子が装着されたステンレス鋼製水槽を使用し、純水を入れた水槽にAZ31押出し材試験片を浸漬し、周波数38KHz、出力600Wの超音波を15分間印加した以外は実施例2と同様の操作を行った。
超音波を印加したAZ31押出し材試験片を真空加熱炉に挿入し、真空度1Pa、加熱温度453Kすなわち加熱温度/融点=0.49で、1h加熱処理を行った。
以上の処理によるAZ31押出し材試験片の変形および寸法の変化はほとんど認められなかった。
加熱処理を行ったAZ31押出し材の破断伸びを573K、歪み速度10-2/sで調べたところ70%を示し、超塑性現象が発現していないことが確認された。
さらに10mm×10mm×1.25mmの組織観察試験片を切り出し、1%硝酸エタノール溶液でエッチングした後、光学顕微鏡で組織観察を行ったところ、JIS G0551に準じて求めた平均結晶粒径は20μmであり、超音波印加前の平均結晶粒径100μmの1/5であった。

Claims (4)

  1. マグネシウム合金に個々に異なる周波数を発生する超音波振動子を複数個用いて超音波を印加した後、該マグネシウム合金を絶対温度で表されたその融点に0.35乃至0.6を乗じた温度で加熱することを特徴とする超塑性マグネシウム合金材の製造方法。
  2. マグネシウム合金に周波数変調方式の超音波を印加した後、該マグネシウム合金を絶対温度で表されたその融点に0.35乃至0.6を乗じた温度で加熱することを特徴とする超塑性マグネシウム合金材の製造方法。
  3. 超音波振動子を周波数変調制御で発振させることを特徴とする請求項1記載の超塑性マグネシウム合金材の製造方法。
  4. マグネシウム合金が固有減衰能10%以上のマグネシウム合金であることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の超塑性マグネシウム合金材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114182185A (zh) * 2021-12-03 2022-03-15 上海航天精密机械研究所 一种镁合金微波辅助固溶处理方法

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