JP2007005101A - 非水電解質電池および非水電解質電池用リード線 - Google Patents
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Abstract
【課題】リード線の外部への取り出し部分における電気絶縁性と密封性に優れた高信頼性の非水電解質電池とそのためのリード線を提供する。
【解決手段】非水電解質電池は、正電極5、負電極5’および電解液を、金属箔を含む積層フィルム14からなる封入袋3に収納し、正負電極に接続した導体1,1’を外部に取り出す構造を有する。導体1,1’は、絶縁体20を介して封入袋3に接着され、その絶縁体20は接着材層と架橋樹脂による耐熱層からなる。耐熱層には接着材層と同じ材料が充填された複数の溝または孔が形成される。そして絶縁体20は、耐熱層と、溝または孔に充填された接着材材料とによって封入袋3に接着される。ここで封入袋3のヒートシール温度では耐熱層は溶融しないため、導体1,1’と封入袋3の金属箔との電気的絶縁を確保することができる。
【選択図】図2
【解決手段】非水電解質電池は、正電極5、負電極5’および電解液を、金属箔を含む積層フィルム14からなる封入袋3に収納し、正負電極に接続した導体1,1’を外部に取り出す構造を有する。導体1,1’は、絶縁体20を介して封入袋3に接着され、その絶縁体20は接着材層と架橋樹脂による耐熱層からなる。耐熱層には接着材層と同じ材料が充填された複数の溝または孔が形成される。そして絶縁体20は、耐熱層と、溝または孔に充填された接着材材料とによって封入袋3に接着される。ここで封入袋3のヒートシール温度では耐熱層は溶融しないため、導体1,1’と封入袋3の金属箔との電気的絶縁を確保することができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、正電極、負電極および電解液を封入袋に収納し、電極に接続したリード線を外部に取り出す構造の非水電解質電池と、そのためのリード線に関する。
電子機器の小型化と共に電源としての電池の小型化、軽量化が求められている。また、高エネルギー密度化、高エネルギー効率化に対する要求もあり、このような要求を満たすものとして、リチウムイオン電池などの非水電解質電池への期待が高まっている。非水電解質電池としては、正電極、負電極および電解液を、金属箔を含む積層フィルムからなる封入袋に収納し、電極に接続したリード線を外部に取り出す構造のものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
図5は、従来の非水電解質電池の一例を示す概略図である。図中、1,1’は導体、2は絶縁体、3は封入袋、4はシール部分、5は正電極、5’は負電極、6は隔膜、7,7’は電極導電体、8,8’は活性物質、9は金属箔、10は接着材層、11は耐熱層、12は最内層フィルム、13は最外層フィルム、14は積層フィルムを示す。
図5(A)に示す非水電解質電池は、正電極5および負電極5’、隔膜6、電解液等を、袋状にした封入袋3に収納し、正負電極5,5’に接続した導体1,1’を密封状態にして外部に取り出す構造のものである。
封入袋3は、最内層フィルム12と最外層フィルム13との間に、少なくともアルミ、銅、ステンレス等の金属からなる金属箔9をサンドイッチ状に貼り合わせた密封性の高い積層フィルム14を用いて形成される。最内層フィルム12は、封入袋3をヒートシールによって作成するためのシール層となる。また最外層フィルム13は、金属箔9を保護する保護層となる。
封入袋3は、最内層フィルム12と最外層フィルム13との間に、少なくともアルミ、銅、ステンレス等の金属からなる金属箔9をサンドイッチ状に貼り合わせた密封性の高い積層フィルム14を用いて形成される。最内層フィルム12は、封入袋3をヒートシールによって作成するためのシール層となる。また最外層フィルム13は、金属箔9を保護する保護層となる。
封入袋3を作成する際には、矩形に裁断した上記の積層フィルム14を一対用意し、上記シール層となる最内層フィルム12を対向させた状態でこれら一対の積層フィルム14を配置する。そしてこの一対の積層フィルム14の矩形の周囲3辺のみを、シール機を用いて所定の加熱条件でヒートシールする。これにより、矩形の積層フィルム14の周囲3辺に、シール部分4が形成される。
正負電極5,5’に接続される導体1,1’は、封入袋3からの取り出し部分が絶縁体2で覆われている。この絶縁体2は、図5(B)に示すように、例えば、低融点の接着材層10と、これよりは融点が高く封入袋3のヒートシール温度では溶融しない耐熱層11の2層で形成される。低融点の接着材層10には、例えば、酸変性の低密度ポリエチレンが用いられ、耐熱層11には、架橋して耐熱性を向上させたポリエチレン等が用いられる。
絶縁体2は、導体1,1’に対して予め接着される。この場合、まず接着材層10と耐熱層11とを熱ラミネート等によって貼り合わせて積層構成の絶縁体2を作成し、その絶縁体2の接着材層10を導体1,1’にヒートシールすることで、絶縁体2を導体1,1’接着して一体化させる。
正電極5および負電極5’は、集電体と呼ばれる金属箔やエキスパンデッドメタル等の金属基材上に活物質層が形成された構造を有している。導体1,1’と正電極5および負電極5’の接続には、これら電極基材となる電極導電体7,7’と導体1,1’の導体とのスポット溶接や、超音波溶接等の方法が利用される。
導体1,1’を封入袋3に取り付ける場合、まず導体1,1’を接続した正電極5および負電極5’と隔膜6とからなる電気化学セルを、上記3辺をヒートシールした封入袋3の残り1辺の開口部を通して封入袋3の内部に挿入し、続いて電解液を封入袋3に注入する。このとき導体1,1’に接着した絶縁体2の耐熱層11と、封入袋3の最内層フィルム12とが接触するように配置し、この状態で、封入袋3の残りの1辺をヒートシールしてシール部分4を形成する。
上記のように、絶縁体2は、低融点の接着材層10と、これより融点が高く封入袋3のヒートシール温度では溶融しない耐熱層11とが積層されている。封入袋3をヒートシールするときに絶縁体2を介さずに最内層フィルム12同士が接触する領域では、これら最内層フィルム12が溶融して互いに融着する。また最内層フィルム12が絶縁体2の耐熱層11に接触する領域では、耐熱層11は溶融しないが、これに接触する最内層フィルム12が溶融することでこれらが互いに融着する。このように絶縁体2の耐熱層11は、封入袋3のヒートシール時に溶融しないため、導体1,1’と、積層フィルム14内の金属箔9との電気的な短絡を有効に防止することができる。
上記のような構成で封入袋3に導体1,1’を取り付けることによって、導体1,1’が封入袋3の所定の縁部に融着されて、密封状態で取り出された非水電解質電池を作成することができる。
また上記の構成の他の形態として、絶縁体2の外側に、さらに鎖線で示すような低融点の絶縁層を設けて、封入袋3と溶融一体化することで、密封信頼性を向上させることができるとされている。
特許3505905号公報
特開2001−102016号公報
また上記の構成の他の形態として、絶縁体2の外側に、さらに鎖線で示すような低融点の絶縁層を設けて、封入袋3と溶融一体化することで、密封信頼性を向上させることができるとされている。
導体1,1’と封入袋3との間に設ける絶縁体2は、上述のように低融点の接着材層10と、架橋樹脂による耐熱層11とから構成される。そして耐熱層11を設けることにより、導体1,1’と積層フィルム14内の金属箔9との短絡を有効に防止できる、というメリットが得られる。しかしながら一方では、耐熱層11の融点が高く、封入袋3のヒートシール温度では溶融しないため、積層フィルム14の最内層フィルム12と耐熱層11との間のシール強度は、絶縁体2と積層フィルムとがそれぞれ溶けて溶着するときよりは弱い。
本発明は、リード線の外部への取り出し部分の封入袋とのシール強度が従来よりも大きい高信頼性の非水電解質電池とそのためのリード線の提供を課題とする。
本発明による非水電解質電池は、正電極、負電極および電解液を、金属箔を含む積層フィルムからなる封入袋に収納し、正負電極に接続したリード線を外部に取り出す構造を有している。上記リード線の導体は、絶縁体を介して封入袋に接着され、絶縁体は、リード線の導体に接着された接着材層と、その接着材層に積層された架橋樹脂層からなっている。そして架橋樹脂層は、複数の溝または孔を有し、これら複数の溝または孔に接着材層と同じ材料が充填されている。このような構成により、絶縁体は、架橋樹脂と、溝または孔に充填された材料とによって封入袋に接着する。
さらに本発明による非水電解質電池は、正電極、負電極および電解液を、金属箔を含む積層フィルムからなる封入袋に収納し、正負電極に接続したリード線を外部に取り出す構造を有し、リード線の導体は、接着材層を介して封入袋に接着されている。そして接着材層は、複数の溝または孔を有し、これら複数の溝または孔に架橋樹脂材料が充填されている。このような構成により、接着材層は、接着材層を構成する材料と、溝または孔に充填された架橋樹脂とによって封入袋に接着する。
本発明によれば、絶縁体をリード線の導体に接着した状態で封入袋の所定位置に配置し、絶縁体の耐熱層を介して封入袋の最内層フィルムをヒートシールする際、耐熱層に設けられた溝または孔に接着材材料が充填されているため、封入袋のヒートシール温度でその接着材材料が溶融し、絶縁体の耐熱層側表面と、封入袋の最内層フィルムとのシール強度を向上させることができる。そして、溝を形成した耐熱層自体は、封入袋のヒートシールによって溶融しないため、リード線と封入袋の金属箔との電気的絶縁を確保することができる。これにより、リード線の外部への取り出し部分における電気絶縁性と密封性に優れた高信頼性の非水電解質電池とそのためのリード線を提供することができる。
さらに本発明によれば、絶縁体をリード線に接着した状態で封入袋の所定位置に配置し、絶縁体を介して封入袋の最内層フィルムをヒートシールする際、絶縁体の接着材層に設けられた溝に架橋樹脂材料が充填されているため、封入袋のヒートシール温度でその接着材層が溶融し、絶縁体の表面と封入袋の最内層フィルムとのシールを良好に行うとともに、溝に充填した架橋樹脂材料は、封入袋のヒートシールによって溶融しないため、リード線と封入袋の金属箔との電気的絶縁を確保することができる。これにより、リード線の外部への取り出し部分における電気絶縁性と密封性に優れた高信頼性の非水電解質電池とそのためのリード線を提供することができる。
(実施形態1)
図により本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のリード線を備えた非水電解質電池の一例を示す外観図である。図2は図1に示す非水電解質電池の概略を説明する図で、図2(A)は断面図、図2(B)はa−a方向から見た部分図、図2(C)はb−b方向から見た部分図である。図3は本発明による非水電解質電池用リード線の例を示す図である。図中、20は絶縁体、21は接着材層、22は耐熱層、24は接続部を示す。その他の符号は、図5で用いたのと同じ符号を用いることによりその説明を省略する。
図により本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のリード線を備えた非水電解質電池の一例を示す外観図である。図2は図1に示す非水電解質電池の概略を説明する図で、図2(A)は断面図、図2(B)はa−a方向から見た部分図、図2(C)はb−b方向から見た部分図である。図3は本発明による非水電解質電池用リード線の例を示す図である。図中、20は絶縁体、21は接着材層、22は耐熱層、24は接続部を示す。その他の符号は、図5で用いたのと同じ符号を用いることによりその説明を省略する。
本実施形態による非水電解質電池は、図1に一例として示すように、一対の導体1,1’の取り出し部分をそれぞれ絶縁体20で覆って、封入袋3のシール部分4から外部に取り出す形態の薄形構造で形成される。封入袋3は、周縁部のシール部分4をヒートシールによる熱融着で袋状としたものである。封入袋3内には、正電極、負電極、隔膜等と非水の溶媒(例えば、有機溶媒)に電解質(例えばリチウム化合物)が溶解された非水電解液とを含む単一の電気化学セルを、密封収納している。導体1,1’は、外部への電気接続のためにシール部分4から取り出され、その取り出し部分は絶縁体20で被覆絶縁されて、封入袋3を形成する積層フィルム内の金属箔と電気的接触が生じないようにしている。
図2は、本発明による非水電解質電池の概略を示す図で、図1で示した封入袋3のシール部分4の一部から、導体1,1’を絶縁体2で覆って外部に取り出す構成を示している。封入袋3は、図では概略で示しているが、図5で説明したのと同様に、内部に金属箔の層を含む積層フィルム14で形成される。この積層フィルム14は、最内層フィルムと最外層フィルムとの間に、少なくともアルミ、銅、ステンレス等の金属等の金属箔をサンドイッチ状に貼り合わせて、封入袋3内に収納される電解液に対する密封性を高めている。
また、封入袋3の積層フィルム14は、例えば、3〜5層の積層体からなり、その最内層フィルムは、電解液で溶解されずシール部分からの電解液の漏出を防止するのに適したものとして、酸変性ポリオレフィン(例:無水マレイン酸変性低密度ポリエチレン)で形成される。最外層フィルムは、内側の金属箔を外傷から保護するのにポリエチレンテレフタレート(PET)等で形成されている。
封入袋3内に収容される電解質としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロドフランなどの有機溶媒に、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6等の電解質を溶解させた非水電解液や、リチウムイオン伝導性の固体電解質などが用いられる。
電極は、隔膜6を挟んで向き合う正電極5と負電極5’からなり、集電体と呼ばれる金属箔またはエキスパンドメタルの金属基材上に活性物質層8,8’を形成した構造を有している。正電極5は、アルミ箔の電極導電体7上に還元酸化物粉末とカーボン粉末と結着剤のバインダーとからなる活性物質8を形成して構成される。負電極5’は、銅箔からなる電極導電体7’上にカーボン粉末と結着剤のバインダーとからなる活性物質8’を形成して構成される。正電極5と負電極5’との間に配される隔膜6は、電気的絶縁性を保持し、且つ、イオン伝導性を保持するポリオレフィン系の多孔膜で形成される。
正負電極5,5’は、電極導電体7,7’から一体に形成されている接続片7a,7a’を、スポット溶接や超音波溶接等により導体1,1’に接続して接続部24とし、外部に電気的に取り出される。正電極5に接続される導体1は、正の高電位となるので電解液との接触により溶解が生じないように、電極導電体7と同じアルミまたはチタン或いはこれらの合金で形成されているのが好ましい。負電極5’に接続される導体1’は、過充電でリチウムが析出し過放電で電位が高くなることから、リチウムに腐食されにくく、リチウムと合金が形成されにくく、且つ、高電位で溶解されにくい電極導電体7’と同じ銅またはニッケル或いはこれらの合金で形成されているのが好ましい。
導体1,1’には、丸型導体や平角導体の単線を用いることができるが、丸型導体の場合、電池容量が大きいと太径となるため、封入袋3からの取り出し部分の密封性が低下する恐れがある。このため、電池容量が大きくなっても、幅寸法を増加させることで厚みをあまり増加させずにすむ平角導体を用いる方が、密封性を低下させずに取り出すことができる。また、接続片7a,7a’との溶接に際しても、平角導体を用いたリード線の方が接触面積を大きくすることができ、信頼性に優れた接続を行なうことができる。
導体1,1’の取り出し部分を覆って封入袋3の金属箔との電気的絶縁を行なう絶縁体20は、接着材層21と耐熱層22の2層で形成する。接着材層21は、比較的溶融温度が低い樹脂材料で形成され、導体1,1’の導体上に溶融接着することにより、絶縁体2と導体1,1’とを一体化させる。この接着材層21には、例えば、熱可塑性ポリオレフィン樹脂等、好ましくは低密度ポリエチレン或いは酸変性低密度ポリエチレン(例:厚み100μm、融点110℃)が用いられ、150℃程度のシール温度で導体1,1’の導体上に熱融着される。またこの他、酸変性ポリプロピレンを用いることもできる。
耐熱層22は、接着材層21の樹脂材料よりも高融点で、かつ封入袋3のヒートシール温度では溶融しない材料で形成されている。耐熱層22は、封入袋3の最内層フィルムがそのヒートシール時に溶融することで封入袋3に融着し、導体1,1’を密封状態で引き出す。この耐熱層22には、例えば、架橋ポリオレフィン樹脂、好ましくは架橋された低密度ポリエチレン或いはエチレン−ビニルアルコール重合体(例:エチレン比率44%、厚み30μm、融点165℃)が用いられる。融点が150℃以上で導電性がない材料であれば特に限定されるものではない。
封入袋3の最内層フィルムが酸変性低密度ポリエチレンで形成されている場合、シール部分4は、最内層フィルムが110℃程度となる条件でヒートシールされるが、このヒートシール温度では耐熱層22は溶融されず、導体1,1’の取り出し部分において、封入袋3の金属箔との電気的絶縁を確保することができる。
そして本実施形態では、絶縁体20の耐熱層22と封入袋3との間のヒートシール強度を最適化し、かつ上記の電気的絶縁を確保する目的で、耐熱層22の封入袋側表面に、溝または孔を形成し、その溝または孔に低融点の接着材材料を充填する。以下にその構成をさらに具体的に説明する。
図3は、耐熱層と封入袋とのシール強度を大きくできる絶縁体の構成例を示す図で、図3(A)はリード線と絶縁体との積層体を側面からみた構成図、図3(B)は図3(A)のd方向からみた構成図である。図3において、21は接着材層、22は耐熱層、22aは溝、23は接着材材料である。
図3に示すように、本実施形態では、絶縁体20を構成する耐熱層22の封入袋側の表面、すなわち、接着材層21を積層する面とは反対側の面に、複数の溝22aを形成する。そして溝22aには、接着材層21に使用する材料(接着材材料23)を充填する。
上述したように、耐熱層22の架橋樹脂材料は、封入袋3のヒートシール温度では溶融しないが、上記溝22aに充填する接着材材料23は、封入袋3のヒートシール温度で溶融する。
上述したように、耐熱層22の架橋樹脂材料は、封入袋3のヒートシール温度では溶融しないが、上記溝22aに充填する接着材材料23は、封入袋3のヒートシール温度で溶融する。
絶縁体20を導体1,1’に接着した状態で封入袋3の所定位置に配置し、絶縁体20の耐熱層22を介して封入袋3の最内層フィルムをヒートシールする。この際に、耐熱層22に設けられた溝22aに接着材材料23が充填されているため、封入袋3のヒートシール温度でその接着材材料23が溶融し、絶縁体20の耐熱層22側表面と、封入袋3の最内層フィルムとのシール強度を向上させることができる。そして、溝22aを形成した耐熱層22自体は、封入袋3のヒートシール温度によって溶融しないため、リード線と封入袋3の金属箔との電気的絶縁を確保することができる。
また接着材材料23を充填する溝22aに代えて、複数の孔やスリットを形成してもよい。接着材層と耐熱層からなる絶縁体を導体に接着するときに加熱して接着材層を溶かして接着材が孔やスリットに充填され、耐熱層の表面まで到達させる。本実施形態では、耐熱層22の表面に一定の割合で低融点の接着材材料23を配置することが目的とされるため、上記の溝22aや孔やスリットの形状は特に限定されるものではないが、溝22aの幅や孔の径を20μm以下程度とすることが好適である。
溝22aまたは孔に充填する接着材材料23の面積について説明する。
上記構成の一例において、耐熱層22の架橋樹脂材料と封入袋3の最内層フィルム層とのシール強度は15N/cmである。また、溝22aまたは孔に充填する接着材材料と封入袋3の最内層フィルム層とのシール強度は60N/cmである。
ここで、封入袋3にリード線を取り付けてヒートシールしたときに、耐熱層22の表面と封入袋3の最内層フィルムとのシール強度は、信頼性を確保するために20N/cm以上あることが望ましい。
上記構成の一例において、耐熱層22の架橋樹脂材料と封入袋3の最内層フィルム層とのシール強度は15N/cmである。また、溝22aまたは孔に充填する接着材材料と封入袋3の最内層フィルム層とのシール強度は60N/cmである。
ここで、封入袋3にリード線を取り付けてヒートシールしたときに、耐熱層22の表面と封入袋3の最内層フィルムとのシール強度は、信頼性を確保するために20N/cm以上あることが望ましい。
上記のことから、溝22aまたは孔が形成された耐熱層22の表面において、溝22aまたは孔の面積をxとするとき、
15(1−x)+60x≧20 ・・・(1)
が成り立つ。この(1)式から、x≧0.11が導かれる。
一方、耐熱層22に溝22aや孔を形成した場合、耐熱層単体をフィルムの状態で保持できるのは、x<0.9程度である。
15(1−x)+60x≧20 ・・・(1)
が成り立つ。この(1)式から、x≧0.11が導かれる。
一方、耐熱層22に溝22aや孔を形成した場合、耐熱層単体をフィルムの状態で保持できるのは、x<0.9程度である。
以上のことから、溝22aまたは孔が形成された耐熱層22の表面において、溝22aまたは孔の総面積は、耐熱層22表面の全面積の11%以上90%以下の範囲とすることが好ましい。なお、上記の溝22aまたは孔に充填する接着材材料23は、上記の例では、接着材層21と同じ材料を用いているが、これに限定されることなく、封入袋3のヒートシール温度で溶融して融着できる絶縁性材料であれば適宜適用することができる。
(実施形態2)
本実施形態では、上記図1で示した構成の非水電解質電池用リード線において、絶縁体20を低融点の接着材層で構成し、その絶縁体20と封入袋3との間のヒートシール強度を最適化し、かつ上記の電気的絶縁を確保する目的で、絶縁体20の封入袋側表面に、溝または孔を形成し、その溝または孔に封入袋3のヒートシール温度では溶融しない耐熱性の架橋樹脂を充填する。以下にその構成をさらに具体的に説明する。
本実施形態では、上記図1で示した構成の非水電解質電池用リード線において、絶縁体20を低融点の接着材層で構成し、その絶縁体20と封入袋3との間のヒートシール強度を最適化し、かつ上記の電気的絶縁を確保する目的で、絶縁体20の封入袋側表面に、溝または孔を形成し、その溝または孔に封入袋3のヒートシール温度では溶融しない耐熱性の架橋樹脂を充填する。以下にその構成をさらに具体的に説明する。
図4は、絶縁体と封入袋とのシール強度を最適化できる構成例を示す図で、図4(A)はリード線と絶縁体との積層体を側面からみた構成図、図4(B)は図4(A)のd方向からみた構成図である。図4において、21は接着材層、21aは溝、25は架橋樹脂材料である。
図4に示すように、本実施形態では、絶縁体20を低融点の接着材層21を用いて構成し、さらに絶縁体20の封入袋側の表面、すなわち、導体1,1’に接着する面とは反対側の面に、複数の溝21aを形成する。そして溝21aには、封入袋3のヒートシール温度では溶融しない架橋樹脂材料25を充填する。
絶縁体20を導体1,1’に接着した状態で封入袋3の所定位置に配置し、封入袋3の最内層フィルムをヒートシールする。この際に封入袋3のヒートシール温度でその接着材層21が溶融し、絶縁体20の表面と封入袋3の最内層フィルムとのシールを良好に行うことができる。また、溝21aに充填した架橋樹脂材料25は、封入袋3のヒートシールによって溶融しないため、リード線と封入袋3の金属箔との電気的絶縁を確保することができる。
接着材層21の溝21aに対して架橋樹脂材料25が充填された構成は、例えば、絶縁体20を構成する接着材層21に形成した溝21aに対して、その溝21aの形状に合わせた線状の架橋樹脂体を埋め込んでいくようにしてもよい。また溝のない接着材層21に対して、溝部のみが開口された所定のマスクを使用し、そのマスクを介して所定の条件で電子線等を照射して、一定の深さを持った架橋領域を形成するようにしてもよい。
また架橋樹脂材料25を充填する溝21aに代えて、複数の孔を形成してもよい。孔は接着材層21の表面からその厚さ方向に深さを持つように形成され、接着材層21を貫通しない非貫通孔として形成することが好ましい。本実施形態では、接着材層21の表面に一定の割合で高融点の架橋樹脂材料25を配置することが目的とされるため、上記の溝21aや孔の形状は特に限定されるものではない。
また上記実施形態1で説明したように、溝21aまたは孔の形成面において、接着材材料23の面積は、絶縁体20の表面の全面積の10%以上90%以下の範囲にあることが必要である。従って本実施形態で形成する溝21aまたは孔の面積は、絶縁体20の表面の全面積の90%より小さく10%より大きくすることが好ましい。
1,1’…導体、2…絶縁体、3…封入袋、4…シール部分、5…正電極、5’…負電極、6…隔膜、7,7’…電極導電体、7a,7a’…接続片、8,8’…活性物質、9…金属箔、10…接着材層、11…耐熱層、12…最内層フィルム、13…最外層フィルム、14…積層フィルム、20…絶縁体、21…接着材層、21a,22a…溝、22…耐熱層、23…接着材材料、24…接続部、25…架橋樹脂材料。
Claims (6)
- 平板な導体の表面に絶縁体が接着されてなる非水電解質電池用のリード線であって、前記絶縁体は、前記導体に接着された接着材層と、前記接着材層に対して前記導体と反対側に積層された架橋樹脂層とからなり、前記架橋樹脂層は、複数の溝または孔が形成され、前記複数の溝または孔は、前記接着材層と同じ材料が充填されていることを特徴とするリード線。
- 前記溝または孔が形成された前記絶縁体の表面において、前記溝または孔の面積は、前記表面の全面積の11%以上90%以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のリード線。
- 平板な導体の表面に接着材層からなる絶縁体が接着されてなる非水電解質電池用のリード線であって、前記絶縁体は、複数の溝または孔が形成され、前記複数の溝または孔は、架橋樹脂が充填されていることを特徴とするリード線。
- 前記溝または孔を形成した絶縁体の表面において、前記溝または孔の面積は、前記表面の全面積の90%より小さく10%より大きい範囲にあることを特徴とする請求項3に記載のリード線。
- 正電極、負電極および電解液を、金属箔を含む積層フィルムからなる封入袋に収納し、正負電極に接続した導体を外部に取り出す構造の非水電解質電池であって、前記導体は、絶縁体を介して前記封入袋に接着され、前記絶縁体は、前記導体に接着された接着材層と、前記接着材層に積層された架橋樹脂層からなり、前記架橋樹脂層は、複数の溝または孔を有し、前記複数の溝または孔に前記接着材層と同じ材料が充填され、前記絶縁体は、前記架橋樹脂層と、前記溝または孔に充填された材料とによって前記封入袋に接着していることを特徴とする非水電解質電池。
- 正電極、負電極および電解液を、金属箔を含む積層フィルムからなる封入袋に収納し、正負電極に接続したリード線を外部に取り出す構造の非水電解質電池であって、前記リード線は、接着材層を介して前記封入袋に接着され、前記接着材層は、複数の溝または孔を有し、前記複数の溝または孔に架橋樹脂材料が充填され、前記接着材層は、前記接着材層を構成する材料と、前記溝または孔に充填された前記架橋樹脂とによって前記封入袋に接着していることを特徴とする非水電解質電池。
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