以下に、本発明車輌用灯具を実施するための最良の形態を添付図面を参照して説明する。なお、図示した実施の形態は本発明車輌用灯具を自動車用前照灯に適用したものである。
図1で分かるように、自動車用前照灯10は前方に向かって開口した凹部を有するランプハウジング20を備え、該ランプハウジング20の前面開口が透明カバー30によって覆われて灯室40が形成される。
図1及び図2で分かるように、上記灯室40内にランプハウジング20に対して傾動可能に支持されたブラケット50が配置され、該ブラケット50に照射ユニット60が水平方向で傾動可能に支持される。上記ブラケット50は上部の水平方向で離間した2点を回動支点部70、70によって支持され、下部を後述する照射光制御装置の鉛直方向駆動手段を介して支持される。
上記回動支点部70はランプハウジング20の後面壁21に回転可能に支持された調整軸71とブラケット50に支持されたナット体72とによって構成される。上記調整軸71は螺軸部71aの後端に頭部71bが一体に形成されて成り、頭部71bがランプハウジング20の後面壁21の後側に突出され、該頭部71bを操作することによって調整軸71を回転させることができる。上記ナット体72はブラケット50に対して若干傾動し得る状態で支持されており、該ナット体72に上記調整軸71の螺軸部71aが螺合される。従って、調整軸71を回転操作すると、その回転方向に応じて螺軸部71aがナット体72に対して捻じ込まれ又は捻じ戻されるので、ブラケット50のナット体72を支持している部分のランプハウジング20の後面壁21との間の間隔が変化する。なお、図示した回動支点部70はブラケット50とランプハウジング20の後面壁21との間の間隔を調整することができるように構成したが、ブラケット50とランプハウジング20との間の間隔を調整することができないように構成することも可能である。
ブラケット50には大きなほぼ矩形をした開口51が形成され、該開口51の上下両縁からは前方へ向けて支持片52、53が突出されている。そして、上側の支持片52の前端部には軸支部52aが形成され、下側の支持片53の前端部には挿通孔53aが形成されている。また、下側の支持片53の下面には取付ボス53b、53b、53bが突出している。
図1及び図4で良く分かるように、上記ランプユニット60は、リフレクタ61とリフレクタ61に支持された光源バルブ62とリフレクタ61の前方を覆うように設けられた投光レンズ63と照射光のパターン(配光パターン)の上縁を限定するシェード64を備える。リフレクタ61は集光性を有する反射面61aを備え、該リフレクタ61の前端部に固定されたほぼ筒状をした取付枠65の先端部に凸レンズ状をした上記投光レンズ63が支持されている。
光源バルブ62から出射しリフレクタ61の反射面61aで反射された光はシェード64の上縁64aの近傍に集光される。また、上記投光レンズ63の焦点はシェード64の上縁64aの近傍に位置している。従って、配光パターンの上縁がシェード64の上縁64aによって限定されたビームが投光レンズ63によって前方へ照射される。
上記シェード64は移動可能に設けられ、その上縁64aが上記集光域に位置する遮光位置とリフレクタ61による反射光を遮らない非遮光位置との間を移動して、配光パターンの上縁がカットオフラインによって限定されたすれ違いビームと上縁を限定するカットオフラインを有しない配光パターンの走行ビームとを選択的に照射し得るようになっている。
図3で良く分かるように、上記シェード64はカットオフラインを形成するための上縁64aを有する遮光部64bと、該遮光部64bの下端縁から前方へ突出した底面部64cと、遮光部64bと底面部64cとの接合部の両端から斜め下後方へと突出した被支持片64d、64d(図3に一方のもののみ示す)と、底面部64cの前端縁の左右方向におけるほぼ中央から前方へ突出した連結片64eと、底面部64cの前端縁の上記連結片64eに近接した位置に突設された抜け防止片64fとが一体に形成されて成る。
そして、リフレクタ61の前端部の左右両側部に支持される支持部材64g、64gに両端を支持された支持軸64hが上記被支持片64d、64dの孔64d′、64d′に挿通されて、シェード64がリフレクタ61に回動可能に支持される。そして、一方の支持部材64gと被支持片64dとの間にはねじりコイルバネ64iが介挿され、これによって、シェード64には図4で見て反時計回り方向への回動力が付勢されている。なお、シェード64の回動の詳細に関しては後述する。
図4で良く分かるように、上記取付枠65の後端部が支点軸66によってブラケット50の上側支持片52の軸支部52aに回転自在に支持されている。また、取付枠65の後端部の下面には連結ボス67が下方へ向けて突出されている。そして、連結ボス67には下方に開口した連結凹部67a(図4参照)が形成されている。なお、連結凹部67aの中心と上記支点軸66の中心とは同軸上に位置している。また、上記連結ボス67の中心部には取付枠65の内外を連通する挿通孔67bが形成されている。そして、連結ボス67がブラケット50の下側の支持片53の挿通孔53aから下側へ挿通される。そして、照射ニット60の後端部はブラケット50の開口51から後方へ突出される。このようにして、照射ユニット50はブラケット50に水平方向に回動自在に支持される。
上記ブラケット50の下側の支持片53の下側に上記照射ユニット60を水平方向へ回動させる水平方向駆動手段と、上記照射ユニット60を鉛直方向へ回動させる鉛直方向駆動手段と、上記照射光の照射光量を変更する、すなわち、上記シェード64を上記遮光位置と非遮光位置との間で回動させる照射光量変更手段の切替駆動部とが一体的に組み込まれて成る照射光制御装置80が支持される。
照射光制御装置80は、図4乃至図9から分かるように、単一のケース81に水平方向駆動手段100と、鉛直方向駆動手段200と、照射光量変更手段300の切替駆動部310とが一体的に組み込まれて成る。
上記ケース81は3つの部分によって構成される。すなわち、主ケース体90と、上記主ケース体90の上面を覆う上部ケース体82と、主ケース体90の下面を覆う下部ケース体83とが結合されてケース81が構成される。
図8でよく分かるように、主ケース体90は平面形状でほぼ横長の矩形状をしており、周囲を囲む周壁91を有し、一側部(右側に配置される照射ユニットに関する照射光制御装置にあっては左側部。なお、ここでは右側に配置される照射ユニットに関する照射光制御装置80Rについて説明する)を除いた部分に周壁91で囲まれた部分を上下に区分する中間壁92が形成されている。上記中間壁92はほぼ前側部から右側部にかけた逆L字状の部分92aが周壁91の上端と同じ高さの高台部とされ、それ以外の部分92bが周壁91の下端寄りの高さに位置した中間部とされている。
主ケース体90の中央よりやや右寄りの位置で太めの円筒状をした支持筒93が中間部92bから上方へ突出されている。上記支持筒93の左側へ2つの細めの筒状をした支持筒94、95が左右に並ぶように中間部92bから上方へ突出されている。上記各支持筒94、95を中心とした円周上に各4個の挿通孔94a、94a、・・・、95a、95a、・・・が形成され、さらに、これら挿通孔より外側に位置し支持筒94、95を中心とする円周上に各3個の臨ませ孔94b、94b、94b、95b、95b、95bが形成されている。なお、上記各支持筒93、94、95は主ケース体90の中心付近を通る左右に延びる直線SL(図8参照)上に配設され、また、上記挿通孔94a、94a、・・・、95a、95a、・・・及び臨ませ孔94b、94b、94b、95b、95b、95bは上記各支持筒93、94、95が配置された直線SLを対称軸として線対称に配置されている。その他、中間部92bからは支持軸96a、96b、96c、97が上方へ向けて突設されている。
主ケース体90の中間壁92が形成されていない左端部には前後方向に長い矩形をした空間98が形成されており、該空間98の底部は底面壁98aによって閉塞され、また、後端寄りに形成された隔壁98bによって前後2つの部屋98c、98dに区分されている。そして、上記空間98の後端を限定している後端壁98e及び上記隔壁98bにはそれぞれ上端に開口したほぼU字状の切欠98f、98gが形成されている。また、後側の部屋98dの両側部には上方を向いたガイド用段差面98h、98hが形成されている。そして、この空間98はケース体90の中間壁92、上部ケース体82の主面及び下部ケース体83の主面(なお、これら各面は照射ユニット60が中間位置にあるときはほぼ水平に位置している)に対して後上がりに傾斜した状態に形成されている。また、上記空間98の傾斜については後に詳細に説明する。
主ケース体90の外周部には3つの取付部99、99、99が形成され、該取付部99、99、99には長さの短い筒体99a、99a、99aが形成されている。また、周壁91の外周面には係合面91a′、91a′、・・・が下方を向いた係合爪91a、91a、・・・及び係合面91b′、91b′が上方を向いた係合爪91b、91bが突設されている。
また、上記周壁91の右側部の前後方向におけるほぼ中央には下縁に開口したほぼ矩形の切欠91cが形成されている。
上部ケース体82は上記主ケース体90の上方をほぼ完全に覆う形状の板状をしており、ほぼ中央寄りの位置に主ケース体90の支持筒93の軸心と中心が一致する円形の挿通孔82aが形成されている。上部ケース体82の周縁部からは下方へ突出した係合片82b、82b、・・・が形成されており、該係合片82b、82b、・・・には係合孔82b′、82b′、・・・が形成されている。また、上部ケース体82の周縁部には取付部82c、82c、82cが形成されており、該取付部82c、82c、82cには挿通孔82c′、82c′、82c′が形成されている。
そして、上部ケース体82を主ケース体90の上方を覆うように位置させ、主ケース体90の取付部99、99、99の筒体99a、99a、99aを上部ケース体82の取付部82c、82c、82cの挿通孔82c′、82c′、82c′に下方から挿通する。また、上部ケース体82の係合片82b、82b、・・・を主ケース体90の周壁91に沿わせて下方へ移動させていくと、係合片82b、82b、・・・の先端は周壁91の外面に形成された係合爪91a、91a、・・・の斜面を滑って外方へ撓み、そして、ついには係合孔82b′、82b′、82b′が係合爪91a、91a、・・・の下向きの係合面91a′、91a′、・・・と係合する。このようにして、上部ケース体82が主ケース体90の上側に取り付けられる。そして、主ケース体90の中間壁92の中間部92bと上部ケース体82との間に大きな空間が形成され、該空間にギヤ等の機構部品が配置されて機構部85とされる。なお、主ケース体90の左側部に形成された空間98の上側も上部ケース体82によって覆われる。そして、空間98が上部ケース体82によって覆われると、上部ケース体82の部屋98dに対応した部分に形成された図示しないガイド部によって部屋98d内にほぼ前後方向に延びる複数のガイド溝が形成される。
下部ケース体83は主ケース体90の下面の大部分を覆う形状の板状をしており、外周部の僅かに内側に背の低い立壁83aが形成されている。そして、該立壁83aの外周面には係合面83b′、83b′、・・・が下方を向いた係合爪83b、83b、・・・が突設されている。また、下部ケース体83の左端部には立壁83から外側に離間した位置に係合壁83cが立設されており、該係合壁83cの右側面には係合面83d′、83d′、83d′が下方を向いた係合爪83d、83d、83dが突設されている。さらに、下部ケース体83の外周部からは係合孔84e′、84e′を有する係合片84e、84eが上方へ向けて突設されている。
そして、下部ケース体83を主ケース体90の下方を覆うように位置させた状態で、下部ケース体83を上方へ僅かに移動させると、係合片83e、83eの係合孔83e′、83e′が主ケース体90の周壁91の外面に形成された係合爪91b、91bの係合面91b′、91b′と係合し、また、下部ケース体83の係合爪83b、83b、・・・及び83d、83d、83dの係合面83b′、83b′及び83d′、83d′、83d′が主ケース体90の周壁91の内面に形成された図示しない係合部と係合し、これによって、下部ケース体83が主ケース体90にその下面を覆うように取り付けられる。そして、主ケース体90の中間壁92と下部ケース体83との間の空間に後述する回路基板が配置されて回路部86とされる。
水平方向駆動手段100は、図5、図6及び図9で良くわかるように、上記照射ユニット60と連結される水平方向回動軸110を備える。そして、水平方向駆動手段100は駆動源として水平方向駆動用モータ120を備え、該モータ120の回転が減速用ギヤ130、140、150を介して上記水平方向回動軸110に伝達される。
上記水平方向回動軸110は、ほぼ円筒状をした主部111の上端に連結部112が形成され、また、下端部にはセクタギヤ113が側方へ突設されている。上記連結部112の外側面には複数の係合突条112a、112a、・・・が形成されている。そして、水平方向回動軸110の内部に大きな円柱状空間114が形成され、該円柱状空間114は連結部112の上端面に形成された挿通孔115によって外部と連通されている。そして、上記回転軸110は、主ケース体90の中間壁92に立設された支持筒93に円柱状空間114が外嵌された状態で回転自在に支持される。
上記水平方向駆動用モータ120は主ケース体90に対して固定的なステータ部と該ステータ部に対して回転自在なロータ部とから成り、ステータ部は、主ケース体90の支持筒94に対して外嵌状に固定されるインシュレータ121、インシュレータ121の支持パイプ121a、121a、・・・に圧入状に固定されると共に下端部が中間壁92に形成された挿通孔94a、94a、・・・を挿通されて回路部86の空間にまで達した4個のターミナル122、122、・・・、上記インシュレータ121を取り巻くように配置されたコア123、主ケース体90に形成された支持筒94に圧入状に固定された軸受メタル124及び上記コア123に巻回されたコイル125(図6参照)によって構成さている。
モータ120のロータ部は、ほぼ軸方長さが短い円筒状をしたロータマグネット126、上記ロータマグネット126の上端を覆うように固定されたギヤ部127及び該ギヤ部127の中心から下方へ垂設されたシャフト128によって構成され、上記ギヤ部127の上面の中心にはピニオンギヤ127aが形成されている。そして、ロータのシャフト128が上記軸受メタル124に回転自在に挿通されて、水平方向駆動用モータ120が形成される。そして、上記ロータマグネット126の下端は主ケース体90の中間壁92に形成された臨ませ孔94b、94b、94bを介して中間壁92の下側に位置する回路部86の空間に臨むようになる。
減速用ギヤ130は大ギヤ131と該大ギヤ131の下側に一体に形成された小ギヤ132とを有し、主ケース体90に立設された支持軸96aに回転自在に支持され、その大ギヤ131がモータ120のピニオンギヤ127aと噛合している。中間の減速用ギヤ140は大ギヤ141と該大ギヤ141の下側に一体に形成された小ギヤ142とを有し、主ケース体90に立設された支持軸96bに回転自在に支持され、その大ギヤ141が上記減速用ギヤ130の小ギヤ132と噛合している。減速用ギヤ150は大ギヤ151と該大ギヤ151の上側に一体に形成された小ギヤ152とを有し、主ケース体90に立設された支持軸96cに回転自在に支持され、その大ギヤ151が中間の減速用ギヤ140の小ギヤ142と噛合すると共に、その小ギヤ152が水平方向回動軸110のセクタギヤ113と噛合している。従って、モータ120が駆動されると、その回転が3つの減速用ギヤ130、140、150を介してセクタギヤ113に伝達され、これによって、水平方向回動軸110が回動される。
上記水平方向回動軸110の連結部112は照射ユニット60の下面に設けられた連結ボス67の連結凹部67aに内嵌状に連結され、且つ、その係合突条112a、112a、・・・が上記連結凹部67aの内周面に形成された図示しない凹条と係合されて、水平方向回動軸110の連結部112と照射ユニット60の連結ボス67との間に回転方向の滑りが生じないようにされている。
鉛直方向駆動手段200は、レベリング出力軸210及び該レベリング出力軸210をその軸方向に沿って移動させるための鉛直方向駆動用モータ220を備え、そして、上記モータ220の回転が伝達ギヤ230、ギヤシャフト240を介してレベリング出力軸210の軸方向への移動に変換される。
レベリング出力軸210はほぼ円柱状をした主部211の後端にボールジョイント用の球体212を有し、上記主部211の前端に被案内突起213、213、・・・が外方に向けて突設されている。上記主部211の前端から前方に向かって螺軸部214が突設されており、該螺軸部214の外周面には螺条214aが形成されている。
上記ギヤシャフト240はほぼ円筒状をしており、円筒の内周面には螺溝241(図6参照)が形成され、また、外周面の後半部には斜歯ギヤ242が形成されている。そして、ギヤシャフト240の前端部243はやや細径に形成されている。
上記空間98の前側の部屋98cの前端部にボールベアリング250が固定される。そして、該ボールベアリング250のインナーレース251に上記ギヤシャフト240の前端部243が圧入状に固定される。これによって、ギヤシャフト240は空間98の前側の部屋98c内で回転自在に配置される。そして、このギヤシャフト240の内周面に形成された螺溝241に上記レベリング出力軸210の螺軸部214が螺合される。この状態で、レベリング出力軸210の球体212は後端壁98eの切欠98fから方向へ突出され、被案内突起213、213、・・・は後側の部屋98d内でガイド用段差面98h、98h等によって形成された図示しないガイド溝に摺動自在に係合される。従って、ギヤシャフト240が回転した場合、レベリング出力軸210は、その被案内突起213、213、・・・が部屋98d内のガイド溝と摺動自在に係合していることによって回転せず、螺軸部214の螺条214aがギヤシャフト240の螺溝241によって送られることによって、ギヤシャフト240の回転方向に応じて後方又は前方へ移動する。
上記鉛直方向駆動用モータ220は主ケース体90に対して固定的なステータ部と該ステータ部に対して回転自在なロータ部とから成り、ステータ部は、主ケース体90の支持筒95に対して外嵌状に固定されるインシュレータ221、インシュレータ221の支持パイプ221a、221a、・・・に圧入状に固定されると共に下端部が中間壁92に形成された挿通孔95a、95a、・・・を挿通されて回路部86の空間にまで達した4個のターミナル222、222、・・・、上記インシュレータ221を取り巻くように配置されたコア223、主ケース体90に形成された支持筒95に圧入状に固定された軸受メタル224及び上記コア223に巻回されたコイル225(図6参照)によって構成さている。
モータ220のロータ部は、ほぼ軸方長さが短い円筒状をしたロータマグネット226、上記ロータマグネット226の上端を覆うように固定されたギヤ部227及び該ギヤ部227の中心から下方へ垂設されたシャフト228によって構成され、上記ギヤ部227の上面の中心にはピニオンギヤ227aが形成されている。そして、ロータのシャフト228が上記軸受メタル224に回転自在に挿通されて、鉛直方向駆動用モータ220が形成される。そして、上記ロータマグネット226の下端は主ケース体90の中間壁92に形成された臨ませ孔95b、95b、95bを介して中間壁92の下側に位置する回路部86の空間に臨むようになる。
上記伝達ギヤ230は平ギヤ231の下端にウォームギヤ232が一体に形成されて成り、主ケース体90の中間壁92から立設された支持軸97に回転自在に支持されている。そして、伝達ギヤ230の平ギヤ231は上記モータ220のピニオンギヤ227aと噛合され、ウォームギヤ232は上記ギヤシャフト240の斜歯ギヤ242と噛合されている。従って、鉛直方向駆動用モータ220が駆動されると、その回転は伝達ギヤ230を介してギヤシャフト240に伝達され、該ギヤシャフト240が回転される。そして、ギヤシャフト240が回転すると、上記したように、レベリング出力軸210が後方へ又は前方へ移動される。
照射光量変更手段300は、上記したシェード64の他、切替駆動部310及びシェード64と切替駆動部310との間を連結する連結棒320によって構成される。そして、上記切替駆動部310は上記ケース81内に組み込まれる。この切替駆動部310はソレノイドとして構成され、主ケース体90に形成された支持筒93内に水平方向回動軸110に囲まれた状態で配置され、その作動軸311が切替駆動軸として水平方向回動軸110の上端に形成された挿通孔115から上方へ突出されている。そして、ソレノイド310に通電されると、作動軸311はソレノイド310から突出され、ソレノイド310への通電が遮断されると、作動軸311は図示しない弾発手段によってソレノイド310の内部方向へと引込まれる。連結棒320は上端321がほぼL字状に折り曲げられており、該上端321がシェード64の連結片64eの孔64e、に挿通されてシェード64に連結され、照射光制御装置80がブラケット50の下側支持片53の下面に取り付けられると、上記連結棒320の下端322が上記作動軸311の上端にねじりコイルバネ64iの付勢力によって弾接された状態となる。
上記ケース81内の中間壁92と下部ケース体83との間に形成された空間内に回路基板400が配置されて回路部86とされる。回路基板400は、図8等で良く分かるように、プリントベース410に図示しないプリント配線が形成され、コネクタ420や各種電子部品が搭載されて構成される。プリントベース410は前後対称な形状をしており、前後を2分する対称軸SYML上に上記コネクタ420、ソレノイド310、2つのモータ120、220が配置されるように、各部品及びプリント配線の接続ランド等が配置される。例えば、各モータ120、220のロータマグネット126、226の回転を検出するホール素子430、430、・・・は上記対称軸SYML上に1個ずつと上記対称軸SYMLから前後に等間隔離れた位置に各1個ずつの各3個ずつが前後に線対称に配置され、また、モータ120、220の各4個ずつのターミナル122、122、・・・、222、222、・・・をプリントベース410の下面に形成された図示しない接続ランドに接続するためにプリントベース410の下面側に挿通させる挿通孔440、440、・・・は対称軸SYML上にそれぞれ2個ずつと対称軸SYMLから前後に等間隔離れた位置に各1個ずつの各4個ずつが前後に線対称に配置されている。さらに、上記ソレノイド310のターミナル312、312をプリントベース410の下面に形成された図示しない接続ランドに接続するためにプリントベース410の下面側に挿通させる挿通孔450、450も上記対称軸SYML上に配置されている。なお、コネクタ420はプリントベース410の上面の右端で前後方向における中央、すなわち、上記対称軸SYML上にてプリントベース410に搭載される。
回路基板400のプリントベース410を上記したように前後線対称に形成することによって、水平方向回動軸110、水平方向駆動用モータ120、鉛直方向駆動用モータ220及び照射光量変更手段300の切替駆動部(ソレノイド)310を上記対称軸SYML上に配置することができ、従って、左右一対の照射光制御装置80R(上記に説明した照射光制御装置80は右側に配置されるもの80Rである)、80L(図11参照)を設けるに当たって、回路基板400は左右共通のものを使用することができ、部品点数を減らすことができる。すなわち、主ケース体90の中間壁92に形成され、機構部85側に配置される部材と回路部86に配置される回路基板400上の部品や接続部等との間を連携させる連携部、例えば、上記挿通孔94a、94a、・・・、95a、95a、・・・や臨ませ孔94b、94b、94b、95b、95b、95bを図8に示す仮想上の直線SLを対称軸として前後対称に配置した左右個別のケース81、81を用意することで、回路基板400は左右で180度回転させることによって、左右で同じものを使用することができる。
上記主ケース体90の中間壁92はほぼ前側部から右側部にかけた逆L字状の部分92aが周壁91の上端と同じ高さの高台部とされている。従って、回路部86の空間のうち上記高台部92aに対応した部分の上下幅は中間部92bに対応した部分より大きくなり、従って、プリントベース410のうち上記高台部92aに対応した部分410aは上方に高い空間を有する。従って、プリントベース410上に搭載する電子部品のうち背の高い電子部品460、460、・・・は上記部分410aに搭載すると良い。背の高い電子部品460、460、・・・をコネクタ420の配置部のように上方に高い空間を必要とする部分の近辺に配置することによって、プリントベース410の上方に余裕のない部分に配置する場合に比較してケース81全体の厚みを薄くすることができる。
上記したように構成された回路基板400がケース81の主ケース体90と下部ケース体83との間に形成される空間に配置されて回路部86が形成される。そして、コネクタ420は主ケース体90の周壁91の右側部に形成された切欠91cから外方に臨まされる。また、上記モータ120、220のターミナル122、122、・・・、222、222、・・・はプリントベース410の挿通孔440、440、・・・をプリントベース410の下面側へと挿通され、プリントベース410の下面に形成された図示しない接続ランドに半田付け等により接続される。また、回路基板400上のホール素子430、430、・・・は主ケース体90の中間壁92に形成された臨ませ孔94b、94b、94b、95b、95b、95bを介して各モータ120、220のロータマグネット126、226の下端と近接対向した状態となる。また、ソレノイド310のターミナル312、312はプリントベース410の挿通孔450、450をプリントベース410の下面側へと挿通され、プリントベース410の下面に形成された図示しない接続ランドに半田付け等により接続される。
図10に上記照射ユニット60を含む前照灯システム全体の制御を行う制御回路の一例500を示す。
制御回路500は上記した照射ユニット60を含む前照灯システム全体の制御を行うECU501を備え、該ECU501にはイグニッションスイッチ502並びにランプスイッチ503a及び配光切替スイッチ503bが接続されている。そして、イグニッションスイッチ502が投入(ON)された状態でランプスイッチ503aが投入(ON)されると、ECU501から点灯回路504に対して点灯指令が出され、これによって、点灯回路504によってランプユニット60の光源バルブ62が点灯され、所定の配光パターンを有するビームが前方へ向けて照射され、また、光源バルブ62が点灯している状態で、配光切替スイッチ503bが操作されると、その操作に応じて、シェード64の位置が制御されて配光が切り換えられる。
上記ECU501には各種センサ505からの信号が入力されるようになっている。例えば、ステアリングセンサ505a、車高センサ505b、車速センサ505c、車輪センサ505d、GPSセンサ505eからの信号が入力されるようになっている。ステアリングセンサ505aからはステアリング操作したときのステアリング方向及びステアリング角度に関する情報が、車高センサ505bからは前後の車軸のそれぞれの高さに関する情報が、車速センサ505cから車速に関する情報が、車輪センサ505dからは各車輪の回転数に関する情報が、GPSセンサ505eからは全地球測位システムに基づく現在位置情報が、それぞれ入力される。そして、ECU501は、上記各センサ505からの情報に基づいて、最適な照射方向となるように、所定の制御信号を照射光制御装置80に送出し、照射光制御装置80はECU501からの給電及び制御信号を一つのコネクタ420を介して受領するようになっている。このように、照射光制御装置80への給電及び(/又は)制御信号の供給が単一のコネクタ420を介して行われるので、照射光制御装置80の回路構成が簡素化されると共に、給電や制御信号の供給線が一本に集約され、ハウジング10内での供給線の這い回しが容易になる。
上記回路基板400上には制御プログラムが組み込まれたCPU(中央処理装置)471が搭載され、上記コネクタ420を介してECU501から所定の制御信号がCPU471に送られる。CPU471はECU501から得た制御信号に基づき回路基板400上に構成されたそれぞれのドライバ回路472、473、474に所定の信号を送り、各ドライバ回路472、473、474によって水平方向駆動用モータ120、鉛直方向駆動用モータ220、ソレノイド310、が各別に駆動されるようになっている。
上記した照射光制御装置80Rはブラケット50の下側支持片53の下面に取り付けられる。すなわち、支持片53の下面に突設された取付ボス53b、53b、53bが照射光制御装置80Rの取付部99、99、99の筒体99a、99a、99aに挿通されて、照射光制御装置80Rが支持片53に対して位置決めされ、その状態で、ネジ止め等の適宜の手段によって、照射光制御装置80Rが支持片53の下面に取り付けられる。
照射光制御装置80Rが上記したようにブラケット50の下側支持片53の下面に取り付けられると、水平方向駆動手段100の水平方向回動軸110の連結部112が照射ユニット60の連結ボス67の連結凹部67aに内嵌状に連結される。また、照射光量変更手段300の切替駆動部(ソレノイド)310の作動軸311が上記連結ボス67の挿通孔67bを挿通されて照射ユニット60内に突出し、該作動軸311の上端にシェード64に連結された連結棒320の下端322が弾接された状態となる。
さらに、鉛直方向駆動手段200のレベリング出力軸210の球体212がランプハウジング20の後面壁21に支持された球受部材260に形成された球状凹部261内に嵌合されて玉継ぎ手状に連結される。
上記したように、レベリング出力軸210の軸方向は水平面に対して傾斜しているが、該傾斜について説明する。図7はレベリング出力軸210が移動範囲のほぼ中間に位置している状態を示す。図7において点EOはエーミング支点、すなわち、照射ユニット60の鉛直方向における回動支点である。具体的には、ブラケット50に支持された2つのナット体72と72とを結んだ線である。このエーミング支点EOから延びレベリング出力軸210の軸方向に延びる線L1に球体212の位置で交差する線L2と上記線L1との成す角度θがほぼ90゜になるように設定してある。このように設定すると、照射ユニット60の傾動に伴うレベリング出力軸210にかかる負荷を小さくすることができると共に、鉛直方向駆動手段200の前方への突出量を小さくすることができる。
上記したランプユニット60の光源バルブ62には放電バルブが使用されており、そのために、ランプボディ20内の下部に放電バルブを点灯させるための点灯回路を備えた点灯回路ユニット600が配置される。点灯回路ユニット600から延びるコード601の先端にはバルブソケット602が接続されており、該バルブソケット602が光源バルブ62に接続されている。従って、点灯回路ユニット600内に設けられた点灯回路によって生成された点灯電圧がバルブソケット602を介して光源バルブ62に印加され、これによって光源バルブ62が点灯する。
以下に、上記自動車用前照灯10の作用について説明する。
例えば、ハンドル操作をステアリングセンサ505aが検知すると、ハンドルを切る方向及びその角度に応じた量の制御量がCPU471からドライバ回路472に出力され、該ドライバ回路472によって水平方向駆動用モータ120が所定の方向へ所定量回転駆動される。モータ120の回転が減速用ギヤ130、140、150を介して水平方向回動軸110に伝達され、該回動軸110が所定の方向に所定角度回動される。この回動軸110の回動が連結ボス67を介して照射ユニット60に伝達され、照射ユニット60がブラケット50に対して左右方向へ回動される。
車高センサ505b、車速センサ505c、車輪センサ505d等によって車体の傾きが検知されると、該車体の傾きによる照射角度の不適合を補正するべく、レベリング出力軸210を所定の方向へ所定量移動させるべく、CPU471からドライバ回路473へ制御信号が出力され、ドライバ回路473が該制御信号に基づいて鉛直駆動用モータ220を所定方向へ所定量回転駆動する。該モータ220の回転が伝達ギヤ230を介してギヤシャフト240に伝達されて、ギヤシャフト240が回転することによって、その螺溝241によってレベリング出力軸210の螺条214aが送られて、レベリング出力軸210が所定の方向へ所定量移動する。これによって、ブラケット50の照射光制御装置80Rを支持した部分のランプハウジング20との間の間隔が変化し、ブラケット50が調整軸71、71が螺合されているナット体72、72を結んだ線を傾動軸として鉛直方向で傾動する。
図1や図4に示す状態において、光源バルブ62の光はシェード64によって一部が遮られ、特に、配光パターンの上縁がシェード64の上縁64aによって限定されたビーム(例えば、すれ違いビーム)が照射される。そこで、配光切替スイッチ503bが操作されると、該操作に応じた信号がCPU471からドライバ回路474に送出され、ドライバ回路474を介してソレノイド310に通電され、その作動軸311が上方へ突出される。作動軸311が上方へ突出されると、該作動軸311によって連結棒320が上方へ突き上げられ、それによって、シェード64は図1、図4における時計回り方向に回動され、図4に2点差線で示す非遮光位置へと移動する。従って、光源バルブ62の光はシェード64によってはほとんど遮られることが無く、配光パターンの上縁にカットオフラインを有しないビーム(例えば、走行ビーム)が照射されることになる。そして、ソレノイド310への通電が遮断されると、その作動軸311はソレノイド310内に引き込まれる方向に移動し、シェード64はねじりコイルバネ64iの付勢力によって図4における反時計回り方向へと回動し、該回動が連結棒320の下端322がソレノイド310の作動軸311の上端311aで停止されたところで停止し、図1、図4に実線で示す遮光位置に止まる。
なお、上記説明では、配光パターンの上縁が限定されたビームと配光パターンの上縁が限定されないビームの2つのビームを選択的に切替照射する例を示したが、シェード64によって照射光量を変えることができるので、シェード64の位置によって照射光量を適宜に変更したビームの照射を行うこともできる。また、照射光量変更手段300の切替駆動部にはソレノイドに限らず、他の駆動源を用いることもできる。例えば、リニアモータを使用すれば、シェード64の位置を無段階で変更することができる。さらに、シェード64の移動は回動に限るものではなく、例えば、上下方向に直線的に移動するものであっても良く、さらには、照射光量を変更する手段もシェードに限るものではない。
上記自動車用前照灯10にあっては、照射光の制御に必要な3つの要素を制御するための3つの手段100、200、310が一つの照射光制御装置80に一体的に組み込まれているため、照射光制御装置80の部品点数を少なく且つ小型に構成することができ、これによって、照射光制御装置80の組立工数が少なくなり部品点数の減少と相俟って照射光制御装置80を安価に構成することができる。また、照射光制御装置80を小型にできることから、これを組み込んだ自動車用前照灯10も小型に構成することができる。
また、水平方向回動軸110の内部空間を利用して照射光量変更手段300の切替駆動部(ソレノイド)310を配置したので、上記切替駆動部310の配置のための特別な空間を用意する必要が無く、照射光制御装置80のさらなる小型化が可能である。
さらに、水平方向駆動手段100、鉛直方向駆動手段200及び照射光量変更手段300の切替駆動部310は単一のケース81に組み込まれているので、照射光制御装置80の取扱が容易となる。
さらにまた、照射ユニット60はランプハウジング20内に水平方向及び鉛直方向に回動可能に支持されていると共に、上記照射光制御装置80は照射ユニット60と共にランプハウジング20に対して鉛直方向に回動可能とされているので、照射光制御装置80を照射ユニット60に組み付けた状態で一体的に取り扱うことができるため、ランプハウジング20への組付作業性が良好となる。
また、上記水平方向駆動手段100、鉛直方向駆動手段200及び照射光量変更手段300の切替駆動部310への給電及び/又は制御信号の供給は単一のコネクタ420を介して行われるため、照射光の制御回路500を簡素化することができる。
さらに、照射光制御装置80のケース81内において、中間壁92によって機構部品が配置される機構部85と回路基板400が配置される回路部86とが区分されているので、グリスや機構部品の動作に伴う削りカス等が回路基板400に付着するおそれが少なく、回路基板400上に形成されている回路の誤動作等を回避することができる。
なお、上記した実施の形態では、照射ユニット60に集光型リフレクタ61と光源62と投光レンズ63とシェード64によって構成されたものを示したが、このようなタイプのものに限定されるものではなく、そのほかのタイプのもの、例えば、放物面反射鏡と光源と前面レンズを備え、光源の位置と前面レンズに形成された各種ステップと、必要に応じて光源の一部を覆う遮光キャップとによって配光を制御するタイプの照射ユニットを使用することもできる。
そのほか、上記した実施の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されるようなことがあってはならないものである。
10…自動車用前照灯(車輌用灯具)、60…照射ユニット、62…光源バルブ(光源)、80…照射光制御手段、81…ケース、85…機構部、86…回路部、92…中間壁、94a…挿通孔(連携部)、94b…臨ませ孔(連携部)、95a…挿通孔(連携部)、95b…臨ませ孔(連携部)、100…水平方向駆動手段、110…水平方向回動軸(出力軸)、120…水平方向駆動用モータ、200…鉛直方向駆動手段、220…鉛直方向駆動用モータ、310…切替駆動部(照射光量変更手段の駆動部)、311…作動軸(出力軸)、400…回路基板、420…コネクタ、SYML…前後対称軸