JP2007007480A - 採血具の逆流防止構造、ルアー針、採血針及び採血ホルダー - Google Patents

採血具の逆流防止構造、ルアー針、採血針及び採血ホルダー Download PDF

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Abstract

【課題】血液の逆流を確実に防止することができ、かつ部品点数の増大及びコストの上昇を招き難い採血具の逆流防止構造を提供する。
【解決手段】第1の端部3bから第2の端部3c側に向かって延びる内部流路3aを有する筒状体としてのハブ3と、内部流路3a内に収納されており、ゴム弾性を有する材料からなり、第1の端部3bに向かって開いた開口を有し、第2の端部3c側が閉じられた有底筒状の逆流防止部材6とを備え、逆流防止部材6の外周壁が内部流路3aの内壁に液密的に固定されており、該固定部分よりも第2の端部側において逆流防止部材6に切り込み6cが形成されている、採血具の逆流防止構造。
【選択図】図1

Description

本発明は、血液を採取するのに用いられる採血具の逆流防止構造に関し、より詳細には、逆流防止構造、逆流防止構造が備えられたルアー針、採血針及び採血ホルダーに関する。
従来、真空採血法などの血液採取方法において、様々な採血針や採血ホルダーが用いられている。ところで、採血に際しては、まず、駆血帯を被採血者の腕に取り付ける。次に、採血用中空針の針先を血管内に挿入する。採血用中空針は、真空採血管の栓体を刺通する連通用中空針に連ねられている。採血用中空針と連通用中空針とを接続する構造としては、内部流路を有するハブなどの様々な構造が提案されている。
真空採血に際しては、上記のように採血用中空針の針先を血管に挿入した後に、連通用中空針の針先により真空採血管の栓体を刺通する。それによって、採血用中空針と真空採血管内とが連通され、真空採血管内が減圧されているため、血液が血管から真空採血管に導かれる。
真空採血管内の圧力と血管の圧力がほぼ等しくなった時点で採血が終了する。採血終了後には、連通用中空針を真空採血管から引き抜き、駆血帯を取り外す。しかしながら、誤って、先に駆血帯が取り外されると、血管内の圧力が急激に低くなるため、採血管内の血液が血管側に向かって逆流するおそれがある。また、採血管の配置されている位置が血管よりも高い場合には、位置エネルギーによっても逆流の生じるおそれがある。他方、真空採血管内には、抗凝固剤や薬剤などが収納されていることが多い。従って、逆流が生じると、薬剤や抗凝固剤が血管側に移行し、悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、従来より逆流を防止するための様々な構造が提案されている。
例えば、下記の特許文献1には、図17に示す採血針101が開示されている。採血針101は、血液を採取するために血管に挿入される第1の中空針102と、真空採血管の栓体を刺通し、真空採血管内とを連通するための第2の中空針103とが備えられている。第1,第2の中空針102,103は、第1,第2の中空針102,103の基部側においてハブ104に固定されている。ハブ104内には、内部流路104aが形成されている。内部流路104aは、第1,第2の中空針102,103に連通している。ここでは、逆流を防止するために、柔軟性を有する樹脂などからなる逆止め弁105が内部流路104a内に設けられている。逆止め弁105では、複数の弁部材が、連通用の第2の中空針103側に向かうに連れて互いの距離が狭められるように配置されている。
従って、血液が内部流路104a内において第1の中空針102側から第2の中空針103側に流れる際には、逆止め弁105の隙間が開き、血液が流れる。これに対し、逆方向に血液が流れようとした場合には、先端の隙間が血液の圧力により閉じられ、血液の逆流が防止される。
他方、下記の特許文献2には、図18に示す逆流防止構造が備えられた採血針111が開示されている。採血針111はハブ112を有する。ハブ112は、一端側において血管に挿入される採血針に連通される内部流路112aが設けられている。内部流路112aの他端は、真空採血管に連通される中空針113に連ねられている。ここでは、内部流路112aにおいて、血液が中空針113側に流れることを可能とするが、逆方向への血液の流れを防止するために逆流防止部材114が設けられている。逆流防止部材114は、筒状の弾性体により構成されており、逆流防止部材114の先端には、切り込み114aが設けられている。切り込み114aは、図18の下端側から見た場合、十字状の形状となるように形成されている。採血に際しては、血流により、切り込み114aが開き、血液が中空針113側に流れる。しかしながら、血液が逆流しようとした場合には、弾性体からなる逆流防止部材114において十字状の切り込み114aが血液の力により狭められ、逆流が防止される。
下記の特許文献3の第4図には、弾性材料からなる弁を用いた採血部の逆流防止構造が開示されている。ここでは、弾性材料からなる弁において、採血部分の流路方向すなわち円筒状部材からなる軸方向に沿ってスリットが形成されている。逆流が生じた場合には、逆流によりスリットが閉じられるように構成されている。
特開平3−129111号公報 特開2003−260132号公報 特開昭50−12892号公報
特許文献1に記載の採血針101では、逆流防止弁105を内部流路104a内に設けることにより逆流が防止されていた。しかしながら、逆止め防止弁105の形状を円錐形とした場合には、血液の出口が非常に狭く、逆流は防止されるものの、血液が流れる際に溶血を引き起こすおそれがあった。また、このような逆止め弁105を成形により形成した場合、小型化が困難であるという問題もあった。
他方、特許文献2に記載の採血針111では、先端を十字状にカットすることにより十字状の切り込み114aが形成された逆流防止部材114が用いられている。この場合、弾性体に十字状の切り込みを下端側から正確に切断しなければならない。そのため、加工工程が多く、年に0.5〜10億本程度も消費される採血針に用いるのには適当ではなかった。また、採血針は使い捨て部品であるため、このような十字状の切り込みを形成した逆流防止部材114を用いた場合、採血針のコストが高くつかざるを得なかった。加えて、図18に示されているように、切り込み114aが形成された筒状体からなる逆流防止部材114は、固定部材115aに連なる筒状部115bに外挿されて固定されている。従って、逆流防止部材114だけでなく、固定部材115aは筒状部115bなどの複雑な形状の他の部材を必要とするため、それによってもコストが高くつかざるを得なかった。
また、特許文献3に記載のスリットが設けられた弾性材料よりなる弁を用いた構造では、逆流圧が高い場合には、スリットの両側の弁部分が逆流により内側に押し込まれ、スリットが開いてしまい、逆流を確実に防止できないことがあった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、採血に際しての逆流を確実に防止することができるだけでなく、溶血を引き起こすおそれが少なく、さらに加工工程の増大を招くことなく安価に提供することができる採血具の逆流防止構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記採血具の逆流防止構造が備えられた採血具として、ルアー針、採血針及び採血ホルダーを提供することにある。
本発明に係る採血具は、採血具において血液の逆流を防止するための逆流防止構造であって、第1の端部側から第2の端部側に向かって延びかつ血液が流れる内部流路を有する筒状体と、前記筒状体の内部流路内に収納されており、ゴム弾性を有する材料からなり、前記第1の端部に向かって開いた開口を有し、第2の端部側が閉じられた有底筒状の逆流防止部材とを備え、前記逆流防止部材の外周壁が、前記内部流路の内壁に液密的に固定されており、前記逆流防止部材の固定されている部分よりも第2の端部側において逆流防止部材に切り込みが形成されていることを特徴とする。
本発明に係る採血具の逆流防止構造のある特定の局面では、逆流防止部材において、上記切り込みが少なくとも2カ所以上の部分に設けられる。
本発明に係る採血具の逆流防止構造の他の特定の局面では、前記逆流防止部材に形成されている切り込みが、前記第1,第2の端部を結ぶ方向と交差する方向である。
本発明に係る採血具の逆流防止構造のさらに他の特定の局面では、上記切り込みは、第1,第2の端部を結ぶ方向に対し、すなわち内部流路が延びる方向に対し15°〜165°の範囲の角度をなすように傾斜されている方向に延ばされている。
本発明に係る採血具の逆流防止構造のより限定的な局面では、前記切り込みが、前記第1,第2の端部を結ぶ方向と直交する方向に延びている。
本発明に係る採血具の逆流防止構造のさらに他の特定の局面では、上記切り込みにより開閉する際のヒンジとして機能する部分の肉厚が他の部分に比べて相対的に薄くされている。
本発明に係るルアー針は、採血に際し、採血管の栓体を刺通するのに用いられる中空針と、本発明に係るルアー針は、前記中空針の一端に固定されたハブとを備えるルアー針であって、前記ハブが、本発明に従って構成された採血具の逆流防止構造を有し、前記中空針が前記採血具の逆流防止構造の内部流路の第2の端部側に連通されていることを特徴とする。
本発明に係る採血針は、血液を採取するための中空針と、該中空針の一端に固定されたハブとを備える採血針であって、前記ハブが、本発明に従って構成された採血具の逆流防止構造を有し、前記中空針が前記内部流路の第1の端部側に連通されていることを特徴とする。
本発明に係る採血ホルダーは、一端側に採血管を挿入するための開口が形成されており、他端側が閉じられている筒状のホルダー本体と、前記ホルダー本体の他端側に設けられたハブと、前記ハブに一端が固定されており、採血管の栓体を刺通するための中空針とを有する採血ホルダーであって、前記ハブが、本発明に従って構成された採血具の逆流防止構造を有し、前記中空針が前記採血具の逆流防止構造の内部流路の前記第2の端部側に連通されていることを特徴とする。
本発明に係る採血ホルダーのある特定の局面では、前記ハブに一端が固定されており、他端がホルダー外に延ばされた採血用の中空針をさらに備え、該採血用の中空針が前記採血具の逆流防止構造の内部流路の第1の端部側に連通されている。
本発明に係る採血具の逆流防止構造では、第1の端部側から第2の端部側に向かって血液が流れる内部流路を有する筒状体の該内部流路内に逆流防止部材が収納されており、この逆流防止部材は、ゴム弾性を有する材料からなり、第1の端部に向かって開いた開口を有し、第2の端部側が閉じられた有底筒状の形状を有し、逆流防止部材の外周壁が内部流路の内壁に液密的に固定されており、該逆流防止部材の固定されている部分よりも第2の端部側において逆流防止部材に切り込みが形成されている。
従って、内部流路内において血液が第1の端部から第2の端部に向かって流れる際には、ゴム弾性を有する材料からなる逆流防止部材の上記切り込みが血流により押されて開き、血液が流れることになる。この場合、逆流防止部材はゴム弾性を有する柔軟性を有する材料で構成されているので、上記切り込みは無理なく開き、従って溶血は生じ難い。
他方、第2の端部側から第1の端部側に血液が逆流しようとした場合には、血流の力により上記切り込みが閉じられることになる。この場合においても、逆流防止部材がゴム弾性を有し、柔軟性を有する材料で構成されているため血流の力により確実に切り込みが閉じられることになり、逆流を確実に防止することができる。
しかも、上記ゴム弾性を有する材料からなる有底筒状の逆流防止部材において切り込みを形成し、かつ内部流路内に固定するだけでよいため、加工工程や部品点数をさほど増大させることなく、安価な逆流防止構造を提供することが可能となる。
逆流防止部材において、切り込みが少なくとも2カ所以上に設けられている場合には、筒状体の内部流路内において逆流防止部材が傾いて固定され、少なくとも1つの切り込みが筒状体の内壁に密着し、該切り込みが開口できない場合であっても、残りの少なくとも1つの切り込みが確実に開口し、採血を行うことができる。
上記逆流防止部材の形成されている切り込みが、第1,第2の端部を結ぶ方向と交差する方向である場合には、逆流が生じた場合に血流の力により確実に切り込み部分が塞がれる。しかも、第1,第2の端部を結ぶ方向と交差する方向に切り込みを形成するだけで、逆流防止用の切り込みを容易に形成することができる。
また、上記切り込みの延びる方向が、第1,第2の端部を結ぶ方向、すなわち、内部流路における血液が流れる方向に対し15°〜165°の範囲の角度をなすように傾斜されて延ばされている場合には、該部分が開口した際に、開口面積が大きくされ得る。従って、血液が開口を通して円滑に流れ、血流抵抗が小さくなる。よって、逆流防止部材を用いたとしても、採血時間の所望でない延長を抑制することができる。
切り込みが、第1,第2の端部を結ぶ方向と直交する方向に延びている場合には、第2の端部から第1の端部へ血液が逆流しようとした場合、逆流による力により切り込み部分がより一層確実に閉塞される。従って、逆流をより一層効果的に防止することができる。
前記逆流防止部材において、切り込みにより開閉する際にヒンジとして機能する部分が、逆流防止部材の他の部分に比べて肉厚が薄くされている場合には、比較的小さな圧力が加わった場合でも切り込みが確実に開口し、採血を速やかに行うことができる。また、ヒンジ部分のみを薄くすることにより、切り込みを介して対向している対向部分の面積は十分な大きさとされるので、切り込み部分が閉塞した場合に両側の部分が多少ずれて閉塞したとしても、確実に切り込みを閉塞することができる。
本発明に係るルアー針では、採血管の栓体を刺通するのに用いられる中空針と、中空針の一端に固定されたハブとを備えるルアー針において、ハブが本発明に従って構成された逆流防止構造を有し、上記中空針が逆流防止構造の内部流路の第2の端部側に連通されている。従って、本発明の逆流防止構造により、ルアー針における逆流を確実に防止することができるとともに、部品点数の増大をさほど招くことなく、安価に逆流防止構造が備えられたルアー針を提供することができる。
本発明に係る採血針では、血液を採取するために、血管や血液が収納された容器に一端が挿入される中空針と、該中空針の一端が固定されているハブとを備える構造において、ハブが本発明に従って構成された逆流防止構造を有し、中空針が内部流路の第1の端部側に連通されている。
従って、第2の端部側から第1の端部側に、すなわち血液の逆流が生じた場合には、血流の力により逆流防止構造に設けられた切り込みが確実に閉塞され、逆流を確実に防止することができる。しかも、本発明の逆流防止構造では、加工工程や部品点数の増大をさほど招くこともなく得られるので、上記逆流防止構造が備えられた採血針を安価に提供することができる。
本発明に係る採血ホルダーでは、ホルダー本体の一端側に採血管を挿入するための開口が形成されており、他端側が閉じられており、該他端側にハブが設けられており、ハブに一端が固定されており、採血管の栓体を刺通するための中空針が設けられている採血ホルダーにおいて、ハブが本発明に従って構成された逆流防止構造を有し、上記中空針が採血部の逆流防止構造の内部流路の第2の端部側に連通されている。従って、逆流防止構造により逆流を確実に防止することができ、しかも部品点数の増大をさほど招くことなく逆流を防止することができるので、安価であり、かつ安全性に優れた採血ホルダーを提供することが可能となる。
切り込みの形状は前述に限定されるものではない。例を添付図に示す。
これらの形状であっても、切り込みが1カ所であってもよいし、複数あってもよい。さらには軸方向に対して任意の角度で回転させてもよい。
なお、切り込みの形状、数量により切り込み量は適宜最適量に調整される。
本発明の採血ホルダーにおいて、上記ハブに一端が固定されており、他端がホルダー外に延ばされた採血用中空針をさらに備え、採血用中空針が上記逆流防止構造の内部流路の第1の端部側に連通されている場合には、本発明に従って、中空針と、採血管への連結用の中空針の双方が一体化された、安全性に優れた採血ホルダーを提供することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る採血具の逆流防止構造が備えられた採血ホルダーを説明するための正面図及び正面断面図である。
図1(a)に示す採血ホルダー1は、円筒状のホルダー本体2を有する。ホルダー本体2は、図1(b)に示されているように、一端側に開口2aを有する。後述するように、真空採血管が開口2aから挿入されるように開口2aの寸法が定められている。開口2aと反対側の他端は閉じられており、該他端側にハブ3が筒状のホルダー本体2と一体に設けられている。ハブ3は、ホルダー本体2よりも小さな径の筒状部として、ホルダー本体2の端面2bから外側に突出するように設けられている。ハブ3内には内部流路3aが設けられている。すなわち、本実施形態では、ハブ3が、逆流防止構造を構成する筒状体に相当し、該筒状体内に内部流路3aが形成されていることになる。内部流路3aは、第1の端部3bから反対側の第2の端部3cに向かって延ばされている。内部流路3aの第1の端面3bはハブ3の先端において開いている。
内部流路3aの第2の端部3cに連通するように、中空針4がハブ3に固定されている。中空針4は、先端の針先4aがホルダー本体2内に延びるように配置されている。中空針4の周囲には、ゴム鞘5が取り付けられている。
中空針4は、真空採血管の栓体を刺通するために設けられている。すなわち、真空採血に際し、栓体を中空針4により刺通することにより、採血管内と上記内部流路3a、ひいては後述する採血針及び血管とが連通されることになる。
ゴム鞘5は、柔軟性を有するゴム材料からなり、中空針4の先端の針先4aからの血液の外部への漏洩を防止するために設けられている。ゴム鞘5は針先4aにより栓体を刺通する際にゴム鞘5もまた針先4aにより刺通される。その結果、ゴム鞘5が中空針4の外周面に密着するため、血液の採血管外への漏洩を防止することができる。なお、ゴム鞘5は必ずしも設けられずともよい。
内部流路3a内には、逆流防止部材6が収納されている。逆流防止部材6は、図2(a)に拡大して示すように、有底の筒状部材により構成されている。逆流防止部材6は、ゴム弾性を有する材料で構成されており、従って柔軟性を有する。
本実施形態では、逆流防止部材6は、略円筒状の形状を有し、開口端近傍に肉厚部6aを有し、肉厚部6aの外径が大きくされている。そして、肉厚部6aの下方に連なる本体部6bの径が相対的に小さくされており、該本体部6bに切り込み6cが形成されている。切り込み6cは、逆流防止部材6の側面を貫通するように設けられている。切り込み6cは、例えば、ゴム弾性を有する材料からなる逆流防止部材6にカッター等により切断するだけで容易に形成することができる。
本実施形態では切り込み6cは、逆流防止部材6の長さ方向と直交する方向に延びるように形成されている。
図1に戻り、逆流防止部材6は、開口端、すなわち肉厚部6a側が内部流路3aの第1の端部3b側に位置するように収納されている。ここで、肉厚部6aの外径は、内部流路3aの端部側の内径よりも若干大きく、逆流防止部材6を内部流路3aに圧入し得る程度の大きさとされている。
逆流防止部材6は、肉厚部6aとは反対側の閉じられている部分から、内部流路3aに挿入され、圧入される。その結果、肉厚部6aの外周面が内部流路3aの内周面に液密的に密着する。従って、逆流防止部材6を、内部流路3aに挿入するだけで、内部流路3a内に固定することができる。
他方、上記切り込み6cは、逆流防止部材6の内部流路3aに固定されている部分よりも、本実施形態では、上記肉厚部6aよりも第2の端部3c側に位置されている。そして、切り込み6cは、逆流防止部材6の長さ方向と直交する方向に形成されていたため、内部流路3aの第1の端部3bと第2の端部3cとを結ぶ方向とも直交する方向に延びている。
上記逆流防止部材6を構成するゴム弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、ブチルゴム、熱可塑性エラストマーなどの合成ゴム、あるいは天然ゴムを挙げることかできる。
本実施形態の採血ホルダー1を用いた採血方法を説明することにより、上記逆流防止部材6が備えられた逆流防止構造の作用効果を説明する。
採血に際しては、図1(b)に示すように、採血ホルダー1のハブ3に血液を採取するための中空針11を付ける。中空針11は、基端側に筒状の固定部12を有する。この固定部12が、ハブ3に外挿されて液密的にハブ3に固定される。その結果、中空針11の内部が内部流路3aに第1の端部3b側において連通される。
採血に際しては、被採血者の腕に駆血帯を装着する。次に、上記中空針11を採血ホルダー1のハブ3に固定した後、血管に中空針11の針先11aを挿入する。そして、図4で示すように、採血管21を採血ホルダー1のホルダー本体2の開口2aから挿入する。採血管21は、通常の真空採血管であり、有底円筒状の採血管本体21aと、ゴム弾性を有する栓体21bとを有する。栓体21bが、中空針4により刺通される。その結果、図4に示すように、内部流路3aが採血管21内と連通される。採血管21内は減圧状態とされている。従って、採血管21内の圧力と、血管内の圧力との圧力差により血液が中空針11の内部流路3a側に流れる。
逆流防止部材6は、第1の端部側に向かって開いた有底円筒状の形状を有する。そして、切り込み6cは導かれてきた血液の圧力により図2(b)に示すように、開かれる。すなわち、図5(a)に示すように、矢印A方向に、すなわち第1の端部3b側から第2の端部3c側に血液が流れてきた場合には、切り込み6cが開口する。従って、血液が逆流防止部材6の切り込み6cから下方に流れ、中空針4を経て、採血管21内に導かれる。
採血管21内の圧力と血管内の圧力とが平衡に達すると、採血が終了する。従って、採血管21を採血ホルダー1から引き抜き、採血を終了すればよい。この場合、誤って先に駆血帯を取り外し、血管内の圧力が急激に低くなり、採血管21内に採取した血液が血管側に逆流しようとしても、逆流は逆流防止部材6により確実に防止される。
すなわち、図5(b)に示すように、逆流が生じ血液が矢印Bで示す方向に流れてきた場合には、逆流防止部材6の下端部分すなわち第1の端部側部分が第2の端部側に向かって押されることになる。そのため切り込み6cが閉じられ、血液の逆流防止部材6よりも第1の端部3b側への移動が確実に防止される。
従って、本実施形態の採血ホルダー1を用いれば、ハブ内に上記逆流防止構造が備えられているため、血液の逆流を確実に防止することができる。しかも、この逆流防止構造では、内部流路3a内に、ゴム弾性を有する材料からなる逆流防止部材6を配置するだけでよく、逆流防止部材6は単に矩形円筒体に切り込み6aを形成するだけで得られるため、加工工程や部品点数の増大も招き難い。
上記実施形態では、採血ホルダー1の本体2に一体に設けられたハブ3内に逆流防止構造が設けられていた。しかしながら、本発明の逆流防止構造は、様々な採血具に適用することができる。これを、図6〜図8を参照して説明する。
図6に示す第2の実施形態では、筒状の採血ホルダー31と、ルアー針32とが組み合わされて、第1の実施形態の採血ホルダー1に相当する構造が得られる。すなわち、採血ホルダー31は、第1の実施形態のホルダー本体2と同様の形状を有する。もっとも、開口31aと反対側の端面31bには、採血針32を取り付けるための針取り付け部が設けられている。針取り付け部は、外周面に雌ねじ31cが形成されている貫通孔を有する。他方、ルアー針32は、ハブ33と、一端がハブ33に固定された中空針34とを有する。中空針34は、針先34aとは反対側の端部において、ハブ33に固定されている。なお、ハブ33は、内部流路33aを有する。内部流路33aは、第1の端部33bと、第2の端部33cを結ぶ方向に形成されている。中空針34の基端は、第2の端部33cに連通している。そして、ハブ33の下方においては、外周面に雄ねじ33dが形成されている。この雄ねじ33dは、針取り付け部に設けられた雌ねじ31cにねじ込まれるように形成されている。
他方、内部流路33aにおいては、第1の実施形態の内部流路3aと同様に、逆流防止部材6が圧入されており、逆流防止部材6の肉厚部6aが液密的に内部流路33aの内周面に密着している。
本実施形態では、上記採血ホルダー31に、中空針34側からルアー針32を挿入し、上記雄ねじ33dを雌ねじ31cにねじ込むことにより、ルアー針32が採血ホルダー31に固定される。その結果、図1に示した実施形態の採血ホルダー1と同様の構造が得られる。
従って、図1(a)に示した中空針11を取り付けることにより、第1の実施形態と同様にして用いることができる。すなわち、図6に示した採血具は、図1に示した採血ホルダー1を、ルアー針32と、採血ホルダー31とに分割した構造に相当する。
このように、採血具の逆流防止構造は、採血管の栓体を刺通する中空針34を有するルアー針32に設けられてもよい。
図7は、本発明の第3の実施形態を説明するめの正面断面図である。第3の実施形態では、採血針41が提供される。この採血針41は、図6に示したルアー針32と、図1(b)に示した中空針11とを一体化した構造に相当する。
すなわち、採血針41は、ハブ43を有する。このハブ43は、内部流路43aを有する。内部流路43aは、第1の端部43bと、第2の端部43cとを結ぶ方向に形成されている。そして、内部流路43a内に、逆流防止部材6が収納されている。逆流防止部材6は、図1に示した逆流防止部材6と同様に構成されている。従って、本実施形態では、ハブ43内において、本発明の逆流防止構造が構成されている。
他方、ハブ43の一方端には、第1の中空針44の基端が固定されている。第1の中空針44の針先44aは血管に挿入される部分であり、基端が第1の端部43b側において内部流路43aに連通されている。他方、ハブ43の他方端には、中空針45の基端が固定されており、該基端は中空針43の第2の端部43cに連通している。中空針45は、針先45a側から採血管の栓体側に刺通されるように用いられる。
従って、採血針41は、図6に示したルアー針32に相当する部分に、図1(b)に示した採血針11を固定し、一体化した構造に相当することがわかる。よって、図8に示すように、上記ハブ43の下方に設けられた雌ねじ43dを、採血ホルダー31の雌ねじ31cにねじ込むように用いることにより、図6に示した実施形態と同様に逆流を確実に防止することができる。
図9(a)及び(b)は、本発明の第4の実施形態に係るルアー針51を示す模式的正面断面図であり、図10(a)及び(b)は、第4の実施形態よりも好ましい第5の実施形態に係るルアー針の各模式的正面断面図である。
図9(a)及び(b)に示すルアー針51は、図6に示したルアー針32とほぼ同様に構成されている。従って、同一部分については、同一の参照番号を付することによりその詳細な説明は省略し、図6を参照して行った説明を援用することとする。
ルアー針51が、ルアー針32と大きく異なる点は、中空針34を覆うように、ゴム鞘52が設けられていることにある。ゴム鞘52は、図1(a)に示されているゴム鞘5と同様の材料からなり、同様の目的のために設けられている。
ルアー針51においても、ハブ33内に、逆流防止部材6が圧入されており、逆流防止部材6には、切り込み6cが設けられている。従って、ルアー針51は、前述したルアー針32と同様にして用いることかできる。
もっとも、図9(b)に示すように、誤って逆流防止部材6が内部流路が延びる方向に対して傾斜されて固定されることがあり得る。このような場合、傾斜方向によっては切り込み6cにおいて逆流防止部材が開閉する際のヒンジとして機能するように、上下に連なっているヒンジ部分6dを含む部分がハブ33の内壁に当接されることがある。この場合には、圧力差により切り込み6cより下方の部分が図9(b)に矢印に示すように移動して開口しようとしても、上記ヒンジ部6dを含む部分がハブ33の内壁に当接しているため、該矢印方向への移動が規制される。そのため、切り込み6cにおいて圧力差が加えられたとしても開口しないおそれがある。
このような問題を解決するには、図9(a)に示すように、逆流防止部材6をハブ33内に正しい向きに固定することが望ましい。
しかしながら、図10(a)及び(b)に示す第5の実施形態のルアー針61では、逆流防止部材6が傾斜されて固定されたとしても、血液を確実に流すことができる。すなわち、ルアー針61は、逆流防止部材6の構造を除いてはルアー針51と同様に構成されている。従って、同一部分については同一の参照番号を付することにより、その詳細な説明は省略する。
図10(a)及び(b)に示すルアー針61の逆流防止部材6では、異なる高さ位置に複数の切り込み6c,6fが形成されている。そして、切り込み6cと、切り込み6fとはヒンジ部が異なる部分に設けられている。本実施形態では、切り込み6cのヒンジ部6dに対し、切り込み6fのヒンジ部6gは、逆流防止部材6の軸方向中心に対して反対側の位置に設けられている。
従って、図10(a)に示すように、逆流防止部材6が傾斜されて固定され、一方の6cのヒンジ部6dがハブ33の内壁に当接していたとしても、他方のヒンジ部6gはハブ33の内壁から確実に隔てられている。よって、逆流防止部材6の上方と下方とに圧力差が生じ、血液を流す必要がある場合には、切り込み6cが開口されない場合でも、圧力差により、切り込み6fが確実に開口し、血液が速やかに流れることとなる。
従って、第4の実施形態のルアー針61のように、本発明に係る逆流防止部材では、好ましくは、逆流防止部材6に、複数の切り込み6c,6fが設けられていることが望ましい。
また、より好ましくは、上記実施形態のように、複数の切り込み6c,6fが設けられる場合、少なくとも1つの切り込みのヒンジ部と、他の少なくとも1つの切り込みのヒンジ部とが逆流防止部材6の周方向においてことなる位置に設けられていることがより望ましい。もっとも、逆流防止部材6の周方向においてほぼ同じ位置にヒンジ部が設けられている場合であっても、複数の切り込みの高さ位置が十分異なっている場合には、一方のヒンジ部を確実にハブ内壁から分離することができる。
よって、複数の切り込みのヒンジ部は、逆流防止部材6の周方向において必ずしも異なる位置に設けられる必要はない。
なお、第4の実施形態では、2個の切り込み6c,6fが設けられたが、3以上の切り込みが設けられてもよい。
図11は、本発明の第6の実施形態に係るルアー針を示す正面断面図である。本実施形態のルアー針62は、ルアー針51とほぼ同様の構造を有する。異なるところは、ルアー針62では、逆流防止部材6の切り込み6cが設けられている部分より上方の固定部6hの上下方向寸法が長くされていることにある。すなわち、ルアー針62では、逆流防止部材6の外周面がハブ33の内周面と固定されている部分の長さ方向寸法Zが十分大きくされている。従って、ルアー針62では、逆流防止部材6がハブ33内に挿入され固定された場合、逆流防止部材6の向きが正しい向きになるように逆流防止部材6が固定される。すなわち、逆流防止部材6が内部流路の延びる方向に対して傾斜し難くされている。
よって、好ましくは、第6の実施形態のルアー針62のように、逆流防止部材6の外周面が内部流路の内周面と密着される部分の内部流路の延びる方向に沿う寸法を上記傾斜が抑制される程度以上の長さとすることが望ましい。
上述してきた実施形態では、採血ホルダーは円筒状の形状を有していたが、角筒状などの他の筒状を有していてもよい。
また、逆流防止部材6に形成される切り込み6cは、第1,第2の端部を結ぶ方向と交差する方向に延びておればよく、上記実施形態のように第1,第2の端部を結ぶ方向と直交する方向に必ずしも設けられずともよい。もっとも、逆流による切り込み6cの閉塞を確実なものとする上で、切り込み6cは内部流路の第1,第2の端部を結ぶ方向と直交する方向に設けられていることが望ましい。
図12(a)及び(b)は、図9(a)に示したルアー針51の変形例を示す各部分切欠正面断面図である。この変形例に係るルアー針53では、逆流防止部材6に設けられている切り込み6cの延びる方向が、内部流路の延びる方向、すなわち第1,第2の端部を結ぶ方向に対し、直交する方向ではなく、60°程度の角度で傾斜する方向に延ばされている。従って、圧力差により切り込み6cが開口した場合には、図12(b)に示すように、開口部分の面積が十分大きくされ得る。よって、圧力差により切り込み6cが開口し、血液が流れる場合、血流抵抗を十分に小さくすることが可能となる。また、逆流防止構造を採用したことによる採血時間の延長も抑制することができる。
なお、本変形例では、第1,第2の端部を結ぶ方向、すなわち内部流路が延びる方向に対し、切り込み6cの延びる方向が60°の角度をなすように傾斜されていたが、60°に限らず、15°〜165°の範囲で適宜傾斜させれば、同様に、切り込み6cが開口する部分の開口面積を大きくする効果が得られる。
図13(a)及び(b)は、上記ルアー針51のさらに他の変形例に係るルアー針を示す各部分切欠正面断面図である。
図13(a)に示すルアー針54では、逆流防止部材6において、切り込み6cがルアー針51の場合と同様に形成されている。もっとも、切り込み6cが設けられている部分において、圧力差により図13(b)に示すように、切り込み6c部分が開口した場合のヒンジ部6dの肉厚が薄くされている。すなわち、ヒンジ部6dとは、前述したように、切り込み6cが開口した場合に開口を支持する部分に相当する。
図13(a)に示すように、切り込み6cが内部流路の延びる方向と直交する方向に設けられている場合には、切り込み6cと同じ高さ位置にヒンジ部6dが設けられることになる。そして、このヒンジ部6dの肉厚が、その周囲の部分よりも相対的に薄くされているので、僅かな圧力差が生じた場合であっても、図13(b)に示すように確実に切り込み6c部分において開口する。よって、弱い吸引力の採血管が接続された場合であっても、確実に採血することができる。また、ヒンジ部6d部分のみを相対的に薄くすればよいため、切り込み6cが設けられている部分の合わせ面の面積は十分な大きさとされ得る。すなわち、ヒンジ部6dの肉厚を相対的に薄くし、切り込み6cを介して対向している部分の肉厚を相対的に厚くしておけば、切り込み6cによる合わせ部分の面積を十分な大きさとされる。従って、開口後に逆流防止動作により切り込み6cが綴じられた際に、切り込み6cの上方部分と下方部分の位置が多少径方向あるいは周方向にずれたとしても、確実に流路を閉塞することができる。
また、逆流防止部材6に形成される切り込みの量、すなわち、切断により形成された切断部分の断面積の大きさは、逆流防止部材の硬度や肉厚によって調整すればよい。このような切り込み6cの大きさの好ましい例を図3を参照して説明する。図3は、逆流防止部材6の切り込み6cが形成されている部分の平面断面図であり、切断により切り込み6cが形成されている。図示されている高さ位置では、切り込み6c以外の部分では、逆流防止部材部分は上下に連なっている。この連なっている部分6dを、図3において斜線のハッチングを付して示す。従って、図3において、ハッチングを付されていない部分が、切り込み6cを構成している。
硬度が40〜45のブチルゴムからなり、肉厚が0.8mm程度の弾性材料を用いた場合を基準とすると、図3に示すように、好ましくは、切り込み6cの大きさは、逆流防止部材6の横断面の1/2以上の切断部分を有することが望ましい。特に、図3に示されている横断面において、内周面に接する接線Xに至るように切断を行って切り込み6cが形成されていることが望ましい。逆流防止部材6を構成する材料の硬度が大きい場合には、あるいは逆流防止部材6の肉厚が大きい場合には、切り込み6cの大きさが小さいと開口部分を閉じる力が大きくなり、逆流防止効果は高められる。しかしながら、流量が少なくなり、採血に時間を要することになったり、真空採血に際して圧力差により血液を吸引する力が作用し難くなり、所望とする量の血液を採取することができないおそれがある。逆に、硬度が小さかったり、肉厚が薄かったり、あるいは切り込み6cが大き過ぎる場合には、開口し易くなり、採血時間や採血量に影響を与え難いものの、逆流防止効果が小さくなったりするおそれがある。従って、上記のような観点から、逆流防止部材6の硬度、肉厚及び切り込み6cの大きさを調整すればよい。
もっとも、日本国・厚生労働省告示「滅菌済み注射筒基準」によれば、例えば図9に示したルアー針51では、図14に拡大して示すように、逆流防止部材6の内径W1は、0.1mm以上あれば弱い吸引力の採血管においても採血を行うことができるが、より好ましくは、内径W1は0.2mm以上とすることが望ましい。内径W1が0.2mm未満では、血流抵抗が大きくなることがあり、採血時間が長くなることがある。従って、医師や臨床検査技師などの作業者の負担を軽減するためには、上記内径W1は大きい方が好ましい。
また、上記切り込み6c付近における逆流防止部材6の肉厚は0.1〜1.0mmが一般的に好ましい。0.1mm未満の肉厚では、逆流防止動作の際に閉じた場合、切り込み6cにおける合わせ面がずれ、逆流を防止し得ないことがあり、逆に1.0mmを超えると、逆流防止のために閉塞するのに必要な力が大きくなり、採血量が規定量に達する前に閉塞するおそれがある。実際には、ルアー針の外径W2を4.0mmとすると、内径W3は3.0mmであり、ハブ33の内周面と逆流防止部材6との間の隙間を0.5mmにしたい場合、逆流防止部材6の外径が2.0mmとなる。従って、実際にも、肉厚1.0mmを超える逆流防止部材6を設けることは、上記寸法関係では困難である。
もっとも、上記逆流防止部材6の内径が0.2mm以上であることが好ましいこと、並びに肉厚が0.1〜1.0mmの範囲が好ましいことは、前述した厚生労働省告示「滅菌済み注射筒基準」に合致したルアー針が前提となるものであり、ルアー針や採血器具の寸法が異なる場合には、上記寸法が異なるものとなる。次に、様々な寸法のルアー針51を作製した具体的な実験例につき説明する。
(実施例1)
日本国・厚生労働省告示「滅菌済み注射筒基準」に準拠した寸法のルアー針を作製した。すなわち、図14におけるハブ33の内径が2.5mmであるハブに対し、全長Lが6.0mm、外径W4が2.0mm、内径W1が1.0mm、肉厚が0.5mmの逆流防止部材6をセットした。なお、逆流防止部材6の外周面がハブ33の内周面と密着している保持部の長さZは2.0mm、保持部の外径は2.9mm、切り込み6cの長さ方向寸法は1.5mmとした。なお、逆流防止部材6は、天然ゴムから作製し、切り込み6cの延びる方向は第1,第2の端部を結ぶ方向と直交する方向とした。
(実施例2)
逆流防止部材の切り込み6cが設けられている部分の外径W4を1.8mm、内径W1を1.2mm、肉厚を0.3mmとしたことを除いては、実施例1と同様とした。
(実施例3)
逆流防止部材6の切り込み6cが設けられている部分の外径W4を1.8mm、内径W1を1.2mm、肉厚を0.3mmとしたこと、並びに切り込み6cを内部流路の延びる方向である第1,第2の端部を結ぶ方向に対し45°の角度をなすように傾斜させたことを除いては実施例1と同様とした。
(実施例4)
逆流防止部材6の外径W4を1.8mm、内径W1を1.2mm、肉厚を0.3mmとしたこと、並びに異なる高さ位置に水平方向に延びる、すなわち内部流路の延びる方向に直交する方向に延びる2つの切り込みを形成したことを除いては、実施例1と同様とした。
(比較例)
逆流防止部材が挿入されていないことを除いては実施例1と同様のハブを有するルアー針を用意した。
上記実施例1〜4及び比較例のルアー針について、逆流量及び吸水量を以下の要領で評価した。結果を下記の表1に示す。
逆流量:図15に示すように、採血管71内に水72を満たし、100mmHgの圧力を採血管71内に加え、該採血管71の栓体73にルアー針51の中空針を突き刺し、60秒放置した。この場合、採血管71は図示のように上下逆転されており、60秒間放置した際のルアー針51の下方に漏れでた水の量を逆流量として測定した。
給水量:内容量7ccの試験管に減圧下でゴム栓を用いて密封し、真空採血間を作製した。採血ホルダーに上記ルアー針を取り付けた。ビューレットを水で満たし、ビューレットのタブを開き、ばねクリップを通したビューレット内の水をビューレットに接続されたシリコーンチューブに流し、ビューレットの目盛りが0の位置でクリップし水の流を停止させた。
ルアー針がホルダーに取り付けられた採血ホルダーの外側の中空針をシリコーンチューブに突き刺し、針先をシリコーンチューブ内に位置させた。そして、採血ホルダーの逆の中空針側に前述した採血管を挿入し、圧力差により吸水を開始した。採血管内が水により満たされた後、少なくとも一分間放置した。しかる後、ビューレットの最も高い水面と、±0.1mLの正確差で採血管の液面の高さとを合わせ、吸引量を求めた。
Figure 2007007480
表1から明らかなように、実施例1〜4では、比較例に比べて、逆流を確実に防止することが可能であることがわかる。また、吸水量についても、比較例を100%とした場合、95〜97.5重量%であり、逆流防止部材6の挿入による吸水量の減少も認められないことがわかる。
なお、上述してきた実施例では、逆流防止部材6に、直線状の切り込みが設けられて、本発明において、逆流防止部材に設けられる切り込みの形状及び数は適宜変更され得る。そのような変形例を図16(a)〜(c)に例示的に示す。すなわち、図16(a)〜(c)に示す逆流防止部材6では、1以上の切り込み6cが、曲線状、あるいは異なる方向に延びる直線を連結した形状など様々な形状とされている。このように、本発明において、逆流防止部材に形成される切り込みの形状及び数は特に限定されるものではないことを指摘しておく。
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る採血具を説明するための図であり、(a)は、採血ホルダーの正面図、(b)は、採血ホルダーに採血針を固定する工程を説明するための正面断面図である。 図2(a)及び(b)は、第1の実施形態で用いられる逆流防止部材の斜視図及び血液により切り込みが開いた状態を示す斜視図である。 図3は、本発明において逆流防止部材において形成される切り込みの大きさの好ましい範囲を説明するための模式的平面断面図である。 図4は、本発明の第1の実施形態の採血具を用いて採血を行う工程を説明するための正面断面図である。 図5(a)及び(b)は、第1の実施形態において、逆流防止部材の切り込みが開いて血液が採取される状態と、逆流により切り込みが閉塞されている状態とを示す各部分切欠正面断面図である。 図6は、本発明の第2の実施形態に係る採血具を示すための縦断面図である。 図7は、本発明の第3の実施形態としての採血針を示す正面断面図である。 図8は、第3の実施形態の採血針を採血ホルダーに固定した状態を示す正面断面図である。 図9(a)及び(b)は、本発明の第4の実施形態に係るルアー針を説明するための各模式的正面断面図である。 図10(a)及び(b)は、本発明の第5の実施形態に係るルアー針を説明するための各模式的正面断面図である。 図11は、本発明の第6の実施形態に係るルアー針を説明するための模式的正面断面図である。 図12(a)及び(b)は、図9(a)に示したルアー針の変形例を説明するための各部分切欠正面断面図である。 図13(a)及び(b)は、図9(a)に示したルアー針の変形例を説明するための各部分切欠正面断面図である。 図14は、第3の実施形態のルアー針の好ましい寸法関係を説明するための部分切欠拡大正面断面図である。 図15は、実施例1〜4のルアー針を用いた逆流量の評価方法を説明するための模式的正面断面図である。 図16(a)〜(c)は、本発明における逆流防止部材の切り込みの形状の変形例を示す各略図的断面図である。 図17は、従来の採血針の一例を示す正面断面図である。 図18は、従来の採血針の他の例を示す正面断面図である。
符号の説明
1…採血ホルダー
2…ホルダー本体
2a…開口
2b…他端
3…ハブ
3a…内部流路
3b…第1の端部
3c…第2の端部
4…中空針
4a…針先
5…ゴム鞘
6…逆流防止部材
6a…肉厚部
6b…本体部
6c…切り込み
6d…フランジ部
6f…切り込み
6g…フランジ部
11…中空針
11a…針先
12…針取り付け部
31…採血ホルダー
31a…開口
31b…端面
31c…雌ねじ
33…ハブ
33a…内部流路
33b…第1の端部
33c…第2の端部
34…中空針
41…採血針
43…ハブ
43a…内部流路
43b…第1の端部
43c…第2の端部
44…中空針
44a…針先
45…中空針
45a…針先
51…ルアー針
52…ゴム鞘
53…ルアー針
54…ルアー針
61…ルアー針
62…ルアー針

Claims (10)

  1. 採血具において血液の逆流を防止するための逆流防止構造であって、第1の端部側から第2の端部側に向かって延びかつ血液が流れる内部流路を有する筒状体と、
    前記筒状体の内部流路内に収納されており、ゴム弾性を有する材料からなり、前記第1の端部に向かって開いた開口を有し、第2の端部側が閉じられた有底筒状の逆流防止部材とを備え、
    前記逆流防止部材の外周壁が、前記内部流路の内壁に液密的に固定されており、
    前記逆流防止部材の固定されている部分よりも第2の端部側において逆流防止部材に切り込みが形成されている、採血具の逆流防止構造。
  2. 前記切り込みが前記逆流防止部材において少なくとも2カ所以上設けられている請求項1に記載の採血具の逆流防止構造。
  3. 前記逆流防止部材に形成されている切り込みが、前記第1,第2の端部を結ぶ方向と交差する方向である、請求項1に記載の採血具の逆流防止構造。
  4. 前記逆流防止部材に形成されている切り込みが、前記第1,第2の端部を結ぶ方向に対して、15〜165°の角度をなすように傾斜されている方向に延ばされている、請求項3に記載の採血具の逆流防止構造。
  5. 前記切り込みが、前記第1,第2の端部を結ぶ方向と直交する方向に延びている、請求項3に記載の採血具の逆流防止構造。
  6. 前記逆流防止部材において、切り込みより開閉する際のヒンジとして機能する部分の肉厚が、他の部分よりも相対的に薄くされていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の採血具の逆流防止構造。
  7. 採血に際し、採血管の栓体を刺通するのに用いられる中空針と、
    前記中空針の一端に固定されたハブとを備えるルアー針であって、
    前記ハブが、請求項1〜6のいずれか1項に記載の採血具の逆流防止構造を有し、前記中空針が前記採血具の逆流防止構造の内部流路の第2の端部側に連通されていることを特徴とするルアー針。
  8. 血液を採取するための中空針と、該中空針の一端に固定されたハブとを備える採血針であって、
    前記ハブが、請求項1〜6のいずれか1項に記載の採血具の逆流防止構造を有し、前記中空針が前記内部流路の第1の端部側に連通されていることを特徴とする、採血針。
  9. 一端側に採血管を挿入するための開口が形成されており、他端側が閉じられている筒状のホルダー本体と、
    前記ホルダー本体の他端側に設けられたハブと、
    前記ハブに一端が固定されており、採血管の栓体を刺通するための中空針とを有する採血ホルダーであって、
    前記ハブが、請求項1〜6のいずれか1項に記載の採血具の逆流防止構造を有し、前記中空針が前記採血具の逆流防止構造の内部流路の前記第2の端部側に連通されていることを特徴とする採血ホルダー。
  10. 前記ハブに一端が固定されており、他端がホルダー外に延ばされた採血用の中空針をさらに備え、該採血用の中空針が前記採血具の逆流防止構造の内部流路の第1の端部側に連通されている、請求項9に記載の採血ホルダー。
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